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2021年5月20日 (木) 13:03時点における版
『834.194』 | ||||
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サカナクション の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
青葉台スタジオ Soi Studio | |||
ジャンル |
J-POP[1] ポップス[2] ロック[3] AOR[SOL 1] | |||
時間 | ||||
レーベル |
NF Records (ビクターエンタテインメント) | |||
チャート最高順位 | ||||
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ゴールドディスク | ||||
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サカナクション アルバム 年表 | ||||
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EANコード | ||||
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『834.194』収録のシングル | ||||
ミュージックビデオ | ||||
「グッドバイ」 - YouTube 「ユリイカ」 - YouTube |
映像外部リンク | |
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サカナクション / 834.194 concept movie |
『834.194』(はちさんよんいちきゅうよん)は、日本のロックバンド・サカナクションの7枚目のオリジナルアルバム。ビクターエンタテインメント内のレーベルNF Recordsより2019年6月19日に発売された。本項目では2019年から2020年にかけて開催された同作品のリリースツアーおよびその映像作品などについても記述する。
概要
サカナクションのオリジナルアルバムとしては前作『sakanaction』から約6年3ヶ月ぶりとなる作品で、それまでのキャリアの半分をかけて制作された。2019年3月7日に、バンドのリーダー・山口一郎がパーソナリティを務める「サカナLOCKS!」(TOKYO FM『SCHOOL OF LOCK!』内のコーナー)にてリリースが発表された。この時は本作の発売日を2019年4月24日とアナウンスしていたが、のちに2019年6月19日に延期された。本作は通常盤、完全生産限定盤A(Blu-ray付属)、完全生産限定盤B(DVD付属)の3形態で発売され、各形態ともCD2枚組で各9曲ずつの合計18曲が収録されている。また、完全生産限定盤には、ボーナストラック「years(Setsuya Kurotaki "NF Remix")」のダウンロードコードが封入されるほか、付属のBlu-rayおよびDVDには2017年5月9日に新木場スタジオコーストにて開催された「サカナクション デビュー10周年記念イベント"2007.05.09 - 2017.05.09"」の映像が収録されている。
アルバム全体のコンセプトは「作為性と無作為性」または「札幌と東京」であり、タイトルの『834.194』は、サカナクションが札幌時代に活動拠点としていた「スタジオ・ビーポップ」と、現在レコーディングの際に使用している東京の「青葉台スタジオ」を直線で結んだ距離(834.194km)に由来している。
各収録曲の原曲は山口によって制作され、それをメンバーでアレンジして完成させた。レコーディングは東京の青葉台スタジオとソイ・スタジオで行われ、大半の曲のサウンドプロデュースは青葉台スタジオのチーフエンジニアである浦本雅史が務めた。CD2枚に分けて収録された楽曲のうち、DISC 1はポップでアッパーな楽曲を中心に構成されているのに対してDISC 2はノスタルジックでディープな楽曲を中心に構成されている。
複数の批評家はこのアルバムに肯定的に評価しており、2010年代のバンドの音楽活動とも結びつけながら批評を行っている。オリコンアルバムチャートでは最高位2位を記録し、日本レコード協会からゴールドディスク認定を受けている。
今作のプロモーションとして「ナイロンの糸」「忘れられないの」「モス」の3曲でミュージック・ビデオが制作されており、すべてバンドの公式YouTubeチャンネルで公開されている。アルバムをひっさげたツアーは2度開催されており、まず2019年に日本全国のアリーナを巡る「SAKANAQUARIUM2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session」が開催され、追加公演として中国でも2公演行われた。2020年には日本全国のホールを巡る「SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光"」が開催されたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け約半数の公演が開催中止となった。これを受け、その代替企画としてバンド史上初となるオンラインライブ「SAKANAQUARIUM 光」が2020年8月に開催された。
背景とリリース
2013年 - 2014年初頭:前作『sakanaction』のヒットからシングル『グッドバイ/ユリイカ』リリースまで
