トーセンラー
トーセンラー | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第30回マイルチャンピオンシップ表彰式 (2013年11月17日) | ||||||||||||
欧字表記 | Tosen Ra[1] | |||||||||||
品種 | サラブレッド[1] | |||||||||||
性別 | 牡[1] | |||||||||||
毛色 | 黒鹿毛[1] | |||||||||||
生誕 | 2008年4月21日[1] | |||||||||||
抹消日 | 2014年12月28日[2][3] | |||||||||||
父 | ディープインパクト[1] | |||||||||||
母 | プリンセスオリビア[1] | |||||||||||
母の父 | Lycius[1] | |||||||||||
生国 | 日本(北海道千歳市)[1] | |||||||||||
生産者 | 社台ファーム[1] | |||||||||||
馬主 | 島川隆哉[1] | |||||||||||
調教師 | 藤原英昭(栗東)[1] | |||||||||||
競走成績 | ||||||||||||
生涯成績 | 25戦4勝[1] | |||||||||||
獲得賞金 | 4億6097万6000円[1] | |||||||||||
WBRR | E119 - M119 / 2013年[4] | |||||||||||
|
トーセンラー(欧字名:Tosen Ra、2008年4月21日 - )は、日本の競走馬・種牡馬[1]。主な勝ち鞍は2013年のマイルチャンピオンシップ、京都記念、2011年のきさらぎ賞。
馬名の意味は、冠名+「エジプト神話の太陽神」[5]。報道でもしばしば「太陽神」という表現が使われていた[6][7]。
戦績
[編集]- 特記事項なき場合、本節の出典はJBISサーチ[8]
2010年11月7日、京都競馬場での2歳新馬戦でデビューし、1着[9]。続くエリカ賞と年明け初戦の福寿草特別を連続3着ののち、重賞初出走のきさらぎ賞では最後の直線で逃げるリキサンマックスを捕らえて重賞初制覇[10]。その後皐月賞に直行するローテーションを組んで宮城県山元町の山元トレーニングセンターで放牧していた3月11日に東日本大震災に遭遇し、幸い津波の難からは逃れたものの道路が寸断され、救援物資を載せて山元トレセンに到着して荷下ろし後空きが出来た馬運車に便乗し2日がかりで栗東に帰厩した[6][11]。本番の皐月賞は7着、 日本ダービーは11着に終わり、秋を迎えてもセントライト記念2着、菊花賞でも3着に終わって3歳時を終える。4歳となった2012年は初戦の京都記念4着を皮切りに6走したが、七夕賞と新潟記念での2着が最高の成績で勝ち星はあがらなかった。
5歳初戦、京都記念は直線でショウナンマイティを差しきって、2年ぶりの勝利を飾った[12]。直行した[13]天皇賞(春)はフェノーメノの2着、宝塚記念でも5着に入った。秋は京都大賞典3着から登録していた天皇賞(秋)を回避してマイルチャンピオンシップに向かい[14]、レースでは初のマイル戦ながら[15]も後方から差し切って勝利[16]。前年のサダムパテックに続く制覇となった鞍上の武豊は、この勝利でJRA史上初のGI競走100勝を達成した[16]。6歳となった2014年は5走したが、京都記念2着、京都大賞典3着、マイルチャンピオンシップ4着と京都でのレースは掲示板に入ったものの安田記念は14着、引退レースの有馬記念は8着に終わり、有馬記念のレース終了後まもなく競走馬登録を抹消した[2][3]。
全4勝を京都競馬場の外回りコースでのみあげているほか[17]、京都では出走全レースで5着以内に入っており[6]、「京都巧者」とも形容されていた[18]。外回りコースの3コーナーの下り坂で勢いをつけて脚を伸ばすと瞬発力が出たとのこと[17][19]。また武豊からは「ディープインパクトに最も近いフットワークをしている」[20]と称された一方、渋った馬場が不得手だった[21]。
-
2011年きさらぎ賞表彰式
-
2013年京都記念表彰式
競走成績
[編集]以下の内容は、JBISサーチ[8]、netkeiba.com[22]に基づく。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 頭数 | 枠番 | 馬番 | オッズ | 人気 | 着順 | 騎手 | 斤量 [kg] |
距離 (馬場) | タイム (上り3F) |
着差 | 1着馬(2着馬) | 馬体重 [kg] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2010.11. | 7京都 | 2歳新馬 | 13 | 6 | 8 | 1.5 | (1人) | 1着 | 武豊 | 55 | 芝1800m(良) | 1:51.4 (33.8) | 0.0 | (ハーバーコマンド) | 438 | |
12.12 | 阪神 | エリカ賞 | 500 | 9 | 2 | 2 | 4.8 | (3人) | 3着 | 武豊 | 55 | 芝2000m(良) | 2:05.5 (34.2) | 0.3 | スマートロビン | 436 |
2011. | 1. 8京都 | 福寿草特別 | 500 | 14 | 6 | 10 | 2.2 | (1人) | 3着 | 武豊 | 56 | 芝2000m(良) | 2:00.8 (34.4) | 0.0 | コスモヘイガー | 442 |
