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宇宙作戦群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
宇宙作戦群
Space Operations Group
宇宙作戦群
宇宙作戦群 シンボル・マーク
創設 2022年3月17日
活動期間 2022年3月17日-
所属政体 日本の旗 日本
所属組織 航空自衛隊
部隊編制単位 小隊
兵科 空軍
兵種/任務 小隊
人員 約70名[1]
所在地 東京都府中基地
編成地 東京都府中基地
上級単位 防衛大臣直轄
担当地域 宇宙領域
指揮官 杉山公俊
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宇宙作戦群(うちゅうさくせんぐん、英称:Space Operations Group[2])は、航空自衛隊スペースデブリ等監視部隊[3]。2022年(令和4年)3月17日、航空自衛隊府中基地防衛大臣直轄部隊として新編された[1][2][4]

概要

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宇宙作戦隊のある府中基地
宇宙作戦隊隊旗

防衛省が2019年(令和元年)12月20日に発表した令和2年度予算案において、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」を新編する関連経費が盛り込まれた[5]。2020年(令和2年)1月23日に「宇宙作戦隊」新編などを盛り込んだ防衛省設置法改正案が第201回通常国会に提出され[6][7]、4月17日に可決、成立した[8]。部隊名は2020年5月8日に正式に「宇宙作戦隊」と決定された。

「宇宙作戦隊」は2020年(令和2年)5月18日、府中基地に大臣直轄部隊として発足し、初代隊長の阿式俊英2佐以下約20人が編成を完結した[9][10][11][12][13][14]。これに伴い、「宇宙」職種が新設された[11]。将来は100人規模にする方針[15]

2022年(令和4年)3月17日「宇宙作戦群」を新編[2]。宇宙作戦群は、群司令(1等空佐)を指揮官として、指揮官を支える群本部、宇宙作戦の指揮統制を担う宇宙作戦指揮所運用隊及び宇宙状況監視を担任する宇宙作戦隊(令和2年に新編)で編成[2]

防衛省は日本の人工衛星を守るため、不審な人工衛星や宇宙ごみを監視する体制の整備を本格化させることにしている[9]

2022年度には、府中基地の作戦隊を「第1宇宙作戦隊」に改編した上で、関連装備を維持・管理する約10人の「宇宙システム管理隊」も置き、「第2宇宙作戦隊」を航空自衛隊防府北基地山口県防府市)に新設し[16][17]、第2宇宙作戦隊を含む「宇宙作戦群」を拡充する。作戦群全体で120人程度に増やす[16]。なお、将官を指揮官とする専門部隊に改編予定である。宇宙作戦群は、レーダーや人工衛星を運用する宇宙状況監視(SSA)システムの運用が始まる2023年度に本格稼働を予定[16]。2026年度までにSSA衛星の打ち上げを目指している[16]

また、2022年12月に閣議決定された防衛力整備計画と報道によれば、将来的に宇宙作戦群は将官を指揮官とする「宇宙作戦集団」に格上げされ、集団の下に「宇宙作戦団」「宇宙作戦指揮群」「宇宙作戦情報隊」を置くとされている[18]

シンボルマークは隊員が考案したもので[19]、正面の十字は宇宙を象徴する「星」をイメージし、地球及び衛星軌道は常続不断の監視をイメージ、6つの丸は、防衛省初となる宇宙監視専用レーダーを意味し、合計20個の星は、2020年に部隊を新編したことを意味している[20]

任務

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JAXAアメリカ宇宙軍と協力し、宇宙空間の常時監視体制を構築する。これにより、スペースデブリや他国の人工衛星等が日本の人工衛星に影響を及ぼさないかの監視や日本の人工衛星を他国からの攻撃や妨害、それに宇宙ごみから守るための「宇宙状況監視」を行う[21][9]

他にも、電波妨害や不審な人工衛星や高度約3万6千キロの静止軌道の監視を行なう予定である[10][22]

今後、宇宙監視用のレーダーを山口県内に設置する[23]ほか、JAXAやアメリカ宇宙軍とも連携して「宇宙状況監視システム」を整備し、情報共有システムの構築を図る予定である[9][22]

本格稼働は2023年(令和5年)度の予定[12]。また、JAXA、米軍と互いに情報を共有するシステムも、2023年度から運用が始まる予定[22]

レーダ設備

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レーダ設備の計画時の性能諸元は以下の通り[24]。府中基地の第1宇宙作戦隊が遠隔運用する。

