コンテンツにスキップ

「二塩化硫黄」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
MomijiRoBot (会話 | 投稿記録)
m Bot: ° → °,→ → → ,Replaced HTML character entity reference to the equivalent character/string∵Check Wikipedia #11
m
19行目: 19行目:
== 合成 ==
== 合成 ==
一塩化硫黄に塩素を作用させると、二塩化硫黄に変わる。
一塩化硫黄に塩素を作用させると、二塩化硫黄に変わる。
: <ce>S2Cl2\ + Cl2 -> 2SCl2</ce>

:S<sub>2</sub>Cl<sub>2</sub> + Cl<sub>2</sub> → 2 SCl<sub>2</sub>


この反応は[[塩化鉄(III)]]などの[[ルイス酸]]に触媒される。また、平衡反応であるため、二塩化硫黄を放置すると、塩素を放出して一塩化硫黄に戻ってしまう。そのため、純度の高い二塩化硫黄を合成するときは、[[五塩化リン]]などを安定剤として蒸留を行う。
この反応は[[塩化鉄(III)]]などの[[ルイス酸]]に触媒される。また、平衡反応であるため、二塩化硫黄を放置すると、塩素を放出して一塩化硫黄に戻ってしまう。そのため、純度の高い二塩化硫黄を合成するときは、[[五塩化リン]]などを安定剤として蒸留を行う。
26行目: 25行目:
== 反応 ==
== 反応 ==
元素状や水素化物の硫黄と反応して、ポリスルフィド結合を持つ塩化物を作る。この反応は、ゴムの加硫に利用される。
元素状や水素化物の硫黄と反応して、ポリスルフィド結合を持つ塩化物を作る。この反応は、ゴムの加硫に利用される。
: <ce>SSCl2\ + \mathit{n} S -> Cl-S_{\mathit{n}+1}-Cl</ce>


:SCl<sub>2</sub> + n S Cl-S<sub>n+1</sub>-Cl
: <ce>S2 SCl2\ + H2S4 -> Cl-S6-Cl\ + 2 Cl</ce>

:2 SCl<sub>2</sub> + H<sub>2</sub>S<sub>4</sub> → Cl-S<sub>6</sub>-Cl + 2 HCl


&minus;80 ℃ にて塩素を作用させると、四塩化硫黄を生じる。この化合物は、&minus;31 ℃ 以上で逆反応を起こして分解する。
&minus;80 ℃ にて塩素を作用させると、四塩化硫黄を生じる。この化合物は、&minus;31 ℃ 以上で逆反応を起こして分解する。
: <ce>SSCl2\ + Cl2 -> SCl4</ce>

:SCl<sub>2</sub> + Cl<sub>2</sub> → SCl<sub>4</sub>


[[三酸化硫黄]]と反応させると、[[塩化チオニル]]を与える。これは、塩化チオニルの工業的な合成法である。
[[三酸化硫黄]]と反応させると、[[塩化チオニル]]を与える。これは、塩化チオニルの工業的な合成法である。
: <ce>SSCl2\ + SO3 -> SOCl2\ + SO2</ce>

:SCl<sub>2</sub> + SO<sub>3</sub> → SOCl<sub>2</sub> + SO<sub>2</sub>


水とは、[[塩化水素]]を出しながら激しく反応する。
水とは、[[塩化水素]]を出しながら激しく反応する。

2017年4月14日 (金) 04:37時点における版

二塩化硫黄
二塩化硫黄の分子モデル
別名 塩化硫黄(II)
組成式 SCl2
式量 102.97 g/mol
形状 赤色液体
CAS登録番号 [10545-99-0]
密度 1.6285 g/cm3, 液体 (15 ℃)[1]
融点 −78 °C
沸点 59 °C

二塩化硫黄(にえんかいおう)とは、硫黄塩素からなる。塩化硫黄(II)とも呼ばれる。Cl-S-Cl の構造を持つ分子で、硫黄上の結合角は 109.3 °。外見は赤色の液体である。

合成

一塩化硫黄に塩素を作用させると、二塩化硫黄に変わる。

この反応は塩化鉄(III)などのルイス酸に触媒される。また、平衡反応であるため、二塩化硫黄を放置すると、塩素を放出して一塩化硫黄に戻ってしまう。そのため、純度の高い二塩化硫黄を合成するときは、五塩化リンなどを安定剤として蒸留を行う。

反応

元素状や水素化物の硫黄と反応して、ポリスルフィド結合を持つ塩化物を作る。この反応は、ゴムの加硫に利用される。

−80 ℃ にて塩素を作用させると、四塩化硫黄を生じる。この化合物は、−31 ℃ 以上で逆反応を起こして分解する。

三酸化硫黄と反応させると、塩化チオニルを与える。これは、塩化チオニルの工業的な合成法である。

水とは、塩化水素を出しながら激しく反応する。

参考文献

  • Cotton, F. A.; Wilkinson, G. Adv. Inorg. Chem., 5th ed., Wiley, 1988, pp. 513.
  1. ^ Lowry, T. M.; Jessop, G. J. Chem. Soc. 1930, 1005 - 1015.

外部リンク