コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

大屋駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大屋駅
旧駅舎(2021年10月)
おおや
ŌYA
田中 (3.4 km)
(2.4 km) 信濃国分寺
地図
所在地 長野県上田市大屋414-2[1][2]
北緯36度22分10.62秒 東経138度17分48.61秒 / 北緯36.3696167度 東経138.2968361度 / 36.3696167; 138.2968361座標: 北緯36度22分10.62秒 東経138度17分48.61秒 / 北緯36.3696167度 東経138.2968361度 / 36.3696167; 138.2968361
所属事業者 しなの鉄道
所属路線 しなの鉄道線
キロ程 34.7 km(軽井沢起点)
電報略号 オウ[1]←ヲウ
駅構造 地上駅
ホーム 2面2線[1]
乗車人員
-統計年度-
710人/日(降車客含まず)
-2021年-
開業年月日 1896年明治29年)1月20日[3][1]
備考
テンプレートを表示

大屋駅(おおやえき)は、長野県上田市大屋にあるしなの鉄道しなの鉄道線である[1]

当駅舎内に設置されている大屋駅郵便局についても解説する[2]

歴史

[編集]

明治初期には諏訪地域蚕糸業者は、甲州街道を使用して甲武鉄道八王子駅まで生糸を陸送していたが、1888年明治21年)に信越本線が開通すると、和田峠を越えて長久保宿経由で同線田中駅まで陸送するようになった。しかし諏訪地域から同駅までは遠く不便であったため、諏訪地方養蚕業者や地域住民が陳情[4]を行った結果、日本初の請願駅として1896年(明治29年)に長久保宿により近い田中駅 - 上田駅間に当駅が開業した[5][3]。これによって生糸の輸出港である横浜までの輸送時間が大幅に短縮され、輸出相場に対応した出荷が可能となった [注 1]

日本初の請願駅として駅前に石の碑文が設置されており[6]、こうした生糸輸送をめぐる当駅が持つ歴史的意義について、日本の産業近代化に貢献した産業遺産としての価値を持っていると評価されたことから、2007年平成19年)には上田市の製糸関連遺産として信州大学繊維学部講堂等と共に、経済産業省近代化産業遺産に認定された。

2024年令和6年)2月26日より、大屋郵便局が駅舎内に移転して大屋駅郵便局となり、郵便局員が駅業務も行う[2]

年表

[編集]

上田丸子電鉄大屋駅

[編集]
電鉄大屋駅
でんてつおおや
Dentetsu-Ōya
東特前 (0.6 km)
(1.1 km) 信濃石井
所在地 長野県上田市大屋
所属事業者 上田丸子電鉄
所属路線 丸子線
キロ程 5.4 km(上田東起点)
駅構造 地上駅
ホーム 2面2線
開業年月日 1918年大正7年)11月21日[8]
廃止年月日 1969年昭和44年)4月20日
備考 丸子線廃線に伴う廃駅
テンプレートを表示

上田丸子電鉄の電鉄大屋駅は、上田丸子電鉄丸子線が丸子鉄道線第1期線として開通した際、起点駅として新設された。開業時から貨物輸送の関係からスイッチバック機能を備えていて国鉄信越本線を介して貨車受渡しを行っていたが、第2期線として上田東駅まで延伸すると、珍しいスイッチバック方式列車交換駅となり線路が複雑となった。そこで1959年(昭和34年)には当時としては全国でも珍しい電気式系伝装置を装着し、交換を容易にする改良を行った。ホームは現駅舎の待合室の隣にあり、改札は丸子鉄道 - 上田丸子電鉄初期は共通であったが、1956年(昭和31年)に独自の駅舎が完成すると分離、廃止まで続いた。

当駅跡地は、現在しなの鉄道直営駐車場となっている[1]

駅構造

[編集]

