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アントニオバローズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アントニオバローズ
2009年神戸新聞杯JpnII
現役期間 2008年 - 2010年
欧字表記 Antonio Barows[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 青鹿毛[1]
生誕 2006年4月24日[1]
死没 2010年6月3日(4歳没)[2]
抹消日 2010年6月3日[2]
マンハッタンカフェ[1]
リトルアロー[1]
母の父 Kingmambo[1]
生国 日本の旗 日本北海道新冠町[1]
生産者 前川隆範[1]
馬主 猪熊広次[1]
調教師 武田博栗東[1]
調教助手 大島[3][4]
競走成績
生涯成績 9戦2勝[1]
獲得賞金 9952万1000円[1]
勝ち鞍
GIII シンザン記念 2009年
テンプレートを表示

アントニオバローズ(欧字名:Antonio Barows2006年4月24日 - 2010年6月3日)は、日本競走馬

主な勝ち鞍は、2009年のシンザン記念GIII)。

生涯

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デビューまで

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リトルアローは、アメリカで生産された牝馬で、父はキングマンボである[5]。2004年秋のキーンランド繁殖牝馬セールに出品され、北海道新冠町にて夫婦で牧場を営んでいる前川隆範が購入した[6]。前川牧場では、水田にて農業を営んでおり、兼業でサラブレッド生産を行っていた[7]。輸入後の2005年に持込馬を出産[7][8]。同じく2005年の日本で初めてとなる交配相手では、前年に他の繁殖牝馬で出来が良かった生産馬がいたことから、マンハッタンカフェが選ばれた[9]

2006年4月24日、青鹿毛牡馬(後のアントニオバローズ)が誕生。コンサイナーに委託せず自らで仕上げ、2007年北海道セレクションセール1歳部門に出場。猪熊広次が税抜き1470万円で落札した[10]。人名「アントニオ」に猪熊の用いる冠名「バローズ」を組み合わせた「アントニオバローズ」と命名され[11]栗東トレーニングセンター武田博厩舎に入厩した。2歳の夏の時点で角田晃一は、「相当走る」と評価していた[12]

競走馬時代

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2008年8月3日、小倉競馬場新馬戦(芝1800メートル)にて単勝オッズ1.4倍の1番人気でデビューし、2着[13]。2戦目、12月20日の未勝利戦(阪神競馬場芝1400メートル)で初勝利を挙げた。

3歳となった2009年、1月11日のシンザン記念GIII)に単勝オッズ3.3倍の2番人気で出走した。スタートからで遅れたが、好位まで追い上げて直線3番手で進入。ダブルウェッジを外から並び、クビ差先着して先頭で入線し、重賞初出走初勝利となった[14]。また武田博は自身が騎乗し、父である武田文吾が調教師として管理したシンザンを冠する競走を初めて勝利した[15]。折り合いをつけることができずに走り切った姿に、スポーツニッポンは「持てる力の半分も出していない[15]」と評している。

その後は、皐月賞トライアル競走である弥生賞GII)に出走する予定であったが、右肩跛行のために回避[16][17]。直行した皐月賞(GI)では、出走登録をしたものの、栗東所属の関西馬が中山競馬場に入厩する際に必要な「滞在入厩貸付馬房貸付申請」を行わなかった[18]。そのため、栗東から美浦トレーニングセンターを経由し、当日朝に中山競馬場に輸送する日程で出走したが、9着となった[18][19]

続いて東京優駿(日本ダービー)のトライアル競走であるプリンシパルステークス(OP)で2着となり、優先出走権を獲得[20]。そして東京優駿(GI)では、中団から直線で一時抜け出す場面も見られたが、ロジユニヴァースリーチザクラウンにかわされ3着となった[21][22]。夏休みを経て秋は神戸新聞杯GII)で復帰し、全14頭中11着[23][24]。レース後に喘鳴症(のど鳴り)が判明した[25]。それから武田が良化したと発言する中、菊花賞(GI)に出走するも最下位の18着[26]。角田は「出直しですね。1周たってから、ノドが気になり始めました。GIだけに完調でないと....[27]」としている。

