東京の名湧水57選
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東京の名湧水57選[注釈 1](とうきょうのめいゆうすいごじゅうななせん)は、「湧水への関心を高め、その保護と回復を図る」ことを目的に、「水量、水質、その由来、景観などに優れた湧水等」を、一般からの推薦に基づき、東京の名湧水選定委員会の検討によって東京都環境局が選定し、2003年1月24日に公表した、東京都内57か所の湧水の総称[1][2]。
背景
[編集]東京都では、武蔵野台地の末端部にある崖線沿いや、多摩丘陵の谷戸などの湧水が、都市化の影響などで枯渇や水質悪化が進んでおり、1995年度に確認されていた653か所の湧水のうち、2000年度の調査時には70か所が消失していた[3]。そこで、湧水への一般の関心を高めることをおもな狙いとして、名湧水の選定事業が2012年9月から取り組まれた[3]。
有識者からなる東京の名湧水選定委員会は、高村弘毅を座長とし、小倉紀雄、児玉清、早川光、百瀬千秋、渡辺泰徳の6名で構成された[1]。
名湧水の条件
[編集]選定委員会は、公表された「選定の考え方」の中で、
- 区市町村、ないし、都民からの推薦
- 水量や水質、また、由来や景観などにおいて優れていること
- 一般公開されているもの
を選定の前提としたことを述べている[1]。このため、公開に制限があることを理由として選定から外れた湧水もあった[1]。一方、飲用の可否は基準には含まれておらず、飲用に適することを保証するものではない[4]。
一覧
[編集]番号 | 名称 | 所在地 | 注記 |
---|---|---|---|
1 | 柳の井戸 | 港区元麻布1-6善福寺前 | 善福寺参道にあり、空海(弘法大師)との由縁が伝えられる。 |
2 | おとめ山公園 | 新宿区下落合2-10 | |
3 | 関口芭蕉庵 | 文京区関口2-11-31 | |
4 | 目黒不動尊 | 目黒区下目黒3-20-26 | 瀧泉寺 |
5 | 田園調布せせらぎ公園 | 大田区田園調布1-53-10 | |
6 | 清水窪弁財天 | 大田区北千束1-26 | 洗足池の源泉のひとつ。洗足池までは、暗渠となっている[5]。 |
7 | 旧六郷用水脇 | 大田区田園調布本町39 | |
8 | 旧六郷用水沿い洗い場跡 | 大田区田園調布本町25 | |
9 | 等々力渓谷・等々力不動尊 | 世田谷区等々力1-22先 | かつて修行が行なわれていた滝もある。 |
10 | 烏山弁天池 | 世田谷区北烏山4-30 | 特別緑地保全地区、世田谷区指定特別保護区 |
11 | 岡本静嘉堂緑地 | 世田谷区岡本2-23 | 旧岩崎弥之助邸の敷地内にあり、台地上には静嘉堂文庫がある。 |
12 | 清正の井 | 渋谷区代々木神園町1 | 明治神宮の森を水脈源とする。加藤清正が掘ったとする伝説がある[6]。 |
13 | 善福寺川御供米橋下流 | 杉並区大宮2-24 | 大宮八幡宮に近い。 |
14 | 赤羽自然観察公園 | 北区赤羽西5-2-34 | 自衛隊十条駐屯地赤羽分屯地跡の一部。 |
15 | 不動の滝 | 板橋区赤塚8-11 | |
16 | 清水山憩いの森 | 練馬区大泉町1-6 | |
17 | 叶谷榎池 | 八王子市叶谷町1079 | 湧水点付近に大榎がある。 |
18 | 子安神社 | 八王子市中野山王2-23 | |
19 | 六本杉公園 | 八王子市子安町2-22 | 八王子八十八景の「水辺の景」のひとつ。 |
20 | 片倉城跡公園 | 八王子市片倉町2475 | 片倉城跡。八王子八十八景の「みどり・公園の景」のひとつ。 |
21 | 小宮公園 | 八王子市暁町2-41-6 | 八王子八十八景の「みどり・公園の景」のひとつ。 |
22 | 矢川緑地 | 立川市羽衣町3-26 | 緑地保全地区 |
23 | 野川公園 | 三鷹市大沢 | 国際基督教大学ゴルフ場跡。 |
24 | 岩清水(小澤酒造) | 青梅市沢井2-770 | 19世紀半ばに発見され、その後、岩盤を140メートルほど掘り進んだ横井戸が設けられ、日本酒醸造の仕込み水などとして使用されている[7][8]。 |
25 | 西府町湧水 | 府中市西府町1-43 | |
26 | 諏訪神社 | 昭島市宮沢町2-32-12 | 石段脇の崖から湧水がある[9]。 |
27 | 龍津寺 | 昭島市拝島町5-2 | |
28 | 深大寺不動の滝 | 調布市深大寺元町5-15-1 | |
29 | 貫井神社 | 小金井市貫井南町3-8 | |
30 | 滄浪泉園 | 小金井市貫井北町3-2-28 | 旧波多野承五郎別邸。 |
31 | はけの森美術館 | 小金井市中町1-11-3 | 中村研一の作品を中心とする美術館。敷地内に湧水がある[10]。 |
32 | 黒川湧水 | 日野市東豊田3-16-1[11] | 黒川清流公園[11]。 |
33 | 中央図書館下湧水 | 日野市豊田2-49 | |
34 | 小沢緑地 | 日野市三沢2-15 | |
35 | 姿見の池 | 国分寺市西恋ヶ窪1 | 国分寺姿見の池緑地保全地域 |
36 | 新次郎池 | 国分寺市南町1-7 | 東京経済大学校地内。1966年に湧水をせき止めて造られた池であり、名称は北沢新次郎に由来する[12]。 |
37 | 殿ヶ谷戸庭園 | 国分寺市南町2 | 旧江口定条・岩崎彦弥太別邸。国指定の名勝。 |
38 | お鷹の道・真姿の池湧水群 | 国分寺市東元町3、西元町1 | 名水百選のひとつ。 |
39 | ママ下湧水群 | 国立市矢川3-15 | |
40 | 常盤の清水(谷保天満宮) | 国立市谷保5209 | 湧水の流れ込む弁天池のそばにはアジサイ園がある[13]。 |
41 | 清岩院 | 福生市福生507 | |
42 | 湖畔ビオトープ | 東大和市湖畔2-1044-219外 | 湖畔第二緑地 |
43 | 二ツ池公園 | 東大和市湖畔3-1085 | 前川の源流。 |
