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|map=[[File:Anglospeak (subnational version).svg|300px]]
'''英語'''(えいご、英語:'''{{en|English language}}''')は、[[インド・ヨーロッパ語族]]の[[ゲルマン語派]]に属し、[[イギリス]]・[[イングランド]]地方を[[発祥]]とする[[言語]]である。
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|script=[[ラテン文字|ラテン]]([[英語アルファベット]])}}
{{Wikiversity}}
'''英語'''(えいご、{{Lang-en-short|English|links=no}} {{IPA-en|&#39;ɪŋɡlɪʃ|pron}} {{Smaller|イングリッシュ}}、{{lang-la-short|anglica}})とは、[[インド・ヨーロッパ語族]]の[[ゲルマン語派]]の[[西ゲルマン語群]]・[[アングロ・フリジア語群]]に属し、[[イングランド]]を[[発祥]]とする[[言語]]である。


==「英語」という呼称==
==「英語」という呼称==
当該[[言語]]の[[日本語]]における名前である「英語」の「英」はイギリスの漢字表記「'''英吉利'''」に由来する。古くには「英吉利語」<ref>例えば、青木輔清 編『[[英吉利]]語学便覧 初編』([[明治5年]]刊)など。</ref>という呼称もあったが、すでに廃れており「英語」という呼称のみが普及している。また、[[アメリカ合衆国]]で話される[[アメリカ英語]]は米語(べいご)とも呼ばれる<ref>[https://kotobank.jp/word/%E7%B1%B3%E8%AA%9E-623957 kotobank「米語」]([[kotobank]]) </ref>。同様に他言語にも「仏語」、「独語」、「西語」などの漢字2文字の呼称があるが、現代日本では「[[フランス語]]」、「[[ドイツ語]]」、「[[スペイン語]]」といった呼称の方が普及しており、漢字2文字の名前はもっぱら[[略語]]としてのみ用いられる。
「英語」の「英」はイギリスの[[漢字]]表記「'''英吉利'''」、もしくはイングランドの漢字表記「'''英格蘭'''」に[[由来]]する(「英吉利」「英格蘭」とも表記自体は先行する[[中国語]]に倣ったものであり、現代の中国語でも「[[:zh:英吉利海峡|英吉利海峡]]」などの語に残っている)。

同じような成立の略語に「[[フランス語|仏語]]」(仏蘭西語)、「[[ドイツ語|独語]]」(独逸語)、「[[スペイン語|西語]]」(西班牙語)などがあるが、現代日本では「[[フランス]]語」、「[[ドイツ]]語」、「[[スペイン]]語」といった呼称がより普及している。一方で英語は古くに「英吉利語」(イギリス語)<ref>例えば、青木輔清 編『英吉利語学便覧 初編』(明治5年刊)など。</ref>という呼称もあったがすでに廃れており「英語」という呼称のみが普及している。

==現況==
{{出典の明記|date=2016年1月24日 (日) 02:04 (UTC)|section=1}}
現在イギリス全体としての[[国語|国家語]]は英語であるが、イギリスに含まれるイングランドや[[ウェールズ]]や[[スコットランド]]、[[北アイルランド]]では英語以外の言語話者もいる。また、イギリス、[[アメリカ合衆国]]をはじめとして少なからぬ国で公用語となっており、それぞれが各々の規範を持つ[[複数中心地言語]]でもある。

[[20世紀]]中盤までイギリスが多くの[[植民地]]を抱えていたこと([[イギリス帝国]])は英語話者数の増加の要因となった。イギリスの取った植民地政策は間接統治であった。つまり[[エリート]]層をイギリス本国で[[教育]]させ、それぞれの植民地へ送り返した。上層階級であるエリート層はみな英語で教育を受けたため、植民地行政では英語が支配的となり、[[独立]]後もこの状態が続く。かくして旧イギリス領(現在その多くは[[イギリス連邦]]に加盟している)では法律が英語で起草されており、それによって公的に([[政治]]・[[経済]]・教育で)使われるようになり、イギリスとこれらの地域の共通語になった。

[[第二次世界大戦]]後イギリスは徐々に国際政治での影響力を弱めていくが、かつて英国が植民地を建設した土地でありまた同じ英語を使用する国でもあるアメリカ合衆国が強い影響力を持つようになり、結果として英語が有用な外国語として世界に広く普及することになった。

この現況に対しては世界中の非英語圏地域においてさまざまな反発が存在し、特に[[スペイン語]]圏では顕著な反英語感情が見られる。日本にも存在する反英語思想家の主張によると、「[[自然言語]]」の一つに過ぎないただの英語という言語がこれほどまでに高い国際的地位を保ち続け頑としてゆるがせにしない現在の状況は、イギリスやアメリカといった経済的[[超大国]]による国際支配の歴史を浮き彫りにするものであり、また世界の非英語国(特に発展途上国)への差別(特にその文化に対する差別)を助長するものであるという。さらにはそうした途上国の文化を滅ぼすおそれがあるとまで考える者もいる。それらの批判に対する解決策としては、「国際語」向けに作られた[[人工言語]](現在のところ[[エスペラント]]が最有力)に地位を与えることが考えられるが、「英語の地位を落とすに足る積極的理由もなしに『国際語』をわざわざ変える必要はない」「(英語が既にこれほどまでに普及し強く根づいている現状において)変えるとなると世界的な混乱や波紋を呼ぶことになる」などの反論があるほか、世界の反英語活動家はあまりに少なく目立った活動をできていない。経済、[[社会]]、[[文化]]など様々な分野で[[グローバリゼーション|グローバル化]]が進み、「国際共通語」としての英語の重要性は高まる一方である。


その一方、英語そのもので英語を意味するEnglishはイングランド(England)の[[形容詞]]形であり、「イングランド語」を意味する。
約80の[[国家|国]]・地域で話されており、[[世界]]で最も多くの国・地域で使用されている言語であり、{{要出典範囲|母語話者の人口でも、中国語(約13億7000万人)に次いで二番目(5億3000万人)に位置する|date=2017年1月}}。


==文字==
==文字==
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|}
|}


ヨーロッパの他の多くの言語と異なり、外来語およびその転写)を除いて[[ダイアクリティカルマーク]]はほとんど用いない。
[[ヨーロッパ]]の他の多くの言語と異なり、外来語およびその転写(フランス語由来の café〈[[カフェ]]〉など)を除いて[[ダイアクリティカルマーク]]はほとんど用いない。

手書き時は[[アルファベット]]が連なる[[筆記体]]が以前は主流だったが、現在は署名(サイン)など独自性を追求される場合を除いて、読みやすさなどの観点から[[ブロック体]]が主流である。
手書き時は[[アルファベット]]が連なる[[筆記体]]が以前は主流だったが、現在は署名(サイン)など独自性を追求される場合を除いて、読みやすさなどの観点からブロック体が主流である。
英語においては多くの文字が複数の発音を持っていて、綴りと実際の発音の食い違いも大きい。

英語においては多くの文字が複数の発音を持っている。また綴りと実際の発音の食い違いも大きく、発音されない[[黙字]]が存在したり、また一つの発音が幾通りもの綴りで表記される場合もある<ref>「英語の歴史」p97-100 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行</ref>。


==発音==
==発音==
{{出典の明記|date=2016年1月24日 (日) 02:04 (UTC)|section=1}}
{{main|英語学#音声・音韻学}}
{{main|英語学#音声・音韻学}}
英語の発音と綴りの間の関係は他のヨーロッパの言語と比べると一貫性に乏しい。これは主に[[中英語]]時代である15世紀初頭に始まり、[[近代英語]]初期である17世紀初頭に終わった[[大母音推移]]という現象が関係する。それ以前は「{{en|name}}」はナーメ、「{{en|time}}」はティーメと発音されていたが、ネイムやタイムという発音に変化した。その一方で同時期、[[活版印刷]]の発達とロンドン英語の普及の中で、英語の標準化を目指す動きが[[辞書]]編纂などの形で進んだが、当時は表音主義よりも伝統主義・語源主義の方が優勢で、古い発音に基づく綴りが固定化してしまった。また[[ラテン語]]をはじめとした他のヨーロッパ系言語からの借用語も、表音主義的な綴りよりも語源的綴字が用いられた。<ref name = "英語学コース1">
{{Cite book|和書
| editor=松浪有
| title=英語学コース[1]英語史
| year=1986
| publisher=大修館書店
| id=ISBN 4-469-14161-5
}}</ref>
日本語における[[歴史的仮名遣]]と同様、以下に述べるような発音規則がある程度成り立つが([[フォニックス]])、頻出語彙を中心として例外も多く( have、come、who など)、現在まで英語学習者を悩ませている。

;母音字 '''a''' に関わる発音
:*'''a''':
:**強勢があるときには{{ipa|æ}}。ただしその後に子音+eとなる場合や開音節の場合は{{ipa|eɪ}}と二重母音化する。<br />''例:{{en|f'''a'''t}} {{ipa|fæt}}, {{en|m'''a'''ke}} {{ipa|meɪk}}, {{en|n'''a'''tion}}{{ipa|ˈneɪʃən}}''
:**強勢がない場合は曖昧母音。<br />''例:{{en|ad'''a'''m'''a'''nt}} {{ipa|ædəmənt}} {{Audio|En-us-adamant.ogg|聞く}}''
:*{{en|ai}}:<br />''例:{{en|m'''ai'''l}} {{ipa|meɪl}} {{Audio|Mail.ogg|聞く}}''
:*{{en|al}}:{{ipa|ɔː}} またロマンス系単語の形容詞系としてのalは{{ipa|əl}}<br />''例:{{en|all}} {{ipa|ɔːl}}, {{en|talk}} {{ipa|tɔːk}}, {{en|national}} {{ipa|ˈnæʃnəl}}''

:*{{en|au}}:{{ipa|ɔː}}

英語における「ひとつの音」という認識単位は[[音節]]である。たとえば[[楽譜]]では、[[音符]](または[[スラー]]でつながった音符群)ひとつに音節ひとつが乗る。アクセントのある開音節は長母音または二重母音である。冠詞の {{en|the}} と {{en|a}} はアクセントがない場合に短母音の開音節であるが、強調するためにアクセントがかかると長母音・二重母音化する。ただしこれらの原則は大母音遷移以降に輸入された借用語で成り立たなかったり、中間的な発音になるケースも多い。

例えば {{en|nation}} と {{en|national}} はいずれもフランス語からの借用語であり、第1音節にアクセントがある。14世紀初頭で既に使われていた {{en|nation}} は大母音遷移の影響を受けた。一方、16世紀以降に定着した {{en|national}} は大母音遷移の影響を受けずフランス語に近い発音のまま、あるいは第2音節の母音を消失させることで英語風の発音にしている。


==文法==
==文法==
{{main|英語の文法}}
{{出典の明記|date=2016年1月24日 (日) 02:04 (UTC)|section=1}}
この項では[[英語教育]]・英語学習者に適する「[[伝統文法]]」(規範的)の枠組みを示す。これとはまったく別の記述的英文法は[[生成文法]]および[[英語学#統語論|英語学]]を参照されたい。


== 方言と変種 ==
他の印欧諸語、そのうちでも特に欧州の諸言語と比較して、現代英語には以下のような文法的特徴がある。
英語は[[複数中心地言語]]であり、明確な標準語は存在しない。ただし、最も早くイングランドに植民地化されたアメリカでも17世紀初頭、それ以外は18世紀末から19世紀末にかけての植民地化によって英語圏となったため言語が分化する時間が短く、さらに英語圏諸国は密接な関係を維持しているために言語の断絶も少なくなっており、意思疎通ができなくなるほどの言語分化は起こっておらず、一体性を持った言語として存続している<ref>「言語世界地図」p197-199 町田健 新潮新書 2008年5月20日発行</ref>。英語の系統としては、アメリカ大陸への植民によってアメリカ英語とイギリス英語の系統に分かれており、アメリカ英語系統はカナダ英語とアメリカ合衆国英語とに分かれ、合衆国英語は植民地化した[[フィリピン英語]]の元となった。これに対し、イギリスは18世紀末以降の積極的な植民によって世界各地に英語圏を広げていき、オーストラリア英語やニュージーランド英語、西インド諸島英語やインド英語など、カナダを除く旧イギリス領諸国の英語は全てイギリス英語の系譜へと連なっている<ref>「英語の歴史」p137 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行</ref>。
# 名詞に[[性 (文法)|性]]がない。a と an、these と those といったごく一部の[[限定詞]]だけが、[[数 (文法)|数]]によってのみ変化する。
# [[動詞]]の変化が単純になっている。しかし[[不規則動詞]]の数は比較的多い。[[規則動詞]]の変化形は[[過去形]]・[[分詞|過去分詞]]の {{en|-ed}}、[[分詞|現在分詞]]・[[動名詞]]の {{en|-ing}}、三人称単数現在形の {{en|-(e)s}} のみである。不規則動詞(古英語における強変化動詞の一部)では[[現在形]]、過去形、過去分詞で[[語幹]]変化が見られる。
# 西ヨーロッパの言語の大半の言語と同じく、名詞の格変化がほぼ消失しており、[[代名詞]]に残るのみである。それらの言語とは違い、さらに動詞の人称活用も殆どないため、格関係を示すものとして、前置詞以外には、[[語順]]が非常に大きな役割を持っている。
# 複雑な時間表現がある。下記の時制の章を参照。
# 否定文、疑問文で無内容の助動詞 「{{en|do}}」 を用いる。これは英語以外の印欧語では珍しい。
# [[主語]]の働きが強く、形式主語や無生物を主語にする文などが発達している。
# 二人称では単複および親疎の区別をせず「{{en|you}}」 のみを使う。
# 日本語や韓国語と違い、「主語・動詞・目的語」という順番で文が作られる。


一方、英語圏の辺縁においては、言葉の通じないもの同士が簡単なコミュニケーションを取るための[[ピジン言語]]が各地で成立した。特に[[カリブ海]]地域においては、[[奴隷貿易]]によって連れてこられたものたちの間で多様なピジン言語が成立し、さらに次の世代には母語話者を得て文法・語彙が整備され、[[ジャマイカ・クレオール語]]に代表される英語系の[[クレオール言語]]が多数成立した<ref>「世界の英語ができるまで」p239-241 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。このクレオール言語は[[解放奴隷]]によって[[西アフリカ]]へと持ち込まれ、[[クリオ語]]などの英語系クレオール言語がさらに成立した<ref>「世界の英語ができるまで」p247-249 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。英領の太平洋諸島においてもこの過程は存在し、[[パプアニューギニア]]の[[トク・ピシン]]などの英語系クレオール言語が成立している<ref>「英語の歴史」p146 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行</ref>。英国が世界各地に植民地を建設した関係上、英語を起源とするピジン言語・クレオール言語は非常に数が多く、全世界のピジン・クレオール言語の約40%は英語を起源とすると考えられている<ref>「よくわかる社会言語学」(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)p81 田中春美・田中幸子編著 ミネルヴァ書房 2015年9月20日初版第1刷発行</ref>。
===代名詞===
人称代名詞については[[英語の人称代名詞]]を参照。