2. 6 | 京都 | きさらぎ賞 | GIII | 12 | 5 | 6 | 5.1 | (3人) | 1着 | M. デムーロ | 56 | 芝1800m(良) | 1:47.6 (33.4) | 0.0 | (リキサンマックス) | 432 |
4.24 | 東京 | 皐月賞 | GI | 18 | 8 | 16 | 12.1 | (5人) | 7着 | 蛯名正義 | 57 | 芝2000m(良) | 2:01.6 (34.9) | 1.0 | オルフェーヴル | 430 |
5.29 | 東京 | 東京優駿 | GI | 18 | 7 | 15 | 15.8 | (7人) | 11着 | 蛯名正義 | 57 | 芝2400m(不) | 2:33.0 (38.1) | 2.5 | オルフェーヴル | 432 |
9.18 | 中山 | セントライト記念 | GII | 17 | 1 | 2 | 4.1 | (3人) | 2着 | 蛯名正義 | 56 | 芝2200m(良) | 2:10.5 (34.1) | 0.2 | フェイトフルウォー | 428 |
10.23 | 京都 | 菊花賞 | GI | 18 | 1 | 1 | 12.2 | (3人) | 3着 | 蛯名正義 | 57 | 芝3000m(良) | 3:03.5 (35.2) | 0.7 | オルフェーヴル | 436 |
2012. | 2.12京都 | 京都記念 | GII | 9 | 4 | 4 | 5.2 | (4人) | 4着 | C. デムーロ | 55 | 芝2200m(良) | 2:13.0 (35.3) | 0.7 | トレイルブレイザー | 440 |
3.24 | 中山 | 日経賞 | GII | 14 | 8 | 14 | 15.0 | (4人) | 10着 | 内田博幸 | 55 | 芝2500m(良) | 2:39.1 (36.8) | 1.7 | ネコパンチ | 438 |
5. 6 | 新潟 | 新潟大賞典 | GIII | 15 | 4 | 7 | 5.7 | (3人) | 11着 | 浜中俊 | 57 | 芝2000m(稍) | 1:59.7 (36.2) | 0.7 | ヒットザターゲット | 444 |
6. 2 | 阪神 | 鳴尾記念 | GIII | 10 | 6 | 6 | 10.1 | (5人) | 3着 | 岩田康誠 | 56 | 芝2000m(良) | 2:00.5 (33.4) | 0.4 | トゥザグローリー | 438 |
7. 8 | 福島 | 七夕賞 | GIII | 16 | 3 | 5 | 4.3 | (1人) | 2着 | 岩田康誠 | 57 | 芝2000m(良) | 2:01.1 (35.5) | 0.0 | アスカクリチャン | 436 |
8. 5 | 小倉 | 小倉記念 | GIII | 12 | 5 | 5 | 2.7 | (1人) | 2着 | 川田将雅 | 57 | 芝2000m(良) | 1:57.7 (34.8) | 0.4 | エクスペディション | 442 |
9. 2 | 新潟 | 新潟記念 | GIII | 18 | 8 | 16 | 4.6 | (1人) | 7着 | 蛯名正義 | 57 | 芝2000m(良) | 1:57.8 (32.6) | 0.2 | トランスワープ | 450 |
2013. | 2.10京都 | 京都記念 | GII | 11 | 8 | 11 | 9.2 | (6人) | 1着 | 武豊 | 56 | 芝2200m(良) | 2:12.5 (34.1) | -0.2 | (ベールドインパクト) | 460 |
4.28 | 京都 | 天皇賞(春) | GI | 18 | 1 | 1 | 13.6 | (3人) | 2着 | 武豊 | 58 | 芝3200m(良) | 3:14.4 (36.4) | 0.2 | フェノーメノ | 460 |
6.23 | 阪神 | 宝塚記念 | GI | 11 | 6 | 6 | 14.2 | (4人) | 5着 | 武豊 | 58 | 芝2200m(良) | 2:14.2 (36.1) | 1.0 | ゴールドシップ | 456 |
10. 6 | 京都 | 京都大賞典 | GII | 13 | 7 | 11 | 6.3 | (2人) | 3着 | 幸英明 | 57 | 芝2400m(良) | 2:23.2 (34.6) | 0.3 | ヒットザターゲット | 456 |
11.17 | 京都 | マイルCS | GI | 18 | 3 | 5 | 4.7 | (2人) | 1着 | 武豊 | 57 | 芝1600m(良) | 1:32.4 (33.3) | -0.2 | (ダイワマッジョーレ) | 460 |
2014. | 2.16京都 | 京都記念 | GII | 12 | 7 | 10 | 3.7 | (2人) | 2着 | 武豊 | 58 | 芝2200m(稍) | 2:16.1 (34.0) | 0.1 | デスペラード | 474 |
6. 8 | 東京 | 安田記念 | GI | 17 | 8 | 16 | 22.0 | (8人) | 14着 | 武豊 | 58 | 芝1600m(不) | 1:38.7 (39.3) | 1.9 | ジャスタウェイ | 458 |
10.14 | 京都 | 京都大賞典 | GII | 12 | 2 | 2 | 2.6 | (1人) | 3着 | 武豊 | 58 | 芝2400m(良) | 2:24.5 (33.6) | 0.3 | ラストインパクト | 464 |