44 | 南沢緑地 | 東久留米市南沢3-9 | 「落合川と南沢湧水群」として、平成の名水百選のひとつ[14]。 |
45 | 竹林公園 | 東久留米市南沢1-7 | |
46 | 黒目川天神社前 | 東久留米市柳窪4-15 | 黒目川の源流。 |
47 | 龍の入不動尊 | 武蔵村山市三ツ木5-9-5 | 「白糸の滝」と称される湧水。 |
48 | 穴澤天神社 | 稲城市矢野口3292 | |
49 | 威光寺 | 稲城市矢野口 | 2017年1月現在、閉鎖中[15] |
50 | 二宮神社 | あきる野市二宮1189 | |
51 | 八雲神社 | あきる野市野辺316-1 | |
52 | 祥安寺の清泉 | 奥多摩町境341 | 「境の清泉」とも。「奥多摩 天然水」として商品化された[16][17]。 |
53 | 獅子口の湧水 | 奥多摩町大丹波字曲ヶ谷511 | |
54 | 釜の水 | 奥多摩町小丹波オタキ下191 | |
55 | 多幸湧水 | 神津島村榎木が沢 | |
56 | つづき湧水 | 神津島村字宮塚山69 | |
57 | 大島分川 | 御蔵島村字川田 |
ギャラリー
[編集]-
(5) 田園調布せせらぎ公園
-
(9) 等々力渓谷不動の滝
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(23) 野川公園わき水広場
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(37) 殿ヶ谷戸庭園の池
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(38) お鷹の道
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(38) 真姿の池
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(39) ママ下湧水群の「上(かみ)のママ下」
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(39) ママ下湧水群付近の農業用水
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(41) 福生市の清岩院
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 新聞等では「東京の名湧水五十七選」と表記されることもある。
出典
[編集]- ^ a b c d 東京の名湧水57選選定基準 東京都環境局 2003年1月24日 - ウェイバックマシン(2011年2月15日アーカイブ分)
- ^ “東京の名湧水57選決まる”. 読売新聞・東京朝刊・多摩: p. 31. (2003年1月25日) - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ a b “東京の名湧水選定へ 都がきょう委員会開催”. 読売新聞・東京朝刊・多摩: p. 32. (2002年9月13日) - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ “東京の名湧水57選”. 東京都環境局. 2014年1月10日閲覧。
- ^ 堀越正光 (2012年3月28日). “(東京物語散歩:217)光瀬龍『夕ばえ作戦』 東急大岡山駅周辺”. 朝日新聞・東京朝刊・都区内: p. 28 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “明治神宮の自然・みどころ 清政井”. 明治神宮. 2014年1月10日閲覧。
- ^ “小澤酒造(タダナビ 無料お楽しみスポット)”. 朝日新聞・夕刊: p. 6. (2004年12月15日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “事業紹介”. 小澤酒造. 2014年1月10日閲覧。
- ^ “湧水、枯れ気味でも涼 昭島の諏訪神社”. 朝日新聞・東京朝刊・多摩: p. 31. (2004年8月5日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “はけの森美術館”. はけの森美術館. 2014年1月10日閲覧。
- ^ a b 伊藤隆太郎 (2017年7月11日). “eco活プラス 身近に湧き水、楽しもう 東京にも57選、学べる歴史や地形”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 夕刊 7面
- ^ 大西史晃 (2007年4月30日). “(お宝発見)タヌキも憩う新次郎池 東京経済大”. 朝日新聞・朝刊: p. 21 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “アジサイ、全国から寄贈1000株 国立・谷保天満宮”. 朝日新聞・東京朝刊・多摩: p. 33. (2009年6月18日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “東久留米「落合川と南沢湧水群」、「平成の名水百選」に 環境省が発表”. 朝日新聞・東京朝刊・東京西部: p. 27. (2008年6月5日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “No.49 威光寺(稲城市)”. 東京都環境局 (2018年2月9日). 2021年4月23日閲覧。
- ^ “住民も観光客も愛飲、奥多摩の天然水 三セクが商品化”. 朝日新聞・東京朝刊・東京都: p. 30. (2005年11月19日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “奥多摩天然水のご紹介”. 奥多摩総合開発. 2014年1月11日閲覧。