コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

さるとびエッちゃん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

さるとびエッちゃん』は、石ノ森章太郎漫画作品。または、それを原作とする日本テレビアニメ

週刊マーガレット』(集英社創刊号から1966年8号まで、休載と改題を繰り返して62回にわたって連載された。その後も掲載誌を移しながら1984年まで断続的に発表された。

内容

[編集]

エッちゃんこと猿飛エツ子は小柄な小学生。しかし、猛スピードで走り、怪力を持ち、動物と会話できる、そのエッちゃんが三つ葉小学校に転入、時にトラブルの種となり、時にトラブルを解決するコメディ作品。

原作

[編集]

初出は『週刊マーガレット』(集英社)創刊号より連載されていた『おかしなおかしなおかしなあの子』。後に単行本もアニメ化に合わせて改題された。

  • 第1部 「おかしなおかしなおかしなあの子」 昭和39年(1964年)9号 - 昭和40年(1965年)7号(全42回)[1]
  • 第2部 「おかしなあの子」 昭和40年(1965年)10号 - 18号(全8回)[1]
  • 第3部 「さるとびエッちゃん」 昭和40年(1965年)47号 - 昭和41年(1966年)8号(全12回)[1]
その他の連載

単行本

[編集]
  • サンコミックス『おかしなあの子 さるとびエッちゃん』(朝日ソノラマ)全5巻 - 絶版
  • サンワイドコミック『おかしなあの子 さるとびエッちゃん』(朝日ソノラマ)全2巻 - 絶版
  • 愛蔵版『おかしなおかしなおかしなあの子 さるとびエッちゃん』(中央公論社)全2巻 - 絶版
  • 双葉文庫『さるとびエッちゃん』(双葉社)全4巻 - 絶版
  • 石ノ森章太郎 萬画大全集『さるとびエッちゃん』(角川書店)全5巻・『エスパーエッちゃん』全1巻(「エスパーエッちゃん」・「新婦人しんぶん」版・「たのしい幼稚園」版収録)- 絶版
    • 同シリーズの『ミュータント・サブ』第3巻にはエッちゃんが登場する短編「エッちゃんとサブ」(『ぼくら』〈講談社〉1966年7月号)が収録されている。ちなみに少女フレンド版では逆に「ふしぎな少年」(週刊少女フレンド1971年第48号 萬画大全集版5巻収録)で『ミュータント・サブ』のサブがゲスト出演している。
  • 2015年現在では電子書籍「石ノ森章太郎 デジタル大全」版(講談社 「石ノ森章太郎 萬画大全集」版と同編成)が販売されている。

アニメ

[編集]
東映魔女っ子シリーズ
第3作 魔法のマコちゃん 1970年11月
- 1971年9月
第4作 さるとびエッちゃん 1971年10月
- 1972年3月
第5作 魔法使いチャッピー 1972年4月
- 1972年12月
さるとびエッちゃん
ジャンル テレビアニメ
原作 石森章太郎
企画 宮崎慎一NET)、籏野義文[2]東映動画
脚本 山崎忠昭ほか
演出 芹川有吾ほか
声の出演 野村道子
永井一郎
千々松幸子
ほか
音楽 宇野誠一郎
オープニングエッちゃん」(増山江威子
エンディングエッちゃんが好きや」(熊倉一雄
言語 日本語
製作
制作 東映、NET
放送
音声形式モノラル放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1971年10月4日 - 1972年3月27日
放送時間月曜19:00 - 19:30
放送枠東映魔女っ子シリーズ
放送分30分
回数26回
テンプレートを表示

解説

[編集]

1971年10月4日から1972年3月27日までの毎週月曜日19時 - 19時30分に NET (現:テレビ朝日)系列にて全26話が放送された。

時間帯としては『魔法のマコちゃん』の後番組に当たり、「東映魔女っ子シリーズ」の1つに数えられるが[1]主人公のパワー源が魔法ではない上に日常系ギャグアニメの傾向が強く、従来の作品と比較して絵柄や作品内容などに「魔女っ子」「少女向け」の要素は希薄になっている。[要出典]

一方、サブキャラクターの犬のブクは、大阪弁をしゃべり、人語を解する設定となっており、その後の魔法少女アニメで一般的になる「主人公と会話ができるペット」の先駆的存在でもあった[1]

全エピソードの内、第4回・第6回・第14回はシリーズでも珍しい2話構成となっており、特に第14回Bパート「たのしくやろうエッちゃんかるた」は、全キャラクターをいろはがるたに例えて[3]紹介するという、シリーズ最大の珍作となっている。また、最終回はラストを意識しない普通の話で締めくくられている。

本作の劇伴が一部「一休さん」でも使用されている。

2013年7月10日(水)午後11時45分、NHKBSプレミアム「手塚治虫×石ノ森章太郎 TV作品初回・最終回大集合!」にて、初回と最終回が放送された。

声の出演

[編集]

