デザートクラウン
この記事は現役競走馬を扱っています。 |
デザートクラウン | |||||||||
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欧字表記 | Desert Crown | ||||||||
品種 | サラブレッド | ||||||||
性別 | 牡 | ||||||||
毛色 | 鹿毛 | ||||||||
生誕 | 2019年3月2日(5歳)[1] | ||||||||
父 | Nathaniel[1] | ||||||||
母 | Desert Berry[1] | ||||||||
母の父 | Green Desert[1] | ||||||||
生国 | イギリス[1] | ||||||||
生産者 | Strawberry Fields Stud[1] | ||||||||
馬主 | Saeed Suhail[1] | ||||||||
調教師 | Sir Michael Stoute[1] | ||||||||
競走成績 | |||||||||
生涯成績 | 3戦3勝[1] | ||||||||
獲得賞金 | 1,014,081ポンド[1] | ||||||||
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デザートクラウン(英: Desert Crown、2019年3月2日 - )は、イギリスの競走馬である。主な勝ち鞍は、2022年のダービーステークス。
戦績
デビュ―前
2019年3月2日、ストロベリーフィールズスタッドの所有者ゲイリー・ロビンソンによって生産される[1][2]。父は現役時キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスなどを勝利した種牡馬ナサニエル[3]。同父の代表産駒にはエネイブルやチャンネルがいる[3]。母はストロベリーフィールズスタッドが繋養する繁殖牝馬デザートベリーで、本馬の半兄としてG3競走プレミアカップを勝つフライングサンダーを生産している[2][4]。2代母は、ジャドモントファームの牝系出身のフォーリンランゲージで、スカンジナヴィア古馬チャンピオンのバイナリーファイルの半妹に当たる[3]。そのほか、近親にはプリンスオブウェールズステークス勝ち馬バイワード、アメリカでダイアナステークスなどG1競走4勝のプロヴィソ、コロネーションカップ勝ち馬クワイエトフリング、ジュライカップ勝ち馬コンティネント、メイトリアークステークスなどG1競走3勝のワンデスタなどがいる[3]。
2020年10月、本馬はストロベリーフィールズスタッドによってタタソールズ社10月1歳セールへと上場され、競走馬の購買を仲介するブランドフォードブラッドストック社によって28万ギニーの価格で落札された[5][6]。本馬は、ドバイの実業家サイード・スハイルによって所有され、競走馬としてマイケル・スタウト調教師のもとに預託された[7][8]。
2歳 (2021年)
11月3日、ノッティンガム競馬場で行われた芝8.5ハロンのメイドン戦(未勝利戦)でリチャード・キングスコート騎乗でデビューし、2着に5馬身1/2差を付けて勝利した[9]。その後、3歳シーズンまで休養に入った[9]。
3歳 (2022年)
ダンテステークス
映像外部リンク | |
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2022年ダンテステークス Racing TV |
2022年5月12日、デザートクラウンはヨーク競馬場で行われたダンテステークスにて戦列に復帰。本馬は、同競走に出走する前から、有力馬ルクセンブルグの回避などを受けてダービーの前売りで7倍程度の支持を集めるようになっていた[10]。ダンテステークスの単勝人気は、本馬と2000ギニー8着馬ロイヤルパトロネージとがともに4.5倍で共同の1番人気となった[9][11]。
競走では、後方3頭目からレースを進め、直線では外から他馬をまとめて交わし、最後はロイヤルパトロネージに3馬身1/4差を付けて勝利。重賞初挑戦での重賞初勝利となった[9]。これによってスタウトはヘンリー・セシル調教師の記録に並ぶ同競走の7勝を達成した[12]。この勝利を受け、主要ブックメーカーは軒並み本馬をダービーステークスでの単勝1番人気に設定した[9]。また、この完勝によって本馬のレーティングは117ポンドとなり、続くダービーでは出走馬の中で最高レーティングを保持する立場になる[13]。
ダービーステークス
映像外部リンク | |
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2022年ダービーステークス Racing TV |
映像外部リンク | |
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2022年ダービーステークス JRA公式 |
2022年6月4日、デザートクラウンはダービーステークスに出走。第243回を迎えた同競走は、同年6月2日から5日までを4連休として各処で催されたエリザベス女王即位70年を祝う「プラチナジュビリー」の祝賀行事の中心的なイベントの一つとなり、女王は健康状態を理由に列席しなかったものの、その娘であるアン王女が代わりに列席した[注 1][14]。さらに、馬術選手のザーラ・ティンドールも来場[14]。このほか、場内では多くのユニオンジャックが掲げられ、女王の勝負服をまとった40人の騎手が集い、メイン競走直前には花火が打ちあげられる[注 2]など、同式典のために様々な場面が展開された[14]。また、同競走はこの先日に死去したダービー9勝の騎手レスター・ピゴットを追悼するかたちにもなっている[14]。
