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日系アメリカ人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Japanese Americans
日系アメリカ人(日系米国人)
Nikkei Amerikajin (Nikkei Beikokujin)
日本の旗アメリカ合衆国の旗
総人口
1,646,953
合衆国総人口の0.50%(2023年)[1]
居住地域
西海岸ハワイ州ハワイにおける日本人移民)、北東部
言語
アメリカ英語日本語ハワイ語(ニイハウ島)、ハワイ・クレオール英語
宗教
仏教キリスト教神道[2]
関連する民族
日本人日系ブラジル人日系ペルー人日系アルゼンチン人日系ボリビア人日系パラグアイ人日系ウルグアイ人日系コロンビア人日系ベネズエラ人日系チリ人日系キューバ人日系ドミニカ人日系メキシコ人日系カナダ人日系オーストラリア人アジア系アメリカ人

日系アメリカ人(にっけいアメリカじん、英語: Japanese Americans)は、アメリカ合衆国の市民のうち、日本に起源を持つ人々のこと。狭義では、第二次世界大戦以前に日本からアメリカに移住した人々及びその子孫のことを指す。

概説

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日系アメリカ人は、2005年国勢調査において1,221,773人、アメリカ合衆国(以下アメリカ)の総人口の0.4%を占めている。日系人コミュニティーはカリフォルニア州ハワイ州ニューヨーク州ワシントン州にあるものが大きい。現代でも年に7000人近い日本人グリーンカード永住権)を取得してアメリカに移住している。2011年の調査では、アジア系アメリカ人の内訳では、中国系フィリピン系インド系ベトナム系韓国系に次いで、日系人は6番目、7.5%となっている[3]

日系アメリカ人は初めてアメリカにわたった第一世代のことを一世、その子供たちの世代を二世三世四世五世(en:Gosei (fifth-generation Nikkei))と呼んでいるが、イッセイ (Issei) やニセイ (Nisei) といった言葉は英語でも通用する言葉になっている。

日系人の強制収容所の一つであるマンザナール強制収容所

19世紀からと北米及び南米への移民としては遅く開始され、しかも黄色人種で非キリスト教徒であった日系人移民は、当初から偏見と差別に苦しむことが多く生活も苦しかった。特に北米及び南米へ移民した日系人の中には、第二次世界大戦中に強制収容所に収容されたり、戦後しばらくも激しい民族差別を受ける立場にあった者が多かった。

しかし、汗水流して働き、教育熱心で、第442連隊戦闘団に代表されるようにアメリカ国民としての義務を果たし、立派なよきアメリカ国民になろうと努力していた。特に一世の世代は過酷な労働をこなしながら、稼いだお金を自分たちのためには使わず、子供たちの教育のために注いだ。

聖学院アトランタ国際学校
(写真は、2014年3月23日)

一世や二世の時代に第一言語として用いられた日本語も、世代が進み現地化が進むごとに徐々に現地語である英語にとって代わられ、自然な流れとして日本語を理解しない日系人が増えている。そのため、家庭や居留国の日本語補習校などで日本語教育を受けた人物も少数ながらも存在はするものの、三世や四世の世代で日本語を話すことができる人々は、主に外国語として日本語を学んだ人々である。アジア系移民で、特に母国の公用語に英語が含まれない国出身の家庭では、英語以外の母国語が使われるケースが多いが、その中でも日系人に限り、半数以上の家庭で英語のみが使われ、英語が主流という家庭も含めると、ほぼ4分の3までもが家庭内でも英語を会話に用いており、日本語が使われているケースは他非英語系アジア移民の率の半分ほどである[4]

なお、1920年代前後に出生している二世は、日本での教育費用が居留国のそれと比べて安価であったこと、または、日本文化を継承する目的で日本の学校に通うことがある種の流行になった時期がある。ハワイ・オアフ島ワイキキ界隈や、ロサンゼルスリトル・トーキョーサンフランシスコのジャパンタウンサンノゼのジャパンタウンなどの日本人街では、今でも多くの日本語の看板を目にすることができる。

ただし、北米の日系人は古くから教育レベルが高く社会的地位も比較的高かった事などから、韓国系アメリカ人中国系アメリカ人などと比べると、民族街に集結したり、相互扶助を行うことが少ない。