2013年3月15日、サカナクションは6枚目のアルバム 『sakanaction』をリリースした[9]。この作品はオリコン1位[統計 16]、20万枚以上を売り上げ[10]、またアルバムツアーは8万人の動員を達成した[11]。さらに年末には紅白歌合戦の出場も決定し[12]、2013年はバンドにとって躍進の年となった[13]。さらにこの年には映画『バクマン。』の劇伴および主題歌の制作依頼を初めとした新たなタイアップの企画がサカナクションに持ち上がるようになったが[14]、山口は『sakanaction』のリリースおよびツアーをやり終えた後に新しい目標を見つけたいという感情と折り合いがつがず、この状況に悩みを抱いていた[15]。この時期に制作されていた楽曲は、東進ハイスクールのCMソング「さよならはエモーション」と映画『ジャッジ!』の主題歌「ユリイカ」であったが、これらの楽曲制作の為のスタジオでの作業中に突如出来た楽曲が「グッドバイ」だった[15]。先の2曲の制作にかなり苦労していた中で自然に出来たこの「グッドバイ」について山口は雑誌インタビューで以下のように述べている。
「 | [中略] “さよならエモーション”のAメロとBメロを作らなきゃいけなくて、ひとりでスタジオ籠ったんだよね。そこでアコギを弾き語りしてた時に、勝手に出てきたのが“グッドバイ”だったから。なんかさ、久々に『歌を聴いて欲しい』と思ったんだよね。 | 」 |
—山口一郎(『MUSICA』(特集:THE YEAR in MUSIC 2013) 2014 vol.81より) |
この弾き語りを聴いたスタッフからも好評だった事もあり山口は、「グッドバイ」を東進ハイスクールのテレビCMに使用し、9枚目のシングルを『さよならはエモーション/ユリイカ』ではなく『グッドバイ/ユリイカ』として両A面でリリースしたいと考えた[SOL 2][15]。しかしこの時すでに東進のCMは「さよならはエモーション」の音源を用いた状態で完成していたため、一時はそれが叶わない事となり山口は酷く落ち込んだという[SOL 2][15]。これがトリガーとなり精神的にかなり不安定に陥ってしまった状況に危機感を覚えた山口はスタッフになんとか「グッドバイ」を『sakanaction』以後の初リリースとなる作品にしたいと相談したところ、タイアップに使用する曲は変更できないもののシングルとしてリリースする楽曲の調整はできることとなった[SOL 2][15]。こうして2014年1月15日、先に制作を開始していた「さよならはエモーション」を一旦差し置いて『グッドバイ/ユリイカ』を9枚目のシングルとしてリリースした[16]。
ここで発表した二曲はミドルテンポかつミニマルな構成の楽曲であったことから、関係者からは楽曲としての完成度は評価されつつもこれらの作品を最新アルバムでオリコン1位を獲得した直後にリリースすることには当初反対が相次いだという[17]。しかし山口にはこの2曲について「マジョリティの中のマイノリティ」というバンドの立ち位置を確立したいという強い意向があったためリリースに踏み切ったことを語っている[17]。この時期に打ち立てられた「マスからのドロップアウト」というコンセプトは[17]、その後何度か解釈・表現の仕方を変えつつも最終的なアルバムの完成まで受け継がれることとなる。
2014年 - 2015年:NF発足・シングル『新宝島』の完成まで
9枚目のシングルとして『グッドバイ/ユリイカ』をリリースした直後からバンドはホールツアー「SAKANAQUARIUM2014 SAKANATRIBE」を開催し始めたが、この時期にメンバーの岡崎(key.)が精神面でのスランプに陥った[18]。ライブなどで演奏することは出来たものの、制作の際に自身からアイデアを出す事は不可能な状況にあった[18]。これに加え山口も、前述したグットバイのリリースを巡る件で精神的に不安定な状況が続いていた[18][19]。外から見たバンドの状況としてはアルバム「sakanaction」で初のオリコン1位を獲得し、紅白歌合戦への出場を決め、さらなるタイアップの契約も進んでいたため躍進の時期とみられていたが、メンバー間での内情は下降の一途を辿っており、当時について江島は「正直もう終わった」とまで考えていた時期もあったと後に語っている[20]。
2014年5月、映画『バクマン。』の主題歌および劇伴の最初に設定された締め切りがこの時期に設定されていたが、前述の事情により順調に制作を行える状況では無かった為同年の秋頃に引き延ばされる事となった[21]。
2014年10月、10枚目のシングル『さよならはエモーション/蓮の花』を両A面でリリースする[22]。ここで発表された二曲についても、「グッドバイ」「ユリイカ」と同様「マジョリティの中のマイノリティ」というバンドの立ち位置を表現する意図があったと語っている[17]。
2014年11月末、翌月に控えた映画『バクマン。』のダビングステージ作業に合わせて劇伴の制作を完了させる事は出来たものの、主題歌は山口による歌詞の執筆が思うように進行しなかった為完成させることが出来ず、さらに締め切りを延ばす事となった[21]。これまでにバンドではバクマン。に関連した楽曲を一枚のアルバムとしてリリースするアイデアもあり7枚目のオリジナルアルバムには収録されない可能性もあった[21]。最終的に主題歌シングルとして決定してから山口は映画のストーリーと当時掲げていた7枚目のアルバムのコンセプトである「東京」というテーマを包括した歌詞の制作を目指したものの、納得のいくものを仕上げられないまま11月の締め切りを過ぎることとなった。当時について山口はかなり「ヤバイ」と思っていたと後に語っている[21]。
2015年1月3日、この日NHK総合テレビジョンで放送された特別番組「ネクストワールド 私たちの未来」の初回放送でRhizomatiks、アンリアレイジ、三田真一らと共に「三十年後の未来のライブ」をイメージしたパフォーマンスを行った[23][24]。またこの放送に合わせて同日の正午よりUstreamで行われた配信[25]で、草刈が数年前に婚約していた一般男性との間に第一子を妊娠していた事と、それにともなった産休のためにレコーディングは行うものの、ライブ活動をしばらく休止することを発表[26]。発表後は、約半年間、山口は『バクマン。』の主題歌「新宝島」の歌詞執筆、草刈は出産の準備、残りのメンバーは過去作品のハイレゾ配信[27]およびアナログ盤やカップリングアルバム発売にむけたリマスタリング作業という形でそれぞれのタスクを進行する期間が続いた[SOL 3]。
