ワシントン・ポスト
同紙のライノタイプ | |
種別 | 日刊紙 |
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判型 | ブランケット判 |
所有者 | WP Company LLC Nash Holdings |
発行者 | フレッド・ライアン |
編集者 | マーティン・バロン |
設立 | 1877年12月6日 |
本社所在地 | ワシントンD.C. |
発行数 | 平日版 47万4767部 日曜版 83万8014部 |
ISSN | 0190-8286 |
ウェブサイト | washingtonpost.com |
ワシントン・ポスト(英語: The Washington Post)は、1877年創刊のアメリカ合衆国ワシントンD.C.の日刊紙である。米国内での発行部数は25万部で、USAトゥデイ(162万部 本紙のみ全国紙)、ウォール・ストリート・ジャーナル(101万部)、ニューヨーク・タイムズ(48万部)、ニューヨーク・ポスト(42万部)、ロサンゼルス・タイムズ(41万部)に次いで第6位[1]。首都ワシントン最大の新聞であり特に国家政治に重点を置いている。
2013年に、オーナーのドナルド・E・グラハムの15年来の友人であるAmazon.comの創業者ジェフ・ベゾスに買収された[2]。冷戦中には、特に容共リベラルな編集方針や記事がアメリカの政権から敵視され、保守派からは「Pravda on the Potomac (ポトマック河畔のプラウダ(ソ連共産党の機関誌)」と称された[3][4][5]。2017年に"Democracy Dies in Darkness"(民主主義は暗闇で死ぬ)を新スローガンに採用した[6]。
概要
ワシントンD.C.の地方紙である[7]が、世界的影響力を与える「高級紙」の部類であり、新聞の読者もアメリカ合衆国の高学歴層が大半である。
二世代にわたってワシントン・ポスト社を所有していたマクリーン家の破産後に、ユージン・メイヤー(1875年 - 1959年)が同社を買収し、その娘のキャサリン・グレアムが夫のフィリップ・グレアムの自殺以降、同社を支配管理した。彼女は、この新聞の発行人を1969年から1979年まで務め、1973年から1991年まで社長を、1999年から亡くなる2001年まで会長を歴任した。息子のドナルド・グレアムも1979年から2000年まで発行人を務めた。彼に引継ぎ、ボイスヒューレット・ジョーンズ・ジュニアがワシントン・ポストの発行人及びCEOを務めている。
2013年8月5日、ワシントン・ポスト・カンパニー(NYSE: WPO)は、ワシントン・ポストを含む同社の新聞事業を2億5千万ドルでジェフ・ベゾス(Amazon.com創業者・会長兼CEO兼社長)に売却すると発表した[8]。ポスト・カンパニーの放送・ケーブルテレビ事業、一部の出版事業、医療事業は本取引には含まれない。Amazon.comは本取引には関与しておらず、ワシントン・ポストはベゾスがオーナーとなる非公開企業の下で発行されることになる[9]。2013年10月1日に取り引きが完了し、ワシントン・ポスト(WP Company LLC)はベゾスの個人投資会社であるナッシュ・ホールディングスLLCの傘下になった。新聞事業を売却したワシントン・ポスト・カンパニーは、同年11月29日付でグレアム・ホールディングス・カンパニー(NYSE: GHC)に改名した。
2017年に、ワシントン・ポストのスローガンを"Democracy Dies in Darkness"(民主主義は暗闇で死ぬ)とすることを発表。公式ウェブサイトのみでなく、今後紙面などでも掲げていくことを発表。このスローガンはそれ以前から編集部内で使われていたもの[6]。
2019年10月27日までに、ホワイトハウスは全ての連邦政府機関に対しワシントン・ポストの購読停止を求めたと発表した。トランプ大統領は、ポスト紙などの報道をフェイクニュースとして批判を続けてきた[10]。
1889年にジョン・フィリップ・スーザがこの新聞の発行人に依頼され、同タイトルの行進曲『ワシントン・ポスト』を作曲した。この曲はスーザにとって初の大ヒット曲となり、米国内だけでなく、国際的にも流行した。
ウェブサイト
ワシントン・ポストは1996年6月にウェブサイト(WashingtonPost.com)を開設した[11]。
記事
- 1970年代初頭のボブ・ウッドワード及びカール・バーンスタインによるウォーターゲート事件の追及で国際的な名声を獲得した。
- 1971年、FBI支所から盗まれたFBIによる違法な監視活動をしるした記録書類を、ロサンゼルスタイムズ、ニューヨーク・タイムズが掲載を見送る中掲載した[12]。
- 1980年に報じられた「ジミーの世界」は取材記者の虚偽報道であることが明らかになり、ピューリッツァー賞を返上する事態に至った[13]。
- 報道協定及び記者クラブに縛られない外国報道機関であったため、記者東郷茂彦が皇太子徳仁親王と小和田雅子の結婚決定をスクープした。
- 2007年、従軍慰安婦問題について、日本国政府の責任を否定し、アメリカ合衆国下院121号決議の全面撤回を要求する意見広告"THE FACTS"が掲載された。日本の保守派の主張を広めることができたとする意見や、かえってアメリカ合衆国下院の同決議を早める結果となったという意見があるなど、評価は分かれている。
