アサシン クリード シャドウズ
この項目は、発売前あるいは配信・稼働開始前のコンピュータゲームを扱っています。 情報が解禁されていくに従い、この項目の内容も大きく変化することがありますのでご注意ください。 |
ジャンル | オープンワールドアクションRPG |
---|---|
対応機種 |
PlayStation 5 Xbox Series X/S Windows MacOS iPadOS |
開発元 | ユービーアイソフト ケベック |
発売元 | ユービーアイソフト |
人数 | 1人 |
メディア |
Ultra BD-ROM(PS5) ダウンロード(PC/Xbox Series) |
発売日 | 2025年2月14日 |
対象年齢 |
CERO:Z(18才以上のみ対象) ESRB:M(17歳以上) |
コンテンツアイコン | CERO:暴力 |
『アサシン クリード シャドウズ』(英: Assassin's Creed SHADOWS)は、ユービーアイソフトより2025年2月14日に発売予定のオープンワールドアクションRPGである[1]。アサシン クリードシリーズのメインシリーズ14作目の作品で、2023年に発売されたアサシン クリード ミラージュの次の作品となる。
概要
強力な力を秘めた超古代文明の遺物を巡り紀元前から各国で争い続ける二大勢力の戦いを描くシリーズであり、本作では「織田信長が岐阜城から安土城に移り天下統一まであと一歩の所まで迫っていた16世紀安土桃山時代の日本、1579年から1584年を舞台とする[2]。
父を喪った忍の藤林奈緒江と、信長に仕えたとされる黒人の弥助の二人からなるダブル主人公制[3]。弥助のような実在した人物が主人公になるのはシリーズ初と紹介される[3]、メインシリーズにおいてはそうだが、スピンオフ『アサシン クリード クロニクル』においてアナスタシア・ニコラエヴナが主人公となった前例もある。現地人である奈緒江、異国から来た弥助の二人が、対等でありながら異なる視点で共通の目的を追う[2][4]。二人の主人公を都度切り替えることが可能で、ほとんどの場面はどちらか一人だけで進められるが、屈強な敵は奈緒江では倒しづらく、高所にいる敵は身軽に傍に行けない弥助では倒しにくい[4]。対話での選択肢も、それぞれ異なる[4]。
本編で描かれる風景は、「過去編」主人公の遺伝子情報を現代人が解析して作り出したVRであり、その映像を視聴している「現代編」が過去作同様に存在するが、今作では現代人はプレイアブルではなくムービーのみとなる[5]。
なお、本作には歴史探索が行えるディスカバリーモードの実装は予定されていない[6]。
登場人物
- 藤林奈緒江(ふじばやし なおえ)
- 声 - 島袋美由利
- 主人公の一人。女性。伊賀者の忍のアサシン[1]。父は第一次天正伊賀の乱で戦死した藤林長門守。アサシン教団に伝わる「アサシンブレード」を使い、フードで顔を隠し影に潜んで敵を倒すステルス戦闘を得意とする[2]、シリーズの伝統的な主人公像を担っている。「シリーズ最強のアサシン」として制作されている[4]。屈み歩きだけでなく、よりステルス性能の高い匍匐前進がシリーズで初めて可能[7]。手裏剣やクナイを用いて暗殺し、鎖鎌による広範囲な攻撃も可能[7]。織田信長の圧政により故郷と親族を滅ぼされた恐怖を抱いている[8]。優しい性格だが、直情的な面もある[8]。
- 弥助(やすけ)
- 声 - 帆世雄一
- 主人公の一人。男性。侍の修業を終えたアフリカ出身の元奴隷[1][3]。日本人ではないアウトサイダーの視点から日本を見る[2]。逞しい体つきで、ある程度のステルスも可能であるが肉弾戦を得意とし、高所を身軽に乗り越えることはできないが、扉を破壊して侵入などが可能[2]。刀、金棒、弓、火縄銃などを武器にパワフルに戦う[8]。シリーズの伝統である、高所から鷲のような姿勢で飛び降りて藁の山などに着地する「イーグルダイブ」は不得意であり、着地の際に尻餅をつく[4]。主君である織田信長を死に追いやった組織を探し、戦地を巡っている[8]。
開発・販売
遡ること2010年、「シリーズ生みの親」パトリス・デジーレは、日本を舞台にする予定は無いと述べていた[9]。というのも、「忍者のアサシンクリード」を期待する声は大きいが、知り合いの日本人に「やめたほうがいい」「日本人は外国人に理解できない世界観を持っている」と言われたためとされる[9]。なお、デジーレはその後UBIを退社しており[9]、本作に関与していない。
