望月拓郎
もちづき たくろう 望月 拓郎 | |
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日本学士院賞受賞に際して 公表された肖像写真 | |
生誕 |
1972年8月28日(52歳) 長野県長野市 |
居住 | 日本 |
研究分野 | 数学 |
研究機関 |
大阪市立大学 京都大学 |
出身校 |
京都大学理学部中途退学 京都大学大学院 理学研究科修士課程修了 京都大学大学院 理学研究科博士課程修了 |
主な業績 |
調和バンドルと ツイスターD加群の研究 柏原予想を証明 |
主な受賞歴 |
春季賞(2006年) 湯川・朝永奨励賞 (2008年) 日本学術振興会賞 (2010年) 日本学士院学術奨励賞 (2010年) 日本学士院賞(2011年) 大阪科学賞(2012年) 朝日賞(2020年) 数学ブレイクスルー賞(2022) |
プロジェクト:人物伝 |
望月 拓郎(もちづき たくろう、1972年8月28日 - )は、日本の数学者(微分幾何学・代数幾何学)。博士(理学)(京都大学・課程博士・1999年)(学位論文 『Gromov-Witten class and a perturbation theory in algebraic geometry』)。京都大学数理解析研究所教授。
大阪市立大学理学部助手、京都大学大学院理学研究科助教授、京都大学大学院理学研究科准教授、京都大学数理解析研究所准教授などを歴任した。
概要
[編集]長野県出身の数学者であり[1][2][3]、微分幾何学や代数幾何学を専攻する[1]。調和バンドルとツイスターD加群の研究などで知られている[3]。微分方程式に関する「柏原予想」の証明に成功した[3]。2011年(平成23年)には30代にして日本学士院賞を受賞した[2]。京都大学大学院理学研究科で学び、大阪市立大学や京都大学に勤務した。
来歴
[編集]生い立ち
[編集]1972年(昭和47年)生まれ[1][3]、長野県長野市出身[2]。長野県長野高等学校を卒業し、京都大学に進学した[1]。理学部にて学んでいたが[1]、在学中にトポロジーの本を読み[3]、「計算で答えを出す高校までの数学からガラッと変わった」[3] と述懐している。大学院の理学研究科に飛び入学で進学するため、1994年(平成6年)に理学部を中途退学した[1]。1996年(平成8年)、京都大学の大学院における修士課程を修了した[1]。それに伴い、修士(理学)の学位を取得した。大学院在学中に「Gromov-Witten class and a perturbation theory in algebraic geometry」[4] と題した博士論文を執筆した。1999年(平成11年)、京都大学の大学院における博士課程を修了した[1][3]。それに伴い、博士(理学)の学位を取得した(甲博士)[1][4][5]。
数学者として
[編集]大学院修了後、大阪市立大学に採用され[1][3]、1999年(平成11年)に理学部の助手として着任した[1]。2004年(平成16年)、母校である京都大学に転じ[1][3]、大学院の理学研究科にて助教授に就任した[1]。なお、2007年(平成19年)学校教育法改正により職位が助教授から准教授となった[1]。2008年(平成20年)、本務が理学研究科から数理解析研究所となり[1][3]、そちらでも准教授に就任した[1][3]。2012年(平成24年)、京都大学の数理解析研究所にて教授に昇任した[3]。その傍ら、他の教育・研究機関でも教鞭を執った。オーバーヴォルファッハ数学研究所においては、サイモンズ客員教授を兼任した[6]。
研究
[編集]専門は数学であり、特に微分幾何学や代数幾何学といった分野の研究に従事した[1]。当初、数学のさまざまな分野に関心を持っており[3]、大阪市立大学に勤務する頃までは研究テーマがなかなか定まらなかった[3]。のちに同値性を主要な研究テーマとし[3]、調和バンドルとツイスターD加群の研究などで知られるようになった[3]。幾何と解析の観点から調和バンドルを研究し[3]、代数と解析の観点からツイスターD加群の研究に取り組んだ[3]。柏原正樹が1996年(平成8年)に提唱し「半世紀は解けない」[3]と言われていた「柏原予想」に取り組み[3]、2011年(平成23年)に発表した論文にて柏原予想の証明に成功した[3]。2014年(平成26年)には国際数学者会議にて全体講演を行った[3][7]。
