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[[File:LtdExp Hato dept celemony in Tokyo Station 19521015.jpg|thumb|200px|right|東京駅での鉄道開業80周年記念行事<br />前列左: [[内田百閒]]([[文筆家]]) - 名誉駅長<br />前列右: [[松井翠声]]([[漫談家]]) - 名誉車掌<br />機関車側窓: (初代)[[西崎緑 (舞踊家)|西崎緑]]([[舞踊家]]) - 名誉機関士]] |
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'''名誉駅長'''(めいよえきちょう)は、[[鉄道会社]]等の[[公共交通機関]]をはじめとした「[[駅]]」の設置者が任命する[[役職]]、あるいは授与する[[称号]]の一つ。[[名誉称号]]の一種。関連する称号・職名として、一日駅長、名誉副駅長、名誉機関士、名誉車掌がある(名誉副駅長、名誉機関士、名誉車掌については本項にて解説)。 |
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2020年6月17日 (水) 08:10時点における版
名誉駅長(めいよえきちょう)は、鉄道会社等の公共交通機関をはじめとした「駅」の設置者が任命する役職、あるいは授与する称号の一つ。名誉称号の一種。関連する称号・職名として、一日駅長、名誉副駅長、名誉機関士、名誉車掌がある(名誉副駅長、名誉機関士、名誉車掌については本項にて解説)。
狭義には固有名詞(主として職名・称号)としての「名誉駅長」を指すが、広義には名誉職としての「駅長」ないし関連・類似する職名・称号も本項の説明に含める。また、主として鉄道駅の名誉駅長を対象とするが、自動車駅や道の駅、物語の登場人物やキャラクター等の創作物の事例も本項で解説する。広報キャラクターとしての選任で、任期が一日限りの職名の場合は一日駅長と呼ばれる。その職掌としては駅長としての管理実務ではなく、地域住民・乗客とのふれあいや駅・鉄道の広報である。
有名人などを招き、一日駅長としてイベントを行うことがある。特別なたすきなどで飾られた制服や制帽を身につけ、通常の駅長が受け持つ複雑な業務ではなく、利用客や地域住民とのふれあいを目的とする名誉職であり、警察の一日署長などと同様のイベントである。稀に動物も一日駅長とすることがある。
名誉駅長
鉄道駅の名誉駅長
人
名誉駅長は主に鉄道会社と個々の駅に置かれる名誉職である。東日本旅客鉄道八王子支社では青梅線の無人駅である石神前駅、沢井駅、軍畑駅に退職した社員を起用しているほか[1]、西日本旅客鉄道岡山支社でも退職者を赤穂線大多羅駅、姫新線東津山駅、同線岩山駅の名誉駅長に任命している[2]。また、鹿島臨海鉄道の涸沼駅では地元住民を名誉駅長に任命し、駅の管理を任せている[3]。芸能人をシンボルキャラクターとして起用する例では2013年11月3日、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台となった岩手県の三陸鉄道であまちゃんの登場人物である大向大吉役の杉本哲太が久慈駅の名誉駅長に任命されている[4]。近年では、東急電鉄が乗客向けのポイントサービスとして「のるレージ」事業を展開しているが、「のるレージ」の登録者がICカードPASMOでポイントをため、最高ランクに到達すると名誉駅長に認定され、各種特典を受けられる仕組みとなっている[5]。