単勝人気は、2戦2勝の本馬が3.5倍の1番人気[3]。これに続いて、G3競走アイリッシュダービートライアルステークスを勝利したストーンエイジが4.5倍で2番人気、リステッド競走ニューマーケットステークスを7馬身差で勝利したネーションズプライドが8.5倍で3番人気、G3競走チェスターヴァーズを勝利したチェンジングオブザガードが10倍で4番人気となった[16][17]。
競走では、発馬を決め、道中5番手あたりを進み、直線残り2ハロン付近で先頭に立った[18]。その後は17頭の馬群を抜けて独走態勢となり、最後は少し差を詰められたが、追い上げたフーヤマルおよびウエストオーバーに対して2馬身1/2差を付けて優勝した[19][20]。無敗での同競走勝利[21]、1番人気での同競走勝利[22]は、ともに2015年のゴールデンホーン以来7年振りであった。管理するマイケル・スタウト調教師は、2010年のワークフォースに続き12年振り6度目のダービー制覇となった[20]。鞍上のキングスコートは、2度目の挑戦でダービー初制覇[20]。キングスコートはその後、同年10月のチャンピオンステークスでもベイブリッジに騎乗して優勝し、このシーズンでイギリスの大競走を2勝することになる[23]。
主要ブックメーカーは、デザートクラウンの凱旋門賞の単勝オッズを3 - 4倍の1番人気とした[24]。英国競馬統括機構公式ハンデキャッパーのマーク・オレーは、着差の2馬身1/2差を楽勝であったことを考慮して7ポンドと換算し、同競走で2着に上がったフーヤマルを116ポンド[注 3]に設定したことで、デザートクラウンに対して123ポンドというレーティングを与えた[注 4][13]。国際的なレーティングは、2022年ロンジンワールドベストレースホースランキングの当初の中間発表(第4版)では122ポンド、第5版では123ポンドとなった[26][27]。
脚部不安と年内休養
ダービーを無敗で制したデザートクラウンは、その後7月23日施行のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを目標とし、同競走ではダービー3着後にアイリッシュダービーを勝ったウエストオーバーとの再戦が見込まれた[28]。しかし7月13日頃、軽度の脚部不安が発覚[28]。7月14日にスタウトが同競走の回避を表明した[29]。続いて、8月のヨーク競馬場で施行されるインターナショナルステークスを回避[30]。その後は凱旋門賞ないしチャンピオンステークスを目標とする旨が報道されていたが、7月時点で同シーズンの全休が決定した[31]。この際、陣営のレーシングマネージャーは、馬主の意向に基づいて翌年春のドバイシーマクラシックで現役復帰することを示唆した[31]。
11月9日に行われた第32回カルティエ賞の表彰では、2022年の最優秀3歳牡馬にノミネートされたが、受賞は逃す結果となった[32]。
競走成績
以下の内容は、Racing Post[1]、BHA[33]およびJRA-VAN Ver.World[9]による。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 頭 数 |
馬 番 |
人気 | 着順 | 騎手 | 距離(馬場) | タイム | 着差 | 1着馬(2着馬) | |
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2021. | 11.21 | ノッティンガム | 未勝利戦 | 11 | 3 | 4人 | 1着 | R.キングスコート | 芝1m81y(重) | 1:47.26 | -1.07 | (Schmilsson) | |
2022. | 5.12 | ヨーク | ダンテS | G2 | 8 | 3 | 1人 | 1着 | R.キングスコート | 芝1m2f67y(良) | 2:09.46 | -0.55 | (Royal Patronage) |
6. 4 | エプソム | ダービーS | G1 | 17 | 2 | 1人 | 1着 | R.キングスコート | 芝1m4f6y(良) | 2.36.38 | -0.42 | (Hoo Ya Mal) |
- 競走成績は2022年6月4日現在。
- F:ハロン(≒201.2 m)
血統表
デザートクラウンの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | サドラーズウェルズ系 |
[§ 2] | ||
父 Nathaniel 鹿毛 2008 |
父の父 Galileo鹿毛 1998 |
Sadler's Wells | Northern Dancer | |
Fairy Bridge | ||||
Urban Sea | Miswaki | |||
Allegretta | ||||
父の母 Magnificient Style鹿毛 1993 |
Silver Hawk | Roberto | ||
Gris Vitesse | ||||
Mia Karina | Icecapade | |||
Basin | ||||
母 Desert Berry 鹿毛 2009 |
Green Desert 1983 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer | |
