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張保皐級潜水艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
張保皐級潜水艦
SSK-061「張保皐」
SSK-061「張保皐」
基本情報
種別 通常動力型潜水艦
建造所 ドイツの旗HDW社(1番艦および技術指導)
大韓民国の旗大宇造船海洋(2番艦以降)
運用者  大韓民国海軍
就役期間 1993年 - 現在
計画数 18隻
建造数 9隻
前級 なし
次級 214型
要目
基準排水量 1,100 t
水中排水量 1,285 t
長さ 56 m
6.2 m
吃水 5.5 m
機関方式 ディーゼル・エレクトリック方式
主機
推進器 スクリュープロペラ×1軸
出力 3,200 bhp
速力 11 kt (浮上時)
22 kt (潜航時)
航続距離 7,500 海里 (8 kt, 浮上時)
466 海里 (4 kt, 潜航時)
28 海里 (20 kt, 潜航時)
航海日数 50日
潜航深度 最大320 m / 実用250 m
乗員 33名
兵装 533mm魚雷発射管×8
魚雷/USM×14基または機雷×28基搭載)
ソナー CSU-83 統合式
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張保皐級潜水艦 (チャンボコきゅうせんすいかん、英語: Jang Bogo-class submarine) は韓国海軍通常動力型潜水艦の艦級。ドイツ209型潜水艦シリーズに属し、艦型番号は209/1200型[1][2][3]

来歴

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朝鮮人民軍海軍が早くから中華人民共和国などから潜水艦を導入し、小型艦ながら新造も進めてきたのに対し、韓国海軍の潜水艦保有計画は長らく実現しなかった。しかし1980年代にはまず特殊潜航艇の整備が着手され、イタリア製のコスモス型潜水艦や国内建造の海豚型潜水艇が取得された[1][4]

またこれと並行して、より本格的な潜水艦の取得プロジェクトとしてKSS-1に着手した。日本アメリカ合衆国の協力を得られなかったこともあって、ドイツ209型潜水艦が選定され、まず1987年に最初の3隻が発注された。また1989年1994年にも3隻ずつが発注されたが[5]、当初検討されていた計18隻という大量建造計画は実現せず、AIP搭載の発展型である214型に移行した[6]

本級の取得にあたっては、1番艦はドイツより完成状態で輸入、2,3番艦はドイツで建造されたブロックを韓国で組み立てるノックダウン生産、そして4番艦以降は韓国でのライセンス生産という手順を踏むことで、建造・整備手法の習得を目指した。ただし、元自衛艦隊司令官である香田洋二海将(退役)は、幕僚協議など韓国海軍との交流の経験を踏まえて、これらの潜水艦部隊の整備目的や運用構想の不明瞭さを指摘している[7]

設計

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上記の経緯より、本級はインジェニエーアコント・リューベック(IKL)社の209型潜水艦の設計を採用している。209型としての艦型番号は209/1200型とされており[1][3]、同系列艦のなかでも、特にトルコ海軍アイ級潜水艦トルコ語版との類似性が指摘されている[2]。船殻構造は単殻式で[8]、非耐圧・大型の上部構造を乗せた構造となっている[6]。前後のトリム・タンクと両舷にバラスト・タンクを有する[8]。実用潜航深度250メートル、最大潜航深度320メートルとされている[3]

主機にはディーゼル・エレクトリック方式を採用している。原動機としてはMTU 12V493 AZ80ディーゼルエンジン[注 1]を搭載した。水中放射雑音低減のため、主機は防音防振支持とされており、209型のなかでも特に静粛性に優れているとされている。二次電池としては、120セルで放電容量11,500アンペア時のものを4群搭載しており、重量257トンとされている[3]

装備

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ソナーとしては統合式のCSU-83を備えている[2][3]。ただし中周波の艦首アレイのみであるため、対潜戦能力は低く、対水上戦を主たる目的としたものと評価されている[5]

艦首に533mm魚雷発射管8門を備えており、長魚雷14発または機雷28発を搭載できる[2][3]。搭載魚雷としては、当初はドイツ製のSUT Mod.2を搭載していたが、後には国産の白鮫に切り替えられており[5]、このため、SUT Mod.2は96発しか発注されなかった[3]。また後にはハープーン対艦ミサイル(USM)も導入されたが、これは一部の艦にとどまっている[5]。武器管制用としてISUS-83魚雷発射指揮装置を備えており、ディスプレイコンソール4基が配されている[3]

同型艦一覧

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艦番号 艦名 造船所 進水 就役
SS-061 張保皐
ROKS Chang Bogo
HDW
(キール)
1992年
6月18日
1993年
6月2日
SS-062 李阡
ROKS Yi Chon
大宇造船海洋
(玉浦)
1992年
10月12日
1994年
4月30日
SS-063 崔茂宣
ROKS Choi Mu Son
1993年
8月7日
1995年
2月27日
SS-065 朴葳
ROKS Pak Ui
1993年
8月7日
1996年
2月3日
SS-066 李従茂
ROKS Lee Jong Moo
1995年
5月17日
1996年
8月29日
SS-067 鄭運
ROKS Chong Un
1996年
5月5日
1998年
3月
SS-068 李純信
ROKS Lee Sun Sin
1998年
5月21日
2000年
2月
SS-069 羅大用
ROKS Na Dae Yong
1999年
6月
2000年
11月
SS-071 李億祺
ROKS Lee Okgi
2000年
5月26日
2001年
11月30日

脚注

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注釈

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  1. ^ MTU 12V396SEとの説もある[2]

出典

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  1. ^ a b c Gardiner 1996, p. 247.
  2. ^ a b c d e Saunders 2009, p. 459.
  3. ^ a b c d e f g h Wertheim 2013, pp. 405–406.
  4. ^ 海人社 2009.
  5. ^ a b c d 小林 2018.
  6. ^ a b 海人社 2005, p. 127.
  7. ^ 香田 2009.
  8. ^ a b 海人社 2005, p. 146.

参考文献

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  • 海人社(編)「世界の潜水艦」『世界の艦船』第637号、海人社、2005年1月、NAID 40006548369 
  • 海人社(編)「韓国新型艦の技術的特徴 (特集・韓国海軍の現況)」『世界の艦船』第704号、海人社、2009年4月、86-93頁、NAID 40016485798 
  • 香田, 洋二「韓国海軍 その現況と将来」『世界の艦船』第704号、海人社、2009年4月、75-81頁、NAID 40016485796 
  • 小林, 正男「現代の潜水艦 第29回」『世界の艦船』第889号、海人社、2018年12月、141-149頁、NAID 40021713010 
  • Gardiner, Robert (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. ISBN 978-1557501325 
  • Saunders, Stephen (2009). Jane's Fighting Ships 2009-2010. Janes Information Group. ISBN 978-0710628886 
  • Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545 

外部リンク

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