人間以外
貴志駅(和歌山電鐵貴志川線)では、2007年に猫の「たま」が駅長に任命されて話題を呼んだ。たまの主な業務は(招き猫のように)「客招き」である。これにならって他の鉄道会社でも駅と関わりのある動物などを名誉駅長として任命するケースが現れた。近年では、動物のみならず、架空のキャラクターを名誉駅長とする事例もみられる。
名誉駅長ではなく単に「駅長」として任命される場合もあるが、駅の管理実務に携わるものではないため、以下では名誉駅長の事例として扱う。
任命事例
- 和歌山電鐵・貴志駅(無人駅) - たま(ネコ;死亡)→たまII世(襲名前 ニタマ)(ネコ)
- 2007年1月5日に和歌山電鐵から正式に駅長に任命。その主な業務は「客招き」。
- 先代のたまは、2015年5月19日から鼻炎のため入院していたが、復帰することなく同年6月22日に急性心不全のために死去。
- 西武鉄道・大泉学園駅 - 車掌(キャラクター)
- 2008年3月に、同駅周辺がアニメ制作会社が集まる地域であることから、そのイベントの一環として『銀河鉄道999』(松本零士作)の登場人物を名誉駅長に任命した[6]。
- 会津鉄道・芦ノ牧温泉駅 - ばす(ネコ;死亡)→らぶ(ネコ)
- 2008年4月にこの駅に住む猫の「ばす」が同社より名誉駅長に任命された。この任命式には、たま駅長からも祝電が贈られた[7][8]。その後、「ばす」が高齢になったことを理由に、2015年12月、地元・会津生まれでアメリカンカールの「らぶ」に名誉駅長の座を譲った[9][10]。2016年4月22日に死去。
- IGRいわて銀河鉄道・奥中山高原駅 - マロン(イヌ;死亡)→マック(イヌ)
- 2008年6月に同駅委託駅員の飼い犬であるヨークシャー・テリアの「マロン」が名誉駅長を委嘱され、生後45日目頃より駅に出ていたが、2009年8月に9歳で世を去った。その後、同じくヨークシャー・テリアである「マック」が「マロン」の後継を目指している姿が地元FM局により紹介された[11]。
- 東日本旅客鉄道・鰺ケ沢駅 - わさお(イヌ)
- “ブサかわ犬”としてマスメディアでもとりあげられ、映画主演をも果たした秋田犬「わさお」が、東日本大震災襲来の翌月にあたる2011年4月より任期1年の当該駅観光駅長に委嘱された[12]。翌2012年以降も1年毎に再委嘱されてきており、2015年4月の再委嘱によって5年目に入った[13]。
- 東日本旅客鉄道・大館駅 - あこ & 飛鳥(共にイヌ)
- 秋田犬発祥の地として知られる大館市が保有する2頭のメスの秋田犬、「あこ」と「飛鳥」が2017年4月28日付けで当該駅の観光駅長として委嘱され、同年5月6日よりその任期に入っている。祝日を除く毎週土・日両曜日の朝9時45分から約30分間、当該駅を利用する観光客を出迎える等の役務をこなしている[14][15]。
- 山形鉄道・宮内駅 - もっちぃ(ウサギ)
- 2010年8月1日就任。同線内に白兎駅が存在する縁などから、同年山形鉄道に入社した女性新入社員が彼女の母校である山形県立置賜農業高等学校から同年5月に誕生した子ウサギ3羽を譲り受けた。内訳は白ウサギ1羽と茶ウサギ2羽で、このうち唯一の白ウサギには「もっちぃ」と名付けられ、駅長に就任。残る茶ウサギ2羽は「ぴーたー」・「てん」とそれぞれ名付けられた上で、駅員に就任。他には駅前のそば屋に暮らす亀も非常勤の助役に就任している[16][17]。
- 埼玉高速鉄道・浦和美園駅 - ラビたま(ウサギ)
