寳金清博
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人物情報 | |
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全名 |
寶金 清博 (ほうきん きよひろ) |
生誕 |
1954年9月24日(70歳) 日本・北海道 |
出身校 | 北海道大学 |
学問 | |
時代 | 20世紀 - 21世紀 |
活動地域 | 日本 |
研究分野 |
医学 脳神経科学 |
研究機関 | 北海道大学 |
学位 | 医学博士 |
学会 |
日本脳神経外科学会 日本脳循環代謝学会 |
寳金 清博(ほうきん きよひろ、宝金 清博、Kiyohiro Houkin、1954年9月24日 - )は、日本の医学者。学位は医学博士(北海道大学)。専門は脳神経外科学。もやもや病研究の第一人者[1]。北海道大学名誉教授。北海道大学総長[2][3][4][5][6]。
略歴
[編集]- 1979年3月 北海道大学医学部医学科卒業
- 1979年7月 北海道大学医学部附属病院他
- 1986年11月 カリフォルニア大学デービス校客員研究員(期間:2年2ヵ月)
- 1990年7月 北海道大学医学部附属病院助手
- 1991年3月 北海道大学より医学博士取得(論文名は『実験脳梗塞の水素およびリン31の磁気共鳴spectroscopy』)
- 1992年4月 北海道大学医学部助手
- 1992年6月 北海道大学医学部附属病院講師
- 1996年11月 文部省在外研究員(スタンフォード大学・英国王立神経研究所文部省在外研究員(期間:3ヵ月)
- 2000年11月 北海道大学大学院医学研究科助教授
- 2001年11月 札幌医科大学医学部教授
- 2010年3月 北海道大学大学院医学研究科教授
- 2013年4月 北海道大学病院長・北海道大学副理事
- 2017年4月 北海道大学病院長・北海道大学副学長
- 2019年4月 北海道大学名誉教授
- 2019年4月 北海道大学病院客員教授
- 2019年9月 北海道大学大学院保健科学研究院特任教授
- 2020年10月 北海道大学総長
基礎研究では、カリフォルニア大学デービス校の中田力教授の指導の下、磁気共鳴法による脳代謝研究を行った[要出典]。臨床では、脳血行再建術、もやもや病の外科治療、研究では、骨髄幹細胞を用いた再生医療を専門とする。また、日本学術会議会員として、認知症に関する提言を行っている。
取り組み
[編集]2020年10月、第20代北海道大学総長就任。歴代総長の中で、臨床医から総長に就任したのは初めて。『「光」は「北」から、「北」から「世界」へ』 というスローガンのもと[7][8]、財務改善と研究力強化による大学改革に取り組むことを公表。
2023年7月、北海道大学の中期的ビジョン「HU VISION 2030」を公表[9]。2030年に向けて目指すべき大学の姿として、教育・研究を原資として社会共創を生み出し、大きな社会的インパクトを生み出す新しい日本の大学モデル「Novel Japan University Model」を提唱。「HU VISION 2030」では、研究力強化を重要な課題と位置づけており、研究力から生み出される科学技術、イノベーション、そしてTop10%論文などを「卓越性 "Excellence"」と呼んでいる。また、そうした研究成果などを社会に広げ、地域課題を解決する力を「社会展開力 "Extension"」と呼び、ExcellenceとExtensionの両輪によりNovel Japan University Modelを確立し、世界共通の目標である「持続可能なWell-being社会」の実現を目指すとしている[9][10]。
研究力を伸ばす要素の1つとして「他機関との連携強化」を挙げていて、メルボルン大学など戦略的国際連携パートナー大学との連携を進めるほか、北海道ユニバーシティアライアンスに参画する[11][12]。
また、サステイナビリティの推進にも力を入れており、2021年にはサステイナビリティ推進機構を設置[13][14]。北海道大学は、2022年、英高等教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)がまとめた大学のSDGsへの貢献度を示すTHEインパクトランキングにおいて日本で総合1位、世界で10位を獲得し、2019年より5年連続、日本で第1位を獲得している[15][16]。
また、先端半導体分野の人材育成、先端研究、産学連携に力を入れ、2023年10月に半導体拠点形成推進本部を学内に立ち上げ[17]、2024年1月に同分野における人材育成と研究力向上を目的に東北大学と連携協定を締結した[18]。2024年6月には北海道千歳市に進出する半導体企業ラピダス株式会社と包括連携協定を締結[19][20]、台湾の国立陽明交通大学と連携体制強化に合意した[21]。2024年8月、米レンセラー工科大学とも半導体分野の研究や人材育成で合意書を締結[22]。
エピソード・発言
[編集]- 札幌医科大学の和田心臓移植事件に衝撃を受けたことが医師の道を志すきっかけである。1986年から1989年にカリフォルニア大学デービス校客員研究員を務めた際には、脳神経科学者の中田力に科学研究の基礎を叩きこまれた。
- 物理学者で東北大学総長の大野英男は北海道札幌南高等学校の同級生である[23]。高校2年生のとき同じクラスになり、隣の席から「お前、夏目漱石は読んだか」と話しかけてきた大野に対して「生意気な奴だ」という印象を抱いたという[23]。
