国鉄ワム1形貨車
国鉄ワム1形貨車 | |
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基本情報 | |
車種 | 有蓋車 |
運用者 |
鉄道省 運輸通信省 運輸省 日本国有鉄道 |
所有者 |
鉄道省 運輸通信省 運輸省 日本国有鉄道 |
旧形式名 | ワム19780形、ワム23000形 |
改造年 | 1928年(昭和3年)* |
総数 | 1,787両 |
消滅 | 1968年(昭和43年) |
主要諸元 | |
車体色 | 黒 |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 7,830 mm |
全幅 | 2,565 mm |
全高 | 3,734 mm |
荷重 | 15 t |
実容積 | 36.3 m3 |
自重 | 6.4 t - 8.8 t |
換算両数 積車 | 2.0 |
換算両数 空車 | 1.0 |
走り装置 | 一段リンク式 |
車輪径 | 860 mm |
軸距 | 3,962 mm |
最高速度 | 65 km/h |
備考 | *称号規程改正年 |
国鉄ワム1形貨車(こくてつワム1がたかしゃ)は、かつて日本国有鉄道(国鉄)に在籍した有蓋貨車である。
概要
[編集]ワム1形は、鉄道院・鉄道省が製作した、15トン積み二軸車有蓋車で、1928年(昭和3年)の車両称号規程改正により、ワム19780形およびワム23000形(初代)を改番したものである。この改番により、1,666両が本形式となったほか、佐久鉄道、芸備鉄道、宇部鉄道、鶴見臨港鉄道、豊川鉄道、飯山鉄道、北海道鐵道、胆振縦貫鉄道からの買収編入車と二車現存の書き換えが10両あり、最終番号はワム1787である。
本形式は、鉄道国有化後の標準形式となり、列車重量や長さを規定する換算両数の基準となった。
ワ19780形(ワム19780形)
[編集]ワ19780形は、1914年(大正3年)に100両(ワ19780 - ワ19879)が製造された、14トン積みの有蓋車である。軍馬の輸送に適した車体高さを持った貨車(6頭積載可能)として馬を繋いでおく馬環も設けられ、記号「ム(務馬=ムマのム)」を付すことになり、翌1915年(大正4年)にワム19780形に改称された。この記号「ム」は、1928年の車両称号規程改正時に14 - 16トン積みの貨車を表す記号として流用され、重量記号「ム・ラ・サ・キ」の元となった。
また、積載荷重は後年、次級ワム32000形と同じ15トン積みに変更されている。
車体は、鋼製の柱を車体外部に立て、側板として木板を横羽目としたもので、側面には、幅1,370 mm の荷役用片引き扉が設けられている。引き戸は木製であったが、後に木製から鋼製に交換されたものもある。側板には、後年、補強として鋼板の筋交いが設けられたものが多かった。床と屋根は木製である。妻面上部には、1個の通風器が設置されている。
台枠は、前級から引き続いて鋼製である。軸ばねの支持装置は、(一段)リンク式であったが、ばねの折損事故が相次いだため、後年シュー式にグレードダウンされたものがある。次級ワム32000形(後のワム3500形)の車軸が長軸であるのに対し、本形式は10トン短軸であることが大きな違いとなっている。最高速度は65 km/h である。
諸元については、全長7,830 mm、全幅2,565 mm、全高3,734 mm、容積36.3 m3、軸距は3,962 mm、自重は6.4 t - 8.8 tである。
ワム23000形
[編集]ワム23000形は、ワム19780形の改良型として、1915年(大正4年)から1917年(大正6年)にかけて1,600両(ワム23000 - ワム24599)が製造された鉄道院初の15トン積み二軸有蓋車である。基本構造はワム19780形と同様であるが、幅を2,740 mmとして、容積を38.7 m3に増している。自重は6.7 t - 9.0 t である。
