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「いじめ」の版間の差分

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[[File:Bullying Irfe.jpg|220px|thumb|いじめのイメージ写真。[[2001年]]の調査で、いじめは[[生徒]]の[[精神]]と[[成長]]に悪影響を及ぼすという分析結果が発表された<ref>[http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:http://nces.ed.gov/pubs2005/2005310.pdf Results From the 2001 School Crime Supplement to the National Crime Victimization Survey: Statistical Analysis Report - NCES 2005-310]</ref>。]]
[[File:Bullying Irfe.jpg|220px|thumb|いじめのイメージ写真。[[2001年]]の調査で、いじめは[[生徒]]の[[精神]]と[[成長]]に悪影響を及ぼすという分析結果が発表された<ref>[http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:http://nces.ed.gov/pubs2005/2005310.pdf Results From the 2001 School Crime Supplement to the National Crime Victimization Survey: Statistical Analysis Report - NCES 2005-310]</ref>。]]
'''いじめ'''(苛め、虐め、イジメ{{lang-en-short|Bullying}})とは、相手の肉体的・心理苦痛を快楽的に楽しむことを目的として行われるさまざまな行為である。とわけ学級など簡単には抜けることのできな集団なかで群れた「みんな」の勢いや「自分たちり」の特殊な秩序を背景とて、そのような行為がなされることをいう<ref>[[内藤朝雄]]『いじめの構造講談社現代新書1984、2009年、49-52頁</ref>。学校内でのいじめに関しては[[いじめ防止対策推進法]]でいじめの定義と学校側の義務が定められている
'''いじめ'''(苛め、虐め、イジメ{{lang-en-short|Bullying}})とは、肉体的、精神、立場的に自分よ[[暴力]]や[[差別]]、[[嫌がらせ|いやがらせ]]どによって一方的に苦ること」である<ref>[[松村明]](監修)小学館国語辞典編集部(編)大辞泉小学館。</ref>。


== 概要 ==
== 定義 ==
=== いじめ認定の要件 ===
一般的な意味において、いじめとは「肉体的、精神的、立場的に自分より弱いものを、[[暴力]]や[[差別]]、[[嫌がらせ|いやがらせ]]などによって一方的に苦しめること」であるとされ、特に[[1985年]](昭和60年)ごろから陰湿化した校内暴力をさすことが多い<ref>[[松村明]](監修)小学館国語辞典編集部(編)『大辞泉』小学館。</ref>。
学校や第三者委員会が「いじめ」を認定する際には、'''「立場の互換性がない」'''、あるいは'''「力関係の差」が存在する'''ことを要件とする記述も散見される<ref>たとえば、共同通信大阪社会部『大津中2いじめ自殺』PHP新書、2013年、83-85頁</ref>。つまり、「いじめる」側と「いじめられる」側がしばしば互いに入れ替わったり、「強い」立場の者が「弱い」立場の者をいじめるという構図にあてはまらない場合には、じゃれあいや[[ケンカ]]などとみなされる場合もある。なお、ここでいう「強い」「弱い」という言葉は、腕力や発言力などを指すものではなく、あくまでも集団内での「立場」を指し、たとえば発言力の強い者がまさにそれゆえにいじめの対象となることもありうる<ref>このほかのいじめの定義については、武田さち子「もしかして、いじめ?」http://www.jca.apc.org/praca/takeda/step1.htm</ref>。


中学1年生についての[[国立教育政策研究所]]追跡調査(2004-2009)<ref name="tsuiseki04">[[国立教育政策研究所]][[生徒指導研究センター]] [http://www.nier.go.jp/shido/centerhp/ijime2004_06/ijime2004_06.files/6_tyosa.pdf いじめ追跡調査2004-2006]</ref><ref name="tsuiseki">[[国立教育政策研究所]][[生徒指導研究センター]] [http://www.nier.go.jp/shido/centerhp/shienshiryou2/3.pdf いじめ追跡調査2007-2009]</ref>によれば、半年後まで続くような週1回以上のいじめ事例は半分以下で、一般的イメージとは異なり、いじめる生徒・いじめられている生徒は短期間で入れ替わっており、固定的な「いわゆる[[いじめられっ子]](いじめられやすい子供)」や「[[いじめっ子]](いじめやすい子供)」も存在しない」とされた<ref name="tsuiseki" />。また、同じ学校・同じ年度の生徒であっても学年が進むにつれていじめの数が大きく増減しており、「いじめが起こりやすい学校・年度」のようなものはなかった。したがって、「いじめが起きやすい学校とそうでない学校、いじめが起きやすい学年とそうでない学年というものが存在しているわけではない」<ref name="tsuiseki" />。そのため、「何か特別な問題や背景があるから、いじめが起きる」わけではなく、「そうした問題の有無とはさほど関係なく、いじめは起きうる」「ちょっとしたきっかけで、いじめは起きてしまう、広がってしまう」のが実態とされた<ref name="tsuiseki04" />。[[小学校]]においても同様の傾向が確かめられている<ref name="tsuiseki" />。
いわゆる問題児([[モンスターチルドレン]]、[[不良行為少年]])による単純な暴力だけでなく、「物を隠す」「第三者の物を隠し、被害者に罪をなすりつける」「[[交換日記]]で[[侮蔑|悪口]]を書く」「机に花を置き死亡したことにする」「被害者の名前を隠語にして被害者がききかえしても別人のことをしゃべっているふりをする」といった「心に対するいじめ」もあり、[[しかと|シカト]](無視、仲間外れ)などは水面下で行われることから、教師や周囲が気づかないうちに深刻な事態になりうる。[[1996年]](平成8年)に文部大臣(当時)が緊急アピールしているように、「深刻ないじめは、どの学校にも、どのクラスにも、どの子供にも起こりうる」<ref name="tsuiseki" />もので、児童生徒1,000人あたりの7.1人がいじめを受けている<ref name="monbu20" />。


ある行為が「いじめ」であるかどうかの判定は極めて困難であり、むしろその区別にこだわり過ぎているという指摘もある。1994年の[[愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件]]で自殺した生徒の父は「いじめかどうかは重要ではありません。その行為はいじめではない、と言われたら子供だって安心する。教職員を含めてみんな面倒なことは避けたくて、いじめではないことを心のどこかで望んでいるのかもしれません。でも本来は、仲間はずれにされたり、傷つけられたり、『ウザい』『キモい』とけなされたりする行為そのものが問題なはずです。定義が曖昧ないじめという言葉は、教委や学校が責任を逃れるための隠れ蓑になっているのではないでしょうか」と語っている<ref>{{Cite book|和書|author=共同通信大阪社会部|authorlink=|year=2013|title=大津中2いじめ自殺|chapter=|series=PHP新書857|publisher=|pages=147|isbn=9784569812229}}</ref>。
いじめに関する追跡調査では、「小学校4年生から中学校3年生までの6年間の間に、いじめ(仲間はずれ、無視、陰口)と無関係でいられる児童生徒は1割しかいない」<ref name="tsuiseki" />ことが指摘されている。近年においても、[[教員|教師]](モンスターティーチャー)によるいじめも問題となっている<ref>[[内藤みか]]『たたかえ! てんぱりママ モンスターティーチャーとのあれれな日々』[[亜紀書房]]、[[2012年]]。ISBN 4750512117</ref>。また、いじめを行った[[児童]]の親族([[モンスターペアレント]])もいじめ(嫌がらせ)に加担することもある。


また、2005年の[[丸子実業高校バレーボール部員自殺事件]]では自殺した生徒の母親が裁判をおこすと、事実無根で[[捏造]]であるとして加害者とされた側も裁判を起こし、判決では生徒の遺族側の主張は退けられた。[[新潟県神林村男子中学生自殺事件]](2006年)では当時の文部科学省の定義からは認定が難しいとされた。
子供に限らず、[[社会人]]([[社員#モンスター社員|モンスター社員]]、[[クラッシャー上司]])においても暴力そのものや[[パワーハラスメント]]、[[セクシャルハラスメント]]といった[[職場いじめ]]が起こっており、インターネットが普及した現代社会ではネット上のユーザによる[[ネットいじめ]]も存在する。また、[[刑務所]]においてもいじめが存在する<ref>『[[リアルライブ]]』(2013年05月28日)「[http://npn.co.jp/article/detail/80283289 押尾学も悲鳴!蔓延する刑務所内イジメをゴマキ弟・後藤祐樹が語る]」</ref>。


== いじめの定義 ==
=== 嗜虐的関与 ===
[[内藤朝雄]]によれば、いじめは相手の肉体的・心理的苦痛を快楽的に楽しむことを目的として行われるさまざまな行為であり、[[学級]]など簡単には抜けることのできない集団のなかで、群れた「みんな」の勢いや「自分たちなり」の特殊な秩序を背景として、そのような行為がなされることをいう<ref>[[内藤朝雄]]『いじめの構造』講談社現代新書1984、2009年、49-52頁</ref>。内藤は「人間関係が濃厚すぎる集団内において生じる欠如を埋めようとする偽りの全能感」としていじめの理論化を行った<ref>2001年『いじめの社会理論』</ref>。


#内藤は最広義の定義を'''実効的に遂行された嗜虐的関与'''とした。つまり、相手が苦しむことを楽しむことを目的として、何らかの行為が行われ、実際にそれが効果を挙げたことをいう。「嗜虐的」攻撃は、「戦略的」攻撃<ref>金欲しさに強盗するような場合、暴力は金を手に入れるという目的のための手段であるから、「戦略的」攻撃と言われる。</ref>とは区別され、攻撃を受けて苦しむ様子を見ること自体が目的である。
文部科学省による調査<ref>児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査</ref>において、「いじめ」とは、「'''当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの'''」と定義される。「起こった場所は学校の内外を問わない」。「本調査において個々の行為が『いじめ』に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする」<ref>いじめの定義:文部科学省 http://www.mext.go.jp/ijime/detail/1336269.htm</ref>。<br />
#次に、広義において、いじめとは「'''社会状況に構造的に埋め込まれたしかたで'''、実効的に遂行された嗜虐的関与」であるとされる。この定義において、たとえば[[通り魔]]や、グループを組まない乱暴者による一対一のいじめは除外される。なんらかの人間関係があったり、学級などに制度的に組み込まれているなどの枠組みの中で、いじめは発生する。
<br />
#さらに、狭義では「社会状況に構造的に埋め込まれたしかたで、'''かつ集合性の力を当事者が体験するような仕方で'''、実効的に遂行された嗜虐的関与」と定義される。集団の中の「ノリ」がエスカレートして暴力が激化したり、客観的には取るに足らない理由でシカトされる者が決定されたりと、集団心理のダイナミクスが働いていることが狭義におけるいじめの要件となっている。<ref>内藤朝雄『いじめの構造』講談社現代新書1984、2009年、49-52頁</ref>
この定義は2006年度以降のものであり、それ以前は「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」とされていた。つまり、いじめは「自分より弱い者に対して一方的に」行われるとは限らず、「強い」「弱い」といった立場が流動的に変化しながら様々な形でなされることから、「一定の人間関係のある者から」受ける攻撃を一般的に指す文言に改められた。ただし「一定の人間関係」があるということは、偶発的な暴力などは含まないと解釈できる。また、「身体的」から「物理的」攻撃という文言に改定されたので、モノを壊すなどの行為も明確に含まれることになる。さらに、「継続的」攻撃であるという点や、苦痛が「深刻」であるという条件が削除されたため、全体として「いじめ」の定義は大きく拡張されたことになる。いずれにせよ、いじめは被害者の「精神的な苦痛」を基礎として判断される。そのため、被害者の側に立った定義であると同時に、心の中の苦痛を基準とする点で客観的な検証が難しいという問題も抱えている。


=== 日本政府による定義 ===
同年、具体的ないじめの種類に「パソコン・携帯電話での[[誹謗中傷|中傷]]」「悪口」などが追加された。いじめの件数についても「発生件数」から「認知件数」に変更された。[[教育再生会議]]の第一次報告に関連して、いじめを繰り返す児童・生徒に対する[[出席停止]]措置などの現在の法律で出来ることは[[教育委員会]]に通知するように、[[2007年]][[1月22日]]、[[安倍晋三]]首相が[[伊吹文明]]文部科学相に指示した。
[[平成]]18年以前の日本[[文部科学省]]の定義では「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」とされていた<ref name=monka/>。2006年([[平成]]18年)度[[文部科学省]]による調査<ref>児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査</ref>において、いじめの新定義として「'''当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの'''」とされ、起こった場所は学校の内外を問わない、個々の行為が『いじめ』に当たるか否かの判断は表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする、とされた<ref name=monka>いじめの定義:文部科学省 http://www.mext.go.jp/ijime/detail/1336269.htm</ref>。また、具体的ないじめの種類に「パソコン・携帯電話での[[誹謗中傷|中傷]]」「悪口」などが追加された。いじめの件数についても「発生件数」から「認知件数」に変更された。
<!---{{要出典範囲|date=2014年8月|2006年度以前は、いじめは「自分より弱い者に対して一方的に」行われるとは限らず、「強い」「弱い」といった立場が流動的に変化しながら様々な形でなされることから、「一定の人間関係のある者から」受ける攻撃を一般的に指す文言に改められた。ただし「一定の人間関係」があるということは、偶発的な暴力などは含まないと解釈できる。また、「身体的」から「物理的」攻撃という文言に改定されたので、モノを壊すなどの行為も明確に含まれることになる。さらに、「継続的」攻撃であるという点や、苦痛が「深刻」であるという条件が削除されたため、全体として「いじめ」の定義は大きく拡張されたことになる。いずれにせよ、いじめは被害者の「精神的な苦痛」を基礎として判断される。そのため、被害者の側に立った定義であると同時に、心の中の苦痛を基準とする点で客観的な検証が難しいという問題も抱えている。}}--->


[[いじめ防止対策推進法]](2013年6月28日法律第71号)によれば、「いじめ」とは、「'''児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう'''」(第二条一項)<ref>[http://law.e-gov.go.jp/announce/H25HO071.html いじめ防止対策推進法](2013年6月28日法律第71号)、施行は2013年9月28日(附則第1条による)</ref>。上記の定義よりややこしくなっているが、ここでいう「学校」に大学などが含まれない点が明示されていること以外は、なんら変わりがないと言ってよい
[[いじめ防止対策推進法]]によれば、「いじめ」とは、「'''児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう'''」(第二条一項)<ref>[http://law.e-gov.go.jp/announce/H25HO071.html いじめ防止対策推進法](2013年6月28日法律第71号)、施行は2013年9月28日(附則第1条による)</ref>。

以上のように、調査や法律における「いじめ」とは、「一定の人間関係」のうちで心理的・物理的な攻撃が加えられ、加害者が「精神的な苦痛」を感じているものを広く指す概念である。しかし、学校や第三者委員会が「いじめ」を認定する際には、'''「立場の互換性がない」'''、あるいは'''「力関係の差」が存在する'''ことを要件とする記述も散見される<ref>たとえば、共同通信大阪社会部『大津中2いじめ自殺』PHP新書、2013年、83-85頁</ref>。つまり、「いじめる」側と「いじめられる」側がしばしば互いに入れ替わったり、「強い」立場の者が「弱い」立場の者をいじめるという構図にあてはまらない場合には、じゃれあいやケンカなどとみなされる場合もある。なお、ここでいう「強い」「弱い」という言葉は、腕力や発言力などを指すものではなく、あくまでも集団内での「立場」を指し、たとえば発言力の強い者がまさにそれゆえにいじめの対象となることもありうる<ref>このほかのいじめの定義については、武田さち子「もしかして、いじめ?」http://www.jca.apc.org/praca/takeda/step1.htm</ref>。

ただし、ある行為が「いじめ」であるかどうかの判定は極めて困難であり、むしろその区別にこだわり過ぎているという指摘もある。1994年にいじめを苦に自殺した[[大河内清輝]]君の父・祥晴さんは次のように語っている。
<blockquote>「いじめかどうかは重要ではありません。その行為はいじめではない、と言われたら子供だって安心する。教職員を含めてみんな面倒なことは避けたくて、いじめではないことを心のどこかで望んでいるのかもしれません。でも本来は、仲間はずれにされたり、傷つけられたり、『ウザい』『キモい』とけなされたりする行為そのものが問題なはずです。定義が曖昧ないじめという言葉は、教委や学校が責任を逃れるための隠れ蓑になっているのではないでしょうか」<ref>{{Cite book|和書|author=共同通信大阪社会部|authorlink=|year=2013|title=大津中2いじめ自殺|chapter=|series=PHP新書857|publisher=|pages=147|isbn=9784569812229}}</ref></blockquote>


==いじめの分類==
==いじめの分類==
具体的ないじめに相当する行為の種類によって分類した場合、「暴力系のいじめ」と「コミュニケーション操作系のいじめ」の2種類がある<ref>[[#内藤&荻上2010|内藤&荻上 2010]]、40-43頁</ref>。前者は、被害者に対する殴打・拘束や服を脱がせるなど身体へ直接的なダメージを与えるもので、後者は悪口・誹謗中傷や風説の流布などコミュニケーションを介して被害者に不快感・精神的ダメージを与えるものである。男女別では、女子のほうが暴力系ではなくコミュニケーション操作系のいじめを遂行する傾向にあり、その背景には[[ジェンダー]]による抑圧(「女の子は優しく/おとなしくしているべきである」という固定観念)あるいは評価基準の違い(男子はそれが身体的な強靭さに求められるが女子は他者からの受容に依存する)が考えられる<ref>[[小笠原通子]]「女の子って裏攻撃が大得意!?――いじめと「男らしさ/女らしさ」」『[[#内藤&荻上2010|いじめの直し方]]』64-65頁。</ref><ref name="flat">[[土井隆義]] 「フラット化するコミュニケーション」『コミュニケーションの社会学』 [[有斐閣]]、2009年、280-281頁。ISBN 978-4641123922。</ref>。ただし、男子のいじめについてもだんだんと暴力系よりもコミュニケーション操作系のいじめのほうが多くなる傾向にある<ref name="flat" />。

いじめの形態に注目すると、「排除」のいじめと「飼育」のいじめの2種類がある<ref>[[#内藤&荻上2010|内藤&荻上 2010]]、17-19頁</ref>。排除型は被害者を仲間外れにして自分たちのグループから排斥するものであり、飼育型は被害者を自分たちのグループの中に留めおいたままいじめの対象にして楽しむものである。実際のいじめは排除型ではなく飼育型であることが多い。

[[教育社会学]]者の[[藤田英典]]は、(学校での)いじめを次の4つに分類し、多くのいじめに対する言説がその特性の相違点を考慮していない点を批判している<ref>[[藤田英典]]『教育改革―共生時代の学校づくり』[[岩波書店]]、1997年、211-214頁。ISBN 978-4004305118。</ref>。
[[教育社会学]]者の[[藤田英典]]は、(学校での)いじめを次の4つに分類し、多くのいじめに対する言説がその特性の相違点を考慮していない点を批判している<ref>[[藤田英典]]『教育改革―共生時代の学校づくり』[[岩波書店]]、1997年、211-214頁。ISBN 978-4004305118。</ref>。


# [[道徳|モラル]]の低下・混乱によるもの。[[1980年代]]中ごろに頻発したタイプで、被害者が偶発的に決定されるところに特徴がある。一種の[[モラル・パニック]]や[[集団ヒステリー]]といえる。
# [[道徳|モラル]]の低下・混乱によるもの。[[1980年代]]中ごろに頻発したタイプで、被害者が偶発的に決定されるところに特徴がある。一種の[[モラル・パニック]]や[[集団ヒステリー]]といえる。
#社会的偏見・差別による排除的なもの。1のケースと比較するといじめの対象となった理由(特定の社会的属性を持っていたということ)は明瞭であり、差別意識自体を取り除く指導をすることがこの種のいじめの対策となる。
#社会的偏見・[[差別]]による排除的なもの。1のケースと比較するといじめの対象となった理由(特定の社会的属性を持っていたということ)は明瞭であり、差別意識自体を取り除く指導をすることがこの種のいじめの対策となる。
# 閉鎖的な集団内で特定の個人に対して発生するもの。教師など外部から実態が把握しにくいぶん、対策は難しくなる。
# 閉鎖的な集団内で特定の個人に対して発生するもの。教師など外部から実態が把握しにくいぶん、対策は難しくなる。
# 特定の個人への暴行・恐喝を反復するもの。3のケースと違って、加害者と被害者の属するグループは異なる場合が多い。不良が下級生から[[カツアゲ]]するといったものが典型的なもので、認知されやすい。
# 特定の個人への暴行・恐喝を反復するもの。3のケースと違って、加害者と被害者の属するグループは異なる場合が多い。不良が下級生から[[カツアゲ]]するといったものが典型的なもので、認知されやすい。


[[教育評論家]]の[[森口朗]]は、いじめの考察としては前述の藤田英典の分類を継承して論を進めているが、実際にいじめ」という言葉で総称されているものは次の4つにけられるとしている<ref>[[森口朗]]『いじめの構造』[[新潮社]]、2007年、100頁。ISBN 978-4106102196。</ref>。
[[教育評論家]]の[[森口朗]]は、藤田英典の分類を継承して「修正藤田モデル」という類を作った<ref name=moriguchi>[[森口朗]]『いじめの構造』[[新潮社]]、2007年、100頁。ISBN 978-4106102196。</ref>。
#子供たちが共同生活をおくる上で当然発生するであろう軋轢。
#子供たちが共同生活をおくる上で当然発生するであろう軋轢。
#従来型コミュニケーション系いじめ。仲間はずれにするなど、犯罪の構成要件は満たさないもの。
#従来型コミュニケーション系いじめ。仲間はずれにするなど、犯罪の構成要件は満たさないもの。
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そしてそれぞれ求められるべき対処法は異なり、1のタイプの軋轢の解消は可能な限り生徒の自主性に任せ(教師は2の段階に移行しないかを直接介入することなく見守る)、3・4のタイプでは[[警察]]へ通報するなど[[司法]]の介入によって解決し、2のタイプのみ教師・学校側が積極的に解決すべき問題であるという。
そしてそれぞれ求められるべき対処法は異なり、1のタイプの軋轢の解消は可能な限り生徒の自主性に任せ(教師は2の段階に移行しないかを直接介入することなく見守る)、3・4のタイプでは[[警察]]へ通報するなど[[司法]]の介入によって解決し、2のタイプのみ教師・学校側が積極的に解決すべき問題であるという。


== いじめに関する研究 ==
=== 学校でのいじめ ===
日本のいじめは特に[[1985年]](昭和60年)ごろから陰湿化した[[校内暴力]]をさすことが多い<ref>[[松村明]](監修)小学館国語辞典編集部(編)『大辞泉』小学館。</ref>。いじめによる暴行で重篤な場合は重傷を負わせられる、傷害の結果死に至ったり([[山形マット死事件]])、[[強姦]]されたり(1996年の[[旭川女子中学生集団暴行事件]])、自殺する例もある(1986年の[[中野富士見中学いじめ自殺事件]])。また、中学生が5000万円も[[恐喝]]によって得たり([[名古屋中学生5000万円恐喝事件]]、2000年)
[[内藤朝雄]]は社会・心理学的手法を用いて、2001年に『いじめの社会理論』を発表した。その中で内藤は「人間関係が濃厚すぎる集団内において生じる欠如を埋めようとする偽りの全能感」としていじめの理論化を行った。そしてその対策として「学級制度の解体」「警察の介入」を挙げた(2007年刊の『〈いじめ学〉の時代』は、その入門編である)。


