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セレノピリリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
セレノピリリウム
識別情報
CAS登録番号 407-84-1
PubChem 18651325
ChemSpider 10431325
特性
化学式 C5H5Se
モル質量 144.05 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

セレノピリリウム(Selenopyrylium)は、5つの炭素原子と正荷電を持つ1つのセレン原子による六員環からなる芳香族複素環式化合物である[2][3]

名前と位置番号

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かつては、セレナピリリウム(Selenapyrylium)と呼ばれていた。しかし、「セレナ」は炭素原子に置換したセレン原子を指すが、実際はセレン原子はピリリウム酸素原子の置換であるため、誤解を招いていた[2]ハンチュ-ウィドマン命名法では、セレニニウム(Seleninium)と呼ばれる。これは、Chemical Abstractsで用いられている名前である。置換命名法では、セレノニアベンゼン(Selenoniabenzene)と呼ばれる[2]

セレノピリリウムの位置番号は、セレン原子を1位とし、並び順に6位まで数える。カルコゲンの隣の位置の2位と6位は、α位とも呼ばれ、さらにその隣の3位と5位は、β位、反対側の炭素である4位はγ位とも呼ばれる[2]

生成

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セレノピリリウムは正に荷電したカチオンであるため、過塩素酸基テトラフルオロホウ酸基フルオロスルホン酸基ヘキサフルオロリン酸基等の非求核性アニオンとともに、固体のを形成する[2]

合成

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セレノピリリウム及びその誘導体は、グルタルアルデヒド等の1,5-ジケトンセレン化水素から、塩化水素触媒酢酸溶媒として作られる。副産物として、2,6-bis-(ヒドロセレノ)セレナシクロヘキサンが得られる[2]

5-クロロ-2,4-ペンタジエンニトリル誘導体をw:Sodium hydroselenideまたはセレン化ナトリウムと反応させ、過塩素酸で処理すると、2-アミノ-セレノピリリウム過塩素酸塩が生成する[2]

性質

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正電荷はセレン原子に閉じ込められているのではなく、いくつかの共鳴構造を持って環の中に分散している。そのため、α位とγ位はいくらか正電荷を帯びている。求核攻撃は、これらの炭素原子を標的とする[2]

紫外線スペクトルに2つの際立った吸収帯を持つ。帯Iは3000 A、帯IIは2670 A である。帯Iは、1Lbとしても知られ、1B11A1の遷移に由来する。ベンゼンの吸収帯と比べ、波長はより長く、強度はずっと強い。これは、深色シフトである。セレンの電気陰性度が低いため、チオピリリウムピリリウムよりも波長は長いが、強度は弱い。帯IIは、1Laとしても知られ、ベンゼン、チオピリリウム、ピリリウムの吸収帯と比べて、より強く長い。Se-γ軸方向に分極している[2]

核磁気共鳴スペクトルは、H2に対して10.98 ppm、H3に対して6 ppm、H5に対して8.77 ppm、H4に対して9.03 ppmのシフトを示す(CD3CN中のBF4-の形で)[2]。他のピリリウムと比べて、H2及び6は酸素または硫黄よりも高く、H3及び5は酸素と硫黄の中間であり、H4はチオピリリウムと非常に近いがわずかに低くなっている。13C NMRでは、付加する水素と同じ傾向を示した[2]。溶媒には、トリフルオロ酢酸メタノールジクロロメタンクロロホルムアセトニトリル等が用いられる[2]

誘導体

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2位、3位、6位に側鎖が結合した多くの誘導体が知られている。例として、4-(p-ジメチルアミノフェニル)セレノピリジニウム、2,6-ジフェニルセレノピリジニウム、4-メチル-2,6-ジフェニルセレノピリリウム、2,4,6-トリフェニルセレノピリリウム、2,6-ジフェニル-4-(p-ジメチルアミノフェニル)セレノピリリウム、2,6-ジ-tert-ブチルセレノピリリウム等がある[2]

その他

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環が他の芳香環と融合すると、セレノクロメニリウム、セレノフラビリウム、セレノキサンチリウム等のより大きな芳香構造ができる[2]

関連項目

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六員環の芳香環で1つの炭素原子が置き換わっているものには、次のような化合物がある。

出典

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  1. ^ International Union of Pure and Applied Chemistry (2014). Nomenclature of Organic Chemistry: IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013. Royal Society of Chemistry. pp. 1097. doi:10.1039/9781849733069. ISBN 978-0-85404-182-4 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n Doddi, Giancarlo; Ercolani, Gianfranco (1994). “Thiopyrylium, Selenopyrylium, and Telluropyrylium Salts”. Advances in Heterocyclic Chemistry. Advances in Heterocyclic Chemistry 60: 65-195. doi:10.1016/S0065-2725(08)60182-8. ISBN 9780120207602. https://archive.org/details/advancesinhetero60katr/page/65. 
  3. ^ Sugimoto, Toyonari (1981). “Reactions of Pyrylium, Thiopyrylium and Selenopyrylium Salts and Their Application to Synthetic Utility”. Journal of Synthetic Organic Chemistry, Japan 39 (1): 1-13. doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.39.1.