1928年車両称号規程改正後
[編集]1928年(昭和3年)車両称号規程改正時には、ワム19780形97両(ワム19780 - ワム19820、ワム19822 - ワム19827、ワム19829 - ワム19841、ワム19843 - ワム19879)、ワム23000形1,569両(ワム23000 - ワム24599、31両欠)がワム1形とされた。
本形式は、汎用有蓋車として全国で使用されたが、1956年(昭和31年)頃から老朽化のため本格的に廃車が始まった。経年が高いことから1968年(昭和43年)10月1日ダイヤ改正にともなう高速化(最高速度75 km/h 対応)改造の対象から外され、同年度までに形式消滅した。
形式間改造
[編集]トム3400形
[編集]トム3400形は、1945年(昭和20年)に本形式を改造した15 t 積み無蓋車で、2両(トム3400, トム3401)が在籍した。しかし早くも5年後の1950年(昭和25年)に「第二次貨車特別廃車」の対象形式となり5月20日に通達「車工第376号」により告示された(この時点で在籍車1両であった)。同年に廃車となり形式消滅した。
サ1形
[編集]サ1形は、事業用となっていたワム1形13両を1953年(昭和28年)の称号規程改正の際に、正式に工作車に区分類別(サ1 - サ13)したものである。その後4両(サ14 - サ17)が、1955年(昭和30年度)に追加改造され、合計17両(サ1 - サ17)が本形式となったが、1972年(昭和47年)に形式消滅した。
改造後 | 改造前 | 改造後 常備駅 |
廃車年月日 | 改造後 | 改造前 | 改造後 常備駅 |
廃車年月日 | |
サ1 | ワム233 | 旭川駅 | サ11 | ワム1121 | 小倉駅 | 1958年(昭和33年)10月1日 | ||
サ2 | ワム337 | 長崎駅 | 1961年(昭和36年)3月31日 | サ12 | ワム1565 | 小倉駅 | 1958年(昭和33年)6月20日 | |
サ3 | ワム413 | 熊本駅 | 1959年(昭和34年)6月16日 | サ13 | ワム1628 | 五稜郭駅 | ||
サ4 | ワム551 | 鳥栖駅 | 1960年(昭和35年)3月31日 | サ14 | ワム58 | 静岡駅 | 1965年(昭和40年)6月26日 | |
サ5 | ワム567 | 青森駅 | サ15 | ワム652 | 函館駅 | |||
サ6 | ワム722 | 旭川駅 | サ16 | ワム866 | 塩尻駅 | 1959年(昭和34年)12月21日 | ||
サ7 | ワム885 | 長野駅 | 1959年(昭和34年)12月16日 | サ17 | ワム894 | 塩尻駅 | 1958年(昭和33年)8月20日 | |
サ8 | ワム922 | 五稜郭駅 | 1962年(昭和37年)2月27日 | |||||
サ9 | ワム1052 | 静岡駅 | 1964年(昭和39年)8月17日 | |||||
サ10 | ワム1114 | 鹿児島駅 | 1958年(昭和33年)4月15日 |
エ1形
[編集]この節の加筆が望まれています。 |
エ1形は、事業用となっていたワム1形204両を1953年(昭和28年)の称号規程改正の際に、正式に救援車に区分類別(エ1 - エ204)したものである。その後1955年(昭和30年度)より18両(エ205 - エ222)が、同じくワム1形より追加改造され合計222両(エ1 - エ222)が本形式となった。改造より早くも2年後の1955年(昭和30年)から廃車が始まり、1972年(昭和47年)に形式消滅した。
改造後 | 改造前 | 改造後 配置局 |
改造後 | 改造前 | 改造後 配置局 |
改造後 | 改造前 | 改造後 配置局 | ||
エ1 | ワム1 | 仙台 | エ75 | ワム886 | 札幌 | エ149 | ワム1423 | 長野 | ||