特に北米では、第二次世界大戦において日本がアメリカやカナダメキシコの敵国となったこともあり、祖国への忠誠を誓う目的で、あまり日系人が民族性を出さず、アメリカに同化するように努力したことも関係している。戦前に築いた日系コミュニティー、つまり日本町が、西海岸の数箇所でしか保存できなかったり、多くが消滅してしまったのは、構成していた不動産や財産を彼らが第二次世界大戦中に強制収容所に送られる前に手放さざるを得なかったうえに、大戦後も残る日本への反感の中で、アメリカに同化して暮らさざるを得なかったからである。

歴史

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日系アメリカ人の歴史は、明治維新の最中である1868年に、後に「元年者」と呼ばれる事となる者達が、日本から当時のハワイ王国へ渡航し、主にサトウキビやパイナップル畑の労働者として入植した事に始まる。後にアメリカ本土へも、日本からの移民が多く入植するようになった。

しかし、低賃金で働く勤勉さと生活力、また地元経済に金を落とさない(日用品を日本から取り寄せていた)こと、何よりアメリカにおけるマジョリティであった白人種のキリスト教徒とは、文化が異なる黄色人種であった為に疎まれ、第一次世界大戦における同盟国であったにも関わらず、カリフォルニア州などでは白人による日系移民の排斥運動が起こった。

特に、日系移民と職をめぐって競合していたアイルランド系イタリア系などといった下層階級が多かった白人が、日系移民への排斥運動に積極的な役割を果たしていたとされる。

そして、太平洋戦争の勃発と日系人の強制収容という悲劇を乗り越え、日系人による経済的・社会的成功と合わせて、1960年代以降の日本とアメリカの同盟関係の構築やリドレス運動英語版、日米間の経済的な結び付きの強化などが後押しした、アメリカ社会における地位向上の時代を経て、現代に至っている。

政治的傾向

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近年の選挙における日系アメリカ人は、民主党を支持する傾向が、顕著に見られる。2004年の大統領選挙の直前に行われた調査において、民主党のジョン・ケリーへの支持が、42%だったのに対し、共和党のジョージ・W・ブッシュへの支持は、38%という結果だった[5]2008年の大統領選挙では、民主党のバラク・オバマへの支持が62%だったのに対し、共和党のジョン・マケインへの支持は16%という結果だった[6]2012年の大統領選挙では、70%が現職のオバマへ投票した[7]2016年の大統領選挙では、74%がヒラリー・クリントンへ投票した[8]2020年の大統領選挙における事前調査では、61~72%がジョー・バイデンを支持する意向を示していた[9][10]

著名な日系アメリカ人

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以下、節順は不同、各節内はラストネーム(名字)で五十音順。

なお:

  1. 活動分野が多岐にわたる場合は、最も著名な方へ分類した。
  2. 両親とも日系で世代が異なる場合は、父方による世代を記載した。
  3. アメリカで生まれたため自動的に米国市民権を持ち、22歳になる前の日本国籍か米国国籍かいずれかを選択するときに米国国籍を選択したが、生活基盤を日本に置いている帰国生徒については、これを省いた。
  4. 逆に、渡米後も米国市民権を取得しなかった(あるいはできなかった)が、永住権を得て生活基盤をアメリカに置き、「事実上のアメリカ人」として生涯の大半を過ごした者については、これを例外的に含めた。

政治家・官僚

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法曹

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軍人

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警察

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宇宙飛行士

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医学

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学者

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実業家

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  • 牛島謹爾 - 一世。農業経営者。ジャガイモの大量栽培に成功し、一時はカリフォニア州の5割以上、アメリカ全体の1割のジャガイモを生産した。「ジョージ・シマ」「ポテト・キング」と呼ばれ、在米日本人会初代会長を務めたほか、第二次大戦前には伝記が修身の教科書に掲載された。
  • 青木廣彰 - 一世。通称:ロッキー青木。レストラン・紅花のオーナー、冒険家
  • 安孫子久太郎en:Kyutaro Abiko) - カリフォルニア州に渡った初期の日系移民のリーダー。「大和コロニー」創設。
  • ロバート・キヨサキ - 四世。日本名:清崎徹(きよさき とおる)。投資家・著述家。『金持ち父さん・貧乏父さん (Rich Dad, Poor Dad )』を執筆。
  • 国府田敬三郎 - 一世。農場経営者。代表的なカリフォルニア米「国宝ローズ」を作り上げ、「ライス・キング」と呼ばれた。
  • マモル・タキタニ - 二世。マカダミアをチョコレートで包んだ製品を考案し、ハワイアンホスト社 を創業。
  • 浜田彦蔵 - 一世。洗礼名:ジョセフ・ヒコ。日本初の英字新聞発行者。
  • グレン・S・フクシマ - 三世。エアバス代表取締役社長。元アメリカ通商代表部日本部長。
  • トミオ・モリグチen:Tomio Moriguchi) - 三世。日本名:森口富雄(もりぐち とみお)。宇和島屋の経営者。
  • 森口富士松en:Fujimatsu Moriguchi) - 一世。宇和島屋の創設者。
  • ゲーリー・ヤマモト - 二世。日本でも有名な釣具(ルアー)メーカー『ゲーリー・ヤマモト』創設者。
  • 吉田潤喜 - (在日韓国人2世)。 ヨシダソース(ヨシダグルメのたれ)を生産販売してアメリカンドリームの体現者となる。 米国の中小企業局[Small Business Administration(SBA)]が選ぶ全米24社の中に、FedEx,Intel,AOL,HPなど並んで「殿堂入り」を果たし、2005年にはNewsweek誌(日本版)「世界で最も尊敬される日本人100」に選ばれる[14]
  • フレッド・イサム・ワダ - 二世。日本名:和田勇(読み同じ)。ロサンゼルスでスーパーを経営。1964年東京オリンピックの招致活動における重要人物。

