シアン酸ナトリウム
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シアン酸ナトリウム sodium cyanate | |
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別称 シアン酸ソーダ | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 917-61-3 |
PubChem | 517096 |
特性 | |
化学式 | NaOCN |
モル質量 | 65.0066 g/mol |
外観 | 白色または無色の結晶 |
密度 | 1.93 g cm−3 |
融点 |
550℃ |
水への溶解度 | 110g/l |
液体塩素、有機溶剤への溶解度 | 微溶 |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH |
−405.39 kJ mol−1[1] |
標準モルエントロピー S |
96.7 J mol−1K−1 |
標準定圧モル比熱, Cp |
86.6 J mol−1K−1 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
シアン酸ナトリウム(英: sodium cyanate)はナトリウムのシアン酸塩で、化学式NaOCNで表される無機化合物。
性質
[編集]無色ないし白色の結晶で、水に可溶。液体塩素や、エタノール・エーテル・ベンゼンなどの有機溶剤にわずかに溶ける。乾燥状態では安定しているが、加水分解により炭酸ナトリウム・炭酸アンモニウムと尿素、あるいはアンモニアとギ酸に分解する。
結晶中に含まれるシアン酸イオンは直線型で、結晶構造は歪んだ塩化ナトリウム型構造である[2]。
生成
[編集]鉄またはニッケルを触媒としてシアン化ナトリウムと酸素との反応により生成する。また水溶液中で次亜塩素酸ナトリウムにより酸化されて生成し、この反応はシアン化物の分解処理に用いられる。
工業的には尿素と炭酸ナトリウムとをモル比2.47:1の割合で、550〜600℃の高温で反応させて製造する。
用途
[編集]有機合成原料や鋼の窒化処理、除草剤として使用される。日本では1957年3月30日に農薬登録を受け、「シアノット」「シアノン」などの商品名で販売されている。畑や林、果樹園、非農耕地の一年生雑草に茎葉に接触して枯らす[3]。
安全性
[編集]日本の毒物及び劇物取締法では劇物に分類される。半数致死量(LD50)はラットへの経口投与で1,206mg/kg、ラットへの経皮投与で2,000mg/kg以上。熱に対して安定だが、600℃の高温に加熱すると猛毒のシアン化ナトリウムを生成する。また、高温でアンモニアを生成する場合もある。[4]
脚注
[編集]- ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
- ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年
- ^ 植村振作・河村宏・辻万千子・冨田重行・前田静夫著『農薬毒性の事典 改訂版』三省堂、2002年。ISBN 978-4385356044。
- ^ 製品安全データシート(安全衛生情報センター)