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大山名人杯倉敷藤花戦

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

倉敷藤花戦
棋戦の分類 女流タイトル戦
正式名称 大山名人杯倉敷藤花戦
開催概要
開催時期 本戦:3月 - 9月
タイトル戦:11月
初回開催 1993年度
持ち時間 2時間
番勝負 三番勝負
主催 倉敷市
倉敷市文化振興財団(アルスくらしき)
山陽新聞社
公式サイト 倉敷藤花戦:日本将棋連盟
記録
現倉敷藤花 福間香奈(第30期)
永世資格者 清水市代/福間香奈
最多優勝 福間香奈(14期)
最長連覇 福間香奈(9連覇)
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大山名人杯倉敷藤花戦(おおやまめいじんはい くらしきとうかせん)は、倉敷市・倉敷市文化振興財団(アルスくらしき)・山陽新聞社が主催する[1]将棋女流タイトル戦。毎年11月前後にかけて挑戦手合制の三番勝負が行われ、その勝者は倉敷藤花のタイトル保持者となる。

概要

倉敷市出身の大山康晴十五世名人の功績をたたえ[2]倉敷市芸文館(大山名人記念館が併設)の開館に合わせて本棋戦をメイン事業の位置付けで1993年に創設された[3]

棋戦名の候補には当初『女流王座戦』などが挙がったが、女流棋士会から「既存の(男性)棋戦の名称を避けてほしい」「『女流~戦』といった名称より女性らしい名前を」という要望や、「主催の『倉敷』を名称に入れたらどうか」との大内延介(常務理事・当時)からのアドバイスもあり、また「大山名人杯」と冠を付けることが棋戦名の条件でもあったことから、最終的に「大山名人杯倉敷藤花戦」に決定した[4]。「藤花」の名は、倉敷市の花がの花であることにちなむ。

倉敷藤花戦三番勝負の第2局・第3局は「倉敷市芸文館」を対局場として行われ、このうち第2局は午後から公開対局で行われる。

倉敷市以外でも、大山との関係が深く「大山将棋記念館」が町内にある青森県おいらせ町(旧・百石町)で、毎年8月に開催される「おいらせ全国将棋祭り」 のイベントとして、例年トーナメントのうちの1対局(公式戦)が現地で実施される。

地方自治体が主催になっている唯一のタイトル戦であり、その一方で新聞棋戦の位置づけで、女流棋戦では珍しく全ての対局が山陽新聞に一年を通して掲載されている[3]

第30期までは「期数・冠名・棋戦名」の順の棋戦名(第30期 大山名人杯 倉敷藤花戦)で行われたが、第31期(2023年度)より冠名の表記順に変更があり、以降は「冠名・期数・棋戦名」の順(大山名人杯 第31期 倉敷藤花戦)の棋戦名で行われている。

方式

挑戦者決定方法

倉敷藤花を除く現役の全女流棋士および主催者推薦の研修会に所属していない[要出典]アマチュア選手2名[注 1]が参加するトーナメントを行い、倉敷藤花への挑戦者を決定する。前期のベスト4以上は準決勝まで対局しないようにシードされ、2回戦からの出場となる。予選がなく、全ての参加者が1回戦か2回戦から登場するフラットな方式のトーナメントである。

