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燕石十種

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

燕石十種(えんせきじっしゅ)は、江戸時代後期にまとめられた叢書。全3巻6。安政4年(1857年)から文久3年(1863年)にかけて成立[1]

江戸時代の風俗・人情・奇事異聞に関する稀書珍書(多くは写本)を1輯に10部ずつ6輯60部を輯めて[2]、2輯ずつを1巻とした。

解説

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達磨屋活東子(岩本佐七)が編纂。その養父で、日本橋で書籍商を営む岩本蛙麿(達磨屋五一、花廼屋蛙麿)が補助[3]写本として流通した[2]

「燕石」は中国古典に由来する語で「玉(宝石)に似ている石」を意味し[4]、「十種」は「十襲」(大事に保管すること[5])の駄洒落である[3]:附言

出版

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1907年から国書刊行会より刊行[3]
このほか国書刊行会の編纂で『続燕石十種』[6]、『新燕石十種』[6]も出版された。

以後の刊行版
  • 『燕石十種』上中下組(東出版、1976年)岩本佐七 編、国書刊行会の復刻
  • 『燕石十種』中央公論社(全6巻、1979-80年)
    • 『続燕石十種』(全3巻、1980年)
    • 『新燕石十種』(全8巻、1980-82年)、表記は岩本活東子 編

内容

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第一

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  • 高尾考(原盛和)
  • 遊女考(相場長昭編)
  • 猿楽伝記,江戸真妙六十帖,我衣(加藤曳尾庵)
  • 賤のをた巻,塵塚談(小川顕道)
  • 後はむかし物語(手柄岡持)
  • 瀬田問答(太田覃,瀬田貞雄共著)
  • 奴師労之(太田覃)

第二輯

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第三

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第四

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  • 藻屑物語,夢の浮橋(太田覃)
  • 江戸節根元由来記,三座家狂言并由諸書,中古戯場説(近世江都)
  • 聞集(馬場文耕)
  • 相撲伝書(木村守直)
  • あづまめぐり,葛飾記,駿河台志

第五

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  • 洞房語園(庄司勝富)
  • 大尽舞考証,吉原雑話,北里戯場隣の疝気(原盛和)
  • 老のたのしみ抄(二代目市川団十郎)
  • 寛天見聞記,夢浮橋附録(豊島屋十右衛門)
  • 江戸塵拾,望海毎談,戯作外題鑑 

第六

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  • 江戸往古図説(大橋方長)
  • 慶長年間江戸図考(中神守節)
  • 麓の花(好間堂主人)
  • 鹿の巻筆(鹿野武左衛門)
  • 絵そらごと(石野広通)
  • なら柴(原盛和)
  • 吉野伝(住経邦)
  • 道成寺考(屋代弘賢編)
  • 新吉原町定書,芝居町江御触書

『続燕石十種』

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2冊。国書刊行会編。明治42年刊。珍籍40部をおさめる。

第一

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  • 画証録(喜多村信節)
  • 式亭雑記(式亭三馬)
  • 釣客伝(黒田五柳)
  • 莘野茗談(平秩東作)
  • 過眼録,反古染(越智為久)
  • 洞房語園後集(庄司道恕)
  • 武江年表補正略(喜多村筠庭)
  • 博戯犀照(山崎美成)
  • 国字小説通(木村黙翁)
  • 京摂戯作者考(烏有山人)
  • 一蝶流謫考(凉仙老樵)
  • 柳淇園先生一筆(柳沢淇園)
  • 深川珍者録
  • 浪速人傑談(政田義彦)
  • 戯財録(並木五瓶初代)
  • わすれのこり(四壁庵茂蔦)
  • 徳永種久紀行(徳永種久)
  • 反古籠(万象亭)
  • 俳諧古文庫(亭々亭馬琴=曲亭馬琴撰)

第二

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  • 異聞雑稿(曲亭馬琴)
  • 吉原源氏五十四君(榎本其角)
  • 筠庭雑録(喜多村信節)
  • 清神秘録(北流山人)
  • 十八大通(珉斎閑人)
  • 山東京伝一代記
  • 江都百化物
  • 金杉日記(山崎美成)
  • 京山高尾考(京山人百樹=山東京山)
  • 紙屑籠(三升屋二三治)
  • 須須美草(建部綾足)
  • 壷菫(黒川春村)
  • 古風今様舞曲扇林乾・坤(河原崎権之助)
  • 改過筆記(曲亭馬琴)
  • 柳亭遺稿(柳亭種彦)
  • 其昔談(三木隆盛)
  • 無垢衣考(山東京伝)
  • 疑問録(山崎美成編)
  • 只今御笑草(瀬川如皐二世)
  • 色道大鏡(畠山箕山)