いわゆる[[問題児]]([[モンスターチルドレン]]、[[不良行為少年]])による単純な暴力だけでなく、使い走り([[パシリ]])をさせたり、「物を隠す」「第三者の物を隠し、被害者に罪をなすりつける」「[[交換日記]]で[[侮蔑|悪口]]を書く」「机に花を置き死亡したことにする」「被害者の名前を隠語にして被害者がききかえしても別人のことをしゃべっているふりをする」といった「心に対するいじめ」もあり、[[しかと|シカト]](無視、仲間外れ)などは水面下で行われることから、教師や周囲が気づかないうちに深刻な事態になりうる。[[1996年]](平成8年)に文部大臣(当時)が緊急アピールしているように、「深刻ないじめは、どの学校にも、どのクラスにも、どの子供にも起こりうる」<ref name="tsuiseki" />もので、児童生徒1,000人あたりの7.1人がいじめを受けている<ref name="monbu20" />。調査では「小学校4年生から中学校3年生までの6年間の間に、いじめ(仲間はずれ、無視、陰口)と無関係でいられる児童生徒は1割しかいない」<ref name="tsuiseki" />ことが指摘されている。
冒頭に挙げたいじめの定義は、内藤による定義を分かりやすく言い替えたものである。内藤による最広義の定義は、「'''実効的に遂行された嗜虐的関与'''」。つまり、相手が苦しむことを楽しむことを目的として(=嗜虐的)、何らかの行為が行われ(=遂行され)、実際にそれが効果を挙げた(=実効的)ことをいう。「嗜虐的」攻撃は「戦略的」攻撃とは区別される。金欲しさに強盗するような場合、暴力は金を手に入れるという目的のための手段であるから、「戦略的」攻撃と言われる。これに対して、「嗜虐的」攻撃は、攻撃を受けて苦しむ様子を見ること自体が目的である。次に、広義において、いじめとは「'''社会状況に構造的に埋め込まれたしかたで'''、実効的に遂行された嗜虐的関与」であるとされる。この定義において、たとえば[[通り魔]]や、グループを組まない乱暴者による一対一のいじめは除外される。なんらかの人間関係があったり、学級などに制度的に組み込まれているなどの枠組みの中で、いじめは発生する。さらに、狭義では「社会状況に構造的に埋め込まれたしかたで、'''かつ集合性の力を当事者が体験するような仕方で'''、実効的に遂行された嗜虐的関与」と定義される。集団の中の「ノリ」がエスカレートして暴力が激化したり、客観的には取るに足らない理由でシカトされる者が決定されたりと、集団心理のダイナミクスが働いていることが狭義におけるいじめの要件となっている。<ref>内藤朝雄『いじめの構造』講談社現代新書1984、2009年、49-52頁</ref>


==== 学校の種類別といじめの様態 ====
森口朗は2007年の『いじめの構造』で、内藤の理論をベースに独自の「[[スクールカースト]]」の概念を導入した。これはクラス内の序列のことで、人気や「空気を読む能力」の多寡により上下し、下位になるほどいじめられやすくなるという。
学校の種類別では、[[幼稚園]]・[[保育園]]では[[小学校]]や[[中学校]]のようないじめはないという。積極的な子供が消極的な子供を従えているようにみえる「子供同士の力関係」や、「子供のコミュニケーション能力の未発達」による[[玩具]]等の横取り、手を出すことをいじめととらえてしまう親もいるという<ref>[[小谷隆真]]、[http://www.keiai.ac.jp/mamatopapanotameni/omoi/ijimenewspaper.jpg 2005年3月7日読売新聞]</ref>。
今までの論者が素通りしてきたこの概念を取り入れて、森田は修正藤田モデルという四分類を作った。これによりいじめのモデルはかなり整理され、見通しが良くなった。そして分類ごとにいじめの発生するメカニズムを考察し、具体的な対策を提示した。


学年別動向の統計調査では、[[小学校]]では、「冷やかし」の割合が多いが、「仲間はずれ」の割合が、他の区分に比べて多い<ref name=monkasyo>文部科学省 [http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/09/06091103/002.pdf 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(いじめ)]</ref>。[[国立教育政策研究所]]追跡調査(2004-2009)によれば小学校・中学校で「仲間はずれ、無視、陰口」が3年間の間に全く無かった児童生徒はそれぞれ22.6%、27.6%で<ref name="tsuiseki" />、3年間連続でいじめがあった児童生徒は小学校・中学校でそれぞれ0.4%、0.6%であった<ref name="tsuiseki" />。しかし、小学校でもいじめを苦にした自殺事件はあり、2005年の[[滝川市立江部乙小学校いじめ自殺事件]]、2010年の[[桐生市小学生いじめ自殺事件]]では[[フィリピン]]系の生徒が自殺した。
安藤美華代は2007年の『中学生における問題行動の要因と心理的介入』の中で、いじめの心理社会的要因の検討を行った結果、いじめを行う友達の影響、いじめの誘いを断る自己効力感、衝動性・攻撃性に対する自己コントロール、道徳観等が関連していることを明らかにした。安藤美華代は2012年『児童生徒のいじめ・うつを予防する心理教育“サクセスフル・セルフ”』の中で、これらの結果等から作成されたいじめを予防するための心理教育プログラム『サクセスフル・セルフ』小学校版および中学校版を用いた授業を行うことで、いじめを予防する効果が統計学的に有意に証明されたことを示している。


[[中学校]]は統計上、いじめが最も多くなる年代である<ref name=monkasyo />。[[国立教育政策研究所]]調査(2004-2009)によれば、学年別で見た場合、中学1年生だけで17,063件のいじめが認知されており、この数字は小学6年生(4,262件)や高校1年生(3,701件)に比べ4倍以上多い。男女比では、54.8%が男子、45.2%が女子である<ref name="monbu20" />。
[[シカゴ大学]]による脳の[[fMRI]]スキャンを使用した最新の研究によると、人が他人の苦痛を目にすると、自身が苦痛を経験したときと同じ脳内領域が光るが、いじめっ子の場合[[扁桃体]]や腹側線条体(報酬や喜びに関係すると考えられている部位)によってそうでないものに比べ活発に活動することがわかったという。「つまり、いじめっ子は人の苦痛を見るのが好きだと考えられる。この考えが正しい場合、彼らは弱い者いじめをして他人を攻撃するたびに心理的な報酬を受け取り、反応の強化が進んでいることになる」「自己制御を欠いている点を処置する、あるいは埋め合わせる治療法を開発する必要があるだろう。いじめっ子が自己制御を欠いているのは事実だと考えているし、他人を傷付けるたびに心理的な報酬を受け取り、反応の強化が進む可能性がある」と同研究チームのベンジャミン・レイヒーは話す。<ref>ナショナルジオグラフィック ニュース:[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=8967503&expand 人の災難を喜ぶいじめっ子の脳]</ref>


[[高等学校]]では「冷やかし」と「暴力をふるう」割合が高い<ref name=monkasyo />。いじめによって[[退学]]する場合もある(人間関係を理由とした中途退学は、2005年度で7.4%<ref name=monkasyo2>文部科学省 [http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/09/06091103/005.pdf 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(中途退学)]</ref>)。[[先輩]]が[[後輩]]をいじめる事例もある。[[大学]]に於いても特に[[体育会系]]のクラブで、[[先輩]]からの「しごき」という名のいじめは昔から存在する。これに関連して、継続的な悪質ないじめで、[[訴訟]]沙汰になった例もある<ref>[http://www.asahi.com/national/update/0706/OSK200707060098.html 「バイクで青森へ」と強要され事故 国立大生が賠償提訴 朝日新聞]</ref><ref>[http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070707k0000e040032000c.html いじめ:大学先輩に慰謝料求める…近畿の国立大生が提訴 毎日新聞]</ref><ref>[http://www.47news.jp/CN/200705/CN2007052401000392.html 「いじめで統合失調症に」 広島市などに賠償命令]</ref>。また、2007年の[[追手門学院大学いじめ自殺事件]]では在日インド人学生がいじめで[[自殺]]し、自殺した生徒の親も1年後自殺した。
人間は基本的な性質として、集団内の一人をいじめることで結束を強めようとする傾向がある。[[フランス]]の精神科医ニコル・カトリーヌは「アイデンティティーが確立していない10代の若者は集団への帰属意識が強い。集団から抜けたり集団のルールに従わない人間は[[スケープゴート]]にされる」としている<ref name="newsweekjapan20101002">{{cite news |title=「お国柄」では済まされないいじめ問題の根の深さ |newspaper=[[ニューズウィーク]] |date=2010-10-2|url=http://www.newsweekjapan.jp/column/tokyoeye/2012/10/post-558.php|accessdate=2014-2-15|author=レジス・アルノー}}</ref>。


{| class="wikitable" style="text-align:right; font-size:95%; margin:10px 0;"
スイスの[[心理療法|心理療法士]]ヴァルター・ミンダーは、いじめとはグループ内に無意識のうちに成立した「暗黙の了解」に従わない者に大して行われるグループ現象としている。最大の問題は被害者にあるのではなく、グループの方である。いじめでの報道では、被害者の異質性に焦点が当てられることが多いが、実際にいじめられやすいのは、本当に異質な者ではなく、ごく普通の子が多いとしている。いじめは被害者の努力で解決することは稀であり、教師や親の積極的な関与が重要としている<ref>{{cite news |title=スイスの学校でのいじめ、なぜいじめは起こるのか?そして対策は? |newspaper=International Business Times |date=2014-3-10 |url=http://jp.ibtimes.com/articles/55378/20140311/1394524829.htm |accessdate=2014-3-20| agency =[[swissinfo.ch|スイス放送協会]] }}</ref>。
|+ いじめの様態別認知件数(文部科学省、平成19年度、複数回答あり)<ref name="monbu19">[http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1278479.htm 平成19年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について]、[http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2009/06/18/1278479_1_1.pdf 公表資料]</ref>
|-style="line-height:1.25em; white-space:nowrap;"
! !!colspan="2"|小学校 !!colspan="2"|中学校!!colspan="2"|高等学校!!colspan="2"|特別支援学校!!colspan="2"|合計
|-
! !!総数 !! 構成比 !!総数 !! 構成比 !!総数 !! 構成比 !!総数 !! 構成比 !!総数 !! 構成比
|-
|冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。||32,110||65.7||28,061||64.5||4,646||55.6||194||56.9||65,011||64.3
|-
|仲間はずれ、集団による無視をされる。||11,896 ||24.3 ||9,489 ||21.8 ||1,455 ||17.4 ||56 ||16.4 ||22,896 ||22.6
|-
|軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。||9,980 ||20.4 ||7,120 ||16.4 ||1,712 ||20.5 ||64 ||18.8 ||18,876 ||18.7
|-
|ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。||2,317 ||4.7 ||2,525 ||5.8 ||737 ||8.8 ||27 ||7.9 ||5,606 ||5.5
|-
|金品をたかられる。||764 ||1.6 ||1,369 ||3.1 ||498 ||6.0 ||12 ||3.5 ||2,643 ||2.6
|-
|金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。||3,254 ||6.7 ||3,448 ||7.9 ||671 ||8.0 ||32 ||9.4 ||7,405 ||7.3
|-
|嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。||2,854 ||5.8 ||2,636 ||6.1 ||795 ||9.5 ||30 ||8.8 ||6,315 ||6.2
|-
|パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。||534 ||1.1 ||3,633 ||8.4 ||1,701 ||20.4 ||25 ||7.3 ||5,893 ||5.8
|-
|その他||1,980 ||4.0 ||1,317 ||3.0 ||388 ||4.6 ||19 ||5.6 ||3,704 ||3.7
|}

==== 教師によるいじめと監督不行届 ====
[[自衛官]]の子供への[[いじめ]]や[[差別]]が、[[日本教職員組合|日教組]]の教師らによって行われてきた。小学校の[[日本教職員組合|日教組]]組合員の女教師が、父親が警察官・自衛官である生徒を立たせて「この子達の親は悪人です!」と[[吊し上げ]]をした<ref name=sassa/>。激怒した佐々が[[家庭訪問]]の際教師に問うと、その教師は反省の弁は無く、自民党や自衛隊、警察を口汚く罵るばかりであったが、[[教育委員会]]に訴え出て[[免職]]させると佐々が言うと、教師は一転して土下座して謝罪しはじめた。この際、この教師は「日教組の組織をあげて戦う」と発言したという<ref name=sassa>[[佐々淳行]]『連合赤軍「あさま山荘」事件』 p181-p183 文春文庫</ref>。また、自衛官の[[配偶者]]や子供の中には差別を恐れ、配偶者や親の職業を隠さざるを得なかった例もあり、自衛隊員の息子であった[[産経新聞]]社会部次長[[大野敏明]]は小学校4年生の頃、[[日本教職員組合|日教組]]の教師に「大野くんのお父さんは自衛官です。自衛隊は人を殺すのが仕事です。しかも憲法違反の集団です。みんな、大きくなっても大野君のお父さんのようにならないようにしましょう」といわれ、「自衛隊員の息子として教師から虐めを受け、[[登校拒否]]になった」という<ref name=sannkei199622/>。また、同じく自衛官の息子だった友人は[[内申書]]の評価を下げられ、親の職業を言いたがらない者もいたと述べている<ref name=sannkei199622>1996年2月2日付産経新聞東京夕刊</ref>。

1986年の[[中野富士見中学いじめ自殺事件]]では、[[東京都]][[中野区]]の中学教師がいじめに加担した<ref>豊田充『「葬式ごっこ」八年目の証言』風雅書房、1994年</ref>。 2006年の[[福岡中2いじめ自殺事件]]でも教師がいじめに加担した。

また、教員による職場いじめとして[[職員室のいじめ]]もある。ほかに[[教員|教師]](モンスターティーチャー)によるいじめも問題となっている<ref>[[内藤みか]]『たたかえ! てんぱりママ モンスターティーチャーとのあれれな日々』[[亜紀書房]]、[[2012年]]。ISBN 4750512117</ref>。<!---要出典--また、いじめを行った[[児童]]の親族([[モンスターペアレント]])もいじめ(嫌がらせ)に加担することもある。-->

;監督不行届
[[大津市中2いじめ自殺事件]](2011年)では、自殺した生徒からいじめ相談をされていた担任が適切な対応をとらなかったことが問題とされた。

[[2014年]][[1月]]の[[長崎県]][[新上五島町]]立[[新上五島町立奈良尾中学校|奈良尾中学校]]いじめ自殺事件では生徒が利用していた[[LINE (アプリケーション)|LINE]]に自殺を仄めかす書き込みをしており、同級生や一部の保護者らは気付いていたものの学校に知らせていなかった。また、同町教委はいじめの存在は認めたものの、自殺との因果関係は不明としており、生徒の遺族は真相究明を求めた<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20140527k0000m040159000c.html SOS:中3自殺 LINEに「死ぬ準備」「さようなら」] 毎日新聞 2014年5月27日</ref><ref>[http://mainichi.jp/select/news/20140528k0000m040123000c.html 長崎・中3自殺:「いじめ原因、なぜ認めぬ」] 毎日新聞 2014年5月28日</ref>。

=== 職場いじめ ===
{{Main|職場いじめ|職員室のいじめ}}
子供に限らず、[[社会人]]([[社員#モンスター社員|モンスター社員]]、[[クラッシャー上司]])においても暴力そのものや[[パワーハラスメント]]、[[セクシャルハラスメント]]といった[[職場いじめ]]が起こっている。上司が部下に対し、職場で陰謀を巡らし、「自分が悪い」と誤解させる状況を、故意につくられるような[[不当労働行為]]や、責任をとって辞めさせるような状況をつくる[[不当解雇]]もある。

また、[[刑務所]]においてもいじめが存在する<ref>『[[リアルライブ]]』(2013年05月28日)「[http://npn.co.jp/article/detail/80283289 押尾学も悲鳴!蔓延する刑務所内イジメをゴマキ弟・後藤祐樹が語る]」</ref>。

=== インターネットいじめ ===
{{main|ネットいじめ}}
インターネットが普及した現代社会ではネット上のユーザによる[[ネットいじめ]]も存在する。[[滝川高校いじめ自殺事件]](2007年)では[[学校裏サイト]]でいじめが行われていた。


イギリスでも[[インターネット]]環境の発達とともに[[ネットいじめ]]が増加している<ref name=england/>。アメリカ合衆国、カナダでもネットいじめが深刻している。
== いじめ事件の例 ==
* [[上福岡第三中学校いじめ自殺事件]](1979年 『ぼく、もう我慢できないよ ―あるいじめられっ子の自殺』としてルポになっている)
* [[大阪産業大学付属高校同級生殺害事件]](1984年、性的いじめ復讐殺人事件)
* [[中野富士見中学いじめ自殺事件]](1986年、日本で初めていじめ自殺事件がクローズアップされた事件)
* [[山形マット死事件]](1993年)
* [[愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件]](1994年)
* [[旭川女子中学生集団暴行事件]](1996年、強姦事件)
* [[名古屋中学生5000万円恐喝事件]](2000年)
* [[たちかぜ自衛官いじめ自殺事件]] (2004年)
* [[丸子実業高校バレーボール部員自殺事件]](2005年、事実無根として加害者とされた側も遺族に対し慰謝料請求の民事裁判を起こした事件)
* [[滝川市立江部乙小学校いじめ自殺事件]](2005年)
* [[福岡中2いじめ自殺事件]](2006年)
* [[新潟県神林村男子中学生自殺事件]](2006年)
* [[尼崎児童暴行事件]](2006年、性的暴行事件)
* [[滝川高校いじめ自殺事件]](2007年、加害者4人逮捕、学校裏サイトの存在がクローズアップされた事件)
* [[追手門学院大学いじめ自殺事件]](2007年、追手門学院大学に通う在日インド人学生を同校の学生がいじめ自殺に追い込んだ事件、自殺した生徒の親も1年後自殺)
* [[多摩川高校生水死事件]](2009年、川へ突き飛ばした同級生が溺れる様子を動画撮影していた。)
* [[桐生市小学生いじめ自殺事件]](2010年)
* [[大津市中2いじめ自殺事件]](2011年)
* 仙台市私立高校の根性焼き事件(2011年、2012年8月6日、同校2年の男子生徒が、同級生からたばこの火を腕に押し付けられるなどの暴行を受けたとして、[[宮城県警]][[仙台東警察署]]に被害届を提出、受理された<ref>{{cite news |title=いじめ:「根性焼き強制」と高2男子が被害届 仙台 |newspaper=時事ドットコム |date=2012-08-06 |url=http://mainichi.jp/select/news/20120807k0000m040093000c.html}}</ref>。生徒や母親によると、学校側と同級生はいじめの一部しか認めなかった上、「やけどの跡で他の生徒を動揺させた」として退学処分を宣告し、母親らの反論も一切受付なかったとしている<ref>{{cite news |title=いじめ:「根性焼き強制」と高2男子が被害届 仙台|newspaper=毎日jp|date=2012-08-07| url=http://mainichi.jp/select/news/20120807k0000m040093000c.html}}</ref>。)
* [[長崎県]][[新上五島町]]立[[新上五島町立奈良尾中学校|奈良尾中学校]]いじめ自殺事件([[2014年]]、[[1月]]に同校3年生の男子生徒が、同級生からのいじめを苦に自殺した。この生徒は、自分が利用していた[[LINE (アプリケーション)|LINE]]に、自殺を仄めかす書き込みをしており、同級生や一部の保護者らは気付いていたものの学校に知らせていなかった。また、同町教委はいじめの存在は認めたものの、自殺との因果関係は不明としており、生徒の遺族は真相究明を求めている<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20140527k0000m040159000c.html SOS:中3自殺 LINEに「死ぬ準備」「さようなら」] 毎日新聞 2014年5月27日</ref><ref>[http://mainichi.jp/select/news/20140528k0000m040123000c.html 長崎・中3自殺:「いじめ原因、なぜ認めぬ」] 毎日新聞 2014年5月28日</ref>)


== 犯罪としての分類 ==
=== 犯罪としての分類 ===
{{出典の明記|seciton=1|date=2012年8月}}
{{出典の明記|seciton=1|date=2012年8月}}
{{Law}}
{{Law}}
* [[暴行罪]]・[[傷害罪]]:殴る、蹴る、刺す、縛る、[[タバコ|煙草]]をからだに押し付ける(これは根性焼きとよばれ、2012年の仙台市の私立高校生で強制する事件があった<ref> 仙台市私立高校生根性焼き事件では2012年8月6日、同校2年の男子生徒が、同級生からたばこの火を腕に押し付けられるなどの暴行を受けたとして、[[宮城県警]][[仙台東警察署]]に被害届を提出、受理された。{{cite news |title=いじめ:「根性焼き強制」と高2男子が被害届 仙台 |newspaper=時事ドットコム |date=2012-08-06 |url=http://mainichi.jp/select/news/20120807k0000m040093000c.html}}。生徒や母親によると、学校側と同級生はいじめの一部しか認めなかった上、「やけどの跡で他の生徒を動揺させた」として退学処分を宣告し、母親らの反論も一切受付なかったとしている。{{cite news |title=いじめ:「根性焼き強制」と高2男子が被害届 仙台|newspaper=毎日jp|date=2012-08-07| url=http://mainichi.jp/select/news/20120807k0000m040093000c.html}}</ref>。)など。
* [[暴行罪]]・[[傷害罪]]:殴る、蹴る、刺す、縛る、[[タバコ|煙草]]をからだに押し付けるなど。
* [[傷害致死罪]]:(例)[[私刑|リンチ]]によって被害者が死亡。
* [[傷害致死罪]]:(例)[[私刑|リンチ]]によって被害者が死亡。
* [[殺人罪]]:[[未必の故意]]が認められる場合この犯罪が該当する。
* [[殺人罪]]:[[未必の故意]]が認められる場合この犯罪が該当する。
101行目: 123行目:
* 陰謀や虚偽報告。なお、犯罪として立件できず、{{要出典範囲|date=2013年5月|民事上の不法行為と認定されるケースがある}}。
* 陰謀や虚偽報告。なお、犯罪として立件できず、{{要出典範囲|date=2013年5月|民事上の不法行為と認定されるケースがある}}。


; 労働問題
* [[不当労働行為]]:上司が部下に対し、職場で陰謀を巡らすこと。「自分が悪い」と誤解させる状況を、故意につくられる。
* [[不当解雇]]:職場で、責任をとって辞めさせるような状況をつくる。
* [[セクシャルハラスメント]]・[[モラルハラスメント]]・[[パワーハラスメント]]に該当する仕打ちを受けさせる。


各法規定は、被害内容を下記の2つに大きく区分する。
; 備考
* 2006年の[[福岡中2いじめ自殺事件]]のケースでは[[暴力行為等処罰ニ関スル法律]]違反の疑いが適用された。

