多留姫の滝
多留姫の滝(樽姫の滝) | |
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所在地 | 長野県茅野市玉川[1] |
位置 | 北緯35度59分36.5秒 東経138度12分56秒 / 北緯35.993472度 東経138.21556度座標: 北緯35度59分36.5秒 東経138度12分56秒 / 北緯35.993472度 東経138.21556度[2] |
落差 | 12[1] m |
滝幅 | 9[1] m |
水系 | 天竜川水系柳川[3] |
プロジェクト 地形 |
多留姫神社 | |
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本殿 | |
所在地 | 長野県茅野市玉川[4] |
位置 | 北緯35度59分35.5秒 東経138度12分53.5秒 / 北緯35.993194度 東経138.214861度[5] |
主祭神 | 多留姫神 |
多留姫の滝(たるひめのたき)は、長野県茅野市にある滝。樽姫の滝とも書く[6][7]。茅野市指定文化財。
地理
[編集]多留姫の滝は、茅野市中心市街地の東、大泉山のふもとを流れる柳川に懸かる。大泉山の頂上からは富士山を望むことができ、その左手に八ヶ岳がそびえ、眼下に見えるのが多留姫の滝である[8]。まず高さ・幅ともに9メートルで落水し、次いで向きを直角に変え、高さ3メートル・幅1メートルで落水する[1]。『長野縣町村誌』によると、その形は玉簾を掛けたようで、「潺々湲々」と水が流れ落ち、その音はまるで風中の琴のよう。春は藤の花にホトトギス、夏は納涼、秋は紅葉、冬は飛雪と、四季を通して滝の景色が楽しめるとある[8]。滝のすぐ下流には柳影橋やながれ橋が架かり[9]、さらに長野県道・山梨県道17号茅野北杜韮崎線の多留姫大橋が谷をひとまたぎする[10]。
滝のそばに多留姫神社があり[1]、建御名方神(諏訪大社の祭神)の子・多留姫神(多留の御前)をまつっている[11]。神社の面積は446坪で、創建の時期は不明だが[8]、少なくとも750年前にはすでに存在していたことを示す文献がある[1]。
茅野市は1988年(昭和63年)7月29日付で多留姫の滝を名勝(瀑布)として茅野市指定文化財に指定[12]。現在、滝周辺を多留姫文学自然の里として開放している。地元の中沢区・御作田区・田道区は共同で多留姫文学自然の里創造委員会をつくり、整備や催事の運営を行っている[13]。滝周辺には松尾芭蕉ほか多くの歌人・俳人による作品を刻んだいくつもの石碑が建立されており、自作の歌や俳句を投稿できる投句箱も用意されている[9]。多留姫文学自然の里のマスコットはたるひめちゃんで、滝を背景にが滝壺に浮かんだ巻物に腰掛けるキャラクターの姿を描く[13]。2014年(平成26年)度は里の10周年記念行事を催すこととしており、新たに地元の高校生がデザインした美少女キャラクターの紫音(しおん、フジの紫色と滝の音から命名)をマスコットに起用している[13][14]。
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多留姫神社
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柳影橋
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ながれ橋
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ながれ橋から多留姫の滝を望む
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多留姫大橋
伝承
[編集]- 椀貸伝説
- 多留姫が村人に膳椀を必要な分だけ貸してくれる、というもの。『長野県史』に紹介されているものを要約して以下に記す。
- このほか、貸した膳椀が壊されてしまったために貸さなくなった、という話もある[6]。
- 抜け穴伝説
- 多留姫の滝に流した物が別の場所で発見される、というもの。滝壺に椀や糠を流したところ、それが茅野市ちの上原にある葛井神社の池に浮かんでいたという[6]。なお、この葛井神社の池にはさらなる抜け穴伝説が存在しており、諏訪大社大晦日の神事のあと、お供え物を投げ込むと遠江国(静岡県)にある池に浮かぶとされ、諏訪大社七不思議の一つに挙げられている[16]。
多留姫十二勝