=== 方言 ===
;人称[[疑問詞]]・[[関係代名詞]] 「{{en|who}}」 の格変化
*[[イギリス英語]]
:人称疑問詞 ([[:en:Interrogative|Personal interrogative]])・関係代名詞 ([[:en:Relative pronoun|Relative pronoun]]) {{en|who}} は、単数複数関係なく'''主格 {{en|who}} / 所有格 {{en|whose}} / 目的格 {{en|whom}} ({{en|who}})''' の格変化をするのみである(非人称疑問詞 {{en|what/which}} は所有格 {{en|whose}} の変化のみ)。
**[[容認発音]](RP、BBC英語、クイーンズイングリッシュ[米国で使うことの多い呼び名])
**[[コックニー]](ロンドン下町英語)
**[[河口域英語]]
**[[スコットランド英語]]
**[[スカウス]]([[リヴァプール]]英語 / [[マージーサイド]]英語)
**[[ジョーディー]]([[ニューカッスル・アポン・タイン|ニューカッスル]]周辺地域の方言)
**[[ヨークシャーアクセント]]
**{{仮リンク|ウェストカントリー|en|West Country English}}
***グロスターシャー、ドーセット、サマセット、デボン、コーンウォール地域とその周辺で主に話され、ゲルマン語に由来したアングロサクソンの古英語に最も近い英語。
**[[ブラミー]]([[バーミンガム]]周辺地域の方言)
**[[エセックス英語]]
*[[アイルランド英語]]
*[[ウェールズ英語]]
*[[オーストラリア英語]]
**Cultivated カルティヴェイテッド(上層)
**General ジェネラル(中級層)
**Broad ブロード(下層)
*[[ニュージーランド英語]]
*[[カナダ英語]]
*[[アメリカ英語]](米語)
**[[アメリカ中西部アクセント]](標準アメリカ英語、GA、CNN英語)
**[[テキサンアクセント]]
**[[ニューイングランドアクセント]]
***[[ボストンアクセント]]
**[[ニューヨークアクセント]]
**{{仮リンク|フィラデルフィアアクセント|en|Philadelphia_English}}
**[[フロリダアクセント]]
**[[北カロライナアクセント]]
**[[南カロライナアクセント]]
**[[アメリカ中北部英語]]
**[[アメリカ西部英語]]
***[[カリフォルニアンアクセント]]
***カリフォルニアンアクセントとは別だが、カリフォルニア発祥の方言として[[Valley girl accent]](日本で言うところの[[ギャル語]]、もしくは[[オネエ言葉]]に相当する)も存在する。現在ではカリフォルニアの女子の若年層以外にも世界中の英語圏の国々に広まっている。
**[[南部アメリカ英語]]
**[[間大西洋アクセント]]
***第二次世界大戦後あたりまでアメリカ上流層で流行っていた人工方言。主に政治家や俳優など人前で話すときに使われた。第一次世界大戦前あたりから使用され、ラジオを通したBBC英語にとても影響されていると思われる。
**[[フィリピン英語]]
*[[ジャマイカ英語]]
*[[インド英語]]
*[[南アフリカ英語]]
*[[コングリッシュ]]
*[[シングリッシュ]]
*[[香港英語]]


===名詞===
=== 職業変種 ===
* [[航空英語]]
;[[可算名詞]]と不可算名詞
* [[軍人米語]]
:英語には可算名詞と不可算名詞の区別がある。何が不可算であるか、日本人にとってわかりにくいものが多い。例えば {{en|furniture}}「家具」や集合的に扱われる{{en|fruit}}「果物」(個々の果物は可算)は不可算だが、{{en|vegetable}}「野菜」は可算。学問名の{{en|mathematics}}「数学」などは、-s がついているにもかかわらず不可算で、単数扱いである。
;常に複数の名詞
:{{en|pants}}「ズボン」、{{en|glasses}}「めがね」、{{en|scissors}}「はさみ」などは常に複数形で使われる。{{en|police}}「警察」、{{en|people}}「人民」、{{en|cattle}}「牛」のような集合名詞も複数として扱われる。
;名詞による名詞の修飾と数
:別の語(名詞)を修飾している名詞は複数形にならない。(例: {{en|three-year-old child}}「三歳児」は{{en|years}} とはならない。{{en|ten-dollar bill}}「10ドル札」も同様)
;複数変化
:可算名詞には単数形では不定冠詞をつけ、複数では語尾に「''{{en|s}}''」 を付する(例:{{en|books}}「本」)。語が無声音で終わっていれば発音は {{ipa|s}}、有声音なら {{ipa|z}} となる。[[歯擦音]]({{ipa|s}}・{{ipa|z}}・{{ipa|ʃ}}・{{ipa|ʒ}}・{{ipa|tʃ}}・{{ipa|dʒ}})に終わる語では{{en|es}} {{ipa|ɨz}} を付する(例:{{en|gases}} 「(数種の)気体」)。また「f」{{ipa|f}} で終わる語の中には {{ipa|f}} が有声化し {{ipa|v}} となる語があり、つづりの上では {{en|f}} を {{en|v}} に変えて {{en|es}} {{ipa|z}} を加える(例:{{en|leaves}} 「葉」)。正書法上は、{{en|o}} で終わる語には {{en|es}} {{ipa|z}} を加える。{{en|y}} で終わる語は、その前の字が子音字の場合は {{en|y}} を {{en|i}} に変えて {{en|es}} を加える。
一部の名詞は不規則に変化する。歴史的には、[[古英語]]時代にはさまざまな複数形の作り方があったのが、-s 形に統一されていったもので、これらの語は古形が残存したものであることが多い。
* 単複同形(例:{{en|sheep→sheep}}「羊」、{{en|fish→fish}}「魚」(ただし「複数種の魚」の意味では{{en|fish→fishes}})、{{en|deer→deer}}「鹿」)
* 母音が変化するもの(例:{{en|man→men}}「男」、{{en|woman→women}}「女」、{{en|foot→feet}}「足」、{{en|tooth→teeth}}「歯」、{{en|goose→geese}}「雁」、{{en|mouse→mice}}「ネズミ」)
* -en がつくもの(例: {{en|child→children}}「子供」、{{en|ox→oxen}}「牡牛」、{{en|brother→brethren}}「兄弟」、{{en|cow→kine}}「牝牛(雅語)」)
* その他(例: {{en|penny→pence}}「ペニー」、{{en|house→houses}} {{ipa|ˈhauzɨz}}「家」)
ほかに、借用語(とくにラテン語からの)では元の言語の変化方法に従うことが多い(例: {{en|datum→data}}「データ」、{{en|cactus→cacti}} 「サボテン」)。
;名詞の[[所有表現]]
:ある名詞が何らかを所有していることを表し直後に置かれる他の名詞を形容詞的に修飾する場合、もとの語が[[歯擦音]]で終わっているならば {{ipa|ɨz}} を、無声音で終わっている場合は {{ipa|s}} を、有声音で終わっている場合は {{ipa|z}} をつける。正書法上はいずれも {{en|&#39;s}} と記す。ただし -s に終わる複数の場合は何もつけず、つづりの上では {{en|&#39;}}([[アポストロフィ]]のみ)を付する(例:{{en|the servant&#39;s king}} 「使用人の王」/ {{en|the servants&#39; king}} 「使用人たちの王」)。-s で終わる固有名詞でも {{en|&#39;}} のみをつける場合がある。{{en|&#39;s}} は歴史的には[[属格]]に由来するが、属格と異なり、たとえば「スペイン王の」は {{en|king of Spain's}} と言い、*{{en|king's of Spain}} にはならない。
:また、[[前置詞]] {{en|''of''}} を用いて所有関係を表す(例:{{en|the crown of the king}} 「王の王冠」)り、このフランス語からの借用表現は英語の表現の自由度を向上させた。
もっと多くの例:
:*{{en|The judge&#39;s decision}} / {{en|Decision of the judge}} :裁判官の決定
:*{{en|The judges&#39; decision}} / {{en|Decision of the judges}} :裁判官たちの決定
:*{{en|Horus&#39; battleship}} / {{en|Battleship of Horus}} :ホリスの戦艦
;派生名詞
:他の品詞の語に語尾を追加して名詞化する例が多い。
:*動詞 + {{en|-''er''}} または {{en|-''or''}} …する人(行為者) 例:{{en|batter}}
:*動詞 + {{en|-''ing''}} …すること(行為) 例:{{en|batting}}
:*動詞 + {{en|-''ment''}} …すること(抽象的行為) 例:{{en|settlement}}
:*形容詞 + {{en|-''ness''}} …であること(状態) 例:{{en|madness}}
:*形容詞 + {{en|-''ity''}} …であること(状態) 例:{{en|possibility}}
:**形容詞 + {{en|-''ality''}} …であること(状態) 例:{{en|commonality}}
:*形容詞 + {{en|-''ist''}} …である人 例:{{en|specialist}}
:*名詞 + {{en|-''ism''}} …主義または傾向 例:{{en|capitalism}}
:*名詞 + {{en|-''ist''}} …主義者 例:{{en|capitalist}}
:元の品詞と意味の派生方法は代表的なものだけを示した。
:逆に言えば、これらの語尾で終わる英単語は([[英語#相|{{en|-''ing''}}]]を除いて)ほぼ間違いなく名詞である。<!-- {{en|editor}} という名詞から {{leng|en|edit}} という名詞を創出する様なケースも稀にある -->


===動詞===
=== 民族変種 ===
* [[黒人英語]]
一般動詞 ([[:en:English verbs|Ordinary verb]]) は、[[法 (文法)|法]] ([[:en:Grammatical mood|Mood]]) 、[[数 (文法)|数]] ([[:en:Grammatical number|Number]]) 、[[人称]] ([[:en:Grammatical person|Person]]) による活用をほぼ消失しており、三人称単数現在形で({{en|-'''(e)s'''}}が付されるだけである。[[時制]] ([[:en:Grammatical tense|Tense]]) による変化は不規則変化動詞においては現在形、過去形、過去分詞形でそれぞれ変化するが(例:{{en|rise/rose/risen}} 「昇る」)、規則変化動詞では過去形、過去分詞形に {{en|-''ed''}} 語尾が付されるのみとなる(例:{{en|walk/walked/walked}} 「歩く」)。また、動名詞 ({{interlang|en|Gerund}}) ・現在分詞 ([[:en:Participle|Present participle]]) においては全ての動詞において原形 (Bare form) に {{en|-''ing''}} 語尾を付すれば良い。
現在分詞や過去分詞は形容詞として扱われる。


=== その他の変種 ===
フランス語 ({{lang|fr|-er, -ir}}) やドイツ語 ({{lang|de|-en}}) と違い、不定形 ([[:en:Infinitive|Infinitive]]) に一見して動詞とわかる綴りの形はない。したがってある単語の原形が与えられたとき、動詞かどうか判断する手段はない。このため語形を変えずに品詞の転換が容易である。例:{{en|smoke}} は名詞では「煙」「タバコの一服」だが、そのまま動詞として「煙を出す」「タバコを吸う」とも使える。
*[[ベーシック英語]]
*[[スペシャル・イングリッシュ]]
*[[グロービッシュ]]
*[[プレインイングリッシュ]]
*[[アングリッシュ]]
*[[ピッグ・ラテン]]


=== 英語系クレオール言語 ===
====法====
* [[クリオ語]]
英語の'''[[法 (文法)|法]]'''は'''[[直説法]]'''、'''[[仮定法]]'''、'''[[命令法]]'''、[[条件法]]が存在する。
* [[ジャマイカ・クレオール語]]
;直説法 ([[:en:Realis mood#Indicative|Indicative|]])
* [[スパングリッシュ]]
:一般動詞においては過去形、過去分詞形、現在分詞形、動名詞、三人称単数現在形以外では目に見える形で活用せず、実質原形を用いる。
* [[トク・ピシン]]
;仮定法 ([[:en:Subjunctive mood|Subjunctive]])
* [[ナイジェリア・ピジン]]
:中英語期以前までは、現在・過去のいずれの時制でも現れ、それぞれ固有の語形変化をもっていたが、現代では仮定法自体やや特殊な用法となっている。 {{en|if}} などを用いた条件[[節 (文法)|節]] ([[:en:Conditional sentence|Conditional clause]]) 内においては一般動詞を過去形に、be動詞の場合は {{en|were}} にすることによって法を表現し(現在の口語では主語が {{en|you}} 以外の単数の場合 {{en|was}} が用いられることもある)、条件節以外では助動詞の過去形(例:{{en|would, could, might, should}})を用いることによって表現する。仮定法本来の動詞変化が消失したためにこのような形で表現するのであるが、そのせいで動詞の語形変化で表される時制と、仮定法によって叙述される時制にズレが生じる。
* [[ノーフォーク語]]
:*例:{{en|If I ''were'' a bird, I ''could fly'' into the sky.}} 「もし私が鳥ならば、空に向かって飛んでいけるのだが。」
* [[ハワイ・クレオール英語]]
:これを'''「仮定法過去」といい、叙述されているのは現在の状態・動作である'''。
* [[ピジン語]]
:仮定法によって過去の状態・動作を叙述するには、次のような構造を用いる。
* [[ビスラマ語]]
:*例:{{en|If I ''had been'' a bird, I ''could have flown'' into the sky.}} 「もし私が鳥だったならば、空に向かって飛んでいけたのだが。」
* [[ピトケアン語]]
:条件節内を「助動詞 {{en|have}} の過去形 {{en|had}}+過去分詞」とし、主節 ([[:en:Independent clause|Main clause]]) 内を「助動詞過去形+助動詞 {{en|have}}+過去分詞」とする。これを'''「仮定法過去完了」'''という。


=== 混合言語 ===
:仮定法の条件節において {{en|if}} を使わず、助動詞を倒置させることがしばしばある。
* [[シェルタ語]]
:*例:{{en|''Had'' I had the money, I could have made my fortune.}} 「あの金さえあればひとやま築けたのに。」
;命令法 ([[:en:Imperative mood|Imperative]])
:動詞を原形で[[文]] ([[:en:Sentence (linguistics)|Sentence]]) の最初に置くことによって表現する。命令法以外では文頭に動詞の原形が置かれることはほとんど無い。
:*例:{{en|Be quiet.}} 「静かにしなさい」 {{en|Go to school.}} 「学校に行け」 {{en|Open the window.}} 「窓を開けなさい」


====時制====
==歴史==
{{出典の明記|date=2016年1月24日 (日) 02:04 (UTC)|section=1}}
英語の基本的な[[時制]]は'''非過去''' ([[:en:Nonpast tense|Nonpast]]) と'''過去''' ([[:en:Past tense|Past]]) の二つである。これは[[ゲルマン語]]系言語に共通する特徴である。過去形は不規則変化動詞においては語幹変化で、規則変化動詞においては {{en|-''ed''}} 語尾を付して表現する。本来英語には未来時制がないので、未来のことを表現するときは法の助動詞 {{en|''will'', ''shall''}} を用いて表現したり {{en|''be going to''}} という慣用表現を用いたりする。直近の予定は現在進行形で表現することもある。
{{main|英語史}}
[[File:Britain.Anglo.Saxon.homelands.settlements.400.500.jpg|thumb|西暦400年代の[[ユトランド半島]]から[[ブリテン諸島]]への移住。<br>{{font color||LightSkyBlue|Jutes}}: [[ジュート人]]<br>{{font color||salmon|Angles}}:[[アングル人]]<br>{{font color||YellowGreen|Saxons}}: [[サクソン人]]]]
もともとイギリス諸島の先住民は[[ケルト人]]系であり、ケルト語系の言語が使用されていた。やがて1世紀から[[ローマ人]]がブリテン島に駐留するようになったが、そのローマ人が西暦410年に本国に引き上げると、5世紀半ばから6世紀にかけて、[[ジュート人]]・[[アングル人]]・[[サクソン人]]といったゲルマン系の人々が大陸からブリテン島に渡来して、先住のケルト人を支配するようになり、イギリス諸島においてゲルマン系の言語が定着した。ここから英語の歴史が始まる。彼らの話していた言語は[[ゲルマン語派]]のうちの[[西ゲルマン語群]]に属しており、[[ドイツ語]]や[[オランダ語]]と近い関係を持っていた。なかでもオランダの[[フリースラント州]]で話されていた[[フリジア語]]とは極めて近い関係にあり、[[アングロ・フリジア語群]]として同一語群の中に含まれている<ref>「英語の歴史」p24-25 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行</ref>。


