コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

原島文雄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
原島 文雄
文化功労者顕彰に際して公表された肖像写真
人物情報
生誕 (1940-02-03) 1940年2月3日(84歳)[1][2]
東京都[3]
居住 日本の旗 日本
出身校 東京大学
奈良大学(在学中)[4]
両親 父 - 原島鮮[3]
学問
研究分野 電気工学制御工学ロボット工学技術史
研究機関 東京大学生産技術研究所
東京電機大学
博士課程指導学生 橋本秀紀[5]
学位 工学博士(東京大学)[6]
主な業績 国際会議IROSの立ち上げ[7]
影響を受けた人物 沢井善三郎[8]
影響を与えた人物 福田敏男[7][9]
学会 IEEE電気学会、日本ロボット学会、ほか
主な受賞歴 IEEE Third Millennium Medal、フランス教育功労賞オフィシエ、瑞宝重光章[10]
テンプレートを表示

原島 文雄(はらしま ふみお、1940年2月3日[1][2] - )は、電気工学制御工学ロボット工学を専門とする日本の教育研究者東京大学工学博士東京大学生産技術研究所で所長を務め、東京都立科学技術大学東京電機大学、首都大学東京では学長を務めた。学会活動では多くの国際会議を主導し、IEEE総務副会長、電気学会会長なども歴任。複数の「Harashima Award」に名を残す。

東京大学、東京都立科学技術大学、東京電機大学の名誉教授、2015年瑞宝重光章受勲。

来歴・人物

[編集]

原島は1967年頃からパワーエレクトロニクス制御工学メカトロニクスに関する研究を実施、学生の興味から1980年頃よりロボット工学にも発展する。1990年頃からはインテリジェントメカトロニクスの研究も実施している。生産技術研究所だったこともあり、多くの企業と共同研究を実施した[注釈 1]。また、1999年からの未来開拓事業「電磁波雑音の低減」[注釈 2]を主導し、2000年からの科学技術振興事業団のさきがけプロジェクト「相互作用と賢さ」[注釈 3]でも統括プロデューサーを務めた。

なお、1969年から1998年にかけ、東京大学大学院工学系研究科電気工学専門課程において制御システム論、電力変換工学、電気機械特論、ロボット工学の授業を担当[要出典]。この間、国内外で非常勤講師や講義を担当した[注釈 4][注釈 5]

東京大学生産技術研究所では所長も務めた。所長時代は六本木から駒場への研究所移転に関する業務が中心となった[11]1995年3月で所長を退任。

この頃香川大学が工科系学部の設立準備をしており、1995年10月に原島は「工学部創設のキーパーソン」として、同大学併任教授に就任[12][注釈 6]。1997年度の「創設準備等経費」「開学等経費」算出に貢献し[14]1997年10月の工学部発足時の所属は機械知能システム工学科自律制御工学講座教授[15]。1997年末で退任[16][注釈 7]

1998年4月、原島は東京都立科学技術大学学長に就任。退任後は東京電機大学教授に就任して研究を続けるが、ここでも学長を担当する。この間、電気学会で会長を務めている。その後、首都大学学長でも学長を務めた。

2015年で全ての役職を退任。技術史にも興味があった原島は、同年4月より奈良大学考古学を学んでいる[17]

履歴

[編集]

略歴

[編集]

(併任)

(名誉教授)

  • 2000年4月 - 東京大学 名誉教授
  • 2003年 - 東京都立科学技術大学 名誉教授
  • 2009年7月 - 東京電機大学 名誉教授[18]

受賞・栄典

[編集]

および

社会的活動

[編集]

学会活動

[編集]

所属学会

[編集]
  • IEEE - 1985年 産業エレクトロニクス部門副会長、1986-1987年 同会長、1998年 フェロー、1990年 取締役会会員・執行委員・総務副会長、1998年 フェロー、2009年 ライフフェロー
  • 電気学会 - 1984年 編集理事、1992年 理事・産業応用部門長、1994年 東京支部長、2000年 会長代理、2001-2002年 会長、2007年 電気技術史技術委員会委員長、2010年 名誉員
  • 計測自動制御学会 - 1985年 理事、1990年 フェロー
  • 日本ロボット学会 - 1989-1990年 理事、2005年 フェロー
  • 日本ディスタンスラーニング学会 - 1998年 副会長
  • 高速信号処理応用技術学会 - 1998年 会長
  • 電子情報通信学会 - ITS研究専門委員会顧問
  • 日本工学会 - 2009年フェロー