== 法律上の保護 ==
いじめ被害者は、下記の法規定によって保護される。
* 人権侵害等→[[憲法]]:権利の回復・損害賠償請求
* 刑事事件 →[[刑法]]:刑事訴追
* 民事事件 →[[民法]]:損害賠償請求

各法規定は、被害内容を下記の2つに大きく区分する。(一般に「いじめ」は後者をさすことが多いが、前者も該当する)
* 身体的苦痛(殺人・拷問・傷害などの瞬間的な肉体的打撃である[[暴力]]、障害)などの実害
* 身体的苦痛(殺人・拷問・傷害などの瞬間的な肉体的打撃である[[暴力]]、障害)などの実害
* 精神的苦痛(非常に陰湿で、長期間いじめられる側(被害者)の精神に大きな打撃を与えるもの)
* 精神的苦痛(非常に陰湿で、長期間いじめられる側(被害者)の精神に大きな打撃を与えるもの)


=== アフターケア ===
悪辣かつ長期化したいじめの場合、被害者の心の傷は深く、性格そのものが変容する場合がある。深刻な心理的・肉体的・性的虐待を受けたあとでは、いじめそのものが解消したあとでも、本人のみではケアが困難となる。その場合には、[[精神科医]]や[[カウンセラー]]に相談することも重要である。


=== 暴力系とコミュニケーション操作系 ===
== いじめの統計 ==
具体的ないじめに相当する行為の種類によって分類した場合、「暴力系のいじめ」と「コミュニケーション操作系のいじめ」の2種類がある<ref>[[#内藤&荻上2010|内藤&荻上 2010]]、40-43頁</ref>。前者は、被害者に対する殴打・拘束や服を脱がせるなど身体へ直接的なダメージを与えるもので、後者は悪口・誹謗中傷や風説の流布などコミュニケーションを介して被害者に不快感・精神的ダメージを与えるものである。男女別では、女子のほうが暴力系ではなくコミュニケーション操作系のいじめを遂行する傾向にあり、その背景には[[ジェンダー]]による抑圧(「女の子は優しく/おとなしくしているべきである」という固定観念)あるいは評価基準の違い(男子はそれが身体的な強靭さに求められるが女子は他者からの受容に依存する)が考えられる<ref>[[小笠原通子]]「女の子って裏攻撃が大得意!?――いじめと「男らしさ/女らしさ」」『[[#内藤&荻上2010|いじめの直し方]]』64-65頁。</ref><ref name="flat">[[土井隆義]] 「フラット化するコミュニケーション」『コミュニケーションの社会学』 [[有斐閣]]、2009年、280-281頁。ISBN 978-4641123922。</ref>。ただし、男子のいじめについてもだんだんと暴力系よりもコミュニケーション操作系のいじめのほうが多くなる傾向にある<ref name="flat" />。
[[文部科学省]]の統計によると、[[2007年|平成19年]]度に文部省が認知したものでは、84,648件のいじめがあり、児童生徒1000人あたりのいじめ件数は7.1人で<ref name="monbu20">[http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/11/1287227.htm 平成20年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について]、[http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/11/__icsFiles/afieldfile/2009/11/30/1287227_1_1.pdf 公表資料]</ref>、いじめを認知した学校の件数は40.0%であった<ref name="monbu20" />。ただし、以上の統計はもちろん文部省が認知した件数であるため、[[暗数]]を考慮しなければならない。


=== 排除型と飼育型 ===
学年別で見た場合、中学生、なかでも特に中学1年生のいじめの数が多く、中学1年生だけで17,063件のいじめが認知されており、この数字は小学6年生(4,262件)や高校1年生(3,701件)に比べ4倍以上多い。男女比では、54.8%が男子、45.2%が女子である<ref name="monbu20" />。
いじめの形態に注目すると、「排除」のいじめと「飼育」のいじめの2種類がある<ref>[[#内藤&荻上2010|内藤&荻上 2010]]、17-19頁</ref>。排除型は被害者を仲間外れにして自分たちのグループから排斥するものであり、飼育型は被害者を自分たちのグループの中に留めおいたままいじめの対象にして楽しむものである。実際のいじめは排除型ではなく飼育型であることが多い。


== いじめの原因 ==
平成19年度に自殺した136人の児童のうち、いじめが原因であると特定されたものは3件で18年度よりも3件少ない<ref name="monbu20" />。文部科学省の調査では、2011年6月から2013年12月末までに発生した小中高生の自殺理由の原因を調査したところ、いじめを理由にした自殺が占める割合は2.0%ほどとなっている<ref>{{cite news |title=自殺の小中高生「進路で悩み」1割、いじめは… |newspaper=[[読売新聞]] |date=2014-6-21|url=http://www.yomiuri.co.jp/national/20140620-OYT1T50059.html|accessdate=2014-6-21 }}</ref>。
=== 集団心理 ===
[[フランス]]の精神科医ニコル・カトリーヌは「アイデンティティーが確立していない10代の若者は集団への帰属意識が強い。集団から抜けたり集団のルールに従わない人間は[[スケープゴート]]にされる」としている<ref name="newsweekjapan20101002">{{cite news |title=「お国柄」では済まされないいじめ問題の根の深さ |newspaper=[[ニューズウィーク]] |date=2010-10-2|url=http://www.newsweekjapan.jp/column/tokyoeye/2012/10/post-558.php|accessdate=2014-2-15|author=レジス・アルノー}}</ref>。スイスの[[心理療法|心理療法士]]ヴァルター・ミンダーは、いじめとはグループ内に無意識のうちに成立した「暗黙の了解」に従わない者に大して行われるグループ現象としている。最大の問題は被害者にあるのではなく、グループの方である。いじめでの報道では、被害者の異質性に焦点が当てられることが多いが、実際にいじめられやすいのは、本当に異質な者ではなく、ごく普通の子が多いとしている<ref name=swiss>{{cite news |title=スイスの学校でのいじめ、なぜいじめは起こるのか?そして対策は? |newspaper=International Business Times |date=2014-3-10 |url=http://jp.ibtimes.com/articles/55378/20140311/1394524829.htm |accessdate=2014-3-20| agency =[[swissinfo.ch|スイス放送協会]] }}</ref>。


森口朗は、内藤の理論をベースに独自の「[[スクールカースト]]」の概念を導入した。これはクラス内の序列のことで、人気や「空気を読む能力」の多寡により上下し、下位になるほどいじめられやすくなるという<ref name=moriguchi/>。
中学1年生の「仲間はずれ、無視、陰口」を例に国立教育政策研究所が2004年度に行った追跡調査<ref name="tsuiseki04">[[国立教育政策研究所]][[生徒指導研究センター]] [http://www.nier.go.jp/shido/centerhp/ijime2004_06/ijime2004_06.files/6_tyosa.pdf いじめ追跡調査2004-2006]</ref><ref name="tsuiseki">[[国立教育政策研究所]][[生徒指導研究センター]] [http://www.nier.go.jp/shido/centerhp/shienshiryou2/3.pdf いじめ追跡調査2007-2009]</ref>によれば、一般的イメージとは異なり、いじめる生徒・いじめられている生徒は短期間で入れ替わっており、「いわゆる「いじめられっ子(いじめられやすい子供)」や「いじめっ子(いじめやすい子供)」も存在しない」<ref name="tsuiseki" />。


[[安藤美華代]]は、いじめの心理社会的要因の検討を行った結果、いじめを行う友達の影響、いじめの誘いを断る自己効力感、衝動性・攻撃性に対する自己コントロール、道徳観等が関連していることを明らかにした<ref>2007年『中学生における問題行動の要因と心理的介入』</ref>。
また同調査によれば、同じ学校・同じ年度の生徒であっても学年が進むにつれていじめの数が大きく増減しており、「いじめが起こりやすい学校・年度」のようなものはなかった。したがって、「いじめが起きやすい学校とそうでない学校、いじめが起きやすい学年とそうでない学年というものが存在しているわけではない」<ref name="tsuiseki" />。


===ストレッサー===
以上のことから、「何か特別な問題や背景があるから、いじめが起きる」わけではなく、「そうした問題の有無とはさほど関係なく、いじめは起きうる」「ちょっとしたきっかけで、いじめは起きてしまう、広がってしまう」のが実態であることが分かる<ref name="tsuiseki04" />。
いじめ加害の原因となるストレッサー(ストレス原因)で直接的・間接的に大きな要因をアンケートから探ってみた日本の統計によると、直接的にも間接的にも最も影響力が大きいのは友人から学業・容姿・行動などを馬鹿にされた「友人ストレッサー」(36組中31組で第1位)であった<ref name="tsuiseki" />。次に影響力が大きかったストレッサーは学業・容姿・長所や短所などに関する「競争的価値観」(36組中2組で第1位、19組で第2位)で<ref name="tsuiseki" />、間接的な効果しかないにも関わらず、その効果の大きさが伺える。そして、さまざまなストレッサーが「不機嫌怒りストレス」(36組中3組で第1位、11組で第2位)に影響を与え、いじめを発生させているという構図がある<ref name="tsuiseki" />。


1986年の東京都教育委員会調査報告<ref>東京都教育委員会調査報告 江川文成 「いじめから学ぶ」、大日本図書株式会社、1986年、p35。[http://db2.littera.waseda.ac.jp/daigaku/report/20011kiso/f.pdf いじめの現状・原因]からの重引。</ref>によれば、いじめの原因は以下の結果となった。
小学校においても同様の傾向が確かめられている<ref name="tsuiseki" />。

実際同調査によれば中学1年生の場合、「週に1回以上」いじめを受けている生徒が「毎回50-100名(7-14%)程度存在するにもかかわらず、それが半年後まで続く事例は半分以下」<ref name="tsuiseki" />であった。すなわち「毎回「クラスに3-6名」程度の割合の子供が被害に遭っている計算であるにもかかわらず、常習的な被害者と考えられるのは1000名につき3名という数」である<ref name="tsuiseki" />。

これは加害者についても同様で、「「週に1回以上」という高頻度の加害経験があると答えた生徒は、毎回35-85名(5-12%)程度いたにもかかわらず、半年後も引き続き経験があると答えた者は半分以下」<ref name="tsuiseki" />であった。

小学校・中学校で「仲間はずれ、無視、陰口」が3年間の間に全く無かった児童生徒はそれぞれ22.6%、27.6%で<ref name="tsuiseki" />、いじめが誰にでも起こりうることを裏付ける。
逆に3年間連続でいじめがあった児童生徒は小学校・中学校でそれぞれ0.4%、0.6%であった<ref name="tsuiseki" />。

いじめが発見されたきっかけは、学校の教職員が発見したのが50.3%、本人や家族の訴えなど教職員以外がきっかけのものは49.7%であった<ref name="monbu20" />。
教職員が発見した方法としては「アンケート調査など学校の取組により発見」は(24.4%。きっかけ全体に対する割合。以下同様)、「学級担任が発見」(19.8%)が多く、教職員以外のものでは、「本人からの訴え」(24.6%)、保護者(16.3%)、本人以外の児童生徒(5.1%)の順である<ref name="monbu20" />。

都道府県別で見た場合、1000人あたりの認知件数は多いほうから順に熊本県(32.7件)、大分県(27.3件)、岐阜県(25.2件)が多く、全国平均(7.1件)を3倍以上上回る<ref name="monbu20" />。ただしこれはあくまで認知件数なので、これらの件で実際にいじめが多いのか、それともこれらの県でいじめを認知しやすい体制が整っているのかは不明である。なお熊本県や大分県と同じ九州でも、福岡県や佐賀県(いずれも1.1件)は少ない方から2番と3番で、単純に九州でいじめの認知件数が多いというわけではない<ref name="monbu20" />。(全国最小は和歌山県の0.8件)<ref name="monbu20" />。

文部省の統計では[[1994年|平成6年]]と[[2006年|平成18年]]にいじめの定義を変えているが、統計上は、(認知された)いじめの発生率が激減→いじめの定義を変えると激増を繰り返している。例えば平成6年には31.3%だった発生率が平成17年度には19.4%に減っている<ref name="monbu20" />。ただし、いじめの定義を変えると発生率が急増していることから、いじめが実際に減ったのか、それともいじめの動向変化により統計上捉えられるいじめ発生率が減り、動向にあわせて定義を修正することでまた見かけ上の発生率が増えているのかは不明である。

2013年、[[国際連合児童基金|国連児童基金]](ユニセフ)と[[国立社会保障・人口問題研究所]]が行った「先進国における子どもの幸福度」という調査によると、[[日本]]は、いじめの割合などを示す「日常生活上のリスクの低さ」で1位を獲得ている<ref>{{cite news |title=子どもの幸福度 日本は先進31カ国中6位 |newspaper=[[フジニュースネットワーク]] |date=2013-12-25|url=http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00260286.html |accessdate=2014-1-5}}</ref>。ただし、その中での「過去数か月に学校で1回以上いじめられたと答えた11歳、13歳、15歳の子どもの割合」では日本は30カ国中12位で、改善の余地は大いにある<ref>{{cite web |title=ユニセフ・イノチェンティ研究所 最新報告書発表 『先進国における子どもの幸福度-日本との比較 特別編集版』 |publisher=[[日本ユニセフ協会]] |date=2013-12-25|url=http://www.unicef.or.jp/osirase/back2013/1312_06.html |accessdate=2014-3-8}}</ref><ref name="unicef_labo_rc11ja">[http://www.unicef.or.jp/library/pdf/labo_rc11ja.pdf 先進国における子どもの幸福度 日本との比較 特別編集版](PDF) - 日本ユニセフ協会</ref>。

=== 学年別動向の統計 ===
学年別に見た場合、次の傾向があることが指摘されている。
* 幼稚園・保育園:[[小谷隆真]]によれば、[[小学校]]や[[中学校]]のようないじめはないという。積極的な子供が消極的な子供を従えているようにみえる「子供同士の力関係」や、「子供のコミュニケーション能力の未発達」による[[玩具]]等の横取り、手を出すことをいじめととらえてしまうという(参考:[http://www.keiai.ac.jp/mamatopapanotameni/omoi/ijimenewspaper.jpg 2005年3月7日読売新聞])。
* 小学校:「冷やかし」の割合が多いが、「仲間はずれ」の割合が、他の区分に比べて多い<ref name=monkasyo>文部科学省 [http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/09/06091103/002.pdf 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(いじめ)]</ref>。
* 中学校:統計上、いじめが最も多くなる年代である<ref name=monkasyo />。重篤な場合は重傷を負わせられる、傷害の結果死に至ることもある。結果、自殺するという例もある。
* 高等学校:「冷やかし」が多いが、「暴力をふるう」割合が高い<ref name=monkasyo />。割合は少ないが、いじめによって[[退学]]する場合もある(人間関係を理由とした中途退学は、2005年度で7.4%<ref name=monkasyo2>文部科学省 [http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/09/06091103/005.pdf 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(中途退学)]</ref>)。また、[[大阪産業大学付属高校同級生殺害事件]]も参照。
* 大学:[[大学]]に於いても、特に[[体育会系]]のクラブで、先輩からの「しごき」という名のいじめは昔から存在する。これに関連して、継続的な悪質ないじめで、[[訴訟]]沙汰になった例もある<ref>[http://www.asahi.com/national/update/0706/OSK200707060098.html 「バイクで青森へ」と強要され事故 国立大生が賠償提訴 朝日新聞]</ref><ref>[http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070707k0000e040032000c.html いじめ:大学先輩に慰謝料求める…近畿の国立大生が提訴 毎日新聞]</ref><ref>[http://www.47news.jp/CN/200705/CN2007052401000392.html 「いじめで統合失調症に」 広島市などに賠償命令]</ref>。また、[[追手門学院大学いじめ自殺事件]]も参照。

{| class="wikitable" style="text-align:right; font-size:95%; margin:10px 0;"
|+ いじめの様態別認知件数(文部科学省、平成19年度、複数回答あり)<ref name="monbu19">[http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1278479.htm 平成19年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について]、[http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2009/06/18/1278479_1_1.pdf 公表資料]</ref>
|-style="line-height:1.25em; white-space:nowrap;"
! !!colspan="2"|小学校 !!colspan="2"|中学校!!colspan="2"|高等学校!!colspan="2"|特別支援学校!!colspan="2"|合計
|-
! !!総数 !! 構成比 !!総数 !! 構成比 !!総数 !! 構成比 !!総数 !! 構成比 !!総数 !! 構成比
|-
|冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。||32,110||65.7||28,061||64.5||4,646||55.6||194||56.9||65,011||64.3
|-
|仲間はずれ、集団による無視をされる。||11,896 ||24.3 ||9,489 ||21.8 ||1,455 ||17.4 ||56 ||16.4 ||22,896 ||22.6
|-
|軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。||9,980 ||20.4 ||7,120 ||16.4 ||1,712 ||20.5 ||64 ||18.8 ||18,876 ||18.7
|-
|ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。||2,317 ||4.7 ||2,525 ||5.8 ||737 ||8.8 ||27 ||7.9 ||5,606 ||5.5
|-
|金品をたかられる。||764 ||1.6 ||1,369 ||3.1 ||498 ||6.0 ||12 ||3.5 ||2,643 ||2.6
|-
|金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。||3,254 ||6.7 ||3,448 ||7.9 ||671 ||8.0 ||32 ||9.4 ||7,405 ||7.3
|-
|嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。||2,854 ||5.8 ||2,636 ||6.1 ||795 ||9.5 ||30 ||8.8 ||6,315 ||6.2
|-
|パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。||534 ||1.1 ||3,633 ||8.4 ||1,701 ||20.4 ||25 ||7.3 ||5,893 ||5.8
|-
|その他||1,980 ||4.0 ||1,317 ||3.0 ||388 ||4.6 ||19 ||5.6 ||3,704 ||3.7
|}

===いじめ原因の統計===
いじめ加害の原因となるストレッサー(ストレス原因)で直接的・間接的に大きな要因をアンケートから探ってみた統計によると、直接的にも間接的にも最も影響力が大きいのは友人から学業・容姿・行動などを馬鹿にされた「友人ストレッサー」(36組中31組で第1位)であった<ref name="tsuiseki" />。次に影響力が大きかったストレッサーは学業・容姿・長所や短所などに関する「競争的価値観」(36組中2組で第1位、19組で第2位)で<ref name="tsuiseki" />、間接的な効果しかないにも関わらず、その効果の大きさが伺える。

そして、さまざまなストレッサーが「不機嫌怒りストレス」(36組中3組で第1位、11組で第2位)に影響を与え、いじめを発生させているという構図がある<ref name="tsuiseki" />。一方教師・家族・友人らによる支援がこれらのストレスを軽減することも分かっており<ref name="tsuiseki" />、周囲の支援がいじめを抑止する効果があることがわかる。

また古いデータであるが、1986年の東京都教育委員会調査報告<ref>東京都教育委員会調査報告 江川文成 「いじめから学ぶ」、大日本図書株式会社、1986年、p35。[http://db2.littera.waseda.ac.jp/daigaku/report/20011kiso/f.pdf いじめの現状・原因]からの重引。</ref>によれば、いじめの原因は以下の結果となった。
* 力の弱いもの、動作の鈍いものを面白半分に 33.6%
* 力の弱いもの、動作の鈍いものを面白半分に 33.6%
* 欲求不満の鬱憤晴らしとして 19.7%
* 欲求不満の鬱憤晴らしとして 19.7%
199行目: 153行目:
* 怒りや悲しみ、嫉妬から 10.7%
* 怒りや悲しみ、嫉妬から 10.7%
* 仲間に引き入れるため 6.7%
* 仲間に引き入れるため 6.7%
* 以前にいじめられたことの仕返しとして 6.3%
* 以前にいじめられたことの仕返しとして 6.3%
*その他少数意見として「面白いから」、「ふざけて、冗談で」があった。


=== 自己制御の欠如 ===
その他少数意見として「面白いから」、「ふざけて、冗談で」があった。
[[シカゴ大学]]による脳の[[fMRI]]スキャンを使用した研究によると、人が他人の苦痛を目にすると、自身が苦痛を経験したときと同じ脳内領域が光るが、いじめっ子の場合[[扁桃体]]や腹側線条体(報酬や喜びに関係すると考えられている部位)によってそうでないものに比べ活発に活動することがわかったという。「いじめっ子は人の苦痛を見るのが好きだと考えられる。この考えが正しい場合、彼らは弱い者いじめをして他人を攻撃するたびに心理的な報酬を受け取り、反応の強化が進んでいることになる」「自己制御を欠いている点を処置する、あるいは埋め合わせる治療法を開発する必要があるだろう。いじめっ子が自己制御を欠いているのは事実だと考えているし、他人を傷付けるたびに心理的な報酬を受け取り、反応の強化が進む可能性がある」と同研究チームのベンジャミン・レイヒーは話す。<ref>ナショナルジオグラフィック ニュース:[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=8967503&expand 人の災難を喜ぶいじめっ子の脳]</ref>。


== 世界のいじめ ==
== 各国のいじめ情勢 ==
=== 韓国 ===
=== 日本 ===
[[2007年|平成19年]]度[[文部科学省]]の統計によると、いじめを認知した学校の件数は40.0%で、認知件数は84,648件、児童生徒1000人あたりのいじめ件数は7.1人であった<ref name="monbu20">[http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/11/1287227.htm 平成20年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について]、[http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/11/__icsFiles/afieldfile/2009/11/30/1287227_1_1.pdf 公表資料]。</ref>。文部省の統計では平成6年には31.3%だった発生率が平成17年度には19.4%に減っている<ref name="monbu20" />。
[[高麗]]や[[李氏朝鮮]]時代に新任官吏をいじめる[[免新礼]]という風習があり、現代の[[申告式]]([[:ko:신고식]])につながっているといわれる。また伝統的に、[[韓国の新郎いじめ|結婚式の後で新郎をいじめる風習]]もある。


文部科学省の調査では2011年6月から2013年12月末までに発生した小中高生の自殺につき、いじめを理由にした割合は2%ほどで<ref>{{cite news |title=自殺の小中高生「進路で悩み」1割、いじめは… |newspaper=[[読売新聞]] |date=2014-6-21|url=http://www.yomiuri.co.jp/national/20140620-OYT1T50059.html|accessdate=2014-6-21 }}</ref>、さらに平成19年度に[[自殺]]した136人の児童のうち、いじめが原因であると特定されたものは3件で18年度よりも3件少なくなっている<ref name="monbu20" />。
[[大韓民国|韓国]]では、当初、いじめは[[日本語]]の単語を輸入した「이지메(イジメ)」が主流であったが、現在では「激しい」と「爪弾き」を合成した単語「ワンタ」と呼ぶ<ref>[http://blogs.yahoo.co.jp/lifeartinstitute/26895421.html 日韓比較文化:日本のイジメ、韓国のワンタ] - [[河信基]]の深読み</ref>。