日本郵便が駅業務を受託している簡易委託駅であり、平日の郵便局営業時間内は当駅舎内にある大屋駅郵便局が駅業務の取扱を行なっている[2]相対式ホーム(下り線)及び島式ホーム(上り線)の2面2線を有する[1]。以前は貨物列車用中線(JR時代に撤去)及び、上り待避線(しなの鉄道移管後に撤去)を有していた。またJR時代には特急あさま」の一部も停車していた。木造駅舎を備える。

駅待合室では当時駅業務受託業者が運営する売店「アットライフ」が、平日・土曜のみ営業していたが、2016年1月時点では既に撤退していた。

駅舎切妻部分に、大屋の頭文字Oをかたどったと思われる飾りが付けられている[6]

のりば

[編集]
番線 路線 方向 行先
1 しなの鉄道線 下り 長野方面[11]
2 上り 軽井沢方面[11]
  • 当駅には発車ベルが設置されている。

利用状況

[編集]

「上田市の統計」によると、2021年度(令和3年度)の1日平均乗車人員710人である[上田 1]

2000年度(平成12年度)以降の推移は以下のとおりである。

乗車人員推移
年度 1日平均
乗車人員
出典
2000年(平成12年) 1,616 [上田 2]
2001年(平成13年) 1,556
2002年(平成14年) 1,474
2003年(平成15年) 1,410
2004年(平成16年) 1,395
2005年(平成17年) 1,356 [上田 3]
2006年(平成18年) 1,329
2007年(平成19年) 1.254
2008年(平成20年) 1,260
2009年(平成21年) 1,192
2010年(平成22年) 1,151 [上田 4]
2011年(平成23年) 1,150
2012年(平成24年) 1,151
2013年(平成25年) 1,181
2014年(平成26年) 1,132
2015年(平成27年) 1,112 [上田 5]
2016年(平成28年) 1,088
2017年(平成29年) 1,041
2018年(平成30年) 973
2019年(令和元年) 839
2020年(令和02年) 630 [上田 1]
2021年(令和03年) 710

駅周辺

[編集]
  • 国道152号
  • 大屋郵便局
  • ミスダ酒店 - 屋根に、明治時代の面影を残す蚕種造りと呼ばれる小さな屋根付きの気抜けがある駅前の酒店[6]
  • 海野宿[1]
  • 信州国際音楽村[1]

バス路線

[編集]

上田駅方面行きと、JRバスは、駅ロータリーに進入せず、大屋駅前交差点南側の新聞販売店前(対面の居酒屋前)にて客扱いを行う。佐久上田線のみ国道18号線上大屋西交差点東側付近(徒歩約5分)に停留所(大屋北)がある。その他は駅正面左側に停留所がある。

JRバス関東
千曲バス
東信観光バス
  • 芦田(立科町役場前)
上田市 オレンジバス 
  • 神川・神科コース:火・金曜日のみ運行で1日2便運行。駅前ロータリー発着
上田市 丸子地域循環バス まりんこ号 
  • 東コース:石井バス停(県道大屋芦田線石井交差点東側付近。東信観光バス、または徒歩にて連絡。約500メートル)1日上下2便ずつ運行

大屋駅郵便局

[編集]
大屋駅郵便局
基本情報
正式名称 大屋駅郵便局
前身 大屋郵便局
設置者 日本郵便株式会社
所在地 386-0152[2]
長野県上田市大屋414-2[2]
貯金
店名 ゆうちょ銀行 代理店
取扱店番号 110910[12]
保険
店名 かんぽ生命保険 代理店
特記事項
駅業務受託も兼務[2]
テンプレートを表示

沿革

[編集]
  • 2023年令和5年)
    • 2月27日:長野県の賑わい創出の寄与を目的に、当局業務と大屋駅窓口業務の一体的な運営を開始すると発表[13]。地方鉄道における駅業務と郵便局の一体運営は当局が全国初の事例である[13]
    • 3月3日:日本郵便信越支社としなの鉄道が、上記に関する協定を締結[13]
  • 2024年(令和6年)2月26日:大屋郵便局が当駅舎内に移転し、大屋駅郵便局へ改称[2]

