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リジェネロン・サイエンス・タレント・サーチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ワシントンD.C.のロナルド・レーガン・ビルディングで開催された2002年インテル・サイエンス・タレント・サーチのファイナリスト晩餐会の様子。10名の受賞者が発表され、40名のファイナリスト全員が表彰された。

リジェネロン・サイエンス・タレント・サーチ(Regeneron Science Talent Search, Regeneron STS)は、アメリカ合衆国の高校3年生を対象とした研究ベースの科学コンテスト英語版である。「アメリカで最も古く、最も権威のある科学コンテスト」とされる[1]。1991年の優勝者晩餐会でのスピーチで、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領はこの大会を「科学のスーパーボウル」と呼んだ[2]

2017年よりリジェネロン・ファーマシューティカルズがタイトルスポンサーを務め、イベント名に「リジェネロン」が冠されている。リジェネロン社は、2020年から国際学生科学技術フェア(ISEF)のタイトルスポンサーも務めている。

歴史

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サイエンス・サービス(現在のソサエティ・フォー・サイエンス英語版)が1942年にウェスティングハウス・エレクトリック社と共同でこのコンテストを開始した。57年間にわたり、このコンテストはウェスティングハウス・サイエンス・タレント・サーチの名称だった[3]。1998年、インテルが他の数社を抑えてタイトルスポンサーになり[4]インテル・サイエンス・タレント・サーチ(Intel STS)という名称になった[5]。2016年5月、リジェネロン・ファーマシューティカルズが新たなタイトルスポンサーになることが発表された[6]

これまでに、合計約15万人の学生がこのコンテストに参加してきた。2万人以上がセミファイナリストに選ばれ、約3千人がコンテストのファイナリストとして、ワシントンD.C.で行われるファイナリストウィークに参加した。ファイナリストは合計で数百万ドルの奨学金を受け取り、後年、ノーベル賞フィールズ賞マッカーサー・フェローなど数多くの栄誉を手にしている[7]

2018年現在で、出場者のうち、13人がノーベル賞を、2人がフィールズ賞を、11人がアメリカ国家科学賞を、18人がマッカーサー・フェローを、3人がアルバート・ラスカー医学研究賞を、5人がブレイクスルー賞を受賞し、43人が米国科学アカデミー会員に、11人が全米技術アカデミー会員に選出されている[7]

2020年と2021年は、新型コロナウイルスのパンデミックが深刻化したため、ワシントンD.C.でのファイナリストウィークは中止され、オンラインでの開催となった[8]

コンペティション

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応募者は、自宅で、または「大学、病院、民間研究所の主要な研究チームと協力して」独創的な研究を行う[3]。選考は非常に競争が激しく、論文のほかに、推薦状、エッセイ、テストの点数、課外活動、高校の成績表などが最終選考に反映されることがある。

2021年の各賞の奨学金[9]
奨学金
1位 $250,000
2位 $175,000
3位 $150,000
4位 $100,000
5位 $90,000
6位 $80,000
7位 $70,000
8位 $60,000
9位 $50,000
10位 $40,000
ファイナリスト(40人) $25,000
セミファイナリスト(300人) $2,000

毎年、約1,800本の論文が提出される。1月中旬に上位300名のセミファイナリストが発表される。2017年からは、各セミファイナリストとその在籍する学校に、タイトルスポンサーから2千ドルが贈られている[10]

1月下旬には、40名のファイナリストが発表される。ファイナリストは3月にワシントンD.C.で開かれるファイナリストウィークに参加し、審査員の面接を受ける。審査員には、グレン・シーボーグ(1951年ノーベル化学賞受賞者)、ジョゼフ・テイラー(1993年ノーベル物理学賞受賞者)などが名を連ねている。上位10名には最高25万ドルの奨学金が授与され、全てのファイナリストには、最低でも25,000ドルの奨学金が授与される[9]

