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パンプキンシード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
殻を取り、ローストし、塩を振ったパンプキンシード
殻付きの乾燥パンプキンシード

パンプキンシード(Pumpkin seed)またはペピータ(Ppepita)は、食用のカボチャ種子である。種子は平たく非対称の楕円形で外殻は白く、外殻を剥くとは黄緑色である。カボチャの品種によっては外殻がないものもあり、食用種子を得るためのみに栽培される[1]栄養素カロリーが豊富で、脂肪(特にリノレン酸オレイン酸)、タンパク質食物繊維、様々な微量栄養素を多く含む。ローストしたものをスナックとして食べる。

調理

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Unhulled vs. hulled pumpkin seeds

カボチャの種はメキシコ料理では一般的な食材であり、またローストしたものに食塩スパイスをかけて、メキシコやその他のラテンアメリカアメリカ合衆国南西部等でスナックとしても食べる[2]アメリカ合衆国では、マリネしてローストしたものは秋が旬のスナックであり、またサンフラワーシードと同様に、パッケージされたものが年中、市販されている。

カボチャ属の栽培の証拠は、当地で約4000年前から栽培されてきたトウモロコシインゲンマメよりも早く、8000-10000年前に遡る。果実の形や色の変化は、8000年以上前にペポカボチャの意図的な育種が行われたことを示している[3][4]。穀物の育種に関する農業知識を発展させるプロセスは、メソアメリカで5,000〜6,500年以上に渡って行われた。最初にカボチャが栽培され始め、次にトウモロコシ、さらに豆が栽培されるようになって、「スリーシスターズ農法英語版」となった[5][6]

ペポカボチャの品種'styriaca'の種子をローストして圧搾したは、中央ヨーロッパ東ヨーロッパで料理用に用いられる。その一例がパンプキンシードオイルである[7][8]ナッツバターの製造にも用いられる。

また、中性スピリッツに浸漬し、蒸留してオードヴィーを作るのにも用いられる[9]

カボチャの種を使ったサルサsikil pakとして知られ、ユカタン半島の伝統料理である[10][11]

栄養

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パンプキンシード(仁のみ、ロースト、有塩)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 2,401 kJ (574 kcal)
14.71 g
糖類 1.29 g
食物繊維 6.5 g
49.05 g
飽和脂肪酸 8.544 g
一価不飽和 15.734
多価不飽和 19.856
29.84 g
ビタミン
チアミン (B1)
(6%)
0.07 mg
リボフラビン (B2)
(13%)
0.15 mg
ナイアシン (B3)
(30%)
4.43 mg
パントテン酸 (B5)
(11%)
0.57 mg
ビタミンB6
(8%)
0.1 mg
葉酸 (B9)
(14%)
57 µg
ビタミンC
(8%)
6.5 mg
ビタミンE
(4%)
0.56 mg
ビタミンK
(4%)
4.5 µg
ミネラル
ナトリウム
(17%)
256 mg
カリウム
(17%)
788 mg
カルシウム
(5%)
52 mg
マグネシウム
(155%)
550 mg
リン
(168%)
1174 mg
鉄分
(62%)
8.07 mg
亜鉛
(80%)
7.64 mg
マンガン
(214%)
4.49 mg
他の成分
水分 2.0 g

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

ローストしたパンプキンシードは、2%の水と49%の脂肪、15%の炭水化物、30%のタンパク質を含む。100gあたりでは、574 kcalで、1日に必要なタンパク質、食物繊維、ナイアシン亜鉛マンガンマグネシウムリンの20%以上を取ることができる。また、リボフラビン葉酸パントテン酸ナトリウムカリウムでは1日必要量の10-19%に相当する。脂肪としてはリノレン酸とオレイン酸の割合が多く、パルミチン酸ステアリン酸も少量含まれる。

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パンプキンシードオイルは、サラダ用や調理油として用いられ、中央ヨーロッパの重要な輸出品である。 以下はセイヨウカボチャのパンプキンシードオイルの脂肪酸の割合である[12]

n:unsat 脂肪酸 含有率
(14:0) ミリスチン酸 0.003–0.056
(16:0) パルミチン酸 1.6–8.0
(16:1) パルミトレイン酸 0.02–0.10
(18:0) ステアリン酸 0.81–3.21
(18:1) オレイン酸 3.4–19.4
(18:2) リノレン酸 5.1–20.4
(18:3) リノール酸 0.06–0.22
(20:0) アラキドン酸 0.06–0.21
(20:1) ガドレイン酸 0–0.035
(22:0) ベヘン酸 0.02–0.12

不飽和脂肪酸の合計含有量は、9%-21%である[12]。脂肪量の合計は、11-52%である。

油中に抽出されたα-トコフェロールの量に基づくと、セイヨウカボチャの12の品種の種子に含まれるビタミンEの含有量は、100g当たり4-19mgであった[12]

伝統医学

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かつては伝統医学で、テニア属寄生虫を駆除する駆虫薬として用いられていた[13]。そのため、1863年から1936年まで、米国薬局方に駆虫薬として掲載されていた[14]