建築家

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造園家

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芸術家

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作家(小説家、詩人、劇作家)

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映画

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俳優

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モデル

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放送・報道

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ミュージシャン

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スポーツ選手

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フィギュアスケート

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バスケットボール

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野球

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その他

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その他

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日系アメリカ人を題材とした作品

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小説
漫画
テレビドラマ
映画
舞台

脚注

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  1. ^ US Census Bureau, Japanese alone or in combination in 2007, http://factfinder.census.gov/servlet/IPTable?_bm=y&-geo_id=01000US&-geo_id=NBSP&-qr_name=ACS_2007_1YR_G00_S0201&-qr_name=ACS_2007_1YR_G00_S0201PR&-qr_name=ACS_2007_1YR_G00_S0201T&-qr_name=ACS_2007_1YR_G00_S0201TPR&-ds_name=ACS_2007_1YR_G00_&-reg=ACS_2007_1YR_G00_S0201:041;ACS_2007_1YR_G00_S0201PR:041;ACS_2007_1YR_G00_S0201T:041;ACS_2007_1YR_G00_S0201TPR:041&-_lang=en&-redoLog=false&-format= 2008年10月26日閲覧。 
  2. ^ Every Culture - Japanese
  3. ^ “「アジア系」は米の模範的移民? 軋轢生じる恐れも”. 産経新聞. (2012年7月3日). https://web.archive.org/web/20120703104833/http://sankei.jp.msn.com/world/news/120703/amr12070310190001-n1.htm 2013年3月28日閲覧。 
  4. ^ The American Community Asians: 2004 American Community Survey Reports” (pdf) (英語). census.gov. 2015年4月30日閲覧。
  5. ^ Lobe, Jim (September 16, 2004). “Asian-Americans lean toward Kerry”. AsiaTimes. オリジナルのJune 28, 2011時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110628183344/http://www.atimes.com/atimes/Front_Page/FI16Aa01.html 
  6. ^ Wong, Junn, Lee, Ramakrishnan, Janelle, Jane, Taeku, S. Karthick. “Race-Based Considerations and the Obama Vote”. 2008 National Asian American Survey. July 3, 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。June 5, 2012閲覧。
  7. ^ 2012 AAPI Post-Election Survey (with AAJC, APALC, APIAVote)”. National Asian American Survey (5 April 2013). 12 May 2021閲覧。
  8. ^ Ramakrishnan, Karthick (16 May 2017). “2016 Post-Election National Asian American Survey”. 12 May 2021閲覧。
  9. ^ 2020 Asian American Voter Survey” (15 September 2020). 12 May 2021閲覧。
  10. ^ Asian American Decisions – American Election Eve Poll 2020”. The American Election Eve Poll. January 15, 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。September 21, 2021閲覧。
  11. ^ Asian/Pacific American Heritage Month: Searching for a “Hidden Figure””. The JFK Library Archives (May 29, 2020). November 11, 2020閲覧。
  12. ^ Major General James H. Mukoyama Oral History Interview”. Pritzker Military Museum & Library (2012年1月1日). 2019年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月15日閲覧。
  13. ^ LAPD Organization Chart
  14. ^ [1]
  15. ^ A-Profiler Interview, Grant Imahara,”. AArisings(US) (2007年3月13日). 2008年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月13日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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