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先進的物流施設

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
先進的物流施設である千葉県市川市にあるプロロジスパーク市川Ⅱ

先進的物流施設(せんしんてきぶつりゅうしせつ 英語:Advanced Logistics Centre, ALC. Advanced Logistics Facilitys, ALF)とは、先進的な機能を有する物流不動産(物流倉庫)のこと。海外では無人搬送車などを採用し自動化が進んだ物流施設を「スマートロジスティクスセンター」や「スマートロジスティクスパーク」などとも呼称する[1]

概要

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東京北部郵便局が入居する大和ハウスが運営するALC

明確な定義はないものの、物流不動産の業界においては、延床面積16,500㎡以上[2]の大規模で、床荷重1.5t/㎡以上、有効天井高5.5m以上、柱間隔10m以上の機能を兼ね備えたものを指すことが多い[2]。また、高速道路幹線道路空港などに隣接し[2]大型トラックが最上階まで上がれる構造であること[2]、オフィス、コンビニエンスストア、休憩スペース等の従業員の快適性を重視した施設の設置や[2]、環境面に配慮し耐震・免震性能や非常用発電機の設置などの機能を備えている倉庫を指す[2]。日本においてはプロロジスが開発してきた仕様が業界スタンダードとなっている[2]。大手の物流不動産プロバイダーのプロロジス、日本GLP大和ハウス(物流不動産の御三家)が先進的物流施設の開発を推進し物流業界を牽引している。

また、類似の用語としては、プロロジスによる「Aクラス物流施設」等がある[3]。また、CBRE等はマルチテナント型の先進的物流施設を「大型マルチテナント型物流施設(LMT = Large Multi-Tenant Properties)」と称している[4]

物流部門をアウトソーシングするサード・パーティー・ロジスティクス(3PL)、電子商取引(eコマース)や越境EC市場の急速な拡大など需要が高まり[5]、投資用不動産としての人気も高まっているため、外資系企業や日系大手デベロッパーによる先進的物流施設の開発や[6]、先進的物流施設を中心に物流不動産(物流施設)に投資するJ-REIT及び私募リート等の不動産ファンドも増えている[7]。業界最大手であるプロロジスによれば、ALCの供給不足率はアメリカで30%、欧州で15%、日本では3%となっており、この数値から日本では拡大が見込めると期待されている[5]。また、Eコマース企業は在庫の回転率が高く、取り扱い点数が多いロングテールモデルであることや、返品などリバースロジスティクス行うため実店舗を運営する企業よりも3倍の床面積が必要とされる[5][8]

広大な床面積を生かし、倉庫だけでなく運輸会社の営業所やデータセンター撮影スタジオコールセンターとしての利用も広がっている[9]。生産から管理、配送までを一元的に管理できるため、工場機能を組み込むハイブリッド形態も誕生しているが、用途変更や消防法への対応が容易でない所が今後の課題である[9]

防災拠点

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先進的物流施設は大型で遠くからでも目立ち[10]、建物自体堅牢性が高く、免震構造となっているため地震台風に強く、津波などの非常時にも車両がアクセスしやすい大型スロープを備えているなど各種災害に強いうえ[11]、屋根には非常用発電機や太陽光発電パネルが設置され、飲料水の継続供給のため地下水浄化システム、衛星電話などを備えているなど事業継続計画(BCP)を考慮した設計となっているため[11][12]、災害発生時には大型の避難施設として、各避難所に対するラストワンマイル拠点として自治体との間で協定が結ばれている[13][14]

物流不動産市場

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鹿島建設によって建設された日本最大級となるALC、ヤマト運輸羽田クロノゲート
大和ハウスなど共同企業体(JV)によって建設されたヤマト運輸が入居する関西ゲートウェイ

日本の物流不動産市場について、2010年時点において物流大手の日本GLPとプロロジス(AMB含む)で、日本の物流不動産市場の床面積の51%の供給を行っていた。大手デベロッパーの三井不動産のシェア1%、ハウスメーカー大和ハウス工業のシェアは2%程度である。

日本の物流不動産市場の主要プレーヤーと床面積シェア(2010)[15]

順位 物件名称 シェア
1 GLP(日本GLP) 26%
2 プロロジス 15%
3 AMB 10%
4 ラサール 10%
5 オリックス 7%
6 日ロジファンド投資法人 6%
7 日本レップ(グッドマン) 3%
8 野村不動産 3%
9 大和ハウス工業 2%
10 メープルツリー 2%
11 産業ファンド投資法人 2%
12 三井不動産 1%

先進的物流施設の主なブランド

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「先進的物流施設」という用語は、プロロジスGLPGLP投資法人[16]三井不動産三井不動産ロジスティクスパーク投資法人[17]住友商事SOSiLA物流リート投資法人[18]等により使用されている。

先進的物流施設のブランド名

デベロッパー名 ブランド名 概要
GLP(日本GLP) ALFAKINK GLP ALFALINK流山の延床面積90万㎡は世界最大級
プロロジス 「プロロジスパーク」
三井不動産 「MFLP」
住友商事 「SOSiLA」

日本の物流REIT

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出典

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  1. ^ Smart logistics zone realizes carbon neutrality in NW China”. Xinhua 新華社 (2022年3月10日). 2022年4月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 先進的物流施設の要件”. プロロジス. 2022年4月2日閲覧。
  3. ^ Aクラス物流施設への重点投資|投資法人の特徴|日本プロロジスリート投資法人
  4. ^ 首都圏の物流需要を 牽引する eコマース|ジャパンビューポイント | CBRE
  5. ^ a b c プロロジス/先進的物流施設は今後も伸張”. Lnews (2016年10月12日). 2022年4月9日閲覧。
  6. ^ 物流業界の動向を見る~前編、日本市場 | SPEEDA
  7. ^ 東証 Jリートview 物流リート特集
  8. ^ EC(電子商取引)拡大により模索が続く米国や日本の小売り・物流企業”. 独立行政法人日本貿易振興機構 (2018年2月8日). 2022年4月13日閲覧。
  9. ^ a b “多様化する物流施設−「倉庫+工場」新たな需要”. 日刊工業新聞. (2018年3月1日). https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00463963 
  10. ^ 大和ハウス工業 大型物流施設を防災ランドマーク化”. 物流Weekly (2021年9月13日). 2022年4月1日閲覧。
  11. ^ a b プロロジス、災害時における物流施設利用について大阪市と協定を締結(プレスリリース)”. プロロジス (2022年2月15日). 2022年4月1日閲覧。
  12. ^ Prologis Japan Corporate”. Prologis Japan公式YouTube channel (2014年7月19日). 2022年4月18日閲覧。
  13. ^ 日本GLP/神奈川県と災害時広域物資輸送拠点開設で協定締結”. Lnews (2022年3月30日). 2022年4月1日閲覧。
  14. ^ 日本GLP、岡山県総社市で3棟目の物流施設を完工”. Logistics Today (2022年3月18日). 2022年4月1日閲覧。
  15. ^ 物流不動産第1部 ファンドバブルは復活するか[特集:ロジスティクス・ビジネス[LOGI-BIZ]バックナンバー]”. magazine.logi-biz.com. 2021年7月24日閲覧。
  16. ^ 先進的物流施設への重点投資|GLP J-REITの特徴|GLP投資法人の概要|GLP投資法人
  17. ^ MFLPへの重点投資|投資戦略|投資法人の特徴|三井不動産ロジスティクスパーク投資法人
  18. ^ SOSiLAについて|投資法人の特徴|SOSiLA物流リート投資法人

関連項目

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外部リンク

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