休養を経て2010年2月のバレンタインステークス(OP)で1番人気で出走するも最下位16着となり、喘鳴症の再発が判明[28]。4月に治療のため、北海道苫小牧市の社台ホースクリニックにて手術を実施した[28]。手術自体は成功したものの、放牧先の岡山県の牧場へ移動する途中で肺炎を発症[28]。栗東トレーニングセンターの診療所に入院して治療されたが、肺胸膜炎が回復することなく予後不良となった[28][2]。最期は既に調教師へ転身していた角田などの関係者に看取られつつ、6月3日に安楽死処分[29]。同日、日本中央競馬会の競走馬登録を抹消された[2]

競走成績

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以下の内容は、netkeiba.com[30]およびJBISサーチ[31]の情報に基づく。

競走日 競馬場 競走名 距離

(馬場)

オッズ

(人気)

着順 タイム

(上り3F)

着差 騎手 斤量

[kg]

1着馬

(2着馬)

馬体重

[kg]

2008 08. 03 小倉 2歳新馬 芝1800m(良) 15 8 15 01.40(1人) 02着 1:48.6 (35.1) -0.2 0角田晃一 54 メイショウドンタク 496
12. 20 阪神 2歳未勝利 芝1400m(良) 18 5 10 01.90(1人) 01着 1:22.1 (35.5) -0.4 0角田晃一 55 (ゼットオーラ) 512
2009 01. 11 京都 シンザン記念 GIII 芝1600m(良) 14 1 1 03.30(2人) 01着 1:35.3 (35.2) -0.0 0角田晃一 56 (ダブルウェッジ) 514
04. 19 中山 皐月賞 JpnI 芝2000m(良) 18 7 14 70.6(12人) 09着 2:00.3 (36.4) -1.6 0角田晃一 57 アンライバルド 514
05. 09 東京 プリンシパルS OP 芝2000m(良) 17 2 4 03.00(1人) 02着 1:59.9 (35.1) -0.0 0角田晃一 56 ケイアイライジン 510
05. 31 東京 東京優駿 JpnI 芝2400m(不) 18 5 10 23.30(8人) 03着 2:34.4 (39.8) -0.7 0角田晃一 57 ロジユニヴァース 512
09. 27 阪神 神戸新聞杯 JpnII 芝2400m(良) 14 5 8 03.80(2人) 11着 2:26.2 (36.1) -2.0 0角田晃一 56 イコピコ 516
10. 25 京都 菊花賞 JpnI 芝3000m(良) 18 4 8 26.2(10人) 18着 3:07.7 (39.4) -4.2 0角田晃一 57 スリーロールス 526
2010 02. 13 東京 バレンタインS OP 芝1400m(稍) 16 4 8 03.70(1人) 16着 1:23.6 (36.3) -1.5 0角田晃一 56 (ゲイルスパーキー) 528

血統表

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アントニオバローズ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 サンデーサイレンス系
[§ 2]

マンハッタンカフェ
1998 青鹿毛
父の父
*サンデーサイレンス
1986 青鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
父の母
*サトルチェンジ
1988 黒鹿毛
Law Society Alleged
Bold Bikini
Santa Luciana Luciano
Suleika

*リトルアロー
Little Arrow
1998 鹿毛
Kingmambo
1990 鹿毛
Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Miesque Nureyev
Pasadoble
母の母
Born a Lady
1981 鹿毛
Tentam Intentionally
Tamerett
Natalma Native Dancer
Almahmoud F.No.2-d
母系(F-No.) (FN:2-d) [§ 3]
5代内の近親交配 Native Dancer:M4×M5, Almahmoud:M4×S5 [§ 4]
出典
  1. ^ アントニオバローズ > 血統情報:5代血統表. JBIS. 2015年7月5日閲覧
  2. ^ アントニオバローズ 5代血統表. 競馬ラボ. 2015年7月5日閲覧
  3. ^ アントニオバローズ > 血統情報:5代血統表. JBIS. 2015年7月5日閲覧
  4. ^ アントニオバローズ > 血統情報:5代血統表. JBIS. 2015年7月5日閲覧