- 2015年6月7日就任。埼玉県こども動物自然公園より譲り受けた、1歳4か月(駅長就任時点)のイエウサギの雌。通常は週5日、駅利用客への挨拶や駅構内巡回(駅員同伴)などの勤務にあたる[18][19]。
- 北条鉄道・北条町駅 - ねひめ、らかん(ニホンザル)
- 2010年10月16日就任。同年に生まれた2頭のニホンザルである。月1回程度の勤務[20][21]。
- 阿佐海岸鉄道・宍喰駅 - あさ、てつ(イセエビ)
- 2010年12月7日に、町内の宍喰漁港で捕れた雄雌1匹ずつ計2匹のイセエビが「駅長」に就任。同年8月から「駅長」として展示されていたメダカに替わる就任となる[22]。
- 京王電鉄・京王多摩センター駅 - ハローキティ(キャラクター)
- 2016年3月、名誉駅長にハローキティが任命されている[23]。
自然発生
以上の他、駅に住み着いた猫などが駅の利用者より「猫の駅長・駅員」などと呼ばれることで知られるケースも存在する。
- 同和鉱業片上鉄道(廃線)吉ヶ原駅 - コトラ(ネコ)
- 片上鉄道保存会会員の飼い猫が特製の制帽を与えられて、保存会のイベントで活動している[8]。たまよりも早く仕事に就いており、当時の誌面で駅長猫として紹介されていた[24]。
- 東葉高速鉄道・飯山満駅 - みーすけ(ネコ)
- 1996年の開業以来駅に住み着き、以来駅利用者の人気を得ている[8]。
- ひたちなか海浜鉄道・那珂湊駅 - おさむ、ミニさむ(ネコ)
- おさむは2009年7月より、また同年10月頃からミニさむが同駅に住み着くようになり、利用者の人気を集めている。駅内には「指定席」というサボの専用ベッドが与えられた。
- 銚子電気鉄道・君ヶ浜駅 - 君ちゃん(ネコ)
- 捨て猫としていつしか流れ着き、非公認駅長として親しまれ、地元の人に愛された(晩年は病気の為、地元の人が与える特別な餌しか食べなかった)。
- 2016年8月27日に逝去、同年10月に慰霊祭が行われた。
道の駅の名誉駅長
人間以外
- 道の駅神話の里 白うさぎの「ウサギ駅長」
- 2009年7月にここで飼われているウサギを名誉駅長に任命するイベントが行われた[25]。
名誉副駅長
鉄道会社では、PRキャラクターの一環で著名人に名誉副駅長を委嘱する例がある。2013年11月3日、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」で大向大吉役を演じた杉本哲太が久慈駅の名誉駅長に任命された際、同作品で副駅長の吉田正義役を演じた荒川良々も名誉副駅長を委嘱されたのはその例である[4]。
名誉機関士
名誉駅長に関係する職名・称号として名誉機関士がある。ドイツ放送フィル・ハーモニーの首席ホルン奏者テオドール・ヴィメスが同国の観光鉄道ブロッケン鉄道の名誉機関士を務めているのはその主な例である[26]。
脚注
- ^ 「無人3駅に名誉駅長=多摩」『読売新聞』2012年3月24日東京朝刊多摩版33頁参照。
- ^ 「OB3人 JR名誉駅長に 無人駅の客案内や清掃」『読売新聞』2012年9月1日大阪朝刊岡山版33頁参照。
- ^ 「[常常人]鹿島臨海鉄道涸沼駅「名誉駅長」長洲みねさん91=茨城」『読売新聞』2013年2月3日東京朝刊茨城東版31頁参照。
- ^ a b 「おあしす11月4日」『読売新聞』2013年11月4日東京朝刊35頁参照。
- ^ 東急電鉄ウェブサイト「目指せ、名誉駅長!のるレージ」参照。
- ^ 銀河鉄道999の「車掌さん」が名誉駅長に 西武池袋線・大泉学園駅 - 産経新聞 2008年3月17日
- ^ 西松宏 2009, pp. 115–117.