受賞
[編集]- 1993年12月 - 第22回かなえ医学奨励賞
- 1999年4月 - 日本脳卒中の外科学会賞(鈴木賞)
- 2007年9月 - 北海道医師会賞・北海道知事賞
- 2013年2月 - 公益信託美原脳血管障害研究振興基金 美原賞
- 2017年10月 - 日本脳神経外科学会 斎藤眞賞
- 2018年10月 - 伊藤太郎学術賞
主な研究業績
[編集]書籍
[編集]- 『脳動脈瘤手術』(上山博康・宝金清博、南江堂、2010年)、ISBN 4524250182、ISBN 978-4524250189
- 『中大脳動脈瘤(MCA Aneurysm)のすべて:シミュレーションで経験する手術・IVR 50本のWEB動画付き』(宝金清博監修, 井川房夫・宮地茂編、メディカ出版、2014年)、ISBN 4840448957、ISBN 978-4840448956
- 『内頚動脈瘤(ICA Aneurysm)のすべて-近位部(cavernous-paraclinoid): シミュレーションで経験する手術・IVR/92本のWEB動画付き』(宝金清博監修, 井川房夫・宮地茂編、メディカ出版、2015年)、ISBN 4840453330、ISBN 978-4840453332
- 『内頚動脈瘤(ICA Aneurysm)のすべて-遠位部(supraclinoid): シミュレーションで経験する手術・IVR/50本のWEB動画付き』(宝金清博監修, 井川房夫・宮地茂編、メディカ出版、2015年)、ISBN 4840453349、ISBN 978-4840453349
- 『前大脳動脈瘤・椎骨脳底動脈瘤(ACA・VBA Aneurysm)のすべて: シミュレーションで経験する手術・IVR/130本のWEB動画付き』(宝金清博監修, 井川房夫・宮地茂編、メディカ出版、2016年)、ISBN 4840457875、ISBN 978-4840457873
- 『脳血行再建術』(上山博康・宝金清博、中外医学社、2016年)、ISBN 4498029518、ISBN 978-4498029514
- 『脳血管障害診療のエッセンス』(北川泰久・寺本明・磯部光章・弓倉整監修/鈴木則宏・峰松一夫・寳金清博・水間正澄編、メジカルビュー社、2017年)、ISBN 475831778X、ISBN 978-4758317788
- 『脳と頭蓋底の血管系アトラス 臨床解剖のバリエーション』(寳金清博監訳・中山若樹訳者代表、医学書院、2018年)、ISBN 426003457X、ISBN 978-4260034579(Vasculature of the Brain and Cranial Base Variations in Clinical Anatomy 2nd Editionの日本語訳)
- Mastering Intracranial Microvascular Anastomoses:Basic Techniques and Surgical Pearls (edited by Garnette Sutherland, Kiyohiro Houkin, Hiroyasu Kamiyama、メディカ出版、2017), ISBN 978-0000000002
- Cell Therapy Against Cerebral Stroke: Comprehensive Reviews for Translational Researches and Clinical Trials (edited by Houkin Kiyohiro, Abe Koji, Kuroda Satoshi、Springer 2017),ISBN 9784431560579
- Moyamoya Disease Explored Through RNF213 (edited byAkio Koizumi, Kazuhiro Nagata, Kiyohiro Houkin, Teiji Tominaga, Susumu Miyamoto, Shigeo Kure, Elizabeth Tournier-Lasserve, Springer, 2017), ISBN 978-981-10-2711-6
論文
[編集]- Kiyohiro Houkin, Masaki Ito, Taku Sugiyama, Hideo Shichinohe, Naoki Nakayama, Ken Kazumata, Satoshi Kuroda "Review of Past Research and Current Concepts on the Etiology of Moyamoya Disease" NEUROLOGIA MEDICO-CHIRURGICA 52(5), 267-277, 2012 doi:10.2176/nmc.52.267 PMID 22688062