7月2日から3日にかけて、バンドはカルチャーイベント「NIGHT FISHING」を恵比寿リキッドルームで開催した。ライブ活動を休止している中このタイミングでイベントの開催に踏み切ったのには、前述した『NEXT WORLD』の放送と草刈の産休が重なったことが要因している。ネクストワールドで異なる分野のクリエイターと作業を行い話をした時に音楽と他のカルチャーとの結びつきが弱い現状を打開する必要性に気づいたこと、そういった音楽と音楽以外のカルチャーを結びつける空間をオーガナイズするにはライブ活動を休止している当時のタイミングしか無かったと山口は語っている[24]。
8月5日にカップリングアルバム『懐かしい月は新しい月 〜Coupling & Remix works〜』をリリース[28]、9月1日に山口は新宝島のレコーディングを終えた旨をインスタグラムで報告した[広報 1]。
9月11日には「NIGHT FISHING」のイベント名を「NF」と改め、その#01を恵比寿リキッドルームで開催した[29]。
9月30日、新たに立ち上げたバンドの自主レーベル「NF Records」からバンドの11枚目のシングルとして「新宝島」をリリースした[30]。そして10月から翌2016年の春にかけてNFの開催[31][32][33]やショートフィルム「Miu Miu」の劇伴制作を挟みつつ[34]、シングルの実質的なリリースツアーとなる「SAKANAQUARIUM 2015-2016 "NF Records launch tour"」で全国を回った[35][36]。
2015年のNF発足を初めとした音楽以外の文化との関わりを積極的に持ち始めた時期に関して山口は
「 | [中略] 常々サカナクションはオーバーグラウンドとアンダーグラウンドを行ったり来たりするバンドだって言ってるけど、じゃあアンダーグラウンドってなんなの? どこに連れて行ったらいいの? そもそも僕らはそこでどんな体験をみんなにしてもらいたいの?っていう、その行き着く先を作らないことには"新宝島"は完成できないんだ、と | 」 |
—山口一郎(『MUSICA』(COVER STORY サカナクション) 2019 vol.147より) |
と振り返っており新曲を完成させるためにも必要なステップであったとしている。ただし他のメンバーはこの時期の山口の文化的な活動に関して基本的には肯定的に捉え理解を示しつつも、音楽活動とのバランスを取るのに苦労していた面もあった事を指摘している。
「 | 俺はミュージシャンがそういう活動をすることに対してはまったく否定的ではないし、もちろん一郎は一郎で凄く頑張ってるなと思ってるし、なんとかしてロックバンドのフォーマットを壊そうとして試行錯誤してるのもわかってるから、なんだよあいつ、みたいなことはまっっったく思ってないんだけど、ただ、全然正解を見つけられてないなとは思っていて。 | 」 |
—江島啓一(『MUSICA』(COVER STORY サカナクション) 2019 vol.147より) |
「 | 僕もいろんな活動をすることに対しては全然反対じゃないんですけど、ただ、それは土台となるバンドがしっかりしてた上でやったほうが理想的なので。だからこそ、サカナクションとしてのアルバムを早く出したかったんですよね | 」 |
—岩寺基晴(『MUSICA』(COVER STORY サカナクション) 2019 vol.147より) |
このように、当初は山口と他のメンバーとの間でモチベーションに差はあったのものの、音楽以外の文化と関わる経験を重ねそれを自身の音楽制作へと還元していく活動スタイルがこの時期から徐々に形成されていき「多分、風。」以降の楽曲制作へと繋がっていくこととなる。
2016年 - 2018年春:富ヶ谷セッション・ベストアルバム『魚図鑑』のリリースまで
新宝島が完成し草刈がバンドに復帰してからは、5人での音楽制作のリズムを作り直す時期がしばらく続いた。新宝島の制作後、岩寺と江島で「多分、風。」を、江島と岡崎で「陽炎」を制作しはじめたが[37]、草刈は子育てのために以前よりもスタジオに滞在できる時間が短くなり、岡崎は依然としてスランプからの回復の途中にあったことが重なりバンドのペースを取り戻すことがなかなかできなかったという[38]。2015年の後半からNFを初めとした音楽制作のモチベーションを向上させる様々な試みを行ったにも関わらず、新しい活動スタイルを確立出来ない状況に不安を感じていたと江島は振り返っている[38]。
2016年10月19日、12枚目のシングル『多分、風。』をリリースする[39]。この時期は新アルバムに向けて本格的に動き始めてはいなかったものの、「郷愁」や「東京」というコンセプトをもとにアルバムの構想を練っていた事を雑誌「MUSICA」第115号のインタビューで語っている[40]。
山口は前述したバンドのペースを取り戻すことが出来ていない状況に変化を与えるため、自宅とは別にバンド専用のスタジオを新たに作ることを提案し、2017年の8月に富ヶ谷にレコーディング・スタジオ「NF Studio」が設立される[41]。このスタジオの設備やコンセプトについてはテレビ朝日系列「関ジャム 完全燃SHOW」2018年6月3日放送回やサウンド&レコーディング・マガジン2019年8月号で解説されている。さらに山口は新しい環境を整備したとしても目標がないままでは制作が進まないと考え、AORというテーマを提示し、新曲の試作に取りかかり始める[42][43]。この富ヶ谷スタジオで制作をしていた期間(メンバーは富ヶ谷セッションと呼称している[44])に、1人が持ち寄ったメロディやコード進行を他のメンバーと共に練り直したり、互いの当時よく聞いていた音楽の共有を行ったりしたことで徐々にバンドの調子を取り戻すことができたという[44]。
