「乗鞍岳」の版間の差分
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{{Infobox 山 |
{{Infobox 山 |
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|名称=乗鞍岳 |
|名称=乗鞍岳 |
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|画像=[[ファイル: |
|画像=[[ファイル:Norikura-air.jpg|300px]]<br/>奈川渡ダム上空より望む乗鞍岳</small> |
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|標高=3, |
|標高=3,025.<small>64</small> |
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|座標={{ウィキ座標2段度分秒|36|06|23|N|137|33|13|E}} |
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|所在地=[[長野県]][[松本市]]・[[岐阜県]][[高山市]] |
|所在地=[[長野県]][[松本市]]・[[岐阜県]][[高山市]] |
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|山系=[[飛騨山脈]] |
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|種類=[[活火山]]ランクC |
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|初登頂=1680年代([[円空]]上人) |
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}} |
}} |
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{{mapplot|137.5536|36.1064|乗鞍岳}} |
{{mapplot|137.5536|36.1064|乗鞍岳の位置}} |
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'''乗鞍岳'''(のりくらだけ)は、[[飛騨山脈]]( |
'''乗鞍岳'''(のりくらだけ)は、[[飛騨山脈]](北アルプス)南部の[[剣ヶ峰]]([[標高]]3,026[[メートル|m]])を主峰とする山々の総称。[[朝日岳]]、[[摩利支天]]岳、富士見岳、屏風岳など23の山があり、広大な裾野が広がる。[[日本百名山]]<ref>[[深田久弥]]の著書『日本百名山』([[朝日新聞社]]、ISBN 4-02-260871-4)</ref>及び[[新日本百名山]]<ref>[[岩崎元郎]]の著書『ぼくの新日本百名山』(朝日新聞社、ISBN 4-02-261526-5)</ref>に選定されている。 |
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== 概要 == |
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[[本州]]における[[太平洋]]側([[木曽川]])と[[日本海]]側([[信濃川]]、[[神通川]])の中央[[分水界]]が剣ヶ峰を通っており、この分水界の最高所となっている。 |
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[[中部山岳国立公園]]内の[[岐阜県]]と[[長野県]]にまたがっており、長野県側の麓には[[乗鞍高原]]が広がっている。山名の由来は、古くは「鞍ヶ嶺」と呼ばれ、姿が[[ウマ|馬]]の[[鞍]]に似ている事から名付けられたとされている。[[平安時代]]には「位山」と呼ばれ、[[1645年]]([[正保]]2年)頃の乗鞍岳と呼ばれるようになったとされている(幕府に提出された絵図に山名が記載されている)<ref>『日本二百名山』[[昭文社]]、ISBN 4-398-22001-1、P165</ref>。 |
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== 自然 == |
== 自然 == |
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日本の[[火山]]としては[[富士山]]、[[御嶽山 (長野県)|御嶽山]]に次ぐ高さである。火山体のほとんどは古期火山体で、新期の火山体は山頂付近に分布する火山体や山腹に分布する[[溶岩ドーム]]と[[溶岩流]]からなる大規模な[[成層火山]]。裾野が広いのが特徴で、8つの[[平野|平原]]がある。 |
日本の[[火山]]としては[[富士山]]、[[御嶽山 (長野県)|御嶽山]]に次ぐ高さである。火山体のほとんどは古期火山体で、新期の火山体は山頂付近に分布する火山体や山腹に分布する[[溶岩ドーム]]と[[溶岩流]]からなる大規模な[[成層火山]]。裾野が広いのが特徴で、8つの[[平野|平原]]がある。12の[[火山湖]](池)があり、山頂直下西にある権現池は日本有数の高所にある池である。山頂付近の積雪が多く、[[乗鞍スカイライン]]の開通のために長期間の除雪が必要となる。夏でも一部の北東斜面などには、雪渓が残り夏山での[[スキー]]が可能となっている。 |
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==== 噴火活動 ==== |
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[[イワヒバリ]]や[[イワツバメ]]、[[天然記念物]]に指定されている[[ライチョウ]]が生息するほか、[[コイワカガミ]]、[[シャクナゲ|キバナシャクナゲ]]、[[ミヤマキンバイ]]、[[クロユリ]]、[[コマクサ]]、[[イワギキョウ]]、[[ヨツバシオガマ]]などの植物が見られ、高山ならではの自然を堪能する事ができる。 |
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マグマに伴う噴火活動は、9600年前頃と9200年前頃に剣ヶ峰で起こり、火山灰の噴出と溶岩流の流出があった。また、約2000年前には恵比寿岳で発生し、火山灰の噴出と溶岩の流出を起こしている。火山性の地震群発は現在でも観測されている<ref>[http://www.seisvol.kishou.go.jp/tokyo/311_Norikuradake/311_index.html 気象庁 | 乗鞍岳]</ref>。活火山としての活動力を失っているが、湯川([[梓川]]の[[支流]])の最上流部では、[[火山ガス]]が発生している<ref name="jiten">『コンサイス日本山名辞典』[[三省堂]]、ISBN 4-385-15403-1、P407</ref>。周辺の山麓には[[温泉街|温泉地]]が多い。 |
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==== 動植物 ==== |
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また、西麓には、[[五色ヶ原 (乗鞍岳)|五色ヶ原]]があり、[[インタープリター (自然)|インタープリター]]同行でのガイドツアーが行われている。 |