11.23 | 京都 | マイルCS | GI | 17 | 7 | 13 | 4.7 | (2人) | 4着 | 武豊 | 57 | 芝1600m(良) | 1:31.8 (34.1) | 0.3 | ダノンシャーク | 466 |
12.28 | 中山 | 有馬記念 | GI | 16 | 1 | 1 | 22.8 | (8人) | 8着 | 武豊 | 57 | 芝2500m(良) | 2:35.7 (34.4) | 0.4 | ジェンティルドンナ | 462 |
引退後
[編集]引退後はレックススタッドで種牡馬となり[2][3]、2016年9月にブリーダーズ・スタリオン・ステーションに移動した[23]。以降はレックススタッドとブリーダーズ・スタリオン・ステーションを2年おきに移動する国内シャトルの形態で繋養されている[24]。
2021年6月13日に行われたエプソムカップでザダルが優勝し、産駒の重賞初制覇となった[25]。
2023年10月30日にレックススタッドを退厩。2024年よりエスティファームにて種牡馬生活を送ることになった[26]。
主な産駒
[編集]血統表
[編集]トーセンラーの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | ヘイロー系(サンデーサイレンス系) |
[§ 2] | ||
父 ディープインパクト 2002年 鹿毛 |
父の父 *サンデーサイレンス Sunday Silence 1986年 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason | |
Cosmah | ||||
Wishing Well | Understanding | |||
Mountain Flower | ||||
父の母 *ウインドインハーヘアWind in Her Hair 1991年 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | ||
Lady Rebecca | ||||
Burghclere | Burghclere | |||
Highclere | ||||
母 *プリンセスオリビア Princess Olivia 1995 栗毛 |
Lycius 1988 栗毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native | |
Gold Digger | ||||
Lypatia | Lyphard | |||
Hypatia | ||||
母の母 Dance Image1990 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer | ||
Fairy Bridge | ||||
Diamond Spring | Vaguely Noble | |||
Dumfries | ||||
母系(F-No.) | プリンセスオリビア(USA)系(FN:17-b) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Northern Dancer 5 × 5 × 4 = 12.50%、Lyphard 4 × 4 = 12.50%、Goofed 5 × 5 × 5 = 9.38% | [§ 4] | ||
出典 |
- 半兄にFlower Alley(トラヴァーズステークス)、全弟にスピルバーグ(天皇賞(秋))[30]。その他の主たる近親にランブリングアレー(中山牝馬ステークス)[30]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “トーセンラー”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年7月22日閲覧。
- ^ a b c “トーセンラー引退、種牡馬に”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2015年1月8日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ a b c “レックススタッドにトーセンラーがスタッドイン”. 競走馬のふるさと案内所 馬産地ニュース. 公益社団法人日本軽種馬協会 (2015年1月13日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ “LONGINES WORLD'S BEST RACEHORSE RANKINGS 2013”. IFHA. 2024年8月19日閲覧。
- ^ “【マイルCS】トーセンラー悲願の初G1制覇!武豊はG1・100勝目”. 競馬ラボ. KEIBA LAB (2013年11月17日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ a b c “筋の通った血統/トーセンラー”. 日刊スポーツ (2021年3月24日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ “トーセンラー、最終追いで強烈な伸び脚を披露/小倉記念”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2012年8月2日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ a b “トーセンラー 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年7月22日閲覧。