スタッフ

[編集]

主題歌

[編集]
オープニングテーマ - 「エッちゃん
作詞 - 山元護久 / 作曲 - 宇野誠一郎 / 歌 - 増山江威子
エンディングテーマ - 「エッちゃんが好きや」
作詞 - 山元護久 / 作曲 - 宇野誠一郎 / 歌 - 熊倉一雄

※『エッちゃんが好きや』は、第9話や第19話ではブク役の永井一郎が歌っている。

各話リスト

[編集]
放送日 サブタイトル 脚本 演出 作画監督 美術
1 1971年
10月4日
おかしな転校生 山崎忠昭 芹川有吾 高橋信也 土田勇
2 10月11日 わたスのおうち 辻真先
山崎忠昭
勝田稔男 木暮輝夫 内川文広
3 10月18日 ママのさんかん日 雪室俊一 岡崎稔 永樹凡人 伊藤攻洋
4 10月25日 運動会がはじまるよー
ああ友情
山崎忠昭 高見義雄 横井三郎
5 11月1日 ヨチヨチあばば 辻真先 明比正行 古沢日出夫
6 11月8日 ブクよいずこ
二人はしあわせ
池田宏 小田克也 土田勇
7 11月15日 星から来た少年 雪室俊一 金子允洋 細田暉雄 内川文広
8 11月22日 近くて遠いふるさと 岡崎稔 香西隆男 辻忠直
9 11月29日 さよならとサヨナラ 辻真先 久岡敬史 木暮輝夫 内川文広
10 12月6日 お母さんの手 大谷恒清 山崎誠
11 12月13日 チビはチビでも 雪室俊一 岡崎稔 香西隆男 内川文広
12 12月20日 クリスマスだいすき 山崎忠昭 池田宏 永樹凡人 横井三郎
13 12月27日 雪山讃歌 辻真先 山本寛巳 細田暉雄 伊藤英治
14 1972年
1月3日
ここほれワンワン
たのしくやろうエッちゃんカルタ
山崎忠昭 勝田稔男 高橋信也 土田勇
15 1月10日 わが愛しのメリイ 辻真先 芹川有吾 落合正宗 横井三郎
16 1月17日 わたスの動物語教室 雪室俊一 佐々木勝利 永樹凡人 土田勇
17 1月24日 七色の夢映画の夢 金子允洋 細田暉雄
18 1月31日 オニはそと! ブクはうち! 辻真先 岡崎稔 香西隆男 内川文広
19 2月7日 ブクとチビマル 山崎忠昭 佐々木勝利 永樹凡人 横井三郎
20 2月14日 父ちゃんの家庭科 辻真先 芹川有吾 落合正宗
21 2月21日 おかしなおかしなお手伝いさん 押川国秋 池田宏 永樹凡人 内川文広
22 2月28日 ああ、神様...! 城山昇 勝田稔男 高橋信也 土田勇
23 3月6日 夢みる少女 岡崎稔 香西隆男 内川文広
24 3月13日 小さなお庭 大谷恒清 細田暉雄 土田勇
25 3月20日 狼少女エツ子 辻真先
山崎忠昭
佐々木勝利 永樹凡人 内川文広
26 3月27日 二人のエッコ 辻真先 芹川有吾 木暮輝夫 横井三郎

※放映された上記26回に加え、第27~29回として『ピノキオ物語』『天神様の踏切』『エッちゃん空を飛ぶ』の3サブタイトルが1975年頃作成の東映動画のフィルム貸し出しリストに記載されているが、作品の存否については不明。[4]

放送局

[編集]
放送局 放送時間 備考
NET 月曜 19:00 - 19:30 キー局
北海道テレビ
青森放送 日曜 9:00 - 9:30[5]
テレビ岩手 金曜 17:30 - 18:00[6]
秋田放送 月曜 17:00 - 17:30[7]
山形放送 日曜 9:00 - 9:30(1971年12月 - 1972年3月)
日曜 9:30 - 10:00(1972年4月 - 5月)[8]
宮城テレビ 月曜 19:00 - 19:30[9]
福島中央テレビ
新潟総合テレビ 月曜 19:00 - 19:30[10]
北日本放送 水曜 17:20 - 17:45[11] 1972年4月5日ネット開始
北陸放送
福井放送 水曜 18:00 - 18:30(1972年3月29日まで)[12]
月曜 18:00 - 18:30(1972年4月3日から)[13]
山梨放送
長野放送
静岡放送
名古屋テレビ
毎日放送
山陰放送
テレビ岡山
広島ホームテレビ
山口放送
四国放送
瀬戸内海放送
九州朝日放送
長崎放送
テレビ熊本 月曜 18:00 - 18:30[14]
テレビ大分
宮崎放送 火曜 18:00 - 18:30[15]
鹿児島テレビ
沖縄テレビ

劇場版

[編集]

