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ヒマワリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サンフラワーシードから転送)
ヒマワリ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: ヒマワリ属 Helianthus
: ヒマワリ H. annuus
学名
Helianthus annuus L. (1753)[1]
和名
ヒマワリ
英名
Sunflower

ヒマワリ(向日葵、学名: Helianthus annuus)は、キク科一年草の植物である。花は黄色で、種は食用となる。日廻り日回りと表記されることもあり、また、コウジツキ(向日葵)、ニチリンソウ(日輪草)、ヒグルマ(日車)、ヒグルマソウ(日車草)、ヒマワリソウ(日回り草)、サンフラワー: Sunflower)、ソレイユ: Soleil:太陽)とも呼ばれる[2][3]

種実を食用や油糧とするため[4]、あるいは花卉かきとして観賞するために広く栽培される。また、ヒマワリは季語でもある。ロシアウクライナペルー国花になっている。

リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物種の一つである[5]

特徴

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原産地は、北アメリカ。高さ3mくらいまで成長し、夏から秋にかなり大きな黄色の花を咲かせる。また、ヒマワリの花の色の濃い部分はややみがかった黄色(黄金っぽい黄色)をしている。

花弁は大きな1つの花のように見えるが、実際は頭状花序と呼ばれ、多数の花が集まって1つの花の形を形成している。これは、キク科の植物に見られる特徴である。外輪に黄色い花びらをつけた花を「舌状花」、内側の花びらがない花を「筒状花」と区別して呼ぶ場合がある。

和名「向日葵」の由来は、太陽の動きにつれてその方向を追うように花が回るといわれたことから。ただしこの動きは生長に伴うものであるため、実際に太陽を追って動くのは生長が盛んな若い時期だけである。若いヒマワリの茎の上部の葉は太陽に正対になるように動き、朝には東を向いていたのが夕方には西を向く。日没後はまもなく起きあがり、夜明け前にはふたたび東に向く。この運動はつぼみを付ける頃まで続くが、つぼみが大きくなり花が開く頃には生長が止まるため動かなくなる。その過程で日中の西への動きがだんだん小さくなるにもかかわらず夜間に東へ戻る動きは変わらないため、完全に開いた花は基本的に東を向いたままほとんど動かない。なお、これは茎頂に一つだけ花をつける品種が遮るもののない日光を受けた場合のことであり、多数の花をつけるものや日光を遮るものがある場所では必ずしもこうはならない。

ヒマワリの種は螺旋状に並んでおり、螺旋の数を数えていくとフィボナッチ数が現れる[注釈 1]

種は長卵形でやや平たい。種皮色は油料用品種が黒色であり、食用や観賞用品種には長軸方向にの縞模様がある。

歴史

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小輪ヒマワリ

ヒマワリの原産地は北アメリカ大陸西部であると考えられている。既に紀元前からアメリカ先住民の食用作物として重要な位置を占めていた。インディアンは花びらから染料をとった。葉はガチョウの餌になり、油脂はマーガリン、また絵具の材料としても使われている[8]1510年スペイン人がヒマワリの種を持ち帰り、マドリード植物園で栽培を開始した。マドリード植物園はダリアコスモスが最初に栽培されたことでも有名である。

ヒマワリがスペイン国外に持ち出されるまで100年近くを要し、ようやく17世紀に至りフランス、次にロシアに伝わった。ロシアに到達してはじめて、その種子に大きな価値が認められた。

正教会聖枝祭前の6週間を大斎とし[9]、食物品目の制限による(ものいみ)を行う。19世紀の初期にはほとんど全ての油脂食品が禁止食品のリストに載っていた。しかしヒマワリは教会の法学者に知られていなかったのか、そのリストにはなかったのである。こうした事情から、正教徒の多いロシア人たちは教会法と矛盾なく食用可能なヒマワリ種子を煎って常食としたのであった[9] 。その後、19世紀半ばには民衆に普及し、ロシアが食用ヒマワリ生産の世界の先進国となったのであった。

日本には、ヨーロッパから中国へ伝わった後、1660年代後半に伝来した。『訓蒙図彙』には「丈菊、俗に言ふてんがいくわ(天蓋花)、一名迎陽花(げいようくわ)」として載っていて、その後「日廻り(ひまわり)」から「向日葵(ひまわり)」(現代中国語名:向日葵)と呼ばれるようになり、1700年ごろには「ひまわり」が定着した。[10]

生産

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種ができる頃のヒマワリ

OIL WORLD誌の統計によるとヒマワリの種子生産量は2006/07年産、油料用植物として大豆(234.98百万トン)、ナタネ(47.26百万トン)、綿実(44.15百万トン)に次ぐ、生産量(29.84百万トン)を誇る。 また、2006年 - 2007年の植物油生産量はパーム油(37,985千トン)、大豆油(36,716千トン)、ナタネ油(18,425千トン)、ヒマワリ油(11,171千トン)である。ヒマワリの生産地域はロシア周辺のヨーロッパに偏っている。5割強がヨーロッパ州に集中しており、アジア州南アメリカ州がそれぞれ2割弱を生産している。

  1. ウクライナセイヨウカンボクスミミザクラとともに国花とする) - 13630千トン
  2. ロシア (カミツレとともに国花とする)- 11010千トン
  3. アルゼンチン - 3000千トン
  4. 中国 - 2590千トン
  5. ルーマニア - 2030千トン

