大屋駅
大屋駅 | |
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旧駅舎(2021年10月) | |
おおや ŌYA | |
◄田中 (3.4 km) (2.4 km) 信濃国分寺► | |
所在地 | 長野県上田市大屋414-2[1][2] |
所属事業者 | しなの鉄道 |
所属路線 | ■しなの鉄道線 |
キロ程 | 34.7 km(軽井沢起点) |
電報略号 | オウ[1]←ヲウ |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 2面2線[1] |
乗車人員 -統計年度- |
710人/日(降車客含まず) -2021年- |
開業年月日 | 1896年(明治29年)1月20日[3][1] |
備考 |
大屋駅(おおやえき)は、長野県上田市大屋にあるしなの鉄道しなの鉄道線の駅である[1]。
当駅舎内に設置されている大屋駅郵便局についても解説する[2]。
歴史
[編集]明治初期には諏訪地域の蚕糸業者は、甲州街道を使用して甲武鉄道の八王子駅まで生糸を陸送していたが、1888年(明治21年)に信越本線が開通すると、和田峠を越えて長久保宿経由で同線田中駅まで陸送するようになった。しかし諏訪地域から同駅までは遠く不便であったため、諏訪地方養蚕業者や地域住民が陳情[4]を行った結果、日本初の請願駅として1896年(明治29年)に長久保宿により近い田中駅 - 上田駅間に当駅が開業した[5][3]。これによって生糸の輸出港である横浜までの輸送時間が大幅に短縮され、輸出相場に対応した出荷が可能となった [注 1]。
日本初の請願駅として駅前に石の碑文が設置されており[6]、こうした生糸輸送をめぐる当駅が持つ歴史的意義について、日本の産業近代化に貢献した産業遺産としての価値を持っていると評価されたことから、2007年(平成19年)には上田市の製糸関連遺産として信州大学繊維学部講堂等と共に、経済産業省の近代化産業遺産に認定された。
2024年(令和6年)2月26日より、大屋郵便局が駅舎内に移転して大屋駅郵便局となり、郵便局員が駅業務も行う[2]。
年表
[編集]- 1896年(明治29年)1月20日:官設鉄道信越線の駅として開設[3][1][7]。
- 1918年(大正7年)11月21日:丸子鉄道(後の上田丸子電鉄)が開通、当駅に乗入れ[8]。
- 1925年(大正14年)8月1日:丸子鉄道が上田東駅まで延伸。スイッチバック方式交換駅となる。
- 1956年(昭和31年)4月:上田丸子電鉄丸子線大屋駅駅舎が完成。改札口が分離。
- 1969年(昭和44年)4月19日:上田丸子電鉄丸子線廃止(大屋駅舎は解体され、駐車場となった)。
- 1984年(昭和59年)
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴い、東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅となる[7]。
- 1997年(平成9年)10月1日:北陸新幹線開業に伴う経営分離に伴い、しなの鉄道に移管[7]。
- 2003年(平成15年)7月7日:駅待合室内に売店「アットライフ」が開業[9]。
- 2007年(平成19年)11月30日:経済産業省より近代化産業遺産群33に認定されることが公表される[1]。
- 2022年(令和4年)4月:土曜・休日を無人化[10]。
- 2024年(令和6年)2月26日:郵便局と一体化した駅舎に建て替えると共に、大屋駅郵便局(日本郵便)が受託する(後述)[2]簡易委託駅となる。
上田丸子電鉄大屋駅
[編集]電鉄大屋駅 | |
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でんてつおおや Dentetsu-Ōya | |
◄東特前 (0.6 km) (1.1 km) 信濃石井► | |
所在地 | 長野県上田市大屋 |
所属事業者 | 上田丸子電鉄 |
所属路線 | 丸子線 |
キロ程 | 5.4 km(上田東起点) |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 2面2線 |
開業年月日 | 1918年(大正7年)11月21日[8] |
廃止年月日 | 1969年(昭和44年)4月20日 |
備考 | 丸子線廃線に伴う廃駅 |
上田丸子電鉄の電鉄大屋駅は、上田丸子電鉄丸子線が丸子鉄道線第1期線として開通した際、起点駅として新設された。開業時から貨物輸送の関係からスイッチバック機能を備えていて国鉄信越本線を介して貨車受渡しを行っていたが、第2期線として上田東駅まで延伸すると、珍しいスイッチバック方式列車交換駅となり線路が複雑となった。そこで1959年(昭和34年)には当時としては全国でも珍しい電気式系伝装置を装着し、交換を容易にする改良を行った。ホームは現駅舎の待合室の隣にあり、改札は丸子鉄道 - 上田丸子電鉄初期は共通であったが、1956年(昭和31年)に独自の駅舎が完成すると分離、廃止まで続いた。