2022年9月、UBIは、日本が舞台の新作『コードネーム Red』(仮称)が開発中であることを発表した[10]。
2024年5月、『コードネーム Red』の正式タイトルが『シャドウズ』に決定したことを発表し、トレーラーなどを順次公開した[11]。一方、この頃から後述の炎上が始まった。
2024年9月24日、UBIは本作の舞台である日本で行われる「東京ゲームショウ2024」の公式番組への出展を取りやめると発表した[12]。
2024年9月26日、「体験の磨き上げにさらなる時間」が必要であるとの理由から、同年11月15日に予定されていた発売日が、2025年2月14日に延期されることが発表された[13]。同時にSteamでの展開も発表している。2019年以降のUBIの新作はEpic Games StoreとUbisoft Storeで専売していた[14]。 延期に伴い、上位エディションに付属していた先行アクセス権及びシーズンパスがキャンセルされ、それに伴い値下げが行われた[15][16]。
開発スタジオはユービーアイソフト ケベック(シリーズ過去作では『自由の叫び』『シンジケート』『オデッセイ』と同じ)がメインを務める[17]。
反響
発売前の批判
本作は、発売前の時点で炎上騒動が起きている。
弥助騒動
日本を舞台にした作品でありながら、主人公のひとりに日本人男性ではなく黒人男性である弥助を起用したことで一部から批判が起き、さらにその批判に対しても人種差別的であるとの声が上がった[18][19]。
実業家のイーロン・マスクもこの件に反応し、SNSのXに「Diversity, Equity & Inclusion(多様性、公平性、包括性)」を意味する「DEI」という略語を用いて[20]、「DEI kills art(DEIは芸術を殺す)」とポストした[21]。このマスクのポストは、作品のエグゼクティブ・プロデューサーであるマーク・アレクシス・コーテ (Marc-Alexis Côté) から「he's just feeding hatred(憎しみを煽っているだけだ)」と非難されている[21]。
しかし黒人起用に関して、東アジア人男性への差別に当たるとの指摘がなされており、単純な反DEI、反ポリコレ、黒人差別で語れる構図ではない。
また、本騒動から派生して、日本大学准教授トーマス・ロックリーの弥助に対する一連の疑惑が発覚しており、ロックリーの著書や、彼の説を採用したメディアで登場する弥助や関連する出来事に関して、資料や史実と異なっており、デマを生み出しているなどの批判がなされている(詳細は同項目を参照)[22][23][24][25]。
アジア人男性への差別との指摘
黒人男性「弥助」の主人公起用は日本人・東アジア人男性への差別であるとの指摘がなされた理由については、これまでのアサシンクリードシリーズの背景を理解する必要がある。
- 初代のアサシンクリードから、これまでの主人公は全て架空の現地人であり、本作においてその慣例を破った[26]
- 以前にも、アサシン クリード クロニクルにおいて中国が舞台となったが、その時も女性のみが主人公であり、本来であれば本作が初のアジア人男性主人公となるはずであった
しかし、実際には日本人男性の主人公ではなく、黒人男性が主人公となったことで、「日本が舞台なのに日本人男性の主人公がいないのは馬鹿げている[19] (Assassin’s Creed being based in Japan and then NOT using a Japanese male protagonist is stupid.)」[18]「アフリカが舞台の作品で白人男性主人公を使うのと同じくらい愚かだ[19] (It would be as dumb as having it based in Africa and deciding to use a white male protagonist.)[18]」という声があがった。
また、これまでのUBIはアジア人男性が主人公のゲームを制作したこともなく[18](Ubisoft has never made a game with a male East Asian protagonist[18],)、当時の(現代でも)日本において極めて珍しい存在であった黒人を主人公にする不自然な起用をしたのは、「彼ら(UBI)はアジア人男性を嫌っているのではないか?(Do they hate East Asian males?)[18]」と疑われるようになったのである。