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[[イワヒバリ]]や[[イワツバメ]]、[[天然記念物]]に指定されている[[ライチョウ]]が生息するほか、[[コイワカガミ]]、[[シャクナゲ|キバナシャクナゲ]]、[[ミヤマキンバイ]]、[[クロユリ]]、[[コマクサ]]、[[イワギキョウ]]、[[ヨツバシオガマ]]などの植物が見られ、高山ならではの自然を堪能する事ができる。[[畳平]]には、[[高山植物]]のお花畑があり、木道の遊歩道が整備されている。 |
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{| class="wikitable" |
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=== 噴火活動 === |
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マグマに伴う噴火活動は、9600年前頃と9200年前頃に剣ヶ峰で起こり、火山灰の噴出と溶岩流の流出があった。また、約2000年前には恵比寿岳で発生し、火山灰の噴出と溶岩の流出を起こしている。火山性の地震群発は現在でも観測されている<ref>[http://www.seisvol.kishou.go.jp/tokyo/311_Norikuradake/311_index.html 気象庁 | 乗鞍岳]</ref>。 |
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! [[ライチョウ]](冬毛) !! [[イワヒバリ]] !! [[クロユリ]] !! [[コマクサ]] |
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|- |
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|[[File:Ptarmigan Raicyou Male in kamikouchidake 2003 11 23.jpg|150px]] |
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|[[File:Prunella collaris.jpg|150px]] |
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|[[File:Fritillaria camschatcensis Kuroyuri in hakusan 2002-7-25.jpg|150px]] |
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|[[File:Dicentra peregrina Komakusa in Enzanso 2002-7-27.jpg|150px]] |
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|} |
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== 歴史 == |
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* [[807年]]([[大同 (日本)|大同]]2年)に、[[坂上田村麻呂|田村将軍]]が乗鞍三座の[[神]]に祈願をして[[開山]]したとされる(『乗鞍山縁起』)<ref>『日本の山1000』[[山と渓谷社]]、ISBN 4-635-09025-6、P348</ref>。 |
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* [[1212年]]([[建暦]]2年)に、社殿が建造されたが、その後荒廃した<ref>[[深田久弥]]の著書『日本百名山』([[朝日新聞社]]、ISBN 4-02-260871-4)、P225</ref>。 |
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* 1680年代([[天和 (日本)|天和]]年間)に、[[円空]]上人が、岐阜県側の平湯から初登頂したとされている。 |
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* [[1878年]]([[明治]]11年)に、[[ウィリアム・ゴーランド]]が地質調査を兼ねて登頂<ref>『日本アルプスの登山と探検』ウォルター・ウェストン(著)、青木枝朗(訳)、[[岩波文庫]]、ISBN 4-00-334741-2、P370</ref>。 |
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* [[1891年]](明治24年)に、小杉復堂が平湯から登頂<ref name="jiten" />。 |
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* [[1892年]](明治25年)に、[[ウォルター・ウェストン]]が登頂。 |
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[[ファイル:Norikura Solar Observatory、乗鞍コロナ観測所、8128356.JPG|thumb|240px|right|[[乗鞍コロナ観測所]]]] |
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* [[1922年]]([[大正]]11年)3月に、[[早稲田大学]]山学部の東条義人が番所から[[スキー]]登山をした。 |
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* [[1948年]]([[昭和]]23年)に、[[高山市]]から畳平まで乗鞍登山バスの運行開始。 |
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* [[1949年]](昭和24年)に、[[東京大学]]東京天文台の附属施設として摩利支天岳の山頂に[[乗鞍コロナ観測所]]が建設された。建物の老朽化により[[2010年]](平成22年)3月末をもって閉鎖された。 |
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* [[1973年]](昭和48年)に、[[乗鞍スカイライン]]が開通し、マイカーや観光バス多くの人が観光や登山で訪れるようになった。 |
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* [[2003年]]([[平成]]15年)[[5月15日]]に、自然保護の観点から乗鞍スカイラインなどで[[マイカー規制]]により、一般車両の通行が禁止された<ref>[http://www.hida.jp/norikura/index.shtml 高山市HP・観光情報(乗鞍スカイライン)] </ref>。 |
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* [[2004年]](平成16年)7月に、[[五色ヶ原 (乗鞍岳)|五色ヶ原]]に、完全予約制ガイド付きの自然散策コースが開設された<ref name="goshiki">[http://www.hida.jp/goshiki/ 乗鞍山麓 五色ヶ原]</ref>。 |
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* [[2005年]](平成17年)夏に、マイカー規制を機に整備を始めた[[平湯温泉]]からの[[登山道]]が完成<ref>以前は、[[平湯大滝]]から谷沿いの登山道があったが、途中崩落のため通行禁止になっていた。新しい登山道は、[[平湯温泉]]スキー場から尾根伝いに桔梗ヶ原までの9.6kmで、登り5時間、下り3時間半を要する。これで、登りは登山道を歩き、下りはバスといったことが可能になった。</ref>。 |