市場

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食材としての汎用性やスナックとしての利用のため、パンプキンシードの売り上げは毎年13%ずつ成長し、2020年から2024年には6億3100万ドルに達する[15]

関連項目

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出典

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  1. ^ Song, Y.; Li, J.; Hu, X.; Ni, Y.; Li, Q. (2011). “Structural characterization of a polysaccharide isolated from Lady Godiva pumpkins (Cucurbita pepo lady godiva)”. Macromolecular Research 19 (11): 1172–1178. doi:10.1007/s13233-011-1102-7. 
  2. ^ Pepitas (Pumpkin Seeds)”. GourmetSleuth.com. 11 February 2013閲覧。
  3. ^ Smith, Bruce D. (May 1997). “The Initial Domestication of Cucurbita pepo in the Americas 10,000 Years Ago”. Science 276 (5314): 932–934. doi:10.1126/science.276.5314.932. 
  4. ^ Cucurbitaceae—Fruits for Peons, Pilgrims, and Pharaohs”. University of California at Los Angeles. October 16, 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。September 2, 2013閲覧。
  5. ^ Landon, Amanda J. (2008). “The "How" of the Three Sisters: The Origins of Agriculture in Mesoamerica and the Human Niche”. Nebraska Anthropologist: 110–124. http://digitalcommons.unl.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1039&context=nebanthro. 
  6. ^ Bushnell, G. H. S. (1976). “The Beginning and Growth of Agriculture in Mexico”. Philosophical Transactions of the Royal Society 275 (936): 117–120. Bibcode1976RSPTB.275..117B. doi:10.1098/rstb.1976.0074. 
  7. ^ Fürnkranz, Michael; Lukesch, Birgit; Müller, Henry; Huss, Herbert; Grube, Martin; Berg, Gabriele (2012). “Microbial Diversity Inside Pumpkins: Microhabitat-Specific Communities Display a High Antagonistic Potential Against Phytopathogens”. Microbial Ecology 63 (2): 418–428. doi:10.1007/s00248-011-9942-4. JSTOR 41412429. PMID 21947430. 
  8. ^ Košťálová, Zuzana; Hromádková, Zdenka; Ebringerová, Anna (August 2009). “Chemical Evaluation of Seeded Fruit Biomass of Oil Pumpkin (Cucurbita pepo L. var. Styriaca)”. Chemical Papers 63 (4): 406–413. doi:10.2478/s11696-009-0035-5. 
  9. ^ “Beim Schnapsbrenner in Spalt: Destillierte Heimat [At the Schnaps Maker in Spalt: Distilled Homeland]” (ドイツ語). Bayerischer Rundfunk. (2 March 2019). https://www.br.de/mediathek/video/beim-schnapsbrenner-in-spalt-destillierte-heimat-av:5c79a608270e0d0018c64576 21 November 2021閲覧。 
  10. ^ Wyrick, Jason (2016-11-01) (英語). Vegan Mexico: Soul-Satisfying Regional Recipes from Tamales to Tostadas. Andrews Mcmeel+ORM. ISBN 978-1-941252-22-2. https://books.google.com/books?id=5ANeDAAAQBAJ&dq=sikil+pak&pg=PT110 
  11. ^ Stupak, Alex; Rothman, Jordana (2015-10-20) (英語). Tacos: Recipes and Provocations: A Cookbook. Clarkson Potter/Ten Speed. ISBN 978-0-553-44730-9. https://books.google.com/books?id=3VeWBgAAQBAJ&dq=sikil+pak&pg=PA91 
  12. ^ a b c Stevenson, David G.; Eller, Fred J.; Wang, Liping; Jane, Jay-Lin; Wang, Tong; Inglett, George E. (2007). “Oil and Tocopherol Content and Composition of Pumpkin Seed Oil in 12 Cultivars”. Journal of Agricultural and Food Chemistry 55 (10): 4005–13. doi:10.1021/jf0706979. PMID 17439238. https://lib.dr.iastate.edu/fshn_ag_pubs/6.  The data are found in Tables 1–3 on pp. 4006–4010 of this USDA reference Archived 2011-08-14 at the Wayback Machine..
  13. ^ Zhang, H; Liu, C; Zheng, Q (December 2019). “Development and application of anthelminthic drugs in China”. Acta Tropica 200: 105181. doi:10.1016/j.actatropica.2019.105181. PMID 31542370. 
  14. ^ Lim, Tong Kwee (2012). “Cucurbita moschata”. Edible Medicinal and Non-medicinal Plants. 2. Dordrecht: Springer Science+Business Media. p. 277. ISBN 978-90-481-8660-0 
  15. ^ Oller, Samantha (2021年1月28日). “Pumpkin seeds shift beyond seasonal as their functional qualities shine”. Food Dive (Industry Dive). https://www.fooddive.com/news/pumpkin-seeds-shift-beyond-seasonal-as-their-functional-qualities-shine/593902/ 2021年2月1日閲覧。