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かみなり坊やピッカリ・ビー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アニメ:かみなり坊やピッカリ・ビー
原作 ムロタニツネ象
脚本 くにとしろう吉田喜昭鈴木良武 ほか
音楽 萩原哲晶
アニメーション制作 放送動画制作チルドレンズ・コーナー
製作 毎日放送、放送動画制作、チルドレンズ・コーナー
放送局 NET系列
放送期間 1967年4月1日 - 1968年3月30日
話数 全53回(全88話)
その他 モノクロ作品
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメ

かみなり坊やピッカリ・ビー』(かみなりぼうやピッカリ・ビー)は、1967年4月1日から1968年3月30日まで、NET(現・テレビ朝日)系列で毎週土曜19:30 - 20:00(JST)に全53回(全88話)放送された、毎日放送放送動画制作チルドレンズ・コーナー共同制作のテレビアニメ雪印乳業(現・雪印メグミルク)の一社提供[1]モノクロ作品。

概要

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原作はムロタニツネ象の漫画『ビリビリ・ビート』(小学館週刊少年サンデー』掲載)で、不思議な力を持つ子供ピッカリビーが巻き起こす騒動を描く。また本作品の放送に合わせ、同じくムロタニによる漫画作品『ピッカリ・ビー』も、講談社の漫画雑誌『ぼくら』に連載されていた。

番組は2部構成となっており、1967年10月14日放送分までは「前半Aパート」と「後半Bパート」に分けて別のエピソードを放送。放送回数と総話数とが一致しないのはこの構成によるものである。翌10月21日放送分からは、新作エピソードの放送は基本的にAパートのみで行い、Bパートには1 - 2クールまでに放送したエピソードを流すというスタイルへ移行したが[2]、一部の話数ではBパートも使って新作を放送するケースもあった。また、内容もスタイル移行と共に「町内での騒動」から、ピッカリビーとワンパクシックス(他に00五ェ門など)が、世界の様々な国などに行って騒動を巻き起こしたり、その国での事件を解決する路線へと変更されている。

1966年2月5日から放送された、前番組の『おそ松くん』(アニメ第1作)は子供たちに人気を得ていたものの、原作のストックが底をついた上に視聴者の親からワースト番組のレッテルを貼られてしまい、番組スポンサーへも抗議が寄せられるという事態に陥った。この状況を危惧した毎日放送は会議の結果、後番組は健全な路線で行くことを決定し、ムロタニの『ビリビリ・ビート』が題材に選ばれた[3]。結果的に本作品は、ターゲットを小学校低学年までの層に絞った作品となり、さらに本作品と同様にムロタニが原案として参加した次番組『ファイトだ!!ピュー太』は、本作品と異なり対照的な世相・流行ネタを取り入れたスラップスティックギャグアニメとなる。ムロタニの話によると『ファイトだ!!ピュー太』より本作品の方が自分の作品に近いとのことであるが、他方で「主人公のビーをもう少し悪い子にすれば良かった」とも述べている[4]

放送終了後

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本作品は再放送の機会に恵まれず、長きに渡って全話分のフィルムが行方不明となっていた。その都合上、映像ソフト化もハミングバードから1989年に発売された『マニア愛蔵版 懐かし〜いTVアニメテーマコレクション』(VHSレーザーディスク)にオープニング映像が収録されているのみであったが、1990年毎日放送千里丘放送センターのフィルム保管倉庫より全話分の保存が確認された[5][6]

これに伴って、本作品と『ファイトだ!!ピュー太』の一部エピソード[7]を収録したVHSビデオソフトが、毎日放送開局40周年記念ソフトとして発売された。また2005年6月29日にはコロムビアミュージックエンタテインメント(現・日本コロムビア)より、全話収録のDVD-BOXが発売されている。

発見されたフィルムは保存状態が余り良好ではなく、画面中にゴミの映り込みが多いものであった。またエンディング・次回予告・エンドカード[8]は保存されていた回のみが収録されており、次回予告のナレーションは未収録。パイロットの第1話・Aパートに当たる「空からきたヘンなやつ」のフィルムに至っては保存状態が非常に悪く、画面上には常に太い縦線が映り込んでおり、音声も終始ノイズが出ている状態である。

エピソード

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明石家さんまはバラエティ番組『テレビ探偵団』(TBS系列)にゲスト出演した際に「当時は本作品のファンで、家族の用事をそっちのけで観ていた」ことを述懐している。