- 2010年の核セキュリティ・サミットに関連した記事で、鳩山由紀夫を"loopy"(愚か、変わり者)や「最大の敗者」と厳しく批判した[14][15]。
- 2013年6月より、元CIA職員のエドワード・スノーデンから託されたNSAの機密資料に基づき、多数の記事を掲載している。2014年4月、NSAの極秘情報収集活動「PRISM」の告発・調査報道が評価され、ピューリッツァー賞の公益部門金賞を受賞した[16]。
- 2016年10月7日に、アメリカ合衆国のテレビ番組「アクセス・ハリウッド」が、10年前の2005年に撮影した、自分がいかに女性を性的に思い通りにできるかを下品な言葉で自慢する、共和党代表大統領候補のドナルド・トランプの動画を公開し[17]、共和党が大混乱へと陥った[18]。
脚注
- ^ Top 10 U.S. Daily Newspapers
- ^ [1]「米アマゾンCEO、ワシントン・ポスト紙を買収」
- ^ Bartlett, Bruce (March 13, 2007). "Partisan Press Parity?". ワシントン タイムス.
- ^ Kirchick, James (February 18, 2009). "Pravda on the Potomac". en:The New Republic.
- ^ en:William Greider, "Washington Post Warriors", en:The Nation, March 6, 2003.
- ^ a b 『「暗闇の中では民主主義は死んでしまう」ワシントン・ポストの新スローガン』 2017年2月23日 Onebox News
- ^ アメリカには日本で言う「全国紙」はUSAトゥデイ以外存在しない
- ^ Jeffrey P. Bezos to Purchase The Washington Post The Washington Post Company、2013年8月5日
- ^ ベゾスによる買収後、Amazon.com, Inc.を取り上げた記事には、"Amazon.com chief executive Jeffrey P. Bezos owns The Washington Post."(「Amazon.com最高経営責任者のジェフリー・P・ベゾスは、ワシントン・ポストを所有する。」)との説明が入るようになっている。
- ^ “トランプ政権、連邦政府機関に米2紙の購読停止促す”. CNN (2019年10月27日). 2019年12月3日閲覧。
- ^ ghostsofdc (2019年12月30日). “When Did the Washington Post Launch a Website? | Ghosts of DC” (英語). 2020年6月5日閲覧。
- ^ 2016年6月16日に奇跡体験!アンビリバボーにおいて「市民が窃盗団結成★FBIから極秘文書を盗み出せ」として取り上げられた。
- ^ 埼玉県立久喜図書館、2005、「ジャネット・クックが「ジミーの世界」でピューリッツァー賞を受賞した。受賞した年と、この受賞作の正確な題名を知りたい。」『レファレンス協同データベース』登録番号1000019073、2005年2月11日登録、2008年2月15日更新、(2013年5月11日取得、http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000019073 )。
- ^ Among leaders at summit, Hu's first ワシントン・ポスト、2010年4月14日
- ^ 米紙に「哀れで頭おかしい」 ここまで言われる鳩山首相 J-CASTニュース、2010年4月15日
- ^ 佐藤由紀子 (2014年4月15日). “NSA報道のGuardianとWashington Postにピューリッツァー賞”. ITmedia 2014年4月16日閲覧。
- ^ David A. Fahrenthold (2016年10月8日). “Trump recorded having extremely lewd conversation about women in 2005” (英語). Washington Post (WP Company LLC) 2016年10月10日閲覧。
- ^ ピーター・エニス (2016年10月9日). “10年前の失言がトランプ氏の息の根を止めた「トランプ女性蔑視発言」に共和党内が大混乱”. 東洋経済ONLINE (東洋経済新報社) 2016年10月10日閲覧。
関連項目
- ワシントン・ポスト (行進曲)
- ニューズウィーク
- ニューヨーク・タイムズ
- ウォール・ストリート・ジャーナル
- バークシャー・ハサウェイ - グレアムに次ぐワシントン・ポスト・カンパニーの第二位の大株主
- ウォーレン・バフェット - バークシャー・ハサウェイのCEOである関係から、以前ワシントン・ポスト・カンパニーの役員を務めていた
- キャサリン・グラハム
- ベン・ブラッドリー
- 読売新聞(提携先)
- ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(同社を扱った映画)