テルル化ナトリウム
テルル化ナトリウム | |
---|---|
別称 Disodium telluride; hydrotelluric acid, sodium salt | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 12034-41-2 |
PubChem | 82837 |
EC番号 | 234-806-0 |
| |
| |
特性 | |
化学式 | Na2Te |
モル質量 | 173.58 g/mol |
外観 | 白色粉末, 吸湿性 |
密度 | 2.90 g/cm3, 固体 |
融点 |
953 °C, 1226 K, 1747 °F |
水への溶解度 | 非常に溶けやすい |
危険性 | |
EU分類 | not listed |
NFPA 704 | |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
テルル化ナトリウム (Sodium telluride) は、化学式 Na2Te の化合物である。この塩は、熱的に不安定な酸であるテルル化水素の共役塩基であるが、通常はナトリウムによるテルルの還元により生成される。テルル化ナトリウムは、空気と非常に反応しやすいため扱いが難しい。空気により酸化されるとまず Na2Tex (x > 1)のポリテルリドを生成し、最終的には金属テルルとなる。非常に純度が高いときには無色であるが、空気酸化の影響で徐々に紫色から濃灰色を帯びる。
合成、構造、溶液の性質
[編集]合成は、通常アンモニア溶液中で行われる。M2Xの式を持つ関連化合物と同様に、逆蛍石型構造を持つ。従って、固体中の個々のテルル化物イオン (Te2−) は8つのナトリウムイオン (Na+) に囲まれ、個々のナトリウムイオンは4つのテルル化物イオンに囲まれている[1]。
Xが一原子アニオンのM2X型の単純な塩は、高い格子エネルギーを持つため通常はどんな溶媒にも溶けない。水や湿度の高い空気と触れるかまたはアルコールで処理すると、テルル化物イオンは以下のようにプロトン化される。
この反応のため、テルル化ナトリウムに関連する多くのプロセスには、溶けやすく形成されやすいNaHTeが関与する。
有機化学への応用
[編集]テルル化ナトリウムは、還元剤及び有機テルル化合物合成の際のテルルの供給源として、有機合成に用いられる[2]。ジナフチルテルリドの合成が示すように、ハロゲン化アリルはテルル化ジアリルに置換される。
テルル化ナトリウムは1,3-ジインと反応し、チオフェンの構造アナログであるテルロフェンを形成する。
還元剤としては、テルル化ナトリウムはニトロ基をアミンに変換して特定のC-X結合を切断する[2]。
出典
[編集]- ^ Wells, A.F. (1984) Structural Inorganic Chemistry, Oxford: Clarendon Press. ISBN 0-19-855370-6.
- ^ a b "Sodium Telluride" Dittmer, D. C. in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis c 2001. doi:10.1002/047084289X.rs103.