あらすじ

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好奇心から地上に降り、ポン太郎の家に住みついたカミナリの子供ピッカリ・ビー。近所の仲良しグループ「ワンパク6」(ワンパクシックス)とともに未知の世界を冒険したり、さまざまな珍事件を起こしたり、悪事を働く00五ェ門やガポネコを自身の超能力で懲らしめたりする。


登場人物

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ピッカリ・ビーと雲井家

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ピッカリビー
- 千秋ちあき[9]
本作品の主人公。カミナリの国からやって来た子供であり「ピッカリ・ハット」というシルクハットを着用している。悪戯好きで、ポン太郎の家に住み付いて様々な騒動を巻き起こす。
雷雲を作ってそれに乗って自由に空を飛ぶことが可能であり、豪雨を降らせるなどの特殊能力を持つ。喧嘩や騒動によって収拾が付かない際には、指先から発する「ピッカリ光線」で相手のおへそに花を咲かせて相手を笑わせる。また、動物の言葉を理解出来る上に話せたりもする。第1話では人間の言葉を話せずに無口であったが、ポン太郎やおばあちゃん達のサポートで徐々に言葉や人間界のルールを覚えて成長する。最終話で祖父がカミナリ界の偉い人物であることを自らの口で語った。弱点として、砂漠のような乾燥地帯では雷雲を発生させられないことと、ピッカリ・ハットを取られると超能力を発揮出来なってしまうことである。
ポン太郎
声 - 加藤みどり
ビーが世話になっている雲井家の息子で「ワンパク6」の一員。人が良く気弱な性格であり、勉強が苦手。第9話でポン太郎が自らビーに対して「僕は勉強が嫌いなんだ」と公言している。
雲井カンタロー
声 - 大宮悌二
ポン太郎の父。玩具会社に勤務する会社員。家ではお母さんとおばあちゃんには頭が上がらない所がある。
雲井あやめ
声 - 佐山智子
ポン太郎の母。現代風の美人であるが、学校での成績が芳しくないポン太郎には手厳しい一面もある。第9話で一時期勉強をしないポン太郎に対して、005ェ門が押し売りに来た勉強ロボットを購入したことがあった。
雲井さくら
声 - 北川千枝子
祖母。雲井家のご意見番的な存在で、素直なビーを家に快く受け入れた。
チーコ
声 - 栗葉子
ポン太郎の妹。兄とは違ってしっかり者である。
ハギシリ
声 - 大竹宏
雲井家の飼い犬。ポン太郎と同様に気が小さくガポネコの言いなりになっており、餌を取り上げられたりしている。また005ェ門に堂々と泥棒へ入られており、番犬の役割を果たしていない。

ワンパク6

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ゴン太
声 - 高橋和枝
ワンパク6のリーダー的存在。見た目はガキ大将だが面倒見が良い上に、暴力を振るわない話が分かる優しい少年。
ガミ子
声 - 伊藤牧子
紅一点のサブリーダー格で、グループの取り仕切りや交渉事を最終的にまとめる役である。口うるさい上に言い方も厳しいものの、ワンパク6を支えている1人。
ゲンショク
声 - 小宮山清
太り過ぎのために医師から減食を指導されており、そのまま「ゲンショク」というニックネームにもなっている。走るのが苦手ですぐに汗をかいてバテてしまう。
カルダン
声 - 貴家堂子
お洒落な洋服を着ているお坊ちゃんで、それゆえに遊びで服が汚れたり、髪が乱れるのを常に気にしている。
レジ
声 - 白石冬美
常に算盤を持ち歩いている計算名人であり、ゴン太への報告係。帽子で目が隠されている。

その他の主な登場人物

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00五ェ門
声 - 近石真介
泥棒や押し売りなど、何でもござれの本作品のライバル的存在で自ら「科学忍者」と称しており、語尾に「ござるよ」を付けて話す37歳の男性。一人称は「拙者」である。様々と変な珍発明で悪さをするが、お人好しな面もあってどこか抜けており、いつもピッカリビーには懲らしめられていた。鼻の穴に煙草を入れて行動するという奇抜で面白い所がある。
次郎吉
声 - 東美江
00五ェ門の子分であり、ツッコミ役的存在のネズミ。第38話にてガポネコと組んでピッカリビーのハットを盗み、ピンチに追い込んだこともある。マイペースで間抜けな行動を取る親分には呆れ返っている。
ガポネコ
声 - 雨森雅司
眼帯を掛けた野良猫達のボス的存在。言葉巧みにビーを騙したり、恫喝でハギシリの食事を横取りする敵役。ビーやワンパク6達と00五ェ門らとは犬猿の仲であるが漢気があり、喧嘩などの非常事態には助太刀することもあった。
その他
声 - 鈴木泰明村松為久水鳥鉄夫高田竜二緑川稔増田弘一立壁和也雁坂明富山敬兼本新吾峰恵研仲野研野沢雅子西尾徳内海賢二米地政英大川豊筈見純三浦利子関つよし渡辺典子恵比寿まさ子薄井身知子中山輝夫坂井すみえ三上由紀増岡弘