エディター

[編集]
  • 1995年 - Editor-in-Chief, IEEE/ASME Transactions on Mechatronics( - 1996年
  • 2001年 - Editor-in-Chief, IEEE Transactions on Industrial Electronics

国際会議

[編集]

以下の国際会議を組織した。

  • 1983年 - Program Chair, International Power Electronics Conference(IPEC)
  • 1984年 - General chair, IEEE/IECON[20]
  • 1988年 - Organizing Chair, IEEE/IROS
  • 1989年 - Honorary Organizing Chair, IEEE/IROS
  • 1990年 - Organizing Chair, IPEC
  • 1994年 - Honorary Organizing Chair, IEEE/International Joint Conference on Neural Networks (IJCNN)
  • 1995年 - Honorary Organizing Chair, IPEC
  • 1995年 - Organizing Chair, IEEE/International Conference on Robotics and Automation(ICRA)
  • 1997年 - Organizing Chair, IEEE/ASME International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics
  • 1999年 - Organizing Chair, IEEE International Conference on Intelligent Transportation Systems
  • 1999年 - Organizing Chair, IEEE International Conference on Systems, Man and Cybernetics[21]
  • 2000年 - Organizing Chair, IEEE/IECON[22]

原島賞

[編集]

工学分野における原島の業績を記念して、以下の諸賞が設けられた。

  • 2003年 - Fumio Harashima Mechatronics Award, Institute of Control and Automation Engineers(大韓民国[23]
  • 2005年 - Fumio Harashima Best Paper Award, IEEE International Confrence on Emerging Technology and Factory Automation
  • 2006年 - IROS Fumio Harashima Award, IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robot and Systems (IROS)[24]

著作

[編集]

学位論文

[編集]

著書

[編集]

(監修)

  • 『インテリジェントネットワークシステム入門』(山口亨、久保田直行、高間康史 共編著)コロナ社、2008年6月。ISBN 9784339024296

(編集)

  • Ljubo Vlacic, Michel Parent, Fumio Harashima, ed (2001-05). Intelligent Vehicle Technologies. Automotive Engineering. Butterworth-Heinemann. ISBN 0750650931 
  • Fumio Harashima, ed (1990-10). Integrated Micro-Motion Systems: Micromachining, Control, and Applications : A Collection of Contributions Based on Lectures Presented at the Third. Elsevier Science Ltd. ISBN 0444884173 

(非売品)

  • 原島文雄、計測自動制御学会技術史委員会、オーラルヒストリー研究推進委員会 編『先達は語る』オーラルヒストリー研究推進委員会、2009年1月。 NCID BB05772985 [25]

記事・解説

[編集]

インタビュー記事

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 日立製作所東芝三菱電機富士電機東洋電機電元社製作所トヨタ自動車矢崎総業リコー東北電力川崎電気日本電信電話公社日本国有鉄道住友重機アマダ、など[要出典]
  2. ^ 予算規模は約5億円[要出典]
  3. ^ 予算規模は約10億円[要出典]
  4. ^ 東京都立大学 (1949-2011)徳島大学愛媛大学九州工業大学広島大学岡山大学名古屋大学室蘭工業大学などで非常勤講師を務めた[要出典]
  5. ^ 国外のアーヘン工科大学ミズーリ大学ローマ・ラ・サピエンツァ大学パドヴァ大学クイーンズ大学ヴァンダービルト大学ルンド大学レニングラード工科大学カリフォルニア大学カリフォルニア工科大学ブダペスト工科大学ワルシャワ工科大学イスタンブール工科大学ボアズィチ大学マドリード工科大学ノルウェー工科大学スイス連邦工科大学ローザンヌ校ソウル大学全南大学韓国科学技術院光州科学技術院釜山大学香港大学上海工業大学英語版(上海大学の前身)、サンパウロ大学ワイオミング大学東明大学朝鮮語版シンガポール国立大学などでも講義を行った[要出典]
  6. ^ 香川大学が文部省と交渉していく中で、地域の支援、校地問題、既設学部の振り替え、定員振り替えなどとともに「キーパーソン」について指摘されており[13]、文献(香川大学工学部 2007)では原島を工学部キーパーソンとして扱っている[13][14]
  7. ^ a b 文献(香川大学工学部 2007, p. 130)には「1997年末に離職」とあるが、正確な年月日が書かれていない。1997年度末ということであれば1998年3月、1997年末だと11月や12月の可能性もある。
  8. ^ 受賞論文 - 『界磁電流の変動が無整流子電動機の動作特性に与える影響の解析』
  9. ^ 受賞理由 - パワーエレクトロニクス・モーションコントロール技術の発展と学会の活性化・国際化に対する貢献
  10. ^ 受賞理由 - 電気技術顕彰制度設立における諸活動
  11. ^ 受賞論文 - 『カルマン・フィルタを用いた自動車の自動操舵系の最適設計』
  12. ^ 受賞理由 - IROS の創設と運営
  13. ^ 英語版 (PDF). 2017年5月27日閲覧。

