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スー・グラフトン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スー・グラフトン
(Sue Grafton)
誕生 スー・テイラー・グラフトン
Sue Taylor Grafton
(1940-04-24) 1940年4月24日
アメリカ合衆国の旗 ケンタッキー州ルイビル
死没 (2017-12-28) 2017年12月28日(77歳没)
アメリカ合衆国の旗 カリフォルニア州サンタバーバラ
職業 推理作家
言語 英語
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
最終学歴 ルイビル大学
活動期間 1968年 - 2017年
主な受賞歴

シェイマス賞長編賞
1986年 泥棒のB

ファルコン賞
1991年 逃亡者のF
親族 父:C・W・グラフトン英語版
ウィキポータル 文学
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スー・グラフトンSue Grafton1940年4月24日 - 2017年12月28日)は、アメリカ合衆国推理作家

来歴

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ケンタッキー州ルイビルで、弁護士で推理作家のC・W・グラフトンの娘として生まれた。1961年ルイビル大学英文学専攻で卒業後、カリフォルニア州サンタモニカサンタバーバラの病院で受付や秘書として働いた。

小説を書き始めたのは18歳の時で、処女作が完成したのはその4年後だった。その後6作を書き上げ、処女作を含め7作のうち2作は出版された[1]が日の目を見ることはなく、脚本家へ転向し[2]、その後約15年間テレビ映画の脚本を執筆した。1979年"Walking Through the Fire" の脚本でクリストファー賞を受賞。夫スティーヴン・ハンフリーとの共同でアガサ・クリスティの『カリブ海の秘密』と『忘られぬ死』や、"Killer in the Family""Love on the Run" のテレビ用の脚本を手がけた[3][4]。脚本家として活動するうちにもう一度小説を書きたいと思うようになった[4]。夫との離婚協議が6年も続いた後、(前)夫をいかに殺すか、いかに傷つけるかと想像を巡らせていた。その想像が次第に鮮明になっていったことが、それらを小説に書く決め手になった[5]

タイトルに色の名が含まれているジョン・D・マクドナルドや、ハリー・ケメルマン英語版の推理小説が好きだった。また、エドワード・ゴーリーの『ギャシュリークラムのちびっ子たち』というアルファベット順に子どもたちが死んでゆく絵本を読んで、アルファベットに因んだ作品を読むアイディアが浮かんだ。すぐに机に向かい、言葉に関する犯罪を知る限りリストアップした[4]。後に「アルファベット・ノベル」として知られるようになるこのシリーズの主人公キンジー・ミルホーン英語版は、カリフォルニア州の架空の都市サンタ・テレサに住んでいる[6]。同都市は、ロス・マクドナルドが自身の小説でサンタバーバラをモデルに創作した都市で、グラフトンはマクドナルドへの尊敬を込めてサンタ・テレサを舞台に選んだ[7]

キンジー・ミルホーンはサラ・パレツキー描くところのシカゴの女探偵V・I・ウォーショースキーと同じ年の登場(登場時の年齢設定も同じ32歳)であり、本国でも日本でも「3F」と呼ばれる、女性作家による女性読者のための女性探偵のブームをともに牽引した。元弁護士、大柄で格闘技にもすぐれた戦闘的性格のV・Iに比べ、高卒(短大中退)の元警官、白人女性としては中背のキンジーは気は強いものの警察や関係者にも協調的で、聞き込み先の掃除や洗い物を手伝ったりしながら事件に入り込んだりするという対照的性格を持つ。体は鍛えているものの銃を撃てる以外に格闘技の心得はないにもかかわらず肉弾戦に巻き込まれることはしばしばで、叩きのめされたり鼻を折られることも多い。友人として80代の家主ヘンリー(90代の長姉以下、3人の兄が全員健在という長寿一家。ドイツ系らしい)、行きつけの料理店を経営するハンガリー人女性ロージー、元勤務先の保険会社(『殺人のH』までは居候のような形で本社ビルに探偵事務所を置いていた)に属する女性ヴェラ、同じくダーシーらが何人かの刑事とともレギュラー、準レギュラーとして登場し、シリーズに彩を添えている。

1982年にシリーズ第1作『アリバイのA』を刊行。1990年、第7作『探偵のG』の出版後に脚本家をやめ、専業作家になった[5]。シリーズの時間軸は現実より遅く(当初は作中時間がきっちり2カ月間隔だったため、キンジーはデビュー8年後の第7作において初めて一つ歳をとった)、例えばシリーズ第17作『獲物のQ』は2002年に刊行されたが作中では1987年の設定である。近年は2年おきの発表ペースとなっており、2015年の『X』では初めて頭文字で単語につなげるスタイルを止めて1文字タイトルとなったが、次作は元のスタイルに戻った。ただし、日本では2005年7月の『ロマンスのR』以降10年以上翻訳刊行が途絶えており、2016年現在では既刊分も全て絶版となっている。

