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バード・オープニング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バード・オープニング
abcdefgh
8
a8 black rook
b8 black knight
c8 black bishop
d8 black queen
e8 black king
f8 black bishop
g8 black knight
h8 black rook
a7 black pawn
b7 black pawn
c7 black pawn
d7 black pawn
e7 black pawn
f7 black pawn
g7 black pawn
h7 black pawn
f4 white pawn
a2 white pawn
b2 white pawn
c2 white pawn
d2 white pawn
e2 white pawn
g2 white pawn
h2 white pawn
a1 white rook
b1 white knight
c1 white bishop
d1 white queen
e1 white king
f1 white bishop
g1 white knight
h1 white rook
8
77
66
55
44
33
22
11
abcdefgh

バード・オープニング (Bird's Opening) は、チェスオープニングの1つで、1.f4の1手だけで「バード・オープニング」という名前が付いている。右図がその基本形である[1]19世紀後半に活動したイギリスチェスプレーヤーヘンリー・バードが好んで用いたことからこの名が付いた[2]

バード・オープニングにおける黒の1手目としては1.… d5や1.… c5、1.… e5、1.… e6、1.… g6等があるが、その中で1.… d5と指すのをダッチ・アタック[2]、1.… e5と指すのをフロム・ギャンビットと呼ぶ[2]。なお1.… c5 2.e4或いは1.… c5 2.Nf3 g6 3.e4と指すと手順前後シシリアン・ディフェンスになる[2]

ダッチ・アタック

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1.… d5 2.Nf3 Nf6 3.e3 g6 4.b4 Bg7 5.Bb2 0-0 6.Be2 Bg4 7.0-0 c6 8.a4 Nbd7[3]

黒の1手目で1.… d5と指すと、白黒逆のダッチ・ディフェンスになることから「ダッチ・アタック」と呼ばれる[2]

白の2手目で2.g3と指すのは以下2.… Nf6 3.Bg2 c5 4.Nf3 Nc6 5.c3 g6 6.0-0 Bg7 7.d3 0-0 8.Nbd2 Qc7と進行し形勢互角[4]。この変化における白の駒組みはeファイルのポーンがe2にあることとcファイル及びfファイルのポーンがc3及びf4に進められていることを除けばキングズ・インディアン・アタックそのものといえる[4]。なおこの手順の途中で黒が3.… c6と指すのも良い手[4]

黒の3手目では3.… e6と指す手もある[4]。以下4.b3 Be7 5.Bb2 Nbd7 6.Bd3 0-0 7.0-0と進行する[4]

白の4手目は他に4.b3や4.c4、4.d4と指す手もある[4]

フロム・ギャンビット

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1.… e5 2.fe d6 3.de Bxd6 4.Nf3 g5 5.d4 g4 6.Ng5 f5 7.e4 h6 8.e5 Be7 9.Nh3 gh 10.Qh5+ Kf8 11.Bc4 Rh7 12.Qg6 Bb4+! 13.Ke2 Rg7 14.Bxh6 Nxh6 15.Qxh6 Qg5[5]

この変化は黒が有利[6]

白の2手目で2.g4??と指すと2.… Qh4#となり、たった2手でチェックメイトとなる(フールズ・メイト)。また白の4手目で4.Nc3??と指しても4.… Qh4+以下チェックの連続でメイトになる。

黒の4手目では4.… Nf6または4.… Nh6と指す手もある[6]

白の6手目で6.Ne5と指すのは以下6.… Bxe5 7.de Qxd1+ 8.Kxd1 Nc6 9.Nc3 Be6 10.Bf4 0-0-0+ 11.Ke1 Nge7 12.e3 Ng6と進行し黒が指しやすい[6]

黒の7手目で7.… Be7と指すのは8.Nh3! gh 9.Qh5+ Kf8 10.Bc4 Bb4+ 11.c3 Qe7 12.e5と進行し白有利[6]。なおこの変化の途中で10.… Qe8??と指すと11.Qh6+! Nxh6 12.Bxh6#となりチェックメイト[6]

白の13手目で13.c3と指すのは13.… Rg7 14.Bxh6 Qh4+の後15.… Qxh6と指され黒の勝ち(白はクイーンを失う)[6]

フールズ・メイト

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1.… e6 2.g4?? Qh4#[7]

初手からたった2手でチェックメイトになるため「フールズ・メイト(愚かなメイト)」と呼ばれる。

白の1手目で1.f3?(バーンズ・オープニング)と指しても1.… e6(1.… e5もある) 2.g4?? Qh4#でメイトになる。また黒の1手目で1.… e5(フロム・ギャンビット)と指しても2.g4?? Qh4#でやはりメイトになる。

その他の変化

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1.… g6 2.Nf3 Bg7 3.e3[8]

1973年ベント・ラーセンが来日した際に名古屋市のホテルで日本人との超早指し戦[9]が行われ[10]、日本人は入れ替わり次々と挑戦したものの有田謙二が4局指したうち1局のみ勝ったほかは全て日本人が時間切れで負け[10]、ラーセンは1度も時間切れにならなかった[10]。ここで取り上げた変化は日本人唯一の勝ち星となった有田対ラーセン戦のゲームである[10]。黒の3手目は3.… Nf6とするのが定跡だが[11]、この時黒番のラーセンは3.… f5と指した[11]。その後28手目でラーセンが投了し白番の有田が勝ったが[12]、残り時間は有田が1分くらい[12]、ラーセンは数秒だった[12]

参考文献

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脚注・出典

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  1. ^ 『定跡と戦い方』、194頁。
  2. ^ a b c d e 『定跡と戦い方』、195頁。
  3. ^ 『定跡と戦い方』、195-196頁。
  4. ^ a b c d e f 『定跡と戦い方』、196頁。
  5. ^ 『定跡と戦い方』、197-198頁。
  6. ^ a b c d e f 『定跡と戦い方』、198頁。
  7. ^ 『チェスの名人になってみないか』、107頁。
  8. ^ 『やさしい実戦集』、185-186頁。
  9. ^ 持ち時間はラーセンが2分、日本人が8分。
  10. ^ a b c d 『やさしい実戦集』、185頁。
  11. ^ a b 『やさしい実戦集』、186頁。
  12. ^ a b c 『やさしい実戦集』、192頁。
  13. ^ ISBNコードはISBN 978-4-309-72171-2。
  14. ^ ISBNコードはISBN 978-4-309-73141-4。
  15. ^ ISBNコードはISBN 978-4-309-72175-0。
  16. ^ ISBNコードはISBN 978-4-309-73145-2。