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祝 (リンゴ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
‘祝’
1. 果実
リンゴ属 Malus
セイヨウリンゴ M. domestica
交配 不明
品種 ‘祝’ (‘American Summer Pearmain’)
開発 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国(おそらくニュージャージー州)、18世紀後半
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‘祝’(いわい、: ‘American Summer Pearmain’)[1]は、リンゴ(セイヨウリンゴ)の早生系栽培品種の1つである。果皮は基本的に黄緑色だが熟すと赤褐色に色づき、適度な甘さと酸味があるが、渋味もある。アメリカ合衆国原産の古い品種であり、日本へは明治初期に導入され、明治期には多く栽培されたが、現在はあまり利用されていない。

特徴

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耐寒性はあるが温暖な気候を好み、樹勢は弱い[2]。火傷病にかかりやすい[2]自家不和合性に関わるS遺伝子型はS1S20である[3][4]。収穫期は早く、夏に収穫され、日本では8月上旬から下旬[2][5][6]。果実は長円形、150–200グラムほどとやや小型である[5]。果皮は黄緑色であるが、熟すと赤褐色の縞が入る[2][5]。芳香があり、果肉は黄色、柔らかく、適度な甘さと酸味、やや渋みがある[2][5]。長期貯蔵は困難であり、軟化しやすい[2][5]

歴史

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アメリカ合衆国原産の古い品種であり、18世紀後期には北米東部に存在したと考えられている[2]。おそらくニュージャージー州が原産地であるとされる[2]。文献上では、1817年に本品種と考えられる記述があり、また1851年にこの品種名で記録された[2]

日本では、1875年(明治8年)に内務省から配布された苗木を青森県が篤農家に試作させ、それが大導寺繁禎の果樹園で初結実した[7]。その後、明治期には盛んに栽培がされ、‘旭’(マッキントッシュ)とならぶ早生品種の代表格だった[8]。しかし、隔年結果性や早期落果性の傾向が強い[6]など欠点も多く、その後はあまり栽培されなくなった。

日本で最も古い‘祝’(1878年に植栽)は、青森県柏村(現 つがる市)にあり[注 1]、「日本一の古木りんご樹」として1960年に青森県の天然記念物に指定された[10][8][9]

名称

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英名では、‘American Pearmain’、‘American Summer’、‘Early Summer Pearmain’、‘Summer Pippin’、‘Watkin's Early’、‘Summer Pearmain’、‘American Pippin’[注 2]ともよばれる[2]

日本に導入された当初は「大導寺中生」、「大導寺中手」、「大中(だいなか)」、「江間中手」、「成子(なりこ、なるこ)」など、地方によって異なる名でよばれていたが、1900年(明治33年)に‘祝’に統一された[11][5][9]

派生品種

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‘祝’を交配親とする品種も存在し、‘北の幸’は種子親を‘つがる’、花粉親を‘祝’とし[12]、‘花祝’は種子親を‘花嫁’、花粉親を‘祝’としている[13]

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ 木は3本存在し、残り2本は別品種の‘紅絞’である[9]
  2. ^ 正式な品種名として‘American Pippin’とよばれる別品種もある[2]

出典

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  1. ^ 後藤聡, 森谷茂樹, 工藤剛, 今智之, 阿部和幸 & 深澤朝子 (2012). “リンゴ ‘祝’の原名の同定”. 東北農業研究 65: 123-124. CRID 1050001338736521728. 
  2. ^ a b c d e f g h i j k American Summer Pearmain”. Pomiferous. Pomiferous.com.. 2024年10月26日閲覧。
  3. ^ 阿部和幸 & 荒川修 (2015). “リンゴ”. In 金浜耕基. 果樹園芸学. 文永堂出版. pp. 59–90. ISBN 978-4830041297 
  4. ^ 小森貞男; 副島淳一・ほか (1999-04-03). “'あかね', 'きたかみ', '祝', '旭'等のS遺伝子型解析”. 園芸学会雑誌:別冊 (園芸学会) 68 (1): 58. ISSN 09191917. NAID 10013387618. 
  5. ^ a b c d e f 祝(いわい)・大中(だいなか)”. りんご大学. 2024年10月26日閲覧。
  6. ^ a b 信州大学農学部果樹研究室 (2003年). “祝(American Summer Pearmain)”. 遺伝資源. 2010年9月13日閲覧。
  7. ^ 青森りんごのいろいろ”. 青森県. 2011年3月29日閲覧。 “青森県では、明治8年に配布された苗木を、篤農家に試作させたのですが、それが大導寺繁禎園で初結実し…”
  8. ^ a b “青りんご「祝」 涼やかな青春の味”. 毎日新聞 (東京). (2009年7月27日). http://mainichi.jp/life/food/again/archive/news/2009/20090727ddm013100031000c.html 2011年3月19日閲覧。 
  9. ^ a b c 一木茂 (2018年5月31日). “第6回 混乱したリンゴの品種名”. 一木先生のリンゴ学講座. りんご大学. 2024年10月5日閲覧。
  10. ^ 日本最古のりんごの木”. 青森県観光情報サイト. 2024年10月26日閲覧。
  11. ^ “青りんご「祝」 涼やかな青春の味”. 毎日新聞 (東京). (2009年7月27日). http://mainichi.jp/life/food/again/archive/news/2009/20090727ddm013100031000c.html 2011年3月19日閲覧. "当初は「大導寺中手」「大中」「江間中手」「成子」など、地方ごとに呼び名が違っていたが1900年(明治33年)、「祝」に統一された。" 
  12. ^ 北の幸(きたのさち)”. りんご大学. 2024年10月26日閲覧。
  13. ^ 花祝(はないわい)”. りんご大学. 2024年10月26日閲覧。

外部リンク

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