当駅跡地は、現在しなの鉄道直営駐車場となっている[1]。
駅構造
[編集]日本郵便が駅業務を受託している簡易委託駅であり、平日の郵便局営業時間内は当駅舎内にある大屋駅郵便局が駅業務の取扱を行なっている[2]。相対式ホーム(下り線)及び島式ホーム(上り線)の2面2線を有する[1]。以前は貨物列車用中線(JR時代に撤去)及び、上り待避線(しなの鉄道移管後に撤去)を有していた。またJR時代には特急「あさま」の一部も停車していた。木造駅舎を備える。
駅待合室では当時駅業務受託業者が運営する売店「アットライフ」が、平日・土曜のみ営業していたが、2016年1月時点では既に撤退していた。
駅舎切妻部分に、大屋の頭文字Oをかたどったと思われる飾りが付けられている[6]。
のりば
[編集]番線 | 路線 | 方向 | 行先 |
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1 | ■しなの鉄道線 | 下り | 長野方面[11] |
2 | 上り | 軽井沢方面[11] |
- 当駅には発車ベルが設置されている。
-
改札口(2021年10月)
-
待合室(2021年10月)
-
ホーム(2021年10月)
利用状況
[編集]「上田市の統計」によると、2021年度(令和3年度)の1日平均乗車人員は710人である[上田 1]。
2000年度(平成12年度)以降の推移は以下のとおりである。
乗車人員推移 | ||
---|---|---|
年度 | 1日平均 乗車人員 |
出典 |
2000年(平成12年) | 1,616 | [上田 2] |
2001年(平成13年) | 1,556 | |
2002年(平成14年) | 1,474 | |
2003年(平成15年) | 1,410 | |
2004年(平成16年) | 1,395 | |
2005年(平成17年) | 1,356 | [上田 3] |
2006年(平成18年) | 1,329 | |
2007年(平成19年) | 1.254 | |
2008年(平成20年) | 1,260 | |
2009年(平成21年) | 1,192 | |
2010年(平成22年) | 1,151 | [上田 4] |
2011年(平成23年) | 1,150 | |
2012年(平成24年) | 1,151 | |
2013年(平成25年) | 1,181 | |
2014年(平成26年) | 1,132 | |
2015年(平成27年) | 1,112 | [上田 5] |
2016年(平成28年) | 1,088 | |
2017年(平成29年) | 1,041 | |
2018年(平成30年) | 973 | |
2019年(令和元年) | 839 | |
2020年(令和 | 2年)630 | [上田 1] |
2021年(令和 | 3年)710 |
駅周辺
[編集]バス路線
[編集]上田駅方面行きと、JRバスは、駅ロータリーに進入せず、大屋駅前交差点南側の新聞販売店前(対面の居酒屋前)にて客扱いを行う。佐久上田線のみ国道18号線上大屋西交差点東側付近(徒歩約5分)に停留所(大屋北)がある。その他は駅正面左側に停留所がある。
- 姫木平中央
- 上田駅
- 東信観光バス
- 芦田(立科町役場前)
- 上田市 オレンジバス
- 神川・神科コース:火・金曜日のみ運行で1日2便運行。駅前ロータリー発着
- 上田市 丸子地域循環バス まりんこ号
- 東コース:石井バス停(県道大屋芦田線石井交差点東側付近。東信観光バス、または徒歩にて連絡。約500メートル)1日上下2便ずつ運行
大屋駅郵便局
[編集]大屋駅郵便局 | |
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基本情報 | |
正式名称 | 大屋駅郵便局 |
前身 | 大屋郵便局 |
設置者 | 日本郵便株式会社 |
所在地 |
〒386-0152[2] 長野県上田市大屋414-2[2] |
貯金 | |
店名 | ゆうちょ銀行 代理店 |
取扱店番号 | 110910[12] |
保険 | |
店名 | かんぽ生命保険 代理店 |
特記事項 | |
駅業務受託も兼務[2] |
沿革
[編集]取扱内容
[編集]- 郵便、印紙、ゆうパック[2][12]
- 貯金、為替、振替等[2][12]
- 生命保険、バイク自賠責保険、がん保険など[2][12]
- カタログ販売、店頭販売[2][12]
- ゆうちょ銀行ATM[2][12]
- 特別企画乗車券等の販売、しなの鉄道に関する照会窓口(インターホン・電話番号)の案内等[2]
隣の駅
[編集]かつて存在した路線
[編集]脚注
[編集]記事本文