都道府県別で見た場合、1000人あたりの認知件数は多いほうから順に熊本県(32.7件)、大分県(27.3件)、岐阜県(25.2件)が多く、全国平均(7.1件)を3倍以上上回る<ref name="monbu20" />。ただしこれはあくまで認知件数なので、これらの件で実際にいじめが多いのか、それともこれらの県でいじめを認知しやすい体制が整っているのかは不明である。なお熊本県や大分県と同じ九州でも、福岡県や佐賀県(いずれも1.1件)は少ない方から2番と3番で、単純に九州でいじめの認知件数が多いというわけではない<ref name="monbu20" />。(全国最小は和歌山県の0.8件)<ref name="monbu20" />。
==== 軍隊 ====
2005年には、[[便所]]の水を流していない訓練兵らに立腹し、部隊の[[中隊]]長が[[人糞]]を指につけて食べるよう強制した[[韓国陸軍訓練所食糞事件]]が発生した。同年には[[大韓民国陸軍|陸軍]]においていじめを受けていた[[一等兵]]が銃を乱射し、8人を殺害する[[漣川軍部隊銃乱射事件]]が発生した<ref>[http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-18/2011071806_01_1.html 韓国海兵隊の同僚射殺事件/いじめ体質 浮き彫り/6年前も銃乱射 「軍の悪習」指摘] - 赤旗 2011年7月8日</ref>。


2013年、[[国際連合児童基金|国連児童基金]](ユニセフ)と[[国立社会保障・人口問題研究所]]が行った「先進国における子どもの幸福度」という調査によると、[[日本]]は、いじめの割合などを示す「日常生活上のリスクの低さ」で1位を獲得ている<ref>{{cite news |title=子どもの幸福度 日本は先進31カ国中6位 |newspaper=[[フジニュースネットワーク]] |date=2013-12-25|url=http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00260286.html |accessdate=2014-1-5}}</ref>。ただし、その中での「過去数か月に学校で1回以上いじめられたと答えた11歳、13歳、15歳の子どもの割合」では日本は30カ国中12位で、改善の余地は大いにある<ref>{{cite web |title=ユニセフ・イノチェンティ研究所 最新報告書発表 『先進国における子どもの幸福度-日本との比較 特別編集版』 |publisher=[[日本ユニセフ協会]] |date=2013-12-25|url=http://www.unicef.or.jp/osirase/back2013/1312_06.html |accessdate=2014-3-8}}</ref><ref name="unicef_labo_rc11ja">[http://www.unicef.or.jp/library/pdf/labo_rc11ja.pdf 先進国における子どもの幸福度 日本との比較 特別編集版](PDF) - 日本ユニセフ協会</ref>。
また、[[韓国軍]]では2011年7月4日、[[上等兵]]が銃を乱射して兵を4人射殺する[[江華島海兵隊銃乱射事件]]が発生したが、この動機は[[期数列外]]という部隊内のいじめが原因だとされる<ref>[http://sankei.jp.msn.com/world/news/110706/kor11070610440000-n1.htm 韓国海兵隊の銃乱射 いじめが原因か] 産経新聞 - 2011年7月6日</ref>。この銃乱射事件が起こったのと同じ[[師団]]で、2011年7月3日、兵士が首を吊って自殺している。これもいじめの可能性がなかったか、当局が捜査している<ref>[http://sankei.jp.msn.com/world/news/110708/kor11070807000000-n1.htm 海兵隊兵士が首つり自殺 乱射事件と同じ師団 韓国軍、いじめの有無調査] - 産経新聞 2011年7月8日</ref>。


各事件については[[:Category:日本のいじめ]]、および[[:Category:日本の少年犯罪]]を参照。
2014年にも、いじめが原因で陸軍で同僚の5人を射殺した[[江原道高城郡兵長銃乱射事件]]が起こった。
<!---各事件の一覧記事ではない。[[WP:WWIN]]。いじめが確定されていない事件は記載しない。--->

==== 学校 ====
[[一陣会]]という、いじめなどを行う生徒の団体があり、地域連合を結成し広域化している。[[卒業式]]では、卒業生の制服を切り裂く[[裸コンパ]]という風習がある。

2011年12月、[[大田女子高生自殺事件]]など、3人の中高生が相次いで自殺した。いじめが原因と見られている<ref>{{cite web
| url =http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120116/226160/
| title =韓国で2011年末、いじめを苦に中高生が連続自殺
| publisher = 日経ビジネスオンライン
| accessdate = 2012年1月16日
}}</ref>。2012年の新年国政演説において、[[李明博]]大統領は多発するいじめの問題にも触れ、総合対策を準備すると宣言した<ref>{{cite web
| url =http://www.mindan.org/shinbun/news_bk_view.php?page=1&subpage=3151&corner=4
| title =李明博大統領の新年国政演説(全文)
| publisher = 民団新聞
| accessdate = 2012年1月18日
}}</ref>。

韓国の教育現場では、[[脱北者]]に対するいじめも頻発している。脱北者の生徒は、罪人のように韓国学生たちの顔色をうかがい、戦々恐々とする日々を送っており、それに耐えかねて不登校に陥る例もある<ref>{{Cite news
| url = http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=040000&biid=2012030588678
| title = 死線を超えて辿りついた韓国、迎えたのは「蔑視」と「いじめ」
| newspaper = [[東亜日報]]
| date = 2012-3-5
}}</ref>。

韓国の[[教育部 (大韓民国)|教育科学技術省]]が調査した結果では、通学年齢の生徒たちを対象に実施した調査では、7万7000人以上がいじめられた経験があり、このうち10%は自殺を考えたことがあるとされる<ref>{{cite news |title=韓国で「いじめ保険」発売へ |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-2-6|url=http://www.afpbb.com/articles/-/3007876|accessdate=2014-3-8|author= }}</ref>


=== アメリカ ===
=== アメリカ ===
{{see also|アメリカ合衆国の人種差別|ジョック}}
{{see also|アメリカ合衆国の人種差別}}
アメリカの学校ではスポーツの得意な人気者の男性[[ジョック]]とその対極に非ジョックの[[ナード]]がある。学校でのいじめも深刻で、13名の人間が殺害された[[コロンバイン高校銃乱射事件]]では、犯人たちの高校は日常的にいじめが行われており、それが原因で事件を引き起こしたと考えられている。
[[アメリカ合衆国]]では、45州でいじめ防止法を導入している。いじめが原因で毎日16万人近くが学校を欠席している。中学生男子へのある追跡調査では、加害者の60%が、24歳までに何らかの犯罪で有罪宣告を受けている<ref>{{cite web
| url =http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2010/11/post-1802.php
| title =いじめ加害者をどう罰するべきか
| publisher = ニューズウィーク日本語版 10月20日号
| accessdate = 2010年11月16日
}}</ref>。

スポーツ界でも深刻な問題となっており、日本などと同様、厳しい上下関係がある。その中では、暴力や恐喝も頻繁に発生している、しかし、理不尽な暴力に耐えることが男らしい振る舞いであるという考え方があるため、発覚するのは稀となっている<ref>{{cite news |title=米プロスポーツ界で表面化した「いじめ問題」。自由でおおらかは勘違い? |newspaper=[[SPA!]]|date=2013-11-23|url=http://nikkan-spa.jp/542938 | accessdate=2014-3-4}}</ref>。


歌手の[[レディー・ガガ]]は、[[同性愛]]を理由にいじめを受けた末に自殺した14歳のファンについて触れ、「いじめは撲滅すべき」と訴えた<ref>{{cite web
歌手の[[レディー・ガガ]]は、[[同性愛]]を理由にいじめを受けた末に自殺した14歳のファンについて触れ、「いじめは撲滅すべき」と訴えた<ref>{{cite web
257行目: 182行目:
| accessdate = 2011年9月24日}}</ref>。彼女自身、14歳ごろにゴミ箱に放り込まれたり、廊下で吊るし上げられるなどの激しいいじめを受けていたことを告白している。
| accessdate = 2011年9月24日}}</ref>。彼女自身、14歳ごろにゴミ箱に放り込まれたり、廊下で吊るし上げられるなどの激しいいじめを受けていたことを告白している。


2012年5月[[ワシントンポスト]]は、[[2012年アメリカ合衆国大統領選挙]]候補者の[[ミット・ロムニー]]が、高校時代に同性愛者と目されていた長髪の男子生徒を仲間たち共々押さえつけ、髪を切るいじめを行ったと報じた。ロムニーは問題の行為については「覚えていない」等と発言したが、「高校時代には、ばか騒ぎや悪ふざけをたくさんした。中には行き過ぎたものもあったかもしれない」とコメントした。
2012年5月[[ワシントンポスト]]は、[[2012年アメリカ合衆国大統領選挙]]候補者の[[ミット・ロムニー]]が、高校時代に[[同性愛]]者と目されていた長髪の男子生徒を仲間たち共々押さえつけ、髪を切るいじめを行ったと報じた。ロムニーは問題の行為については「覚えていない」等と発言したが、「高校時代には、ばか騒ぎや悪ふざけをたくさんした。中には行き過ぎたものもあったかもしれない」とコメントした。


13名の人間が殺害された[[コロンバイン高校銃乱射事件]]では、犯人たちの高校は日常的にいじめが行われており、それが原因で事件を引き起こしたと考えられている。


[[アジア系]]に対するいじめは酷く、10代のアジア系のうち、半数以上が学校でいじめられた経験があると回答。これに対して[[黒人]]や[[ヒスパニック]]、では1/3程度である。[[フィラデルフィア]]の学校では2009年にアジア系の生徒に対する集団暴行事件が発生、被害者は1日で26人に上り、うち13人が重傷を負って集中治療室で手当てを受けた。この学校では、アジア系生徒が身の安全が確保されるまで登校を拒否するストライキに発展した。アジア系は、他人種に比較して、うつや自殺の割合が突出してる<ref>{{cite web
[[アジア系]]に対するいじめは酷く、10代のアジア系のうち、半数以上が学校でいじめられた経験があると回答。これに対して[[黒人]]や[[ヒスパニック]]、では1/3程度である。[[フィラデルフィア]]の学校では2009年にアジア系の生徒に対する集団暴行事件が発生、被害者は1日で26人に上り、うち13人が重傷を負って集中治療室で手当てを受けた。この学校では、アジア系生徒が身の安全が確保されるまで登校を拒否するストライキに発展した。アジア系は、他人種に比較して、うつや自殺の割合が突出してる<ref>{{cite web
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| publisher = [[CNN]]
| publisher = [[CNN]]
| accessdate = 2012年1月18日
| accessdate = 2012年1月18日
}}</ref>。2009年の[[アメリカ合衆国司法省|司法省]]と教育省の調査によると、31%の白人、34%のヒスパニック、38%のアフリカ系が「学校でいじめを受けたことがある」と答えたのに対して、アジア系学生の場合は54%に達するという結果が出た<ref>{{Cite news
}}</ref>。

2009年、アメリカの[[アメリカ合衆国司法省|司法省]]と教育省が10代の学生を調査した統計によると、31%の白人、34%のヒスパニック、38%のアフリカ系が「学校でいじめを受けたことがある」と答えたのに対して、アジア系学生の場合は54%に達するという結果が出た<ref>{{Cite news
| url = http://sankei.jp.msn.com/world/news/120221/amr12022119030004-n1.htm
| url = http://sankei.jp.msn.com/world/news/120221/amr12022119030004-n1.htm
| title = 「台湾の誇り」に差別的表現、人権団体が非難 NBAの新星
| title = 「台湾の誇り」に差別的表現、人権団体が非難 NBAの新星
| newspaper = 産経新聞
| newspaper = 産経新聞
| date = 2012-2-21
| date = 2012-2-21
}}</ref>。2011年10月には、[[アフガニスタン]]に派遣された19歳の[[中国系アメリカ人]]の米兵が、同僚の白人兵士に執拗ないじめを受けて銃で自殺、アジア系へのいじめの問題が浮き彫りになっている。この事件では、職務怠慢、虚偽報告、虐待や過失致死などの罪名で兵士8名が訴追された<ref>{{cite web
}}</ref>。

2011年10月には、[[アフガニスタン]]に派遣された19歳の[[中国系アメリカ人|中国系]]の米兵が、同僚の白人兵士に執拗ないじめを受けて銃で自殺、アジア系へのいじめの問題が浮き彫りになっている。この事件では、職務怠慢、虚偽報告、虐待や過失致死などの罪名で兵士8名が訴追された<ref>{{cite web
| url =http://www.cnn.co.jp/usa/30005050.html
| url =http://www.cnn.co.jp/usa/30005050.html
| title =自殺した中国系兵士へのいじめで上官ら8人訴追、米陸軍
| title =自殺した中国系兵士へのいじめで上官ら8人訴追、米陸軍
| publisher = CNN
| publisher = CNN
| accessdate = 2012年1月16日
| accessdate = 2012年1月16日
}}</ref>。[[オイコス大学銃乱射事件]]でも、[[韓国系アメリカ人]]だった加害者はいじめを受けており、それが動機の一つになったという供述がある<ref>{{cite news |title=米キリスト教系大学銃乱射事件、韓国系の男を殺人罪などで起訴 |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2012-4-5 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/2869581 |accessdate=2014-2-16}}</ref>。
}}</ref>。



2011年、[[CNN]]がいじめ対策の特別番組で、中途脱落者が1人もおらず99%が大学に進学する[[ロングアイランド]]の名門校ウィートリスクールの生徒700人を対象に調査したところ、42%が学校のクラスメートをいじめたことがあり、31%はいじめを経験したと答えた。また、77%は友だちがいじめられていることを知っていながらも防ごうとせず、周りにも知らせず見て見ぬ振りをしたと答えた。2011年時点で、アメリカは47州でいじめ禁止法が成立しており、近年はそれがさらに強化されつつある<ref>{{cite web
2011年、[[CNN]]がいじめ対策の特別番組で、中途脱落者が1人もおらず99%が大学に進学する[[ロングアイランド]]の名門校ウィートリスクールの生徒700人を対象に調査したところ、42%が学校のクラスメートをいじめたことがあり、31%はいじめを経験したと答えた。また、77%は友だちがいじめられていることを知っていながらも防ごうとせず、周りにも知らせず見て見ぬ振りをしたと答えた<ref name=donga>{{cite web
| url =http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2012010544068
| url =http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2012010544068
| title =米国も「校内いじめ」が深刻化、被害者女子高生がバスに飛び込み自殺
| title =米国も「校内いじめ」が深刻化、被害者女子高生がバスに飛び込み自殺
| publisher = 民団新聞
| publisher = 東亜日報
| accessdate = 2012年1月5日
| accessdate = 2012年1月5日
}}</ref>。
}}</ref>。


2012年9月、ミシガン州のオゲマウハイツ高校において、高校入学以降クラスメイトに執拗ないじめを受けていた[[ホイットニー・クロップ]]のための救済運動が行われた[http://www.ntv.co.jp/gyoten/oa/130109/08.html]。ホイットニーは9月に行われるホームカミング(フットボールの他校試合にあわせて行われるフェスティバル)のクラス女子代表(ホームカミング・プリンセス)に選ばれたが、実際には地味で目立たない印象の彼女を表舞台に出し、笑いものにしようとするいじめであった。フェイスブックのホームページが中傷で埋め尽くされるなどし、傷ついた彼女は部屋に引きこもってしまったが、「サポート・ホイットニー・クロップ」なるページがフェイスブックに立ち上げられ、全米から応援のメッセージが書き込まれ、自宅にも花や励ましの手紙が届くなどした。これに励まされたホイットニーは勇気を出して登校。いじめっ子たちの謝罪を受け入れた。9月28日のホームカミング当日には、父親のエスコートでオレンジのドレスで登場。1000人以上の支持者から暖かい拍手を受け、その様子は当日取材に来ていたマスコミにより報道された。その後、10月は「いじめ防止月間」に指定されたのに合わせて、ホイットニー本人がトーク番組『ケイティ』に出演したことを機に、[[リンジー・ローハン]]が[[ツイッター]]上で高校時代にいじめられた過去を告白した<ref>{{cite web
2012年9月、ミシガン州のオゲマウハイツ高校において、高校入学以降クラスメイトに執拗ないじめを受けていた[[ホイットニー・クロップ]]のための救済運動が行われた[http://www.ntv.co.jp/gyoten/oa/130109/08.html]。ホイットニーは9月に行われるホームカミング(フットボールの他校試合にあわせて行われるフェスティバル)のクラス女子代表(ホームカミング・プリンセス)に選ばれたが、実際には地味で目立たない印象の彼女を表舞台に出し、笑いものにしようとするいじめであった。[[フェイスブック]]のホームページが中傷で埋め尽くされるなどし、傷ついた彼女は部屋に引きこもってしまったが、「サポート・ホイットニー・クロップ」なるページがフェイスブックに立ち上げられ、全米から応援のメッセージが書き込まれ、自宅にも花や励ましの手紙が届くなどした。これに励まされたホイットニーは勇気を出して登校。いじめっ子たちの謝罪を受け入れた。9月28日のホームカミング当日には、父親のエスコートでオレンジのドレスで登場。1000人以上の支持者から暖かい拍手を受け、その様子は当日取材に来ていたマスコミにより報道された。その後、10月は「いじめ防止月間」に指定されたのに合わせて、ホイットニー本人がトーク番組『ケイティ』に出演したことを機に、[[リンジー・ローハン]]が[[ツイッター]]上で高校時代にいじめられた過去を告白した<ref>{{cite web
| url =http://www.fabloid.jp/2012/10/04/lindsay-lohan-bullied-tweets-bullied-high-school/
| url =http://www.fabloid.jp/2012/10/04/lindsay-lohan-bullied-tweets-bullied-high-school/
| title =リンジー・ローハン、トーク番組に涙...高校時代いじめられた過去をツイート告白
| title =リンジー・ローハン、トーク番組に涙...高校時代いじめられた過去をツイート告白
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| date = 2012-2-28
| date = 2012-2-28
| accessdate = 2012-3-4
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}}</ref>。
}}</ref>。[[オイコス大学銃乱射事件]]でも、加害者はいじめを受けており、それが動機の一つになったという供述がある<ref>{{cite news |title=米キリスト教系大学銃乱射事件、韓国系の男を殺人罪などで起訴 |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2012-4-5 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/2869581 |accessdate=2014-2-16}}</ref>。


2013年9月、米南部ルイジアナ州に住む高校生の少年が、[[スマートフォン]]のアプリで同級生を射­殺するまねごとをしていたとして逮捕されている[http://www.youtube.com/watch?v=6YLPIcQ1OwI]。現地報道によると、少年はいじめを受けており、そのストレスのはけ口としてスマートフォンのアプリを使い、同級生を銃撃の対象にして発散し、アプリの映像を動画サイトに投稿したため、同級生たちの保護者が発見。それが問題となり、少年は学校運営の妨害容疑などで逮捕され、少年拘置所送りとなった。
2013年9月、米南部ルイジアナ州に住む高校生の少年が、[[スマートフォン]]のアプリで同級生を射­殺するまねごとをしていたとして逮捕されている[http://www.youtube.com/watch?v=6YLPIcQ1OwI]。現地報道によると、少年はいじめを受けており、そのストレスのはけ口としてスマートフォンのアプリを使い、同級生を銃撃の対象にして発散し、アプリの映像を動画サイトに投稿したため、同級生たちの保護者が発見。それが問題となり、少年は学校運営の妨害容疑などで逮捕され、少年拘置所送りとなった。

スポーツ界でも深刻な問題となっており、日本などと同様、厳しい上下関係がある。その中では、暴力や恐喝も頻繁に発生している、しかし、理不尽な暴力に耐えることが男らしい振る舞いであるという考え方があるため、発覚するのは稀となっている<ref>{{cite news |title=米プロスポーツ界で表面化した「いじめ問題」。自由でおおらかは勘違い? |newspaper=[[SPA!]]|date=2013-11-23|url=http://nikkan-spa.jp/542938 | accessdate=2014-3-4}}</ref>。


=== カナダ ===
=== カナダ ===
近年のカナダでは、ネットいじめが深刻化している。カナダは、インターネットの利用時間が1ヶ月40時間と、日本の2倍以上の水準であり、世界で最もインターネットを利用する国と言われており、それがネットいじめに拍車をかけていると言われる。若者の60%以上が「ネットいじめを受けたことがある」と答えたカナダの民間団体の回答もある。
2007年に高校生2人から始まったいじめ反対運動「[[ピンクシャツデー]]」がカナダ全土に定着、2010年時点で75ヵ国が参加している<ref>{{cite web
| url =http://vancouver.keizai.biz/headline/176/
| title =ピンクの服を着て「いじめをなくそう」-男子学生2人の行動が全国へ
| publisher = バンクーバー経済新聞(日本語版) 2008年03月01日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>
<ref>{{cite web
| url =http://vancouver.keizai.biz/headline/491/
| title =2月25日は「いじめ反対の日」-ピンクのシャツを着て防止呼び掛け
| publisher = バンクーバー経済新聞(日本語版) 2009年02月25日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>
<ref>{{cite web
| url =http://vancouver.keizai.biz/headline/931/
| title =いじめ反対「ピンク・シャツ・デー」-五輪期間避け4月14日に開催
| publisher = バンクーバー経済新聞(日本語版) 2010年04月14日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>
<ref>{{cite web
| url =http://vancouver.keizai.biz/headline/1183/
| title =2月23日は「ピンクシャツ・デー」-いじめ防止を学校や職場で呼びかけ
| publisher = バンクーバー経済新聞(日本語版) 2011年02月24日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>
<ref>{{cite web
| url =http://vancouver.keizai.biz/headline/1443/
| title =リッチモンドで小学生ら500人以上がフラッシュモブ-「ピンクシャツ・デー」認知狙う
| publisher = バンクーバー経済新聞(日本語版) 2012年02月29日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>。

2007年、カナダ・ノーバ・スコシア州の学校で、9年生(中学3年生)の男子学生がピンクのポロシャツを着て登校し、いじめられる。それを知った12年生(高校3年生)男子2人がその日の内に50枚のピンクのシャツ等を購入、メールや掲示板で友人知人等に呼びかける。翌朝、2人は50着を呼びかけた人に配って着てもらうが、この日に呼びかけ以上の学生がピンクの服で登校、学校がピンクに染まりいじめがなくなる。以降、毎年2月最終水曜が学校や職場にピンクを身につけて行くピンクシャツデーとしてカナダ全土に定着、アメリカイギリスなど世界各国へ広まっている。

日本では、自身の過酷な被害体験・克服体験の作品化で中高生の支持を集めて小説家となった[[中園直樹]]が普及<ref>{{cite web
| url =http://jiyugaoka.keizai.biz/headline/861/
| title =等々力で「いじめ」「学校」がテーマの朗読会-ピンクシャツ・デーにちなみ
| publisher = 自由が経経済新聞 2012年02月27日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>、田中の公式HPに情報が集められている。