沿革

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  • 2020年(令和2年)5月18日:府中基地に大臣直轄部隊の「宇宙作戦隊」として発足[9][11]
  • 2022年(令和4年)3月17日:府中基地に「宇宙作戦群」として新編・改称[2][4][14]
  1. 群本部、宇宙作戦指揮所運用隊を新編。
  2. 宇宙作戦隊を編合。
  1. 宇宙作戦隊を「第1宇宙作戦隊」に改称。
  2. 「第2宇宙作戦隊」を防府北基地に新編[27]
  3. 「宇宙システム管理隊」を新編[27]
  • 2024年(令和6年)3月21日:部隊改編
  1. 「宇宙システム管理隊」を「第1宇宙システム管理隊」に改称。
  2. 「第2宇宙システム管理隊」を防府北基地に新編[28]
  • 時期不詳:「宇宙作戦集団」に改編。隷下に「宇宙作戦団」「宇宙作戦指揮群」「宇宙作戦情報隊」を置く[18]

部隊編成

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  • 宇宙作戦群本部
  • 宇宙作戦指揮所運用隊(宇宙作戦の指揮統制を担任)[2]
  • 第1宇宙作戦隊(宇宙状況監視を担任)[2]
  • 第2宇宙作戦隊(防府北基地
  • 第1宇宙システム管理隊
  • 第2宇宙システム管理隊(防府北基地

主要幹部

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官職名 階級 氏名 補職発令日 前職
宇宙作戦群司令 1等空佐 杉山公俊 2023年03月16日 航空自衛隊幹部学校航空研究センター長
副司令 1等空佐 小林貴行 2023年08月01日 航空幕僚監部防衛部事業計画第2課
宇宙領域班長
第1宇宙作戦隊長 1等空佐 恩田雄太 2023年03月16日 宇宙作戦隊長
※2024年1月1日 1等空佐昇任
第2宇宙作戦隊長 2等空佐 平山雅也 2023年03月16日
宇宙作戦指揮所運用隊長 1等空佐 窪田拓朗  2023年10月 1日 米宇宙軍連絡官
※2024年7月1日 1等空佐昇任
第1宇宙システム管理隊長 3等空佐 平池泰周 2023年03月16日
第2宇宙システム管理隊長
歴代の宇宙作戦群司令
(1等空佐)
氏名 在職期間 前職 後職
01 玉井一樹 2022年03月17日 - 2023年03月15日 航空幕僚監部防衛部事業計画第2課
宇宙領域班長
宇宙作戦群副司令
02 杉山公俊 2023年03月16日 - 航空自衛隊幹部学校
航空研究センター長