これまでの業績に対し、多くの賞が授与されている。2006年(平成18年)には、「Harmonic bundleの漸近挙動」[8] に対して日本数学会より春季賞が授与された[8]。2008年(平成20年)には、「ツイスターD-加群と半単純偏屈層の研究」[9][† 1] に対して湯川・朝永奨励賞が授与された[9]。「調和バンドルの漸近挙動の研究」[10][11] に対しては、2010年(平成22年)3月1日に日本学術振興会より日本学術振興会賞が授与されるとともに[10][12]、同日に日本学士院からも日本学士院学術奨励賞が授与された[11]。2011年(平成23年)6月20日には、「純ツイスターD-加群の研究」[2][† 1]に対して日本学士院賞が授与された[13]。2012年(平成24年)には、「調和バンドルと純ツイスターD-加群の研究」[14][† 1]に対して、大阪科学賞が授与されている[14]。2021年(令和3年)には、「調和バンドルとツイスターD加群の研究」[15][16][† 2] に対して朝日賞が授与されている[15][16]。2022年に東洋人で初めて数学ブレイクスルー賞を受賞[17][18]。 https://breakthroughprize.org/News/65 https://breakthroughprize.org/Laureates/3/L3906
人物
[編集]数学の魅力について、未知の世界への探検に例えて説明している[3]。
略歴
[編集]- 1972年 - 誕生[1][3]
- 1994年 - 京都大学理学部中途退学[1][† 3]
- 1996年 - 京都大学大学院理学研究科修士課程修了[1]
- 1999年 - 京都大学大学院理学研究科博士課程修了[1]
- 1999年 - 大阪市立大学理学部助手[1]
- 2004年 - 京都大学大学院理学研究科助教授[1]
- 2007年 - 京都大学大学院理学研究科准教授[1]
- 2008年 - 京都大学数理解析研究所准教授[1][3]
- 2012年 - 京都大学数理解析研究所教授[3]
受賞歴
[編集]- 2006年 - 春季賞[8]
- 2008年 - 湯川・朝永奨励賞[9]
- 2010年 - 日本学術振興会賞[10]
- 2010年 - 日本学士院学術奨励賞[11]
- 2011年 - 日本学士院賞[2]
- 2012年 - 大阪科学賞[14]
- 2021年 - 朝日賞[15][16]
- 2022年 - 数学ブレイクスルー賞[17]
講演
[編集]註釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 『第6回(平成21年度)日本学術振興会賞受賞者及び授賞理由』16頁。
- ^ a b c d e 「日本学士院賞授賞の決定について」『日本学士院賞授賞の決定について | 日本学士院』日本学士院。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 野口憲太「数学分野を横断する理論駆使――京都大教授望月拓郎さん(48)」『朝日新聞』48334号、13版、朝日新聞東京本社、2021年1月1日、32面。
- ^ a b 「書誌事項」『CiNii 博士論文 - Gromov-Witten class and a perturbation theory in algebraic geometry』国立情報学研究所。
- ^ 学位授与番号甲第7625号。
- ^ "On the Photo", Details: Takuro Mochizuki, Mathematisches Forschungsinstitut Oberwolfach.
- ^ a b 「望月京大教授、8月の世界数学者会議で基調講演」『望月京大教授、8月の世界数学者会議で基調講演: 日本経済新聞』日本経済新聞社、2014年6月3日。
- ^ a b c “彌永賞・日本数学会賞受賞者リスト”. 日本数学会情報システム運用委員会 (2019年10月2日). 2021年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月31日閲覧。
- ^ a b c 「京都大学大学院理学研究科・准教授望月拓郎氏業績の要旨等」『第1回湯川・朝永奨励賞授賞者を決定しました。— 京都大学』京都大学。
- ^ a b c 『第6回(平成21年度)日本学術振興会賞受賞者一覧』。
- ^ a b c 「第6回(平成22年3月1日)」『日本学士院学術奨励賞授賞一覧 | 日本学士院』日本学士院。
- ^ 「受賞者一覧」『日本学術振興会賞|日本学術振興会』日本学術振興会。
- ^ 「第101回(平成23年6月20日)」『恩賜賞・日本学士院賞・日本学士院エジンバラ公賞授賞一覧 | 日本学士院』日本学士院。
- ^ a b c 『大阪科学賞受賞者一覧(第1回~第36回)』。
- ^ a b c 「朝日賞4件5氏に」『朝日新聞』48334号、14版、朝日新聞東京本社、2021年1月1日、1面。
- ^ a b c “朝日賞 2020年度”. 朝日新聞社. 2023年1月7日閲覧。
- ^ a b Breakthrough Prize in Mathematics
- ^ “WINNERS OF THE 2022 BREAKTHROUGH PRIZES IN LIFE SCIENCES, FUNDAMENTAL PHYSICS AND MATHEMATICS ANNOUNCED” (2021年9月9日). 2021年9月10日閲覧。