スタッフ

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各話スタッフ

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主題歌

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オープニングテーマ「ピッカリ・ビーのうた」
作詞 - ピッカリ・ビー・グループ[10] / 作曲・編曲 - 萩原哲晶[11] / 歌 - 天地総子ボン・くーる / 台詞:近石真介
挿入歌
「ピッカリ・ビーはいいな」
作詞 - ピッカリ・ビー・グループ[10] / 作曲 - 萩原哲晶[11] / 歌 - 真理ヨシコ
エンディングではインストルメンタルで使用。
「雲のドライブ」
作詞・作曲・編曲 - 萩原哲晶 / 歌 - 美保くるり

各話リスト

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放送日 回数 話数 サブタイトル
1967年
4月1日
1 1 空からきたヘンなやつ
2 ビーもきょうからうちの子
4月8日 2 3 わんぱく入団テスト
4 人間の言葉はむづかしい
4月15日 3 5 大スター ピッカリ・ビー
6 ぼく学校にいきたい
4月22日 4 7 ぼくだってチャンピオン
8 ただほど高いピクニック
4月29日 5 9 ロボット先生はきびしい
10 つぼからでたご先祖さま
5月6日 6 11 わんぱくカラス王子
12 ビー人形新発売
5月13日 7 13 カメのおんがえし
14 ぼくがもらった忍術トラの巻
5月20日 8 15 おなかがすいた雪男
16 ダンプは通さない
5月27日 9 17 ぼく注しゃは大きらい
18 ガポネカはかわいそう
6月3日 10 19 強力大じしゃく
20 お遊びおじさんは誘カイ魔
6月10日 11 21 ハギシリのおにいちゃん
22 サーカスやめてでござるョ
6月17日 12 23 五ェ門の大まじゅつ
24 ハギシリのプレゼント
6月24日 13 25 ひとに親切らくじゃない
26 ゲンショクのパイナップル
7月1日 14 27 進めわんぱくハイキング
28 名探偵ハギシリの秘密
7月8日 15 29 原始人になりたい
30 しゃっくりとまらない
7月15日 16 31 忍法ロボット野球
32 ピッカリ犬猫病院
7月22日 17 33 転校してきた強いやつ
34 真夏の雪合戦
7月29日 18 35 ツノがはえた王子さま
36 走れポンコツ自動車
8月5日 19 37 怪獣ゴエモ対ビーゴン
38 盗まれたピッカリ★ハット
8月12日 20 39 ぼくらの0点かえせ
40 夜の遊園地で遊ぼう
8月19日 21 41 海辺の暴力やめる
42 夏休みは山寺で
8月26日 22 43 おばけ屋敷おもしろい
44 ほねおりぞん宝さがし
9月2日 23 45 ウミネコさんありがとう
46 ふしぎな花
9月9日 24 47 おかしな火星人
48 おりから出た動物たち
9月16日 25 49 大さわぎピッカリ・モード
50 銀座のネズミは強かった
9月23日 26 51 わんぱくドロンコ戦争
52 ぼく宇宙人じゃないよ
9月30日 27 53 ビーちゃんの特ダネ
54 山火事キャンプ
10月7日 28 55 列車強盗を追え
56 密林の王者ジーサン
10月14日 29 57 五対5紀の対決
58 なぞの鉄仮面
10月21日 30 59 インディアン大募集
ぼくだってチャンピオン(再放送)
10月28日 31 60 さばくのつぼどろぼう
わんぱくカラス王子(再放送)
11月4日 32 61 働け魔法のランプ
進めわんぱくハイキング(再放送)
11月11日 33 62 ぼくたちスパイじゃない
ツノがはえた王子さま(再放送)
11月18日 34 63 王女さまになったガミコ
走れポンコツ自動車(再放送)
11月25日 35 64 ジャングルの平和を守れ その1
65 ジャングルの平和を守れ その2
12月2日 36 66 高すぎたごちそう
ロボット先生はきびしい(再放送)
12月9日 37 67 ピッカリ海底戦争 その1
68 ピッカリ海底戦争 その2
12月16日 38 69 ガミコのクリスマス
カメのおんがえし(再放送)
12月23日 39 70 五ェ門のサンタークロース その1
71 五ェ門のサンタークロース その2
12月30日 40 72 王さまはまんががきらい
原始人になりたい(再放送)
1968年
1月6日
41 73 氷の城のお姫さま その1
74 氷の城のお姫さま その2
1月13日 42 75 ことしもきびしいでござる
おなかがすいた雪男(再放送)
1月20日 43 76 わんぱくアフリカ探検隊 その1
77 わんぱくアフリカ探検隊 その2
1月27日 44 78 スキー場のいたずらトリオ
つぼからでたご先祖さま(再放送)
2月3日 45 79 南極へいったビーちゃん
ぼくらの0点かえせ(再放送)
2月10日 46 80 五ェ門の観光ガイド
ひとに親切らくじゃない(再放送)
2月17日 47 81 いそがしい無人島
忍法ロボット野球(再放送)
2月24日 48 82 なかまわれしたシックス
大さわぎピッカリ・モード(再放送)
3月2日 49 83 えんの下の宝もの
わんぱくドロンコ戦争(再放送)
3月9日 50 84 おかしの国へ行こう
ビーちゃんの特ダネ(再放送)
3月16日 51 85 怪盗くいしん棒
山火事キャンプ(再放送)
3月23日 52 86 愛される駅にしましょう
密林の王者ジーサン(再放送)
3月30日 53 87 さようならピッカリ・ビー その1
88 さようならピッカリ・ビー その2

