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アレヒン・ディフェンス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アレヒン・ディフェンス
abcdefgh
8
a8 black rook
b8 black knight
c8 black bishop
d8 black queen
e8 black king
f8 black bishop
h8 black rook
a7 black pawn
b7 black pawn
c7 black pawn
d7 black pawn
e7 black pawn
f7 black pawn
g7 black pawn
h7 black pawn
f6 black knight
e4 white pawn
a2 white pawn
b2 white pawn
c2 white pawn
d2 white pawn
f2 white pawn
g2 white pawn
h2 white pawn
a1 white rook
b1 white knight
c1 white bishop
d1 white queen
e1 white king
f1 white bishop
g1 white knight
h1 white rook
8
77
66
55
44
33
22
11
abcdefgh

アレヒン・ディフェンス (Alekhine's Defence) は、チェスオープニングの1つ。第4代及び第6代のチェスの公式世界チャンピオンであるアレクサンドル・アレヒンが研究したことから「アレヒン・ディフェンス」と名付けられた[1]。アレヒンはしばしば「アレキン」或いは「アリョーヒン」と呼ばれるので「アレキン・ディフェンス」或いは「アリョーヒン・ディフェンス」とも呼ばれている。右図は、その基本形となっている[2]。基本形までの手順は1. e4 Nf6である[2]。黒はナイトを動かすだけで手損と見られていたが[1]、アレヒンは白の伸びきったポーンを目標に指す戦法を考え[1]1921年ブダペストで開催された国際大会でこのオープニングを用いて好成績を得た[1]。しかし、変化が難しいため、中級者や上級者向けのオープニングである。

フォー・ポーンズ・アタック

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フォー・ポーンズ・アタック
abcdefgh
8
a8 black rook
b8 black knight
c8 black bishop
d8 black queen
e8 black king
f8 black bishop
h8 black rook
a7 black pawn
b7 black pawn
c7 black pawn
e7 black pawn
f7 black pawn
g7 black pawn
h7 black pawn
b6 black knight
d6 black pawn
e5 white pawn
c4 white pawn
d4 white pawn
f4 white pawn
a2 white pawn
b2 white pawn
g2 white pawn
h2 white pawn
a1 white rook
b1 white knight
c1 white bishop
d1 white queen
e1 white king
f1 white bishop
g1 white knight
h1 white rook
8
77
66
55
44
33
22
11
abcdefgh

2.e5 Nd5 3.c4 Nb6 4.d4 d6 5.f4[1]

白の5手目を指した時点で4つのポーンがセンター及びセミ・センターを占めることからフォー・ポーンズ・アタックと名付けられた。右図がその基本形である。

基本形での黒の5手目は5.… de[1]と5.… g6[3]の2つの手がある。5.… deと指した時は6.fe Nc6 7.Be3 Bf5 8.Nc3 e6 9.Nf3 Be7 10.Be2 0-0 11.0-0 f6 12.ef Bxf6 13.Qd2と進行する[4]。途中白の8手目で8.Bd3?と指すと8.… Bxd3 9.Qxd3 Nxe5で白はポーンを損する[3]。一方黒の9手目で9.… Nb4と指すと10.Rc1 c5 11.Be2 Be7と進行し[3]、次に白が12.0-0と指しても12.a3と指しても黒はb4のナイトをまた動かさなければならなくなる[3]。なお白の10手目では10.d5と指す手もある[3]。以下10.… Nb4 11.Nd4 Bg6と進行する[3]

黒の5手目で5.… g6と指した時は6.Nc3 de 7.fe Bg7 8.Be3 0-0 9.Nf3 c5 10.dc N6d7 11.e6 fe 12.Qc2 Qa5と進行し形勢不明の局面となる[3]。途中白の6手目で6.edはコボ対シュミット戦で指された手で[3]、以下6.… cd 7.Nf3 Bg7 8.Be2 0-0 9.0-0と進行し形勢互角[3]

エクスチェンジ・ヴァリエーション

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2.e5 Nd5 3.c4 Nb6 4.d4 d6 5.ed[5]

4手目まではフォー・ポーンズ・アタックと同一手順。白の5手目でd6のポーンを取るためエクスチェンジ・ヴァリエーションと名付けられた。以下5.… ed 6.Nc3 Be7 7.Be2 0-0 8.Be3 Nc6と進行する[6]

その他の変化

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フォー・ポーンズ・アタックやエクスチェンジ・ヴァリエーション以外の変化としては白が2手目に2.Nc3と指す手、2手目まではフォー・ポーンズ・アタックやエクスチェンジ・ヴァリエーションと同一手順で白が3手目に3.d4や3.Nc3と指す手、3手目まではフォー・ポーンズ・アタックやエクスチェンジ・ヴァリエーションと同一手順で白が4手目に4.c5と指す手、4手目まではフォー・ポーンズ・アタックやエクスチェンジ・ヴァリエーションと同一手順で白が5手目に5.Nf3と指す手等がある。

白が2手目に2.Nc3と指すと黒の指し手により他のオープニングに変化する[7]。2.… e5ならウィーン布局[7]、2.… d5ならセンター・カウンター・ディフェンス[7]、2.… d6ならピルツ・ディフェンス[7]

白が3手目に3.d4と指すと黒に3.… d6と指される[3]。次に白が4.c4と指せば4.… Nb6 5.f4と進行し手順前後でフォー・ポーンズ・アタックに変化する[8]。一方4.Nf3と指せば4.… Bg4 5.Be2 Nc6 6.0-0 e6 7.c4 Nb6 8.ed cd 9.Nc3 Be7 10.b3 Bf6 11. Be3 0-0 12.a3と進行する[9]

白が3手目に3.Nc3と指すと3.… Nxc3 4.dc d6 5.Nf3 Nc6 6.Bb5 Bd7 7.Qe2 Nxe5 8.Nxe5 de 9.Qxe5 f6 10.Qe2 e5と進行し形勢互角[7]

白の4手目で4.c5はワシュコフ対スパスキー戦で指された手で、以下4.… Nd5 5.Bc4 e6 6.Nc3 d6! 7.Nxd5 ed 8.Bxd5 c6! 9.Bxf7+ Kxf7 10.cd Qe8! 11.Qf3+ Kg8 12.Qe3 Be6 13.Ne2 Nd7 14.0-0 Nxe5! 15.Qxe5 Bc4 16.Qxe8 Rxe8 17.d3!と進行しドローとなった[7]

白の5手目で5.Nf3と指すのは5.… Bg4 6.Be2 de 7.c5! e4! 8.cb ef 9.Bxf3 Bxf3 10.Qxf3と進行し形勢互角[7]

参考文献

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脚注・出典

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  1. ^ a b c d e f 『定跡と戦い方』、79頁。
  2. ^ a b 『定跡と戦い方』、78頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j 『定跡と戦い方』、81頁。
  4. ^ 『定跡と戦い方』、79-81頁。
  5. ^ 『定跡と戦い方』、79-80頁。
  6. ^ 『定跡と戦い方』、80-81頁。
  7. ^ a b c d e f g 『定跡と戦い方』、80頁。
  8. ^ 『やさしい実戦集』、93頁。
  9. ^ 『定跡と戦い方』、81-82頁。
  10. ^ ISBNコードは新装版のもの。