以後の英語の[[歴史]]はふつう、450年から1100年頃にかけての[[古英語]]、1100年頃から1500年頃にかけての[[中英語]]、それ以降の[[近代英語]]の3期に大別される。中英語と近代英語の間は[[初期近代英語]]と分類でき、また20世紀以降の近代英語は現代英語と分類される<ref>「英語の歴史」p38 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行</ref>。
英語の時制、法、相、態は以下のように結びつく。


古英語は渡来者たちの方言差を引き継ぐ形で方言を持っていたが、10世紀前半に陸地王国が統一されると徐々に標準語の需要が高まっていき、10世紀末にはウェストサクソン方言が標準書記言語としての地位を確立した<ref>「世界の英語ができるまで」p20-21 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。しかし11世紀の[[ノルマン・コンクエスト]]によって[[フランス]]から来た[[貴族]]階級が話していた[[ロマンス諸語]]の[[オイル語]]系の[[ノルマン語]]が公用語として14世紀まで使われ、英語は公的部門で使用されなくなり、確立した標準語も消失した。このことにより、中英語では[[ロマンス諸語]]、特にフランス語からの借用語の増大と、庶民の間での英語の簡素化がすすみ、形態変化の単純化、名詞の性別の消失などを引き起こした<ref>「世界の英語ができるまで」p24-26 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。ただし中英語の変化のどこまでが言語接触の影響によるものかは議論がある。その後、1362年には公的な場面で英語が使用されるようになり、15世紀初頭には公文書にも使用されるようになった。これに伴い、公文書体に準拠した書き言葉の整備が進んだ<ref>「世界の英語ができるまで」p36-38 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。一方、15世紀初頭には[[大母音推移]]と呼ばれる発音の変化がはじまり、[[近代英語]]初期である17世紀初頭まで続いたことで、英語の発音は以前と比べ大きく変化したものの、書き言葉の綴りは伝統的な発音に基づいて整備されることが多く、さらに[[活版印刷]]の普及などによってこの綴りが固定化したため、単語の発音と綴りの間にずれが生じるようになった<ref>「世界の英語ができるまで」p42-44 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。
{|class="wikitable" border="1" style="text-align:center"
! rowspan=2|時制 !! rowspan=2|法 !! colspan=2|相 !! rowspan=2|態 !! rowspan=2|動詞
|-
! 完了相 !! 進行相
|-
|Ø (非過去)<br/> -ed (過去)
|Ø (通常)<br/> will (未来)
|Ø (通常)<br/> have -ed (完了)
|Ø (通常)<br/> be -ing (進行)
|Ø (能動)<br/> be -ed (受動)
|do
|}
時制、法 ({{en|will}}) 、完了、進行が各2通りあるので、実質的な時間表現は16通りある。[[不定詞]]では相および態しか使えない。本来の時制の他、{{en|will}} による未来表現も時制に入れることがある。この場合、現在 (-Ø) 、過去 ({{en|-ed}}) 、未来 ({{en|will}}) 、過去未来 ({{en|would}}) と呼ばれる。


====相====
==現況==
[[File:Kachru's three circles of English.svg |thumb|ブラジ・カチュルによる英語使用状況モデル。内円にイギリスやアメリカなどの母語使用圏、外円にインドやナイジェリアなどの第二言語使用圏、拡大円に中国やロシア、ブラジルといった外国語としての使用圏が配されている]]
英語の[[相 (文法)|相]] ([[:en:Grammatical aspect|Aspect]]) は、'''[[完了相]]''' ([[:en:Perfect (grammar)|Perfect aspect]]) と'''[[進行相]]''' ([[:en:Continuous and progressive aspects|Progressive aspect]]) が存在する。
英語話者の分類としては、1970年代に提唱された3タイプによる分類法が広く使用されている。すなわち、母語としての英語(English as a Native language、ENL)、第二言語としての英語({{interlang|en|English as a second language}}=ESL)、[[外国語]]としての英語({{interlang|en|English as a foreign language}}=EFL)である<ref>「英語系諸言語」p88-89 トム・マッカーサー著 牧野武彦監訳 山田茂・中本恭平訳 三省堂 2009年9月15日第1刷発行</ref>。また、[[ブラジ・カチュル]]は上記の分類法を元に、英語の使用状況を、母語使用圏からなる内円・第二言語使用圏からなる外円・外国語としての使用圏からなる拡大円の3つの円を使ってモデル化した<ref>「英語系諸言語」p117-118 トム・マッカーサー著 牧野武彦監訳 山田茂・中本恭平訳 三省堂 2009年9月15日第1刷発行</ref>。


=== 英語圏 ===
;完了相
{{See also|国別英語話者数ランキング|英語を公用語としている国の一覧|英語圏}}
:「助動詞 {{en|have}} + 過去分詞形動詞」によって表される。助動詞 {{en|have}} を過去形 {{en|had}} にすることにより、完了相の時制を表現することが可能である。
:*現在完了の例:{{en|She ''has gone'' to India.}}「彼女はインドへ行ってしまった。」
:*過去完了の例:{{en|He said that she ''had gone'' to India.}}「彼は、彼女がインドに行ってしまったのだと言った。」
:過去完了を用いることにより、間接[[話法]]中において、時制の差異を表現することができる。これを「[[大過去]]」ともいう。
:現在完了と過去時制との違いは、後者が過去における事実を叙述するに過ぎないのに対し、前者は過去の行為が現在に及ぼす影響を含んでいること。したがって現在完了は経験や継続を表すのに使われる。
:*現在完了の例:{{en|She ''has gone'' to India.}}「彼女はインドへ行ってしまった(そのまま戻っていない)。」
:*過去の例:{{en|She ''went'' to India.}}「彼女はインドに行った(もう戻っているかもしれないし、戻っていないかもしれない)。」
:*現在完了の例:{{en|She ''has lived'' in India.}}「彼女はインドに住んだ経験がある」または「彼女はインドに(現在に至るまで)住み続けている。」
:*過去の例:{{en|She ''lived'' in India.}}「彼女は(過去のある時点で)インドに住んでいた(現在どこに住んでいるかは叙述していない)。」
:古くは自動詞の完了相は「助動詞{{en|be}} + 過去分詞形動詞」によって表されていた。現在でも少数の自動詞は慣用的にこの形をとる。「少数」とはいえ、慣用により頻出である。
:*例 {{en|He is gone.}} 「彼は行ってしまった。」
:*例 {{en|The sun is set.}} 「日は沈んでしまった。」
:*例 {{en|I&#39;m done with it.}} 「私はもう済みました。」
:
;進行相
:「助動詞 {{en|be}} + 現在分詞形動詞」によって表される。ただし動作を表す動詞しか用いることはできない(例えば {{en|know}} や {{en|have}} は状態を表すので一般的には進行相にならない)。また助動詞 {{en|be}} を過去形 {{en|was, were}} にすることにより、進行相の過去時制を表現することが可能である。
:*現在進行形の例:{{en|She ''is playing'' tennis.}}「彼女はテニスをしている。」
:*過去進行形の例:{{en|She ''was playing'' tennis.}}「彼女はテニスをしていた。」


[[File:English dialects1997.png|250px|right|thumb|'''国別の英語話者人口''' 2/3をアメリカ合衆国一国が占める]]
====態====
[[File:Percentage of English speakers by country and dependency as of 2014.svg|upright=1.2|thumb|420px
英語の[[態]]は'''[[能動態]]''' ([[:en:Active voice|Active voice]]) と'''[[受動態]]''' ([[:en:Passive voice|Passive voice]]) があり、能動態においては動詞によって表される状態・動作を主語が行うことを表す。一方受動態は、主語が何らかの動作を「されている」ことを表す。受動態は「助動詞 {{en|be}} + 過去分詞」で表現され、その場合の真の動作主は {{en|by}} で導かれる前置詞[[句]] ([[:en:Adpositional phrase#Prepositional phrases|Prepositional phrase]]) によって表される。ただし、[[他動詞]] ([[:en:Transitive verb|Transitive verb]]) に限定され、能動態において目的語を取らない[[自動詞]] ([[:en:Intransitive verb|Intransitive verb]]) (例:{{en|stand}}「立つ」)は受動態にできない。また、助動詞 {{en|be}} を過去形 {{en|was, were}} にすることにより、受動態の時制を表現することが可能である。
|2014年時点での人口に占める英語話者の割合{{Multicol}}{{legend|#225500|80–100%}}{{legend|#44aa00|60–80%}}{{Multicol-break}}{{legend|#66ff00|40–60%}}{{legend|#99ff55|20–40%}}{{Multicol-break}}{{legend|#ccffaa|0.1–20%}}{{legend|#c0c0c0|データなし}}{{Multicol-end}}]]
[[File:Map of English native speakers.png|upright=1.2|thumb|300px|英語母語話者の人口に占める割合]]


英語を母語とする人々が多数を占めたり、あるいは国語や公用語に英語が指定されている地域は[[英語圏]]と総称される。2007年時点では、全世界192カ国のうち英語を公用語としている国は55カ国にのぼっていた<ref>「言語世界地図」p194 町田健 新潮新書 2008年5月20日発行</ref>。英語を[[母語]]としている人は[[世界人口]]の4.68%で、第1位の中国語(13.22%)と比べかなり少ない<ref>{{Cite web|url=https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/fields/2098.html|author=CIA|title=The World Factbook -Field Listing ::Languages|language=英語|accessdate=2009-11-26|url-status=dead|url-status-date=2024-01-19}}</ref>。しかし公用語人口としては英語が世界一である<ref>{{cite book|和書|title=なるほど知図帳世界2009|publisher=昭文社|year=2008|isbn=978-4398200396}}</ref>。
*「能動態」の例:{{en|He built the dog house.}}「彼は犬小屋を造った。」
*「受動態」の例:{{en|The dog house ''was built'' (by him).}} 「犬小屋が(彼によって)造られた。」


現在、イギリス(UK)全体としては圧倒的に英語話者が多数を占めているものの、英語が法的に国家の公用語とされているわけではない<ref>「よくわかる社会言語学」(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)p147 田中春美・田中幸子編著 ミネルヴァ書房 2015年9月20日初版第1刷発行</ref>。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドをはじめとして数十の国または地域では公用語もしくは事実上の公用語となっている。[[アメリカ合衆国]]は、全人口の約8割が英語を話し最大の英語話者数を抱えているが、国としての公用語は指定していない。一方で州単位で公用語を決める動きが1980年代以降活発化し、2006年時点では[[カリフォルニア州]]、[[フロリダ州]]、[[イリノイ州]]など50州の内28州で英語のみが公用語に指定されている<ref>「アメリカ」(世界地誌シリーズ4)p82-83 矢ヶ﨑典隆編 朝倉書店 2011年4月25日初版第1刷</ref>。詳しくは[[:en:Template:Official_languages_of_U.S._states_and_territories]]を参照。
これらの法・時制・相を組み合わせて複雑な時間軸・動作の表現をすることも論理上可能になる。


第二言語としての英語圏の多くは、[[イギリス帝国]]の植民地に由来する。イギリス統治期、現地[[エリート]]層のほとんどは英語で教育を受け、植民地行政でも英語が公用語とされたため、[[独立]]後も多くの国でこの状態が引き継がれ、[[政治]]・[[経済]]・教育といった公的分野で英語が使用されていることが多く、また国内言語が統一されていない国家においては、エリート層の共通語として英語が機能していることもある。ただしこうした国家において英語話者は多数派ではないことがほとんどである<ref>「よくわかる社会言語学」(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)p88-89 田中春美・田中幸子編著 ミネルヴァ書房 2015年9月20日初版第1刷発行</ref>。
*例:{{en|He would say that the building had been being built.}}「彼は言うだろう、その建物は建設中であったと。」
**({{en|would}} は仮定法、{{en|had been}} が過去完了形、{{en|been being}} が進行形、{{en|being built}} が受動態)


====be動詞活用====
=== 国際共通語として英語 ===
意思の疎通が可能な国や地域を考慮すると、英語は世界でもっとも広く通用する言語と考えられている<ref>[[:en:List_of_languages_by_number_of_native_speakers]]</ref>。英米の影響などで英語が国際[[共通語]]として使われるようになったため、[[外国語]]として英語を学習・使用する人も多い。そのため、世界各国でイギリス(イングランド)方言・アメリカ方言などの英語の枠組みを超えた「新英語」が出現するようになった<ref>「英語の歴史」p143 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行</ref>。
原形は {{en|''be''}} である。仮定法過去においては人称に関係なく {{en|''were''}} となる(主語が {{en|you}}*以外の単数の場合は {{en|''was''}} が使われることもある)。過去分詞形は {{en|''been''}}、現在分詞、動名詞は {{en|''being''}} である。


英語は[[国際連合]]の公用語の一つであるほか、多くの[[国際機関]]において公用語としての地位を確立している。[[石油輸出国機構]]のように、英語を第一言語とする国家が加盟していないのにもかかわらず英語を公用語とする国際機関すら存在する。また、2007年時点においてインターネット上で最も使用される言語は英語であり、英語圏以外の国の[[マスメディア]]も多くの場合英語放送や英語版の発行を行っている。[[航空交通管制]]は英語での交信が原則となっている。また[[自動車]]の車内の表記(スイッチ類、メーター類など)や車外の車名以外の表記{{efn|「[[四輪駆動|4WD]]」、「[[ターボチャージャー|TURBO]]」など。}}は英語表記が主流である{{efn|ただし[[トヨタ自動車|トヨタ]]の[[トヨタ・センチュリー#2代目 GZG5#型 (1997年 - 2017年)|2代目のセンチュリー]]のように、[[カーエアコン|エアコン]]や[[パワーウィンドウ]]のスイッチを日本語の表記としている例もある<ref>{{Cite web|url=https://gazoo.com/ilovecars/lifestyle/21/04/10/v/|title=初めての愛車は「かわいい」から選んだトヨタ センチュリー|accessdate=2024-11-26}}</ref>。}}。学術分野でも英語は共通語となりつつあり、文化面でも[[映画]]や[[音楽]]などは英語使用が主流となっている<ref>「英語の歴史」p5-10 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行</ref>。[[翻訳]]においては、英語以外の言語間で翻訳を行う場合すら、直接翻訳ができない場合はいったん原語から英語へと変換し、またそこから他言語へ変換することが珍しくない<ref>「よくわかる翻訳通訳学」(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)p69 鳥飼玖美子編著 ミネルヴァ書房 2013年12月10日初版第1刷発行</ref>。このように経済、[[社会]]、[[文化_(代表的なトピック)|文化]]など様々な分野でグローバル化に伴う英語の普及が進み、「国際共通語」としての英語の重要性は高まる一方である。こうしたことから各国でも盛んに[[英語教育]]が行われるようになり、[[欧州連合]](EU)では、学校でもっとも学ばれている外国語となっている<ref name="srv06">{{cite web|url=http://ec.europa.eu/education/languages/pdf/doc631_en.pdf|format=PDF|date=2006-02|title=Europeans and their Languages|author=Eurobarometer|language=英語|accessdate=2009年11月26日}}</ref>。
{|class="wikitable" border="1" style="text-align:center"
! rowspan=2|直説法
! colspan=2|一人称
! colspan=1|二人称
! colspan=2|三人称
|-
! 単数
! 複数
!
! 単数
! 複数
|-
! 現在形
|am
|are
|are
|is
|are
|-
! 過去形
|was
|were
|were
|was
|were
|-
|}


英語が国際共通語として使用されるようになったのはそれほど古くはなく、19世紀まではフランス語が外交用語や国際共通語としての地位を占めていたが、[[第一次世界大戦]]後から英語はフランス語と並ぶ国際語としての地位を徐々に築いていった<ref>「言語世界地図」p196 町田健 新潮新書 2008年5月20日発行</ref>。[[第二次世界大戦]]後イギリスは徐々に国際政治での影響力を弱めていくが、同じ英語を使用する国であるアメリカ合衆国が強い影響力を持つようになり、さらにイギリスから独立した国家群のほとんどは独立後も英語利用を続けることが多かったため、結果として英語が有用な外国語として世界に広く普及することになった<ref>「変容する英語」p160 菅山謙正編 世界思想社 2005年8月10日第1刷発行</ref>。
====人称代名詞とbe動詞の関係====
be動詞の変化の仕方などについては、下の表を参照。be動詞は[[進行形]]にも使用される。
{{現代英語の人称代名詞とbe動詞}}
;例
*{{en|I&#39;m Jim.}} 私はジムです。({{en|I&#39;m&#61;I am}})
*{{en|You&#39;re playing soccer.}} あなたはサッカーをしています。({{en|You&#39;re&#61;You are}})
*{{en|She was young.}} 彼女は若かった。
*{{en|It&#39;s cold.}} 寒い({{en|It&#39;s&#61;It is}})
*{{en|Is she a teacher?}} 彼女は先生ですか?
*{{en|What are those?}} あれらは何ですか?
*{{en|Who left their dirty socks on the breakfast table?}} 誰が朝食机の上に汚れた靴下を放置したの?