しかし、この富ヶ谷セッションで新たに作られた音源は完成度にはおおむね満足していたもののサカナクションの音楽ではないという山口の判断から全てボツとなった[45]。ただし、このような結果になったものの、富ヶ谷での期間が無駄になったと考えるメンバーはおらず、バンド全員で同じ感覚を再び共有するための試運転という目標は達成できたとしている[45]。また当時の音源は新アルバムに使用されていないながらも、この時期に獲得したAORの音楽性や演奏技術のお陰で後に「忘れられないの」を生み出すことができたと振り返っている[43]。また特に演奏技術に関しては、この時期岩寺に「覚醒」が起きたと山口は語っている[43]。
富ヶ谷セッションを経た後、以前からデモ音源のあった「陽炎」を映画『曇天に笑う』の主題歌として完成させる作業が始まった[45]。同時に映画のオープニングテーマとして"NF Records launch tour"で披露した「SAKANATRIBE -TRANCE MIX-」のリアレンジ作業も行っていたが、この時期は富ヶ谷セッションの時期のような雰囲気ではなく、目の前の締め切りに間に合わせることで精一杯であったという[45]。完成前の「陽炎」は2017年4月7日に開催された「SAKANAQUARIUM 2017 高崎アリーナオープン記念ライブ」以降ライブでも演奏されていたが[46]、2017年の間に音源としてリリースされることはなかった。メジャーデビュー10周年でありながらも2017年にリリースされた音源はYouTubeでMVが公開された「SORATO」一曲のみであり[47][SOL 4]、シングル・アルバム共にCDの発売は無くまたライブ映像作品のリリースも無かった。
2018年3月28日、ベストアルバム『魚図鑑』をリリースし[48]6枚目のアルバム『sakanaction』以来のオリコン1位を達成する[統計 17]。当初このベストアルバムには「グッドバイ」から「多分、風。」までのものも含めた全てのシングルを収録するアイデアも浮上していた[SOL 1]。しかし、もし実際に全てのシングルを収録してしまうと、「グッドバイ」「ユリイカ」「さよならはエモーション」「蓮の花」のマジョリティからの脱却を試みた時期を経ての「新宝島」「多分、風。」への再浮上というストーリーを表現する機会が失われてしまう事に気づき、最終的に「新宝島」「グッドバイ」をのぞいたシングル曲は収録されなかった[SOL 1]。こうしてリリースされたベストアルバムが高く評価されたことで山口の中では次のオリジナルアルバムで表現するべきコンセプトが明確になり、7枚目のアルバム制作に向けて本格的に動き出すきっかけとなった[43]。一方、他のメンバーの間では出来る事ではあればこのタイミングでベスト盤ではなくオリジナルアルバムを完成させたかったという思いもあった為いくらかネガティブな気持ちも抱えていたという[45]。
2018年夏 - 2019年3月:新アルバムのリリース発表まで
ベストアルバムのリリース直後は山口と他のメンバー間で新アルバムへのモチベーションに差が生じていたが、その後の夏フェスシーズンが終了した後に「ナイロンの糸」、「忘れられないの」、「モス」の3曲のレコーディングを始めた時期からはメンバー全員がアルバム制作を本格的に取り組むようになった。ここでほぼ完成していた3曲は2018年11月末から12月初頭にかけて4日間開催された「SAKANAQUARIUM2018 "魚図鑑ゼミナール" VISUAL LIVE SESSION」以降のライブで披露された[49]。
また、この公演の3日目、2018年12月2日の夜に開催されたクラブイベント「NF#11 at EX THEATER ROPPONGI」でサカナクションの前身バンド「ダッチマン」時代の楽曲「September」を弾き語りで演奏した[50]。「September」は山口が10代の頃に制作されたものであるが、NFで披露した際の観客の反応に手応えを感じた事で札幌時代の所謂「自分たちの為だけに作った曲」でも今のサカナクションのファンには評価されることに気づいたという[50]。また、この気づきをきっかけに山口は、2013年の『sakanaction』以降から続いていた自身の中の葛藤の正体が札幌で音楽を作っていた時代の感覚をいかに現在の楽曲に再び取り込むことができるか、「無作為性をいかに作為的に作りだすことができるか」というものであった事を発見し、その葛藤は「札幌と東京」という二つの場所をコンセプトにすることでアルバムとして表現できるという結論にようやくたどりついた[50]。
翌年の3月7日、山口が「サカナLOCK!」で新アルバムを4月24日にリリースする事を正式に発表しここで初めて東京と札幌の距離を元にした『834.194』というタイトルが公開された[SOL 5][51]。
2019年3月 - 6月19日:アルバム発売延期とリリースまで
3月28日、山口は「サカナLOCK!」でアルバムの発売日をおよそ2ヶ月延期する事を発表した[SOL 6]。延期の主な要因は山口が「忘れられないの」の歌詞を完成できなかった為であり、このことで山口は他のメンバーに意思共有の方法などに関して厳しく意見されたという[52]。
山口は「忘れられないの」の最終的に完成させた日のエピソードを幾つかの場所で語っている。山口が「忘れられないの」の歌詞執筆の休憩中にお茶を淹れたところ茶柱が立っている事に気づき、その日のうちに歌詞を書き終えることが出来たという[53]。また、この経験を元に急遽制作されアルバムに収録された楽曲が「茶柱」である[54]。ちなみに、この時飲んでいた緑茶はGEN GEN ANのものであり、以降バンドとは何度かコンテンツを共に制作している[54]。