- ^ “断然人気トーセンラーがゴール寸前で差し切る/京都新馬”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2010年11月7日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ “ディープ産駒トーセンラーが差し切り重賞初制覇/きさらぎ賞”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2011年2月6日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ 【皐月賞】“被災”トーセンラー影響なし!(2011年4月19日付スポニチより) - 2011年8月26日閲覧
- ^ “トーセンラー、武豊騎手を背に復活の差し切りV/京都記念”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2013年2月10日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ “【天皇賞】栗東レポート~トーセンラー”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2013年4月24日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ “トーセンラーは天皇賞を回避してマイルCSへ”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2013年10月23日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ “京都得意のトーセンラーはマイル戦に半信半疑のチャレンジ/マイルCS”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2013年11月12日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ a b “トーセンラー直線一気でGI初制覇!武豊GI通算100勝達成!/マイルCS”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2013年11月17日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ a b “島田明宏「連覇目指す京都の鬼か、快速3歳か。「二強」が激突するマイルCSを占う。」”. Number web. 文藝春秋 (2014年11月22日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ 競馬ラボ 生粋の京都巧者トーセンラーが東京で一発を狙う - 2014年12月28日閲覧
- ^ “『今年3走目、高い状態で安定している』トーセンラー武豊騎手/共同記者会見速報”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2013年6月19日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ G1レース100勝、まさに感慨無量です
- ^ 【荻野仁調教助手】震災を乗り越え愛された個性派トーセンラー - 2014年12月28日閲覧
- ^ “トーセンラーの競走成績”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2021年7月22日閲覧。
- ^ トーセンラーがブリーダーズ・スタリオン・ステーションに移動競走馬のふるさと案内所、2016年9月11日閲覧
- ^ トーセンラーがレックススタッドに移動競走馬のふるさと案内所、2018年9月25日閲覧
- ^ “【エプソムC結果】ザダルが待望の重賞初制覇 トーセンラー産駒のJRA重賞初勝利”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2021年6月13日). 2021年7月22日閲覧。
- ^ トーセンラーがエスティファームへと移動 国内シャトル種牡馬として活躍netkeiba.com、2023年10月31日配信・閲覧
- ^ “ザダル”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年7月22日閲覧。
- ^ “ドロップオブライト”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2024年8月18日閲覧。
- ^ a b c “トーセンラー 血統情報:5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年7月22日閲覧。
- ^ a b c d e “トーセンラーの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2021年7月22日閲覧。
- ^ トーセンラーの種牡馬情報、競馬ラボ、2021年2月11日閲覧。
外部リンク
[編集]- 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビ、JBISサーチ、Racing Post