この現況に対して、英語の影響力強化を懸念する立場からは英語が他言語を圧迫し[[言語帝国主義]]に陥っている、すなわち[[英語帝国主義]]であるとの批判も見られる<ref>「よくわかる社会言語学」(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)p94-95 田中春美・田中幸子編著 ミネルヴァ書房 2015年9月20日初版第1刷発行</ref>。
====動詞を原形で用いる場合====
原形で使用する場合もある。
*助動詞の後 例 {{en|It must '''be''' true.}} それは本当に違いない。
*不定詞のとき 例 {{en|Be sure to '''be''' there at ten.}} 10時には必ずそこに行きなさい。
*命令文のとき 例 {{en|'''Be''' quiet.}} どうか静かにしてくれ。
*要求・提案を表す動詞につづくthat節。ただし、[[イギリス英語]]ではshould+動詞の原形となる。 例 I demanded that they '''(should) be''' present at all classes. 私は彼らがすべての授業に出ることを要求した


==母語圏の英語事情==
===助動詞===
===イギリス・アイルランドの英語事情===
[[助動詞 (言語学)|助動詞]] ([[:en:Auxiliary verb|Auxiliary verb]]) は法、[[相 (言語学)|相]]などの文法的機能を担い、意味を担う本動詞と共に用いる。
;不定詞を後置する場合
:助動詞には直後に[[原形不定詞]]を置くものと [[to不定詞|{{en|to}}不定詞]]を置くものがある。中でも可能・義務・予定など、話者の意思を表すものは法助動詞 ([[:en:Modal verb|Modal auxiliary]]) と呼ばれ、助動詞の中でも使用の頻度が高い。
:*法助動詞の例:{{en|can, will, shall, may, must, need, dare}}
:古英語・中英語期に、一般動詞として使用されてきたものが転じて助動詞となったものがある(例:{{en|can←cunnan}} 「〜できる」)。{{en|must}} を除く法助動詞は過去形を持ち、本動詞の代わりに語形変化をして過去時制を表す。
:*例:{{en|Once I ''could'' swim very well.}}「私はかつて、上手く泳げた。」
:英語には元来未来時制は存在しないが、{{en|will, shall, be going to}} を用いることによって未来を表せる。
;[[分詞]]を後置する場合
:分詞を後置する助動詞には {{en|have, be}} があり、各々過去分詞・現在分詞と結びついて完了相・進行相を形成する。この場合 {{en|have, be}} は主語の人称・数・時制に対応して一般動詞の場合と同様の語形変化をする。
;[[疑問文]]と[[否定文]]の形成
:;助動詞が無い文の場合
::助動詞が無い肯定文を疑問文・否定文にするには、助動詞 {{en|do}} を用いる。その場合の {{en|do}} は主語の人称・数・時制に対応して語形変化する。その際の語順は、疑問文の場合「助動詞 {{en|do}} →主語 →本動詞」となる。
::*例:{{en|Do you swim?}} 「あなたは泳ぎますか?」
::*例:{{en|Does he swim?}} 「彼は泳ぎますか?」
::*例:{{en|Did you swim?}} 「あなたは泳ぎましたか?」
::ただしbe動詞と古風なイギリス英語における所有を表す {{en|have}} は、{{en|do}} を使わずに主語と倒置させて疑問文を作る。
::*例:{{en|Are you a swimmer?}} 「あなたは泳者ですか?」
::*例:{{en|Have you a pen?}} 「ペンを持っていますか?」(古風なイギリス英語のみ。ただし具体的な「所有」の場合に限る。形質を表す場合、例えば「{{en|Has he blue eyes?}}」とは言わない)
::否定文の語順は「主語→助動詞 {{en|do}}→副詞 {{en|not}}→本動詞」となる。一般に {{en|do}} と {{en|not}} が縮約して {{en|don&#39;t}} になる。疑問文と同様、{{en|be}} と古風なイギリス英語における {{en|have}} は、{{en|do}} を用いない。
::*例:{{en|I do not swim.}} 「私は泳ぎません。」
::*例:{{en|He does not swim.}} 「彼は泳ぎません。」
::*例:{{en|You did not swim.}} 「あなたは泳ぎませんでした。」
::*例:{{en|I am not a swimmer.}} 「私は泳者ではありません。」
::*例:{{en|I have not any money.}} 「私はお金をまったく持っていません。」(古風なイギリス英語のみ)
:;助動詞がある文の場合
::助動詞がある肯定文を疑問文にするには、助動詞を主語の直前に置き語順を「助動詞 - 主語 - 本動詞」にする。
::*例:{{en|Can you swim?}} 「あなたは泳げますか?」
::*例:{{en|Are you driving a car?}} 「運転中ですか?」
::また、助動詞の直後に副詞 {{en|not}} を置くことにより否定文を形成する。{{en|am}} と {{en|may}} を除き、{{en|n&#39;t}} を含む縮約形がある。ただし口語表現では {{en|mayn&#39;t}} という形は存在し、また砕けた表現ではあるものの {{en|am not→ain&#39;t}} という表現がある。
::*例:{{en|I will not swim.}} 「私は泳ぎません。」
::*例:{{en|I am not driving a car.}} 「運転中ではありません。」
:;疑問否定文の形成
::否定文をさらに疑問文にするには、助動詞を主語の前に移動する。この時、{{en|n&#39;t}} を含む縮約形は1語と見なす。
::*例:{{en|Don&#39;t you swim?}} 「あなたは泳がないのですか?」
::*例:{{en|Aren&#39;t you driving a car?}} 「運転中ではないのですか?」
::硬い表現では縮約形を使わないが、この時、{{en|not}} は元の位置に留まる。{{en|am}} と {{en|may}} は縮約形が無いので、必ずこの形式になる。
::*例:{{en|Do you not swim?}} 「あなたは泳がないのですか?」
::*例:{{en|Are you not a swimmer?}} 「あなたは泳者ではないのですか?」
:;否定命令文の形成
::動詞の種類にかかわらず {{en|don&#39;t}} (= {{en|do not}}) を文頭に置く。(つまり {{en|be}} を一般動詞と見なすということ。これは命令文は法の種類でみると命令法に含まれるため)副詞の {{en|never}} を用いることもある。
::*例:{{en|Don&#39;t swim.}} 「泳ぐな」
::*例:{{en|Don&#39;t be surprised.}} 「驚かないでね」
::*例:{{en|Never mind.}}「気にするな」
:;付加疑問文の形成
::助動詞と代名詞からなる2語の疑問文を文末に付加し、付加疑問文を形成する。付加疑問文では文中の動詞と同一の時制、相をとる。なお、行する文が肯定文の場合は付加疑問文は否定文となり、先行する文が否定文の場合は付加疑問文が肯定文となる。つまり先行文と肯定・否定の関係を逆転させる。
::*例:{{en|He will study English, ''won&#39;t he?''}} 「彼は英語を勉強しますね?」
::*例:{{en|He is studying English, ''isn&#39;t he?''}} 「彼は英語を勉強していますね?」
::*例:{{en|He won&#39;t study English, ''will he?''}} 「彼は英語を勉強しませんね?」
::*例:{{en|He isn&#39;t studying English, ''is he?''}} 「彼は英語を勉強していませんね?」
::このとき硬い表現での付加否定疑問文では、上記の通り助動詞→主語→{{en|not}}の語順となる。よって {{en|I}} を主語とした文では {{en|〜, am I not?}} となるわけであるが、堅すぎるとして口語においては {{en|〜, don&#39;t you think?}} 等と言い換えることがある。
:
;動詞の強調
:助動詞 {{en|do}} を本動詞の前に置いて動詞を強調する。
:*例:{{en|I do swim.}} 「(泳がないなんてことはありません)本当に泳ぎます」
:この用法は[[平叙文]]ではbe動詞に使えないが、命令文では使える。
:*例:{{lang|ne|Do be prepared.}} 「しっかり準備しておいてください。」
:
;疑問文に対する回答で元の動詞を代表する
:この用法の {{en|do}} は特に「代動詞」と呼ばれることがある。
:*例:{{en|Do you swim? / Yes, I do.}} 「あなたは泳がないのですか?」 「はい、泳ぎます。」
:*例:{{en|Can&#39;t you swim? / Yes, I can.}} 「あなたは泳げないのですか?」 「泳げます。」
:日本語と違い、疑問が肯定的であるか否定的であるかに関わらず回答が肯定文ならば {{en|yes}}、否定文ならば {{en|no}} で答える(日本語の場合の回答の「はい」「いいえ」は質問者の考えの正否を答えている)。
;二重否定
:現代英語の規範文法では、[[二重否定 (言語学)|二重否定]]は肯定を意味する。否定を否定することによって強い肯定を表す場合の他に、ためらいなど話者の微妙な感情を表現している場合がある。
:*{{en|I&#39;ve never done anything illegal.}}「違法なことをしたことなんか一度もない」。
:*{{en|I&#39;m not uninterested in marrying you.}}「君との結婚に興味がないわけじゃないんだよ」。<ref>英語の母語話者間では、このような否定の接頭辞({{en|un-, in-, dis-}} など)の付く派生語の文章は、二重否定と捉えられていない場合が多い。例えば、英語版記事([[:en:double negative|double negative]])や、Betty Azar著 ''Understanding and Using English Grammar'' では、このようなものを例をして挙げておらず、総じて二重否定は禁止されているとする。</ref>
:17世紀以前の英語や、今日でも一部の[[方言|地域方言]]、また[[黒人英語]]に代表される[[社会方言]]等では、二重否定は否定の強調として使われることがある。[[ポップ・ミュージック]]には少なからず見られる表現である。
:*{{en|We don&#39;t need no education.}}「教育なんか必要ない」(={{en|We don&#39;t need any education.}})<ref> [[ピンク・フロイド]]の[[アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール]]の有名な一節。</ref>

=== その他の品詞 ===
;[[形容詞]]
:形容詞 ([[:en:Adjective|Adjective]]) は古英語期まで修飾する名詞の数・性・格によって変化していたが、現在では消失した。語形変化としては[[比較級]] ([[:en:Comparative|Comparative]]) の {{en|-''er''}} および[[最上級]] ([[:en:Superlative|Superlative]]) の {{en|-''est''}} 接辞がある。3[[音節]]以上の語では級変化せず、直前に副詞 {{en|more, the most}} を置く。一部の形容詞には語幹変化するものもある(例:{{en|many/much→more→most, little→less→least}})。
:英語の形容詞の位置は安定しており、補語となる場合(例:{{en|He looks good.}})を除き修飾される名詞の前に置かれる(例:{{en|He is a good guy.}})。修飾される名詞が{{en|somebody, anybody, nobody, someone, anyone, no one, something, anything, nothing}}の場合のみフランス語のように後置される(例:{{en|something good}})。
;[[副詞]]
:元来独立して副詞 ([[:en:Adverb|Adverb]]) として存在してきたものに加え、古英語時代の接尾辞 {{en|-lice}} の流れを受け、形容詞に {{en|-ly}} を付けた物が多い。
:形容詞や別の副詞を修飾する場合は前置されるが、動詞を修飾する場合は前置の場合と後置の場合がある(例:{{en|He seldom runs, but he runs fast.}})。
;[[冠詞]]
{{main|英語の冠詞}}
:冠詞 ([[:en:Article (grammar)|Article]]) は、[[限定詞]]の1種。
:冠詞には[[定冠詞]] ([[:en:Article (grammar)#Definite article|Definite article]]) {{en|''the''}} と[[不定冠詞]] ([[:en:Article (grammar)#Indefinite article|Indefinite article]]) {{en|''a''/''an''}} が存在する。これもすべての格変化を消失している。
;前置詞
:前置詞 ([[:en:Preposition and postposition|Preposition]]) は、英語においては特に発達している。理由としては、中英語期まで名詞は[[主格]] ([[:en:Nominative case|Nominative]]) の他に属格、[[与格]] ([[:en:Dative case|Dative]]) 、[[対格]] ([[:en:Accusative case|Accusative]]) の格変化を持っており、語形変化によって他の語との意味的な関係を表していたが、現代英語に至って格が消失した結果、それを補うためと考えられる。
;[[接続詞]]
:接続詞 ([[:en:Conjunction (grammar)|Conjunction]]) には、等位接続詞 ([[:en:Conjunction (grammar)#Coordinating conjunctions|Coordinating conjunction]]) と従属接続詞 ([[:en:Conjunction (grammar)#Subordinating conjunctions|Subordinating conjunction]]) がある。[[接続詞#英語の接続詞]]に詳しいので、そちらを参照されたい。
;[[間投詞]]
:間投詞 ([[:en:Interjection|Interjection]]) は、{{en|Oh, Yeah.}} などのことばである。

なお、品詞は内容語と機能語に大別される([[語]]を参照)。一般的に、名詞・動詞・形容詞・副詞が内容語、代名詞・助動詞・冠詞・前置詞・接続詞・間投詞が機能語である。[[存在動詞|be動詞]]や'''''have'''''が助動詞として用いられる場合は、機能語となる。

===基本文型===
英語は、元来印欧語言語が持っていた名詞の格変化や動詞の人称変化のほとんどを失ったため、文中の格関係(誰が誰に何をどうするか)を語順に依存しており、したがって語順が固定的であり「文型」がはっきりしている。