エ2 | ワム9 | 静岡 | エ76 | ワム889 | 門司 | エ150 | ワム1435 | 新潟 | ||
エ3 | ワム12 | 青函 | エ77 | ワム896 | 東京 | エ151 | ワム1442 | 仙台 | ||
エ4 | ワム14 | 高崎 | エ78 | ワム902 | 天王寺 | エ152 | ワム1419 | 門司 | ||
エ5 | ワム15 | 東京 | エ79 | ワム909 | 青函 | エ153 | ワム1461 | 秋田 | ||
エ6 | ワム48 | 東京 | エ80 | ワム917 | 鹿児島 | エ154 | ワム1464 | 門司 | ||
エ7 | ワム67 | 門司 | エ81 | ワム927 | 新潟 | エ155 | ワム1468 | 長野 | ||
エ8 | ワム87 | 門司 | エ82 | ワム928 | 岡山 | エ156 | ワム1474 | 門司 | ||
エ9 | ワム91 | 東京 | エ83 | ワム934 | 門司 | エ157 | ワム1480 | 門司 | ||
エ10 | ワム100 | 熊本 | エ84 | ワム935 | 長野 | エ158 | ワム1488 | 札幌 | ||
エ11 | ワム104 | 仙台 | エ85 | ワム949 | 門司 | エ159 | ワム1492 | 門司 | ||
エ12 | ワム105 | 高崎 | エ86 | ワム950 | 千葉 | エ160 | ワム1500 | 門司 | ||
エ13 | ワム114 | 千葉 | エ87 | ワム955 | 長野 | エ161 | ワム1510 | 長野 | ||
エ14 | ワム119 | 名古屋 | エ88 | ワム959 | 札幌 | エ162 | ワム1513 | 天王寺 | ||
エ15 | ワム128 | 米子 | エ89 | ワム965 | 広島 | エ163 | ワム1514 | 門司 | ||
エ16 | ワム133 | 仙台 | エ90 | ワム970 | 盛岡 | エ164 | ワム1516 | 長野 | ||
エ17 | ワム155 | 熊本 | エ91 | ワム982 | 秋田 | エ165 | ワム1520 | 長野 | ||
エ18 | ワム176 | 札幌 | エ92 | ワム983 | 四国 | エ166 | ワム1522 | 長野 | ||
エ19 | ワム197 | 門司 | エ93 | ワム989 | 天王寺 | エ167 | ワム1528 | 新潟 | ||
エ20 | ワム199 | 名古屋 | エ94 | ワム998 | 新潟 | エ168 | ワム1529 | 米子 | ||
エ21 | ワム200 | 仙台 | エ95 | ワム1004 | 大阪 | エ169 | ワム1532 | 天王寺 | ||
エ22 | ワム205 | 岡山 | エ96 | ワム1017 | 東京 | エ170 | ワム1540 | 門司 | ||
エ23 | ワム208 | 東京 | エ97 | ワム1026 | 長野 | エ171 | ワム1545 | 仙台 | ||
エ24 | ワム210 | 門司 | エ98 | ワム1059 | 岡山 | エ172 | ワム1549 | 門司 | ||
エ25 | ワム229 | 長野 | エ99 | ワム1065 | 札幌 | エ173 | ワム1551 | 旭川 | ||
エ26 | ワム230 | 長野 | エ100 | ワム1068 | 仙台 | エ174 | ワム1553 | 盛岡 | ||
エ27 | ワム273 | 門司 | エ101 | ワム1088 | 秋田 | エ175 | ワム1555 | 旭川 | ||
エ28 | ワム277 | 盛岡 | エ102 | ワム1116 | 米子 | エ176 | ワム1559 | 長野 | ||
エ29 | ワム283 | 大分 | エ103 | ワム1125 | 秋田 | エ177 | ワム1560 | 高崎 | ||