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l 信濃毎日新聞社出版部『長野県鉄道全駅 増補改訂版』信濃毎日新聞社、2011年7月24日、246頁。ISBN 9784784071647。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 『大屋駅における郵便局窓口業務と駅業務の一体運営の開始』(PDF)(プレスリリース)日本郵便信越支社/しなの鉄道、2024年1月18日。オリジナルの2024年1月20日時点におけるアーカイブ 。2024年1月20日閲覧。
- ^ a b c 「告示 遞信省 第10号 信越線大屋驛新設」『官報』3763号、1896年1月17日、307頁。doi:10.11501/2947041 。
- ^ 「第一編.県会議 県会議決一覧明治27年」『長野県会沿革誌』信濃新聞、20-21頁。doi:10.11501/785004 。 明治27年11月の第17回通常会において「大屋停車場設置ノ建議」が可決
- ^ 「工事請負入札 信越線大屋停車場」『官報』3667号、1895年9月17日、196頁。doi:10.11501/2946942 。 明治28年10月1日開札として駅本屋,貨物庫等の入札が告示されている
- ^ a b c 日本絹の道/日本初の請願駅・大屋駅 山浦直人(交通史研究者)、おらほ放送局(長野大学前川道博研究室)
- ^ a b c d e 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』(初版)JTB、1998年10月1日、576-577頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ a b 「彙報 輕便鐵道運輸開始 丸子鐵道株式會社(鐵道院)」『官報』1894号、1918年11月26日、488頁。doi:10.11501/2954008 。
- ^ 「しなの鉄道大屋駅の売店 営業契約、地元業者と結ぶ 7日開業へ」『信濃毎日新聞』信濃毎日新聞社、2003年7月3日、朝刊、20面。
- ^ 「しなの鉄道、乗り継ぎ割引を廃止 減便や無人駅拡大も 22年春から順次 経営改善策」『信濃毎日新聞』2021年11月27日。オリジナルの2021年11月26日時点におけるアーカイブ。2021年12月6日閲覧。
- ^ a b “大屋駅 | 沿線情報”. しなの鉄道. 2024年8月17日閲覧。
- ^ a b c d e f “大屋駅郵便局 (長野県) - 日本郵政グループ”. 日本郵政. 2024年2月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月28日閲覧。
- ^ a b c 『日本郵便株式会社としなの鉄道株式会社における協定について』(PDF)(プレスリリース)日本郵便信越支社/しなの鉄道、2023年2月27日。オリジナルの2024年1月20日時点におけるアーカイブ 。2024年1月20日閲覧。
利用状況
[編集]- 上田市の統計
- ^ a b “上田市の統計 令和3年” (PDF). 上田市. p. 90 (2023年3月). 2023年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月13日閲覧。
- ^ “上田市の統計 平成17年” (PDF). 上田市. p. 208. 2023年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月13日閲覧。
- ^ “上田市の統計 平成21年” (PDF). 上田市. p. 90 (2011年3月). 2023年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月13日閲覧。
- ^ “上田市の統計 平成26年” (PDF). 上田市. p. 93 (2016年3月). 2023年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月13日閲覧。
- ^ “上田市の統計 令和元年” (PDF). 上田市. p. 91 (2021年3月). 2023年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月13日閲覧。
参考文献
[編集]- 老川慶喜『鉄道』(初版)東京堂出版〈日本史小百科 - 近代〉、1996年9月17日。ISBN 978-4490202908。
- “経済産業省 近代化産業遺産群33~近代化産業遺産群が紡ぎ出す先人達の物語~” (PDF). 経済産業省 (2007年11月30日). 2013年5月16日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
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