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== 観光・登山 == |
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[[ファイル:South Alps from Norikuradake 1998-05-16.jpg|thumb|240px|right|[[乗鞍エコーライン]]]] |
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2,700m付近にある駐車場('''[[畳平]]''')まで[[岐阜県道5号乗鞍公園線|乗鞍スカイライン]](岐阜県側)や[[長野県道84号乗鞍岳線|乗鞍エコーライン]](長野県側)といった自動車道が通じていることもあり、「日本で最も登りやすい[[日本の山一覧 (3000m峰)|3,000m超級の山]]」「[[ハイヒール]]でも上れる山」とも称されてきた。しかし自家用車で畳平の駐車場まで乗り入れのできた以前とは異なり、マイカー規制により[[2010年]](平成22年10月)現在、麓にある専用駐車場などから[[シャトルバス]]又は[[タクシー]]の利用が必要となった。 |
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==== マイカー規制(岐阜県側) ==== |
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* [[乗鞍スカイライン]]の[[平湯峠]]ゲートより上部 |
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** 乗換駐車場:アカンダナ駐車場(平湯温泉)、朴の木平駐車場 |
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==== マイカー規制(長野県側) ==== |
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* [[長野県道84号乗鞍岳線|乗鞍エコーライン]]の[[三本滝]]ゲートより上部 |
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** 乗換駐車場:乗鞍高原内の第1駐車場、第2駐車場、第3駐車場、三本滝駐車場 |
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==== 登山コース ==== |
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[[ファイル:North Alps from Norikuradake 1998-05-16.jpg|thumb|240px|right|乗鞍岳山頂からの[[畳平]]方面の展望]] |
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各方面から[[登山道]]が開設されている<ref name="gifuken">『改訂版 岐阜県の山』山と渓谷社、ISBN 978-4-635-02370-2</ref>。一部登山道は閉鎖や通行禁止状態になった。大部分の観光客や[[ハイカー]]は、畳平から周辺や山頂を散策している。山頂には、[[一等三角点]]、'''乗鞍神社'''奥宮と頂上小屋がある。 |
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* 畳平からのコース |
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* [[乗鞍高原]]からのコース |
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* 平湯口コース |
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* 日陰平口コース(乗鞍青年の家の登山口から丸黒尾根を経由) |
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* 青屋口コース |
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* 阿多野口コース |
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* 野麦口コース |
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他に、西麓には[[五色ヶ原 (乗鞍岳)|五色ヶ原]]があり、[[インタープリター (自然)|インタープリター]]同行でのガイドツアーが行われている<ref name="goshiki" /><ref name="gifuken" />。完全予約制で、滝や自然林を巡る登山道が整備されている。 |
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==== 山小屋・宿泊施設 ==== |
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[[ファイル:Norikuradake_kata-no-koya_P8128492.jpg|thumb|240px|乗鞍肩ノ小屋]] |
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登山者用の[[山小屋]]が山頂周辺にある。 |
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* 乗鞍肩ノ小屋 |
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* 白雲荘(白雲荘は畳平駐車場に隣接しており、個室もあり一般観光客の利用も多いが、[[ドミトリー|相部屋]]中心で、付近の残雪が少なくなると入浴ができなくなるなど、設備的には山小屋である。) |
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* 乗鞍岳頂上小屋(売店のみで宿泊はできない。) |
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* 位ヶ原山荘 |
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* 奥千町避難小屋(千町尾根の登山道上にある[[避難小屋]]) |
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[[畳平]]には、一般観光客向けの[[旅館]]タイプの[[宿泊施設]]ある。 |
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* 乗鞍山頂銀嶺荘 |
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* 乗鞍岳山頂乗鞍山荘 |
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* [[乗鞍高原温泉ユースホステル]] |
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==== 全日本マウンテンサイクリングin乗鞍 ==== |