日本の学会からも、2024年11月に開かれた「第19回国際日本学コンソーシアム」において、「アサクリ問題」「弥助問題」として名指しされ[27][28]、「当時、日本には多くの伝説的な侍がいたのに、なぜ彼は封建時代の日本を代表する人物として選ばれたのか」と疑問を呈されている(詳細後述)[27][28]。
後述する「私達の侍、私達の目になれる人物」という発言も、「文化盗用」「日本人排斥」(つまり差別)と見なされ[29]、WEB上から削除されたのである[29]。
また以前より、欧米社会においてはアジア人男性に対するレプリゼンテーション問題があり、映画などのメディア媒体において、アジア人男性が主人公になれる機会が極端に少ない[30][31]。侍や忍者はその数少ない活躍の機会でもあった。
男女関係ないアジア差別として指摘されるのが日本語の吹き替えゲーム映像に中国語の字幕を使用した問題で[29][32]、こちらは日本だけでなく中国や韓国からも「アジア軽視だ」と批判の声が上がった[29]。
時代考証上の誤り
UBIは海外メディアの取材などに、シャドウズでは日本の専門家・歴史家による時代考証を徹底したという趣旨のコメントをしていた[12]。
しかし、本作はPV動画やコンセプトアートなどにおいて複数の基本的な時代考証上の誤りも指摘されており[33]、例えば「織田家の家紋が入った鎧を着た弥助が民家を襲撃する」姿に対して、ゲームライターは「弥助は山賊ではなく信長の家臣ですから、こうした行為に疑問を持たれても仕方ないかもしれません」と語っている[33]。
他にも、公開されたコンセプトアートには戦国時代にも関わらずガードレール、電柱、軽トラックが発見される[33]といった極めて初歩的な誤りも明らかになっている。
他にも、以下の誤りが指摘されている[25][29][32]。
- 城の畳が正方形である[25][29][32]
- 武士が正座し[注釈 1]、畳の縁を踏んでいる[29]
- 侍が甲冑姿で街を歩いている[32]、それに対して村人が弥助に恭しく頭を下げる[25]。織田家の家紋を付けた弥助も扱いとして誤り[29]
- 帯刀が右[25]
- 織田信長の横にその家臣が座っている[32]
- 田植えをしているシーンに満開の桜が咲き、「豊作だな」といったセリフが出る[32]
- 左右反転した中国の仏像[25][29]
- 農作業の風景がミャンマーやタイといった東南アジアのもの[29]
開発者の発言
UBIのシャルル・ベノアは、5月16日に公開されたインタビュー記事において『アサシン クリード』シリーズのことを「歴史描写と緻密な世界再現で知られています」とし、本作について「織田信長のような実在した歴史上の人物や当時の出来事を忠実に描いているので、封建時代の日本を舞台にゲームを楽しみながら、この素晴らしい時代について学ぶことができます」と語っていたが[34]、6月11日に公開された記事では記者から問われた設定上の疑問点に対して「あくまでゲームは歴史事実を絡めたフィクション」と返答をしている[3]。
また、公開したトレーラー映像への反響は「ネガティブな意見が多かったですが、肯定的な意見も少なくなかった」と述べ[3]、その映像に対して指摘のあった文化的描写の瑕疵は、本編においては修正されるとした[6]。UBIのブルック・デーヴィーズも、6月14日公開の記事で「今作は歴史フィクション」[35]とした上で「歴史の空白を私たちの描きたかったストーリーで埋めた」と語り、ベノアの発言と足並みをそろえている[35]。
日本人男性ではなく、黒人男性を起用したことについて、UBIは日本のゲームメディア向けインタビューで、「“私たちの侍”、つまり日本人ではない私たちの目になれる人物」を探したと答えた[29]。この発言は「文化盗用」「日本人排斥」と批判され、現在ではウェブ上の記事から削除されている[29]。
また、別の取材(弥助が白昼堂々村の中で敵を惨殺する姿に対する反発の声[29])に対してディレクターの Simon Lemay-Comtois が「当時、死を見ることは日常茶飯事であり、当時の日本ではほとんどの人が死ぬ方法はきれいな斬首だった[注釈 2]」と発言したが[36]、そのような歴史的事実はないと批判されている[29]。