日本の英語教育では[[C・T・オニオンズ]]の[[提唱]]した5文型という考え方が英語の基本文型として広く使われている(実際には、5つの文型ではうまく説明できない文も存在するとし、5文型を強調しすぎることが却って学習の妨げになる、という主張も珍しくない)。

5文型は、英文の中心をなす主語述語部分において、前置詞無しに語を並べただけで文ができあがっている物を分類したものと言える。そこで使われている語は主語としての名詞、存在を言う述語としてのbe動詞、作用を言う述語としての一般動詞、主語の性質や状態を言う形容詞、一般動詞の目的語になる名詞、その目的語に対する内容的な述語になる動詞の原形や名詞や形容詞である。このように5文型は主語と動詞と、前置詞無しで並ぶ名詞とその名詞に対して内容的な述語として並ぶ単純な形という限られた部分において、並んだ語の種類によって分類し5つの形にまとめた物と言える。ここには文の大基本である主語と述語に含まれている意味への考察がなされていない。そのため意味に基づいて言葉を使用しようとしている学習者にはかえって妨げとなっているのである。

これまでは下記の文型が主要かつ重要なものであるとして扱われてきた。英文の構造の分類法としての5文型は日本以外の国ではあまり一般的ではないが、動詞の語法を説明する上では、「基本5文型」をベースとした[[動詞型]]の分類が世界的に受け入れられていて、ジーニアス英和辞典、{{en|Oxford Advanced Learner&#39;s Dictionary}} 等の多くの権威ある辞書において積極的に採用されている。

通常、進行形の文は第2文型とは見なさず、動詞部分を三単現など主語に合わせた形にして文型を考える。また完了形も同様である。また受動態の文も5文型に当てはまらない。[[群動詞]]を含む文は群動詞全体を1つの動詞と考えることが多い。また、群動詞は助動詞と本動詞が融合したものであるので、特別な形の助動詞として扱えばよい。
そもそも5文型は助動詞を除去した主語と述語の部分において語の並びだけによって分類した物なのである。

[[ランドルフ・クァーク]]は付加語A ([[:en:Adverbial|Adverbial]]) を加えた考え方を提唱している。付加語Aは修飾語Mとは異なり省略することができない。この考えでは従来の5文型にSVAとSVOAという文型が加わる。また第2文型のうちVがbe動詞の場合を特別に扱う考えもある(つまりS be C)。また [[A・S・ホーンビー]]は第3文型、第4文型、第5文型のOやCが不定詞や分詞や動名詞やthat節の場合などで細かく分類した文型を提唱している。

;第1文型 S+V
:これは[[修飾語]]Mを除いたとき、主語Sと[[述語動詞]]Vだけで文章が完結している文型である。このときそのVを[[完全自動詞]]という。
:第1文型に用いられる動詞には {{en|be, come, go}} などがある。
;第2文型 S+V+C
:これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと主語を説明する[[補語]]Cで文章が成り立っている文型である。このときそのVを[[不完全自動詞]]という。このとき主語S⊆補語Cという関係が成立している。
:第2文型における文の例:{{en|He is a teacher.}} (彼は先生です。)となり、これが最も基本的な核となる部分であり、もしこれが例として「彼は英語の先生です。」としたいならば、 {{en|He is an English teacher.}} というように継ぎ足せばよい。
:*{{en|He is kind. He is busy.}} (彼は親切である。彼は忙しい。)
:*{{en|He looks busy.}} (彼は忙しく見える。)
:*{{en|This tastes good.}} (これは美味しい味がする。)
:第2文型に用いられる動詞には次のものがある。
:*状態の維持を表す {{en|be, remain, keep, lie, stay}} など。
:*状態の変化を表す {{en|become, get, come, go}} など。
:*感覚を表す {{en|sound, feel, look, hear, smell, taste}} など。
:*感想を表す {{en|seem, appear}} など。
;第3文型 S+V+O
:これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと動作の対象となる[[目的語]]Oで文章が成り立っている文型である。このときそのVを[[完全他動詞]]という。
:第3文型における最も有名で分かり易い文としては {{en|I love you.}} (私はあなたを愛しています。)が挙げられる。
;第4文型 S+V+IO+DO
:これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと動作を受ける人[[間接目的語]]IOとその動作を受ける人に対して動くもの[[直接目的語]]DOで文章が成り立っている文型である。このときそのVを[[授与動詞]]という。
:間接目的語IOと直接目的語DOの位置を入れ替えると、前置詞が加わってS+V+DO+前置詞+IOという形になる。このときの前置詞は {{en|to}} か {{en|for}} の場合がほとんどであり({{en|to}} の場合のほうが多い)、これらの使い分けは動詞のもつ性質が {{en|give}}型(相手の元に何かを届かせるタイプ)か {{en|buy}}型(相手のために何かをする)かどうかタイプで分けられる。
:第4文型に用いられる動詞には次のものがある。
:*{{en|to}} が加わる {{en|give, hand, pass, offer, allow, sell, lend, owe, show, teach, tell, promise, read}} など。
:*for が加わる {{en|buy, make, get, do, find, cook, play, choose}} など。
;第5文型 S+V+O+C
:これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと動作の対象となる目的語Oと目的語を説明する補語Cで文章が成り立っている文型である。このときそのVを[[不完全他動詞]]という。
:第5文型における例文としては、 {{en|I think him a suspect.}} (私は彼を容疑者だと考えている、みなしている。)となる。このとき目的語 O ⊆ 補語 C という関係が成立している。第5文型における、この関係は[[イェスペルセン]]が考えた用語[[ネクサス]]の一種である。ネクサスとは主語・述語の関係をさすが、本来の主語・述語の他に第5文型の目的語と補語のような意味上の主語・述語も含まれる。
言い換えると、OCとは、文の中心の主語述語以外で主語述語に当たるものを言うときに、主語を非主格の目的格にしてOとし、述語を動詞の原形にしたり、be動詞を省略して残った物をCとしているわけである。
:第5文型は基本文型とされているが、元の文におけるOCを内部的にS+Cの文を含むと考えられることから、基本文型としては扱わないほうが実際的だという考えもある。
:第5文型に用いられる動詞には次のものがある。
:*[[知覚動詞]]の {{en|feel, see, hear, watch, observe, notice, smell, perceive, taste}} など。
:*[[使役動詞]]の {{en|make, have, let, get, allow, permit, cause, force, compel, oblige}} など。

==歴史==
{{出典の明記|date=2016年1月24日 (日) 02:04 (UTC)|section=1}}
{{main|英語史}}

[[1世紀]]から[[ローマ人]]が[[ブリテン島]]に駐留して、[[ケルト人|ケルト]]系の住民([[ブリトン|ブリトン人]])を支配していたころには、[[ケルト語]]と[[ラテン語]]が優勢だった。そのローマ人が 西暦[[410年]]に本国に引き上げると、[[5世紀]]半ばから[[6世紀]]にかけて、[[ゲルマン]]系の人々([[ジュート人]]、[[アングル人]]、[[サクソン人]])が大陸からブリテン島に渡来して、先住のケルト人を支配するようになった。このころイングランド(アングル人の陸地という意味)でゲルマン系の言語が定着した。ここから英語の歴史が始まる。

以後の英語の[[歴史]]はふつう 3期に大別される。(括弧内は西暦年)
# [[古英語]]([[450年]]〜[[1100年]])ただし、最古の文献は7世紀のもの。
# [[中英語]](1100年〜[[1500年]])
# [[近代英語]](1500年 以降)
である。

[[11世紀]]の[[ノルマン・コンクエスト]]以降、[[フランス]]から来た[[貴族]]階級が話していた[[ロマンス諸語]]の[[オイル語]]系の[[ノルマン語]]が公用語として[[14世紀]]まで使われた。このことにより、中英語では[[ロマンス諸語]]、特にフランス語からの借用語の増大と、形態変化の単純化を引き起こした。ただし中英語の変化のどこまでが言語接触の影響によるものかは議論がある([[中英語クレオール仮説]])。

==英語圏==
{{main|英語圏}}
[[ファイル:Anglospeak(800px).png|thumb|300px|世界の英語圏地域。濃い青色は英語が第一[[公用語]]または事実上の(''de facto'')第一公用語となっている地域。水色(薄い青色)は英語が公用語の一つである地域。]]
[[ファイル:English dialects1997.png|250px|right|thumb|'''国別の英語話者人口''' 2/3をアメリカ合衆国一国が占める]]

==英語人口==
{{See also|国別英語話者数ランキング|英語を公用語としている国の一覧}}
英語を[[母語]]としている人は[[世界人口]]の4.68%で、第1位の中国語(13.22%)と比べかなり少ない<ref>{{cite web|url=https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/fields/2098.html|author=CIA|title=The World Factbook -Field Listing ::Languages|language=英語|accessdate=2009年11月26日}}</ref>。しかし公用語人口としては英語が世界一である<ref>{{cite book|和書|title=なるほど知図帳世界2009|publisher=昭文社|year=2008|isbn=978-4398200396}}</ref>。
意思の疎通が可能な国や地域を考慮すると、英語は世界でもっとも広く通用する言語と考えられている<ref>[[:en:List_of_languages_by_number_of_native_speakers]]</ref>。[[欧州連合|EU]]では、学校でもっとも学ばれている外国語である<ref name="srv06">{{cite web|url=http://ec.europa.eu/education/languages/pdf/doc631_en.pdf|format=PDF|date=2006-02|title=Europeans and their Languages|author=Eurobarometer|language=英語|accessdate=2009年11月26日}}</ref>。[[イギリス|英]][[アメリカ合衆国|米]]の影響などで英語が国際[[共通語]]として使われるようになったこと、商業言語として確立したこと、科学技術を伝達する主要な言語となったこと (例:需要が高い[[航空宇宙工学]]の分野や[[プログラミング言語]]や[[マークアップ言語]]の仕様書が英語で書かれている) などの理由で、第二言語 ({{interlang|en|English as a second language}}=ESL) として用いる人口は約4億人に上る。[[外国語]] ({{interlang|en|English as a foreign language}}=EFL) として英語を学習・使用する人も多い。そのため、世界各国でイギリス(イングランド)方言・アメリカ方言などの英語の枠組みを超えた「新英語」が出現するようになった。

==各国の英語事情==
{{出典の明記|date=2016年1月24日 (日) 02:04 (UTC)|section=1}}
===イギリスの英語事情===
{{main|イギリス英語}}
{{main|イギリス英語}}
[[イギリス]]、とくに英語発祥の地であるイングランドには、多数の英語方言がある。「[[容認発音]]({{en|received pronunciation/RP, [[英国放送協会|BBC]] English, Queen&#39;s English}} など様々な呼称がある)」とい伝統的な標準発音を用いた英語が標準れてきたが、では「[[河口域英語]] ({{en|Estuary English}})」が新しい[[標準]]として登場した
イギリス、とくに英語発祥の地であるイングランドには、多数の英語方言がある。特に社会階層による方言の分化が著しく、社会の上層で使用される「[[容認発音]]({{en|received pronunciation/RP, [[英国放送協会|BBC]] English, Queen&#39;s English}} など様々な呼称がある)」や下層で使用される[[コックニー]]といった[[社会方言]]が存在する。容認発音は話者こそ少ないものの、伝統的に訛りの標準発音とされており、BBC英語とも呼ばれるように公的な場面や放送などで主に用いられてきた<ref>「世界の英語できるまで」p86-87 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。しかし1980年代以降容認発音に代わりロンドン付の社会中層が主に用いてきた「[[河口域英語]] ({{en|Estuary English}})」の使用増えつつある<ref>「世界の英語ができるまで」p97 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref><ref>「英語の歴史」p113 寺沢盾 中公書 2008年10月25日発行</ref>。なお、これ以外に地域方言もイングランド各地に存在する<ref>「世界の英ができるまで」p98-99 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>


イングランド以外の[[ブリテン諸島]]は本来[[ケルト語派]]圏であり、古くは[[スコットランド・ゲール語]]や[[アイルランド・ゲール語]]、[[ウェールズ語]]といったケルト語系の言語が使用されていた。しかしイングランドからの影響によって英語の使用が広まり、[[スコットランド]]では中英語から分離した英語系の[[スコットランド語]]が早くも14世紀末には一般的に使用されるようになった<ref>「世界の英語ができるまで」p105-106 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。1707年にスコットランドとイングランドが合同すると影響はさらに強まり、スコットランド語に代わって完全に英語の一方言である[[スコットランド英語]]が主に使用されるようになった<ref>「世界の英語ができるまで」p108-109 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。この傾向は他地域でも同様であり、[[ウェールズ]]でも19世紀後半にはウェールズ英語の使用が主流となり<ref>「世界の英語ができるまで」p124-125 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>、[[アイルランド]]でもこの時期に[[アイルランド英語]]使用が一般的となった<ref>「世界の英語ができるまで」p117 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。アイルランドが独立するとアイルランド・ゲール語は英語とともに公用語に指定されたものの、ゲール語の母語話者は減少を続けており、同国国民の9割以上はアイルランド英語を母語とするようになっている<ref>「世界の英語ができるまで」p114-115 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。
イギリスには英語以外にスコットランドでは中英語から分離した[[スコットランド語]]や、先住民族である[[ケルト民族]]の言語([[ウェールズ語]]・[[ゲール語]]など)が話されている。イングランドによる同化政策を経て[[ケルト語派|ケルト諸語]]話者は激減し、スコットランドでは[[スコットランド英語]]、ウェールズではウェールズ英語、北アイルランドでは[[アイルランド英語]]などの英語方言が話されているが、現在はウェールズ語などの復興策もとられている。


===アメリカ合衆国の英語事情===
===アメリカ合衆国の英語事情===
{{main|アメリカ英語}}
{{main|アメリカ英語}}
[[アメリカ合衆国]]には、国家の[[公用語]]に関する法的な文章が存在しない。ただし、州レベルでは、英語を公用語とする州や英語と[[スペイン語]]([[:en:Spanish language in the United States|アメリカ合衆国のスペイン語]])を公用語と明文的に定める州もある。初期の頃は、[[西ヨーロッパ|西欧]]系(特に[[ゲルマン民族|ゲルマン系]])の[[移民]]が多く、英語優位の状況が確保されていたが、次第に[[東ヨーロッパ|東欧]]・[[南ヨーロッパ|南欧]]系が増えてきた。さらに[[アジア]]・[[ラテンアメリカ|中南米]]([[ヒスパニック]]・[[ラテン系アメリカ人]]問題を参照のこと)からの移民([[:en:Immigration to the United States|アメリカ合衆国への移民]])が大量に押し寄せ、彼らが高い出生率を維持すると、英語の地位が揺るぎかねないといった風潮が英語話者([[アングロ・サクソン人|アングロ・サクソン]]系、[[WASP]])の間で生まれてくる([[:en:English-only movement|イングリッシュ・オンリー運動]])。
[[アメリカ合衆国]]には、国家の[[公用語]]に関する法的な文章が存在しない。ただし、州レベルでは、英語を公用語とする州や英語と[[スペイン語]]([[:en:Spanish language in the United States|アメリカ合衆国のスペイン語]])を公用語と明文的に定める州もある。初期の頃は、[[西ヨーロッパ]]系(特に[[ゲルマン]])の[[移民]]が多く、英語優位の状況が確保されていたが、次第に[[東ヨーロッパ]]・[[南ヨーロッパ]]系が増えてきた。さらに[[アジア]]・[[ラテンアメリカ]]([[ヒスパニック]]・[[ラテン系アメリカ人]]問題を参照のこと)からの移民([[:en:Immigration to the United States|アメリカ合衆国への移民]])が大量に押し寄せ、彼らが高い出生率を維持すると、英語の地位が揺るぎかねないといった風潮が英語話者([[アングロ・サクソン人]]系、[[WASP]])の間で生まれてくる([[:en:English-only movement|イングリッシュ・オンリー運動]])。いずれにしても英語が[[国家]]の言語([[国語]])として通用しているのは事実で、教育の分野においては「バイリンガル教育か[[モノリンガル]]教育か」といった趣旨の問題がたびたび持ち出される


