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|画像説明=建替後の駅舎(2015年10月撮影) |
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|ローマ字=Kōfuku |
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2020年2月15日 (土) 08:37時点における版
幸福駅 | |
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建替後の駅舎(2015年10月撮影) | |
こうふく Kōfuku | |
◄大正 (5.3 km) (6.1 km) 中札内► | |
所在地 | 北海道帯広市幸福町東1線 |
所属事業者 | 日本国有鉄道(国鉄) |
所属路線 | 広尾線 |
キロ程 | 22.0 km(帯広起点) |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 1面1線 |
乗降人員 -統計年度- |
13人/日 -1981年(昭和56年)- |
開業年月日 | 1956年(昭和31年)11月1日 |
廃止年月日 | 1987年(昭和62年)2月2日[1] |
備考 | 広尾線廃線に伴い廃駅 |
幸福駅(こうふくえき)は、北海道(十勝支庁)帯広市幸福町にあった日本国有鉄道(国鉄)広尾線の駅である[1]。広尾線の廃線に伴い1987年(昭和62年)2月2日に廃駅となった[1]。
駅名の縁起の良さから乗車券や入場券などで有名であり[1]、廃止後も観光地として整備されている[2]。
歴史
駅構造
廃止時点で、単式ホーム1面1線を有する地上駅であった。ホームは線路の東側(広尾方面に向かって左手側)に存在した。転轍機を持たない棒線駅となっていた。
開業時からの無人駅だが、ホーム南側の出入口から東側に少し離れた位置に待合所機能のみの木造駅舎を有した[5]。駅舎内に売店があり、簡易委託駅として乗車券の販売が行われていた。別棟でトイレを有した。駅舎の前には「ようこそ愛の国から幸福へ」と記載されたアーチが設置されていた[6]。
駅名の由来
近隣を流れる札内川は、広大な河原のわりには水量が少ない。そのためアイヌ語で「乾いた川」を意味する「サツナイ」と呼ばれており、中札内村の名もこれに由来するものである。1897年(明治30年)、福井県大野から集団移住が行われ、入植者によって拓かれた村には幸震の字があてられた。「ナイ」に震をあてたのは、地震のことを古語で「なゐ」と呼ぶためである。しかし難読であるため、次第に音読みで「こうしん」と呼ばれるようになったその後、幸震には福井からの移住者(「福井団体」という)が多かったことにちなみ、集落名が幸福と改められた。なお、1929年に広尾線が部分開通した際には幸震駅が設けられたが、この駅は後に大正駅と改名された。
利用状況
1981年度(昭和56年度)の1日乗降客数は13人[5]。
駅周辺
「愛の国から幸福へ」ブーム
この駅は一部の旅行者に注目されていたが、1973年3月、NHKの紀行番組『新日本紀行』において『幸福への旅 〜帯広〜』として紹介されたことから知名度が上昇した。2005年4月からスタートした『新日本紀行ふたたび』で同サブタイトルで同番組の第1回放送でも紹介されている。
周りの駅は相次いで幸福駅までの乗車券を増刷し、幸福駅付近の商店も入場券の販売をするようになった。特に幸福駅より2つ帯広駅寄りの愛国駅と併せて、「愛国から幸福ゆき」という切符が一大ブームとなる。1974年にはこれを元にした歌「愛の国から幸福へ」(歌:芹洋子)も登場した。前年には7枚しか売れなかった愛国 - 幸福間の切符が、この年は300万枚、4年間で1000万枚も売れた。観光客が多数訪れるようになり、待合室の内外に利用者が名刺や使用済みの定期券などを記念に残すようになったのもこのころからである。
大正駅を始めとして広尾線には愛国駅など縁起のよい名を持つ駅が点在しており、これらの駅との間の乗車券も活発に発行された。例えば「大正駅 - 幸福駅」で「たいそう幸福」といった具合である。あるいはそれらの駅相互の間でも「新生駅 - 大樹駅」などの切符が人気を集めた。
しかしこのブームも広尾線全体の営業改善にはあまり結びつかなかった。それでも、ブームの最盛期である1974年の営業係数は、前年の704から189と大幅に改善したが、翌1975年には481, 1976年には623と悪化し、一時的なものに留まった。最末期は一日片道6本という同線の便数の少なさもあって、この駅を訪れる観光客も観光バスやレンタカーを利用することが多かった。同線は1984年に第2次廃止対象特定地方交通線に指定され、1987年2月2日をもって幸福駅は広尾線とともに廃止となった[1]。
縁起もの入場券のブームへ
幸福駅は当時に始まり、現在もなお継続する縁起のよい駅名の入場券・乗車券を求めるブームの嚆矢となった駅であり、全国のローカル線やローカル鉄道会社に記念入場券で収益を補うという新たなサイドビジネスを提案することとなった。幸福駅の事例により全国の縁起のよい名前を持つ駅、たとえば学駅・妻駅・真幸駅・学門駅・学文路駅などが入場券をアピールしようとするのである。そして松浦鉄道の大学駅やくま川鉄道のおかどめ幸福駅、南阿蘇鉄道の南阿蘇水の生まれる里白水高原駅など、特に第三セクター鉄道において、入場券の販売を目的とした新設駅の駅名選定あるいは駅名改称なども起こっている。