2024年6月、一連の炎上に際してUBIのCEOであるイヴ・ギユモは、「悪意のある個人的なオンライン攻撃」を非難するとともに、「私が今懸念していることの一つは、当社のチームメンバーやパートナーの一部に向けられた悪意のある個人的オンライン攻撃です」、「ユービーアイソフトは、これらの憎悪行為を可能な限り強い言葉で非難することを明らかにしたいと思います。業界の他の人たちやプレイヤーにも、同様に非難するよう呼びかけます。」と発言している[37]。
2024年10月、UBIのマネタイズディレクターであるスティービー・シャサードが自身のLinkedInにおいて、ゲーマーを「まともではない人間(non-decent humans[38])」と非難した[39][38]。
2024年11月、本作のエグゼクティブプロデューサーのMarc-Alexis Côtéは、「不寛容からくる攻撃」や、スタジオやこの特定のゲームが「現代の思惑によって動かされている」という考えを否定した[40]。
更に、「歴史に忠実であるということは、妥協することなく人間の視点の豊かさを受け入れることを意味します」とし[40]、「たとえば、『アサシン クリード シャドウズ』では、日本の女性戦士である直江のような架空の人物と、アフリカ生まれの侍である弥助のような歴史上の人物の両方にスポットライトを当てています。封建時代の日本に黒人の侍が登場したことは疑問を招き、論争さえ巻き起こしましたが、架空の人物である直江も性別をめぐって厳しい批判にさらされてきました。 しかし、弥助が日本の歴史に存在したことが事実であるように、社会の期待に逆らい、紛争の時代に武器を取った女性たちの物語も事実です。直江と弥助の物語はどちらも歴史小説ですが、異なる世界、文化、役割の衝突を反映しており、その登場はまさに『アサシン クリード』が伝えようとしている物語であり、私たちが共有する歴史の複雑さと相互関連性を反映しています。」 とした[40]。
ただし、くノ一を女忍者とする用例は、山田風太郎の小説「忍法帖シリーズ」の影響で1960年代以降に広まった言葉で、江戸時代には女性そのものを指す隠語であった。歴史学で特に忍者を専門とする三重大学教授の山田雄司、吉丸雄哉(現二松学舎大学教授)らによれば、男性と同じように偵察や破壊活動を行った女性忍者の存在については史料に記録がないという[41][42]。
また、Marc-Alexis Côtéは続けて「歴史は本質的に多様である」ため、「ゲームも多様である」と述べた[40]。そして、「したがって、明確に言えば、私たちの包括性への取り組みは、歴史的真実性と多様な視点の尊重に基づいており、現代の課題によって動かされているわけではありません」と結んでいる[40]。ただし「歴史は本質的に多様である」というのはMarc-Alexis独自の意見であり、歴史学的な合意があるわけではない[注釈 3]。
著作物の無断使用
公開されたコンセプトアートに、2018年に結成されたボランティア団体「関ヶ原古戦場おもてなし連合・関ヶ原鉄砲隊」の旗の画像が含まれており[43][44]、このアートは「コレクターズエディション」として発売される商品に付属するアートブックにも使用される予定となっていた[45]。団体の関係者からの問い合わせを受けたUBIは問題のアートを公式サイトから削除し[43]、団体に謝罪したことを報告した上で、当該のアートはアートブックへの収録を除き、以降は新たな使用や配布を行わないとした[44]。関ヶ原鉄砲隊はアートブック収録分も含め削除するよう要請を続けていたが、UBIは既に印刷済であることを理由として拒否を続けていた。しかし、2024年10月21日、関ヶ原鉄砲隊は「コンセプトアート内の旗のデザインを削除することが決まった」と表明、後は現物を確認するだけとしているものの、問題は一応の解決を見た[46]。
関ヶ原鉄砲隊以外でも著作物の無断使用が指摘されており、二条城の障壁画と東大寺金剛八角燈籠の無断使用が指摘されている[29]。なお二条城を管理する京都市と東大寺八角燈籠の管理者である東大寺は既に把握しており、UBIに問い合せを行っている。
