コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

カンムリヤマガメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カンムリヤマガメ
カンムリヤマガメ
カンムリヤマガメ Rhinoclemmys diademata
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira
上科 : リクガメ上科 Testudinoidea
: イシガメ科 Geoemydidae
: アメリカヤマガメ属 Rhinoclemmys
: カンムリヤマガメ R. diademata
学名
Rhinoclemmys diademata
(Mertens, 1954)
和名
カンムリヤマガメ
英名
Maracaibo wood turtle

カンムリヤマガメRhinoclemmys diademata)は、爬虫綱カメ目イシガメ科アメリカヤマガメ属に分類されるカメ。

分布

[編集]

コロンビア北東部、ベネズエラ北西部のマラカイボ湖周辺(北東部除く)および流入河川[1]

英名はマラカイボ湖周辺に生息することに由来する[1]

形態

[編集]

最大甲長25.7センチメートル[1]。オスよりもメスの方が大型になり、オスは甲長18.7センチメートル[1]背甲の色彩は黒や暗褐色で、斑紋が入らない[1]。左右の肛甲板の間にはごく浅い切れ込みが入る[1]腹甲の色彩は黒や暗褐色で、外縁や甲板の継ぎ目(シーム)は淡黄色や淡黄褐色[1]

頭部はやや小型[1]。吻端はやや突出し、上顎の先端は浅く凹む[1]虹彩は暗褐色[1]。頭部の色彩は黒や暗褐色で、頭頂部から眼の後方にかけて馬蹄状の黄色や黄褐色の斑紋が入る[1]。種小名diademataは「交差した帯」の意で頭部の斑紋に由来すると考えられ、和名も頭部の斑紋に由来する[1]。吻端と目の間と、吻端から上顎にかけて筋模様が入る[1]。下顎や喉の色彩は黄色で、斑紋が入らない[1]。指趾の間には水掻きが発達する[1]。頸部や四肢の色彩は暗灰色や暗褐色で、側頭部から頸部にかけて黄色い数本の筋模様が破線状に入る[1]。四肢には黄色い斑点が入る[1]

卵は長径5.2-7.1センチメートル、短径3-3.4センチメートル[1]。幼体は肋甲板に放射状に黄褐色の斑紋が入る個体もいるが、成長に伴い消失する[1]。 オスは背甲がやや扁平[1]。幼体やメスは背甲がややドーム状に盛り上がる[1]

分類

[編集]

アシポチヤマガメの亜種とされていたが、分布が重複しないこと、色彩や斑紋に差異があること、中間型の個体がいないこと、分子系統学的解析などから独立種とする説が有力である[1]。核DNAとミトコンドリアDNAの分子系統学的解析から属内ではアシポチヤマガメクロムネヤマガメハナトガリヤマガメハラスジヤマガメミゾヤマガメ単系統群を形成すると推定されている[1]

生態

[編集]

河川湿原湾処、水路などの淡水域に生息する[1]。汽水湖のマラカイボ湖には流入河川の河口域を除いて生息せず、流入河川の本流でも生息数が少ない[1]。半水棲だが上陸し、陸伝いに水場を移動することもある[1]

食性は雑食で、植物の茎や葉、昆虫巻貝などを食べた例がある[1]

繁殖形態は卵生。周年繁殖する[1]。木や草の根元、地面の割れ目に、1回に1-3個(主に2個)の卵を数回に分けて産む[1]。産卵時には穴を掘らずに、卵を直接産む[1]

人間との関係

[編集]

生息地では食用や薬用にされたり、民芸品の材料とされることもある[1]

ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されている。生息地では野生のカメの輸出が厳しく制限されているため、国際的にも流通量は少ない[1]

参考文献

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af 安川雄一郎 「アメリカヤマガメ属の分類と自然史2」『クリーパー』第64号、クリーパー社、2012年、40-45頁。
  • 海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド 水棲ガメ1 アメリカ大陸のミズガメ』、誠文堂新光社2005年、53頁。
  • 千石正一監修 長坂拓也編 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、206頁。

関連項目

[編集]