利用

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食用

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被子植物では果実の中に種子があり、日常語では果実のことを「実」、種子のことを「種」と呼ぶものが多いが、ヒマワリの場合は慣用的に果実全体を「種」と呼んでいる。ヒマワリの種は痩果で、種の殻と呼ばれている部分は果皮であるが、本項では便宜上「種」「殻」と記述する。

種は絞って搾油されヒマワリ油として利用される。ヒマワリ油には不飽和脂肪酸が多く含まれる。1990年代までリノール酸が70 - 80%、オレイン酸が10 - 20%のハイリノールタイプが主流であった。ω-6系列の脂肪酸であるリノール酸の発ガンや高脂血症、アレルギー等との因果関係が報告されるにいたり、リノール酸が15 - 20%、オレイン酸が40 - 60%の中オレインタイプのNuSun品種が伝統的な交配育種法により育成され、2000年以降は主流となっている。

煎って食用とすることができる。種子はカルシウムを多く含み、噛むと歯が悪くならないという[8]。特に中国や米国ではおやつとして好まれる[11]噛みタバコガムと同様にアメリカの大リーガーが試合中に食す嗜好品としても普及している[12]

乾燥した種子を用いる生薬名は「向日葵子」(こうじつきし、ひゅうがあおいし)で、出血性下痢に用いられる[13]

ペットハムスター小鳥など)の餌に利用される。

ディーゼルエンジン用燃料(バイオディーゼル)として利用する研究も進められている。

観光地

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村おこし・町おこしや、災害からの復興活動として、全国にヒマワリ畑があり、イベントも開催されている。

他、多数

除染効果

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ヒマワリはカリウムなどと共に性質が類似するセシウムを吸収する性質を持つことから、原発事故などで放射能汚染された土地に植えたら除去できる(ファイトレメディエーション)という説が流布しているが、そのような効果は認められていない[14]

そもそも、一般的に植物にとって必須元素であるカリウムの吸収が、放射性セシウムの除染のために価値がある程大きいのであれば、ヒマワリの生えた後の土壌は極端に貧栄養化しているはずである。また農林水産省は「ヒマワリはセシウムの吸収率が低く、除染に極めて長い時間がかかるため実用的ではない」としている[15]

日本における主な産地

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ヒマワリ畑

これらの自治体ではヒマワリによる地域特産化を図り、油等食品、化粧品等のヒマワリ関連製品を販売している。北海道の標準播種期は5月上旬であり、や氷点下の気温にも耐性はある[16]

日本における都道府県・市区町村の花

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廃止市町村

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ヒマワリは、ロシア、ウクライナ、ペルーの国花扱いである。米国カンザス州州花である。日本でも、北九州市など各地の市区町村の花として定められている。

画家ゴッホに有名な「ひまわり (絵画)」シリーズがある。

この他に、ヒマワリは各種の社会運動、例えば耽美主義、台湾のひまわり学生運動心霊主義緑の政治などのシンボルとしてしばしば使われてきた。

脚注

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注釈

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  1. ^ 螺旋の数が多い場合、中心から離れると螺旋の隙間にも種ができてしまうため、途中から枝分かれしてフィボナッチ数にならないこともある[6]

出典

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  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Helianthus annuus L. ヒマワリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月29日閲覧。
  2. ^ 日向葵”. 季語・季題辞典. 日外アソシエーツweblio (2016年8月22日). 2023年3月5日閲覧。
  3. ^ 向日葵」『大辞泉https://kotobank.jp/word/%E5%90%91%E6%97%A5%E8%91%B5コトバンクより2023年3月5日閲覧 
  4. ^ 小林義雄 著、相賀徹夫 編『万有百科大事典 19 植物』1972年。 
  5. ^ Linnaeus, Carolus (1753) (ラテン語). Species Plantarum. Holmia[Stockholm]: Laurentius Salvius. p. 904. https://www.biodiversitylibrary.org/page/358925 
  6. ^ 近藤滋. “全ての植物をフィボナッチの呪いから救い出す”. 大阪大学大学院生命機能研究科 パターン形成研究室. 2021年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月16日閲覧。[リンク切れ]
  7. ^ サイエンスチャンネル『自然にひそむ数と形 (1)不思議な数列』(YouTube科学技術振興機構、2013年12月17日、該当時間: 2m35shttps://www.youtube.com/watch?v=1BdfT_ix6NI2023年3月5日閲覧 
  8. ^ a b 瀧井康勝『366日 誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、231頁。 
  9. ^ a b 山北篤『現代知識チートマニュアル』(新紀元社、2007年、ISBN 978-4775314951[要ページ番号]
  10. ^ ひまわりの歴史◆名前の由来と神話(インターネット花キューピッド)
  11. ^ rong zhang (2016年8月3日). “あらゆる「種」を食べてきた中国人が教える美食体験 皮まで愛せ!”. ウィズニュース. 朝日新聞社. 2022年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月5日閲覧。
  12. ^ 岡田真理 (2012年11月27日). “ヒマワリの種の秘密”. 現代ビジネス. 週刊現代. 2022年7月16日閲覧。
  13. ^ 夏の薬草・薬木”. 日本家庭薬協会. 2022年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月5日閲覧。
  14. ^ ヒマワリは除染効果なし 農水省が実験結果公表”. 朝日新聞 (2011年9月14日). 2022年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月5日閲覧。
  15. ^ ヒマワリに放射性セシウムの吸収効果期待できず”. サイエンスポータル. 科学技術振興機構 (2011年9月15日). 2022年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月5日閲覧。
  16. ^ ひまわりの標準栽培法”. 北海道立総合研究機構. 2022年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月5日閲覧。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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