コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

プラティプテリギウス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
プラティプテリギウス
生息年代:
130–94.3 Ma
プラティプテリギウス・アメリカヌス
地質時代
前期白亜紀オーテリビアン期後期 - 後期白亜紀セノマニアン期後期
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : ?広弓亜綱 Euryapsida
?双弓亜綱 Diapsida
: 魚竜目 Ichthyosauria
: オフタルモサウルス科
Ophthalmosauridae
亜科 : プラティプテリギウス亜科
Platypterygiinae
: プラティプテリギウス
Platypterygius
シノニム
  • Plutoniosaurus Efimov, 1997
  • P. platydactylus Broilli, 1907 模式種
  • P. americanus Nace, 1939
  • P. australis McCoy, 1867
  • P. hautali von Huene, 1927
  • P. hercynicus Kuhn, 1946
  • P. kiprijanoffi Romer, 1968
  • P. ochevi Arkhangel’sky et al., 2008[1]
  • P. sachicarum Páramo, 1997

プラティプテリギウス学名:Platypterygius)は、オフタルモサウルス科プラティプテリギウス亜科に属する魚竜の属。同じプラティプテリギウス亜科に属するカイプリサウルスおよびブラキプテリギウスと最も近縁である[2]白亜紀前期オーテリビアン期後期から白亜紀後期セノマニアン期後期にかけて幅広く分布していた。

発見

[編集]
P. longmaniの復元図

南アメリカではアルゼンチン南部とチリ南部やベネズエラおよびコロンビアから、北アメリカではアメリカ合衆国カナダサスカチュワン州およびノースウエスト準州から、ヨーロッパではフランスドイツヨーロッパロシアスイスイギリスから化石が発見されている。アメリカ合衆国内ではカンザス州テキサス州ワイオミング州から産出している。

特徴

[編集]

同じくオフタルモサウルス科に属するムイスカサウルスエナメル質のない小さな歯を持つ一方で、プラティプテリギウスの歯は大きく、厚いエナメル質に覆われていた。これはペルヴショヴィサウルスと共通する特徴でもある[3]。前上顎骨の鼻の上に突起が存在する点はシンビリスキャサウルスと共通する[4]パルベンニアと同様に、後前頭骨が中央部で最も厚くなっている[5]

分類

[編集]
コロンビアのヴィラ・デ・レイヴァの古生物学博物館所蔵P. sachicarumの頭骨

プラティプテリギウスはブラキプテリギウスとの共通祖先から枝分かれした後、カイプリサウルスとの共通祖先から分岐したと考えられている。下のクラドグラムはFischerらの2013年の論文に基づく[6]

トゥンノサウルス類 

イクチオサウルス

ステノプテリギウス

チャカイコサウルス

 オフタルモサウルス科 

アースロプテリギウス

*
 オフタルモサウルス亜科 

レニニア

モレサウルス

オフタルモサウルス

バプタノドン ("O." natans)

アカンプトネクテス

 プラティプテリギウス亜科 

ブラキプテリギウス

マイアスポンディルス

アエギロサウルス

スヴェルトネクテス

プラティプテリギウス・ヘルキニクス

カイプリサウルス

アサバスカサウルス

プラティプテリギウス・アウストラリス(=Longirostria[7])

かつてペルヴショヴィサウルスはプラティプテリギウスのシノニムとして扱われていた[7]が、後に模式種プラティプテリギウス・プラティダクティルスとの形質の差異が認められ、ペルヴショヴィサウルスは独立することとなった[4]2016年には後を追うようにペルヴショヴィサウルスの第2の種がペルヴショヴィサウルスへ再分類された[8]

同じ白亜紀の魚竜であるアカンプトネクテス1958年にイギリスで発見された際はプラティプテリギウスの新種とみなされていた。その後1985年に同地域から、2003年にドイツから、共通する形質を持つ化石が発見され、2012年にアカンプトネクテスとして独立することとなった。

この他にもシンビリスキャサウルス[4]がかつてはプラティプテリギウスのシノニムとされていた。

古生態

[編集]

プラティプテリギウス・アウストラリスの化石の体内からは、海鳥であるナナンティウスウミガメの残骸が発見されている[9]。プラティプテリギウス属に属する種には当時の生態系における事実上の頂点捕食者もいたようであり、大型の獲物を捕食するのに特化している[10]

出典

[編集]
  1. ^ Arkhangelsky et al., 2008
  2. ^ Fernández M. 2007. Redescription and phylogenetic position of Caypullisaurus (Ichthyosauria: Ophthalmosauridae). Journal of Paleontology 81 (2): 368-375.
  3. ^ Erin E. Maxwell; Daniel Dick; Santiago Padilla; Mary Luz Parra (2015). “A new ophthalmosaurid ichthyosaur from the Early Cretaceous of Colombia”. Papers in Palaeontology in press. doi:10.1002/spp2.1030. 
  4. ^ a b c Fischer, Valentin; Arkhangelsky, Maxim S.; Naish, Darren; Stenshin, Ilya M.; Uspensky, Gleb N.; Godefroit, Pascal (2014). “Simbirskiasaurus and Pervushovisaurus reassessed: implications for the taxonomy and cranial osteology of Cretaceous platypterygiine ichthyosaurs”. Zoological Journal of the Linnean Society 171 (4): 822–841. doi:10.1111/zoj.12158. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/zoj.12158/abstract. 
  5. ^ Lene Liebe Delsett (2018). “A new specimen of Palvennia hoybergeti: implications for cranial and pectoral girdle anatomy in ophthalmosaurid ichthyosaurs”. PeerJ in press. doi:10.7717/peerj.5776. 
  6. ^ Fischer, V.; Arkhangelsky, M. S.; Uspensky, G. N.; Stenshin, I. M.; Godefroit, P. (2013). “A new Lower Cretaceous ichthyosaur from Russia reveals skull shape conservatism within Ophthalmosaurinae”. Geological Magazine 151: 1. doi:10.1017/S0016756812000994. 
  7. ^ a b Arkhangel’sky, M. S., 1998, On the Ichthyosaurian Genus Platypterygius: Palaeontological Journal, v. 32, n. 6, p. 611-615.
  8. ^ Fischer, V. (2016). “Taxonomy of Platypterygius campylodon and the diversity of the last ichthyosaurs.”. PeerJ 4: e2604. doi:10.7717/peerj.2604. PMC 5075704. PMID 27781178. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5075704/. 
  9. ^ Kear et al., 2003
  10. ^ Fischer et al., 2016