アガサ賞
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アガサ賞 | |
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受賞対象 | 伝統的なミステリ小説 |
会場 | ワシントンD.C. |
国 | アメリカ |
主催 | マリス・ドメスティック |
初回 | 1988年 |
公式サイト | www |
アガサ賞(アガサしょう、英: Agatha Award)は、アガサ・クリスティに敬意を表したミステリ(推理小説)の文学賞で、マリス・ドメスティックが主宰している。マリス・ドメスティックは「伝統的なミステリ」愛読者の大会として1989年に発足し、毎年春にワシントンD.C.で授賞式が開催されている[1]。
受賞作品は、アガサ・クリスティ作品のような「伝統的なミステリ」が対象となる。「伝統的なミステリ」とは、あからさまな性描写や過激な流血、暴力シーンがないミステリ作品と緩やかに定義されていて、たいていは、警察官や私立探偵ではない一般の人が主人公となり、狭い地域を舞台として、お互い顔見知りの人々の中で起きる事件や謎を解決するミステリである。
アガサ賞の作品賞には5つのカテゴリ「最優秀長篇賞」「最優秀処女長篇賞」「最優秀短篇賞」「最優秀ノンフィクション賞」「最優秀児童書・ヤングアダルト賞」があり、これらの賞にノミネートされる作品は大会の出席者すべてによる投票で選ばれる。また、「生涯功労賞」「ポアロ賞」もあり、これはあらかじめ理事によって決定される。
作品賞
[編集]最優秀長篇賞 (Best Novel)
[編集]年 | 受賞作 | ノミネート作 |
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1988年 | キャロリン・G・ハート 『舞台裏の殺人』 |
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1989年 | エリザベス・ピーターズ 『裸でご免あそばせ』 |
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1990年 | ナンシー・ピカード 『虹の彼方に』 |
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1991年 | ナンシー・ピカード 『悲しみにさよなら』 |
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1992年 | マーガレット・マロン 『密造人の娘』 |
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1993年 | キャロリン・G・ハート 『死者の島』 |
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1994年 | シャーリン・マクラム 『丘をさまよう女』 |
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1995年 | シャーリン・マクラム "If I'd Killed Him When I Met Him" |
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1996年 | マーガレット・マロン 『悪魔の待ち伏せ』 |
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1997年 | ケイト・ロス 『マルヴェッツィ館の殺人』 |
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1998年 | ローラ・リップマン 『スタンド・アローン』 |
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1999年 | アーリーン・ファウラー "Mariner's Compass" |
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2000年 | マーガレット・マロン "Storm Track" |
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2001年 | リース・ボウエン 『口は災い』 |
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2002年 | ドナ・アンドリューズ 『恋するA・I探偵』 |
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2003年 | キャロリン・G・ハート 『手紙と秘密』 |
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2004年 | ジャクリーン・ウィンスピア "Birds of a Feather" |
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2005年 | キャサリン・ホール・ペイジ "The Body in the Snowdrift" |
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2006年 | ナンシー・ピカード 『凍てついた墓碑銘』 |
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2007年 | ルイーズ・ペニー 『スリー・パインズ村と運命の女神』 |
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2008年 | ルイーズ・ペニー 『スリー・パインズ村の無慈悲な春』 |
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2009年 | ルイーズ・ペニー "A Brutal Telling" |
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2010年 | ルイーズ・ペニー "Bury Your Dead" |
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2011年 | マーガレット・マロン "Three-Day Town" |
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2012年 | ルイーズ・ペニー "The Beautiful Mystery" |
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2013年 | ハンク・フィリッピ・ライアン "The Wrong Girl" |
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2014年 | ハンク・フィリッピ・ライアン "Truth Be Told" |
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2015年 | マーガレット・マロン "Long Upon the Land" |
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2016年 | ルイーズ・ペニー "A Great Reckoning" |
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2017年 | ルイーズ・ペニー "Glass Houses" |
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最優秀処女長篇賞(Best First Novel)
