コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

サンデーサイレンス系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

サンデーサイレンス系 (サンデーサイレンスけい、Sunday Silence Line)は、(主にサラブレッド)の父系(父方の系図)の1つ。

概要

[編集]

1990年に日本に輸入され、1995年から2007年まで13年連続でリーディングサイアーに輝いたサンデーサイレンスを祖とするサイアーラインである。翌2008年にサンデーサイレンスに変わって首位に立ったアグネスタキオンと、2009年のマンハッタンカフェも本系統に属しており、15年連続でリーディングサイアーを輩出したことになった。サンデーサイレンス自身は12世代の産駒を残したが、その全ての世代から牡馬のGI級競走の勝ち馬を輩出した。その結果サンデーサイレンス系は、現在の日本競馬界において最も勢いのある父系となっている。2007年のリーディングサイアーランキングでは、サンデーサイレンス系種牡馬が自身を含め上位10頭のうち6頭ランクインした。その後も、2008年~2011年・2018年・2020年・2021年は上位10頭中5頭、2019年は6頭、2012年・2013年・2016年・2017年は7頭、2014年・2015年は8頭[1]が本系統と安定して結果を出し続けている。

2007年前後までは、サンデーサイレンス自身による実績が圧倒的であった。しかし種牡馬入りしたその産駒もフジキセキダンスインザダークステイゴールドスペシャルウィーク、アグネスタキオン、マンハッタンカフェ、ゴールドアリュールネオユニヴァースダイワメジャーハーツクライディープインパクトなどが優秀な成績を収めている。また、重賞未勝利であったミスキャストも2012年の天皇賞(春)を制したビートブラックを輩出した。サンデーサイレンス直仔の種牡馬の産駒では、Rockabubble、Hollow Bullet、Pompeii Ruler、DabirsimBeauty ParlourNatagoraSun Classique、King David、Giant Killing、Zapata、Abidjan、Antonella Baby、Energia Fribby、Hat Puntano、Jaspion Silent、Silence Is Gold、Saxon WarriorYoshidaStudy of ManFierce Impact、Mais Que Bonita、Abu Dhabi、Fancy Blueデルタブルースシーザリオヴィクトワールピサアドマイヤラクティハナズゴールリアルインパクトリアルスティールジャスタウェイジェンティルドンナエイシンヒカリヴィブロスネオリアリズムトーセンスターダムウインブライトリスグラシューアドマイヤマーズグローリーヴェイズラヴズオンリーユーが海外の国際G1競走を優勝している。こうした結果、日本産の父系としては異例と言える程にその人気は高まっている。2005年2006年の年間種付け頭数の集計からは、同系統のみで優に2000頭以上の種付けをこなしていることが明らかになっている。また2016年にはヴィクトワールピサ産駒のジュエラー桜花賞を制し、曾孫世代初のGI競走優勝を果たしている。

日本国内では父系のみならず、母系においても勢力を拡大しており、2006年~2019年までサンデーサイレンスがリーディングブルードメアサイアーを獲得している(サンデーサイレンス及びその産駒の競走成績・種牡馬実績については、各馬の項目を参照のこと)。これは本系統の実績を示すと共に、日本にサンデーサイレンス系の血を持つ優秀な繁殖牝馬が増えている事も示している。本系統の牝馬に配合する次代の種牡馬を探す事が、生産界の課題となりつつある。

上記のようなサンデーサイレンス系の父系、母系両面での隆盛はレースにも反映されており、例えば2010年度の中央競馬主催の平地GI競走の出走馬386頭のうち、サンデーサイレンスの血を持つ馬は231頭と、約6割にも上っている。2011年の牡馬クラシックでは、皐月賞では出走馬18頭中16頭、菊花賞では出走馬18頭中17頭、東京優駿にいたっては出走馬18頭の全頭が、両親のいずれかがサンデーサイレンスの直仔であった。日本経済新聞社記者である野元賢一日本経済新聞電子版コラムでこれについて取り上げ、世界有数の競馬国でこの事態は異例であり、近親交配の弊害が大きくなることから将来的な懸念材料であると論じている[2]

動向

[編集]

2000年代前半までは、後継種牡馬の国外流出が危惧されたため、南半球のシャトル種牡馬を除けば、北半球の海外ではサンデーサイレンス系の種牡馬は殆ど見られなかった。しかし国内における同系統の種牡馬の増加によって、十分な繁殖牝馬の確保が望みにくくなっており、海外に輸出される種牡馬も出はじめた。そのような背景からフランスに輸出されたディヴァインライトは、数少ない産駒からNatagoraを出している。また、中には北米で種牡馬入りしたハットトリックのように、最初から海外で繁殖入りするGI級競走の勝ち馬も出始めている。

一方、サンデーサイレンスの孫にあたる世代の種牡馬は、交配する牝馬が集まらない傾向も出てきている。2008年にはダンスインザダーク産駒で安田記念の勝ち馬ツルマルボーイが、僅か4年間の種付けで去勢され、早々に種牡馬を引退。同じダンスインザダーク産駒で、国際GIを含むGI級競走2勝のデルタブルースは種牡馬入りせずに乗馬に転身、早世したリーディングサイアー・アグネスタキオン産駒のGI馬ロジック誘導馬になっている。

2010年代はディープインパクトが国内でリーディングサイヤーとして君臨し続け、種付け料は初年度1200万から4000万円まで跳ね上がった。サンデーサイレンス系の上位も子世代が中心であり、2010年代後半は同馬に続いてステイゴールドハーツクライダイワメジャーが(サンデーサイレンス系の中で)常に上位4頭の枠に収まっていた[3]が、ステイゴールドが2015年に[4]、次いでディープインパクトが2019年に急死[5]、ハーツクライも2021年の種付けを最後に種牡馬を引退した。

そのような状況の中、ディープインパクト存命中の2010年代後半から、種付け料が高騰した父に代わりディープインパクトの後継種牡馬が繁殖牝馬を多く集める傾向にあり、その中からリアルインパクト産駒のラウダシオンがディープインパクトの孫世代として初のGI勝利馬となった。今後は初年度産駒からG1馬を輩出したキズナや、親子での無敗クラシック三冠を達成したコントレイルなどのデビューを控える種牡馬達や、ディープインパクトの全兄ブラックタイドとその産駒のキタサンブラックなどによる後継争いが注目される。

2010年代後半からはステイゴールド産駒のオルフェーヴルゴールドシップ、ハーツクライ産駒のジャスタウェイ、ゴールドアリュール産駒のエスポワールシチーなどサンデーサイレンス孫世代の種牡馬からもG1・Jpn1競走勝ち馬が出てきており、さらに2020年以降はサンデーサイレンスの奇跡の血量を持った馬も現れている。

サイアーライン

[編集]

---↓サンデーサイレンス系---

  • サイアーライン上は2024年現在、種牡馬入りを発表した馬、→は牝馬、種牡馬入りしなかった代表産駒。太字はG1級競走の勝ち馬。

脚注

[編集]