駅跡
広尾線代行バスである、十勝バス広尾線の幸福バス停があるほか、帯広市によって[8]「交通公園」として完全に観光地化され[9]、駅舎、トイレ、ホーム、レール、駅名標が当時とほとんど変わらない状態で保存されていた[10]。
1990年代後半には農村公園として、観光バスも利用可能なアスファルト舗装の駐車場やトイレ、花壇などが整備された。現在でも、待合室には現役当時同様に名刺や定期券などがびっしりと貼り付けられ、1990年代半ば以後はプリクラシールもしばしば見られる。ホームの入り口には「幸福の鐘」が、付近には後述するイベントのための小屋が廃止後付け加えられた。
レール上にはキハ22形キハ22 221、キハ22 238の2両の気動車とモーターカー1両が静態保存・展示されている[8]。これらの車両は2010年(平成22年)時点では良好な保存状態である[11]。
駅舎近くの売店では「愛の国から幸福へ」として知られる愛国駅から幸福駅ゆきの切符などのレプリカが販売されている(当然ながら切符としては使えない)。これらは地元企業により通信販売もなされている。また十勝バスも地紋を自社仕様にした硬券切符を発売している[12]。国鉄広尾線が健在であった当時から発売しており、表記の日付当日であれば十勝バスの乗車券として利用できる。
さらに帯広市の商工観光部観光課によって、「幸福駅ハッピーセレモニー」という結婚式風のイベントが夏季を中心に行われている。帯広観光コンベンション協会からは同駅の訪問者に対して「幸福からのメッセージ」というクリスマスカードを送るサービスも行われている。
2012年にはみけおうがデザインをした観光PRキャラクター「みゆき」(幸福駅の駅神)・「めぐみ」(愛国駅の駅神)が登場した[13]。
2013年9月、老朽化のため駅舎を解体。同年11月16日に建替え工事が完成し、旧駅舎外壁の半分を新駅舎に使用するなど昔の面影を残すとともに、旧駅舎の壁に所狭しと張られた名刺や写真は新駅舎でも張り付け可能となり、駅舎内には4Kテレビの電子看板も設置された[14]。
隣の駅
ギャラリー
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建替前の駅舎
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駅舎内には壁から天井まで一面に切符のレプリカが貼られている
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交通公園
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幸福の鐘
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キハ22形車内
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キハ22形とともに保存されている除雪車
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愛国→幸福の乗車券(十勝バス発行)
脚注
- ^ a b c d e f “さようなら 幸福駅”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1987年2月1日)
- ^ “<ショット95>幸福駅に人絶えず… 張り紙、メッセージ 飽和状態”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1995年3月23日)
- ^ “生まれ変わった幸せの駅舎 旧国鉄広尾線幸福駅で改築の式典”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2013年11月16日)
- ^ 台湾「愛情」と北海道「幸福」が姉妹駅に 日台の恋人の聖地
- ^ a b 『国鉄全線各駅停車1 北海道690駅』小学館、1983年7月、138ページ。
- ^ 工藤裕之『追憶の鉄路 北海道廃止ローカル線写真集』北海道新聞社、2011年12月、234-235ページ。
- ^ a b 『北海道道路地図 改訂版』地勢堂、1980年3月、13ページ。
- ^ a b 白川淳監修『全国保存鉄道III 東日本編』JTBパブリッシング、1998年11月、66ページ。
- ^ 本久公洋『北海道の鉄道廃線跡』北海道新聞社、2011年9月、186-187ページ。
- ^ 『鉄道廃線跡を歩くVI』JTBパブリッシング、1999年3月、38-39ページ。
- ^ 『新 鉄道廃線跡を歩く1 北海道・北東北編』JTBパブリッシング、2010年4月、87ページ。
- ^ 愛国から幸福ゆき切符 - 十勝バス
- ^ “北海道・幸福駅に萌え駅神誕生「みゆき&めぐみ」が幸せを届ける”. アニメ!アニメ!. (2012年6月22日) 2012年7月16日閲覧。
- ^ 恋人の聖地 新たな門出 幸福駅 十勝毎日新聞社ニュース 2013年11月16日
関連項目
外部リンク
- 幸福駅発|北海道帯広市・幸福駅公式ホームページ
- 「愛の国から幸福へ」愛国駅・幸福駅 - 帯広市による観光情報。
- 帯広観光コンベンション協会