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クリップスピンク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クリップスピンク(ピンクレディー)
交配 レディウィリアムズ × ゴールデンデリシャス
品種 Cripps Pink
開発 オーストラリア、1973年
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クリップスピンク(Cripps Pink)はリンゴ栽培品種である。この品種(および枝変わり品種)のうち一定の品質基準を満たしたものがピンクレディー登録商標名で販売される[1]。ピンクレディーは一般的なリンゴよりも30-50%価格の高いプレミアムブランドを形成している[2]

クリップスピンクは西オーストラリア州農務局(今の一次産業および地域開発局の前身のひとつ)のジョン・クリップス英語版レディウィリアムズゴールデンデリシャスをかけあわせることによって開発された。その結果、レディウィリアムズのもつ硬さおよび長期貯蔵にたえる特徴と、ゴールデンデリシャスのもつ甘さおよび貯蔵やけ(storage scald)しない特徴を兼ねそなえた品種が生まれた[3]

なお、ピンクレディーの名前はジョン・クリップスが好む同名のカクテルに由来する[4]

登録商標

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クリップスピンクは西オーストラリア州農業食料局(DAFWA)に所有権とライセンスがあり、複数の国において育成者権を持つ[2][5][6]。オーストラリアにおけるリンゴとナシ栽培産業の主要団体である「りんご・なしオーストラリア」(Apple and Pear Australia Limited, APAL)がピンクレディーの商標群に関する知的財産を管理している。この商標は80を越える地域で登録されている。

ピンクレディーは生産者・流通業者・苗木生産者の間によるクラブによって生産と流通をコントロールする制度を形成し、安定した高価格とクラブのメンバー間による適切な分配を可能にしている[2]。ピンクレディーのシステムをまねたブランドはいくつかあるが、中でもニュージーランドのジャズ(サイフレッシュのブランド名)は成功している[2]

生産地

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英国の市場で売られているピンクレディー

果実は楕円形で、緑の地と赤い色の混在が特徴的である。味は酸味が強い。クリップスピンクの栽培には200日という長い期間と暑い気候を必要とするため、温帯の地方や、冬のはじめに氷結する地域では育成が困難である。

クリップスピンクは主にオーストラリアで育てられるが、ニュージーランド、チリ、カナダ、アルゼンチン、南アフリカ、ウルグアイ、ブラジル、日本、イタリア、スペイン、フランス、セルビア、イスラエルでも栽培され、米国では1990年代後半以来栽培されている。

英国においては1992年にオーストラリアからはじめて出荷されて以来、20年をかけてピンクレディーのブランドは人気を増大してきている。2012年に、ピンクレディーのブランドが英国で第3位の座をグラニースミスにかわって獲得した[7]

日本では2006年に長野県でピンクレディー協会が設立された[2]。ただし日本市場向けには酸味が強すぎるのではないかという意見もある[2]

栽培

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オーストラリアのクイーンズランド州グラニットベルトで栽培されているピンクレディー

ピンクレディーのブランドを持つリンゴは一定の品質基準を満たさなければならない。基準には糖分の量、硬さ、傷、色などが含まれる。品質および果樹園から店頭までのトレーサビリティを保証するために定期的に監査が行われる。

クリップスピンクはリンゴの品種のなかでもっとも早く開花し(北半球で3月末から4月頭、南半球で9月末から10月頭)、収穫は遅い(北半球で10月末から11月頭、南半球で4月末から5月頭)。果実の色づきのためには秋における昼夜の温度差が大きいことが重要である。

脚注

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  1. ^ Pink Lady adds new varieties” (英語). www.freshplaza.com (2015年3月9日). 2020年9月1日閲覧。 “non-GMO varieties of Barnsby, Maslin, Rosy Glow, Ruby Pink and Lady-In-Red (if under license) are now included under the Pink Lady trademark”
  2. ^ a b c d e f 大臣官房国際部貿易輸出チーム輸出促進室『平成20年度 農林水産貿易円滑化推進事業 輸出戦略調査報告書(ピンクレディー)』農林水産省、2009年https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_enkatu/pdf/pinklady.pdf 
  3. ^ Cripps, J.E.L.; Richards, L.A.; Mairata, A.M. (1993). “'Pink Lady' Apple”. HortScience (American Society for Horticultural Science) 28 (10): 1057. doi:10.21273/HORTSCI.28.10.1057. ISSN 0018-5345. https://journals.ashs.org/hortsci/view/journals/hortsci/28/10/article-p1057.xml. 
  4. ^ 冬春が旬の新りんご!知る人ぞ知る「ピンクレディーⓇ」”. JA長野 (2022年2月21日). 2022年10月2日閲覧。
  5. ^ 1974 Pink Lady® apples” (英語). Australian food history timeline. 2020年9月1日閲覧。
  6. ^ US patent USPP7880P, John E. Cripps, "Apple tree Cripps Pink cultivar", published 1990-10-18, issued 1992-06-09, assigned to Department of Agriculture and Food (Western Australia) 
  7. ^ Godwin, Sandra. "Pink Lady apples shine." Archived 2012-04-21 at the Wayback Machine. The Weekly Times 4 April 2012. Retrieved 7 September 2012

関連文献

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外部リンク

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