ジュリー・オオツカ
ジュリー・オオツカ Julie Otsuka | |
---|---|
誕生 |
1962年5月15日(62歳) アメリカ合衆国, パロアルト (カリフォルニア州サンフランシスコ) |
職業 | 作家 |
言語 | 英語 |
国籍 | アメリカ合衆国 |
最終学歴 |
イェール大学 コロンビア大学 |
ジャンル | 歴史小説 |
主題 | 日系アメリカ人 |
代表作 |
『あのころ、天皇は神だった』 『屋根裏の仏さま』 |
主な受賞歴 |
アレックス賞 ペン/フォークナー賞 フェミナ賞 |
親族 | マイケル・オーツカ |
公式サイト | http://www.julieotsuka.com/ |
ウィキポータル 文学 |
ジュリー・オオツカ(またはオーツカ)(Julie Otsuka; 1962年5月15日 - ) はアメリカ合衆国の作家。日系アメリカ人。『天皇が神だったころ』および『屋根裏の仏さま』でアレックス賞、ペン/フォークナー賞、フェミナ賞など多くの賞を受賞。両作品とも、日本語、フランス語、ドイツ語、イタリア語など複数の言語に翻訳されている。
表記について
[編集]2002年出版の邦訳『天皇が神だったころ』では「オーツカ」と表記されているが、2018年出版の復刊『あのころ、天皇は神だった』および2016年出版の『屋根裏の仏さま』では「オオツカ」とされている。
背景
[編集]ジュリー・オオツカは1962年5月15日、パロアルト(カリフォルニア州サンフランシスコ)に生まれた[1]。父は戦後アメリカに移住した(日系一世の)航空宇宙エンジニア、母は日系二世で、病院の研究員であったが出産で退職した[2][3]。三人兄弟姉妹で、1964年生まれの弟マイケル・オーツカは左派リバタリアニズムの政治哲学者で、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス哲学・論理・科学的方法学科の教授である[4][5]。オオツカが9歳のとき、一家はパロスベルデスに引っ越した。
活動・業績
[編集]オオツカはイェール大学で絵画を学び、1984年に学士号を取得した後、1999年、コロンビア大学大学院で美術学修士号を取得した[2]。 アーティストを目指していたが断念して小説を書き始め、2002年に第二次世界大戦中の日系人の強制収容を題材に『あのころ、天皇は神だった』を発表。さらに、2011年に「写真花嫁」として渡米した女性たちに焦点を当てた『屋根裏の仏さま』を発表し、フェミナ賞外国小説賞ほか多くの賞を受賞した。
題材・作風
[編集]オオツカは渡米した日本人女性、日系アメリカ人の強制収容での生活などを描いているため、ジャンルとしては歴史小説だが、登場人物にはしばしば名前がなく、内面描写を排した淡々とした語りによりその背後にある深い哀しみを表わしている。藤井光は、これを登場人物の「声が響き合う重層的な空間を作り上げ」、「歴史と物語のあいだの困難な綱渡り」を成し遂げていると評している[6]。西崎文子もまた「歴史の傷と怒り、響きあう物語」と題して、朝日新聞に書評を寄せている[7]。さらに、こうした作風を「墨絵」に例える評者もいる[8]。
オオツカは、次作は日系アメリカ人の過去から離れて、現代のニューヨーク市を舞台に書く予定であると言う[3]。
受賞・栄誉
[編集]- 2003年:『あのころ、天皇は神だった』アジア系アメリカ人文学賞
- 2003年:『あのころ、天皇は神だった』アレックス賞[9]
- 2004年:グッゲンハイム・フェローシップ[10]
- 2011年:『屋根裏の仏さま』全米図書賞最終候補作[2]
- 2011年:『屋根裏の仏さま』『ロサンゼルス・タイムズ』図書賞最終候補作[11]
- 2011年:『屋根裏の仏さま』米国の歴史小説に贈られるランガム賞[12]
- 2011年:『屋根裏の仏さま』『ニューヨーク・タイムズ』および『サンフランシスコ・クロニクル』ベストセラー
- 2012年:『屋根裏の仏さま』ペン/フォークナー賞[13]
- 2012年:米国芸術文学アカデミー、文学部門の芸術文学賞[14]
- 2012年:『屋根裏の仏さま』(フランス)フェミナ賞外国小説賞[15]
- 2014年:『屋根裏の仏さま』(ドイツ)アルバトロス文学賞[16]
著書
[編集]- When the Emperor was Divine. New York City: Alfred A. Knopf. 2002