エ30 | ワム295 | 仙台 | エ104 | ワム1130 | 盛岡 | エ178 | ワム1567 | 広島 | ||
エ31 | ワム306 | 札幌 | エ105 | ワム1133 | 水戸 | エ179 | ワム1583 | 秋田 | ||
エ32 | ワム312 | 札幌 | エ106 | ワム1141 | 門司 | エ180 | ワム1586 | 札幌 | ||
エ33 | ワム315 | 東京 | エ107 | ワム1148 | 高崎 | エ181 | ワム1596 | 札幌 | ||
エ34 | ワム316 | 東京 | エ108 | ワム1156 | 門司 | エ182 | ワム1598 | 広島 | ||
エ35 | ワム327 | 大分 | エ109 | ワム1166 | 新潟 | エ183 | ワム1600 | 長野 | ||
エ36 | ワム350 | 大分 | エ110 | ワム1172 | 天王寺 | エ184 | ワム1613 | 新潟 | ||
エ37 | ワム364 | 東京 | エ111 | ワム1176 | 大阪 | エ185 | ワム1617 | 水戸 | ||
エ38 | ワム373 | 東京 | エ112 | ワム1177 | 札幌 | エ186 | ワム1618 | 高崎 | ||
エ39 | ワム398 | 天王寺 | エ113 | ワム1178 | 米子 | エ187 | ワム1623 | 門司 | ||
エ40 | ワム444 | 盛岡 | エ114 | ワム1189 | 新潟 | エ188 | ワム1631 | 長野 | ||
エ41 | ワム454 | 熊本 | エ115 | ワム1191 | 天王寺 | エ189 | ワム1634 | 東京 | ||
エ42 | ワム455 | 大阪 | エ116 | ワム1196 | 四国 | エ190 | ワム1639 | 東京 | ||
エ43 | ワム456 | 盛岡 | エ117 | ワム1213 | 新潟 | エ191 | ワム1640 | 天王寺 | ||
エ44 | ワム473 | 四国 | エ118 | ワム1218 | 門司 | エ192 | ワム1657 | 岡山 | ||
エ45 | ワム482 | 大分 | エ119 | ワム1219 | 新潟 | エ193 | ワム1664 | 天王寺 | ||
エ46 | ワム493 | 門司 | エ120 | ワム1226 | 大分 | エ194 | ワム1670 | 岡山 | ||
エ47 | ワム500 | 岡山 | エ121 | ワム1235 | 鹿児島 | エ195 | ワム1674 | 長野 | ||
エ48 | ワム521 | 大阪 | エ122 | ワム1237 | 秋田 | エ196 | ワム1678 | 門司 | ||
エ49 | ワム527 | 天王寺 | エ123 | ワム1250 | 長野 | エ197 | ワム1703 | 仙台 | ||
エ50 | ワム542 | 高崎 | エ124 | ワム1253 | 千葉 | エ198 | ワム1708 | 門司 | ||
エ51 | ワム565 | 門司 | エ125 | ワム1257 | 札幌 | エ199 | ワム1423 | 札幌 | ||
エ52 | ワム566 | 高崎 | エ126 | ワム1261 | 門司 | エ200 | ワム1435 | 水戸 | ||
エ53 | ワム578 | 盛岡 | エ127 | ワム1267 | 東京 | エ201 | ワム1442 | 旭川 | ||
エ54 | ワム588 | 静岡 | エ128 | ワム1281 | 天王寺 | エ202 | ワム1419 | 天王寺 | ||
エ55 | ワム605 | 東京 | エ129 | ワム1294 | 青函 | エ203 | ワム1461 | 鹿児島 | ||