出典

[編集]
  1. ^ a b 橋本秀紀、國井康晴、原島文雄、Vadim I. Utkin、Sergey V. Drakunov「静電ポテンシャル法及びSliding Modeを用いた多自由度マニピュレータの障害物回避制御」、『日本ロボット学会誌』第11巻第8号、1993年、1220-1228頁。
  2. ^ a b c 首都大学東京 次期学長予定者の決定について』(プレスリリース)公立大学法人首都大学東京、2012年11月20日http://www.houjin-tmu.ac.jp/news/press/3146.html?d=assets/files/download/press/press_121120.pdf2016年5月3日閲覧 
  3. ^ a b 関塾タイムス 2011.
  4. ^ a b HARASHIMA 2016.
  5. ^ 橋本秀紀『可変構造系による制御系設計』東京大学〈博士論文(甲第7376号)〉、1987年3月30日https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000195496-00 
  6. ^ a b 原島文雄 1967.
  7. ^ a b 福田敏男 2006.
  8. ^ 原島文雄 1974.
  9. ^ ロボット学会誌 2007.
  10. ^ a b “秋の叙勲 受章者(その1) 桐花大綬章/旭日大綬章/瑞宝大綬章/旭日重光章/瑞宝重光章/旭日中綬章/瑞宝中綬章”. 毎日新聞(東京朝刊). (2015年11月3日). オリジナルの2016年5月3日時点におけるアーカイブ。. https://archive.fo/20160503113039/http://mainichi.jp/articles/20151103/ddm/010/040/016000c 
  11. ^ 原島文雄「生研創立50周年に寄せて―何もかも手に入れた生研 これからどうする―」、『生産研究』第51巻第5号、1999年3月、271頁。
  12. ^ 香川大学工学部 2007, p. 43.
  13. ^ a b 香川大学工学部 2007, pp. 140–141.
  14. ^ a b 香川大学工学部 2007, pp. 193–194.
  15. ^ 香川大学工学部 2007, p. 43,130.
  16. ^ a b 香川大学工学部 2007, p. 130.
  17. ^ Harashima 2016.
  18. ^ 名誉教授称号の贈呈について』(プレスリリース)東京電機大学、2009年7月24日http://web.dendai.ac.jp/news/20090724-02.html2016年5月3日閲覧 
  19. ^ 令和2年度 文化功労者”. 文部科学省 (2020年11月3日). 2020年11月9日閲覧。
  20. ^ 原島文雄「IEEE IECON '86報告」、『日本ロボット学会誌』第5巻第2号、1987年、167頁。
  21. ^ ヒューマン・コミュニケーションとサイバネティクス ―IEEEシステム・マン・サイバネティクス国際会議 (SMC'99) ―」、『学術の動向』第5巻第5号、2000年、90-92頁。
  22. ^ 原島文雄、福田敏男https://doi.org/10.5363/tits.6.3_82 未来のインテリジェントな生活ライフをめざした第26回IECON会議―2000年IEEE計測制御・情報システム国際会議―]」、『学術の動向』第6巻第3号、2001年、82-85頁。
  23. ^ 原島賞”. 相互作用と賢さ. 科学技術振興機構. 2016年5月3日閲覧。
  24. ^ IROS Harashima Award for Innovative Technologies”. IEEE Robotics and Automation Society. 2016年5月3日閲覧。(英語)
  25. ^ 先達は語る”. Webcat Plus. 国立情報学研究所. 2017年5月27日閲覧。

参考文献

[編集]

外部リンク

[編集]

(インタビュー)

先代
沢邦彦
電気学会会長
2001年 - 2002年
次代
種市健
先代
当麻喜弘
東京電機大学学長
2004年 - 2008年
次代
古田勝久