マイアスポンディルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マイアスポンディルス
生息年代: 白亜紀前期, 110 Ma
保全状況評価
絶滅(化石
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : ?広弓亜綱 Euryapsida
?双弓亜綱 Diapsida
: 魚竜目 Ichthyosauria
: オフタルモサウルス科
Ophthalmosauridae
亜科 : プラティプテリギウス亜科
Platypterygiinae
: マイアスポンディルス
Maiaspondylus
  • M. lindoei Maxwell & Caldwell, 2006 (模式種)

マイアスポンディルス学名:Maiaspondylus)は、カナダノースウェスト準州から知られるオフタルモサウルス科プラティプテリギウス亜科に属する魚竜の絶滅した属[1][2]

発見と分類[編集]

マイアスポンディルスは模式標本 UALVP 45635 から知られ、この標本は分断されてはいるがほぼ完全に立体を保った骨格である。また、繋がった骨格が部分的に保存されている2体分のと連続した8個の成体の椎骨からなる UALVP 45639、幼体の14個の繋がった椎骨である UALVP 45640、12個の連続した椎骨である UALVP 45640、部分的な吻部と左側の歯列である UALVP 45642、吻部の断片である UALVP 45643 が発見されている。標本は全て約1億1000万年前の白亜紀前期アルビアン紀前期にあたるルーン川層からヘイ川層にかけて収集された[1]

マイアスポンディルスの標本はもともと全てプラティプテリギウスのものとされていた。しかし、後の系統解析によりマイアスポンディルスがオフタルモサウルス科の有効な属であることが判明した[3][4]。パトリック・S・ドラッケンミラーとエリン・E・マクスウェルによる2010年の論文では、おそらくプラティプテリギウス属に属していないプラティプテリギウス・アメリカヌスに最も近縁であるとされた[3]

さらにその後の解析により、マイアスポンディルスはブラキプテリギウスアエギロサウルススヴェルトネクテスにごく近縁であることが判明した。下のクラドグラムはFischerらの2013年の論文に基づく[5]

トゥンノサウルス類 

イクチオサウルス

ステノプテリギウス

チャカイコサウルス

 オフタルモサウルス科 

アースロプテリギウス

*
 オフタルモサウルス亜科 

レニニア

モレサウルス

オフタルモサウルス

バプタノドン ("O." natans)

アカンプトネクテス

 プラティプテリギウス亜科 

ブラキプテリギウス

マイアスポンディルス

アエギロサウルス

スヴェルトネクテス

プラティプテリギウス・ヘルキニクス

カイプリサウルス

アサバスカサウルス

プラティプテリギウス・アウストラリス(=Longirostria[6])

語源[編集]

マイアスポンディルスはエリン・E・マクスウェルとミッチェル・W・カルドウェルが2006年に命名し、模式種は Maiaspondylus lindoei である。属名は「子を気遣う母」を意味するmaiaと「椎骨」を意味するspondylosに由来する[1]。体内に8つの連続した椎骨と2つの胚を持つ特異的な標本 UALVP 45639 はおそらく母親であり、その特徴を反映した学名となっている。マクスウェルとカルドウェルは2003年に、この標本によりマイアスポンディルスが胎生の動物であったことが示唆されていると提唱した。この胚は地質学的に最も新しく、物理的に最も小さい魚竜の胚である[7]

種小名はアルバータ大学地質博物館のアラン・リンドーの功績を称えたものである[1]

出典[編集]

  1. ^ a b c d Maxwell, Erin E.; Caldwell, Michael W. (2006). “A new genus of ichthyosaur from the Lower Cretaceous of western Canada”. Palaeontology 49 (5): 1043–1052. doi:10.1111/j.1475-4983.2006.00589.x. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1475-4983.2006.00589.x/abstract. 
  2. ^ Maiaspondylus Maxwell and Caldwell 2006”. Paleobiology Database. Fossilworks. 2017年6月6日閲覧。
  3. ^ a b Druckenmiller, Patrick S.; Maxwell, Erin E. (2010). “A new Lower Cretaceous (lower Albian) ichthyosaur genus from the Clearwater Formation, Alberta, Canada”. Canadian Journal of Earth Sciences 47 (8): 1037–1053. doi:10.1139/E10-028. 
  4. ^ Fischer, V.; Masure, E.; Arkhangelsky, M.S.; Godefroit, P. (2011). “A new Barremian (Early Cretaceous) ichthyosaur from western Russia”. Journal of Vertebrate Paleontology 31 (5): 1010–1025. doi:10.1080/02724634.2011.595464. http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/02724634.2011.595464. 
  5. ^ Fischer, V.; Arkhangelsky, M. S.; Uspensky, G. N.; Stenshin, I. M.; Godefroit, P. (2013). “A new Lower Cretaceous ichthyosaur from Russia reveals skull shape conservatism within Ophthalmosaurinae”. Geological Magazine 151: 1. doi:10.1017/S0016756812000994. 
  6. ^ Arkhangel’sky, M. S., 1998, On the Ichthyosaurian Genus Platypterygius: Palaeontological Journal, v. 32, n. 6, p. 611-615.
  7. ^ Maxwell, E. E.; Caldwell, M. W. (2003). “First record of live birth in Cretaceous ichthyosaurs: closing an 80 million year gap”. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 270 (1): S104-S107. doi:10.1098/rsbl.2003.0029. PMC 1698021. http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/270/Suppl_1/S104.full.pdf.