第二次世界大戦中のアメリカで、強制退去(「強制退去命令十九号」)によって家を追われた日系人の一家の物語。父親は前年、濡れ衣を着せられて逮捕された。母親と10歳の娘、7歳の息子は、ユタ州の砂漠の有刺鉄線で囲われたトパーズ収容所(トパーズ戦争移住センター)で暮らすことになった[17]。
- The Buddha in the Attic. New York City: Alfred A. Knopf. 2011
- 『屋根裏の仏さま』岩本正恵, 小竹由美子訳, 新潮社, 新潮クレスト・ブックス, 2016
百年前に夫となる人の写真だけを頼りに米国に嫁いだ「写真花嫁」。辛い労働を強いられながらも、懸命に生き、平穏な暮らしを築いていたが、日米開戦とともにすべてが潰え、砂漠のなかの日系人強制収容所へ送られる[18]。
- The Swimmers New York City: Alfred A. Knopf. 2022
- 『スイマーズ』 小竹由美子訳, 新潮社, 新潮クレスト・ブックス, 2024
脚注
[編集]- ^ “Julie Otsuka” (英語). www.pacific.edu. 2019年1月24日閲覧。
- ^ a b c “ジュリー・オオツカ | 著者プロフィール | 新潮社”. www.shinchosha.co.jp. 2019年1月24日閲覧。
- ^ a b Ciabattari, Jane (2011年9月16日). “Julie Otsuka Talks About New Novel, The Buddha in the Attic” (英語) 2019年1月24日閲覧。
- ^ “Otsuka's CV” (英語). LONDON SCHOOL OF ECONOMICS AND POLITICAL SCIENCE. 2019年1月24日閲覧。
- ^ 邦訳にマイケル・オーツカ著『不平等なしのリバタリアニズム』森村進訳 (森村進 編著『リバタリアニズム読本』(勁草書房, 2005) 所収) がある。
- ^ “あのころ、天皇は神だった”. 動く出版社 フィルムアート社. 2019年1月24日閲覧。
- ^ “歴史の傷と怒り 響きあう物語|好書好日”. 好書好日. 2019年1月24日閲覧。
- ^ “今週の本棚:鴻巣友季子・評 『屋根裏の仏さま』=ジュリー・オオツカ・著”. 毎日新聞. 2019年1月24日閲覧。
- ^ “Alex Awards | Awards & Grants” (英語). www.ala.org. 2019年1月24日閲覧。
- ^ “John Simon Guggenheim Foundation | Julie Otsuka” (英語). 2019年1月24日閲覧。
- ^ “‘The Buddha in the Attic,’ ‘Garden’ Named Finalists for L.A. Times Book Prize” (英語). www.rafu.com. 2019年1月24日閲覧。
- ^ “The Langum Charitable Trust - Past Winners of the David J. Langum Sr. Prize” (英語). web.archive.org (2012年6月30日). 2019年1月24日閲覧。
- ^ “Past Winners & Finalists | PEN / Faulkner” (英語). 2019年1月24日閲覧。
- ^ “Author Julie Otsuka | New Student Reading Project at Cornell University” (英語). 2019年1月24日閲覧。
- ^ “Julie Otsuka, prix Femina étranger” (フランス語). Libération.fr (2012年11月5日). 2019年1月24日閲覧。
- ^ Online, FOCUS. “Albatros-Literaturpreis an Julie Otsuka und Katja Scholtz” (ドイツ語). FOCUS Online. 2019年1月24日閲覧。
- ^ “When the Emperor Was Divine” (英語). www.julieotsuka.com. 2019年1月24日閲覧。
- ^ “The Buddha In The Attic” (英語). www.julieotsuka.com. 2019年1月24日閲覧。
参考資料
[編集]- ジュリー・オオツカ 公式ウェブサイトの ABOUT、BOOKS等