持ち時間は各2時間(チェスクロック使用)。

倉敷藤花戦三番勝負

倉敷藤花と挑戦者決定トーナメント勝者が三番勝負を戦い、その勝者が新たな倉敷藤花となる。

持ち時間は各2時間(チェスクロック使用)。例年、三番勝負の第2局と第3局は11月下旬に倉敷市の倉敷市芸文館で行われる(第2局の午後はホールでの公開対局)。

クイーン倉敷藤花

倉敷藤花を通算5期獲得した女流棋士には「クイーン倉敷藤花」の称号が与えられる。

歴代三番勝負

三番勝負勝敗(倉敷藤花側から見た勝敗)
○:勝ち / ●:負け / 千:千日手 / 持:持将棋
倉敷藤花戦三番勝負
太字 :倉敷藤花獲得者(三番勝負勝者、数字は通算獲得期数)
太字 Q :クイーン称号獲得者(同上)
  • 第1期はトーナメント戦の決勝で一番勝負
年度 挑戦者 勝敗 挑戦者 ベスト4
1 1993 林葉直子 斎田晴子[注 2] 中井 清水
年度 倉敷藤花戦三番勝負 本線トーナメント
倉敷藤花 勝敗 挑戦者 決勝敗者 ベスト4
2 1994 林葉直子 ●●- 清水市代 斎田 中井 古河
3 1995 清水市代(2) ○●○ 斎田晴子 蛸島 高群 山田久
4 1996 清水市代(3) ○○- 木村さゆり 高群 斎田 石橋
5 1997 清水市代(4) ○●○ 中井広恵 斎田 長沢 高群
6 1998 清水市代(5)Q ○●○ 碓井涼子 中井 木村さ 矢内
7 1999 清水市代(6) ○○- 矢内理絵子 中井 石橋 高橋
8 2000 清水市代(7) ○○- 矢内理絵子 蛸島 高橋 中井
9 2001 清水市代 ●○● 中井広恵 蛸島 碓井 高橋
10 2002 中井広恵(2) ○○- 矢内理絵子 石橋 山田久 早水
11 2003 中井広恵(3) ○○- 石橋幸緒 斎田 山田久 清水
12 2004 中井広恵 ●○● 清水市代(8) 高群 矢内 千葉
13 2005 清水市代(9) ○○- 矢内理絵子 中井 高群 石橋
14 2006 清水市代 ●○● 斎田晴子 矢内 中村真 石橋
15 2007 斎田晴子 ○●● 清水市代(10) 里見香 矢内 甲斐
16 2008 清水市代 ●●- 里見香奈 甲斐 矢内 中村真
17 2009 里見香奈(2) ○○- 中村真梨花 本田 清水 矢内
18 2010 里見香奈(3) ●○○ 岩根忍 甲斐 中井 上田
19 2011 里見香奈(4) ○○- 清水市代 室谷 石橋 上田
20 2012 里見香奈(5)Q ○○- 矢内理絵子 中井 中村真 本田
21 2013 里見香奈 ○●● 甲斐智美 香川 上田 中井
22 2014 甲斐智美(2) ○●○ 山田久美 貞升 本田 村田
23 2015 甲斐智美 ●●- 里見香奈(6) 本田 室谷 貞升
24 2016 里見香奈(7) ●○○ 室谷由紀 上田 中井 伊藤沙
25 2017 里見香奈(8) ○○- 伊藤沙恵 甲斐 岩根 中井
26 2018 里見香奈(9) ○○- 谷口由紀 中村真 石本 伊奈川
27 2019 里見香奈(10) ○●○ 伊藤沙恵 加藤結 上田 谷口
28 2020 里見香奈(11) ○○- 中井広恵[注 3] 石本 野原[注 4] 甲斐
29 2021 里見香奈(12) ○●○ 加藤桃子 野原 伊藤沙 山口恵
30 2022 里見香奈(13) ○○- 西山朋佳 香川 伊藤沙 中澤
31 2023 里見香奈(14)[注 5] ○○- 西山朋佳 加藤結 今井 上田
32 2024 福間香奈 --- 伊藤沙恵 室谷 西山 上田

脚注

注釈

  1. ^ 第20期までは現役の女流棋士のみが出場であったが、女流棋士認定問題で揺れていた21期(2013年度)からはアマチュア枠として主催者推薦という形が設けられた。渡部愛はアマ扱いであったが肩書はLPSAプロとして出場(21期トーナメント表)。以降は2名のアマチュアが主催者推薦枠で出場している。
  2. ^ 斎田の第1期の決勝敗退は、日本将棋連盟の公式記録上、タイトル登場回数には含まれていない。
  3. ^ 史上最年長51歳でタイトル挑戦。
  4. ^ 第28期出場の野原未蘭は当時アマチュアとしての出場、ベスト8進出により女流2級資格を獲得。なお、女流2級昇級前にアマチュアとしてベスト4となったため、女流初段への昇段規定は適用されていない。
  5. ^ 通算14期は女流タイトル獲得期数として最多となる。

出典

  1. ^ 「第19期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負第1局- 『砂の器』 の郷で」 『将棋世界』 2012年1月号、28頁。
  2. ^ 倉敷市長 伊東香織. “倉敷藤花戦中継Blog: 歓迎会(1)”. 日本将棋連盟. 2018年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月24日閲覧。
  3. ^ a b 『女流棋士の本』p148-149
  4. ^ 『近代将棋』1999年6月号「蛸島彰子と女流棋界の歩み」」『国立国会図書館デジタルコレクション』104–105頁。

外部リンク