Pas de Nom | ||||
Foreign Courier | Sir Ivor | |||
Courtly Dee | ||||
母の母 Foreign Language栗毛 2003 |
Distant View | Mr. Prospector | ||
Seven Springs | ||||
Binary | Rainbow Quest | |||
Balabina | ||||
母系(F-No.) | (FN:1-p) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Northern Dancer 4×4、Mr. Prospector 5×4、Nearctic 5・5×5 | [§ 4] | ||
出典 |
脚注
参考文献
雑誌記事
- 富岡典子「第243回英ダービーリポート デザートクラウンが式典に花を添える」『優駿』2022年7月号、中央競馬ピーアール・センター、2022年、52-55頁。
注釈
- ^ エリザベス女王が戴冠以降ダービーを観戦できなかったのは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響で無観客開催となった2020年、2021年を含め、これで4回目であった[14]。
- ^ なお、同競走でナハーニに騎乗したアダム・カービー騎手は、同馬がサプライズ花火によって動揺して競走能力を損なわれてしまったとし、この演出を批判している[15]。
- ^ このレーティングは、前走でフーヤマルに対して7馬身差を付けて勝利した際のネーションズプライドと同等の評価になる[13]。
- ^ これは、英国競馬統括機構におけるダービー優勝に対するレーティングとしては2014年のオーストラリアと同等の評価[25]。オレーによれば、ダービー馬としては「平均以上」の評価である[13]。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l “競走馬情報 Desert Crown”. レーシングポスト. 2022年6月5日閲覧。
- ^ a b Crowe, Aisling. “Derby triumph crowning glory for Strawberry Fields Stud | Bloodstock News | Racing Post”. www.racingpost.com. Racing Post. 2022年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月21日閲覧。
- ^ a b c d e “2022年 英ダービー(G1) 海外の主要レース結果 海外競馬発売 JRA”. jra.jp. 日本中央競馬会. 2022年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月21日閲覧。
- ^ “Desert Berry” (英語). Strawberry Fields St. Strawberry Fields Stud. 2022年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月21日閲覧。
- ^ “Lot 724 - Nathaniel (IRE) / Desert Berry (GB) B.C. (GB)”. Tattersalls. 2022年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月21日閲覧。
- ^ “Blandford Bloodstock, Newmarket Suffolk | History” (英語). Blandford Bloodstock. 2022年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月21日閲覧。
- ^ Bloodstock World Staff. “Dam of Derby winner Desert Crown to be sold at Tattersalls December Sale | Bloodstock News | Racing Post”. www.racingpost.com. Racing Post. 2022年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月21日閲覧。
- ^ Wilson, Leslie. “Dubai businessman Saeed Suhail wins second Epsom Derby with Desert Crown” (英語). Khaleej Times. 2022年11月21日閲覧。
- ^ a b c d e f “デザートクラウンがG2ダンテS快勝、キャリア2戦で英ダービー有力候補に”. JRA-VAN Ver.World. (2022年5月14日) 2022年6月5日閲覧。
- ^ Stevens, James. “From 33-1 to 6-1 in a week: what we know about big Derby gamble Desert Crown | Horse Racing News | Racing Post”. www.racingpost.com. Racing Post. 2022年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月21日閲覧。