取扱内容

[編集]

隣の駅

[編集]
しなの鉄道
しなの鉄道線
快速
田中駅 - 大屋駅 - 上田駅
普通
田中駅 - 大屋駅 - 信濃国分寺駅

かつて存在した路線

[編集]
上田丸子電鉄
丸子線(廃止時点)
東特前駅 - 電鉄大屋駅 - 信濃石井駅

脚注

[編集]

記事本文

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 中央本線が諏訪地域に通じたのは1905年

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l 信濃毎日新聞社出版部『長野県鉄道全駅 増補改訂版』信濃毎日新聞社、2011年7月24日、246頁。ISBN 9784784071647 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 大屋駅における郵便局窓口業務と駅業務の一体運営の開始』(PDF)(プレスリリース)日本郵便信越支社/しなの鉄道、2024年1月18日。オリジナルの2024年1月20日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20240120071924/https://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2024/06_shinetsu/0118_01_01.pdf2024年1月20日閲覧 
  3. ^ a b c 告示 遞信省 第10号 信越線大屋驛新設」『官報』3763号、1896年1月17日、307頁。doi:10.11501/2947041https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2947041/2 
  4. ^ 第一編.県会議 県会議決一覧明治27年」『長野県会沿革誌』信濃新聞、20-21頁。doi:10.11501/785004https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/785004/17  明治27年11月の第17回通常会において「大屋停車場設置ノ建議」が可決
  5. ^ 工事請負入札 信越線大屋停車場」『官報』3667号、1895年9月17日、196頁。doi:10.11501/2946942https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2946942/9  明治28年10月1日開札として駅本屋,貨物庫等の入札が告示されている
  6. ^ a b c 日本絹の道/日本初の請願駅・大屋駅 山浦直人(交通史研究者)、おらほ放送局(長野大学前川道博研究室)
  7. ^ a b c d e 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』(初版)JTB、1998年10月1日、576-577頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  8. ^ a b 彙報 輕便鐵道運輸開始 丸子鐵道株式會社(鐵道院)」『官報』1894号、1918年11月26日、488頁。doi:10.11501/2954008https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2954008/5 
  9. ^ 「しなの鉄道大屋駅の売店 営業契約、地元業者と結ぶ 7日開業へ」『信濃毎日新聞』信濃毎日新聞社、2003年7月3日、朝刊、20面。
  10. ^ しなの鉄道、乗り継ぎ割引を廃止 減便や無人駅拡大も 22年春から順次 経営改善策」『信濃毎日新聞』2021年11月27日。オリジナルの2021年11月26日時点におけるアーカイブ。2021年12月6日閲覧。
  11. ^ a b 大屋駅 | 沿線情報”. しなの鉄道. 2024年8月17日閲覧。
  12. ^ a b c d e f 大屋駅郵便局 (長野県) - 日本郵政グループ”. 日本郵政. 2024年2月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月28日閲覧。
  13. ^ a b c 日本郵便株式会社としなの鉄道株式会社における協定について』(PDF)(プレスリリース)日本郵便信越支社/しなの鉄道、2023年2月27日。オリジナルの2024年1月20日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20240120075226/https://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2023/06_shinetsu/0227_01_01.pdf2024年1月20日閲覧 

利用状況

[編集]
上田市の統計
  1. ^ a b 上田市の統計 令和3年” (PDF). 上田市. p. 90 (2023年3月). 2023年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月13日閲覧。
  2. ^ 上田市の統計 平成17年” (PDF). 上田市. p. 208. 2023年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月13日閲覧。
  3. ^ 上田市の統計 平成21年” (PDF). 上田市. p. 90 (2011年3月). 2023年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月13日閲覧。
  4. ^ 上田市の統計 平成26年” (PDF). 上田市. p. 93 (2016年3月). 2023年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月13日閲覧。
  5. ^ 上田市の統計 令和元年” (PDF). 上田市. p. 91 (2021年3月). 2023年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月13日閲覧。

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]