エ56 | ワム639 | 盛岡 | エ130 | ワム1208 | 鹿児島 | エ204 | ワム1464 | 広島 | ||
エ57 | ワム680 | 門司 | エ131 | ワム1313 | 新潟 | エ205 | ワム32 | 盛岡 | ||
エ58 | ワム686 | 岡山 | エ132 | ワム1316 | 岡山 | エ206 | ワム304 | 東京 | ||
エ59 | ワム691 | 青函 | エ133 | ワム1319 | 門司 | エ207 | ワム311 | 東京 | ||
エ60 | ワム695 | 東京 | エ134 | ワム1328 | 長野 | エ208 | ワム419 | 大阪 | ||
エ61 | ワム696 | 青函 | エ135 | ワム1343 | 広島 | エ209 | ワム610 | 名古屋 | ||
エ62 | ワム701 | 青函 | エ136 | ワム1365 | 東京 | エ210 | ワム627 | 米子 | ||
エ63 | ワム723 | 札幌 | エ137 | ワム1366 | 四国 | エ211 | ワム796 | 新潟 | ||
エ64 | ワム749 | 札幌 | エ138 | ワム1370 | 札幌 | エ212 | ワム864 | 東京 | ||
エ65 | ワム761 | 札幌 | エ139 | ワム1371 | 長野 | エ213 | ワム972 | 盛岡 | ||
エ66 | ワム763 | 天王寺 | エ140 | ワム1372 | 岡山 | エ214 | ワム1020 | 天王寺 | ||
エ67 | ワム773 | 札幌 | エ141 | ワム11375 | 新潟 | エ215 | ワム1472 | 新潟 | ||
エ68 | ワム782 | 米子 | エ142 | ワム1379 | 鹿児島 | エ216 | ワム1508 | 盛岡 | ||
エ69 | ワム785 | 釧路 | エ143 | ワム1381 | 旭川 | エ217 | ||||
エ70 | ワム806 | 米子 | エ144 | ワム1396 | 仙台 | エ218 | ||||
エ71 | ワム817 | 静岡 | エ145 | ワム1408 | 門司 | エ219 | ||||
エ72 | ワム839 | 仙台 | エ146 | ワム1420 | 岡山 | エ220 | ||||
エ73 | ワム852 | 米子 | エ147 | ワム1421 | 米子 | エ221 | ||||
エ74 | ワム884 | 熊本 | エ148 | ワム1422 | 米子 | エ222 |
ポ300形
[編集]ポ300形は、1955年(昭和30年)にトキ900形より20両、1956年(昭和31年)に本形式より20両、1957年(昭和32年)に本形式より20両が改造された陶器車で、合計60両(ポ300 - ポ359)が在籍した。改造工事はすべて長野工場にて行われた。外観・性能は、ワ12000形と同じである。1971年(昭和46年)までに全車廃車となった。
ウ500形
[編集]ウ500形豚積車の一部は、本形式の改造名義により製作された。1957年(昭和32年)に新津工場にて50両、1958年(昭和33年)に新津工場にて25両、長野工場にて25両の合計100両(ウ500 - ウ599)が改造されている。
いずれも改造に際して軸ばねの支持装置を、(一段)リンク式から二段リンク式へと変更した。
類型車
[編集]本形式は、地方鉄道の勃興期に製造されたことから、私鉄向けの類型車の製造も多い。これら類型車の内、佐久鉄道、芸備鉄道、宇部鉄道、鶴見臨港鉄道、豊川鉄道、飯山鉄道、北海道鐵道、胆振縦貫鉄道からの買収車が、本形式に編入されている。
北海道鉄道ワム1形
[編集]北海道鉄道(2代)ワム1形は、1922年(大正11年) - 1926年(大正15年)に9両(ワム1 - ワム9)が日本車輌製造で製造された同形車である。1943年(昭和18年)8月の戦時買収に伴い鉄道省に編入され、ワム1形(ワム1742 - ワム1750)となった。