のカナダで、ネッいじめ深刻化しているカナダは、インターネットの利用時間が1ヶ月40時間と日本の2倍以上の水準であ、世界で最もインターネットを利用する国言われおり、それがネットいじめに拍車ていると言われる。若者の60%以上が「ネットいじめを受けことがる」答えたカナダの民間団体の回答もある。2013年には、4人の男子生徒らに集団強姦され、その時の写真メールでばらまかれそれが原因でいじめを受けていた少女が自殺した<ref>{{cite news |title=カナダ 深刻化するネットいじめ |newspaper=[[日本放送協会|NHK]] |date=2013-12-12|url=http://www.nhk.or.jp/worldwave/marugoto/2013/12/1210.html|accessdate=2014-3-8 }}</ref>。この少女は[[王立カナダ騎馬警察|警察]]にも訴えたが「[[携帯電話]]やネット上で写真をばらまく行為については取り締まれない」として[[捜査]]はされず、[[幼馴染]]の[[親友]]にも裏切られ、絶望して自殺したとされる。少女の友人は誰一人、少女の味方にはならなかったとされる<ref>{{cite news |title=ネットいじめ自殺 17歳の少女に何が |newspaper=[[NHK海外ネットワーク]] |date=2013-11-17|url=http://www.nhk.or.jp/worldnet/archives/year/detail20131117_402.html |accessdate=2014-4-6}}</ref>。
201210月10日に{{仮リンク|アマンダ・ッドの自殺|en|Suicide of Amanda Todd}}あったアマンダは、裸の写真をインターネットにばらまかれ転校を繰返して、決して消えないインターネット上の画像が原因なっ転校先でもいじめを受け続たため、[[YouTube]]でいじめの事実告白したあと自殺し。これらの事件は、カナダで衝撃与え、いじめに関する国民的議論呼び起こす事となった<ref>{{cite news |title=動画でネットいじめ告白し自殺、15歳少女めぐり国民的議論 カナダ |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2012-10-19|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2907905 |accessdate=2014-3-8|author= }}</ref><ref>{{cite news |title=カナダ人少女がユーチューブでいじめ告白、自殺 |newspaper=[[CNN]] |date=2012-10-13|url=http://www.cnn.co.jp/world/35023021.html |accessdate=2014-3-8 }}</ref>。


また、201210月10日には{{仮リンク|アマンダ・トッド自殺|en|Suicide of Amanda Todd}}があった。アマンダはの写真をインタネットにばらまかれ、転校を繰り返しても、決して消えないインターネット上の画像が原因となって転校先いじめを受け続けたため、[[YouTube]]でじめの事実を告白しあと自殺した。これらの事件は、カナダで衝撃を与え、いじめに関する国民的議論を呼び起こす事となった<ref>{{cite news |title=動画でネットいじめ告白し自殺、15歳少女めぐり国民的議論 カナダ |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2012-10-19|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2907905 |accessdate=2014-3-8|author= }}</ref><ref>{{cite news |title=カナダ人少女がユーチューブでいじめ告白、自殺 |newspaper=[[CNN]] |date=2012-10-13|url=http://www.cnn.co.jp/world/35023021.html |accessdate=2014-3-8 }}</ref>。
2013年には、4人男子生徒らに集団強姦されその時の写真をルでばらまかれ、それが原因でいじめを受けいた少女が自殺した<ref>{{cite news |title=カナダ 深刻化するネットいじめ |newspaper=[[日本放送協会|NHK]] |date=2013-12-12|url=http://www.nhk.or.jp/worldwave/marugoto/2013/12/1210.html|accessdate=2014-3-8 }}</ref>。この少女は[[王立カナダ騎馬警察|警察]]にも訴えたが「[[携帯電話]]やネット上で写真をばらまく行為については取り締まれない」として[[捜査]]はされず、[[幼馴染]]の[[親友]]にも裏切られ、絶望して自殺したとされる。少女の友人は誰一人、少女の味方にはならなかったとされる<ref>{{cite news |title=ネットいじめ自殺 17歳の少女に何が |newspaper=[[NHK海外ネットワーク]] |date=2013-11-17|url=http://www.nhk.or.jp/worldnet/archives/year/detail20131117_402.html |accessdate=2014-4-6}}</ref>。


=== イギリス ===
=== イギリス ===
[[イギリス]]の[[英国放送協会|BBC]]調査によると、生徒の7割の人間が何らかのいじめ被害に遭っている<ref>[http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/education/6114510.stm 'Seven in 10' bullied at school] - BBC NEWS 2006年11月6日</ref>。
[[イギリス]]の学校でのいじめの状況は、[[ヨーロッパ]]最悪の水準と言われる。[[2006年]]の[[英国放送協会|BBC]]調査では、生徒の7割の人間が何らかのいじめ被害に遭っている<ref>[http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/education/6114510.stm 'Seven in 10' bullied at school] - BBC NEWS 2006年11月6日</ref>。2008年に[[ガーディアン]]紙は、中等学校の生徒の約半数(46%)の生徒が何らかのいじめに遭っていると報じ、[[イングランド]]では48%、[[スコットランド]]は43%、[[ウェールズ]]は32%が被害にあっている<ref>{{cite news |title=UK schools worst in Europe for bullying |newspaper=[[ガーディアン|The Guardian]] |date=2008-2-29|url=http://www.theguardian.com/education/2008/feb/29/schools.uk4 |language=[[英語]]| accessdate=2014-2-15|author=Anthea Lipsett}}</ref>。


ちなみにイギリス労働組合会議(TUC)の調査によると、350万人の労働者が職場いじめを受けていると答え、その割合は労働者全体の14%に達する。また、専門性の高さに比例する傾向が見られた<ref>[http://www.tuc.org.uk/mediacentre/tuc-15295-f0.cfm Three and a half million bullied in job] - Trades Union Congress 2008年9月4日</ref>。
また、350万人の労働者が[[職場いじめ]]を受けていると答え、その割合は労働者全体の14%に達する。また、専門性の高さに比例する傾向が見られた<ref>イギリス労働組合会議(TUC)の調査。[http://www.tuc.org.uk/mediacentre/tuc-15295-f0.cfm Three and a half million bullied in job] - Trades Union Congress 2008年9月4日</ref>。

イギリスでは、いじめやその他の問題を把握するため、校内に[[監視カメラ]]を設置する学校もある。監視カメラを設置している学校は9割に上り、保護者の中には、トイレや更衣室への設置も容認する団体もある<ref>{{cite news |title=学校内に防犯カメラ4万7000台、生徒のプライバシーに懸念 英国 |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2012-9-18|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2901673|accessdate=2014-2-15}}</ref>。

イギリスのいじめの状況は、[[ヨーロッパ]]最悪の水準と言われる。2008年、イギリスの新聞[[ガーディアン]]は、イギリスの中等学校の生徒の約半数(46%)の生徒が何らかのいじめに遭っているという調査を報じた。特に[[イングランド]]が酷く、48%が被害にあっている。[[スコットランド]]は43%、[[ウェールズ]]は32%となっている<ref>{{cite news |title=UK schools worst in Europe for bullying |newspaper=[[ガーディアン|The Guardian]] |date=2008-2-29|url=http://www.theguardian.com/education/2008/feb/29/schools.uk4 |language=[[英語]]| accessdate=2014-2-15|author=Anthea Lipsett}}</ref>。

他国の例に漏れず、イギリスでも[[インターネット]]環境の発達とともに[[ネットいじめ]]が増加している。インターネットでのいじめを防ぐため、2014年現在、イギリスの1000を超える学校では、いじめに繋がる[[スラング]]や暴力的発言を監視するソフトウェアを導入している<ref>{{cite news |title=Schools monitoring online bullying with slang translation software |newspaper=[[ガーディアン|The Guardian]] |date=2014-1-25|url=http://www.theguardian.com/education/2014/jan/25/schools-monitoring-online-bullying-student-slang-translation-software | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref>。


[[イギリス軍]]内では、近年、部隊内でのいじめが増加・深刻化しているとされる。死の危険を感じるほどの深刻ないじめによって、5回の自殺未遂の末、[[精神障害]]や[[吃音症]]に追い込まれた元兵士が、[[国防省 (イギリス)|イギリス国防省]]を提訴する事例もある。強姦での[[セクシャルハラスメント|セクハラ]]は日常茶飯事であり、女性兵士が[[強姦]]され、自殺した疑いのあるケースも多数報告されている<ref>{{cite news |title=Ex-soldier sues Ministry of Defence for alleged failure to tackle bullying |newspaper=[[ガーディアン|The Guardian]] |date=2014-2-8|url=http://www.theguardian.com/uk-news/2014/feb/08/soldier-sues-ministry-defence-bullying-army | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref><ref>{{cite news |title=Bullying on rise in armed forces, MoD figures reveal |newspaper=[[ガーディアン|The Guardian]] |date=2014-2-1|url=http://www.theguardian.com/uk-news/2014/feb/01/bullying-on-rise-armed-forces | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref><ref>{{cite news |title=Independent watchdog to tackle abuse and bullying within armed forces |newspaper=[[ガーディアン|The Guardian]] |date=2014-3-13|url=http://www.theguardian.com/uk-news/2014/mar/13/independent-watchdog-abuse-bullying-armed-forces | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref>。
[[イギリス軍]]内では、近年、部隊内でのいじめが増加・深刻化しているとされる。死の危険を感じるほどの深刻ないじめによって、5回の自殺未遂の末、[[精神障害]]や[[吃音症]]に追い込まれた元兵士が、[[国防省 (イギリス)|イギリス国防省]]を提訴する事例もある。強姦での[[セクシャルハラスメント|セクハラ]]は日常茶飯事であり、女性兵士が[[強姦]]され、自殺した疑いのあるケースも多数報告されている<ref>{{cite news |title=Ex-soldier sues Ministry of Defence for alleged failure to tackle bullying |newspaper=[[ガーディアン|The Guardian]] |date=2014-2-8|url=http://www.theguardian.com/uk-news/2014/feb/08/soldier-sues-ministry-defence-bullying-army | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref><ref>{{cite news |title=Bullying on rise in armed forces, MoD figures reveal |newspaper=[[ガーディアン|The Guardian]] |date=2014-2-1|url=http://www.theguardian.com/uk-news/2014/feb/01/bullying-on-rise-armed-forces | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref><ref>{{cite news |title=Independent watchdog to tackle abuse and bullying within armed forces |newspaper=[[ガーディアン|The Guardian]] |date=2014-3-13|url=http://www.theguardian.com/uk-news/2014/mar/13/independent-watchdog-abuse-bullying-armed-forces | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref>。
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アジア系に対するいじめもあり、特に、中国語がドイツ人にはそのように聞こえるために「チン・チャン・チョン」と呼んで、アジア系児童を囃し立てるのは、ドイツの学校では定番であり、ドイツに住むアジア系の児童は、必ず経験するほど広まっているとされる。これは、ドイツ以外のヨーロッパ諸国でも同じである<ref>{{cite news |title=日独ハーフの視点 33 ハーフがあうイジメ「チン・チャン・チョン問題」 |newspaper=YG IN JAPAN |publisher =株式会社クララオンライン |url=http://www.young-germany.jp/article_667 | accessdate=2014-3-21| author=サンドラ・ヘフェリン}}</ref>。
アジア系に対するいじめもあり、特に、中国語がドイツ人にはそのように聞こえるために「チン・チャン・チョン」と呼んで、アジア系児童を囃し立てるのは、ドイツの学校では定番であり、ドイツに住むアジア系の児童は、必ず経験するほど広まっているとされる。これは、ドイツ以外のヨーロッパ諸国でも同じである<ref>{{cite news |title=日独ハーフの視点 33 ハーフがあうイジメ「チン・チャン・チョン問題」 |newspaper=YG IN JAPAN |publisher =株式会社クララオンライン |url=http://www.young-germany.jp/article_667 | accessdate=2014-3-21| author=サンドラ・ヘフェリン}}</ref>。

=== スウェーデン ===
[[スウェーデン]]では、教育法で、学校にいじめ対策の立案が義務化されている。


=== オーストラリア ===
=== オーストラリア ===
[[国際教育到達度評価学会]]で参加40か国から集めたデータをまとめたところ、[[オーストラリア]]では生徒の25%以上がイジメを体験しており、[[クエート]]、[[カタール]]、[[台湾]]、[[ニュージーランド]]に次いで、いじめの発生率が高く、世界最悪の水準と評価された<ref>[http://nichigopress.jp/ausnews/world/8368/ 豪小学校のイジメ、世界でも最悪水準] - NICHIGO ONLINE 2008年12月14日</ref>。[[南オーストラリア大学]]の研究によると、オーストラリアの児童の15から30パーセントは学校でのいじめを受けているとされ、[[ディーキン大学]]の調査では児童の4分の3は何らかのいじめに従事していたとされる。また、[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]、特に[[Facebook]]を利用しての[[ネットいじめ]]も増加している。児童の中には、性的ないじめや、[[ナチズム]]に傾倒した言動も見られる<ref>{{cite news |title=Study highlights bullying in schools |newspaper=[[オーストラリアン|The Australian]] |date=2012-3-30|url=http://www.theaustralian.com.au/news/latest-news/study-highlights-bullying-in-schools/story-fn3dxity-1226373757189 | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref><ref>{{cite news |title=Sexual abuse, gore, racism, bullying rampant on Australian school Facebook pages |newspaper=[[オーストラリアン|The Australian]] |date=2012-3-30|url=http://www.theaustralian.com.au/news/sexual-abuse-gore-racism-bullying-rampant-on-australian-school-facebook-pages/story-e6frg6n6-1226514669372 | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21 | author = Petra Starke| author2 =Jessica Marszalek}}</ref>。オーストラリアの教育現場では、教師間でのいじめも深刻であり、[[ニューイングランド大学 (オーストラリア)|ニューイングランド大学]]の研究者によると、教師の99.6パーセントは、職場で何らかのいじめや嫌がらせ、差別を受けた経験を持つという<ref>{{cite news |title=Bullying rife in teacher staff rooms school yards |newspaper=[[オーストラリアン|The Australian]] |date=2009-9-15|url=http://www.theaustralian.com.au/news/bullying-rife-in-teacher-staff-rooms-school-yards/story-e6frg6n6-1225773102012 | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21 | author = Bruce McDougall}}</ref>。オーストラリアの保護者の多くは、学校や教師がいじめに対処する能力を不安視している<ref>{{cite news |title=Bullying rife in Australian schools |newspaper=[[オーストラリアン|The Australian]] |date=2009-6-1 |url=http://www.theaustralian.com.au/news/latest-news/bullying-rife-in-australian-schools/story-fn3dxity-1225719080789 | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref>。
[[国際教育到達度評価学会]]で参加40か国から集めたデータをまとめたところ、[[オーストラリア]]では生徒の25%以上がイジメを体験しており、[[クエート]]、[[カタール]]、[[台湾]]、[[ニュージーランド]]に次いで、いじめの発生率が高く、世界最悪の水準と評価された<ref>[http://nichigopress.jp/ausnews/world/8368/ 豪小学校のイジメ、世界でも最悪水準] - NICHIGO ONLINE 2008年12月14日</ref>。


オーストラリアでは、2012年の[[ロンドンオリンピック (2012年)|ロンドンオリンピック]]に参加した選手の間でもいじめがあったとされる<ref>{{cite news |title=オーストラリア五輪選手に新規制、「酩酊したらダメ」|newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2013-11-19|url=http://www.afpbb.com/articles/-/3003538|accessdate=2014-3-8|author= }}</ref>。
2012年の[[ロンドンオリンピック (2012年)|ロンドンオリンピック]]に参加したオーストラリア選手の間でもいじめがあったとされる<ref>{{cite news |title=オーストラリア五輪選手に新規制、「酩酊したらダメ」|newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2013-11-19|url=http://www.afpbb.com/articles/-/3003538|accessdate=2014-3-8|author= }}</ref>。

[[南オーストラリア大学]]の研究によると、オーストラリアの児童の15から30パーセントは学校でのいじめを受けているとされ、[[ディーキン大学]]の調査では児童の4分の3は何らかのいじめに従事していたとされる。また、[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]、特に[[Facebook]]を利用しての[[ネットいじめ]]も増加している。児童の中には、性的ないじめや、[[ナチズム]]に傾倒した言動も見られる<ref>{{cite news |title=Study highlights bullying in schools |newspaper=[[オーストラリアン|The Australian]] |date=2012-3-30|url=http://www.theaustralian.com.au/news/latest-news/study-highlights-bullying-in-schools/story-fn3dxity-1226373757189 | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref><ref>{{cite news |title=Sexual abuse, gore, racism, bullying rampant on Australian school Facebook pages |newspaper=[[オーストラリアン|The Australian]] |date=2012-3-30|url=http://www.theaustralian.com.au/news/sexual-abuse-gore-racism-bullying-rampant-on-australian-school-facebook-pages/story-e6frg6n6-1226514669372 | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21 | author = Petra Starke| author2 =Jessica Marszalek}}</ref>。オーストラリアの教育現場では、教師間でのいじめも深刻であり、[[ニューイングランド大学 (オーストラリア)|ニューイングランド大学]]の研究者によると、教師の99.6パーセントは、職場で何らかのいじめや嫌がらせ、差別を受けた経験を持つという<ref>{{cite news |title=Bullying rife in teacher staff rooms school yards |newspaper=[[オーストラリアン|The Australian]] |date=2009-9-15|url=http://www.theaustralian.com.au/news/bullying-rife-in-teacher-staff-rooms-school-yards/story-e6frg6n6-1225773102012 | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21 | author = Bruce McDougall}}</ref>。オーストラリアの保護者の多くは、学校や教師がいじめに対処する能力を不安視している<ref>{{cite news |title=Bullying rife in Australian schools |newspaper=[[オーストラリアン|The Australian]] |date=2009-6-1 |url=http://www.theaustralian.com.au/news/latest-news/bullying-rife-in-australian-schools/story-fn3dxity-1225719080789 | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref>。

=== オランダ ===
[[オランダ]]では、いじめは[[ペスト]]を語源とする「Pesten(ペステン)」と呼ばれる。オランダでは7歳からいじめが始まるが、特徴としてクラス全員がまとまって、いじめの対象をいじめることが多く、標的になった子供の99%は転校を余儀なくされる。なお、いじめの種類は「無視」が多い<ref>{{Cite web |url=http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=201093019453 |title=我が子がいじめられたら…オランダの場合 |publisher=カオル・フリードリヒス |accessdate=2010-10-14 }}</ref>。オランダの学校では、10人に1人がいじめの被害にあっているとされている。2005年には、オランダの9歳から11歳の子供の、6人に1人がいじめにあってるという調査もある<ref>{{cite news |title=6人にひとりがいじめにあっている |newspaper=Portfolio.nl|date=2005-6-28|url=http://www.portfolio.nl/article/show/583| accessdate=2014-3-8}}</ref>。オランダ教育省は、いじめ撲滅に取り組んでいるが、逆効果になる事例も報告されている。いじめを苦にした青少年の自殺や、いじめの被害者が耐えかねて加害者を殺害する事件も起こっている<ref>{{cite news |title=オランダ、学校でのいじめ問題取り組みを義務化 |newspaper=Portfolio.nl|date=2013-3-25|url=http://www.portfolio.nl/article/show/5213| accessdate=2014-2-15}}</ref><ref>{{cite news |title=アムステルダムの学校での少年刺殺事件は、いじめから
|newspaper=Portfolio.nl|date=2007-10-26|url=http://www.portfolio.nl/article/show/1742| accessdate=2014-2-15}}</ref>。

===ベルギー===
[[ベルギー]]は、[[フランス]]などと同様に、ヨーロッパで最も[[自殺]]率の高い国の1つであり<ref>{{cite news |title=自殺が増加 背景に失業率上昇 : ボンジュール!パリからの健康便り |newspaper=[[読売新聞]] |date=2013-9-26|url=http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=85309|accessdate=2014-2-15}}</ref>、特に[[オランダ語]]圏の[[フランドル]]地方はヨーロッパで最も自殺が多く、10人に1人が自殺しようと思ったことがあるという調査もある。自殺の理由は、いじめも含まれている<ref>{{cite news |title=ベルギー、2人のティーンエージャーが学校で自殺|newspaper=ポートフォリオ・ベルギーニュース|date=2008-5-24|url=http://www.portfolio.nl/article/show/2095 | accessdate=2014-2-15}}</ref>。また、ベルギーの社会人は、8人に1人が職場でいじめの被害にあっており、特に上司からのいじめが多いとされる<ref>{{cite news |title=ベルギー、8人に1人が職場でのいじめに|newspaper=ポートフォリオ・ベルギーニュース|date=2010-11-24|url=http://www.portfolio.nl/article/show/3863 | accessdate=2014-2-15}}</ref>。また、2013年、[[国際連合児童基金|国連児童基金]](ユニセフ)と、日本の[[国立社会保障・人口問題研究所]]が行った「先進国における子どもの幸福度」という調査によると、「過去数か月に学校で1回以上いじめられたと答えた11歳、13歳、15歳の子どもの割合」でベルギーは37.7%であり、30カ国中24位であった<ref name="unicef_labo_rc11ja" /><ref>{{cite web|title=大使のよもやま話第42回 子供の幸福度で日本は6位、ベルギーは10位|publisher=在ベルギー日本大使館 |date=2014-2-3|url=http://www.be.emb-japan.go.jp/japanese/archives_j/yomoyama_042.html | accessdate=2014-3-8}}</ref>。


=== ニュージーランド ===
=== ニュージーランド ===
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}}</ref>。
}}</ref>。


ニュージーランドでは、アジア系移民を標的にした人種差別によるいじめも多発している<ref>[http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200304070050321 NZの学校で「いじめ」受けるアジア系生徒] - 日刊ベリタ 2003年4月7日</ref>。
ニュージーランドでは、アジア系移民を標的にした[[人種差別]]によるいじめも多発している<ref>[http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200304070050321 NZの学校で「いじめ」受けるアジア系生徒] - 日刊ベリタ 2003年4月7日</ref>。2009年、[[日系ニュージーランド人]]の14歳の少年が「[[捕鯨問題|クジラ喰い]]」と因縁をつけられ、集団で抱え上げて地面に落とすなどの暴行を加えられ、脳障害を伴う重傷を負った事件が発生した<ref>[http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=10582613 Schoolboy avoids death after assault - National -] NZ Herald News 2009年7月5日</ref>。


=== オランダ ===
2009年、[[日系ニュージーランド人]]の14歳の少年が「[[捕鯨問題|クジラ喰い]]」と因縁をつけられ、集団で抱え上げて地面に落とすなどの暴行を加えられ、脳障害を伴う重傷を負った事件が発生した<ref>[http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=10582613 Schoolboy avoids death after assault - National -] NZ Herald News 2009年7月5日</ref>。
[[オランダ]]では、いじめは[[ペスト]]を語源とする「Pesten(ペステン)」と呼ばれる。オランダでは7歳からいじめが始まるが、特徴としてクラス全員がまとまって、いじめの対象をいじめることが多く、標的になった子供の99%は転校を余儀なくされる。なお、いじめの種類は「無視」が多い<ref>{{Cite web |url=http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=201093019453 |title=我が子がいじめられたら…オランダの場合 |publisher=カオル・フリードリヒス |accessdate=2010-10-14 }}</ref>。オランダの学校では、10人に1人がいじめの被害にあっているとされている。2005年には、オランダの9歳から11歳の子供の、6人に1人がいじめにあってるという調査もある<ref>{{cite news |title=6人にひとりがいじめにあっている |newspaper=Portfolio.nl|date=2005-6-28|url=http://www.portfolio.nl/article/show/583| accessdate=2014-3-8}}</ref>。オランダ教育省は、いじめ撲滅に取り組んでいるが、逆効果になる事例も報告されている。いじめを苦にした青少年の自殺や、いじめの被害者が耐えかねて加害者を殺害する事件も起こっている<ref>{{cite news |title=オランダ、学校でのいじめ問題取り組みを義務化 |newspaper=Portfolio.nl|date=2013-3-25|url=http://www.portfolio.nl/article/show/5213| accessdate=2014-2-15}}</ref><ref>{{cite news |title=アムステルダムの学校での少年刺殺事件は、いじめから
|newspaper=Portfolio.nl|date=2007-10-26|url=http://www.portfolio.nl/article/show/1742| accessdate=2014-2-15}}</ref>。