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[[ファイル:Norikuramountaincycling.jpg|thumb|240px|ゴール地点の様子]] |
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毎年8月の最終日曜に開催される[[自転車]][[ヒルクライム]]レース。乗鞍エコーラインの鈴蘭から長野・岐阜県境までの区間、全長約20km、標高差1,258m(スタート地点1,458m, ゴール地点2,716m)(大会主催者側の公称値は全長22km、標高差1,400m、恐らく[[東京大学宇宙線研究所|宇宙線観測所]]までの数値)のコースをひたすら登り続ける。[[1986年]]([[昭和]]61年)から実施されており2008年大会で実に23回目を数える、日本のヒルクライムレースの草分け的存在である。最近の自転車人気の復活も手伝ってか近年の参加者数は3,000名を大きく超える規模となっている。大きく[[ロードレーサー]]の部と[[マウンテンバイク]]の部に分かれており、さらに男女別、年齢別などで細かくクラス分けされるが、前回の大会で1時間20分以内の記録を出した者のみがエントリーできる「チャンピオンクラス」は年齢・性別問わず、全国の強豪「ノリクライマー」達による真剣勝負が繰り広げられる。チャンピオンクラスのコースレコードは55分30秒である。一方、観客を楽しませることを狙った[[コスプレ]]ライダーが多いことでも知られる。 |
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== 地理 == |
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[[ファイル:Ontakesan and Dinichidake from norikuradake 1998-05-16.jpg|thumb|240px|剣ヶ峰から望む大日岳と[[御嶽山 (長野県)|御嶽山]]]] |
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[[ファイル:Norikuradake from Kisokomagatake 7th 2007-4-29.JPG|thumb|240px|[[木曽駒ヶ岳]]から望む乗鞍岳の峰々]] |
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==== 乗鞍岳の峰々 ==== |
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* '''剣ヶ峰'''(けんがみね)…乗鞍岳の主峰 権現池火山体の[[外輪山]] 3,026m |
* '''剣ヶ峰'''(けんがみね)…乗鞍岳の主峰 権現池火山体の[[外輪山]] 3,026m |
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* '''大日岳'''(だいにちだけ)…権現池火山体の外輪山 奥ノ院 3,014m |
* '''大日岳'''(だいにちだけ)…権現池火山体の外輪山 奥ノ院 3,014m |
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* '''安房山'''(あぼうさん)…2,220m |
* '''安房山'''(あぼうさん)…2,220m |
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以上は、乗鞍23峰と言われている。 |
以上は、乗鞍23峰と言われている。その他の峰として、'''高天ヶ原'''(たかまがはら、2,829m)と'''金山岩'''(かなやまいわ、2,532m)がある。 |
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=== |
==== 山頂付近の池 ==== |
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山頂付近には12個の[[火口湖]]の池がある。 |
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* '''高天ヶ原'''(たかまがはら)…2,829m |
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* 権現池 |
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* '''金山岩'''(かなやまいわ)…2,532m |
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* 五ノ池 |
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* 不消ヶ池(きえずがいけ) |
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* 鶴ヶ池 |
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* 亀ヶ池 |
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* 大丹生池 |
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* 土樋池 |
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* 無名池(四ツ岳と硫黄岳の間) |
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==== 周辺の山 ==== |
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[[飛騨山脈]](北アルプス)最南端の山で、[[野麦峠]]付近までが中部山岳国立公園の指定範囲である。 |
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[[ファイル:NorikuraEchoLine.jpg|thumb|250px|right|乗鞍エコーライン]] |
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[[ファイル:YariKamikohchiTagged.jpg|thumb|240px|飛騨山脈上空からの乗鞍岳と周辺の山]] |
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2,700m付近にある駐車場(畳平)まで[[岐阜県道5号乗鞍公園線|乗鞍スカイライン]](岐阜県側)や[[長野県道84号乗鞍岳線|乗鞍エコーライン]](長野県側)といった自動車道が通じていることもあり、「日本で最も登りやすい3,000m超級の山」「[[ハイヒール]]でも上れる山」とも称されてきた。しかし自家用車で畳平の駐車場まで乗り入れのできた以前とは異なり、[[2003年]]([[平成]]15年)以降は自然保護や[[渋滞|交通渋滞]]解消の観点よりマイカー規制が行われるようになった。[[2009年]](平成21年)現在に至るまで、麓にある駐車場に自家用車を停め、シャトルバス若しくはタクシーを使う状態が続いている。 |
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[[ファイル:19 Norikuradake from Nishihotakadake 2000-4-17.jpg|thumb|240px|[[西穂高岳]]から望む乗鞍岳]] |