[編集]年 | 受賞作 | ノミネート作 |
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1988年 | エリザベス・ジョージ 『そしてボビーは死んだ』 (1998年改題『大いなる救い』) |
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1989年 | ジル・チャーチル 『ゴミと罰』 |
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1990年 | キャサリン・ホール・ペイジ 『待ち望まれた死体』 |
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1991年 | メアリー・ウィリス・ウォーカー 『凍りつく骨』 |
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1992年 | バーバラ・ニーリイ 『怯える屋敷』 |
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1993年 | ネヴァダ・バー 『山猫』 | |
1994年 | ジェフ・アボット 『図書館の死体』 |
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1995年 | ジーン・M・ダムズ 『眠れない聖夜』 |
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1996年 | アン・ジョージ "Murder on a Girl's Night Out" | |
1997年 | スジャータ・マッシー 『雪 殺人事件』 |
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1998年 | ロビン・ハサウェイ 『フェニモア先生、墓を掘る』 |
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1999年 | ドナ・アンドリューズ 『庭に孔雀、裏には死体』 |
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2000年 | ローズマリー・スティーヴンス "Death on a Silver Tray" |
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2001年 | サラ・ストロマイヤー 『バブルズはご機嫌ななめ』 |
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2002年 | ジュリア・スペンサー=フレミング "In the Bleak Midwinter" |
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2003年 | ジャクリーン・ウィンスピア 『夜明けのメイジー』 |
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2004年 | ハーレイ・ジェーン・コザック 『誘惑は殺意の香り』 |
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2005年 | ローラ・ダラム 『ウェディングプランナーは眠れない』 |
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2006年 | サンドラ・パーシャル 『冷たい月』 |
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2007年 | ハンク・フィリッピ・ライアン "Prime Time" |
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2008年 | G・M・マリエット 『コージー作家の秘密の原稿』 |
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2009年 | アラン・ブラッドリー 『パイは小さな秘密を運ぶ』 |
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2010年 | エイヴリー・エイムズ 『名探偵のキッシュをひとつ』 |
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2011年 | サラ・J・ヘンリー "Learning to Swim" |
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2012年 | スーザン・M・ボイヤー "Lowcountry Boil" |
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2013年 | レスリー・ブードウィッツ "Death Al Dente" |
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2014年 | テリー・ファーリー・モーラン "Well Read, Then Dead" |
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2015年 | アート・テイラー "On the Road with Del and Louise" |
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2016年 | シンシア・クーン "The Semester of Our Discontent" |
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2017年 | ケリー・ガレット "Hollywood Homicide" |
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最優秀歴史小説賞 (Best Historical Novel)
[編集]年 | 受賞作 | ノミネート作 |
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2011年 | リース・ボウエン "Naughty in Nice" |
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2012年 | カトリーナ・マクファーソン "Dandy Gilver and an Unsuitable Day for Murder" |
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2013年 | チャールズ・トッド "A Question of Honor" |
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2014年 | リース・ボウエン "Queen of Hearts" |
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2015年 | ローリー・R・キング "Dreaming Spies" |
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2016年 | カトリーナ・マクファーソン "The Reek of Red Herrings" |
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2017年 | リース・ボウエン "In Farleigh Field" |
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最優秀短篇賞 (Best Short Story)