- ^ “Full Result 3.35 York | 12 May 2022 | Racing Post”. www.racingpost.com. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “Desert Crown new Derby favourite after Dante victory” (英語). BBC Sport 2022年11月21日閲覧。
- ^ a b c d Olley, Mark (2022年6月7日). “Desert crowns Jubilee weekend with imperious success” (英語). The British Horseracing Authority. British Horseracing Authority. 2022年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月21日閲覧。
- ^ a b c d e 富岡2022、53頁。
- ^ “ダービー発走数分前の打上げ花火に不満の声(イギリス)[その他]”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “英ダービー(G1) 2022/6/4(土) | 日程・結果”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “英ダービー枠順確定、前売り1番人気のデザートクラウンは12番枠”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “デザートクラウンが英ダービーを圧勝、スタウト師は6度目の栄冠”. JRA-VAN Ver.World. (2022年6月5日) 2022年6月5日閲覧。
- ^ 富岡2022、52頁。
- ^ a b c 富岡2022、54頁。
- ^ Wood, Greg (2022年6月5日). “Desert Crown looks destined for great things after showreel Derby triumph | Greg Wood” (英語). the Guardian. the Guardian. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “本命の英ダービー制覇でブックメーカー悲鳴、凱旋門賞のオッズにも影響”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “バーイード、ダッシュがつかず最後の一戦で敗北(イギリス)[その他]”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “1番人気デザートクラウン快勝で凱旋門賞前売り1番人気に浮上 スタウト師は6勝目/英ダービー”. 日刊スポーツ. (2022年6月5日) 2022年6月5日閲覧。
- ^ “デザートクラウンのレーティング、近年の英ダービー馬ではオーストラリアと同格”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “THE LONGINES WORLD’S BEST RACEHORSE RANKINGS”. ifhaonline.org (2022年6月9日). 2022年11月21日閲覧。
- ^ “THE LONGINES WORLD’S BEST RACEHORSE RANKINGS”. ifhaonline.org (2022年7月14日). 2022年11月21日閲覧。
- ^ a b “英ダービー馬デザートクラウンが軽度の負傷、キングジョージ出走は微妙に”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “無敗の英ダービー馬デザートクラウン、キングジョージ回避が決定”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “英ダービー馬デザートクラウン、英インターナショナルSも回避”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月21日閲覧。
- ^ a b “英ダービー馬デザートクラウンが今季全休へ、復帰は来春のドバイシーマCか”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “バーイード、ヨーロッパ年度代表馬に選出(欧州)[その他]”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2022年11月21日閲覧。
- ^ Authority, The British Horseracing. “Desert Crown (GB)” (英語). The British Horseracing Authority. 2022年11月21日閲覧。
- ^ a b c “Desert Crown(GB) 血統情報:5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年7月30日閲覧。
- ^ a b c “Desert Crownの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2022年7月30日閲覧。
外部リンク
- 競走馬成績と情報 Racing Post