作品はブルガリア語インドネシア語を含む26カ国語に翻訳され28カ国で出版されている[8]。作品の映像化を拒否しているが、自分の死後に子どもたちが映像化の権利を売るのではないかと心配している[9]

グラフトンはアメリカ探偵作家クラブMWA賞の選考を行う団体)の会長を務めている。私生活では2度の離婚歴があり、現在の夫スティーヴン・ハンフリーとは結婚して20年以上になる。子どもが3人おり(前夫の子)、孫もいる。夫は大学で教鞭を取っている。

2017年12月28日に死去。77歳没。

受賞・ノミネート歴

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作品

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初期作品

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キンジー・ミルホーンシリーズ

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# 邦題 原題 刊行年
アメリカ合衆国の旗
刊行年月
日本の旗
訳者 出版社
日本の旗
1 アリバイのA "A" Is for Alibi 1982年 1987年3月 嵯峨静江 ハヤカワ・ミステリ文庫
2 泥棒のB "B" Is for Burglar 1985年 1987年6月
3 死体のC "C" Is for Corpse 1986年 1987年10月
4 欺しのD "D" Is for Deadbeat 1987年 1988年9月
5 証拠のE "E" Is for Evidence 1988年 1989年8月
6 逃亡者のF "F" Is for Fugitive 1989年 1990年6月
7 探偵のG "G" Is for Gumshoe 1990年 1991年6月
8 殺人のH "H" Is for Homicide 1991年 1992年6月 ハヤカワ・ノヴェルズ
(約3年後にハヤカワ・ミステリ文庫)
9 無実のI "I" Is for Innocent 1992年 1993年6月
10 裁きのJ "J" Is for Judgment 1993年 1994年6月
11 殺害者のK "K" Is for Killer 1994年 1995年6月
12 無法のL "L" Is for Lawless 1995年 1996年6月
13 悪意のM "M" Is for Malice 1997年 1997年7月
14 縛り首のN "N" Is for Noose 1998年 1998年12月
15 アウトローのO "O" Is for Outlaw 1999年 2000年8月
16 危険のP "P" Is for Peril 2001年 2001年8月
17 獲物のQ "Q" Is for Quarry 2002年 2003年9月
18 ロマンスのR "R" Is for Ricochet 2004年 2005年7月
19 "S" Is for Silence 2005年
20 "T" Is for Trespass 2007年
21 "U" Is for Undertow 2009年
22 "V" Is for Vengeance 2011年
23 "W" Is for Wasted 2013年
24 "X" 2015年
25 "Y" Is for Yesterday 2017年
26 "Z" Is for Zero 2019年

短編集

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  • Kinsey and Me(1991年)私家版短編集

関連項目

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出典

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  1. ^ Questions and Answers”. Sue Grafton Website. February 8, 2007閲覧。
  2. ^ “'Lolly-Madonna' changed lives”. アンカレッジ・デイリーニューズ: p. 14. (July 8, 1973). https://news.google.com/newspapers?id=1MwhAAAAIBAJ&sjid=bp4FAAAAIBAJ&pg=1920,1280100&dq=sue-grafton+lolly-madonna&hl=en May 4, 2010閲覧。 
  3. ^ The Kinsey Report”. Sue Grafton Website. 2006年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年2月8日閲覧。
  4. ^ a b c A Conversation with Sue Grafton”. Sue Grafton Website (1996年). February 8, 2007閲覧。
  5. ^ a b White, Claire E. “A Conversation with Sue Grafton”. Writers Write. February 8, 2007閲覧。
  6. ^ Brantingham, Barney (July 1, 2008). “W Is for Writers Conference; Sue Grafton Is Kinsey Millhone”. Santa Barbara Independent. http://www.independent.com/news/2008/jul/01/w-writers-conference/ Augsut 2, 2011閲覧。 
  7. ^ Bestselling Mystery Writer Sue Grafton To Speak at Annual Literary Voices Event”. The Metropolitan Library System of Oklahoma County (2007年). February 8, 2007閲覧。
  8. ^ Sue Grafton”. Sue Grafton Website. February 8, 2007閲覧。
  9. ^ Richards, Linda L. (1997年). “"G" Is for Grafton: Sue Grafton's Murderous Moments”. January Magazine. February 8, 2007閲覧。

外部リンク

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