2019年6月19日、前作『sakanaction』から実に6年3ヶ月という期間を経て7th Album『834.194』がリリースされた[55]。
制作
コンセプト
青葉台スタジオ | |
---|---|
概要 | |
用途 | レコーディングスタジオ |
所在地 | 日本東京 |
住所 | 東京都目黒区青葉台1-27-2 |
国 | 日本 |
開業 | 1989-6-16 |
技術的詳細 | |
階数 | 地上1階・地下1階 |
その他の情報 | |
駐車場 | 6 |
ウェブサイト | |
Aobadai Studio Inc. |
スタジオ・ビーポップ(閉業) | |
---|---|
概要 | |
用途 | リハーサルスタジオ |
所在地 | 日本札幌市 |
住所 | 北海道札幌市中央区南1条西24-1-10 ザ・ヴィンテージ3F |
国 | 日本 |
ウェブサイト | |
スタジオ・ビーポップ |
アルバム全体のコンセプトは「作為性と無作為性」[17]または「札幌と東京」[56]であり、タイトルの『834.194』は、サカナクションが札幌時代に活動拠点としていた「スタジオ・ビーポップ」と、現在レコーディングの際に使用している東京の「青葉台スタジオ」を直線で結んだ距離(834.194km)に由来する[57]。各ディスクタイトルもこれらのスタジオに由来しており、DISC 1のタイトル「35 38 52 9000 / 139 41 39 3000」は青葉台スタジオ、DISC 2のタイトル「43 03 18 9000 / 141 19 17 5000」はスタジオ・ビーポップの座標と一致しいる。このことからサカナクションのメンバーはそれぞれのディスクを「東京盤(DISC 1)」「札幌盤(DISC 2)」とも呼称している[56]。
また、アルバムタイトルの公式な読みは数字を一文字ずつ読んだ「はちさんよんいちきゅうよん」であるが、メンバーは「やみよいくよ(闇夜行くよ)」と読んでいる[SOL 5]。ただしあくまでタイトルの由来は上記の通りであり、「闇夜行くよ」とも読めることに関しては山口は「偶然こうなった」と語っている[SOL 5]。
制作環境・役割分担について
このアルバムでは前作『sakanaction』の制作から引き続いて、草刈が産休を取り復帰するまでは、デモ音源の作成などをメンバーの自宅で行うことが多かった。2016年から2017年にかけては自宅での制作環境をアップデートしたものとしてバンドのプライベートスタジオ「NF Studio」を設立した。このスタジオでは「陽炎」の制作などが行われたが、最終的にアルバムに収録された音源の中にNF Studioで録音されたものは無いという[45]。2018年に発表された「陽炎 -movie version-」やシングル曲以外の今作に向けて制作された新曲はすべて青葉台スタジオやソイスタジオで収録されている[58][59]。
今作のサウンドプロデュースは大半の楽曲で青葉台スタジオのチーフエンジニア・浦本雅史が務めた。「新宝島」および「「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」」のレコーディング・エンジニアとして同じく青葉台スタジオの土岐彩香が、浦本のアシスタントエンジニアとして吉井雅之が制作に関わっている。浦本は3rdアルバム『シンシロ』以降のすべてのアルバム・ライブ映像作品で関わっており、2015年から2016年にかけて行われたツアー『SAKANAQUARIUM 2015-2016 "NF Records launch tour"』以降のライブではマニピュレーターも務めている。多くの現場をバンドと共にこなしてきただけでなく、レコーディング現場での雰囲気づくりなどでも大きな役割を担っていることから山口は「サカナクションの6人目のメンバー」と表現している[60]。今作の制作について浦本はライブでマニピュレーションを行った際に新曲を聴いた観客の反応を目にすることができたおかげで最終的な新曲の音作りをどうするかの決断が出来たと語っており、これまでにサカナクションと関わる現場で多様な役割を担ってきたからこその貢献が出来たと振り返っている[61]。
制作期間
アルバムには山口が17歳の時に制作した楽曲から発売の2か月ほど前に急遽制作された楽曲までが収録されている。もっとも古い曲は「セプテンバー(原曲"September")」であり、これは山口がサカナクションの前進バンド・ダッチマンが発足するよりもさらに前に1人で制作した楽曲である[SOL 7][62]。今作で「セプテンバー」を2パターン収録したことについて山口は、かつて自分のためだけに「無作為的に」制作したこの曲を、キャリアを重ねた現在の技術力だからこそ制作できる人に聴かれることを前提とした「作為的な」アレンジを施したバージョンのものと一緒に収録することで、アルバムのテーマを表現させる狙いがあったことを語っている[SOL 8]。
山口は今作でもっとも制作が難航した楽曲は最後から2番目に完成したリード曲「忘れられないの」であると語っている。アルバム制作における最後の難関を突破する手助けとなった経験として、2018年の4月にラジオで松任谷由実と共演した際のエピソードを挙げている。収録の合間の雑談で、かねてより「ポップスを作りたい」と相談をした山口に対して「完成した直後でも数十年後でもない五年後に世間に理解・評価されるものがポップスであるという視点においてサカナクションはすでにそういった音楽を作ることが出来ている」と指摘されたことで、必要以上に万人受けを狙おうとせず自分たちの好きな表現を追求して良いのだと安心した結果、完成にこぎつけることができたと語っている[63]。なお、完成するまでには歌詞を180パターン書いたと語っている[64]。
他のミュージシャンとの共同制作