フランスで開催されたJAPAN EXPO2024に本作をテーマにしたブースが作られた際、展示物の一つとして「弥助が使用する刀」が置かれていたが、その刀が一般に販売されている『ONE PIECE』に登場するロロノア・ゾロの刀「三代鬼徹」のレプリカであると指摘された[29]。ONE PIECEの作者尾田栄一郎と織田氏を混同したと推察される[29]。UBIが日本では商標登録されている織田木瓜紋を使ったアパレルグッズを販売しようとしていることがわかり炎上した[要出典]。
フィギュアメーカー「PureArts」が発売を予定しているフィギュアは当初「一本柱の鳥居」をデザインとして使用していたが、長崎市山王神社の二の鳥居(被爆建造物)との類似性に対する抗議があった結果、PureArtsが謝罪しデザインの変更を発表した[47][48][49]。
日本・日本人の反応
2024年6月19日、chang.orgにて「アサシンクリードシャドウズの発売中止を求めます」とするインターネット署名運動が開始され、10万を超える署名数を記録した[50]。
2024年8月20日、横浜商科大学の田中辰雄教授が本騒動をもとにウェブモニターを使用したアンケートを実施した[26]。
炎上事件を知っている人の中で、この発売中止(同論文ではキャンセルカルチャー)に賛同する人は33.4%となっており[26]、アンケートそのものは発売中止署名に賛同しない人の方が48%と多かったものの、ゲームの発売中止を求めるということも鑑みれば、「数値としては高いも知れない」と評している[26]。
また、田中は「今回のキャンセルカルチャーは、いわば、押し寄せるポリコレの正義に対する日本の防衛反応と見ることができる」[26]として、これに賛同する人は「歴史保持の正義を掲げている」としてる[26]。ただし、同アンケートでは関ヶ原鉄砲隊を始めとした著作権侵害問題に対して一切触れられていない[26][注釈 4]。
参議院議員の浜田聡が本作について文部科学省に問い合わせた結果、文部科学省は「公序良俗に反する内容が疑われる場合は慎重な対応が求められる」などと回答した。一方で、外務省と経済産業省はコメントを差し控えた[51]。
2024年11月2日、オンラインで開催された「第19回国際日本学コンソーシアム」において、世界の日本学研究の国際的・学際的な研究発表、ディスカッションのテーマとして『「アサシンクリード問題」(いわゆる「弥助問題」): CLILとDEIの観点から見えるもの・隠されているもの』という題名で本問題が取り上げられた[27][28]。
同ディスカッションにおいて、東洋アフリカ研究学院教員の鈴木里奈から、「ゲームの主人公の一人、黒人の弥助は実際に存在し、信長に仕えたと言われている。しかし、第一次資料が乏しいため、彼の生涯は神秘と憶測に包まれている。しかし、ゲーム内では立派な鎧と刀を身につけた伝説の侍として描かれている。彼は本当に侍だったのか。史的証拠はどこにあるのか。当時、日本には多くの伝説的な侍がいたのに、なぜ彼は封建時代の日本を代表する人物として選ばれたのか」と疑問を呈されている[27][28]。
その他の国の反応
韓国の社会言語学者である能出新陸(Alaric NAUDÉ)は、騒動を知り状況を調査していたところトーマス・ロックリーに行き着き、その書籍の内容から西洋人のアジア文化に対する理解の低さ、そして本作(アサシンクリードシャドウズ)のアジア描写の酷さに失望し、社会学および言語学を用いてロックリーの書籍のどこが問題なのか、何が証拠のない不適切な記述なのか、そして弥助はどのような人物だったのかをまとめた書籍を2024年10月に出版している[52]。
脚注
注釈
- ^ 武士の正座が普及したのは江戸時代以降
- ^ 原文「I think it’s not an assassin thing, it’s a Japan thing in our case. So looking at death was a day-to-day occurrence in that period, and the way most people died in Japan during that time is clean decapitations.」
- ^ 例えば、江戸時代には鎖国(海禁)政策によって多様性とは真逆の歴史を辿ったが、これが長期的な平和をもたらしたことは周知の事実である。
- ^ 言うまでもなく、誤った歴史が広まる懸念と著作権侵害は完全に別個の問題である
出典
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