ネット配信

[編集]
  • 2023年7月19日YouTubeの「東映アニメーションミュージアムチャンネル」から第1話が常時無料配信されている。
NET 月曜19時台前半
前番組 番組名 次番組
さるとびエッちゃん

その他

[編集]
  • 東映プロデューサーだった平山亨と斎藤頼照によって実写ドラマとして企画されたが、実現しなかった[16][17]
  • すがやみつるは石森プロで、細井雄二、菅野誠(ひおあきら)、土山よしきとともに『怪傑ハリマオ』のトレースをしていた[18]が、次に「同人誌サークル『墨汁三滴』で丸っこい絵を描いていた」という理由で本作のキャラクター商品の絵描きを担当した(『エッちゃん』の漫画は描いていない)[19]。すがやは絵についてはまだ全て石森のチェックを受け、石森にデッサンなどを修正されることも多かったが、『エッちゃん』の仕事が認められたことにより、次に『仮面ライダー』の漫画を任されることになった。
  • よく間違われるのだが、猿飛佐助の子孫としてエッちゃんが自称した事は原作及びアニメでも一度もない。間違われる原因となるのは、猿飛の名字を原作者がわざと使った事に起因するミスリード。魔法少女を特集した媒体にて石森プロの関係者及び編集者の勘違いが掲載される為とされる。

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k 「ヒーローファイル さるとびエッちゃん」『甦る!石ノ森ヒーローファイル』Gakken〈Gakken Mook〉、2013年9月10日、73頁。ISBN 978-4-05-610166-9 
  2. ^ a b OPクレジットは「旗野義文」と表記。
  3. ^ 」は(一部を除く)全キャラが新年の挨拶をして「いちばんはじめがごあいさつ」、「」は花壇前にミコが登場したら花がしおれた所で「はなよりきれいな広岡ミコちゃん」など。中には、「」では頭上に老婆を乗せたエッちゃんが横断歩道を歩き「ろうじんはいたわるべし」、「」ではスキーをしたブクが横に滑って「へたのよこスキー」(「下手の横好き」のもじり)など、キャラと関係ないのも有った。そしてラストは今までのは広岡家のかるた会で、全札をエッちゃんが取ったというオチ。
  4. ^ 『魔女っ子大全集 東映動画篇』バンダイ、1993年、63頁。 
  5. ^ 『河北新報』1971年12月26日 - 1972年6月18日付朝刊、テレビ欄。
  6. ^ 『河北新報』1971年12月24日 - 1972年6月16日付朝刊、テレビ欄。
  7. ^ 『河北新報』1972年5月15日 - 11月13日付朝刊、テレビ欄。
  8. ^ 『河北新報』1971年11月28日 - 1972年5月21日付朝刊、テレビ欄。
  9. ^ 『河北新報』1971年10月4日 - 1972年3月27日付朝刊、テレビ欄。
  10. ^ 『NST』(新潟総合テレビ発行)p11、12
  11. ^ 『北日本新聞』1972年4月5日付朝刊、テレビ欄。
  12. ^ 『北國新聞』1972年3月29日付朝刊テレビ欄
  13. ^ 『北國新聞』1972年4月3日付朝刊テレビ欄
  14. ^ 南日本新聞』1972年5月29日付朝刊、テレビ欄。
  15. ^ 南日本新聞』1972年5月30日付朝刊、テレビ欄。
  16. ^ 『テレビマガジン特別編集 特撮ヒーロー大全集』講談社、1988年、209頁。 
  17. ^ 赤星政尚、高橋和光、早川優「第2章 TV化以前から夢中になった思い出の原作マンガ 23|原作初登場からメディアに引っぱりだこの『さるとびエッちゃん』の魅力」『懐かしのTVアニメ99の謎〈東映動画 編〉』二見書房、1995年1月25日、ISBN 4-576-94199-2、68頁。
  18. ^ 原稿が紛失していたため、『少年マガジン』掲載分の写真を撮り、その上からトレースするという方法で原稿を作り直した。
  19. ^ すがやみつるblog - 『仮面ライダー青春譜』第59回 - 第7章『仮面ライダー』騒乱記[リンク切れ]

関連作品

[編集]
  • ミュータント・サブ』 - 「エッちゃんとサブ」というコラボ漫画が存在する。
  • 幻魔大戦』 - 最終盤に登場する超能力者軍団の中に混ぜて、本作の主人公猿飛エツ子を登場させている。上記のミュータント・サブも登場。
  • 人造人間キカイダー THE ANIMATION』 - 石ノ森原作の『人造人間キカイダー』を2000年からアニメ化した作品。猿飛エツ子をモデルとした猿飛悦子というキャラクターが登場する。
  • 童夢』 - 石ノ森と同郷でもある大友克洋の漫画。主人公の「悦子」の名は本作が由来とされる(「大友克洋インタビュー 1993」、Pioneer LDC.)。

外部リンク

[編集]