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{| class="wikitable" |
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!山容 |
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!名称 |
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![[標高]]<br>([[メートル|m]]) |
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![[三角点]] |
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!乗鞍岳との<br>[[距離]]([[キロメートル|km]]) |
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!備考 |
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|- |
|||
|[[File:Hakusan from aburazaka 2003 5 5.jpg|70px]] |
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|[[白山]] |
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|2,702.<small>17</small> |
|||
| 一等 |
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| 70.6 |
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|<small>[[日本百名山]]</small> |
|||
|- |
|||
|[[File:Hotakadake from Cyogatake 1999-8-1.jpg|70px]] |
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|[[穂高岳]] |
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|3,190 |
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| |
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| 22.0 |
|||
|<small>日本百名山</small> |
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|- |
|||
|[[File:Yakedake from Kamikochi 1999-5-22.jpg|70px]] |
|||
|[[焼岳]] |
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|2,455.<small>37</small> |
|||
| 二等 |
|||
| 13.7 |
|||
|<small>日本百名山</small> |
|||
|- style="background-color:#ccc" |
|||
|[[File:Norikuradake from nishiho 1995 10 7.jpg|70px]] |
|||
|[[乗鞍岳]] |
|||
|3,025.<small>64</small> |
|||
| 一等<ref>[http://sokuservice1.gsi.go.jp/datums/ 基準点成果等閲覧サービス]([[国土地理院]])</ref> |
|||
| 0 |
|||
|<small>日本百名山</small> |
|||
|- |
|||
|[[File:Gthumb.svg|30px]] |
|||
|[[鎌ヶ峰]] |
|||
|2,121.<small>10</small> |
|||
| 二等 |
|||
| 9.8 |
|||
|<small>(画像募集中)</small> |
|||
|- |
|||
|[[File:Kohatimori yama from hatimori 2008 4 25.JPG|70px]] |
|||
|[[鉢盛山]] |
|||
|2,446.<small>43</small> |
|||
| 一等 |
|||
| 18.2 |
|||
|<small>[[日本三百名山]]</small> |
|||
|- |
|||
|[[File:Ontakesan from kohideyama 2002 10 30.jpg|70px]] |
|||
|[[御嶽山 (長野県)|御嶽山]] |
|||
|3,067 |
|||
| 一等<br>(<small>3,063.41m</small>) |
|||
| 24.6 |
|||
|<small>日本百名山</small> |
|||
|- style="white-space:nowrap" |
|||
|[[File:Kisokomagatake from Shogigashirayama 2007-5-28.JPG|70px]] |
|||
|[[木曽駒ヶ岳]] |
|||
|2,955.<small>86</small> |
|||
| 一等 |
|||
| 41.8 |
|||
|<small>日本百名山</small> |
|||
|} |
|||
==== 源流の河川 ==== |
|||
なお、マイカー規制を機に整備を始めた[[平湯温泉]]からの登山道が2005年夏に完成した。以前は、[[平湯大滝]]から谷沿いの登山道があったが、途中崩落のため通行禁止になっていた。新しい登山道は、[[平湯温泉]]スキー場から尾根伝いに桔梗ヶ原までの9.6kmで、登り5時間、下り3時間半を要する。これで、登りは登山道を歩き、下りはバスといったことが可能になった。 |
|||
[[本州]]における[[太平洋]]側([[木曽川]])と[[日本海]]側([[信濃川]]、[[神通川]])の中央[[分水界|分水嶺]]が剣ヶ峰を通っており、この分水嶺の最高所となっている。 |
|||
* [[高原川]](神通川の[[支流]]、日本海へ流れる) |
|||
* [[梓川]]、[[小大野川]](信濃川の支流、日本海へ流れる) |
|||
* [[飛騨川]](木曽川の支流、[[伊勢湾]]から太平洋へ流れる) |
|||
=== |
==== 周辺の峠 ==== |
||
* [[平湯峠]]([[国道158号]]の平湯トンネルが下を通る。輝山と大崩山との鞍部、神通川の支流である久手川と高原川の支流であるトヤ谷との分水嶺) |
|||
山麓の駐車場からシャトルバスかタクシーに乗り換え |
|||
* [[安房峠]](国道158号、飛騨山脈主稜線の白倉山と安房山との鞍部、高原川の支流である安房谷と梓川との分水嶺、岐阜県と長野県との[[県境]]) |
|||
* [[野麦峠]]([[長野県道・岐阜県道39号奈川野麦高根線]]、戸蔵と[[鎌ヶ峰]]との鞍部、飛騨川の支流である益田川と梓川の支流である奈川との分水嶺、岐阜県と長野県との県境)<ref>『乗鞍高原2010年版(山と高原地図 38)』昭文社、ISBN 978-4-398-75718-0</ref> |
|||
==== |
==== 周辺の滝 ==== |
||
* [[平湯大滝]](高原川の源流部) |
|||
* [[乗鞍スカイライン]]の[[平湯峠]]ゲートより上部 |
|||
* '''乗鞍三名滝'''([[三本滝]]、善五郎の滝、番所大滝が小大野川にある。) |
|||
** 乗換駐車場:アカンダナ駐車場(平湯温泉)、朴の木平駐車場 |
|||
