SLばんえつ物語
SLばんえつ物語号(エスエルばんえつものがたりごう)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)が会津若松駅~新潟駅間を磐越西線・信越本線経由で運行する臨時快速列車の名称。なお、この列車用に改造された客車も「ばんえつ物語号」と呼ばれる場合があり
蒸気機関車牽引による列車は、「SLばんえつ物語号」と称する。地域観光列車の側面が大きく、磐越西線周辺市町村によりSL定期列車運転協議会が設けられている。
なお2008年の運転から正式名称がSLばんえつ物語に名称変更されている。
運転概要
- SLばんえつ物語
- 4月~11月までの土曜・休日を中心に、1日1往復の運行。
- 12月のクリスマスシーズンに「SL X'masトレイン」として運行されることもある。
- SL郡山会津路号・SL磐梯会津路号
- 期間中は月に1度ほど、磐越西線の郡山駅~会津若松駅間を延長運転されることがあり、延長部分は、下り(郡山→会津若松、七日町)が快速「SL郡山会津路号」、上り(会津若松→郡山)が快速「SL磐梯会津路号」という独立した列車となる。また延長運転当日は、「SLばんえつ物語」が片道のみの運行となる。
- もともと「SL磐梯会津路号」の列車名は、毎年2月に同区間でD51形蒸気機関車によるSL列車運行が行われる際に使用されていた。「冬のD51」として親しまれ、この列車名で1990年から2006年まで(2001年を除く)運行された。
編成
- C57形蒸気機関車が、専用の12系座席車6両と展望車1両を牽引する編成で運行される。
- 「SLばんえつ物語」ではヘッドマークを装着するが、「SL郡山会津路号」・「SL磐梯会津路号」では装着せず運行する。
- 全車座席指定席制。
停車駅
- SLばんえつ物語
会津若松駅 - (塩川駅) - 喜多方駅 - 山都駅 - 野沢駅 - 日出谷駅 - 津川駅 - 三川駅 - 咲花駅 - 五泉駅 - 新津駅 - 新潟駅
- 塩川駅は上り列車のみ停車。
- 津川駅では給水や、軸箱・通綿にオイルを補充するなど、消耗品の点検・補充をするため(=峠越えに備える意味も)、上下とも15分停車する。
- 上り列車は新津駅・山都駅で、下り列車は野沢駅で、主に列車交換(上り列車の新津駅では北陸方面からの特急北越1号からの接続も)及び乗客サービスのための長時間(10~11分)停車を行う。
- SL郡山会津路号・SL磐梯会津路号
郡山駅 - 磐梯熱海駅 - 猪苗代駅 - 磐梯町駅 - 広田駅 - 会津若松駅 → 七日町駅
- 七日町駅はSL郡山会津路号のみ、季節限定で乗り入れ。
担当運輸区
- 「SLばんえつ物語」では機関士・車掌ともに新津運輸区担当。車掌は専用の制服を着用して乗務している。
リニューアル
2007年の営業運転再開(4月28日)を前に、「ばんえつ物語」用12系客車のリニューアル改造工事が実施された。外観塗装はベージュ色とチョコレート色であったが、チョコレート色を濃い青色とオリエント急行を思わせるものに変更された。また、車内は快適な乗車を重視するために座席シートの背もたれを約30cm高くし、シートデザインを縦縞模様から赤に変更し、大正ロマン風のレトロ感あふれる演出とされた。座席クッションも厚みを持たせ、従来のボックスシートとは座り心地は異なる。展望車両(4号車)に配置されていた車内販売スペースを5号車に移し、フリースペースを拡大した。この結果、1編成の定員は504人から468人に変更された。新設の50インチモニター画面ではC57 180号機の歴史などを映出する。多目的室、SL宣伝コーナーも新設。車販コーナーでは新たに生ビールなどを取り扱う。各車両の通路ドアを改造し、自動ドアを導入した。
このリニューアル改造工事は4月上旬に完了し、4月13日に新津駅ホームで報道関係者に公開され、4月14・15日にはDD53形2号機牽引によって羽越本線:新津~酒田をお披露目運転として走行した。
沿革
- 1996年~1998年 - 津川駅~新津駅間で、D51 498牽引による、「SLえちご阿賀野号」運行(※ただし、1997年はD51故障により緊急措置でC58 363が代走)。
- 1999年4月29日 - C57 180と12系客車6両の専用編成で、「SLばんえつ物語号」運行開始。
- 2000年 - D51 498と対面。会津若松駅にて同時発車・並走運転(7月8日)、津川駅にてD51 498による「SLえちご阿賀野号」と交換(8月1日)。10月14日、鉄道の日記念で新潟駅発着。12月のクリスマス運転からは専用編成に展望車(オハ12 1701)を増結して7両編成化。
- 2001年 - 1月1日に津川→新津で「SLカウントダウン21世紀号」として運行。3月に品川駅にて展示会実施。
- 2002年 - 新幹線との接続を考慮して、この年より新潟駅発着での運転となる。7月6・7日に再び品川駅にて展示会実施。3月2・3日に「村上町屋の人形様巡り」オープニング列車として、D51 498牽引で「SL村上ひな街道号」として白新線・羽越本線:新潟~村上を走行し(好評のため以後、毎年運行)、9月29日に「にいつ鉄道まつり」に合わせて33年ぶりに信越本線:新津~長岡で「SLえちご街道号」運行。
- 2003年 - この年よりヘッドマークが月変わりのデザインとなる。12月のクリスマス運転はC57 180故障によりD51 498が代走。10月13日に鉄道の日記念イベントで34年ぶりに信越本線:長岡~直江津で「SLえちご日本海号」運行。
- 2004年 - 10月23日発生の新潟県中越地震による磐越西線経由救済臨時列車を、ディーゼル機関車牽引で平日運行される(10月下旬~11月上旬)。9月25・26日に「おいしい山形デスティネーションキャンペーン」の一環として、32年ぶりに羽越本線:村上~酒田で「SL出羽街道号」運行。
- 2005年 - 12月のクリスマス運転は想定外の豪雪により、23日上りのみ喜多方駅で打ち切りとなった(24日は新津への返却回送運転)。3月の「SL村上ひな街道号」ではC57 180が同列車初牽引。10月10日に新潟県中越地震復興1周年を記念して、再び信越本線:長岡~直江津で「SLえちご日本海号」運行。
- 2006年 - 10月28日より、C57 180全般検査入場のためDD51 895・DD53 2・D51 498が代走。10月14・15日に信越本線の関山~直江津間の開業120周年を記念して、信越本線:長岡~新井で「SL信越本線120周年号」運行。なお、新井~直江津間のSL走行は40年ぶり。
- 2007年 - C57 180の全般検査とともに、12系客車と乗務員(車掌)制服をリニューアル。4月28日より定期運行を開始。10月13日から3週間限定でC57 180のデフレクターを「門鉄デフ」に変更。10月20・21日に信越本線:長岡~直江津・新井で「SLえちご日本海号」運行。
- 2008年 - 4月5日より定期運行を開始。4月5日から5月11日の期間限定でC57 180のデフレクターを「門鉄デフ」に変更、ヘッドマークを着けずに運転する予定だったが、「SLばんえつ物語」号ご利用50万人達成記念として、5月3日より予定を変更し記念ヘッドマークをつけて運転することとなった。