===ベルギー===
[[ベルギー]]は、[[フランス]]などと同様に、ヨーロッパで最も[[自殺]]率の高い国の1つであり<ref>{{cite news |title=自殺が増加 背景に失業率上昇 : ボンジュール!パリからの健康便り |newspaper=[[読売新聞]] |date=2013-9-26|url=http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=85309|accessdate=2014-2-15}}</ref>、特に[[オランダ語]]圏の[[フランドル]]地方はヨーロッパで最も自殺が多く、10人に1人が自殺しようと思ったことがあるという調査もある。自殺の理由は、いじめも含まれている<ref>{{cite news |title=ベルギー、2人のティーンエージャーが学校で自殺|newspaper=ポートフォリオ・ベルギーニュース|date=2008-5-24|url=http://www.portfolio.nl/article/show/2095 | accessdate=2014-2-15}}</ref>。

また、ベルギーの社会人は、8人に1人が[[職場いじめ|職場でいじめ]]の被害にあっており、特に上司からのいじめが多いとされる<ref>{{cite news |title=ベルギー、8人に1人が職場でのいじめに|newspaper=ポートフォリオ・ベルギーニュース|date=2010-11-24|url=http://www.portfolio.nl/article/show/3863 | accessdate=2014-2-15}}</ref>。

また、2013年、[[国際連合児童基金|国連児童基金]](ユニセフ)と、日本の[[国立社会保障・人口問題研究所]]が行った「先進国における子どもの幸福度」という調査によると、「過去数か月に学校で1回以上いじめられたと答えた11歳、13歳、15歳の子どもの割合」でベルギーは37.7%であり、30カ国中24位であった<ref name="unicef_labo_rc11ja" /><ref>{{cite web|title=大使のよもやま話第42回 子供の幸福度で日本は6位、ベルギーは10位|publisher=在ベルギー日本大使館 |date=2014-2-3|url=http://www.be.emb-japan.go.jp/japanese/archives_j/yomoyama_042.html | accessdate=2014-3-8}}</ref>。


=== フィンランド ===
=== フィンランド ===
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=== ロシア ===
=== ロシア ===
[[ロシア]]では、[[ロシア連邦軍]]でのいじめが大きな社会問題となっている。隊内で新兵に対するいじめ({{ru|ДеДoвщина}})が激しく、脱走の大きな原因となっている。公式には2002年前半期だけで2,265名の脱走者が出たとされるが、ロシア兵士の母の会ではその10倍としている。2005年の公式な数字ではいじめによる死者は16人とされ、自殺者が276人、事故死者が同じく276人とされた。ロシアではこの数字に疑問の声が出た<ref name="「新冷戦」の序曲か">木村汎、名越健朗、布施裕之共著『「新冷戦」の序曲か』北星堂書店、2008年12月16日初版第1刷発行 ISBN 9784590012452</ref>。2004年前半期のロシア兵の死者数は500人以上に達していた。
[[ロシア]]では、[[ロシア連邦軍]]でのいじめが大きな社会問題となっている。

隊内で新兵に対するいじめ({{ru|ДеДoвщина}})が激しく、脱走の大きな原因となっている。公式には2002年前半期だけで2,265名の脱走者が出たとされるが、ロシア兵士の母の会ではその10倍としている。2005年の公式な数字ではいじめによる死者は16人とされ、自殺者が276人、事故死者が同じく276人とされた。ロシアではこの数字に疑問の声が出た<ref name="「新冷戦」の序曲か">木村汎、名越健朗、布施裕之共著『「新冷戦」の序曲か』北星堂書店、2008年12月16日初版第1刷発行 ISBN 9784590012452</ref>。2004年前半期のロシア兵の死者数は500人以上に達していた。


=== フランス ===
=== フランス ===
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=== スペイン ===
=== スペイン ===
[[スペイン]]では、33.8%が言葉によるいじめを、4.1%が暴力被害を被っている。自殺者も出ている<ref>{{cite news |title=4%が学校でいじめ被害 |newspaper=spain-ya|date=2004-9-21|url=http://www.spain-ya.com/Pages/nt041004.htm|accessdate=2014-2-15}}</ref>。
[[スペイン]]では、33.8%が言葉によるいじめを、4.1%が暴力被害を被っている。自殺者も出ている<ref>{{cite news |title=4%が学校でいじめ被害 |newspaper=spain-ya|date=2004-9-21|url=http://www.spain-ya.com/Pages/nt041004.htm|accessdate=2014-2-15}}</ref>。

=== 韓国 ===
[[高麗]]や[[李氏朝鮮]]時代に新任官吏をいじめる[[免新礼]]という風習があり、現代の[[申告式]]([[:ko:신고식]])につながっているといわれる。また伝統的に、[[韓国の新郎いじめ|結婚式の後で新郎をいじめる風習]]もある。[[大韓民国|韓国]]では、当初、いじめは[[日本語]]の単語を輸入した「이지메(イジメ)」が主流であったが、現在では「激しい」と「爪弾き」を合成した単語「ワンタ」と呼ぶ<ref>[http://blogs.yahoo.co.jp/lifeartinstitute/26895421.html 日韓比較文化:日本のイジメ、韓国のワンタ] - [[河信基]]の深読み</ref>。

[[韓国軍]]内でもいじめ事件が多発している。 2005年に[[便所]]の水を流していない訓練兵らに立腹し、部隊の[[中隊]]長が[[人糞]]を指につけて食べるよう強制した[[韓国陸軍訓練所食糞事件]]や、[[大韓民国陸軍|陸軍]]でいじめを受けていた[[一等兵]]が銃を乱射し8人を殺害する[[漣川軍部隊銃乱射事件]]が発生した<ref>[http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-18/2011071806_01_1.html 韓国海兵隊の同僚射殺事件/いじめ体質 浮き彫り/6年前も銃乱射 「軍の悪習」指摘] - 赤旗 2011年7月8日</ref>。[[2011年]][[7月4日]]には[[上等兵]]が銃を乱射して兵を4人射殺する[[江華島海兵隊銃乱射事件]]が発生、動機は[[期数列外]]という部隊内のいじめが原因だとされる<ref>[http://sankei.jp.msn.com/world/news/110706/kor11070610440000-n1.htm 韓国海兵隊の銃乱射 いじめが原因か] 産経新聞 - 2011年7月6日</ref>。この事件が起こった同じ[[師団]]で前日の2011年7月3日、兵士が首を吊って自殺しており、いじめが原因なのか当局が捜査している<ref>[http://sankei.jp.msn.com/world/news/110708/kor11070807000000-n1.htm 海兵隊兵士が首つり自殺 乱射事件と同じ師団 韓国軍、いじめの有無調査] - 産経新聞 2011年7月8日</ref>。2014年にも、いじめが原因で陸軍で同僚の5人を射殺した[[江原道高城郡兵長銃乱射事件]]が起こった。

韓国の学校には[[一陣会]]という、いじめなどを行う生徒の団体があり、地域連合を結成し広域化している。[[卒業式]]では、卒業生の制服を切り裂く[[裸コンパ]]という風習がある。韓国の教育現場では[[脱北者]]に対するいじめも頻発し、脱北者の生徒は、罪人のように韓国学生たちの顔色をうかがい、戦々恐々とする日々を送っており、それに耐えかねて[[不登校]]に陥る例もある<ref>{{Cite news
| url = http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=040000&biid=2012030588678
| title = 死線を超えて辿りついた韓国、迎えたのは「蔑視」と「いじめ」
| newspaper = [[東亜日報]]
| date = 2012-3-5
}}</ref>。

2011年12月、[[大田女子高生自殺事件]]など、3人の中高生がいじめを苦に相次いで[[自殺]]した<ref>{{cite web
| url =http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120116/226160/
| title =韓国で2011年末、いじめを苦に中高生が連続自殺
| publisher = 日経ビジネスオンライン
| accessdate = 2012年1月16日
}}</ref>。2012年[[李明博]]大統領はいじめの総合対策を準備すると宣言した<ref>{{cite web
| url =http://www.mindan.org/shinbun/news_bk_view.php?page=1&subpage=3151&corner=4
| title =李明博大統領の新年国政演説(全文)
| publisher = 民団新聞
| accessdate = 2012年1月18日
}}</ref>。

韓国[[教育部 (大韓民国)|教育科学技術省]]が調査した結果では、通学年齢の生徒たちを対象に実施した調査では、7万7000人以上がいじめられた経験があり、このうち10%は自殺を考えたことがある<ref name=kankoku>{{cite news |title=韓国で「いじめ保険」発売へ |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-2-6|url=http://www.afpbb.com/articles/-/3007876|accessdate=2014-3-8|author= }}</ref>。

== 対策 ==
=== 積極的関与 ===
スイスの[[心理療法|心理療法士]]ヴァルター・ミンダーは、いじめは被害者の努力で解決することは稀であり、教師や親の積極的な関与が重要としている<ref name=swiss/>。また、教師・家族・友人らによる支援がストレッサー(ストレス原因)を軽減することも分かっており<ref name="tsuiseki" />、周囲の支援がいじめを抑止する効果がある。

[[内藤朝雄]]はいじめ対策として「[[学級]]制度の解体」や「[[警察]]の介入」を挙げた<ref>2007年刊の『〈いじめ学〉の時代』</ref>。

スウェーデンの研究者[[ダン・オルヴェウス]]はオルヴェウスいじめ防止プログラム(OBBP)を作った<ref>[http://olweusinternational.no/mitarbeiter/dan-olweus-de-DE/ Olweus program]</ref>。

=== いじめの発覚 ===
[[2007年|平成19年]]度[[文部科学省]]調査によれば、いじめが発見されたきっかけは、学校の教職員が発見したのが50.3%、本人や家族の訴えなど教職員以外がきっかけのものは49.7%であった<ref name="monbu20" />。

教職員が発見した方法としては「アンケート調査など学校の取組により発見」は(24.4%。きっかけ全体に対する割合。以下同様)、「学級担任が発見」(19.8%)が多く、教職員以外のものでは、「本人からの訴え」(24.6%)、保護者(16.3%)、本人以外の児童生徒(5.1%)の順である<ref name="monbu20" />。

=== 監視カメラの設置 ===
イギリスでは、いじめやその他の問題を把握するため、校内に[[監視カメラ]]を設置する学校もある。監視カメラを設置している学校は9割に上り、保護者の中には、[[トイレ]]や[[更衣室]]への設置も容認する団体もある<ref>{{cite news |title=学校内に防犯カメラ4万7000台、生徒のプライバシーに懸念 英国 |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2012-9-18|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2901673|accessdate=2014-2-15}}</ref>。

日本でも[[附属池田小事件]]の発生を受けて平成14年11月の「学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議」が学校への防犯監視システムの推進を提言した<ref>平成14年11月「[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/005/toushin/021101.htm 学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議]」</ref>。

=== 教材 ===
安藤美華代は、いじめを予防するための心理教育プログラム『サクセスフル・セルフ』小学校版および中学校版を用いた授業を行うことで、いじめを予防する効果が統計学的に有意に証明されたことを示している<ref>2012年『児童生徒のいじめ・うつを予防する心理教育“サクセスフル・セルフ”』</ref>。

=== インターネット規制 ===
インターネットでのいじめを防ぐため、2014年現在、イギリスの1000を超える学校では、いじめに繋がる[[スラング]]や暴力的発言を監視する[[ソフトウェア]]を導入している<ref name=england>{{cite news |title=Schools monitoring online bullying with slang translation software |newspaper=[[ガーディアン|The Guardian]] |date=2014-1-25|url=http://www.theguardian.com/education/2014/jan/25/schools-monitoring-online-bullying-student-slang-translation-software | language=[[英語]] | accessdate=2014-3-21}}</ref>。

=== 保険 ===
韓国では2014年、「[[いじめ保険]]」の販売を開始した<ref name=kankoku/>

=== 代替 ===
学校を転校し、[[フリースクール]]に通ったり、[[スクールカウンセラー]]を設置することなども対策となる。

=== ピンク・シャツ・デー ===
2007年にカナダの高校生2人から始まったいじめ反対運動「[[ピンクシャツデー]]」がカナダ全土に定着、2010年時点で75ヵ国が参加している<ref>{{cite web
| url =http://vancouver.keizai.biz/headline/176/
| title =ピンクの服を着て「いじめをなくそう」-男子学生2人の行動が全国へ
| publisher = バンクーバー経済新聞(日本語版) 2008年03月01日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>
<ref>{{cite web
| url =http://vancouver.keizai.biz/headline/491/
| title =2月25日は「いじめ反対の日」-ピンクのシャツを着て防止呼び掛け
| publisher = バンクーバー経済新聞(日本語版) 2009年02月25日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>
<ref>{{cite web
| url =http://vancouver.keizai.biz/headline/931/
| title =いじめ反対「ピンク・シャツ・デー」-五輪期間避け4月14日に開催
| publisher = バンクーバー経済新聞(日本語版) 2010年04月14日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>
<ref>{{cite web
| url =http://vancouver.keizai.biz/headline/1183/
| title =2月23日は「ピンクシャツ・デー」-いじめ防止を学校や職場で呼びかけ
| publisher = バンクーバー経済新聞(日本語版) 2011年02月24日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>
<ref>{{cite web
| url =http://vancouver.keizai.biz/headline/1443/
| title =リッチモンドで小学生ら500人以上がフラッシュモブ-「ピンクシャツ・デー」認知狙う
| publisher = バンクーバー経済新聞(日本語版) 2012年02月29日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>。ピンクシャツ・デーとは、2007年、カナダ・ノーバ・スコシア州の学校で、9年生(中学3年生)の男子学生がピンクのポロシャツを着て登校し、いじめられる。それを知った12年生(高校3年生)男子2人がその日の内に50枚のピンクのシャツ等を購入、メールや掲示板で友人知人等に呼びかける。翌朝、2人は50着を呼びかけた人に配って着てもらうが、この日に呼びかけ以上の学生がピンクの服で登校、学校がピンクに染まりいじめがなくなる。以降、毎年2月最終水曜が学校や職場にピンクを身につけて行くピンクシャツデーとしてカナダ全土に定着、アメリカイギリスなど世界各国へ広まった。

日本では、自身の過酷な被害体験・克服体験の作品化で中高生の支持を集めて小説家となった[[中園直樹]]が普及させた<ref>{{cite web
| url =http://jiyugaoka.keizai.biz/headline/861/
| title =等々力で「いじめ」「学校」がテーマの朗読会-ピンクシャツ・デーにちなみ
| publisher = 自由が経経済新聞 2012年02月27日号
| accessdate = 2012-7-15}}</ref>。

=== ケア ===
{{See|心的外傷|心的外傷後ストレス障害}}
悪辣かつ長期化したいじめの場合、被害者の心の傷([[心的外傷]])は深く、性格そのものが変容する場合がある。深刻な心理的・肉体的・性的[[虐待]]を受けたあとでは、いじめそのものが解消したあとでも、本人のみではケアが困難となる。その場合には、[[精神科医]]や[[カウンセラー]]に相談することも重要である。


=== 防止法 ===
日本では[[教育再生会議]]の第一次報告に関連して、いじめを繰り返す児童・生徒に対する[[出席停止]]措置などの現在の法律で出来ることは[[教育委員会]]に通知するように、[[2007年]][[1月22日]]、[[安倍晋三]]首相が[[伊吹文明]]文部科学相に指示した。2011年の[[大津市中2いじめ自殺事件]]を受けて、2013年には[[いじめ防止対策推進法]]でいじめの定義と学校側の義務が定められた<ref>[http://law.e-gov.go.jp/announce/H25HO071.html いじめ防止対策推進法](2013年6月28日法律第71号)</ref>。このほか、いじめ被害者は人権侵害等については[[憲法]](権利の回復)、[[刑事事件]]は[[刑法]](刑事訴追)、民事事件は[[民法]]などで損害賠償請求などの法規定によって保護される。なお、少年犯罪の凶悪化を受けて[[少年法]]改正がすすめられている。

[[アメリカ合衆国]]では2011年、47州で[[いじめ禁止法]](いじめ防止法、Anti Bullying Act)が成立している<ref name=donga/>。中学生男子への追跡調査では、加害者の60%が、24歳までに何らかの犯罪で有罪宣告を受けている<ref>{{cite web
| url =http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2010/11/post-1802.php
| title =いじめ加害者をどう罰するべきか
| publisher = ニューズウィーク日本語版 10月20日号
| accessdate = 2010年11月16日
}}</ref>。

[[スウェーデン]]では教育法で、学校にいじめ対策の立案が義務化されている。


=== 相談機関 ===
いじめ問題に取り組む相談機関がある。相談窓口としては、 教育情報ナショナルセンターの[http://www.nicer.go.jp/integration/user/map.php いじめ問題相談機関情報]、[http://www.nicer.go.jp/integration/user/torikumi/torikumi_list.php いみめ問題学校・地域取り組み情報]や、[[文部科学省]]の[http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm いじめの相談窓口]、[[厚生労働省]]の[http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/tp1120-1.html いじめ相談窓口]、[[法務省]]の[http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html 子どもの人権110番]、[[日本弁護士連合会]]の[http://www.nichibenren.or.jp/contact/consultation/bengoshikai_consultation/children.html 子どもの人権に関する相談窓口]などがある。

また、[[NPO]]、被害者の会などに相談することも対策となる。
* [http://mamoro.org/ いじめから子供を守ろう!ネットワーク]
* [http://izime-higaisya.jp/ NPO法人全国いじめ被害者の会]
* [http://www.ss-center.net/office/ NPO法人いじめ監視センター ]
* [[ユニークフェイス]]



== 脚注 ==
== 脚注 ==
430行目: 427行目:
== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[私刑]]
* [[私刑]]
* [[虐待]] - [[児童虐待]] - [[兄弟姉妹間の虐待]]
* [[虐待]] - [[児童虐待]] - [[兄弟姉妹間の虐待]] 
* [[家父長制]] - [[男尊女卑]]
* [[先輩]] - [[後輩]] 
* [[パシリ]]
* [[吊し上げ]]
* [[村八分]]
* [[村八分]]
* [[かわいがる]]
* [[かわいがる]]
441行目: 434行目:
* [[同調圧力]]
* [[同調圧力]]
* [[数の暴力]] - [[言葉の暴力]]
* [[数の暴力]] - [[言葉の暴力]]
* [[心的外傷|トラウマ(心的外傷)]]
* [[心的外傷後ストレス障害|PTSD(心的外傷後ストレス障害)]]
* [[不登校]] - [[長期欠席]]
* [[不登校]] - [[長期欠席]]
* [[保健室登校]]
* [[保健室登校]]
448行目: 439行目:
* [[パーソナリティ障害]] - [[反社会性パーソナリティ障害]]
* [[パーソナリティ障害]] - [[反社会性パーソナリティ障害]]
* [[コンプレックス]] - [[劣等感]] - [[嫉妬]]
* [[コンプレックス]] - [[劣等感]] - [[嫉妬]]
* [[リストカット]]
* [[引きこもり]]
* [[引きこもり]]
* [[人種差別]]
* [[スクールカースト]]
* [[ジョック]] - [[ナード]]
* [[ダン・オルヴェウス]]

; 対策
* [[フリースクール]]
* [[スクールカウンセラー]]
* [[ユニークフェイス]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
=== 統計・白書 ===
* [[文部科学省]]:[http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/shidou/1267646.htm 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査]
* [[文部科学省]]:[http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/shidou/1267646.htm 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査]
* [[法務省]][[人権擁護局]]:[http://www.moj.go.jp/JINKEN/index_shiryo.html 人権に関する資料など](各年度の「「人権侵犯事件」の状況について」にいじめの統計あり)。
* [[法務省]][[人権擁護局]]:[http://www.moj.go.jp/JINKEN/index_shiryo.html 人権に関する資料など](各年度の「「人権侵犯事件」の状況について」にいじめの統計あり)。
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**[http://www.nier.go.jp/shido/centerhp/ijimetool/ijimetool.htm いじめに関する校内研修-ツール]
**[http://www.nier.go.jp/shido/centerhp/ijimetool/ijimetool.htm いじめに関する校内研修-ツール]
*民間プロジェクト:[http://stopijime.jp ストップいじめ!ナビ:統計データ集・解決策・判例・ツール・報道ガイドラインなど いじめ対策の総合情報]
*民間プロジェクト:[http://stopijime.jp ストップいじめ!ナビ:統計データ集・解決策・判例・ツール・報道ガイドラインなど いじめ対策の総合情報]

=== 相談窓口 ===
* 教育情報ナショナルセンター
**[http://www.nicer.go.jp/integration/user/map.php いじめ問題相談機関情報]
**[http://www.nicer.go.jp/integration/user/torikumi/torikumi_list.php いみめ問題学校・地域取り組み情報]
* 文部科学省:[http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm いじめの相談窓口]
* [[厚生労働省]]:[http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/tp1120-1.html いじめに関する相談窓口]
* [[法務省]]:[http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html 子どもの人権110番]
* [[日本弁護士連合会]]:[http://www.nichibenren.or.jp/contact/consultation/bengoshikai_consultation/children.html 子どもの人権に関する相談窓口]

=== NPO、被害者の会など ===
* [http://mamoro.org/ いじめから子供を守ろう!ネットワーク]
* [http://izime-higaisya.jp/ NPO法人全国いじめ被害者の会]
* [http://www.ss-center.net/office/ NPO法人いじめ監視センター ]

=== 法令 ===
* [http://law.e-gov.go.jp/announce/H25HO071.html いじめ防止対策推進法](2013年6月28日法律第71号)


{{嫌がらせ}}
{{嫌がらせ}}

2014年8月27日 (水) 13:17時点における版

いじめのイメージ写真。2001年の調査で、いじめは生徒精神成長に悪影響を及ぼすという分析結果が発表された[1]

いじめ(苛め、虐め、イジメ: Bullying)とは、「肉体的、精神的、立場的に自分より弱いものを、暴力差別いやがらせなどによって一方的に苦しめること」である[2]

定義

いじめ認定の要件

学校や第三者委員会が「いじめ」を認定する際には、「立場の互換性がない」、あるいは「力関係の差」が存在することを要件とする記述も散見される[3]。つまり、「いじめる」側と「いじめられる」側がしばしば互いに入れ替わったり、「強い」立場の者が「弱い」立場の者をいじめるという構図にあてはまらない場合には、じゃれあいやケンカなどとみなされる場合もある。なお、ここでいう「強い」「弱い」という言葉は、腕力や発言力などを指すものではなく、あくまでも集団内での「立場」を指し、たとえば発言力の強い者がまさにそれゆえにいじめの対象となることもありうる[4]