アメリカ英語の地域差はさほど大きくないが、おおまかには北東部の[[ニューイングランド]]英語([[:en:New England English|New England English]])、アメリカ南部一帯で話される[[南部アメリカ英語]]、そしてその他の地域の一般アメリカ英語の3地域に区分される<ref>「世界の英語ができるまで」p167-170 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。
いずれにしても英語が[[国家]]の言語([[国語]])として通用しているのは事実で、教育の分野においては「[[二言語話者|バイリンガル]]教育か[[モノリンガル]]教育か」といった趣旨の問題がたびたび持ち出される。


===カナダの英語事情===
===カナダの英語事情===
{{main|カナダ英語}}
{{main|カナダ英語}}
[[カナダ]]は[[イギリス連邦]]および[[英連邦王国]]を構成する一国であり、元英領植民地([[:en:Crown colony|Crown colony]])であった地域だが、その英領植民地にそれ以前は[[ヌーベルフランス]]であり、今でも[[フランス語]]が使われ続けている[[ケベック州]]があることから、カナダ全体の[[公用語]]として英語([[カナダ語]])とフランス語([[:en:Canadian French|カナダフランス語]])の両方が制定されており、[[カナダ政府|連邦政府]]のサイトや企業の商品説明などは全て英仏両言語で行われている。旧英領の国としては、全人口の内、英語を母語とする人の割合は58%と低く、フランス語が22%を占める。これは、移民が非常に多いため[[第二言語]]として英語を使用している人口が非常に多いからである。また、[[北アメリカ|北米]]で[[アメリカ合衆国]]が隣に位置していることから、旧英領であるとはいえ、[[オーストラリア]]や[[インド]]などほかの旧英領植民地とは違い、比べるとカナダの英語は[[イギリス英語]]よりも[[アメリカ英語]]に近いが、単語の綴りとしてはイギリス英語式を採用することがい。ケベック州ではフランス語が公用語であることから、英語を母語とせず英語運用能力が高くない人も少なくないが、[[ケベック州]]と[[ニューブランズウィック州]]、[[オンタリオ州]]以外ではほとんどフランス語が使われないこともあり、カナダ英語におけるフランス語の影響は皆無に近い。
[[カナダ]]は[[イギリス連邦]]および[[英連邦王国]]を構成する一国であり、元英領植民地([[:en:Crown colony|Crown colony]])であった地域だが、その英領植民地にそれ以前は[[ヌーベルフランス]]であり、今でも[[フランス語]]が使われ続けている[[ケベック州]]があることから、カナダ全体の[[公用語]]として英語([[カナダ語]])とフランス語([[カナダ・フランス語|カナダフランス語]])の両方が制定されており、[[カナダ政府|連邦政府]]のサイトや企業の商品説明などは全て英仏両言語で行われている。旧英領の国としては、全人口の内、英語を母語とする人の割合は58%と低く、フランス語が22%を占める。これは、移民が非常に多いため[[第二言語]]として英語を使用している人口が非常に多いからである。また、[[北アメリカ|北米]]で[[アメリカ合衆国]]が隣に位置していることから、旧英領であるとはいえ、[[オーストラリア]]や[[インド]]などほかの旧英領植民地とは違い、比べるとカナダの英語発音は[[イギリス英語]]よりも[[アメリカ英語]]に近いが、単語の綴りとしてはイギリス英語式とアメリカ英語式混在してる<ref>「世界の英語ができるまで」p190-191 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。ケベック州ではフランス語が公用語であることから、英語を母語とせず英語運用能力が高くない人も少なくないが、[[ケベック州]]と[[ニューブランズウィック州]]、[[オンタリオ州]]以外ではほとんどフランス語が使われないこともあり、カナダ英語におけるフランス語の影響は皆無に近い<ref>「世界の英語ができるまで」p186 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>


===オーストラリアの英語事情===
===オーストラリア・ニュージーランドの英語事情===
{{main|オーストラリア英語}}
{{main|オーストラリア英語|ニュージーランド英語}}
現在、[[オーストラリア]]で話されている英語は、[[イギリス英語]]が訛ったものである。訛りは比較的強いが<ref>{{cite web|url=http://www.ne.jp/asahi/oz/info/begin/ozenglish.html|title=オーストラリアの言葉|author=オーストラリア政府観光局認定のオーストラリア・トラベル・アドバイザーによる解説|language=日本語|accessdate=20101027}}</ref>、アメリカ英語ほど変化は激しくなく、[[オーストラリアの映画]]などは他の[[英語圏]]でも[[イギリス英語]]を理解できるものなら分かる。
現在、[[オーストラリア]]で話されている英語は、[[イギリス英語]]が訛ったものである。訛りは比較的強いが<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.ne.jp/asahi/oz/info/begin/ozenglish.html|title=オーストラリアの言葉|author=オーストラリア政府観光局認定のオーストラリア・トラベル・アドバイザーによる解説|language=日本語|accessdate=2010-10-27}}</ref>、アメリカ英語ほど変化は激しくなく、[[オーストラリアの映画]]などは他の[[英語圏]]でも[[イギリス英語]]を理解できるものなら分かる。地域間の言語差異は非常に小さい一方で、社会階層により「洗練された」(Cultivated)、「一般的な」(General)、「訛りの強い」(Broad)の3種の社会方言が存在する。かつては容認発音に近いとされるCultivated方言が標準語とされて社会上層や放送などで使用されていたが、20世紀末以降使用が激減し、General方言が標準語としての地位を確立した。Broad方言は地方や労働者階級などで使用者が多いが、こちらの話者も20世紀末以降減少が続き、General方言への一本化が進みつつある<ref>「世界の英語ができるまで」p198-200 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>


[[ニュージーランド]]で使用される英語は、オーストラリア英語とほぼ類似しており、綴りや発音も[[イギリス英語]]の傾向だが、同国のもう1つの公用語である[[マオリ語]](先住民族[[マオリ]]の言語)の影響も受けている。オーストラリアと同様、地域差が非常に少ない一方でCultivated、General、Broadの3方言が存在する<ref>「世界の英語ができるまで」p212-216 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。
===ニュージーランドの英語事情===

{{main|ニュージーランド英語}}
==母語圏以外の英語事情==
[[ニュージーランド]]で使用される英語は、オーストラリア英語とほぼ類似しており、綴りや発音も[[イギリス英語]]の傾向だが、同国のもう1つの公用語である[[マオリ語]](先住民族[[マオリ]]の言語)の影響も受けている。
===南アフリカの英語事情===
{{main|南アフリカ英語}}
南アフリカは大きな英語母語話者の集団が存在するものの多数派ではなく、2011年時点で英語母語話者人口は総人口の約9.6%を占めるに過ぎず、[[ズールー語]]・[[コサ語]]・[[アフリカーンス語]]に次ぐ規模にとどまっている。公用語としても唯一のものではなく、11ある公用語のうちの一つに過ぎない。一方で第二・第三言語として英語を使用する人口は非常に多く、事実上国内の共通語となっている。もともと[[アパルトヘイト]]期においては白人系の言語であるアフリカーンス語と英語の2言語のみが公用語となっており、なかでも政府や社会の主導権を握る[[アフリカーナー]]の言語であるアフリカーンス語の利用が積極的に進められたものの、この政策は差別される側である黒人の強い反発を招き、その反動からアパルトヘイト撤廃後は英語の共通語化が急速に進んだ<ref>「世界の英語ができるまで」p221-224 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行</ref>。

===インドの英語事情===
{{main|インド英語}}
[[インド]]では英語は[[ヒンディー語]]と並んで公用語の地位にあるが、現状に至るまでには紆余曲折が存在した。インドには英語の母語話者がほぼ存在せず、一方で北部を中心にヒンディー語が広大な共通言語圏を形成していたため、憲法制定時にはヒンディー語の単独公用語化が目指され、英語は「1965年までは公用語として併用される」との規定が定められていた<ref>「インド現代史1947-2007 上巻」p194-199 ラーマチャンドラ・グハ著 佐藤宏訳 明石書店 2012年1月20日初版第1刷</ref>。しかしまったく言語圏の違う南部の[[ドラヴィダ語|ドラヴィダ諸語]]圏からの反発が非常に強く、1965年に憲法における英語併用期限が切れると同時に激しい反対運動が巻き起こり、2週間後には事実上公用語2言語制の継続が決定した<ref>「インド現代史1947-2007 下巻」p16-21 ラーマチャンドラ・グハ著 佐藤宏訳 明石書店 2012年1月20日初版第1刷</ref>。一方で、ヒンディー語話者を中心に英語公用語化への反発も存在する<ref>「英語の歴史」p190-191 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行</ref>。


=== 日本の英語事情 ===
=== 日本の英語事情 ===
{{See also|日本における英語}}
{{See also|日本における英語}}
[[日本]]では、[[日本の学校教育|学校教育]]の場合、[[文部科学省]]が定める[[学習指導要領]]により、[[義務教育]]である[[中学校]]3年間と[[小学校#日本の小学校|小学校]]5・6年生で英語が[[必修教科|必修]]科目となっているが、「[[受験英語]]」という言葉があるように[[読解]]力が特に重視されていて、会話([[英会話]])があまり教えられていないため、受験([[入学試験]])が終わると英語に接する機会が少なく、非英語圏の[[先進国]]や[[アジア]]域内諸国と比べても通用度は低い。
日本では、学校教育の場合、[[文部科学省]]が定める[[学習指導要領]]により、[[義務教育]]である[[中学校]]3年間と[[小学校]]5・6年生で英語が[[必修教科]]となっているが、「[[受験英語]]」という言葉があるように[[読解]]力が特に重視されていて、会話([[英会話]])があまり教えられていないため、受験([[入学試験]])が終わると英語に接する機会が少なく、非英語圏の[[先進国]]や[[アジア]]域内諸国と比べても通用度は低い(全く話せず、聞き取れず、という人がほとんど)


[[江戸時代]]末期に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]や[[イギリス]]からの使節と交渉する必要が生じ、日本での英語の歴史が始まった。[[ジョン万次郎]]が著した日本最初の[[英会話]]教本には、(日本語とは語順の違う)英文の意味を取りやすいよう、[[漢文]]のような返り点が打たれていた。[[第二次世界大戦]][[敵性語]]して排斥されてい時期もあった。今日、日本における英語依然第一外国語であり、[[科学技術]]や諸[[制度]]の吸収のための手段や[[通商]]の道具([[商業]]英語)とう位置付けである
[[江戸時代]]末期に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]や[[イギリス]]からの使節と交渉する必要が生じ、日本での英語の歴史が始まった。[[ジョン万次郎]]が著した日本最初の英会話教本には、(日本語とは語順の違う)英文の意味を取りやすいよう、[[漢文]]のような返り点が打たれていた。英国[[外交官]]の[[アルジャーノン・フリーマン=ミットフォード_(初代リーズデイル男爵)|ミットフォード]]は1866年から4年間日本に滞在し[[貝原好古]]の『[[諺艸]]』など和書の一部を英訳して本国で紹介しており、初めて英訳された日本の文書これであろうと述べている{{sfn|貝原好古他|1910}}{{efn|[[アルジャーノン・フリーマン=ミットフォード_(初代リーズデイル男爵)|ミットフォード]][[貝原好古]][[諺艸]]他、[[佐倉惣五郎]]を描た悲劇『[[東山桜荘子]]』なども英訳した。}}


[[島村盛助]]など英文学者らが和英辞書を編纂したが、英語は[[第二次世界大戦]]中は、[[敵性語]]として排斥されていた時期もあった。今日、日本における英語は依然第一外国語であり、科学技術や諸[[制度]]の吸収のための手段や通商の道具([[商業]]英語)という位置付けである。
[[高校受験]]・[[大学受験]]、[[各種学校]]の必修・選択単位取得においては、英語を[[読解]]する能力が重視され、英文和訳を中心とした授業(いわゆる[[受験英語]]の学習)が行われている。[[日本語]]での出版活動が盛んで、多くの英語の書籍が日本語へ[[翻訳]]されることから、日常生活で英語の読解に迫られることはあまりないが、職種によっては英文文献の読解が必要となることは少なくない。そのため、専門分野の英文の理解はできるが、日常会話の経験はなく、英会話に苦手意識を持っている日本人は多い。


[[高校受験]]・[[大学受験]]、[[各種学校]]の必修・選択単位取得においては、英語を読解する能力が重視され、英文和訳を中心とした授業(いわゆる[[受験英語]]の学習)が行われている。[[日本語]]での出版活動が盛んで、多くの英語の書籍が日本語へ[[翻訳]]されることから、日常生活で英語の読解に迫られることはあまりないが、職種によっては英文文献の読解が必要となることは少なくない。そのため、専門分野の英文の理解はできるが、日常会話の経験はなく、英会話に苦手意識を持っている日本人は多い。
日本では、非[[都市]]部を中心に英語会話能力を特殊技能と見なす傾向が認められる。日本では[[大学]]の講義が英語ではなく日本語で受けることができること、すなわち[[日本の高等教育]]は母国語だけで十分に享受できるということ、英語を母語とする人が1%未満であり日本語だけで日常生活に支障をきたさないことなど複合的な要素によって、日本国内では特定の業界や職種を除き、[[英会話]]の必要性が乏しいためである。一方、東京・大阪・神戸・名古屋・福岡などの[[都市圏]]では英語話者の[[コミュニティ]]が形成されている他、英語放送局も存在する。[[日本の道路標識#案内標識|日本の案内標識]]は英文併記が多い。

日本では、非[[都市]]部を中心に英語会話能力を特殊技能と見なす傾向が認められる。日本では[[大学]]の講義を英語ではなく日本語で受けることができること、すなわち[[日本の高等教育]]は母語だけで十分に享受できるということ、英語を母語とする人が1%未満であり日本語だけで日常生活に支障をきたさないことなど複合的な要素によって、日本国内では特定の業界や職種を除き、英会話の必要性が乏しいためである。一方、東京・大阪・神戸・名古屋・福岡などの[[都市圏]]では英語話者のコミュニティが形成されている他、英語放送局も存在する。日本の案内標識は英文併記が多い。


==英語に関する資格試験==
==英語に関する資格試験==
{{see|英語検定}}
{{main|英語検定}}


* [[実用英語技能検定]]
==脚注==
* [[国際コミュニケーション英語能力テスト]]
* [[TOEFL]]
* [[IELTS]]
* [[ケンブリッジ英語検定試験]]

== 英語に関する辞典 ==

*[[英英辞典]] - [[オックスフォード英語辞典]]
*[[英和辞典]]
*[[和英辞典]]

