「火打山」の版間の差分
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2021年5月13日 (木) 22:41時点における版
火打山 | |
---|---|
高層湿原の天狗の庭から望む火打山 | |
標高 | 2,461.77[1] m |
所在地 |
日本 新潟県糸魚川市、妙高市 |
位置 | 北緯36度55分22秒 東経138度04分05秒 / 北緯36.92278度 東経138.06806度座標: 北緯36度55分22秒 東経138度04分05秒 / 北緯36.92278度 東経138.06806度[2] |
山系 | 頸城山塊 |
火打山の位置 | |
プロジェクト 山 |
火打山(ひうちやま)は、妙高戸隠連山国立公園内の新潟県糸魚川市と妙高市にまたがる標高2,462mの頸城山塊の最高峰である[3][4]。日本百名山[5]、及び花の百名山[注釈 1][6]に選定されている。
概要
東西に緩やかな稜線を持つ山で、頂上付近は傾斜がさほど急でないため冬期には雪がべったりとついて真っ白な姿を見せる。主峰の他、西側にやや低い影火打(かげひうち)の峰がある。山容が火打石に似ていることが、山名の由来であるとする説がある[7]。江戸時代の『越後野志』に山名の由来が記されている[8]。
難波山の南、妙高山の北にて両山の中間に在り、数峰の嶮厳並び列れり、宛も燧石を並べ立つるが如し、故に名付くと云う — 『越後野志』(江戸時代)
火打山は活火山の焼山と成層火山の妙高山に挟まれた穏やかな山容の山であるが火山ではなく[9]、堆積岩から海生動物類の化石が発見されている[8]。小蓮華山等の飛騨山脈に属する山を除けば、新潟県では最も高い。
歴史
- 江戸時代末期 - 高田藩の許可を得て南山麓の笹ヶ峰地区に開墾のために入植者が入った記録が残されている[9]。
- 1864年(元治元年) - 『越後土産(二編)』の越後の山の番付で火打山は、下位の前頭三段目とされた[10][注釈 2][5][9]。
- 1904年(明治37年) - 南山麓に笹ヶ峰牧場が造られた[11]。
- 1913年(大正2年) - 笹小屋が造られた[11]。
- 1917年(大正6年)7月27日 - 日本山岳会の田中薫らが頚城三山を縦走して登頂[12]。
- 1928年(昭和3年) - 京大ヒュッテの山小屋が造られた[9]。
- 1930年(昭和5年) - 営林署小屋(現在の高谷池ヒュッテ)が建てられた[9][11]。
- 1956年(昭和31年)7月10日 - 上信越高原国立公園の特別保護地区に追加指定された[13]。
- 1966年(昭和40年)黒沢池ヒュッテが建てられた。
- 昭和30年代 - 山頂の三角点の標石の建て替えの際に、鎌倉時代のものと思われる2体の銅製の十一面観音懸仏が発掘された[8]。
- 1979年(昭和54年)10月 - 南麓に関川水系の笹ヶ峰ダムが完成。
- 2015年(平成27年)3月27日 - 上信越高原国立公園から分離した妙高戸隠連山国立公園内となる。
環境
東隣の妙高山に比べ、ハクサンコザクラ、ミョウコウトリカブト[14]、ワタスゲなどの高山植物が豊富である[6][15]。高谷池付近には天狗の庭を始めとする池塘の湿原があり、登山シーズンには多くの登山者が訪れる。山頂付近はハイマツ帯で、その南南東稜線上には雷鳥広場(雷鳥平)と呼ばれる場所があり、付近はライチョウの生息地となっている[15]。ライチョウは新潟県のレッドリストの絶滅危惧I類の指定を受けており[16]、周辺の山域は日本の生息地の北限となっている[9]。ニホンカモシカ、ツキノワグマ、オコジョ、オオタカなどの生息も確認されている[9]。
登山
一般的には、南側の笹ヶ峰ビジターセンター[17] とキャンプ場が併設されている笹ヶ峰より往復や、妙高山と併せて登られる。西側の焼山、金山、天狗原山を経て雨飾山に至るコースもあるが、焼山は火山活動のため最近まで永らく登山禁止になっており、また金山付近はヤブが深く一般的なコースではない。豪雪地帯のため山頂付近では初夏の頃まで残雪が見られることがある。周辺の山麓にあるスキー場を利用して、春先に山スキーで登られることもある。山頂には石仏が祀られていて[3]、見晴らしが良く富士山、八ヶ岳、後立山連峰、能登半島、佐渡ヶ島などが見渡せることがある[9]。
周辺の山小屋
山小屋とキャンプ指定地が2ヶ所あり[18]、登山シーズン中の一部の期間に有人の営業を行っている。最寄りの山小屋は高谷池ヒュッテである。
名称 | 所在地 | 標高 (m) |
火打山からの 方角と距離 (km) |
収容 人数 |
キャンプ 指定地 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
高谷池ヒュッテ | 高谷池畔 | 2,110 | 南東 2.0 | 80人 | テント30張 | [19] |
黒沢池ヒュッテ | 黒沢池の東 | 2,000 | 南東 3.5 | 100人 | テント20張 |
地理
東隣の妙高山と西隣の新潟焼山を合わせた三山が頸城三山と呼ばれており、その最高峰である。
周辺の山
山容 | 山名 | 標高 (m) |
三角点等級 基準点名[1][2] |
火打山からの 方角と距離(km) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
火打山 | 2,461.77 | 三等 「火打山」 |
0 | 頸城山塊の最高峰 日本百名山 | |