- Kiyohiro Houkin, Hideo Shichinohe, Koji Abe, Teruyo Arato, Mari Dezawa, Osamu Honmou, Nobutaka Horie, Yasuo Katayama, Kohsuke Kudo, Satoshi Kuroda, Tomohiro Matsuyama, Ichiro Miyai, Izumi Nagata, Kuniyasu Niizuma, Ken Sakushima, Masanori Sasaki, Norihiro Sato, Kenji Sawanobori, Satoshi Suda, Akihiko Taguchi, Teiji Tominaga, Haruko Yamamoto, Toru Yamashita, Toshiki Yoshimine,"Accelerating Cell Therapy for Stroke in Japan: Regulatory Framework and Guidelines on Development of Cell-Based Products" Stroke 49(4), e145-e152, 2018 doi:10.1161/STROKEAHA.117.019216 PMID 29581346
出演
[編集]ラジオ
[編集]- ラジオNIKKEI医学講座「もやもや病の診断と治療」(ラジオNIKKEI、2013年7月23日)[24]
公式動画
[編集]脚注
[編集]- ^ “ひと・街・キラリ 北大学長に就任 宝金清博さん(66) 力を発揮できる体制に”. 毎日新聞. (2020年10月18日) 2021年2月22日閲覧。
- ^ “寳金 清博 総長特設サイト”. 2021年1月3日閲覧。
- ^ “北大新学長の宝金氏、「強い経営力を」会見で抱負”. 日本経済新聞. (2020年9月3日) 2021年2月22日閲覧。
- ^ “北パワハラ問題で総長解任の北海道大 新総長決まる”. 朝日新聞デジタル. (2020年9月4日) 2021年2月22日閲覧。
- ^ “北大学長に宝金氏任命 トップ不在2年、前学長解任―文科省”. 時事ドットコムニュース. (2020年9月25日) 2021年2月22日閲覧。
- ^ “「傾聴の姿勢 大切に」 北大次期学長、財政力強化強調 /北海道”. 毎日新聞. (2020年9月4日) 2021年2月22日閲覧。
- ^ “北海道大学 総長特設ページ”. www.hokudai.ac.jp. 2024年12月21日閲覧。
- ^ “2021年6月号 わたしの勉学時代 北海道大学総長 寳金 清博先生に聞く”. 個別指導のDr関塾. 2024年12月21日閲覧。
- ^ a b “HU VISION 2030 | 大学案内”. 北海道大学. 2024年12月21日閲覧。
- ^ yoshihara (2024年10月22日). “サステイナビリティの伝統を生かして「比類なき大学」でグローバル人材育成ー北海道大学| ユニヴプレス”. univpressnews.com. 2024年12月21日閲覧。
- ^ “道内7大学など地域課題で連携”. 日本経済新聞 (2023年9月22日). 2024年12月21日閲覧。
- ^ “道内大学結集し地域課題解決を ユニバアライアンスが初会合(十勝毎日新聞)”. 十勝毎日新聞電子版 (2024年12月21日). 2024年12月21日閲覧。
- ^ 松山元樹 (2021年7月31日). “サステイナビリティ推進機構を設置 | 北海道大学 x SDGs”. sdgs.hokudai.ac.jp. 2024年12月21日閲覧。
- ^ 編集部 (2021年10月25日). “「社会連携、教育研究力、SDGsで世界に貢献する大学へ」 -北大・宝金総長就任1年インタビュー | THE MAINSTREET”. 2024年12月21日閲覧。
- ^ “英誌の大学社会貢献度、北海道大が世界10位 国内首位”. 日本経済新聞 (2022年4月28日). 2024年12月21日閲覧。
- ^ 大学ジャーナルオンライン編集部 (2024年6月22日). “北海道大学がTHEインパクトランキングで総合72位、5年連続で国内1位に”. 大学ジャーナルオンライン. 2024年12月21日閲覧。
- ^ “新着情報: 半導体分野における産学官のハブとなる「半導体拠点形成推進本部」を設置しました”. 北海道大学. 2024年12月21日閲覧。
- ^ “東北大学と北海道大学が連携協定 まずは半導体人材育成”. 日本経済新聞 (2024年1月17日). 2024年12月21日閲覧。
- ^ “大学内で最先端半導体の分析へ ラピダスと北海道大学が包括連携協定:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2024年6月5日). 2024年12月21日閲覧。
- ^ “ラピダスと北海道大学が半導体人材育成 2ナノ品評価も”. 日本経済新聞 (2024年6月5日). 2024年12月21日閲覧。
- ^ “北海道大学、台湾・陽明交通大学と半導体研究で協力 協定締結:北海道新聞デジタル”. 北海道新聞デジタル. 2024年12月21日閲覧。
- ^ 大学ジャーナルオンライン編集部 (2024年8月26日). “北海道大学 米レンセラー工科大学と半導体研究や人材育成で連携へ”. 大学ジャーナルオンライン. 2024年12月21日閲覧。
- ^ a b “隣席の東北大学長に「お前、漱石は読んだか」と言われ…北大学長「生意気な男だと思った」”. 讀賣新聞オンライン. (2021年2月5日) 2021年2月22日閲覧。
- ^ “放送内容一覧(2013年)”. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “【北海道大学公式】寳金清博総長 コンセプトメッセージ”. 2021年2月13日閲覧。