民俗音楽
民俗音楽(みんぞくおんがく、英 folk music、独 Volksmusik、仏 musique folklorique)は、職業音楽家が存在する階層化社会において、民衆のあいだで口頭伝承されてきた音楽を指す言葉である[1]。
概要
[編集]民俗音楽に含まれるもの
[編集]民謡、民族楽器演奏、民俗舞踊などが含まれる。「民謡」という語の意味に近いが、楽器による音楽や舞踊を確実に含めるには「民俗音楽」という語を使う必要がある[2]。
民俗音楽に含まれないもの
[編集]「民俗音楽」は基層社会の音楽であるため、上層の「芸術音楽」との対比は始めから内在している。
民族音楽との関係
[編集]「民族音楽」は、ある民族の音楽文化全体を指す言葉であり、「民族音楽」から「芸術音楽」を取り去るとおおむね「民俗音楽」が残る。
ポピュラー音楽との関係
[編集]クラシックとポピュラーを対比させ、ポピュラー音楽に民俗音楽を含める場合がある[3]。
ポピュラー音楽を民俗音楽と対比させる場合、「ポピュラー音楽」には「都市と大衆とマス・メディアに結びついた音楽」を含め、民俗音楽には主として口頭伝承の音楽を含めることになる。
この分け方だと、その民族の音楽文化全体を「民族音楽」とし、それを「芸術音楽」と「ポピュラー音楽(大衆音楽、通俗音楽)」と「民俗音楽(口頭伝承の音楽)」に分けることになる[3]。北米ではこの分け方でも足りず、民俗音楽の中にさらに小規模部族のもつ「部族音楽」と言う言葉を用いる必要がある。
逆に職業音楽家や階層社会が存在しない文化においては「民俗音楽」と言う語の使用は不適当であり、例えばアフリカやオセアニアにはこの語は使わず、一つの民族のもつ音楽という意味で,民族音楽の方が使われる[4]。
したがって、どの民族や文化も、民族音楽はもつが、民俗音楽をもつとは限らない。