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{reflist}}
{{notelist}}<!--{{efn|xxx}}-->
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book| 和書| editor=| translator=[[アルジャーノン・フリーマン=ミットフォード_(初代リーズデイル男爵)|ミットフォード]]| author=貝原好古他| year=1910| origyear=1971| title=[https://www.gutenberg.org/ebooks/13015 Tales of Old Japan]| publisher=| location = [[ロンドン]]| page=|section=| quote=Book on etymology and proverbial lore, called the Kotowazagusa| isbn=| ref=harv}}


==関連項目==
==関連項目==
{{Wikipedia|en}}
{{Wikipedia|en}}
{{Wikipedia|simple}}
{{sisterlinks|commons=category:English language}}
{{sisterlinks|commons=category:English language|voy=英語会話集}}

===英語の時代による分類===
*[[古英語]] ({{en|Old English}})
*[[中英語]] ({{en|Middle English}})
*[[初期近代英語]] ({{en|Early Modern English}})
*[[近代英語]] ({{en|Modern English}})
**[[英語史#現代英語(20世紀以降)|現代英語]] ({{en|Present-Day English, Contemporary English}})


===他の言語===
===他の言語===
*[[フラン語]] - [[フランス語から英への借用]]
*[[スコットラン語]]
*[[古ノルド語]] - [[古ノルド語から英語への借用]]
*[[フランス語]] - [[フランス語から英語への借用]] - [[フラングレ]]
*[[ラテン語]]
*[[ラテン語]]
*[[ロマンス語]]
*[[ギリシア語]]
*[[ギリシア語]]
*[[ドイツ語]] - [[ドイツ語から英語への借用]]
*[[ドイツ語]] - [[ドイツ語から英語への借用]] - [[デングリッシュ]]
*[[日本語]] - [[日本語から英語への借用]] - [[和製英語]]
*[[日本語]] - [[日本語から英語への借用]] - [[和製英語]]
*[[ネイティブスピーカーの数が多い言語の一覧]]
*[[ネイティブスピーカーの数が多い言語の一覧]]
498行目: 270行目:
*[[カナダ文学]]
*[[カナダ文学]]
*[[オーストラリア文学]]
*[[オーストラリア文学]]
*{{仮リンク|ニュージーランド文学|en|New Zealand literature}}
*[[ニュージーランド文学]]

===方言===
*[[イギリス英語]]
*[[アイルランド英語]]
*[[オーストラリア英語]]
*[[ニュージーランド英語]]
*[[カナダ英語]]
*[[アメリカ英語]]
*[[南部アメリカ英語]]
*[[黒人英語]]
*[[ジャマイカ英語]]
*[[フィリピン英語]]・[[タグリッシュ]]
*[[インド英語]]
*[[シングリッシュ]]
*[[コングリッシュ]]
*[[デングリッシュ]]
*[[フラングレ]]
*[[スパングリッシュ]]
*[[和製英語]]
*[[スペシャル・イングリッシュ]]
*[[ベーシック英語]]
*[[グロービッシュ]]
*[[パトワ]]
*[[ピジン言語]]
*[[クレオール言語]]

===英語を基にした人工言語===
*[[ピッグ・ラテン]] - 英語の[[言葉遊び]]

===辞典===
*[[オックスフォード英語辞典]]
*[[和英辞典]]
*[[英和辞典]]
*[[英英辞典]]


===教育===
===教育===
*[[英会話]] - [[英会話教室]]
*[[英語教育]] - [[英語 (教科)]]
*[[受験英語]]
*[[受験英語]]
*[[フォニックス]]


===個別言語学===
===個別言語学===
*[[英語学]]
*[[英語学]]
*[[英語史]]
*[[国際英語論]]
*[[国際英語論]]
*[[英語帝国主義]]
*[[英語検定]]
*[[英会話]] - [[英会話教室]]
*[[英語教育]] - [[英語 (教科)]]
*[[英語史]]
*[[英語の音韻史]]


== 外部リンク ==
===資格試験===
* {{Kotobank}}
*[[実用英語技能検定|英検]]
*[[国際コミュニケーション英語能力テスト|{{en|TOEIC}} (国際コミュニケーション英語能力テスト)]]
*{{en|[[TOEFL]]}}


{{アフリカ連合の言語}}
{{国際連合公用語}}
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{{ゲルマン語派}}
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[[Category:ナミビアの言語]]
[[Category:ナミビアの言語]]
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[[Category:西ゲルマン語群]]
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2024年12月8日 (日) 08:55時点における最新版

英語
English
発音 IPA: ['ɪŋɡlɪʃ]
話される国 イギリスアメリカ合衆国カナダオーストラリアニュージーランドアイルランド南アフリカ共和国フィリピンシンガポール香港など多数(約80の国・地域)
地域 主として西ヨーロッパ北ヨーロッパ東南アジア北アメリカオセアニア西インド諸島の一部など
話者数 10億以上[1]
話者数の順位 2-3(第二公用語含む、基準によって順位は異なる)
言語系統
表記体系 ラテン英語アルファベット
公的地位
公用語 英語圏を参照
統制機関 なし
言語コード
ISO 639-1 en
ISO 639-2 eng
ISO 639-3 eng
SIL ENG
Glottolog stan1293[2]
Linguasphere 52-ABA
  公用語が英語で、母語も英語である割合が最も高い地域
  公用語が英語であるが、母語は英語以外である割合が最も高い地域
テンプレートを表示

英語(えいご、英: English 発音: ['ɪŋɡlɪʃ] イングリッシュ: anglica)とは、インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派西ゲルマン語群アングロ・フリジア語群に属し、イングランド発祥とする言語である。

「英語」という呼称

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当該言語日本語における名前である「英語」の「英」はイギリスの漢字表記「英吉利」に由来する。古くには「英吉利語」[3]という呼称もあったが、すでに廃れており「英語」という呼称のみが普及している。また、アメリカ合衆国で話されるアメリカ英語は米語(べいご)とも呼ばれる[4]。同様に他言語にも「仏語」、「独語」、「西語」などの漢字2文字の呼称があるが、現代日本では「フランス語」、「ドイツ語」、「スペイン語」といった呼称の方が普及しており、漢字2文字の名前はもっぱら略語としてのみ用いられる。

その一方、英語そのもので英語を意味するEnglishはイングランド(England)の形容詞形であり、「イングランド語」を意味する。

文字

[編集]

英語は通常ラテン文字によって記述され、以下の26文字を用いる。

A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z
a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z

ヨーロッパの他の多くの言語と異なり、外来語、およびその転写(フランス語由来の café〈カフェ〉など)を除いてダイアクリティカルマークはほとんど用いない。

手書き時はアルファベットが連なる筆記体が以前は主流だったが、現在は署名(サイン)など独自性を追求される場合を除いて、読みやすさなどの観点からブロック体が主流である。

英語においては多くの文字が複数の発音を持っている。また綴りと実際の発音の食い違いも大きく、発音されない黙字が存在したり、また一つの発音が幾通りもの綴りで表記される場合もある[5]

発音

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文法

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方言と変種

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英語は複数中心地言語であり、明確な標準語は存在しない。ただし、最も早くイングランドに植民地化されたアメリカでも17世紀初頭、それ以外は18世紀末から19世紀末にかけての植民地化によって英語圏となったため言語が分化する時間が短く、さらに英語圏諸国は密接な関係を維持しているために言語の断絶も少なくなっており、意思疎通ができなくなるほどの言語分化は起こっておらず、一体性を持った言語として存続している[6]。英語の系統としては、アメリカ大陸への植民によってアメリカ英語とイギリス英語の系統に分かれており、アメリカ英語系統はカナダ英語とアメリカ合衆国英語とに分かれ、合衆国英語は植民地化したフィリピン英語の元となった。これに対し、イギリスは18世紀末以降の積極的な植民によって世界各地に英語圏を広げていき、オーストラリア英語やニュージーランド英語、西インド諸島英語やインド英語など、カナダを除く旧イギリス領諸国の英語は全てイギリス英語の系譜へと連なっている[7]

一方、英語圏の辺縁においては、言葉の通じないもの同士が簡単なコミュニケーションを取るためのピジン言語が各地で成立した。特にカリブ海地域においては、奴隷貿易によって連れてこられたものたちの間で多様なピジン言語が成立し、さらに次の世代には母語話者を得て文法・語彙が整備され、ジャマイカ・クレオール語に代表される英語系のクレオール言語が多数成立した[8]。このクレオール言語は解放奴隷によって西アフリカへと持ち込まれ、クリオ語などの英語系クレオール言語がさらに成立した[9]。英領の太平洋諸島においてもこの過程は存在し、パプアニューギニアトク・ピシンなどの英語系クレオール言語が成立している[10]。英国が世界各地に植民地を建設した関係上、英語を起源とするピジン言語・クレオール言語は非常に数が多く、全世界のピジン・クレオール言語の約40%は英語を起源とすると考えられている[11]

方言

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職業変種

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民族変種

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その他の変種

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英語系クレオール言語

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混合言語

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歴史

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西暦400年代のユトランド半島からブリテン諸島への移住。
Jutes: ジュート人
Angles:アングル人
Saxons: サクソン人

もともとイギリス諸島の先住民はケルト人系であり、ケルト語系の言語が使用されていた。やがて1世紀からローマ人がブリテン島に駐留するようになったが、そのローマ人が西暦410年に本国に引き上げると、5世紀半ばから6世紀にかけて、ジュート人アングル人サクソン人といったゲルマン系の人々が大陸からブリテン島に渡来して、先住のケルト人を支配するようになり、イギリス諸島においてゲルマン系の言語が定着した。ここから英語の歴史が始まる。彼らの話していた言語はゲルマン語派のうちの西ゲルマン語群に属しており、ドイツ語オランダ語と近い関係を持っていた。なかでもオランダのフリースラント州で話されていたフリジア語とは極めて近い関係にあり、アングロ・フリジア語群として同一語群の中に含まれている[12]

以後の英語の歴史はふつう、450年から1100年頃にかけての古英語、1100年頃から1500年頃にかけての中英語、それ以降の近代英語の3期に大別される。中英語と近代英語の間は初期近代英語と分類でき、また20世紀以降の近代英語は現代英語と分類される[13]

古英語は渡来者たちの方言差を引き継ぐ形で方言を持っていたが、10世紀前半に陸地王国が統一されると徐々に標準語の需要が高まっていき、10世紀末にはウェストサクソン方言が標準書記言語としての地位を確立した[14]。しかし11世紀のノルマン・コンクエストによってフランスから来た貴族階級が話していたロマンス諸語オイル語系のノルマン語が公用語として14世紀まで使われ、英語は公的部門で使用されなくなり、確立した標準語も消失した。このことにより、中英語ではロマンス諸語、特にフランス語からの借用語の増大と、庶民の間での英語の簡素化がすすみ、形態変化の単純化、名詞の性別の消失などを引き起こした[15]。ただし中英語の変化のどこまでが言語接触の影響によるものかは議論がある。その後、1362年には公的な場面で英語が使用されるようになり、15世紀初頭には公文書にも使用されるようになった。これに伴い、公文書体に準拠した書き言葉の整備が進んだ[16]。一方、15世紀初頭には大母音推移と呼ばれる発音の変化がはじまり、近代英語初期である17世紀初頭まで続いたことで、英語の発音は以前と比べ大きく変化したものの、書き言葉の綴りは伝統的な発音に基づいて整備されることが多く、さらに活版印刷の普及などによってこの綴りが固定化したため、単語の発音と綴りの間にずれが生じるようになった[17]

現況

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ブラジ・カチュルによる英語使用状況モデル。内円にイギリスやアメリカなどの母語使用圏、外円にインドやナイジェリアなどの第二言語使用圏、拡大円に中国やロシア、ブラジルといった外国語としての使用圏が配されている

英語話者の分類としては、1970年代に提唱された3タイプによる分類法が広く使用されている。すなわち、母語としての英語(English as a Native language、ENL)、第二言語としての英語(English as a second language=ESL)、外国語としての英語(English as a foreign language=EFL)である[18]。また、ブラジ・カチュルは上記の分類法を元に、英語の使用状況を、母語使用圏からなる内円・第二言語使用圏からなる外円・外国語としての使用圏からなる拡大円の3つの円を使ってモデル化した[19]

英語圏

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国別の英語話者人口 2/3をアメリカ合衆国一国が占める
2014年時点での人口に占める英語話者の割合
英語母語話者の人口に占める割合

英語を母語とする人々が多数を占めたり、あるいは国語や公用語に英語が指定されている地域は英語圏と総称される。2007年時点では、全世界192カ国のうち英語を公用語としている国は55カ国にのぼっていた[20]。英語を母語としている人は世界人口の4.68%で、第1位の中国語(13.22%)と比べかなり少ない[21]。しかし公用語人口としては英語が世界一である[22]

現在、イギリス(UK)全体としては圧倒的に英語話者が多数を占めているものの、英語が法的に国家の公用語とされているわけではない[23]。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドをはじめとして数十の国または地域では公用語もしくは事実上の公用語となっている。アメリカ合衆国は、全人口の約8割が英語を話し最大の英語話者数を抱えているが、国としての公用語は指定していない。一方で州単位で公用語を決める動きが1980年代以降活発化し、2006年時点ではカリフォルニア州フロリダ州イリノイ州など50州の内28州で英語のみが公用語に指定されている[24]。詳しくはen:Template:Official_languages_of_U.S._states_and_territoriesを参照。

第二言語としての英語圏の多くは、イギリス帝国の植民地に由来する。イギリス統治期、現地エリート層のほとんどは英語で教育を受け、植民地行政でも英語が公用語とされたため、独立後も多くの国でこの状態が引き継がれ、政治経済・教育といった公的分野で英語が使用されていることが多く、また国内言語が統一されていない国家においては、エリート層の共通語として英語が機能していることもある。ただしこうした国家において英語話者は多数派ではないことがほとんどである[25]

国際共通語としての英語

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意思の疎通が可能な国や地域を考慮すると、英語は世界でもっとも広く通用する言語と考えられている[26]。英米の影響などで英語が国際共通語として使われるようになったため、外国語として英語を学習・使用する人も多い。そのため、世界各国でイギリス(イングランド)方言・アメリカ方言などの英語の枠組みを超えた「新英語」が出現するようになった[27]

英語は国際連合の公用語の一つであるほか、多くの国際機関において公用語としての地位を確立している。石油輸出国機構のように、英語を第一言語とする国家が加盟していないのにもかかわらず英語を公用語とする国際機関すら存在する。また、2007年時点においてインターネット上で最も使用される言語は英語であり、英語圏以外の国のマスメディアも多くの場合英語放送や英語版の発行を行っている。航空交通管制は英語での交信が原則となっている。また自動車の車内の表記(スイッチ類、メーター類など)や車外の車名以外の表記[注釈 1]は英語表記が主流である[注釈 2]。学術分野でも英語は共通語となりつつあり、文化面でも映画音楽などは英語使用が主流となっている[29]翻訳においては、英語以外の言語間で翻訳を行う場合すら、直接翻訳ができない場合はいったん原語から英語へと変換し、またそこから他言語へ変換することが珍しくない[30]。このように経済、社会文化など様々な分野でグローバル化に伴う英語の普及が進み、「国際共通語」としての英語の重要性は高まる一方である。こうしたことから各国でも盛んに英語教育が行われるようになり、欧州連合(EU)では、学校でもっとも学ばれている外国語となっている[31]

