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天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議(てんのうのこうむのふたんけいげんにかんするゆうしきしゃかいぎ)は2016年から2017年に開催された天皇・皇室に関する有識者会議である。
経緯
[編集]歴代 | 諱 | 読み | 生年 | 御称号 | 践祚[1] | 在位期間 | 続柄 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第125代 | 明仁 | あきひと | 昭和8年(1933年) 12月23日(90歳) |
つぐのみや 継宮 |
昭和64年(1989年) 1月7日 |
35年320日 | 第124代昭和天皇 第一皇男子 |
2016年(平成28年)8月8日15時に日本で放送された、第125代今上天皇自らによるビデオ映像(象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば)において高齢による公務負担を表明した。これを受け第97代内閣総理大臣・安倍晋三は「本日今上天皇よりお言葉がありました。私としては今上天皇ご自身が国民に向けてご発言されたことを重く受け止めている。」と記者団にコメント。[2]
9月23日、 内閣官房を事務局とする「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の開催を決定。今上天皇が現在82歳(当時)と御高齢であることも踏まえ、公務の負担軽減等を検討するため、様々な専門家と意見交換を行う有識者会議が開催された。2017年3月には、「「天皇の退位等についての立法府の対応」に関する衆参正副議長による議論のとりまとめ」が政府に伝えられた。5月19日、政府が退位を実現する特例法案を閣議決定、国会提出。6月での特例法案の成立、交付を目指す。
関連する法律
[編集]
- 皇室典範第4条
- 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。
- 同第5條
- 皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃および女王を皇族とする。
- 同第8條
- 皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という。
- 同第23條
- 天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする。
- 前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。
- 同第27條
- 天皇、皇后、太皇太后及び皇太后を葬る所を陵、その他の皇族を葬る所を墓とし、陵及び墓に関する事項は、これを陵籍及び墓籍に登錄する。
- 皇室経済法第3条
- 予算に計上する皇室の費用は、これを内廷費、宮廷費及び皇族費とする。
- 同第4条
- 内廷費は、天皇並びに皇后、太皇太后、皇太后、皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃及び内廷にあるその他の皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てるものとし、別に法律で定める定額を、毎年支出するものとする。
- 同第6条
- 皇族費は、皇族としての品位保持の資に充てるために、年額により毎年支出するもの及び皇族が初めて独立の生計を営む際に一時金額により支出するもの並びに皇族であつた者としての品位保持の資に充てるために、皇族が皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により支出するものとする。その年額又は一時金額は、別に法律で定める定額に基いて、これを算出する。
- 同第7条
- 皇位とともに伝わるべき由緒ある物は、皇位とともに、皇嗣が、これを受ける。
最終報告
[編集]特例法での退位
[編集]皇室典範改正ではなく、附則に特例法と皇室典範の関係を示す規定を置き、特例法を制定する。
「太上天皇」は単語に「天皇」が含まれており、新天皇との象徴や権威の二重性の問題を回避する必要があるため避ける。
上皇の后の称号は「上皇后」
[編集]「皇太后」は旧皇室典範の制定以降は、天皇が崩御した未亡人との意味合いを帯びたものになっている。また、退位後の天皇の配偶者であることが分かりにくい。歴史上でもそのまま称号を継続したり、女院号・皇太后への変更、中宮から皇后に変更したりと統一したルールはない。 現在、婚姻により皇族の身分を取得した女性皇族の称号は、「皇后」・「皇太子妃」・「親王妃」・「王妃」など天皇及び男性皇族の称号と后、妃を組み合わせたものとしている。このことから上皇に后をつけた「上皇后」とすることが適当。
退位後の天皇及びその后の敬称は「陛下」
[編集]天皇・皇后・皇太后・太皇太后の敬称が「陛下」であることからそれに合わせるのが適当。
退位後の天皇は皇位継承・摂政・臨時代行就任・皇室会議議員就任資格を有しない
[編集]公務を行うのが困難になることからの退位のため、再度皇位に就くことは、退位の理由と矛盾する。摂政・国事行為臨時代行・皇室会議議員は同じ理由から有しない。后については皇后、太皇太后、皇太后は、摂政・臨時代行・皇室会議議員に就任できるとされてることから就任することを妨げない。
退位後の天皇が崩御した場合、大喪の礼を行う
[編集]次期皇位継承順位第一位は弟宮の秋篠宮文仁親王だが、皇太弟は皇室典範に記載されてないため。
新たに「皇嗣職」を設け、皇嗣職の長として「皇嗣職大夫」を置く
[編集]継承後も文仁親王は宮家皇族(内廷外皇族)なため内廷費から支出されないことから。[注釈 1]
天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議出席者
[編集](役職は当時)
- 有識者会議メンバー
- 今井敬 日本経済団体連合会名誉会長 (座長)
- 小幡純子 上智大学大学院法学研究科教授
- 清家篤 慶應義塾長
- 御厨貴 東京大学名誉教授 (座長代理)
- 宮崎緑 千葉商科大学国際教養学部長
- 山内昌之 東京大学名誉教授
- ヒアリング対象者
- 平川祐弘 東京大学名誉教授
- 古川隆久 日本大学教授
- 保阪正康 ノンフィクション作家
- 大原康男 國學院大學名誉教授
- 所功 京都産業大学名誉教授
- 渡部昇一 上智大学名誉教授
- 岩井克己 ジャーナリスト
- 笠原英彦 慶應義塾大学教授
- 櫻井よしこ ジャーナリスト
- 石原信雄 元内閣官房副長官
- 今谷明 帝京大学特任教授
- 八木秀次 麗澤大学教授
- 百地章 国士舘大学大学院客員教授
- 大石眞 京都大学大学院教授
- 高橋和之 東京大学名誉教授
- 園部逸夫 元最高裁判所判事
- 秋下雅弘 東京大学大学院教授
- 本郷恵子 東京大学史料編纂所教授
- 君塚直隆 関東学院大学教授
- 新田均 皇學館大学現代日本社会学部長
- 政府側
- 安倍晋三 内閣総理大臣
- 菅義偉 内閣官房長官
- 杉田和博 内閣官房副長官
- 衛藤晟一 内閣総理大臣補佐官
- 古谷一之 内閣官房副長官補
- 近藤正春 内閣法制次長
- 西村泰彦 宮内庁次長
- 山﨑重孝 内閣総務官
- 平川薫 内閣審議官
議事概要
[編集]- 座長の選任
- 構成員の互選により、今井構成員を座長に選任。
- 運営方法等
有識者会議開催状況
[編集]- 第1回 平成28年 10月17日 内閣総理大臣挨拶・座長の選任・座長代理の指名
- 第2回 平成28年 10月27日
- 第3回 平成28年 11月7日 有識者ヒアリング
- 第4回 平成28年 11月14日 有識者ヒアリング
- 第5回 平成28年 11月30日 有識者ヒアリング
- 第6回 平成28年 12月7日 自由討議
- 第7回 平成28年 12月4日 自由討議
- 第8回 平成29年 1月11日 自由討議
- 第9回 平成29年 1月23日
- 第10回 平成29年3月22日 有識者ヒアリング
- 第11回 平成29年4月4日
- 第12回 平成29年4月6日 自由討議
- 第13回 平成29年4月13日 自由討議
- 第14回 平成29年4月21日 最終報告決定・安倍晋三内閣総理大臣への手交