[編集]- 1988年 - ロバート・バーナード "More Final Than Divorce"
- 1989年 - シャーリン・マクラム 「小さな敷居際の一杯」
- 1990年 - ジョーン・ヘス 「とても我慢できない」
- 1991年 - マーガレット・マロン 「デボラの裁き」
- 1992年 - アーロン&シャーロット・エルキンズ "Nice Gorilla"
- 1993年 - M・D・レイク "Kim's Game"
- 1994年 - ドロシー・キャネル "The Family Jewels"
- 1995年 - エリザベス・ダニエルズ・スクエア "The Dog Who Remembered Too Much"
- 1996年 - キャロリン・ウィート "Accidents Will Happen"
- 1997年 - M・D・レイク "Tea for Two"
- 1998年 - バーバラ・ダマート "Of Course You Know That Chocolate Is A Vegetable"
- 1999年 - ナンシー・ピカード "Out of Africa"
- 2000年 - ジャン・バーク "The Man in the Civil Suit"
- 2001年 - キャサリン・ホール・ペイジ "The Would-Be-Widower"
- 2002年 - マーガレット・マロン "The Dog That Didn't Bark"
- 2003年 - エリザベス・フォックスウェル "No Man's Land"
- 2004年 - エレイン・ヴィエッツ 「ウェディング・ナイフ」
- 2005年 - マーシャ・タリー "Driven to Distraction"
- 2006年 - トニー・ケルナー "Sleeping with the Plush"
- 2007年 - ドナ・アンドリューズ "A Rat's Tale"
- 2008年 - ダナ・キャメロン "The Night Things Changed"
- 2009年 - ハンク・フィリッピ・ライアン "On the House"
- 2010年 - メアリー・ジェーン・マフィーニ "So Much in Common"
- 2011年 - デイナ・キャメロン "Disarming"
- 2012年 - デイナ・キャメロン "Mischief in Mesopotamia"
- 2013年 - アート・テイラー "The Care and Feeding of House Plants"
- 2014年 - アート・テイラー "The Odds are Against Us"
- 2015年 - バーブ・ゴフマン "A Year Without Santa Claus"
- 2016年 - アート・テイラー "Parallel Play"
- 2017年 - ジジ・パンディアン "The Library Ghost of Tanglewood Inn"
最優秀児童書・ヤングアダルト賞 (Best Children/Young Adult Fiction)
[編集]- 2001年 - ペニー・ワーナー "Mystery Of The Haunted Caves"
- 2002年 - ダニエル・J・ヘイル & マシュー・ラブロ "Red Card"
- 2003年 - キャサリン・カー "The 7th Knot"
- 2004年 - ブルー・バリエット 『フェルメールの暗号』
- 2005年 - ピーター・エイブラハムズ 『不思議の穴に落ちて』
- 2005年 - カール・ハイアセン 『フラッシュ』
- 2006年 - ナンシー・ミーンズ・ライト "Pea Soup Poisonings"
- 2007年 - サラ・マスターズ・バッキー "The Light In The Cellar"
- 2008年 - クリス・グラベンスタイン "The Crossroads"
- 2009年 - ジョン・C・フォード "The Morgue and Me"
- 2010年 - サラ・スミス "The Other Side of Dark"
- 2011年 - クリス・グラベンスタイン "The Black Heart Crypt"
- 2012年 - ペニー・ワーナー 『暗号クラブ (2) ゆうれい灯台ツアー』
- 2013年 - クリス・グラベンスタイン 『図書館脱出ゲーム ぼくたちの謎とき大作戦!』
- 2014年 - ペニー・ワーナー 『暗号クラブ (4) よみがえったミイラ』
- 2015年 - アマンダ・フラワー "Andi Unstoppable"
- 2016年 - ペニー・ワーナー 『暗号クラブ (6) エンジェル島キャンプ事件』
- 2017年 - シンディ・カラハン "Sydney Mackenzie Knocks ‘Em Dead"
- 2018年 - シンディ・カラハン "Potion Problems"
- 2019年 - フランシス・スクーンメイカー "The Last Crystal"
- 2020年 - リッチー・ナルバエス "Holly Hernandez and the Death of Disco"
- 2021年 - アラン・オルロフ "I Play One on TV"
- 2022年 - ナンシー・スプリンガー "Enola Holmes and the Elegant Escapade"
最優秀ノンフィクション賞(Best Nonfiction)
[編集]その他の賞
[編集]生涯功労賞(Malice Domestic Award for Lifetime Achievement)
[編集]- 1990年 - フィリス・A・ホイットニー
- 1994年 - ミニョン・G・エバーハート
- 1996年 - メアリー・スチュアート
- 1997年 - エマ・レイサン
- 1998年 - シャーロット・マクラウド
- 1999年 - パトリシア・モイーズ
- 2000年 - ディック・フランシス
- 2001年 - ミルドレッド・ベンソン
- 2002年 - トニイ・ヒラーマン
- 2003年 - バーバラ・マーツ(エリザベス・ピーターズ、バーバラ・マイケルズ)
- 2004年 - マリアン・バブソン
- 2005年 - H・R・F・キーティング
- 2006年 - キャロリン・G・ハート
- 2008年 - ピーター・ラヴゼイ
- 2009年 - アン・ペリー
- 2010年 - メアリ・H・クラーク
- 2011年 - スー・グラフトン
- 2012年 - サイモン・ブレット
ポアロ賞(Poirot Awards)
[編集]作家ではないが、ミステリのジャンルで素晴らしい貢献をした個人に与えられる。
- 2003年 - デヴィッド・スーシェ(俳優)
- 2004年 - ルース・キャビン(編集者)
- 2005年 - アンジェラ・ランズベリー(女優)
- 2006年 - ダグラス・グリーン(出版関係者)
- 2007年 - 該当者なし
- 2008年 - ジャネット・ハッチングス(『HQMM』編集者)、リンダ・ランドリガン(『AHMM』編集者)
- 2009年 - ケイト・スティーン、ブライアン・スクーピン(『ミステリー・シーン』出版者)
- 2010年 - ウィリアム・リンク(脚本家・プロデューサー)
- 2011年 - ジャネット・ルドルフ(マカヴィティ賞を主宰する「国際ミステリ愛好家クラブ」の創設者)
- 2012年 - リー・ゴールドバーグ(作家、脚本家、TVプロデューサー)
脚注
[編集]- ^ Malice Domestic Archived 2015-10-05 at the Wayback Machine.
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Malice Domestic - 公式サイト
- THE AGATHA AWARDS - 上記サイト内の賞公式サイト