中学1年生についての国立教育政策研究所追跡調査(2004-2009)[5][6]によれば、半年後まで続くような週1回以上のいじめ事例は半分以下で、一般的イメージとは異なり、いじめる生徒・いじめられている生徒は短期間で入れ替わっており、固定的な「いわゆるいじめられっ子(いじめられやすい子供)」や「いじめっ子(いじめやすい子供)」も存在しない」とされた[6]。また、同じ学校・同じ年度の生徒であっても学年が進むにつれていじめの数が大きく増減しており、「いじめが起こりやすい学校・年度」のようなものはなかった。したがって、「いじめが起きやすい学校とそうでない学校、いじめが起きやすい学年とそうでない学年というものが存在しているわけではない」[6]。そのため、「何か特別な問題や背景があるから、いじめが起きる」わけではなく、「そうした問題の有無とはさほど関係なく、いじめは起きうる」「ちょっとしたきっかけで、いじめは起きてしまう、広がってしまう」のが実態とされた[5]小学校においても同様の傾向が確かめられている[6]

ある行為が「いじめ」であるかどうかの判定は極めて困難であり、むしろその区別にこだわり過ぎているという指摘もある。1994年の愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件で自殺した生徒の父は「いじめかどうかは重要ではありません。その行為はいじめではない、と言われたら子供だって安心する。教職員を含めてみんな面倒なことは避けたくて、いじめではないことを心のどこかで望んでいるのかもしれません。でも本来は、仲間はずれにされたり、傷つけられたり、『ウザい』『キモい』とけなされたりする行為そのものが問題なはずです。定義が曖昧ないじめという言葉は、教委や学校が責任を逃れるための隠れ蓑になっているのではないでしょうか」と語っている[7]

また、2005年の丸子実業高校バレーボール部員自殺事件では自殺した生徒の母親が裁判をおこすと、事実無根で捏造であるとして加害者とされた側も裁判を起こし、判決では生徒の遺族側の主張は退けられた。新潟県神林村男子中学生自殺事件(2006年)では当時の文部科学省の定義からは認定が難しいとされた。

嗜虐的関与

内藤朝雄によれば、いじめは相手の肉体的・心理的苦痛を快楽的に楽しむことを目的として行われるさまざまな行為であり、学級など簡単には抜けることのできない集団のなかで、群れた「みんな」の勢いや「自分たちなり」の特殊な秩序を背景として、そのような行為がなされることをいう[8]。内藤は「人間関係が濃厚すぎる集団内において生じる欠如を埋めようとする偽りの全能感」としていじめの理論化を行った[9]

  1. 内藤は最広義の定義を実効的に遂行された嗜虐的関与とした。つまり、相手が苦しむことを楽しむことを目的として、何らかの行為が行われ、実際にそれが効果を挙げたことをいう。「嗜虐的」攻撃は、「戦略的」攻撃[10]とは区別され、攻撃を受けて苦しむ様子を見ること自体が目的である。
  2. 次に、広義において、いじめとは「社会状況に構造的に埋め込まれたしかたで、実効的に遂行された嗜虐的関与」であるとされる。この定義において、たとえば通り魔や、グループを組まない乱暴者による一対一のいじめは除外される。なんらかの人間関係があったり、学級などに制度的に組み込まれているなどの枠組みの中で、いじめは発生する。
  3. さらに、狭義では「社会状況に構造的に埋め込まれたしかたで、かつ集合性の力を当事者が体験するような仕方で、実効的に遂行された嗜虐的関与」と定義される。集団の中の「ノリ」がエスカレートして暴力が激化したり、客観的には取るに足らない理由でシカトされる者が決定されたりと、集団心理のダイナミクスが働いていることが狭義におけるいじめの要件となっている。[11]

日本政府による定義

平成18年以前の日本文部科学省の定義では「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」とされていた[12]。2006年(平成18年)度文部科学省による調査[13]において、いじめの新定義として「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」とされ、起こった場所は学校の内外を問わない、個々の行為が『いじめ』に当たるか否かの判断は表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする、とされた[12]。また、具体的ないじめの種類に「パソコン・携帯電話での中傷」「悪口」などが追加された。いじめの件数についても「発生件数」から「認知件数」に変更された。

いじめ防止対策推進法によれば、「いじめ」とは、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう」(第二条一項)[14]

いじめの分類

教育社会学者の藤田英典は、(学校での)いじめを次の4つに分類し、多くのいじめに対する言説がその特性の相違点を考慮していない点を批判している[15]

  1. モラルの低下・混乱によるもの。1980年代中ごろに頻発したタイプで、被害者が偶発的に決定されるところに特徴がある。一種のモラル・パニック集団ヒステリーといえる。
  2. 社会的偏見・差別による排除的なもの。1のケースと比較するといじめの対象となった理由(特定の社会的属性を持っていたということ)は明瞭であり、差別意識自体を取り除く指導をすることがこの種のいじめの対策となる。
  3. 閉鎖的な集団内で特定の個人に対して発生するもの。教師など外部から実態が把握しにくいぶん、対策は難しくなる。
  4. 特定の個人への暴行・恐喝を反復するもの。3のケースと違って、加害者と被害者の属するグループは異なる場合が多い。不良が下級生からカツアゲするといったものが典型的なもので、認知されやすい。

教育評論家森口朗は、藤田英典の分類を継承して「修正藤田モデル」という四分類を作った[16]

  1. 子供たちが共同生活をおくる上で当然発生するであろう軋轢。
  2. 従来型コミュニケーション系いじめ。仲間はずれにするなど、犯罪の構成要件は満たさないもの。
  3. 犯罪型コミュニケーション系いじめ。インターネット上での誹謗中傷のように犯罪(名誉毀損罪侮辱罪等)とみなしうるもの。
  4. 暴力・恐喝型いじめ。暴行や窃盗などの犯罪(暴行罪傷害罪恐喝罪等)に問われるもの。

そしてそれぞれ求められるべき対処法は異なり、1のタイプの軋轢の解消は可能な限り生徒の自主性に任せ(教師は2の段階に移行しないかを直接介入することなく見守る)、3・4のタイプでは警察へ通報するなど司法の介入によって解決し、2のタイプのみ教師・学校側が積極的に解決すべき問題であるという。

学校でのいじめ

日本のいじめは特に1985年(昭和60年)ごろから陰湿化した校内暴力をさすことが多い[17]。いじめによる暴行で重篤な場合は重傷を負わせられる、傷害の結果死に至ったり(山形マット死事件)、強姦されたり(1996年の旭川女子中学生集団暴行事件)、自殺する例もある(1986年の中野富士見中学いじめ自殺事件)。また、中学生が5000万円も恐喝によって得たり(名古屋中学生5000万円恐喝事件、2000年)

いわゆる問題児モンスターチルドレン不良行為少年)による単純な暴力だけでなく、使い走り(パシリ)をさせたり、「物を隠す」「第三者の物を隠し、被害者に罪をなすりつける」「交換日記悪口を書く」「机に花を置き死亡したことにする」「被害者の名前を隠語にして被害者がききかえしても別人のことをしゃべっているふりをする」といった「心に対するいじめ」もあり、シカト(無視、仲間外れ)などは水面下で行われることから、教師や周囲が気づかないうちに深刻な事態になりうる。1996年(平成8年)に文部大臣(当時)が緊急アピールしているように、「深刻ないじめは、どの学校にも、どのクラスにも、どの子供にも起こりうる」[6]もので、児童生徒1,000人あたりの7.1人がいじめを受けている[18]。調査では「小学校4年生から中学校3年生までの6年間の間に、いじめ(仲間はずれ、無視、陰口)と無関係でいられる児童生徒は1割しかいない」[6]ことが指摘されている。

学校の種類別といじめの様態

学校の種類別では、幼稚園保育園では小学校中学校のようないじめはないという。積極的な子供が消極的な子供を従えているようにみえる「子供同士の力関係」や、「子供のコミュニケーション能力の未発達」による玩具等の横取り、手を出すことをいじめととらえてしまう親もいるという[19]

学年別動向の統計調査では、小学校では、「冷やかし」の割合が多いが、「仲間はずれ」の割合が、他の区分に比べて多い[20]国立教育政策研究所追跡調査(2004-2009)によれば小学校・中学校で「仲間はずれ、無視、陰口」が3年間の間に全く無かった児童生徒はそれぞれ22.6%、27.6%で[6]、3年間連続でいじめがあった児童生徒は小学校・中学校でそれぞれ0.4%、0.6%であった[6]。しかし、小学校でもいじめを苦にした自殺事件はあり、2005年の滝川市立江部乙小学校いじめ自殺事件、2010年の桐生市小学生いじめ自殺事件ではフィリピン系の生徒が自殺した。

中学校は統計上、いじめが最も多くなる年代である[20]国立教育政策研究所調査(2004-2009)によれば、学年別で見た場合、中学1年生だけで17,063件のいじめが認知されており、この数字は小学6年生(4,262件)や高校1年生(3,701件)に比べ4倍以上多い。男女比では、54.8%が男子、45.2%が女子である[18]

高等学校では「冷やかし」と「暴力をふるう」割合が高い[20]。いじめによって退学する場合もある(人間関係を理由とした中途退学は、2005年度で7.4%[21])。先輩後輩をいじめる事例もある。大学に於いても特に体育会系のクラブで、先輩からの「しごき」という名のいじめは昔から存在する。これに関連して、継続的な悪質ないじめで、訴訟沙汰になった例もある[22][23][24]。また、2007年の追手門学院大学いじめ自殺事件では在日インド人学生がいじめで自殺し、自殺した生徒の親も1年後自殺した。

いじめの様態別認知件数(文部科学省、平成19年度、複数回答あり)[25]
小学校 中学校 高等学校 特別支援学校 合計
総数 構成比 総数 構成比 総数 構成比 総数 構成比 総数 構成比
冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。 32,110 65.7 28,061 64.5 4,646 55.6 194 56.9 65,011 64.3
仲間はずれ、集団による無視をされる。 11,896 24.3 9,489 21.8 1,455 17.4 56 16.4 22,896 22.6
軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。 9,980 20.4 7,120 16.4 1,712 20.5 64 18.8 18,876 18.7
ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。 2,317 4.7 2,525 5.8 737 8.8 27 7.9 5,606 5.5
金品をたかられる。 764 1.6 1,369 3.1 498 6.0 12 3.5 2,643 2.6
金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。 3,254 6.7 3,448 7.9 671 8.0 32 9.4 7,405 7.3
嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。 2,854 5.8 2,636 6.1 795 9.5 30 8.8 6,315 6.2
パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。 534 1.1 3,633 8.4 1,701 20.4 25 7.3 5,893 5.8
その他 1,980 4.0 1,317 3.0 388 4.6 19 5.6 3,704 3.7

教師によるいじめと監督不行届

自衛官の子供へのいじめ差別が、日教組の教師らによって行われてきた。小学校の日教組組合員の女教師が、父親が警察官・自衛官である生徒を立たせて「この子達の親は悪人です!」と吊し上げをした[26]。激怒した佐々が家庭訪問の際教師に問うと、その教師は反省の弁は無く、自民党や自衛隊、警察を口汚く罵るばかりであったが、教育委員会に訴え出て免職させると佐々が言うと、教師は一転して土下座して謝罪しはじめた。この際、この教師は「日教組の組織をあげて戦う」と発言したという[26]。また、自衛官の配偶者や子供の中には差別を恐れ、配偶者や親の職業を隠さざるを得なかった例もあり、自衛隊員の息子であった産経新聞社会部次長大野敏明は小学校4年生の頃、日教組の教師に「大野くんのお父さんは自衛官です。自衛隊は人を殺すのが仕事です。しかも憲法違反の集団です。みんな、大きくなっても大野君のお父さんのようにならないようにしましょう」といわれ、「自衛隊員の息子として教師から虐めを受け、登校拒否になった」という[27]。また、同じく自衛官の息子だった友人は内申書の評価を下げられ、親の職業を言いたがらない者もいたと述べている[27]

1986年の中野富士見中学いじめ自殺事件では、東京都中野区の中学教師がいじめに加担した[28]。 2006年の福岡中2いじめ自殺事件でも教師がいじめに加担した。

また、教員による職場いじめとして職員室のいじめもある。ほかに教師(モンスターティーチャー)によるいじめも問題となっている[29]

監督不行届

大津市中2いじめ自殺事件(2011年)では、自殺した生徒からいじめ相談をされていた担任が適切な対応をとらなかったことが問題とされた。

2014年1月長崎県新上五島町奈良尾中学校いじめ自殺事件では生徒が利用していたLINEに自殺を仄めかす書き込みをしており、同級生や一部の保護者らは気付いていたものの学校に知らせていなかった。また、同町教委はいじめの存在は認めたものの、自殺との因果関係は不明としており、生徒の遺族は真相究明を求めた[30][31]

職場いじめ

子供に限らず、社会人モンスター社員クラッシャー上司)においても暴力そのものやパワーハラスメントセクシャルハラスメントといった職場いじめが起こっている。上司が部下に対し、職場で陰謀を巡らし、「自分が悪い」と誤解させる状況を、故意につくられるような不当労働行為や、責任をとって辞めさせるような状況をつくる不当解雇もある。

また、刑務所においてもいじめが存在する[32]

インターネットいじめ

インターネットが普及した現代社会ではネット上のユーザによるネットいじめも存在する。滝川高校いじめ自殺事件(2007年)では学校裏サイトでいじめが行われていた。

イギリスでもインターネット環境の発達とともにネットいじめが増加している[33]。アメリカ合衆国、カナダでもネットいじめが深刻している。

犯罪としての分類

  • 暴行罪傷害罪:殴る、蹴る、刺す、縛る、煙草をからだに押し付ける(これは根性焼きとよばれ、2012年の仙台市の私立高校生で強制する事件があった[34]。)など。
  • 傷害致死罪:(例)リンチによって被害者が死亡。
  • 殺人罪未必の故意が認められる場合この犯罪が該当する。
  • 脅迫罪:脅す、ナイフで刺すふりをする・ナイフを見せる、暴力団などの犯罪集団と共謀する。
  • 恐喝罪:暴行や脅迫による金銭の要求。
  • 強要罪性行為自慰売春など)の強要。常々いじめられる者同士を喧嘩させる。
  • 自殺教唆罪自殺を促す(「とびおりろ」と発言など)。
  • 強姦罪強制わいせつ罪
  • 名誉毀損罪侮辱罪:盗撮して、インターネットで流す。インターネット上の中傷。中傷ビラの頒布。携帯電話・メールでの嫌がらせ。なお、これらを警察に訴えれば、捜査がなされ、犯人は逮捕される。
  • 器物損壊罪:かばんや文房具など被害者の所有物を壊す、落書きをするなど。
  • 犯罪の教唆(実行犯と同罪):強姦など性犯罪の要求、万引き(窃盗)など財産犯の強要。
  • 偽証罪(法廷などで)・誣告罪:犯罪等を行ってそれをなすりつける、法廷など公的機関での虚偽報告。
  • 陰謀や虚偽報告。なお、犯罪として立件できず、民事上の不法行為と認定されるケースがある[要出典]


各法規定は、被害内容を下記の2つに大きく区分する。

  • 身体的苦痛(殺人・拷問・傷害などの瞬間的な肉体的打撃である暴力、障害)などの実害
  • 精神的苦痛(非常に陰湿で、長期間いじめられる側(被害者)の精神に大きな打撃を与えるもの)


暴力系とコミュニケーション操作系

具体的ないじめに相当する行為の種類によって分類した場合、「暴力系のいじめ」と「コミュニケーション操作系のいじめ」の2種類がある[35]。前者は、被害者に対する殴打・拘束や服を脱がせるなど身体へ直接的なダメージを与えるもので、後者は悪口・誹謗中傷や風説の流布などコミュニケーションを介して被害者に不快感・精神的ダメージを与えるものである。男女別では、女子のほうが暴力系ではなくコミュニケーション操作系のいじめを遂行する傾向にあり、その背景にはジェンダーによる抑圧(「女の子は優しく/おとなしくしているべきである」という固定観念)あるいは評価基準の違い(男子はそれが身体的な強靭さに求められるが女子は他者からの受容に依存する)が考えられる[36][37]。ただし、男子のいじめについてもだんだんと暴力系よりもコミュニケーション操作系のいじめのほうが多くなる傾向にある[37]

排除型と飼育型

いじめの形態に注目すると、「排除」のいじめと「飼育」のいじめの2種類がある[38]。排除型は被害者を仲間外れにして自分たちのグループから排斥するものであり、飼育型は被害者を自分たちのグループの中に留めおいたままいじめの対象にして楽しむものである。実際のいじめは排除型ではなく飼育型であることが多い。

いじめの原因

集団心理

フランスの精神科医ニコル・カトリーヌは「アイデンティティーが確立していない10代の若者は集団への帰属意識が強い。集団から抜けたり集団のルールに従わない人間はスケープゴートにされる」としている[39]。スイスの心理療法士ヴァルター・ミンダーは、いじめとはグループ内に無意識のうちに成立した「暗黙の了解」に従わない者に大して行われるグループ現象としている。最大の問題は被害者にあるのではなく、グループの方である。いじめでの報道では、被害者の異質性に焦点が当てられることが多いが、実際にいじめられやすいのは、本当に異質な者ではなく、ごく普通の子が多いとしている[40]

森口朗は、内藤の理論をベースに独自の「スクールカースト」の概念を導入した。これはクラス内の序列のことで、人気や「空気を読む能力」の多寡により上下し、下位になるほどいじめられやすくなるという[16]

安藤美華代は、いじめの心理社会的要因の検討を行った結果、いじめを行う友達の影響、いじめの誘いを断る自己効力感、衝動性・攻撃性に対する自己コントロール、道徳観等が関連していることを明らかにした[41]

ストレッサー

いじめ加害の原因となるストレッサー(ストレス原因)で直接的・間接的に大きな要因をアンケートから探ってみた日本の統計によると、直接的にも間接的にも最も影響力が大きいのは友人から学業・容姿・行動などを馬鹿にされた「友人ストレッサー」(36組中31組で第1位)であった[6]。次に影響力が大きかったストレッサーは学業・容姿・長所や短所などに関する「競争的価値観」(36組中2組で第1位、19組で第2位)で[6]、間接的な効果しかないにも関わらず、その効果の大きさが伺える。そして、さまざまなストレッサーが「不機嫌怒りストレス」(36組中3組で第1位、11組で第2位)に影響を与え、いじめを発生させているという構図がある[6]

1986年の東京都教育委員会調査報告[42]によれば、いじめの原因は以下の結果となった。

  • 力の弱いもの、動作の鈍いものを面白半分に 33.6%
  • 欲求不満の鬱憤晴らしとして 19.7%
  • 生意気なもの、いい子ぶるものに対する反発・反感から 15.7%
  • 自分たちと違う、なじめないなどの違和感から 14.8%
  • 怒りや悲しみ、嫉妬から 10.7%
  • 仲間に引き入れるため 6.7%
  • 以前にいじめられたことの仕返しとして 6.3%。
  • その他少数意見として「面白いから」、「ふざけて、冗談で」があった。

自己制御の欠如

シカゴ大学による脳のfMRIスキャンを使用した研究によると、人が他人の苦痛を目にすると、自身が苦痛を経験したときと同じ脳内領域が光るが、いじめっ子の場合扁桃体や腹側線条体(報酬や喜びに関係すると考えられている部位)によってそうでないものに比べ活発に活動することがわかったという。「いじめっ子は人の苦痛を見るのが好きだと考えられる。この考えが正しい場合、彼らは弱い者いじめをして他人を攻撃するたびに心理的な報酬を受け取り、反応の強化が進んでいることになる」「自己制御を欠いている点を処置する、あるいは埋め合わせる治療法を開発する必要があるだろう。いじめっ子が自己制御を欠いているのは事実だと考えているし、他人を傷付けるたびに心理的な報酬を受け取り、反応の強化が進む可能性がある」と同研究チームのベンジャミン・レイヒーは話す。[43]

各国のいじめ情勢

日本

平成19年文部科学省の統計によると、いじめを認知した学校の件数は40.0%で、認知件数は84,648件、児童生徒1000人あたりのいじめ件数は7.1人であった[18]。文部省の統計では平成6年には31.3%だった発生率が平成17年度には19.4%に減っている[18]

文部科学省の調査では2011年6月から2013年12月末までに発生した小中高生の自殺につき、いじめを理由にした割合は2%ほどで[44]、さらに平成19年度に自殺した136人の児童のうち、いじめが原因であると特定されたものは3件で18年度よりも3件少なくなっている[18]

都道府県別で見た場合、1000人あたりの認知件数は多いほうから順に熊本県(32.7件)、大分県(27.3件)、岐阜県(25.2件)が多く、全国平均(7.1件)を3倍以上上回る[18]。ただしこれはあくまで認知件数なので、これらの件で実際にいじめが多いのか、それともこれらの県でいじめを認知しやすい体制が整っているのかは不明である。なお熊本県や大分県と同じ九州でも、福岡県や佐賀県(いずれも1.1件)は少ない方から2番と3番で、単純に九州でいじめの認知件数が多いというわけではない[18]。(全国最小は和歌山県の0.8件)[18]

2013年、国連児童基金(ユニセフ)と国立社会保障・人口問題研究所が行った「先進国における子どもの幸福度」という調査によると、日本は、いじめの割合などを示す「日常生活上のリスクの低さ」で1位を獲得ている[45]。ただし、その中での「過去数か月に学校で1回以上いじめられたと答えた11歳、13歳、15歳の子どもの割合」では日本は30カ国中12位で、改善の余地は大いにある[46][47]

各事件についてはCategory:日本のいじめ、およびCategory:日本の少年犯罪を参照。

アメリカ

アメリカの学校ではスポーツの得意な人気者の男性ジョックとその対極に非ジョックのナードがある。学校でのいじめも深刻で、13名の人間が殺害されたコロンバイン高校銃乱射事件では、犯人たちの高校は日常的にいじめが行われており、それが原因で事件を引き起こしたと考えられている。

歌手のレディー・ガガは、同性愛を理由にいじめを受けた末に自殺した14歳のファンについて触れ、「いじめは撲滅すべき」と訴えた[48]。彼女自身、14歳ごろにゴミ箱に放り込まれたり、廊下で吊るし上げられるなどの激しいいじめを受けていたことを告白している。

2012年5月ワシントンポストは、2012年アメリカ合衆国大統領選挙候補者のミット・ロムニーが、高校時代に同性愛者と目されていた長髪の男子生徒を仲間たち共々押さえつけ、髪を切るいじめを行ったと報じた。ロムニーは問題の行為については「覚えていない」等と発言したが、「高校時代には、ばか騒ぎや悪ふざけをたくさんした。中には行き過ぎたものもあったかもしれない」とコメントした。