* 布引滝(五色ヶ原) |
|||
* 岳谷滝(飛騨川の支流である益田川の源流部) |
|||
* 青垂滝、御越滝(神通川の支流である小八賀川の源流部) |
|||
==== |
==== 周辺の温泉 ==== |
||
周辺では[[温泉]]が湧きでていて、[[旅館]]などの宿泊施設がある。 |
|||
* [[長野県道84号乗鞍岳線|乗鞍エコーライン]]の[[三本滝]]ゲートより上部 |
|||
* [[のりくら温泉郷]]([[乗鞍高原温泉]]、すずらん温泉、安曇乗鞍温泉、わさび沢温泉) |
|||
** 乗換駐車場:乗鞍高原内の第1駐車場、第2駐車場、第3駐車場、三本滝駐車場 |
|||
* [[平湯温泉]] |
|||
* [[白骨温泉]] |
|||
* [[中の湯温泉]] |
|||
* 湯川源泉 |
|||
==== スキー場 ==== |
|||
== 山岳エリアの宿 == |
|||
山麓には4つの[[スキー場]]がある。 |
|||
=== 山小屋 === |
|||
* [[Mt.乗鞍]] |
|||
[[ファイル:Norikuradake_kata-no-koya_P8128492.jpg|thumb|240px|乗鞍肩ノ小屋]] |
|||
* [[乗鞍高原いがやスキー場]] |
|||
登山者用の[[山小屋]] |
|||
* [[飛騨高山スキー場]] |
|||
* [[乗鞍肩ノ小屋]] |
|||
* ほおのき平スキー場 |
|||
* 白雲荘(白雲荘は畳平駐車場に隣接しており、個室もあり一般観光客の利用も多いが、[[ドミトリー|相部屋]]中心で、付近の残雪が少なくなると入浴ができなくなるなど、設備的には山小屋である。) |
|||
* 乗鞍岳頂上小屋(売店のみで宿泊はできない。) |
|||
* 位ヶ原山荘 |
|||
=== |
==== 交通・アクセス ==== |
||
*最寄りの[[インターチェンジ]]は、[[中部縦貫自動車道]]の[[高山インターチェンジ (岐阜県)|高山インターチェンジ]]または[[長野自動車道]]の[[松本インターチェンジ]]である。松本方面からは[[安房峠道路]]が利用できる。[[上高地乗鞍林道|上高地乗鞍スーパー林道]]を利用することもできる。乗換駐車場から、畳平行きの専用[[シャトルバス]]を利用することになる。 |
|||
[[畳平]]には、一般観光客向けの[[旅館]]タイプの宿もある。 |
|||
*最寄りの駅は、高山側は[[東海旅客鉄道|JR東海]][[高山本線]]の[[高山駅]]で、松本側は[[アルピコ交通上高地線]]の[[新島々駅]]である。 |
|||
* 乗鞍山頂銀嶺荘 |
|||
* 乗鞍岳山頂乗鞍山荘 |
|||
== |
== 乗鞍岳の風景 == |
||
[[ファイル:Norikuramountaincycling.jpg|thumb|240px|ゴール地点の様子]] |
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; 全日本マウンテンサイクリングin乗鞍 |
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: 毎年8月の最終日曜に開催される[[自転車]][[ヒルクライム]]レース。乗鞍エコーラインの鈴蘭から長野・岐阜県境までの区間、全長約20km、標高差1,258m(スタート地点1,458m, ゴール地点2,716m)(大会主催者側の公称値は全長22km、標高差1,400m、恐らく[[東京大学宇宙線研究所|宇宙線観測所]]までの数値)のコースをひたすら登り続ける。[[1986年]]([[昭和]]61年)から実施されており2008年大会で実に23回目を数える、日本のヒルクライムレースの草分け的存在である。最近の自転車人気の復活も手伝ってか近年の参加者数は3,000名を大きく超える規模となっている。大きく[[ロードレーサー]]の部と[[マウンテンバイク]]の部に分かれており、さらに男女別、年齢別などで細かくクラス分けされるが、前回の大会で1時間20分以内の記録を出した者のみがエントリーできる「チャンピオンクラス」は年齢・性別問わず、全国の強豪「ノリクライマー」達による真剣勝負が繰り広げられる。チャンピオンクラスのコースレコードは55分30秒である。一方、観客を楽しませることを狙った[[コスプレ]]ライダーが多いことでも知られる。 |
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ファイル:Norikuradake.jpg|<small>乗鞍岳</small> |
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ファイル:Mt_Fujimi_sunrise_with_climber_and_clouds.jpg|富士見岳の日の出と[[雲海]]([[2007年]][[8月13日]]撮影) |
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ファイル:Sunrise_Mt_Fujima_Norikura.jpg|富士見岳から |
ファイル:Sunrise_Mt_Fujima_Norikura.jpg|<small>富士見岳からご来光と[[雲海]]</small> |
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ファイル:Norikura_fudo_dake_ohanabatake_mokudo_P8128539.jpg|<small>お花畑と木道(富士見岳より)</small> |
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ファイル:Prunella_collaris_Norikuradake_kata-no-koya_P8128479.jpg|イワヒバリ(乗鞍岳肩の小屋) |
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ファイル:Norikura_fudo_dake_ohanabatake_mokudo_P8128539.jpg|不動岳下のお花畑木道(富士見岳より) |
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ファイル:YariKamikohchiTagged.jpg|北アルプス上空より見る乗鞍岳。説明付。(2007年2月撮影) |
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ファイル:KitaAlpsTagged.jpg|日本海側より見る乗鞍岳。説明付。([[2006年]][[11月]]撮影) |
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ファイル:Norikura-air.jpg|奈川渡ダム上空より見る乗鞍岳。([[2005年]][[1月]]撮影) |
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File:Norikura Solar Observatory、乗鞍コロナ観測所、8128356.JPG|[[乗鞍コロナ観測所]](2007年8月12日) |
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File:Norikura2010.10.19.JPG|<small>剣ヶ峰 |
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* [[乗鞍高原]]、[[乗鞍高原温泉]]、[[のりくら温泉郷]]、[[乗鞍高原温泉ユースホステル]]、[[Mt.乗鞍]] |