著名な出場者

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氏名[7] 順位[11] その後の受賞歴・経歴
ロバート・クライヒナン英語版 1944 2位 米国科学アカデミー会員
ベン・ロイ・モッテルソン 1944 ファイナリスト 1975年ノーベル物理学賞
アンドリュー・セスラー英語版 1945 ファイナリスト 米国科学アカデミー会員
ジェラルド・モーリス・エデルマン 1946 セミファイナリスト 1972年ノーベル生理学・医学賞
レオン・クーパー 1947 ファイナリスト 1972年ノーベル物理学賞
マーティン・カープラス 1947 1位 2013年ノーベル化学賞
ロナルド・ブレスロー英語版 1948 ファイナリスト 1991年アメリカ国家科学賞
R・スティーブン・ベリー英語版 1948 ファイナリスト 1983年マッカーサー・フェロー
米国科学アカデミー会員
ウォルター・ギルバート 1949 ファイナリスト 1980年ノーベル化学賞
シェルドン・グラショー 1950 ファイナリスト 1979年ノーベル物理学賞
ポール・コーエン 1950 ファイナリスト 1966年フィールズ賞
ジョン・ホール 1952 セミファイナリスト 2005年ノーベル物理学賞
デヴィッド・マンフォード 1953 ファイナリスト 1974年フィールズ賞
ジョアンナ・ラス 1953 10位以内 1983年ヒューゴー賞 中長編小説部門
1973年ネビュラ賞 短編小説部門
フィメール・マン英語版』の著者
マーシャン・ホフ 1954 10位以内 2009年アメリカ国家技術賞
ロアルド・ホフマン 1955 ファイナリスト 1981年ノーベル化学賞
リロイ・フッド 1956 ファイナリスト 2011年アメリカ国家科学賞
キップ・ソーン 1958 セミファイナリスト 2017年ノーベル物理学賞
ロバート・アクセルロッド 1961 ファイナリスト 2012年アメリカ国家科学賞
ゲイリー・A・ウェグナー英語版 1963 ファイナリスト フンボルト賞物理学部門
ポール・モドリッチ 1964 セミファイナリスト 2015年ノーベル化学賞
レイ・カーツワイル 1965 ファイナリスト 1999年アメリカ国家技術賞
フランク・ウィルチェック 1967 ファイナリスト 2004年ノーベル物理学賞
アルヴィン・ロス 1968 セミファイナリスト 2012年ノーベル経済学賞
ロジャー・Y・チエン 1968 1位 2008年ノーベル化学賞
トーマス・フェリックス・ローゼンバウム英語版 1973 ファイナリスト カリフォルニア工科大学学長
エリック・ランダー英語版 1974 1位 2013年生命科学ブレイクスルー賞
トム・レイトン英語版 1974 2位 米国科学アカデミー会員
アカマイ・テクノロジーズ共同創業者・CEO
ポール・ツァイツ英語版 1975 1位 1974年アメリカ数学オリンピック英語版優勝
ジョージ・ヤンコプロス英語版 1976 10位以内 米国科学アカデミー会員
リジェネロン・ファーマシューティカルズ共同創業者・CSO
リチャード・H・エブライト英語版 1977 ファイナリスト アメリカ芸術科学アカデミー会員
ロン・ウンツ英語版 1979 1位 ウォールストリート・アナリティクス(現 ムーディーズ・アナリティクス英語版創業者
リサ・ランドール 1980 1位 米国科学アカデミー会員
ブライアン・グリーン 1980 ファイナリスト エレガントな宇宙英語版』の著者
ノーム・エルキース英語版 1982 ファイナリスト 2004年リーヴァイ・L・コナント賞英語版
ウェンディ・チョン英語版 1986 1位 米国小児科学会 Young Investigator Award
ジョーダン・エレンバーグ英語版 1989 2位 アメリカ数学会フェロー
マシュー・ヘッドリック英語版 1990 1位 h指数の物理学者
マニーシュ・アグラワラ英語版 1990 ファイナリスト 2009年マッカーサー・フェロー
クリストファー・ブートン英語版 1992 ファイナリスト エンタジェン英語版創業者・CEO
黄煒華英語版 1993 6位 世界パズル選手権優勝(1995年、1997-1999年)
ジェイコブ・ルーリー 1996 1位 2014年数学ブレイクスルー賞
2014年マッカーサー・フェロー
キース・ウィンシュタイン英語版 1999 4位 2014年SIGCOMM英語版 Doctoral Dissertation Award
フェン・チャン 2000 3位 米国科学アカデミー会員
2016年ガードナー国際賞

関連項目

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ソサエティ・フォー・サイエンスが実施する国際科学コンペティション

脚注

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  1. ^ Ramírez, Eddy (February 1, 2008). “Stuyvesant High School Students Ace the Intel Competition”. U.S. News & World Report. 2008年3月15日閲覧。
  2. ^ Huler, Scott (April 15, 1991). “Nurturing Science's Young Elite: Westinghouse Talent Search”. The Scientist. 2008年3月15日閲覧。
  3. ^ a b "Finalists Named in 57th Annual Westinghouse Science Talent Search" (Press release). PR Newswire. 26 January 1998. 2011年5月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年4月22日閲覧
  4. ^ Intel Corp. To Sponsor Annual Science Contest”. Education Weekly (1 April 1998). 2021年5月1日閲覧。
  5. ^ Hardy, Quentin (Sep 9, 2015). “Intel to End Sponsorship of Science Talent Search”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2015/09/09/technology/intel-to-end-sponsorship-of-science-talent-search.html 
  6. ^ Biotech Regeneron replaces Intel as sponsor of Science Talent Search”. www.reuters.com. Reuters. 26 May 2016閲覧。
  7. ^ a b c Society Alumni Honors”. Society for Science and the Public. 1 February 2018閲覧。
  8. ^ https://www.societyforscience.org/blog/regeneron-sts-2020-will-go-virtual/
  9. ^ a b Regeneron Science Talent Search 2021 Rules and Entry Instructions”. Society for Science. 2021年5月1日閲覧。
  10. ^ Hardy, Quentin (May 26, 2016). “Regeneron Pharmaceuticals to Sponsor Science Talent Search”. New York Times: p. B2. https://www.nytimes.com/2016/05/26/technology/regeneron-pharmaceuticals-to-sponsor-science-talent-search.html 
  11. ^ Science Talent Search Through the Years”. Society for Science & the Public (1942–2016). 5 January 2017閲覧。
  12. ^ Broadcom MASTERS”. Society for Science and the Public. 17 December 2019閲覧。

外部リンク

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