アジア系に対するいじめは酷く、10代のアジア系のうち、半数以上が学校でいじめられた経験があると回答。これに対して黒人ヒスパニック、では1/3程度である。フィラデルフィアの学校では2009年にアジア系の生徒に対する集団暴行事件が発生、被害者は1日で26人に上り、うち13人が重傷を負って集中治療室で手当てを受けた。この学校では、アジア系生徒が身の安全が確保されるまで登校を拒否するストライキに発展した。アジア系は、他人種に比較して、うつや自殺の割合が突出してる[49]。2009年の司法省と教育省の調査によると、31%の白人、34%のヒスパニック、38%のアフリカ系が「学校でいじめを受けたことがある」と答えたのに対して、アジア系学生の場合は54%に達するという結果が出た[50]。2011年10月には、アフガニスタンに派遣された19歳の中国系アメリカ人の米兵が、同僚の白人兵士に執拗ないじめを受けて銃で自殺、アジア系へのいじめの問題が浮き彫りになっている。この事件では、職務怠慢、虚偽報告、虐待や過失致死などの罪名で兵士8名が訴追された[51]オイコス大学銃乱射事件でも、韓国系アメリカ人だった加害者はいじめを受けており、それが動機の一つになったという供述がある[52]


2011年、CNNがいじめ対策の特別番組で、中途脱落者が1人もおらず99%が大学に進学するロングアイランドの名門校ウィートリスクールの生徒700人を対象に調査したところ、42%が学校のクラスメートをいじめたことがあり、31%はいじめを経験したと答えた。また、77%は友だちがいじめられていることを知っていながらも防ごうとせず、周りにも知らせず見て見ぬ振りをしたと答えた[53]

2012年9月、ミシガン州のオゲマウハイツ高校において、高校入学以降クラスメイトに執拗ないじめを受けていたホイットニー・クロップのための救済運動が行われた[1]。ホイットニーは9月に行われるホームカミング(フットボールの他校試合にあわせて行われるフェスティバル)のクラス女子代表(ホームカミング・プリンセス)に選ばれたが、実際には地味で目立たない印象の彼女を表舞台に出し、笑いものにしようとするいじめであった。フェイスブックのホームページが中傷で埋め尽くされるなどし、傷ついた彼女は部屋に引きこもってしまったが、「サポート・ホイットニー・クロップ」なるページがフェイスブックに立ち上げられ、全米から応援のメッセージが書き込まれ、自宅にも花や励ましの手紙が届くなどした。これに励まされたホイットニーは勇気を出して登校。いじめっ子たちの謝罪を受け入れた。9月28日のホームカミング当日には、父親のエスコートでオレンジのドレスで登場。1000人以上の支持者から暖かい拍手を受け、その様子は当日取材に来ていたマスコミにより報道された。その後、10月は「いじめ防止月間」に指定されたのに合わせて、ホイットニー本人がトーク番組『ケイティ』に出演したことを機に、リンジー・ローハンツイッター上で高校時代にいじめられた過去を告白した[54]

2012年2月27日、オハイオ州で発生した3人の死者を出した高校の銃乱射事件では、検察当局は否定しているものの[55]、容疑者の少年はいじめに遭っているとの情報がある[56]

2013年9月、米南部ルイジアナ州に住む高校生の少年が、スマートフォンのアプリで同級生を射­殺するまねごとをしていたとして逮捕されている[2]。現地報道によると、少年はいじめを受けており、そのストレスのはけ口としてスマートフォンのアプリを使い、同級生を銃撃の対象にして発散し、アプリの映像を動画サイトに投稿したため、同級生たちの保護者が発見。それが問題となり、少年は学校運営の妨害容疑などで逮捕され、少年拘置所送りとなった。

スポーツ界でも深刻な問題となっており、日本などと同様、厳しい上下関係がある。その中では、暴力や恐喝も頻繁に発生している、しかし、理不尽な暴力に耐えることが男らしい振る舞いであるという考え方があるため、発覚するのは稀となっている[57]

カナダ

近年のカナダでは、ネットいじめが深刻化している。カナダは、インターネットの利用時間が1ヶ月40時間と、日本の2倍以上の水準であり、世界で最もインターネットを利用する国と言われており、それがネットいじめに拍車をかけていると言われる。若者の60%以上が「ネットいじめを受けたことがある」と答えたカナダの民間団体の回答もある。

2012年10月10日にはアマンダ・トッドの自殺英語版があった。アマンダは、裸の写真をインターネットにばらまかれ、転校を繰り返しても、決して消えないインターネット上の画像が原因となって転校先でもいじめを受け続けたため、YouTubeでいじめの事実を告白したあと自殺した。これらの事件は、カナダで衝撃を与え、いじめに関する国民的議論を呼び起こす事となった[58][59]

2013年には、4人の男子生徒らに集団強姦され、その時の写真をメールでばらまかれ、それが原因でいじめを受けていた少女が自殺した[60]。この少女は警察にも訴えたが「携帯電話やネット上で写真をばらまく行為については取り締まれない」として捜査はされず、幼馴染親友にも裏切られ、絶望して自殺したとされる。少女の友人は誰一人、少女の味方にはならなかったとされる[61]

イギリス

イギリスの学校でのいじめの状況は、ヨーロッパ最悪の水準と言われる。2006年BBC調査では、生徒の7割の人間が何らかのいじめ被害に遭っている[62]。2008年にガーディアン紙は、中等学校の生徒の約半数(46%)の生徒が何らかのいじめに遭っていると報じ、イングランドでは48%、スコットランドは43%、ウェールズは32%が被害にあっている[63]

また、350万人の労働者が職場いじめを受けていると答え、その割合は労働者全体の14%に達する。また、専門性の高さに比例する傾向が見られた[64]

イギリス軍内では、近年、部隊内でのいじめが増加・深刻化しているとされる。死の危険を感じるほどの深刻ないじめによって、5回の自殺未遂の末、精神障害吃音症に追い込まれた元兵士が、イギリス国防省を提訴する事例もある。強姦でのセクハラは日常茶飯事であり、女性兵士が強姦され、自殺した疑いのあるケースも多数報告されている[65][66][67]

ドイツ

ドイツでは、年間50万人、実に25人に1人の児童・生徒が少なくとも1週間に1回は同級生からのいじめの被害にあっている。1990年代初頭から、いじめが注目されるようになった。当初、身体に対する暴力的な行為に注目していたが、次第に精神的な嫌がらせもいじめの範疇に含めることが多くなった。ドイツでは、主に心理的ないじめを“Mobbing”、物や身体への暴力には“Bullying”という言葉を使って区別する。これは英語からの借用語である[68]。ドイツの英独辞書では、BullyingMobbingドイツ語訳としてbrutaler Kerl, Schläger, Tyrann, Maulheldなどが記載されているが、これらの単語は一般的にはあまり使用されていない[69]

アジア系に対するいじめもあり、特に、中国語がドイツ人にはそのように聞こえるために「チン・チャン・チョン」と呼んで、アジア系児童を囃し立てるのは、ドイツの学校では定番であり、ドイツに住むアジア系の児童は、必ず経験するほど広まっているとされる。これは、ドイツ以外のヨーロッパ諸国でも同じである[70]

オーストラリア

国際教育到達度評価学会で参加40か国から集めたデータをまとめたところ、オーストラリアでは生徒の25%以上がイジメを体験しており、クエートカタール台湾ニュージーランドに次いで、いじめの発生率が高く、世界最悪の水準と評価された[71]南オーストラリア大学の研究によると、オーストラリアの児童の15から30パーセントは学校でのいじめを受けているとされ、ディーキン大学の調査では児童の4分の3は何らかのいじめに従事していたとされる。また、SNS、特にFacebookを利用してのネットいじめも増加している。児童の中には、性的ないじめや、ナチズムに傾倒した言動も見られる[72][73]。オーストラリアの教育現場では、教師間でのいじめも深刻であり、ニューイングランド大学の研究者によると、教師の99.6パーセントは、職場で何らかのいじめや嫌がらせ、差別を受けた経験を持つという[74]。オーストラリアの保護者の多くは、学校や教師がいじめに対処する能力を不安視している[75]

2012年のロンドンオリンピックに参加したオーストラリア選手の間でもいじめがあったとされる[76]

ニュージーランド

ウェリントンで開かれた教育省サミットで提出された学校安全の為の調査レポートによると、ニュージーランドのいじめ発生率は国際的平均率より50%も高く、世界的にみても非常にいじめの発生率が多いことがわかった。特に、ネットいじめの割合が高まっている[77]

ニュージーランドでは、アジア系移民を標的にした人種差別によるいじめも多発している[78]。2009年、日系ニュージーランド人の14歳の少年が「クジラ喰い」と因縁をつけられ、集団で抱え上げて地面に落とすなどの暴行を加えられ、脳障害を伴う重傷を負った事件が発生した[79]

オランダ

オランダでは、いじめはペストを語源とする「Pesten(ペステン)」と呼ばれる。オランダでは7歳からいじめが始まるが、特徴としてクラス全員がまとまって、いじめの対象をいじめることが多く、標的になった子供の99%は転校を余儀なくされる。なお、いじめの種類は「無視」が多い[80]。オランダの学校では、10人に1人がいじめの被害にあっているとされている。2005年には、オランダの9歳から11歳の子供の、6人に1人がいじめにあってるという調査もある[81]。オランダ教育省は、いじめ撲滅に取り組んでいるが、逆効果になる事例も報告されている。いじめを苦にした青少年の自殺や、いじめの被害者が耐えかねて加害者を殺害する事件も起こっている[82][83]

ベルギー

ベルギーは、フランスなどと同様に、ヨーロッパで最も自殺率の高い国の1つであり[84]、特にオランダ語圏のフランドル地方はヨーロッパで最も自殺が多く、10人に1人が自殺しようと思ったことがあるという調査もある。自殺の理由は、いじめも含まれている[85]

また、ベルギーの社会人は、8人に1人が職場でいじめの被害にあっており、特に上司からのいじめが多いとされる[86]

また、2013年、国連児童基金(ユニセフ)と、日本の国立社会保障・人口問題研究所が行った「先進国における子どもの幸福度」という調査によると、「過去数か月に学校で1回以上いじめられたと答えた11歳、13歳、15歳の子どもの割合」でベルギーは37.7%であり、30カ国中24位であった[47][87]

フィンランド

フィンランドでは、2007年11月、トゥースラのヨケラ中等高等学校で、いじめを受けていた男子生徒(18)が生徒7人と校長を射殺した事件が発生した。

ロシア

ロシアでは、ロシア連邦軍でのいじめが大きな社会問題となっている。隊内で新兵に対するいじめ(ДеДoвщина)が激しく、脱走の大きな原因となっている。公式には2002年前半期だけで2,265名の脱走者が出たとされるが、ロシア兵士の母の会ではその10倍としている。2005年の公式な数字ではいじめによる死者は16人とされ、自殺者が276人、事故死者が同じく276人とされた。ロシアではこの数字に疑問の声が出た[88]。2004年前半期のロシア兵の死者数は500人以上に達していた。

フランス

フランスでは、児童の10%が何らかのいじめの被害にあっている。フランスでいじめの標的にされるのは、周りより成績の良い「優等生」であり、「新入生いじめ」が恒例化している。これに対して、フランス政府は厳罰化で対処しており、罰金刑や禁錮となる[39]。いじめの内容としては、盗難や嘲笑などから暴言や暴力、金品の要求、性的暴力まで幅広い。ネットいじめも拡大しており、フランスの児童の40%がネット上で被害にあっている[89]。フランスは、他のヨーロッパ諸国より、いじめ対策が遅れているとされる[90]

労働者のいじめもある。フランス最大の通信会社フランステレコムでは、2008年2月からの1年半で、24人が自殺、13人が自殺未遂をするという事件が発生。この原因として、過度のモラルハラスメントがあったと認定されている。近年のフランスでは、成果主義が浸透しつつあり、成果を出せなかった従業員に対するいじめが深刻となっている[91][92]

スペイン

スペインでは、33.8%が言葉によるいじめを、4.1%が暴力被害を被っている。自殺者も出ている[93]

韓国

高麗李氏朝鮮時代に新任官吏をいじめる免新礼という風習があり、現代の申告式ko:신고식)につながっているといわれる。また伝統的に、結婚式の後で新郎をいじめる風習もある。韓国では、当初、いじめは日本語の単語を輸入した「이지메(イジメ)」が主流であったが、現在では「激しい」と「爪弾き」を合成した単語「ワンタ」と呼ぶ[94]

韓国軍内でもいじめ事件が多発している。 2005年に便所の水を流していない訓練兵らに立腹し、部隊の中隊長が人糞を指につけて食べるよう強制した韓国陸軍訓練所食糞事件や、陸軍でいじめを受けていた一等兵が銃を乱射し8人を殺害する漣川軍部隊銃乱射事件が発生した[95]2011年7月4日には上等兵が銃を乱射して兵を4人射殺する江華島海兵隊銃乱射事件が発生、動機は期数列外という部隊内のいじめが原因だとされる[96]。この事件が起こった同じ師団で前日の2011年7月3日、兵士が首を吊って自殺しており、いじめが原因なのか当局が捜査している[97]。2014年にも、いじめが原因で陸軍で同僚の5人を射殺した江原道高城郡兵長銃乱射事件が起こった。

韓国の学校には一陣会という、いじめなどを行う生徒の団体があり、地域連合を結成し広域化している。卒業式では、卒業生の制服を切り裂く裸コンパという風習がある。韓国の教育現場では脱北者に対するいじめも頻発し、脱北者の生徒は、罪人のように韓国学生たちの顔色をうかがい、戦々恐々とする日々を送っており、それに耐えかねて不登校に陥る例もある[98]

2011年12月、大田女子高生自殺事件など、3人の中高生がいじめを苦に相次いで自殺した[99]。2012年李明博大統領はいじめの総合対策を準備すると宣言した[100]

韓国教育科学技術省が調査した結果では、通学年齢の生徒たちを対象に実施した調査では、7万7000人以上がいじめられた経験があり、このうち10%は自殺を考えたことがある[101]

対策

積極的関与

スイスの心理療法士ヴァルター・ミンダーは、いじめは被害者の努力で解決することは稀であり、教師や親の積極的な関与が重要としている[40]。また、教師・家族・友人らによる支援がストレッサー(ストレス原因)を軽減することも分かっており[6]、周囲の支援がいじめを抑止する効果がある。

内藤朝雄はいじめ対策として「学級制度の解体」や「警察の介入」を挙げた[102]

スウェーデンの研究者ダン・オルヴェウスはオルヴェウスいじめ防止プログラム(OBBP)を作った[103]

いじめの発覚

平成19年文部科学省調査によれば、いじめが発見されたきっかけは、学校の教職員が発見したのが50.3%、本人や家族の訴えなど教職員以外がきっかけのものは49.7%であった[18]

教職員が発見した方法としては「アンケート調査など学校の取組により発見」は(24.4%。きっかけ全体に対する割合。以下同様)、「学級担任が発見」(19.8%)が多く、教職員以外のものでは、「本人からの訴え」(24.6%)、保護者(16.3%)、本人以外の児童生徒(5.1%)の順である[18]

監視カメラの設置

イギリスでは、いじめやその他の問題を把握するため、校内に監視カメラを設置する学校もある。監視カメラを設置している学校は9割に上り、保護者の中には、トイレ更衣室への設置も容認する団体もある[104]

日本でも附属池田小事件の発生を受けて平成14年11月の「学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議」が学校への防犯監視システムの推進を提言した[105]

教材

安藤美華代は、いじめを予防するための心理教育プログラム『サクセスフル・セルフ』小学校版および中学校版を用いた授業を行うことで、いじめを予防する効果が統計学的に有意に証明されたことを示している[106]

インターネット規制

インターネットでのいじめを防ぐため、2014年現在、イギリスの1000を超える学校では、いじめに繋がるスラングや暴力的発言を監視するソフトウェアを導入している[33]

保険

韓国では2014年、「いじめ保険」の販売を開始した[101]

代替

学校を転校し、フリースクールに通ったり、スクールカウンセラーを設置することなども対策となる。

ピンク・シャツ・デー

2007年にカナダの高校生2人から始まったいじめ反対運動「ピンクシャツデー」がカナダ全土に定着、2010年時点で75ヵ国が参加している[107] [108] [109] [110] [111]。ピンクシャツ・デーとは、2007年、カナダ・ノーバ・スコシア州の学校で、9年生(中学3年生)の男子学生がピンクのポロシャツを着て登校し、いじめられる。それを知った12年生(高校3年生)男子2人がその日の内に50枚のピンクのシャツ等を購入、メールや掲示板で友人知人等に呼びかける。翌朝、2人は50着を呼びかけた人に配って着てもらうが、この日に呼びかけ以上の学生がピンクの服で登校、学校がピンクに染まりいじめがなくなる。以降、毎年2月最終水曜が学校や職場にピンクを身につけて行くピンクシャツデーとしてカナダ全土に定着、アメリカイギリスなど世界各国へ広まった。

日本では、自身の過酷な被害体験・克服体験の作品化で中高生の支持を集めて小説家となった中園直樹が普及させた[112]

ケア

悪辣かつ長期化したいじめの場合、被害者の心の傷(心的外傷)は深く、性格そのものが変容する場合がある。深刻な心理的・肉体的・性的虐待を受けたあとでは、いじめそのものが解消したあとでも、本人のみではケアが困難となる。その場合には、精神科医カウンセラーに相談することも重要である。


防止法

日本では教育再生会議の第一次報告に関連して、いじめを繰り返す児童・生徒に対する出席停止措置などの現在の法律で出来ることは教育委員会に通知するように、2007年1月22日安倍晋三首相が伊吹文明文部科学相に指示した。2011年の大津市中2いじめ自殺事件を受けて、2013年にはいじめ防止対策推進法でいじめの定義と学校側の義務が定められた[113]。このほか、いじめ被害者は人権侵害等については憲法(権利の回復)、刑事事件刑法(刑事訴追)、民事事件は民法などで損害賠償請求などの法規定によって保護される。なお、少年犯罪の凶悪化を受けて少年法改正がすすめられている。

アメリカ合衆国では2011年、47州でいじめ禁止法(いじめ防止法、Anti Bullying Act)が成立している[53]。中学生男子への追跡調査では、加害者の60%が、24歳までに何らかの犯罪で有罪宣告を受けている[114]

スウェーデンでは教育法で、学校にいじめ対策の立案が義務化されている。


相談機関

いじめ問題に取り組む相談機関がある。相談窓口としては、 教育情報ナショナルセンターのいじめ問題相談機関情報いみめ問題学校・地域取り組み情報や、文部科学省いじめの相談窓口厚生労働省いじめ相談窓口法務省子どもの人権110番日本弁護士連合会子どもの人権に関する相談窓口などがある。

また、NPO、被害者の会などに相談することも対策となる。


脚注

  1. ^ Results From the 2001 School Crime Supplement to the National Crime Victimization Survey: Statistical Analysis Report - NCES 2005-310
  2. ^ 松村明(監修)小学館国語辞典編集部(編)『大辞泉』小学館。
  3. ^ たとえば、共同通信大阪社会部『大津中2いじめ自殺』PHP新書、2013年、83-85頁
  4. ^ このほかのいじめの定義については、武田さち子「もしかして、いじめ?」http://www.jca.apc.org/praca/takeda/step1.htm
  5. ^ a b 国立教育政策研究所生徒指導研究センター いじめ追跡調査2004-2006
  6. ^ a b c d e f g h i j k l 国立教育政策研究所生徒指導研究センター いじめ追跡調査2007-2009
  7. ^ 共同通信大阪社会部『大津中2いじめ自殺』〈PHP新書857〉2013年、147頁。ISBN 9784569812229 
  8. ^ 内藤朝雄『いじめの構造』講談社現代新書1984、2009年、49-52頁
  9. ^ 2001年『いじめの社会理論』
  10. ^ 金欲しさに強盗するような場合、暴力は金を手に入れるという目的のための手段であるから、「戦略的」攻撃と言われる。
  11. ^ 内藤朝雄『いじめの構造』講談社現代新書1984、2009年、49-52頁
  12. ^ a b いじめの定義:文部科学省 http://www.mext.go.jp/ijime/detail/1336269.htm
  13. ^ 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査
  14. ^ いじめ防止対策推進法(2013年6月28日法律第71号)、施行は2013年9月28日(附則第1条による)
  15. ^ 藤田英典『教育改革―共生時代の学校づくり』岩波書店、1997年、211-214頁。ISBN 978-4004305118
  16. ^ a b 森口朗『いじめの構造』新潮社、2007年、100頁。ISBN 978-4106102196
  17. ^ 松村明(監修)小学館国語辞典編集部(編)『大辞泉』小学館。
  18. ^ a b c d e f g h i j 平成20年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について公表資料
  19. ^ 小谷隆真2005年3月7日読売新聞
  20. ^ a b c 文部科学省 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(いじめ)
  21. ^ 文部科学省 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(中途退学)
  22. ^ 「バイクで青森へ」と強要され事故 国立大生が賠償提訴 朝日新聞
  23. ^ いじめ:大学先輩に慰謝料求める…近畿の国立大生が提訴 毎日新聞
  24. ^ 「いじめで統合失調症に」 広島市などに賠償命令
  25. ^ 平成19年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について公表資料
  26. ^ a b 佐々淳行『連合赤軍「あさま山荘」事件』 p181-p183 文春文庫
  27. ^ a b 1996年2月2日付産経新聞東京夕刊
  28. ^ 豊田充『「葬式ごっこ」八年目の証言』風雅書房、1994年
  29. ^ 内藤みか『たたかえ! てんぱりママ モンスターティーチャーとのあれれな日々』亜紀書房2012年ISBN 4750512117
  30. ^ SOS:中3自殺 LINEに「死ぬ準備」「さようなら」 毎日新聞 2014年5月27日
  31. ^ 長崎・中3自殺:「いじめ原因、なぜ認めぬ」 毎日新聞 2014年5月28日
  32. ^ リアルライブ』(2013年05月28日)「押尾学も悲鳴!蔓延する刑務所内イジメをゴマキ弟・後藤祐樹が語る
  33. ^ a b “Schools monitoring online bullying with slang translation software” (英語). The Guardian. (2014年1月25日). http://www.theguardian.com/education/2014/jan/25/schools-monitoring-online-bullying-student-slang-translation-software 2014年3月21日閲覧。 
  34. ^ 仙台市私立高校生根性焼き事件では2012年8月6日、同校2年の男子生徒が、同級生からたばこの火を腕に押し付けられるなどの暴行を受けたとして、宮城県警仙台東警察署に被害届を提出、受理された。“いじめ:「根性焼き強制」と高2男子が被害届 仙台”. 時事ドットコム. (2012年8月6日). http://mainichi.jp/select/news/20120807k0000m040093000c.html 。生徒や母親によると、学校側と同級生はいじめの一部しか認めなかった上、「やけどの跡で他の生徒を動揺させた」として退学処分を宣告し、母親らの反論も一切受付なかったとしている。“いじめ:「根性焼き強制」と高2男子が被害届 仙台”. 毎日jp. (2012年8月7日). http://mainichi.jp/select/news/20120807k0000m040093000c.html 
  35. ^ 内藤&荻上 2010、40-43頁
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関連項目

外部リンク

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