『新燕石十種』

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5巻。国書刊行会編。明治45年から大正2年まで5回に刊行。

第1(明治45年)

  • 飛鳥川(八十九歳老父) 続飛鳥川
  • 親子草(喜田有順)
  • 近来見聞噺の苗(暁鐘成)
  • 天言筆記(藤岡屋由蔵著 誉田老人編)
  • 於路加於比(柳亭種秀)
  • 伝衢暗記空おぼへ(菅園)
  • けんどん争ひ(好問堂,曲亭共著)
  • 浪華百事談巻
  • 元吉原の記

第2(明治45年)

  • ひともと草(津村淙庵等著)
  • 五月雨草紙(喜多村香城)
  • なゐの日並(笠亭仙果)
  • にぎはひ草(灰屋紹益)
  • 了阿遺書(村田了阿)
  • 東都紀行(辻雪洞)
  • 濁考論(只野あや子=工藤真葛) 濁考追加,濁考余論
  • 落語家奇奴部類(二代目船遊亭扇橋)
  • 営中刄傷記
  • 江戸砂子補正(加賀美遠懐)

第3(大正2年)

  • 歌舞妓十八番考(石塚豊芥子)
  • 花街漫録正誤(筠庭主人)
  • 百戯述略(斎藤幸成)
  • 四いろ草(瑞竜軒怒翁)
  • 茂睡考(山東庵京山)
  • 東作遺稿(東作)
  • 怪談老の杖(平原子編)
  • 写山楼之記(野村文紹)
  • 麗遊
  • 卯花園漫録(石上宜続)

第4(大正2年)

  • 見世物雑志(古楽園撰)
  • 下谷通志(山崎美成)
  • 相撲今昔物語(子明山人)
  • 伊波伝毛乃記(滝沢馬琴)
  • 声曲類纂補遺(斎藤幸成)
  • 雅俗随筆(柳亭種秀)
  • 兎園小説外集(曲亭馬琴編)

第5(大正2年)

  • 天和笑委集(柳亭種彦)
  • 寝ね夜のすさび(片山賢)
  • 本所雨やどり(加藤敬豊)
  • 二国連璧談(平秩東作)
  • 吉原十四ケ条(柳亭種彦)
  • 秀鶴随筆・坤(中村秀鶴初代)
  • 胆大小心録(上田秋成)
  • 摂陽落穂集(浜松歌国)
  • 摂陽見聞筆拍子(浜松歌国編)
  • 大奥秘記(旧旗下の一老人)

脚注

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  1. ^ 燕石十種」『国書総目録』 1巻(補訂版)、岩波書店、東京、1989年9月6日、523頁。doi:10.20730/isbn.9784000086011ISBN 9784000086011https://kokusho.nijl.ac.jp/page/kokusho1-5.pdf  (国文学研究資料館サイト上位ページ:国書総目録)
  2. ^ a b 燕石十種」『精選版 日本国語大辞典(小学館)』https://kotobank.jp/word/%E7%87%95%E7%9F%B3%E5%8D%81%E7%A8%AEコトバンクより2024年6月9日閲覧 
  3. ^ a b c 国書刊行会「例言」『燕石十種』 1巻、国書刊行会、東京、1907年5月25日、例言1頁。doi:10.11501/991268NCID BN0499157X全国書誌番号:51000597https://dl.ndl.go.jp/pid/991268/1/2 
  4. ^ 燕石」『精選版 日本国語大辞典(小学館)』https://kotobank.jp/word/%E7%87%95%E7%9F%B3コトバンクより2024年6月9日閲覧 
  5. ^ 十襲」『精選版 日本国語大辞典(小学館)』https://kotobank.jp/word/%E5%8D%81%E8%A5%B2コトバンクより2024年6月9日閲覧 
  6. ^ a b 叢書目録」『国書総目録』 8巻(補訂版)、岩波書店、東京、1990年11月6日、386頁、および364頁。doi:10.20730/isbn.9784000086080ISBN 9784000086080https://kokusho.nijl.ac.jp/page/kokusho8.pdf  (国文学研究資料館サイト上位ページ:国書総目録)

外部リンク

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