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n アントニオバローズ”. JBBA. 2015年7月5日閲覧。
  2. ^ a b c d アントニオバローズが死亡 | 競馬実況web | ラジオNIKKEI”. keiba.radionikkei.jp. 2021年9月15日閲覧。
  3. ^ アントニオが上昇カーブ/ダービー - 競馬ニュース : nikkansports.com”. www.nikkansports.com. 2021年9月15日閲覧。
  4. ^ 【ダービー】(10)アントニオバローズ - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2021年9月15日閲覧。
  5. ^ リトルアロー(USA)”. www.jbis.or.jp. 2021年9月15日閲覧。
  6. ^ 後藤正俊 (2009年6月1日). “ダービーを彩った騎手と牧場 名騎手の技術と小規模牧場の努力”. jrha.or.jp. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月15日閲覧。
  7. ^ a b 『優駿』2009年3月号 108頁
  8. ^ 繁殖牝馬情報:牝系情報”. www.jbis.or.jp. 2021年9月15日閲覧。
  9. ^ 『優駿』2009年3月号 88-89頁
  10. ^ 売却成績”. www.jbis.or.jp. 2021年9月15日閲覧。
  11. ^ 09年ダービー3着、アントニオバローズが死亡 | 競馬ニュース | 競馬ラボ”. www.keibalab.jp. 2021年9月15日閲覧。
  12. ^ 馬三郎タイムズ コラム | 馬三郎25時 角田がバローズを強くする”. uma36.com. 2021年9月15日閲覧。
  13. ^ ドンタクに軍配!“異母兄弟”圧巻マッチレース - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2021年9月15日閲覧。
  14. ^ アントニオが重賞初制覇/シンザン記念 - 競馬ニュース : nikkansports.com”. www.nikkansports.com. 2021年9月15日閲覧。
  15. ^ a b 皐月へは迷わず行けよ、アントニオ!!/シンザン記念 - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2021年9月15日閲覧。
  16. ^ アントニオバローズ、アポロリバティー弥生賞出走を取りやめ”. 競馬ブック. 2021年9月15日閲覧。
  17. ^ アントニオバローズ、皐月賞直行が濃厚 - 競馬ニュース : nikkansports.com”. www.nikkansports.com. 2021年9月15日閲覧。
  18. ^ a b アントニオ手続き忘れ?美浦経由/皐月賞 - 競馬ニュース : nikkansports.com”. www.nikkansports.com. 2021年9月15日閲覧。
  19. ^ (14)アントニオバローズ ― スポニチ競馬Web”. スポニチ競馬Web. 2021年9月15日閲覧。
  20. ^ 【プリンシパルS】(東京)~ケイアイライジンとアントニオバローズがダービーの優先出走権を獲得 | 競馬実況web | ラジオNIKKEI”. keiba.radionikkei.jp. 2021年9月15日閲覧。
  21. ^ 猪熊オーナーVに興奮「勝つなんて」/ダービー”. p.nikkansports.com. 2021年9月15日閲覧。
  22. ^ 【ダービー】3着アントニオバローズ(競馬) ― スポニチ Sponichi Annex ギャンブル ダービー 2009”. web.archive.org (2016年3月4日). 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月15日閲覧。
  23. ^ リーチザクラウン休養後は神戸新聞杯へ - 競馬ニュース : nikkansports.com”. www.nikkansports.com. 2021年9月15日閲覧。
  24. ^ アントニオ神戸新聞杯大敗でのど検査へ - 競馬ニュース : nikkansports.com”. www.nikkansports.com. 2021年9月15日閲覧。
  25. ^ 惨敗アントニオのどの炎症だった… - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2021年9月15日閲覧。
  26. ^ 【菊花賞】(8)アントニオバローズ - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2021年9月15日閲覧。
  27. ^ 【菊花賞】(京都)~スリーロールスがハナ差制し、菊花賞馬へ | 競馬実況web | ラジオNIKKEI”. keiba.radionikkei.jp. 2021年9月15日閲覧。
  28. ^ a b c d 昨年ダービー3着…アントニオバローズ死す - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2021年9月15日閲覧。
  29. ^ アントニオバローズ肺胸膜炎のため急死 - 競馬ニュース : nikkansports.com”. www.nikkansports.com. 2021年9月15日閲覧。
  30. ^ アントニオバローズの競走成績 | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2021年9月15日閲覧。
  31. ^ 競走成績:全競走成績”. www.jbis.or.jp. 2021年9月15日閲覧。

参考文献

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  • 優駿』(日本中央競馬会、2009年)
    • 2009年3月号
      • 優駿編集部「【重賞プレイバック】第43回日刊スポーツ賞 シンザン記念(GIII)」
      • 田中哲実「【馬産地便り 牧場探訪】前川隆範牧場」

外部リンク

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