放送局

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系列は本放送当時のもの。

放送対象地域 放送局 系列 放送日時 備考
近畿広域圏 毎日放送 NET系列 土曜 19:30 - 20:00 製作局
関東広域圏 NETテレビ 現・テレビ朝日
福岡県 九州朝日放送
北海道 札幌テレビ[12] 日本テレビ系列 土曜 18:00 - 18:30
宮城県 東北放送 TBS系列 金曜 18:00 - 18:30[13]
中京広域圏 名古屋放送 NET系列
日本テレビ系列
土曜 18:00 - 18:30 現・名古屋テレビ(メ〜テレ)
本放送の終了後、1969年4月から15分枠での再放送を実施
岡山県 山陽放送 TBS系列 金曜 18:00 - 18:30 現・RSK山陽放送
当時の放送対象地域は岡山県のみ

外部リンク 

[編集]

脚注

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  1. ^ 週刊少年マガジン』1967年22号、講談社、97頁。 週刊少年マガジン 1967/05/28 表示号数22”. 文化庁. 2017年11月17日閲覧。
  2. ^ 原口正宏 (2006年4月5日). “リスト制作委員会通信 第10回 2005年後半回想 その3”. WEBアニメスタイル. 2007年8月28日閲覧。
  3. ^ かみなり坊やピッカリ・ビーアニメデータ集 毎日放送・多仁治インタビュー
  4. ^ かみなり坊やピッカリ・ビーアニメデータ集 ムロタニ・ツネ象インタビュー
  5. ^ 毎日放送は当時、千里丘から茶屋町への本社移転を目前に控えており、千里丘のフィルム保管倉庫の整理を行っていた。
  6. ^ 本作品と同時に『おそ松くん』や『ファイトだ!!ピュー太』のフィルムも発見されており、こちらも全話分の保存が確認されている。
  7. ^ 本作品からは第22回Aパート「おばけ屋敷おもしろい」と、第46回Aパート「五ェ門の観光ガイド」の2本を収録。
  8. ^ ピッカリビーが寝ている最中に画面上から「来週も見てね!」のテロップが入り、それに気付いて起き上がったピッカリビーが「来週も見てねー!」と挨拶して終わる。
  9. ^ スタッフの推薦によりキャスティングされた本職の子役であった。
  10. ^ a b クレジットは、OPではそのままだが、EDでは「ピッカリ・グループ」と記載(「ビー」が無い)。
  11. ^ a b クレジットは、OPでは『荻原哲晶』と誤表記されているが、EDでは誤表記されていない。
  12. ^ 北海道新聞』(マイクロフィルム版) 1968年(昭和43年)3月 テレビ欄
  13. ^ 『河北新報』1967年9月1日 - 9月29日付朝刊、テレビ欄。
NET系列 土曜19:30 - 20:00
前番組 番組名 次番組
おそ松くん(アニメ第1作)
(1966年2月5日 - 1967年3月25日)
かみなり坊やピッカリ・ビー
(1967年4月1日 - 1968年3月30日)
ファイトだ!!ピュー太
(1968年4月6日 - 9月28日)