五街道雲助
五街道 雲助(ごかいどう くもすけ)は、落語家の名跡。当代は六代目。「五海道」「五海堂」、「雲輔」と書かれた文献が多い。
明確な資料が残っておらず代数がはっきりしていないため、当代の師匠である十代目金原亭馬生が当代を勝手に六代目とした。
- 五海堂雲輔 - 後∶五明楼国輔
- 五海堂雲輔(1850年8月 - ?) - 本名∶田中 桂助。1889年6月、柳派の書記を担当していた春麗亭柳花著の『落語家名前欄』に「雲輔」で開業届けが出ている。
- 五海堂雲輔(1855年11月15日 - ?) - 本名∶秋田 亀吉。『名前欄』に1890年11月に「五明楼山輔」、1893年6月に「雲輔」で開業届けが出ている。その後番付などに10年近く記載されている
- 五海道雲輔(1870年4月9日 - ?) - 本名∶市川 留吉。1911年・1915年の名簿に名前が出ているが詳細は不明。
- 六代目五街道雲助 - 本項にて記述
六代目 Gokaidô Kumosuke the 6th | |
六代目五街道雲助定紋「裏梅」 | |
本名 | |
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生年月日 | 1948年3月2日(76歳) |
出身地 | 日本・東京都墨田区 |
師匠 | 十代目金原亭馬生 |
弟子 | 三代目桃月庵白酒 四代目隅田川馬石 三代目蜃気楼龍玉 |
名跡 | 1. 金原亭駒七 (1968年 - 1972年) 2. 六代目五街道雲助 (1972年 - ) |
出囃子 | 二上り箱根八里 |
活動期間 | 1968年 - |
配偶者 | あり |
所属 | 落語協会 |
公式サイト | https://www.asahi-net.or.jp/~cq1t-wkby/ |
受賞歴 | |
第2回 にっかん飛切落語会努力賞(1979年) 文化庁芸術祭優秀賞(2009年) 芸術選奨文部科学大臣賞大衆芸能部門(2014年) 紫綬褒章(2016年) 重要無形文化財保持者(2023年) 墨田区名誉区民(2024年) 浅草芸能大賞(2024年) | |
備考 | |
落語協会役員(退任) 重要無形文化財保持者(人間国宝、2023年 - ) | |
六代目五街道 雲助(ごかいどう くもすけ、1948年3月2日 - )は、東京都墨田区出身・在住の落語家。落語協会所属。出囃子は『箱根八里』。本名∶若林 恒夫。重要無形文化財保持者(人間国宝)。
経歴
[編集]明治大学商学部中退後1968年2月1日、十代目金原亭馬生に入門。前座名は「金原亭駒七」。
1972年11月に柳家さん喬、柳家さん治、金原亭駒三、三遊亭梅生、立川談十郎、三遊亭楽松と共に二ツ目昇進。「六代目五街道雲助」と改名。二ツ目昇進時、師匠の十代目金原亭馬生にお願いをして、手拭いの柄を描いて貰った時に「六代目でいいやなぁ」と言われ、そのまま「六代目」と描かれたので、その後「六代目」と名乗っているとのこと。
1979年に「第2回 にっかん飛切落語会」努力賞を、1980年に「第3回 にっかん飛切落語会」若手落語家奨励賞受賞。
1981年3月、柳家さん喬、三遊亭歌司、七代目むかし家今松、二代目金原亭馬の助、橘家竹蔵、三遊亭圓龍と共に真打昇進。
2009年、文化庁芸術祭優秀賞受賞。2014年、芸術選奨文部科学大臣賞大衆芸能部門受賞。
2023年7月21日、文化審議会が重要無形文化財保持者(人間国宝)に五街道雲助を含む12名を認定するよう答申した。落語家の人間国宝は五代目柳家小さん(1995年)、三代目桂米朝(1996年)、十代目柳家小三治(2014年)に次ぐ4人目の認定となる[2][3][4]。
2024年9月、墨田区名誉区民となる[5][6]。同年11月、浅草芸能大賞を受賞した[7]。
芸歴
[編集]人物
[編集]2017(平成29)年1月13日の皇居での歌会始の儀に、陪聴者として列席している[8]。
林家時蔵とは生年月日(1948年3月2日)が一緒であり、両国中学校で同じクラスだった。
浅草にあった飲み屋「かいば屋」を、自身の落語の原点としている。
真打昇進の時の口上書は野坂昭如が書いている。
二ツ目時代、武智歌舞伎塾に入りいくつかの公演に出演している[9][10]。
1998年に自身で立ち上げたホームページのアドレスと基本デザインが、2022年現在で20年以上変更・移転せずに現役で利用され続けている。
六代目古今亭志ん橋、柳家喜多八と「九識の会」(く(もすけ)・し(んきょう)・き(たはち))を開催していた。会は後に「のれん噺」とタイトルを変更。
2023年9月17日放送のNHK Eテレ「カラーで蘇る古今亭志ん生」[11]において、駒七時代に師匠から、長女である志津子(池波志乃)の前で「一緒になる気はないか」と結婚を打診された事があると明かした。
演目
[編集]古典落語
