ささやかだけれど、役にたつこと

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ささやかだけれど、役にたつこと』(ささやかだけれどやくにたつこと、原題:A Small, Good Thing)は、アメリカ小説家レイモンド・カーヴァー短編小説

概要[編集]

『コロンビア』1981年春夏号に「風呂The Bath というタイトルで掲載された。編集者のゴードン・リッシュによって「78パーセント」[1]の削除を受けたこの「風呂」は、短編集『愛について語るときに我々の語ること』(クノップフ社、1981年4月20日)に収録された。

短編集『愛について語るときに我々の語ること』の成功によりカーヴァーは一躍名声を得たが、オリジナルに戻すことを望んだ彼は、削除前のバージョン「ささやかだけれど、役にたつこと」を「プロウシェア」1982年号に掲載した。ただし同誌掲載時にカーヴァーはいくつか細かい修正をオリジナル原稿に加えている。翌年、短編集『大聖堂』(クノップフ社、1983年9月15日)に収録。また、生前に出版された精選作品集『Where I'm Calling From: New and Selected Stories』(アトランティック・マンスリー・プレス、1988年5月)にも収録された。

オリジナル原稿は2009年刊行の短編集『ビギナーズ』(ジョナサン・ケープ社)に収録された。

日本語版は、『文學界』1988年10月号が初出。翻訳は村上春樹。村上が独自に編纂した単行本『ささやかだけれど、役にたつこと』(中央公論社、1989年4月20日)に表題作として収録される。カーヴァーの死後、中央公論社は個人全集の刊行を始めるが、本作品を収録した『大聖堂』は最初に配本された(1990年5月20日刊行)。12編の作品から成る『Carver's Dozen レイモンド・カーヴァー傑作選』(中央公論社、1994年12月7日)にも収録されている。

そのほか、オーディオブック村上春樹ハイブ・リット』(アルク、2008年11月)、『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集 短篇コレクション Ⅰ』(河出書房新社、2010年7月13日)などに収録された[2]

村上が編纂・翻訳したアンソロジー『バースデイ・ストーリーズ』(中央公論新社、2002年11月)には、ショート・バージョンの「風呂」が収録されている。

あらすじ[編集]

エピソード[編集]

  • 村上春樹の造語「小確幸」(しょうかっこう)は本作品の原題 "A Small, Good Thing" に由来する。村上は言う。「生活の中に個人的な『小確幸』(小さいけれども、確かな幸福)を見出すためには、多かれ少なかれ自己規制みたいなものが必要とされる。たとえば我慢して激しく運動した後に飲むきりきりに冷えたビールみたいなもので、『うーん、そうだ、これだ』と一人で目を閉じて思わずつぶやいてしまうような感興、それがなんといっても『小確幸』の醍醐味である」[3]

脚注[編集]

  1. ^ レイモンド・カーヴァー『ビギナーズ』中央公論新社、2010年3月30日、493-494頁。同書収録の「『ビギナーズ』のためのノート」(ウィリアム・L・スタル、モーリーン・P・キャロル)より。
  2. ^ 短篇コレクション Ⅰ|河出書房新社
  3. ^ 村上春樹 『うずまき猫のみつけかた―村上朝日堂ジャーナル新潮文庫、126頁。