今作では複数の楽曲の制作において他のミュージシャンと共同で制作を行っている。DICS1に収録された「モス」では世武裕子がコーラスに参加している[広報 2]。世武はこれまでに山口と江島が2016年に参加したアンリアレイジの2017年春夏パリ・コレクション"SILENCE"で初披露された「ユリイカ」のカバーバージョン[65]をはじめ、様々な機会にサカナクションと共同制作を行っている[66]。青山翔太郎は題名に名前が含まれているDICS1の8曲目「ユリイカ(Shotaro Aoyama Remix)」以外にも、「忘れられないの」「モス」で一部楽器のアレンジを担当している[59]。DISC 2に収録されたインスト曲「834.194」はサカナクションと札幌出身のミュージシャンであるKuniyuki Takahashiと共同で制作された[SOL 8]。その他、ストリングスなどの一部楽器のレコーディングはそれぞれの楽器奏者に依頼をしている[59]。
「SORATO」未収録の背景
サカナクションは2016年に月面無人探査を競うコンテスト「Google Lunar X Prize」に参加していたプロジェクトの1つ「HAKUTO」のアンバサダーに就任し、応援ソングとして「moon」を制作した[SOL 9]。当初はプロジェクトの進行具合に合わせて楽曲のリアレンジを繰り返すというコンセプトが設定されており[40]、2017年には「moon」の進化系として「SORATO」が発表された[47][SOL 4]。この曲はミュージック・ビデオも制作され[67]、当時はシングル曲と共にアルバムに収録される予定であった。
その後、2018年3月31日に勝者がないままコンテストの期限が終了したため「HAKUTO」のプロジェクトは途中で終了し、ispace社による日本初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」に引き継がれることを発表した[68]。これを受けサカナクションは「HAKUTO-R」の月面探査プロジェクトが進行・完結した際に再び「SORATO」のリアレンジを行いそれを今後のアルバムに収録するべきであると考えたことや、楽曲のテーマである「宇宙」を今作の「東京と札幌」というコンセプトに合わせる事が難しかった事を理由に、発表当時ラジオなどで公言していた『834.194』への収録を見送った[69]。なお「SORATO」は当初「東京」をコンセプトとしたDISC 1に収録予定であった[69]。
プロモーション・タイアップ
アルバムのリリース情報(タイトル・発売日)および2019年のツアータイトルが正式に発表されたのは山口がメインパーソナリティを務める「サカナLOCKS!」の2019年3月7日放送回である[51]。この日の放送終了後、公式SNS等でも情報が解禁され特設サイトやアルバム宣伝専用のSNSアカウントも開設も発表された。しかし、3月28日に制作作業の遅延からアルバムの発売延期を発表している[55]。当初の発売日(4月24日)を少し過ぎた4月26日に先着予約・購入特典の内容がアナウンスされる[広報 3]。5月19日にはマスタリング作業の完了が公式SNSで報告され[広報 4]、5月24日には 「サカナLOCKS!」において収録曲と商品展開に関する情報がアナウンス[SOL 8]された。この日には「忘れられないの」のラジオ放送も解禁されている[SOL 8]。この他にも5月から6月にかけての「サカナLOCKS!」では今作の発売前の情報が少しずつ公開され、6月7日放送回ではゲストとして出演したビクターの新入社員である有薗弥飛が今作の収録曲「モス」の歌詞の一部である「繭割って蛾になるマイノリティ」というフレーズをラジオ放送解禁前であったにも関わらずネタバレしてしまうというハプニングが起こった[SOL 10]。なお、この出来事があった一週間後の6月14日には同番組で「モス」のラジオ放送が正式に解禁されている[SOL 11]。
今作のリリースツアーはアルバムの発売日を挟んで二度開催されており、これはサカナクションの作品では初となる。まずはアルバムの発売前に全国のアリーナを巡るツアー「SAKANAQUARIUM2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session」が2020年4月6日から6月14日にかけて行われた。このツアーの千秋楽から5日後の6月19日にアルバムが発売されている。そしてアルバムの発売から約7ヶ月後に全国のホールを巡る二度目のリリースツアー「SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光"」が2020年1月18日から開催された。詳しくは#ツアー・関連する公演の節を参照されたい。
商品展開
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サカナクション / 834.194 「"2007.05.09-2017.05.09"」Digest Movie |
本作は、通常盤のほかに、完全生産限定盤A(Blu-ray付属)、完全生産限定盤B(DVD付属)もリリースされた[70]。完全生産限定盤は特殊パッケージ仕様となるほか、ボーナストラックがダウンロードできるコードが封入されている(有効期限は2019年12月19日まで)[71]。付属のBlu-ray、DVDには2017年に新木場スタジオコーストで開催された「サカナクション デビュー10周年記念イベント "2007.05.09 - 2017.05.09" -LIVE AT STUDIO COAST 2017.05.09-」の映像がMCとともに130分以上にわたって収録されている。また限定盤Aにのみ、前作『sakanaction』以降に発表されたシングル6曲のミュージックビデオも収録されている[72]。これら特定映像の曲目は#収録曲を参照。