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* [[乗鞍コロナ観測所]](平成22年3月末に閉鎖) |
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* [[ヒルクライム]]レース |
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* [[ひだ (列車)]]・・・これを由来とした[[列車愛称]]として、[[日本国有鉄道|国鉄]]・[[東海旅客鉄道|JR東海]]が[[高山本線]]を運行する[[急行列車]]「のりくら」について記されている。 |
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== 外部リンク == |
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* [http://www.sizenken.biodic.go.jp/pc/live/cgi-bin/live.cgi?camera=23&area=04 乗鞍高原からの乗鞍岳ライブカメラ【環境省・インターネット自然研究所】] |
* [http://www.sizenken.biodic.go.jp/pc/live/cgi-bin/live.cgi?camera=23&area=04 乗鞍高原からの乗鞍岳ライブカメラ【環境省・インターネット自然研究所】] |
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* [http://solarwww.mtk.nao.ac.jp/jp/norikura.html 乗鞍コロナ観測所][[国立天文台]] 太陽観測所 |
* [http://solarwww.mtk.nao.ac.jp/jp/norikura.html 乗鞍コロナ観測所][[国立天文台]] 太陽観測所 |
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2011年4月23日 (土) 08:29時点における版
乗鞍岳 | |
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奈川渡ダム上空より望む乗鞍岳 | |
標高 | 3,025.64 m |
所在地 | 長野県松本市・岐阜県高山市 |
位置 | 北緯36度06分23秒 東経137度33分13秒 / 北緯36.10639度 東経137.55361度 |
山系 | 飛騨山脈 |
種類 | 活火山ランクC |
初登頂 | 1680年代(円空上人) |
プロジェクト 山 |
乗鞍岳(のりくらだけ)は、飛騨山脈(北アルプス)南部の剣ヶ峰(標高3,026m)を主峰とする山々の総称。朝日岳、摩利支天岳、富士見岳、屏風岳など23の山があり、広大な裾野が広がる。日本百名山[1]及び新日本百名山[2]に選定されている。
概要
中部山岳国立公園内の岐阜県と長野県にまたがっており、長野県側の麓には乗鞍高原が広がっている。山名の由来は、古くは「鞍ヶ嶺」と呼ばれ、姿が馬の鞍に似ている事から名付けられたとされている。平安時代には「位山」と呼ばれ、1645年(正保2年)頃の乗鞍岳と呼ばれるようになったとされている(幕府に提出された絵図に山名が記載されている)[3]。
自然
日本の火山としては富士山、御嶽山に次ぐ高さである。火山体のほとんどは古期火山体で、新期の火山体は山頂付近に分布する火山体や山腹に分布する溶岩ドームと溶岩流からなる大規模な成層火山。裾野が広いのが特徴で、8つの平原がある。12の火山湖(池)があり、山頂直下西にある権現池は日本有数の高所にある池である。山頂付近の積雪が多く、乗鞍スカイラインの開通のために長期間の除雪が必要となる。夏でも一部の北東斜面などには、雪渓が残り夏山でのスキーが可能となっている。
噴火活動
マグマに伴う噴火活動は、9600年前頃と9200年前頃に剣ヶ峰で起こり、火山灰の噴出と溶岩流の流出があった。また、約2000年前には恵比寿岳で発生し、火山灰の噴出と溶岩の流出を起こしている。火山性の地震群発は現在でも観測されている[4]。活火山としての活動力を失っているが、湯川(梓川の支流)の最上流部では、火山ガスが発生している[5]。周辺の山麓には温泉地が多い。
動植物
イワヒバリやイワツバメ、天然記念物に指定されているライチョウが生息するほか、コイワカガミ、キバナシャクナゲ、ミヤマキンバイ、クロユリ、コマクサ、イワギキョウ、ヨツバシオガマなどの植物が見られ、高山ならではの自然を堪能する事ができる。畳平には、高山植物のお花畑があり、木道の遊歩道が整備されている。
ライチョウ(冬毛) | イワヒバリ | クロユリ | コマクサ |
---|---|---|---|
歴史
- 807年(大同2年)に、田村将軍が乗鞍三座の神に祈願をして開山したとされる(『乗鞍山縁起』)[6]。
- 1212年(建暦2年)に、社殿が建造されたが、その後荒廃した[7]。
- 1680年代(天和年間)に、円空上人が、岐阜県側の平湯から初登頂したとされている。
- 1878年(明治11年)に、ウィリアム・ゴーランドが地質調査を兼ねて登頂[8]。
- 1891年(明治24年)に、小杉復堂が平湯から登頂[5]。
- 1892年(明治25年)に、ウォルター・ウェストンが登頂。
- 1922年(大正11年)3月に、早稲田大学山学部の東条義人が番所からスキー登山をした。
- 1948年(昭和23年)に、高山市から畳平まで乗鞍登山バスの運行開始。
- 1949年(昭和24年)に、東京大学東京天文台の附属施設として摩利支天岳の山頂に乗鞍コロナ観測所が建設された。建物の老朽化により2010年(平成22年)3月末をもって閉鎖された。
- 1973年(昭和48年)に、乗鞍スカイラインが開通し、マイカーや観光バス多くの人が観光や登山で訪れるようになった。
- 2003年(平成15年)5月15日に、自然保護の観点から乗鞍スカイラインなどでマイカー規制により、一般車両の通行が禁止された[9]。
- 2004年(平成16年)7月に、五色ヶ原に、完全予約制ガイド付きの自然散策コースが開設された[10]。
- 2005年(平成17年)夏に、マイカー規制を機に整備を始めた平湯温泉からの登山道が完成[11]。
観光・登山
2,700m付近にある駐車場(畳平)まで乗鞍スカイライン(岐阜県側)や乗鞍エコーライン(長野県側)といった自動車道が通じていることもあり、「日本で最も登りやすい3,000m超級の山」「ハイヒールでも上れる山」とも称されてきた。しかし自家用車で畳平の駐車場まで乗り入れのできた以前とは異なり、マイカー規制により2010年(平成22年10月)現在、麓にある専用駐車場などからシャトルバス又はタクシーの利用が必要となった。
マイカー規制(岐阜県側)
マイカー規制(長野県側)
登山コース
各方面から登山道が開設されている[12]。一部登山道は閉鎖や通行禁止状態になった。大部分の観光客やハイカーは、畳平から周辺や山頂を散策している。山頂には、一等三角点、乗鞍神社奥宮と頂上小屋がある。
- 畳平からのコース
- 乗鞍高原からのコース
- 平湯口コース
- 日陰平口コース(乗鞍青年の家の登山口から丸黒尾根を経由)
- 青屋口コース
- 阿多野口コース
- 野麦口コース
他に、西麓には五色ヶ原があり、インタープリター同行でのガイドツアーが行われている[10][12]。完全予約制で、滝や自然林を巡る登山道が整備されている。
山小屋・宿泊施設
登山者用の山小屋が山頂周辺にある。
- 乗鞍肩ノ小屋
- 白雲荘(白雲荘は畳平駐車場に隣接しており、個室もあり一般観光客の利用も多いが、相部屋中心で、付近の残雪が少なくなると入浴ができなくなるなど、設備的には山小屋である。)
- 乗鞍岳頂上小屋(売店のみで宿泊はできない。)
- 位ヶ原山荘
- 奥千町避難小屋(千町尾根の登山道上にある避難小屋)