[編集]怪談噺
[編集]廓噺
[編集]改作
[編集]新作
[編集]受賞
[編集]- 1979年:第2回にっかん飛切落語会 努力賞
- 1980年:第3回にっかん飛切落語会 若手落語家奨励賞
- 2009年:文化庁芸術祭 優秀賞
- 2014年:平成25年度(第64回)芸術選奨文部科学大臣賞(大衆芸能部門)
- 2016年:紫綬褒章
- 2023年:重要無形文化財保持者(人間国宝)
- 2024年:第41回浅草芸能大賞
メディア
[編集]CD
[編集]- 『キング落語名人寄席 -つづら/千両みかん-』(キングレコード)
- 『朝日名人会ライヴシリーズ19 - 淀五郎/名人長二―仏壇叩き』(ソニーレコード)
- 『ミュージックサプリ〜小咄編〜』(コロムビア)
- 『朝日名人会ライヴシリーズ50 - 中村仲蔵/電話の遊び』(ソニーレコード)
- 『朝日名人会ライヴシリーズ54 - 真景累ヶ淵―豊志賀の死』(ソニーレコード)
- 『朝日名人会ライヴシリーズ64 - 替り目/お直し』(ソニーレコード)
- 『雲助蔵出し1 - 九州吹き戻し/人情噺・火焔太鼓/新版・三十石/妾馬通し 』(2枚組、キントトレコード/イージーオスカー)
- 『雲助蔵出し2 - 初天神/やかん/粗忽の釘/寝床/にわかに』(2枚組、キントトレコード/イージーオスカー)
ほか
DVD
[編集]- 『五街道雲助其の壱 双蝶々・通し』(ビクターエンタテインメント)
- 『五街道雲助其の弐 宮戸川・通し/よかちょろ』(ビクターエンタテインメント)
- 『落語の極 平成名人10人衆 五街道雲助 明烏/猫定』(ポニーキャニオン)
- 『落語百選DVDコレクション』(デアゴスティーニ・ジャパン) 「芝浜」(2号)「妾馬」(5号)「幾代餅」(43号)「壺算」(46号)
- 『落語百選DVDコレクション アンコール二十選」 「宮戸川(通し)」(6号)
ほか
映画
[編集]- 『深海獣レイゴー』
TV
[編集]- こどもにんぎょう劇場「げんごろうの天のぼり」
- 演芸図鑑(NHK総合)
- カラーで蘇る古今亭志ん生(2023年9月17日、NHKEテレ)- ゲスト
- ワルイコあつまれ(2024年1月13日、Eテレ)-「国宝だって人間だ!」ゲスト
ラジオ
[編集]- 小痴楽の楽屋ぞめき(2024年9月17日、NHK第一)- 大御所ゲスト
著書
[編集]- 「雲助、悪名一代 成り下がりの粋」(白夜書房 落語ファン倶楽部新書、2013年9月)ISBN 978-4864940030
一門弟子
[編集]自身が珍しい名前を名乗っていることから、弟子には真打昇進と同時に珍しい名前を名乗らせている。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “秋の褒章、772人20団体の受章決まる”. 朝日新聞デジタル (2016年11月2日). 2016年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
- ^ 文化審議会の答申(重要無形文化財の指定及び保持者の認定等) - 文化庁 2023年7月21日 (PDF)
- ^ 重要無形文化財保持者 - 一般社団法人 落語協会 2023年7月21日
- ^ 「この名が国宝でいいのか」 落語界4人目の人間国宝・五街道雲助 - 朝日新聞デジタル 2023年7月21日
- ^ “墨田区名誉区民選定委員会”. 墨田区 (2024年8月15日). 2024年9月15日閲覧。
- ^ 「人間国宝の落語家・五街道雲助が東京・墨田区「名誉区民」選定!王貞治さんらに次ぐ3人目」『スポーツ報知』2025年9月25日。
- ^ 第41回浅草芸能大賞 受賞者決定のお知らせ! - 公益財団法人 台東区芸術文化財団 2024年11月6日
- ^ 五街道雲助 (2017年1月21日). “お知らせ/つれづれ”. 雲助’s homepage. asahi-net. 2020年2月10日閲覧。
- ^ 『雲助、悪名一代』白夜書房、20130925、103-104頁。ISBN 9784864940030。
- ^ 玉屋柳勢. “富十郎さん一世一代『船弁慶』後。雲助師匠と武智歌舞伎塾。”. [公式]噺家・玉屋柳勢 ( タマヤ・リユウセイ ). 20230508閲覧。
- ^ “「カラーで蘇(よみがえ)る古今亭志ん生」(2023年9月17日放送)”. NHK 日本放送協会. 2023年12月10日閲覧。
参考文献
[編集]- 諸芸懇話会、大阪芸能懇話会共編『古今東西落語家事典』平凡社、ISBN 458212612X
外部リンク
[編集]- 五街道雲助ホームページ
- 五街道雲助 - 落語協会
- 五街道雲助 - ソニー・ミュージックレーベルズ
- 五街道雲助 (@kumo_honjo) - X(旧Twitter)