焼山 | 2,400.26 | 二等 「焼山」 |
西 2.9 | 活火山 日本三百名山 | |
妙高山 | 2,454 | (一等) 「妙高山」 (2,445.90 m) |
南東 5.3 | 日本百名山 | |
雨飾山 | 1,963.21 | 二等 「雨飾山」 |
西 9.7 | 日本百名山 | |
黒姫山 | 2,053 | 南東 13.2 | 日本二百名山 | ||
高妻山 | 2,357.79 | 二等 「高妻山」 |
南 13.7 | 日本百名山 |
源流の河川
周辺のスキー場
交通・アクセス
南山麓を新潟県道39号妙高高原公園線が通る。
- えちごトキめき鉄道の関山駅の西14.2 kmに位置する[3]。
- 上信越自動車道妙高高原インターチェンジの13 kmに位置する。
火打山の風景
-
初夏の火打山
-
天狗の庭からの夏の火打山[21]
-
秋の火打山
-
火打山から見た後立山連峰と焼山
-
高谷池ヒュッテ
脚注
注釈
出典
- ^ a b “基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2011年4月2日閲覧。
- ^ a b “日本の主な山岳標高”. 国土地理院. 2011年4月2日閲覧。
- ^ a b c 日本山名辞典 (1992)、429頁
- ^ 日本登山図集 (1986)、116頁
- ^ a b 深田 (1982)、137-140頁
- ^ a b 田中 (1997)、284-287頁
- ^ 深田クラブ (1987)、82頁
- ^ a b c 日本の山1000 (1992)、309頁
- ^ a b c d e f g h 永島 (2005)、744-746頁
- ^ “越後土産(二編)”. 新潟県立図書館. 2014年2月6日閲覧。
- ^ a b c 磯貝 (2000)、41頁
- ^ 『目で見る日本登山史』山と溪谷社、2005年10月、(別冊)日本登山史年表頁。ISBN 4635178145。
- ^ “上信越高原国立公園紹介”. 環境省自然環境局. 2011年4月2日閲覧。
- ^ キンポウゲ科のミョウコウトリカブトは環境省の絶滅危惧II類(VU)に指定されている。“日本のレッドデータ検索システム - ミョウコウトリカブト”. エンビジョン環境保全事務局. 2011年4月2日閲覧。
- ^ a b 花の百名山地図帳 (2007)、104-105頁
- ^ “レッドデータブックにいがた(鳥類)” (PDF). 新潟県. pp. 6 (2001年3月). 2014年2月6日閲覧。
- ^ “上信越高原国立公園の施設案内(笹ヶ峰ビジターセンター)”. 環境省自然環境局. 2011年4月2日閲覧。
- ^ 『山と溪谷2011年1月号付録(山の便利手帳2011)』山と溪谷社、2010年12月、p.112、ASIN B004DPEH6G頁。
- ^ “高谷池ヒュッテについて”. 妙高市観光協会. 2011年4月2日閲覧。
- ^ 妙高・戸隠・雨飾 (2012)
- ^ 旅ぐるたび powered by ぐるなび上では、福島県福島市在庭坂の磐梯吾妻スカイライン上の天狗の庭(1959年10月に福島民報社が選定し作家井上靖氏が命名した吾妻八景のひとつ)と混同されている。https://gurutabi.gnavi.co.jp/a/a_1898/
参考文献
- 磯貝猛『妙高・戸隠を歩く』山と溪谷社〈フルカラー特選ガイド〉、2000年4月。ISBN 4635171000。
- 徳久球雄(編集) 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1。
- 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
- 田中澄江『花の百名山』文春文庫、1997年6月。ISBN 4-16-352790-7。
- 中村成勝『日本雪山登山ルート集』山と溪谷社、1996年12月1日。ISBN 4-635-18003-4。
- 『日本三百名山』毎日新聞社、1997年3月。ISBN 4620605247。
- 『日本登山図集』日地出版、1986年10月。ISBN 4527002333。
- 『日本の山1000』山と溪谷社、1992年8月。ISBN 4635090256。
- 深田久弥『日本百名山』朝日新聞社、1982年7月。ISBN 4-02-260871-4。
- 深田クラブ『日本200名山』昭文社、1987年。ISBN 4398220011。
- 『妙高・戸隠・雨飾』昭文社〈山と高原地図2012年版〉、2012年3月16日。ISBN 978-4398758170。
- 山と溪谷社(編集) 編『花の百名山地図帳』山と溪谷社、2007年6月20日。ISBN 9784635922463。
- 築田博『妙高山・高谷池ヒュッテ通信』山と溪谷社、1996年9月。ISBN 4635170950。
- 『小屋番三六五日』山と溪谷社、2008年10月、pp.229-234頁。ISBN 9784635330008。
- 『改訂版 新潟県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド・改訂版〉、2010年2月、pp.122-123頁。ISBN 9784635023665。
関連項目
- 頸城山塊、日本の山一覧
- 妙高戸隠連山国立公園
- 日本百名山、花の百名山
- 池塘、ライチョウ、高山植物
- シャルマン火打スキー場
- 新潟競馬場(火打山特別)