西武鉄道ワム1形
[編集]ワム1形は、15 t 積み木造有蓋車で3両在籍した。 ワム1は1928年(昭和3年)に製作されたの旧西武鉄道ワム101の引継車。ワム2,ワム3は1951年(昭和26年)に国鉄より払下を受けた元国鉄ワム1形。 いずれも短軸を用いた車輪である。
小湊鉄道ワム1形
[編集]小湊鉄道ワム1形は、1924年(大正13年)3月に2両(ワム1, ワム2)が東洋車輛で製造された同形車である。
鶴見臨港鉄道ワム3000形
[編集]鶴見臨港鉄道ワム3000形は、1926年(大正15年)3月に3両(ワム3001 - ワム3003)が鶴見木工で製造された同形車である。1943年(昭和18年)7月の戦時買収に伴い鉄道省に編入され、ワム1形(ワム1719 - ワム1721)となった。
胆振鉄道ワム1形
[編集]胆振鉄道ワム1形は、1928年(昭和3年)の開業時に1両(ワム1)が日本車輌製造東京支店で製造された同形車である。製造時は空気ブレーキは装備していなかったが、1932年(昭和7年)2月に取り付けられた。1941年(昭和16年)の胆振縦貫鉄道合併時には、ワム3と改番されている。1944年(昭和19年)7月の戦時買収に伴い鉄道省に編入され、ワム1形(ワム1770)となった。
津軽鉄道ワム1形
[編集]津軽鉄道ワム1形は、開業に際して1929年(昭和4年)に6両(ワム1 - ワム6)が日本車輌製造で製造された同形車である。国鉄直通車として使用された。2012年現在、ワム5が現存している。
大井川鉄道ワム1形
[編集]大井川鉄道ワム1形は、1930年(昭和5年)に1両(ワム1)が日本車輌製造で製造された同形車である。
羽幌炭礦鉄道ワム200形
[編集]羽幌炭礦鉄道ワム200形は、1943年(昭和18年)の同鉄道開業に際して鉄道省苗穂工場で1両(ワム201)が製造された同形車である。1964年(昭和38年)、鋼体化の上ワブ2(2代)に改造された。
譲渡
[編集]私鉄譲渡は多数におよぶが、ここでは文献上で判明するものを記す。
1948年(昭和23年)、2両(ワム124, ワム280)が名古屋鉄道に譲渡され、ワム10000形(ワム10001, ワム10002)となった。日本車輌製造の私有車で国鉄直通車であった。主に名古屋本線神宮前駅と鳴海駅間で使用され、1953年(昭和28年)休車、1961年(昭和36年)廃車となった。
1949年(昭和24年)1月、2両(ワム1725, ワム1727)が三井芦別鉄道に譲渡され、ワム2, ワム3となった。
1950年(昭和25年)3月、1両(ワム1003)が上信電気鉄道に譲渡され、ワム1となった。
1951年(昭和26年)9月、1両(ワム1764)が寿都鉄道に譲渡され、ワム250形(ワム251)となった。
1952年(昭和27年)3月、2両(ワム883, ワム1209)が十和田観光電鉄に譲渡され、ワム101, ワム102となった。
1957年(昭和32年)、2両(ワム372, ワム1182)が土佐電気鉄道に譲渡され、ワム1形(ワム1, ワム2)となり、安芸線で使用された。
戦後2両(ワム57, ワム630)が羽後交通に譲渡され、ワム1形(ワム1, ワム2)となった。横荘線で使用された。廃車は、ワム1が1968年(昭和43年)10月、ワム2が1959年(昭和34年)5月。
参考文献
[編集]- 「昭和28年 車両称号規程改正に伴う新旧番号対照表(貨車)」1972年、「展望車(マイテ)No.1」鉄道友の会東京支部客貨車気動車部会 編
- 「国鉄貨車形式図集 I」1992年、鉄道史資料保存会刊 ISBN 4-88540-076-7
- 貨車技術発達史編纂委員会 編「日本の貨車―技術発達史―」2008年、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊
- 澤内一晃・星良助「北海道の私鉄車両」2016年、北海道新聞社刊 ISBN 978-4-89453-814-6