また今作はサカナクションのオリジナルアルバムでは初となるシングルカットが行われている[広報 5][73][74]。「忘れられないの」「モス」の2曲を収録した両A面シングル「忘れられないの/モス」のリリースがに7月10日に発表された。このシングルは8センチCDで当初は1万枚限定でのリリースとアナウンスされていたが、近年では珍しくなった8センチCDという商品形態やアートワークが話題を呼び予約が殺到したためリリースの発表からわずか3日後に追加生産が行われた[75]。
大量のプロモーション
2019年にサカナクションは6年ぶりにオリジナルアルバムが発売したことによりこれまでに無いほど多くのメディアに露出した。発売日前日にラジオに出演した際に山口は、久しぶりのプロモーション活動に「勘が取り戻せていない」と話している[SOL 12]。また特に6月・7月にかけて大量の出演情報が積み重なった際は、SNSでファンに向けて「誰か情報をまとめて欲しい」とまで発言した[広報 6]。
日付 | 内容 | 備考・出典 |
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2019年 4月1日 |
AERA 4月8日号発売。山口が表紙を飾りアルバムに関するインタビューが掲載された。 | [76][77] |
4月3日 | ニュースメディア・GIZMODOに山口一郎のインタビューが掲載される。 | [78] |
4月15日 | TOKYO FM「Skyrocket Company」に山口が出演した。 | [広報 7] |
4月19日 | 松任谷正隆がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「JINS presents 松任谷正隆のちょっと変なこと聞いてもいいですか?」に山口が出演した。 | [広報 8] |
4月24日 | TV Bros.2019年6月号発売。山口一郎が表紙をつとめ、3月下旬~4月にかけてのバンドの活動に密着取材をした記事が掲載された。 | [79] |
4月26日 | 同日に放送された松任谷正隆がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「JINS presents 松任谷正隆のちょっと変なこと聞いてもいいですか?」に山口が一週間ぶりに出演した。 | [広報 9] |
6月4日 | J-WAVE「GROOVE LINE」に山口が出演。同日に発売された日経エンタテインメント!2019年7月号にインタビューが掲載された。 | [80] |
6月10日 | Talking Rock!7月号発売。山口のインタビューとビジュアルが掲載された。 | [81][82] |
6月11日 | フジテレビ「人と音楽」に山口一郎が出演した。 | [83] |
6月15日 | ニッポン放送「三代目 J SOUL BROTHERS 山下健二郎のZERO BASE」」に山口が出演した。 | [広報 10] |
6月18日 | MUSICA7月号発売。巻頭特集が組まれ、メンバー全員のインタビューとビジュアルが掲載された。 | [84] |
HBCラジオで10時台に放送された「ナルミッツ!!!」に山口がゲスト出演した。 | [広報 11] | |
FMおたるで12:30に放送された「76.3 Radio cross たかちゃん」に山口一郎と父親の山口保(たもつ)がゲスト出演した。 | [85][86] | |
AIR-G’で13:30に放送された「Sparkle Sparkler」で山口がコメント出演した。 | [広報 12] | |
FM NORTH WAVE0で16時から19時にかけて放送された「XROSS JAM」で山口がコメント出演した。 | [広報 12] | |
SCHOOL OF LOCK!の生放送教室に山口がゲスト出演した。 | [SOL 12] | |
6月19日 | 00:15から動画配信サイトGYAO!にて「サカナLOCKS!外伝」が生配信された。アーカイブは同日正午から7月18日いっぱいまで公開された。 | [広報 13][広報 14][広報 15] |
FM802にて9時台放送の「TACTY IN THE MORNING」で山口がコメント出演した。 | [広報 16] | |
Yahoo!ニュース特集に山口一郎のインタビューが掲載された。 | [87] | |
Rmagazineに山口一郎のインタビューが掲載された。 | [88] | |
FLYING POSTMAN PRESS 6/20発行号(7月号)にメンバー全員のビジュアルと山口のインタビューが掲載された。 | [広報 17] | |
山口がタワーレコード渋谷店、HMV&BOOKS SHIBUYA、SHIBUYA TSUTAYA、タワーレコード新宿店へ訪問した。 | [広報 18][広報 19][広報 20][広報 21] | |
6月22日 | ニッポン放送「三代目 J SOUL BROTHERS 山下健二郎のZERO BASE」に山口が一週間ぶりに出演した。 | [広報 22] |
山口が期間限定でDJを担当するFM802「YOUR RADIO 802」の一週目が放送された。 | [89] | |
6月24日 | 日本テレビ「ZIP!」で山口のインタビューが放送された。 | [広報 23] |
ZIP-FMで放送された「BEATNIK JUNCTION」で18:40頃に山口がゲスト出演した。なお山口はこのプロモーションの合間にタワーレコード名古屋パルコ店に訪問した。 | [広報 24][90] | |
FM802で21時に放送された「ROCK KIDS 802」に山口がゲスト出演した。 | [91] | |
6月25日 | サウンド&レコーディング・マガジン2019年8月号発売。巻頭特集が組まれ、メンバー全員のインタビューとビジュアルが掲載された。 | [92] |