- ^ a b c 「電車に乗って猫駅長に会いに来て」『NEKO』、ネコ・パブリッシング、2009年4月、12-27頁。
- ^ フォルサ (2014年7月28日). “あの猫駅長に弟子が!見習い駅員は小さな子猫”. マイナビニュース. オリジナルの2016年1月23日時点におけるアーカイブ。 2016年1月23日閲覧。《》
- ^ 池田拓哉 (2015年12月25日). “17歳「ばす」名誉駅長交代 会津鉄道、後任は1歳”. 朝日新聞. オリジナルの2016年1月23日時点におけるアーカイブ。 2016年1月23日閲覧。《》
- ^ “中継 『奥中山高原駅』から”. いちのへドッキドキFM. エフエム岩手 (2013年12月6日). 2015年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月25日閲覧。《》
- ^ “駅長と警部と館長と”. わさお通信”今日のしっぽ”. 東奥日報社 (2011年4月23日). 2015年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月25日閲覧。《》
- ^ “わさお観光駅長 駅のホームでお出迎え”. 『広報あじがさわ』No.529. 鰺ヶ沢町政策推進課 (2015年6月). 2015年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月25日閲覧。《》
- ^ “観光の顔に秋田犬 狙いは台湾”. 朝日新聞. (2017年5月11日) 2017年6月10日閲覧。
- ^ 田村彦志 (2017年4月30日). “「飛鳥」と「あこ」大館駅長に就任 ハチ公出身地”. 毎日新聞. オリジナルの2017年6月10日時点におけるアーカイブ。 2017年6月10日閲覧。《》
- ^ “駅長はウサギ、助役はカメ 山形鉄道・宮内駅”. 朝日新聞. (2010年8月3日5時30分). オリジナルの2010年8月6日時点におけるアーカイブ。※ 現在はインターネットアーカイブに残存(掲載写真画像を除く)
- ^ “長井線宮内駅にうさぎ駅長 8月1日にデビュー”. 山形新聞. (2010年7月30日20時18分). オリジナルの2011年12月17日時点におけるアーカイブ。※ 現在はインターネットアーカイブに残存(掲載写真画像を除く)
- ^ "うさぎ駅長!当社初の駅長に就任します♪" (Press release). 埼玉高速鉄道. 3 June 2015. 2015年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月25日閲覧。《》
- ^ “「ラビたま」です うさぎ駅長誕生 埼玉高速鉄道 浦和美園駅 イベントや構内巡回も”. 交通新聞. (2015年6月10日). オリジナルの2015年6月25日時点におけるアーカイブ。 2015年6月25日閲覧。《》
- ^ “「おさるの駅長」16日に2匹就任 加西の北条町駅”. 朝日新聞. (2010年10月15日). オリジナルの2012年7月10日時点におけるアーカイブ。 2017年6月18日閲覧。 ※ 現在はウェブアーカイブサイト「archive.is」内に残存
- ^ “ライバルはたま駅長?子ザル駅長が誕生 兵庫・北条鉄道”. 朝日新聞. (2010年10月17日) 2017年6月18日閲覧。
- ^ 新駅長にイセエビ2匹 阿佐東線・宍喰駅 - 徳島新聞・2010年12月5日付《2017年6月18日閲覧;現在はインターネットアーカイブ内に残存(掲載写真画像を除く)》
- ^ 京王電鉄、サンリオとコラボ企画実施 - 京王多摩センター駅がサンリオ1色に- マイナビニュース
- ^ ササキユリ「列島縦断 アニマル見聞録 第18回」『DIME』第20巻第13号、小学館、2005年7月、188頁。
- ^ “名誉駅長に白ウサギ 白兎道の駅、愛称を公募中”. 日本海新聞. (2009年7月9日). オリジナルの2009年7月11日時点におけるアーカイブ。※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存(掲載写真画像を除く)
- ^ 「ポストホルン演奏でSL発車 独の演奏者、明治村を訪問=愛知」『読売新聞』2009年6月25日中部朝刊愛知2版26頁参照。
参考文献
- 西松宏『猫のたま駅長 ローカル線を救った町の物語』ハート出版、2009年。ISBN 9784892956386。
報道資料
- 『読売新聞』2009年6月25日中部長官愛知2版
- 『読売新聞』2012年3月24日東京朝刊多摩版
- 『読売新聞』2012年9月1日大阪朝刊岡山版
- 『読売新聞』2013年2月3日東京朝刊茨城東版
- 『読売新聞』2013年11月4日東京朝刊
外部リンク
- 東急電鉄ウェブサイト「目指せ、名誉駅長!のるレージ」