関連施設

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脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b 自衛隊「宇宙作戦群」が発足 指揮機能加え体制強化”. 時事ドットコムニュース (2022年3月18日). 2022年3月20日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 宇宙作戦群の新編について”. 航空自衛隊 (2022年3月19日). 2022年3月21日閲覧。
  3. ^ 「宇宙作戦隊」に20人、宇宙・サイバー「新領域」で人員増強”. TBS NEWS (2020年1月23日). 2020年1月23日閲覧。
  4. ^ a b “「宇宙作戦群」が発足 空自府中基地に新編(2022年3月17、18日)”. 朝雲新聞. (2022年3月25日). オリジナルの2022年3月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220325080321/https://www.asagumo-news.com/homepage/htdocs/news/newsflash/202203/220325/22032504.html 2022年3月28日閲覧。 
  5. ^ 文林堂 航空ファン No.807 2020年3月号 111頁-121頁 「航空最新ニュース」
  6. ^ 自民部会、「宇宙作戦隊」新設を了承 防衛省設置法改正案、今国会提出へ”. 時事通信社 (2020年1月23日). 2020年1月23日閲覧。
  7. ^ 無人機部隊編成へ法改正、防衛省”. 共同通信 47news (2020年1月23日). 2020年1月23日閲覧。
  8. ^ 「宇宙作戦隊」年度内に発足 改正防衛省設置法が成立”. 時事通信社 (2020年4月17日). 2020年4月27日閲覧。
  9. ^ a b c d e 日本放送協会. “自衛隊で初「宇宙作戦隊」発足 不審な人工衛星など監視へ”. NHKニュース. 2020年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月18日閲覧。
  10. ^ a b 防衛省が「宇宙作戦隊」発足へ、世界で“スペース軍拡"競う|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社”. ニュースイッチ Newswitch (2020年5月11日). 2020年5月18日閲覧。
  11. ^ a b c “空自に「宇宙作戦隊」発足 不信衛星やデブリを監視(2020年5月18日)”. 朝雲新聞. (2020年5月22日). オリジナルの2020年5月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200527193313/http://www.asagumo-news.com/homepage/htdocs/news/newsflash/202005/200522/20052201.html 2020年5月28日閲覧。 
  12. ^ a b “宇宙作戦隊、空自に発足 レーダー監視で人工衛星守る”. 朝日新聞. (2020年5月18日). https://www.asahi.com/articles/ASN5L363FN5FUTIL03Z.html 2020年5月18日閲覧。 
  13. ^ 【最新国防ファイル】航空自衛隊に「宇宙作戦隊」発足! 「宇宙状況監視」には米国、JAXAとの連携が不可欠”. zakzak. 2020年5月24日閲覧。
  14. ^ a b 防衛省 航空自衛隊 [@JASDF_PAO] (2022年3月19日). "3月17日(木)、#航空自衛隊 は、#府中基地 に #宇宙作戦群 を新編しました。". X(旧Twitter)より2022年3月19日閲覧
  15. ^ 「宇宙作戦隊」発足 宇宙ごみ、衛星監視―防衛省”. 時事ドットコム. 2020年5月18日閲覧。
  16. ^ a b c d 山口・防府北に宇宙作戦隊 衛星への妨害行為監視 防衛省方針”. 時事ドットコム. 2021年9月12日閲覧。
  17. ^ 航空自衛隊府中基地に関する令和4年度概算要求の主要事業について (PDF) 令和3年(2021年)9月、防衛省
  18. ^ a b 海自に電子戦や偽情報対策担う部隊新設、25年までに2000人規模…3文書案”. 読売新聞オンライン (2022年12月10日). 2023年10月15日閲覧。
  19. ^ “「宇宙作戦隊」のマーク発表 隊員考案、星や地球イメージ―空自”. 時事通信. https://web.archive.org/web/20200801203809/https://www.jiji.com/jc/article?k=2020073101179&g=soc 
  20. ^ 宇宙作戦隊シンボル・マークについて(お知らせ)”. 2021年9月12日閲覧。
  21. ^ “まるで特撮? 新設の「宇宙作戦隊」は、実際どんな任務に携わるのか”. J-CASTニュース. https://www.j-cast.com/2019/08/23365662.html 2019年12月22日閲覧。 
  22. ^ a b c INC, SANKEI DIGITAL (2020年5月18日). “空自「宇宙作戦隊」発足でデブリや隕石監視、初の専従 米軍やJAXAと連携”. SankeiBiz. 2020年5月18日閲覧。
  23. ^ a b 防衛省 (2017年11月21日). “宇宙状況監視(SSA)のための山口県に所在する山陽受信所跡地へのレーダー配置について” (pdf). 山陽小野田市. 2021年11月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月14日閲覧。
  24. ^ 山口県山陽小野田市における宇宙状況監視レーダー設置について|令和三年十二月防衛省”. 山陽小野田市. 2024年10月5日閲覧。
  25. ^ 我が国の防衛と予算~防衛力強化加速パッケージ~ -令和4年度予算(令和3年度補正を含む)の概要-防衛省
  26. ^ 防衛力強化加速パッケージ ~「16か月予算」として編成~ 令和4年度予算の概要”. 防衛省 (2021年12月24日). 2022年5月5日閲覧。
  27. ^ a b c 航空自衛隊 宇宙作戦群 JASDF Space Operations Group [@JASDF_SSA] (2023年3月20日). "令和5年3月16日(木)、宇宙作戦群司令として杉山公俊(すぎやまきみとし)1等空佐が着任しました。同日、宇宙作戦群 は改編し、隷下に第1宇宙作戦隊、第2宇宙作戦隊及び宇宙システム管理隊が新編されました。". X(旧Twitter)より2023年3月20日閲覧
  28. ^ @JASDF_SSA (2024年3月29日). "航空自衛隊 宇宙作戦群 JASDF Space Operations Group". X(旧Twitter)より2024年3月29日閲覧
  29. ^ 宇宙状況監視レーダー建設に伴う住民説明会の開催について”. 山陽小野田市 (2021年11月15日). 2021年11月15日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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