- 乗鞍山頂銀嶺荘
- 乗鞍岳山頂乗鞍山荘
- 乗鞍高原温泉ユースホステル
全日本マウンテンサイクリングin乗鞍
毎年8月の最終日曜に開催される自転車ヒルクライムレース。乗鞍エコーラインの鈴蘭から長野・岐阜県境までの区間、全長約20km、標高差1,258m(スタート地点1,458m, ゴール地点2,716m)(大会主催者側の公称値は全長22km、標高差1,400m、恐らく宇宙線観測所までの数値)のコースをひたすら登り続ける。1986年(昭和61年)から実施されており2008年大会で実に23回目を数える、日本のヒルクライムレースの草分け的存在である。最近の自転車人気の復活も手伝ってか近年の参加者数は3,000名を大きく超える規模となっている。大きくロードレーサーの部とマウンテンバイクの部に分かれており、さらに男女別、年齢別などで細かくクラス分けされるが、前回の大会で1時間20分以内の記録を出した者のみがエントリーできる「チャンピオンクラス」は年齢・性別問わず、全国の強豪「ノリクライマー」達による真剣勝負が繰り広げられる。チャンピオンクラスのコースレコードは55分30秒である。一方、観客を楽しませることを狙ったコスプレライダーが多いことでも知られる。
地理
乗鞍岳の峰々
- 剣ヶ峰(けんがみね)…乗鞍岳の主峰 権現池火山体の外輪山 3,026m
- 大日岳(だいにちだけ)…権現池火山体の外輪山 奥ノ院 3,014m
- 屏風岳(びょうぶだけ)…権現池火山体の外輪山 2,968m
- 薬師岳(やくしだけ)…権現池火山体の外輪山 2,950m
- 雪山岳(せつざんだけ)…権現池火山体の外輪山 2,891m
- 水分岳(みくまりだけ)…権現池火山体の外輪山 2,896m
- 朝日岳(あさひだけ)…権現池火山体の外輪山 2,975m
- 蚕玉岳(こだまだけ)…権現池火山体の外輪山 2,979m
- 摩利支天岳(まりしてんだけ)…コロナ観測所設置 2,872m
- 不動岳(ふどうだけ)…2,875m
- 里見岳(さとみだけ)…2,824m
- 富士見岳(ふじみだけ)…2,817m
- 恵比寿岳(えびすだけ)…2,831m
- 魔王岳(まおうだけ)…2,760m
- 大黒岳(だいこくだけ)…2,772m
- 大丹生岳(おおにゅうだけ)…2,698m
- 烏帽子岳(えぼしだけ)…2,692m
- 四ツ岳(よつだけ)…2,751m
- 猫岳(ねこだけ)…2,581m
- 大崩山(おおくえやま)…2,523m
- 硫黄岳(いおうだけ)…2,554m
- 十石山(じゅっこくやま)…2,525m
- 安房山(あぼうさん)…2,220m
以上は、乗鞍23峰と言われている。その他の峰として、高天ヶ原(たかまがはら、2,829m)と金山岩(かなやまいわ、2,532m)がある。
山頂付近の池
山頂付近には12個の火口湖の池がある。
- 権現池
- 五ノ池
- 不消ヶ池(きえずがいけ)
- 鶴ヶ池
- 亀ヶ池
- 大丹生池
- 土樋池
- 無名池(四ツ岳と硫黄岳の間)
周辺の山
飛騨山脈(北アルプス)最南端の山で、野麦峠付近までが中部山岳国立公園の指定範囲である。
山容 | 名称 | 標高 (m) |
三角点 | 乗鞍岳との 距離(km) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
白山 | 2,702.17 | 一等 | 70.6 | 日本百名山 | |
穂高岳 | 3,190 | 22.0 | 日本百名山 | ||
焼岳 | 2,455.37 | 二等 | 13.7 | 日本百名山 | |
乗鞍岳 | 3,025.64 | 一等[13] | 0 | 日本百名山 | |
鎌ヶ峰 | 2,121.10 | 二等 | 9.8 | (画像募集中) | |
鉢盛山 | 2,446.43 | 一等 | 18.2 | 日本三百名山 | |
御嶽山 | 3,067 | 一等 (3,063.41m) |
24.6 | 日本百名山 | |
木曽駒ヶ岳 | 2,955.86 | 一等 | 41.8 | 日本百名山 |
源流の河川
本州における太平洋側(木曽川)と日本海側(信濃川、神通川)の中央分水嶺が剣ヶ峰を通っており、この分水嶺の最高所となっている。
周辺の峠
- 平湯峠(国道158号の平湯トンネルが下を通る。輝山と大崩山との鞍部、神通川の支流である久手川と高原川の支流であるトヤ谷との分水嶺)
- 安房峠(国道158号、飛騨山脈主稜線の白倉山と安房山との鞍部、高原川の支流である安房谷と梓川との分水嶺、岐阜県と長野県との県境)
- 野麦峠(長野県道・岐阜県道39号奈川野麦高根線、戸蔵と鎌ヶ峰との鞍部、飛騨川の支流である益田川と梓川の支流である奈川との分水嶺、岐阜県と長野県との県境)[14]
周辺の滝
- 平湯大滝(高原川の源流部)
- 乗鞍三名滝(三本滝、善五郎の滝、番所大滝が小大野川にある。)
- 布引滝(五色ヶ原)
- 岳谷滝(飛騨川の支流である益田川の源流部)
- 青垂滝、御越滝(神通川の支流である小八賀川の源流部)
周辺の温泉
スキー場
山麓には4つのスキー場がある。
- Mt.乗鞍
- 乗鞍高原いがやスキー場
- 飛騨高山スキー場
- ほおのき平スキー場
交通・アクセス
- 最寄りのインターチェンジは、中部縦貫自動車道の高山インターチェンジまたは長野自動車道の松本インターチェンジである。松本方面からは安房峠道路が利用できる。上高地乗鞍スーパー林道を利用することもできる。乗換駐車場から、畳平行きの専用シャトルバスを利用することになる。
- 最寄りの駅は、高山側はJR東海高山本線の高山駅で、松本側はアルピコ交通上高地線の新島々駅である。
乗鞍岳の風景
-
乗鞍岳
-
乗鞍岳
-
富士見岳からご来光と雲海
-
お花畑と木道(富士見岳より)
脚注
- ^ 深田久弥の著書『日本百名山』(朝日新聞社、ISBN 4-02-260871-4)
- ^ 岩崎元郎の著書『ぼくの新日本百名山』(朝日新聞社、ISBN 4-02-261526-5)
- ^ 『日本二百名山』昭文社、ISBN 4-398-22001-1、P165
- ^ 気象庁 | 乗鞍岳
- ^ a b 『コンサイス日本山名辞典』三省堂、ISBN 4-385-15403-1、P407
- ^ 『日本の山1000』山と渓谷社、ISBN 4-635-09025-6、P348
- ^ 深田久弥の著書『日本百名山』(朝日新聞社、ISBN 4-02-260871-4)、P225
- ^ 『日本アルプスの登山と探検』ウォルター・ウェストン(著)、青木枝朗(訳)、岩波文庫、ISBN 4-00-334741-2、P370
- ^ 高山市HP・観光情報(乗鞍スカイライン)
- ^ a b 乗鞍山麓 五色ヶ原
- ^ 以前は、平湯大滝から谷沿いの登山道があったが、途中崩落のため通行禁止になっていた。新しい登山道は、平湯温泉スキー場から尾根伝いに桔梗ヶ原までの9.6kmで、登り5時間、下り3時間半を要する。これで、登りは登山道を歩き、下りはバスといったことが可能になった。
- ^ a b 『改訂版 岐阜県の山』山と渓谷社、ISBN 978-4-635-02370-2
- ^ 基準点成果等閲覧サービス(国土地理院)
- ^ 『乗鞍高原2010年版(山と高原地図 38)』昭文社、ISBN 978-4-398-75718-0
関連項目
- 飛騨山脈(北アルプス)、中部山岳国立公園
- 日本百名山、新日本百名山
- 日本の山一覧 (高さ順)・第19位、日本の山一覧 (3000m峰)
- 乗鞍スカイライン、乗鞍エコーライン、上高地乗鞍スーパー林道、マイカー規制、平湯バスターミナル
- 乗鞍火山帯
- 乗鞍高原、乗鞍高原温泉、のりくら温泉郷、乗鞍高原温泉ユースホステル、Mt.乗鞍
- 五色ヶ原
- 乗鞍コロナ観測所(平成22年3月末に閉鎖)
- ヒルクライムレース
- ひだ (列車)・・・これを由来とした列車愛称として、国鉄・JR東海が高山本線を運行する急行列車「のりくら」について記されている。
外部リンク