英語が国際共通語として使用されるようになったのはそれほど古くはなく、19世紀まではフランス語が外交用語や国際共通語としての地位を占めていたが、第一次世界大戦後から英語はフランス語と並ぶ国際語としての地位を徐々に築いていった[32]第二次世界大戦後イギリスは徐々に国際政治での影響力を弱めていくが、同じ英語を使用する国であるアメリカ合衆国が強い影響力を持つようになり、さらにイギリスから独立した国家群のほとんどは独立後も英語利用を続けることが多かったため、結果として英語が有用な外国語として世界に広く普及することになった[33]

この現況に対して、英語の影響力強化を懸念する立場からは英語が他言語を圧迫し言語帝国主義に陥っている、すなわち英語帝国主義であるとの批判も見られる[34]

母語圏の英語事情

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イギリス・アイルランドの英語事情

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イギリス、とくに英語発祥の地であるイングランドには、多数の英語方言がある。特に社会階層による方言の分化が著しく、社会の上層で使用される「容認発音received pronunciation/RP, BBC English, Queen's English など様々な呼称がある)」や下層で使用されるコックニーといった社会方言が存在する。容認発音は話者こそ少ないものの、伝統的に訛りのない標準発音とされており、BBC英語とも呼ばれるように公的な場面や放送などで主に用いられてきた[35]。しかし1980年代以降、容認発音に代わりロンドン付近の社会中層が主に用いてきた「河口域英語 (Estuary English)」の使用が増えつつある[36][37]。なお、これ以外に地域方言もイングランド各地に存在する[38]

イングランド以外のブリテン諸島は本来ケルト語派圏であり、古くはスコットランド・ゲール語アイルランド・ゲール語ウェールズ語といったケルト語系の言語が使用されていた。しかしイングランドからの影響によって英語の使用が広まり、スコットランドでは中英語から分離した英語系のスコットランド語が早くも14世紀末には一般的に使用されるようになった[39]。1707年にスコットランドとイングランドが合同すると影響はさらに強まり、スコットランド語に代わって完全に英語の一方言であるスコットランド英語が主に使用されるようになった[40]。この傾向は他地域でも同様であり、ウェールズでも19世紀後半にはウェールズ英語の使用が主流となり[41]アイルランドでもこの時期にアイルランド英語使用が一般的となった[42]。アイルランドが独立するとアイルランド・ゲール語は英語とともに公用語に指定されたものの、ゲール語の母語話者は減少を続けており、同国国民の9割以上はアイルランド英語を母語とするようになっている[43]

アメリカ合衆国の英語事情

[編集]

アメリカ合衆国には、国家の公用語に関する法的な文章が存在しない。ただし、州レベルでは、英語を公用語とする州や英語とスペイン語アメリカ合衆国のスペイン語)を公用語と明文的に定める州もある。初期の頃は、西ヨーロッパ系(特にゲルマン人)の移民が多く、英語優位の状況が確保されていたが、次第に東ヨーロッパ南ヨーロッパ系が増えてきた。さらにアジアラテンアメリカヒスパニックラテン系アメリカ人問題を参照のこと)からの移民(アメリカ合衆国への移民)が大量に押し寄せ、彼らが高い出生率を維持すると、英語の地位が揺るぎかねないといった風潮が英語話者(アングロ・サクソン人系、WASP)の間で生まれてくる(イングリッシュ・オンリー運動)。いずれにしても英語が国家の言語(国語)として通用しているのは事実で、教育の分野においては「バイリンガル教育かモノリンガル教育か」といった趣旨の問題がたびたび持ち出される。

アメリカ英語の地域差はさほど大きくないが、おおまかには北東部のニューイングランド英語(New England English)、アメリカ南部一帯で話される南部アメリカ英語、そしてその他の地域の一般アメリカ英語の3地域に区分される[44]

カナダの英語事情

[編集]

カナダイギリス連邦および英連邦王国を構成する一国であり、元英領植民地(Crown colony)であった地域だが、その英領植民地にそれ以前はヌーベルフランスであり、今でもフランス語が使われ続けているケベック州があることから、カナダ全体の公用語として英語(カナダ英語)とフランス語(カナダフランス語)の両方が制定されており、連邦政府のサイトや企業の商品説明などは全て英仏両言語で行われている。旧英領の国としては、全人口の内、英語を母語とする人の割合は58%と低く、フランス語が22%を占める。これは、移民が非常に多いため第二言語として英語を使用している人口が非常に多いからである。また、北米アメリカ合衆国が隣に位置していることから、旧英領であるとはいえ、オーストラリアインドなどほかの旧英領植民地とは違い、比べるとカナダの英語発音はイギリス英語よりもアメリカ英語に近いが、単語の綴りとしてはイギリス英語式とアメリカ英語式が混在している[45]。ケベック州ではフランス語が公用語であることから、英語を母語とせず英語運用能力が高くない人も少なくないが、ケベック州ニューブランズウィック州オンタリオ州以外ではほとんどフランス語が使われないこともあり、カナダ英語におけるフランス語の影響は皆無に近い[46]

オーストラリア・ニュージーランドの英語事情

[編集]

現在、オーストラリアで話されている英語は、イギリス英語が訛ったものである。訛りは比較的強いが[47]、アメリカ英語ほど変化は激しくなく、オーストラリアの映画などは他の英語圏でもイギリス英語を理解できるものなら分かる。地域間の言語差異は非常に小さい一方で、社会階層により「洗練された」(Cultivated)、「一般的な」(General)、「訛りの強い」(Broad)の3種の社会方言が存在する。かつては容認発音に近いとされるCultivated方言が標準語とされて社会上層や放送などで使用されていたが、20世紀末以降使用が激減し、General方言が標準語としての地位を確立した。Broad方言は地方や労働者階級などで使用者が多いが、こちらの話者も20世紀末以降減少が続き、General方言への一本化が進みつつある[48]

ニュージーランドで使用される英語は、オーストラリア英語とほぼ類似しており、綴りや発音もイギリス英語の傾向だが、同国のもう1つの公用語であるマオリ語(先住民族マオリの言語)の影響も受けている。オーストラリアと同様、地域差が非常に少ない一方でCultivated、General、Broadの3方言が存在する[49]

母語圏以外の英語事情

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南アフリカの英語事情

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南アフリカは大きな英語母語話者の集団が存在するものの多数派ではなく、2011年時点で英語母語話者人口は総人口の約9.6%を占めるに過ぎず、ズールー語コサ語アフリカーンス語に次ぐ規模にとどまっている。公用語としても唯一のものではなく、11ある公用語のうちの一つに過ぎない。一方で第二・第三言語として英語を使用する人口は非常に多く、事実上国内の共通語となっている。もともとアパルトヘイト期においては白人系の言語であるアフリカーンス語と英語の2言語のみが公用語となっており、なかでも政府や社会の主導権を握るアフリカーナーの言語であるアフリカーンス語の利用が積極的に進められたものの、この政策は差別される側である黒人の強い反発を招き、その反動からアパルトヘイト撤廃後は英語の共通語化が急速に進んだ[50]

インドの英語事情

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インドでは英語はヒンディー語と並んで公用語の地位にあるが、現状に至るまでには紆余曲折が存在した。インドには英語の母語話者がほぼ存在せず、一方で北部を中心にヒンディー語が広大な共通言語圏を形成していたため、憲法制定時にはヒンディー語の単独公用語化が目指され、英語は「1965年までは公用語として併用される」との規定が定められていた[51]。しかしまったく言語圏の違う南部のドラヴィダ諸語圏からの反発が非常に強く、1965年に憲法における英語併用期限が切れると同時に激しい反対運動が巻き起こり、2週間後には事実上公用語2言語制の継続が決定した[52]。一方で、ヒンディー語話者を中心に英語公用語化への反発も存在する[53]

日本の英語事情

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日本では、学校教育の場合、文部科学省が定める学習指導要領により、義務教育である中学校3年間と小学校5・6年生で英語が必修教科となっているが、「受験英語」という言葉があるように読解力が特に重視されていて、会話(英会話)があまり教えられていないため、受験(入学試験)が終わると英語に接する機会が少なく、非英語圏の先進国アジア域内諸国と比べても通用度は低い(全く話せず、聞き取れず、という人がほとんど)。

江戸時代末期にアメリカイギリスからの使節と交渉する必要が生じ、日本での英語の歴史が始まった。ジョン万次郎が著した日本最初の英会話教本には、(日本語とは語順の違う)英文の意味を取りやすいよう、漢文のような返り点が打たれていた。英国外交官ミットフォードは1866年から4年間日本に滞在し貝原好古の『諺艸』など和書の一部を英訳して本国で紹介しており、初めて英訳された日本の文書はこれであろうと述べている[54][注釈 3]

島村盛助など英文学者らが和英辞書を編纂したが、英語は第二次世界大戦中は、敵性語として排斥されていた時期もあった。今日、日本における英語は依然第一外国語であり、科学技術や諸制度の吸収のための手段や通商の道具(商業英語)という位置付けである。

高校受験大学受験各種学校の必修・選択単位取得においては、英語を読解する能力が重視され、英文和訳を中心とした授業(いわゆる受験英語の学習)が行われている。日本語での出版活動が盛んで、多くの英語の書籍が日本語へ翻訳されることから、日常生活で英語の読解に迫られることはあまりないが、職種によっては英文文献の読解が必要となることは少なくない。そのため、専門分野の英文の理解はできるが、日常会話の経験はなく、英会話に苦手意識を持っている日本人は多い。

日本では、非都市部を中心に英語会話能力を特殊技能と見なす傾向が認められる。日本では大学の講義を英語ではなく日本語で受けることができること、すなわち日本の高等教育は母語だけで十分に享受できるということ、英語を母語とする人が1%未満であり日本語だけで日常生活に支障をきたさないことなど複合的な要素によって、日本国内では特定の業界や職種を除き、英会話の必要性が乏しいためである。一方、東京・大阪・神戸・名古屋・福岡などの都市圏では英語話者のコミュニティが形成されている他、英語放送局も存在する。日本の案内標識は英文併記が多い。

英語に関する資格試験

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英語に関する辞典

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脚注

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注釈

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  1. ^ 4WD」、「TURBO」など。
  2. ^ ただしトヨタ2代目のセンチュリーのように、エアコンパワーウィンドウのスイッチを日本語の表記としている例もある[28]
  3. ^ ミットフォード貝原好古諺艸』の他、佐倉惣五郎を描いた悲劇『東山桜荘子』なども英訳した。

出典

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  1. ^ English”. エスノローグ26版 (2023年). 2023年11月29日閲覧。
  2. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “英語”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/stan1293 
  3. ^ 例えば、青木輔清 編『英吉利語学便覧 初編』(明治5年刊)など。
  4. ^ kotobank「米語」(kotobank)
  5. ^ 「英語の歴史」p97-100 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行
  6. ^ 「言語世界地図」p197-199 町田健 新潮新書 2008年5月20日発行
  7. ^ 「英語の歴史」p137 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行
  8. ^ 「世界の英語ができるまで」p239-241 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  9. ^ 「世界の英語ができるまで」p247-249 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  10. ^ 「英語の歴史」p146 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行
  11. ^ 「よくわかる社会言語学」(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)p81 田中春美・田中幸子編著 ミネルヴァ書房 2015年9月20日初版第1刷発行
  12. ^ 「英語の歴史」p24-25 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行
  13. ^ 「英語の歴史」p38 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行
  14. ^ 「世界の英語ができるまで」p20-21 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  15. ^ 「世界の英語ができるまで」p24-26 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  16. ^ 「世界の英語ができるまで」p36-38 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  17. ^ 「世界の英語ができるまで」p42-44 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  18. ^ 「英語系諸言語」p88-89 トム・マッカーサー著 牧野武彦監訳 山田茂・中本恭平訳 三省堂 2009年9月15日第1刷発行
  19. ^ 「英語系諸言語」p117-118 トム・マッカーサー著 牧野武彦監訳 山田茂・中本恭平訳 三省堂 2009年9月15日第1刷発行
  20. ^ 「言語世界地図」p194 町田健 新潮新書 2008年5月20日発行
  21. ^ CIA. “The World Factbook -Field Listing ::Languages” (英語). 2009年11月26日閲覧。[リンク切れ]
  22. ^ 『なるほど知図帳世界2009』昭文社、2008年。ISBN 978-4398200396 
  23. ^ 「よくわかる社会言語学」(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)p147 田中春美・田中幸子編著 ミネルヴァ書房 2015年9月20日初版第1刷発行
  24. ^ 「アメリカ」(世界地誌シリーズ4)p82-83 矢ヶ﨑典隆編 朝倉書店 2011年4月25日初版第1刷
  25. ^ 「よくわかる社会言語学」(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)p88-89 田中春美・田中幸子編著 ミネルヴァ書房 2015年9月20日初版第1刷発行
  26. ^ en:List_of_languages_by_number_of_native_speakers
  27. ^ 「英語の歴史」p143 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行
  28. ^ 初めての愛車は「かわいい」から選んだトヨタ センチュリー”. 2024年11月26日閲覧。
  29. ^ 「英語の歴史」p5-10 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行
  30. ^ 「よくわかる翻訳通訳学」(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)p69 鳥飼玖美子編著 ミネルヴァ書房 2013年12月10日初版第1刷発行
  31. ^ Eurobarometer (2006年2月). “Europeans and their Languages” (PDF) (英語). 2009年11月26日閲覧。
  32. ^ 「言語世界地図」p196 町田健 新潮新書 2008年5月20日発行
  33. ^ 「変容する英語」p160 菅山謙正編 世界思想社 2005年8月10日第1刷発行
  34. ^ 「よくわかる社会言語学」(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)p94-95 田中春美・田中幸子編著 ミネルヴァ書房 2015年9月20日初版第1刷発行
  35. ^ 「世界の英語ができるまで」p86-87 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  36. ^ 「世界の英語ができるまで」p97 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  37. ^ 「英語の歴史」p113 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行
  38. ^ 「世界の英語ができるまで」p98-99 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  39. ^ 「世界の英語ができるまで」p105-106 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  40. ^ 「世界の英語ができるまで」p108-109 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  41. ^ 「世界の英語ができるまで」p124-125 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  42. ^ 「世界の英語ができるまで」p117 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  43. ^ 「世界の英語ができるまで」p114-115 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  44. ^ 「世界の英語ができるまで」p167-170 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  45. ^ 「世界の英語ができるまで」p190-191 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  46. ^ 「世界の英語ができるまで」p186 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  47. ^ オーストラリア政府観光局認定のオーストラリア・トラベル・アドバイザーによる解説. “オーストラリアの言葉”. 2010年10月27日閲覧。
  48. ^ 「世界の英語ができるまで」p198-200 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  49. ^ 「世界の英語ができるまで」p212-216 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  50. ^ 「世界の英語ができるまで」p221-224 唐澤一友 亜紀書房 2016年4月5日第1版第1刷発行
  51. ^ 「インド現代史1947-2007 上巻」p194-199 ラーマチャンドラ・グハ著 佐藤宏訳 明石書店 2012年1月20日初版第1刷
  52. ^ 「インド現代史1947-2007 下巻」p16-21 ラーマチャンドラ・グハ著 佐藤宏訳 明石書店 2012年1月20日初版第1刷
  53. ^ 「英語の歴史」p190-191 寺沢盾 中公新書 2008年10月25日発行
  54. ^ 貝原好古他 1910.

参考文献

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関連項目

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他の言語

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英語による各国文学

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教育

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個別言語学

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外部リンク

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