[編集]多留姫十二勝は、多留姫神社周辺にある12か所の選りすぐりの景勝地のことである。1902年(明治35年)の神社整備に合わせて選定されたのが始まりで、1906年(明治39年)に小平雪人と坪井咬菜が改めて選定した。多留姫十二勝は以下の通り[17]。
- 機山堂(きざんどう) - 最澄の作といわれている仏像を安置している場所。
- 待月壇(たいげつだん) - 八ヶ岳から上る月を眺める場所。
- 古藤径(ことうけい) - 神社から橋へ下る小道。
- 柳影橋(りゅうえいきょう) - 柳川に架かる橋で、その影が柳川の水面に映ることに由来。
- 甑岩(こしきいわ) - 乞食が寝泊まりしていた「乞食岩」を由来とする洞穴。
- 獅子吼瀑(ししくたき、ししくばく) - 多留姫の滝そのもの。
- 喚魚潭(かんぎょたん) - 多留姫の滝の滝壺。
- 載酒亭(さいしゅてい) - 四阿。滝に酒を捧げる、もしくは酒を酌み交わす場所。
- 烏巾峰(うきんほう、えぼしいわ) - 山伏や天狗が頭に被っている黒い頭巾(=烏巾)に似た巨岩。
- 蛍火台(けいかだい) - 柳川を舞う蛍を眺める場所。現在は農薬のため蛍は生息していない。
- 望岳丘(ぼうがくきゅう) - 富士山や八ヶ岳などの山々が望める場所。
- 採芝林(さいしりん) - 村人が芝刈りに行く場所。
アクセス
[編集]- 公共交通機関
- 多留姫神社から西へ歩くと機山堂があり、これを通過し長野県道188号上槻木矢ヶ崎線の中沢交差点に出ると、近くに中沢バス停がある[18]。JR中央本線・茅野駅から路線バスの中沢線に乗車、中沢バス停まで20分間弱である[19]。
多留姫の滝に関連する作品
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d e f 『信州の滝紀行 名瀑100選』120ページ。
- ^ 座標は「ウォッちず」(2012年5月26日閲覧)にて得た(参考値)。
- ^ 『信州の滝紀行 名瀑100選』140ページ。
- ^ 「Mapion 電話帳 多留姫神社」より(2012年5月31日閲覧)。
- ^ 座標は「ウォッちず」(2012年5月31日閲覧)にて得た(参考値)。
- ^ a b c 『茅野市史 下巻 近現代 民俗』1069 - 1070ページ。
- ^ 『茅野市史 別巻 自然』33ページ。
- ^ a b c 『長野縣町村誌 中南信編』3351ページ。
- ^ a b “多留姫文学自然の里歌碑マップ”. 多留姫文学自然の里創造委員会. 2020年1月3日閲覧。
- ^ 国土地理院「ウォッちず」より(2012年5月26日閲覧)。
- ^ 『日本歴史地名大系 第20巻 長野県の地名』358ページ。
- ^ “市指定文化財”. 茅野市 (2018年12月3日). 2020年1月3日閲覧。
- ^ a b c “多留姫文学自然の里”. 茅野市 (2019年12月20日). 2020年1月3日閲覧。
- ^ “地域 : 多留姫”萌えキャラ”に 「茅野の創造委」滝周辺の魅力発信へ”. 長野日報 (長野日報社). (2014年4月18日). オリジナルの2014年5月17日時点におけるアーカイブ。 2020年1月3日閲覧。
- ^ 『長野県史 民俗編 第二巻(三) 南信地方 ことばと伝承』589 - 591ページ。
- ^ 『日本歴史地名大系 第20巻 長野県の地名』346 - 347ページ。
- ^ 「多留姫文学自然の里」(パンフレット)より。
- ^ 「Mapion 多留姫神社の地図」より(2012年5月31日閲覧)。
- ^ 茅野市「平成24年度版 茅野市 バス路線案内 平成24年4月28日改正版」より(2012年5月31日閲覧)。
- ^ 『赤彦全集 第二巻』577 - 580ページ。
参考文献
[編集]- 『長野縣町村誌 中南信編』郷土出版社、1985年。
- 久保田俊彦 著『赤彦全集 第二巻』岩波書店、1969年。
- 窪田文明 著『信州の滝紀行 名瀑100選』郷土出版社、1995年。ISBN 4876632928
- 下中邦彦 編『日本歴史地名大系 第20巻 長野県の地名』平凡社、1979年。
- 茅野市 編『茅野市史 下巻 近現代 民俗』茅野市、1988年。
- 茅野市 編『茅野市史 別巻 自然』茅野市、1986年。
- 長野県 編 『長野県史 民俗編 第二巻(三) 南信地方 ことばと伝承』長野県史刊行会、1989年。
- 多留姫文学自然の里創造委員会「多留姫文学自然の里」(パンフレット)。