週刊SPA!発売。山口のインタビューが掲載された。 | [93] | |
FM802「THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 RADIO MASTERS」13時台に山口がゲスト出演した。 | [94] | |
6月26日 | フジテレビ系「めざましテレビ」に山口がドアラと共に出演した。 | [広報 25] |
CBCラジオ「ドラ魂キング」に山口が出演した。 | [95] | |
6月28日 | ROCKIN'ON JAPAN8月号発売。山口のインタビューとビジュアルが掲載された。 | [96] |
6月29日 | 山口がDJを担当するFM802「YOUR RADIO 802」の二週目が放送された。 | [89] |
6月30日 | AIR-G’「G-CUTS ALIVE」で山口が出演し、アルバムの全曲解説を行った。 | [97] |
7月1日 | 7ぴあ7/1発行号(7月号)発売。メンバーのビジュアルと山口のインタビューが掲載された。 | [98] |
7月2日 | BSフジ「BSいきものがかり」に山口が出演した。 | [99] |
7月3日 | FM802「MIDNIGHT GARAGE」に山口が出演した。 | [100] |
7月6日 | 読売新聞 週刊エンタメ面「STORY」に7月いっぱいの4週連続でインタビューが掲載されることが発表された。 | [広報 26] |
7月7日 | FM802「Superfine Sunday」に山口が出演した。 | [101] |
7月9日 | FM802「UP BEAT」12時台に山口がゲスト出演した。 | [102] |
21時ごろZIP-FM「Groover's Dive」に山口がゲスト出演した。 | [103] | |
BSフジ「BSいきものがかり」に山口が二週連続での出演した[99]。 | ||
7月15日 | 日本テレビ系「スッキリ」に山口が出演した。 | [104] |
7月18日 | 読売テレビ「音力」に山口が出演した。 | [105] |
7月19日 | ベース・マガジン2019年8月号発売。草刈のビジュアルとインタビューが掲載された。 | [106] |
7月21日 | リズム&ドラム・マガジン 2019年9月号発売。江島のビジュアルおよびドラムテクニシャン土田嘉範との対談の模様が掲載された。 | [107] |
7月25日 | 中日新聞の朝刊Culture面「おはよう出番です」に山口一郎のインタビューが掲載された。 | [広報 27] |
7月26日 | ニッポン放送 「松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD」に山口が出演した。 | [108] |
8月26日 | フジテレビ系「Love Music」に山口が出演した。 | [109] |
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山口一郎の勝手にサイン会 【NFパンチ -外伝- 】 |
上の表に挙げたプロモーションの他に、6月22日には3月に放送が終了したレギュラー番組「NFパンチ」の外伝企画として、下北沢の路上にて山口による告知無しの販売会兼サイン会が開催される。この模様を記録した映像が後に番組の公式YouTubeチャンネルにアップロードされた。さらにこの模様はフジテレビ系「めざましテレビ」6月25日放送回で紹介された[広報 28]。
今作のリリースにあたって幾つかのテレビ番組で収録曲が披露された。まず6月21日のテレビ朝日「MUSIC STATION」では「忘れられないの」を披露した[110][111]。同日に公開された同曲のミュージック・ビデオの生放送での再現に挑戦し話題を呼んだ。[111]。続いて7月6日放送のNHK総合「SONGS」の第503回では「新宝島」「グッドバイ」「忘れられないの」を披露した[57]。今作からのリカットシングル「忘れられないの/モス」がリリースされてから2日後の8月23日にも「MUSIC STATION」に再び出演[112]。この回では「モス」を披露した。
タイアップ
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ドラマ「ルパンの娘」×主題歌「モス」サカナクション 新シリーズ制作記念 Special Version |
今作は多くの楽曲にタイアップがついている。 2019年3月20日には「ナイロンの糸」のカロリーメイト新CM「考えつづける人」篇でのタイアップが発表され、23日からテレビCMの放送がスタートした[113]。またこのCMの60秒版が3月29日に「MUSIC STATION」内で放送された[広報 29]。
3月22日には「忘れられないの」のSoftBank music project 新テレビCM「速度制限マン」篇でのタイアップが発表され[広報 30][114][115][116][117]、翌日から放送が解禁された。3月29日には 「ナイロンの糸」が使用された大塚製薬のカロリーメイト新CM「考えつづける人」篇の60秒版がテレビ朝日系列「MUSIC STATION」内で放送される。
5月20日 「ワンダーランド」のTBSテレビ「NEWS23」オープニングテーマへの起用が発表される[118]。この曲は当初よりタイアップ用の曲として制作された訳ではなく、アルバム製作用のデモを聴いた番組関係者からの要望を受け、2019年6月3日からの番組リニューアルに合わせ起用が決定した[SOL 11]。これに関連して同番組の6月5日放送回には山口が出演。小川彩佳との対談が放送された[119]。
6月24日には「モス」のフジテレビ木曜劇場「ルパンの娘」主題歌への起用が発表された[120]。このタイアップは2020年10月から放送された第2シーズンでも継続され[121]、新シーズンの制作を記念した第1シーズンのダイジェスト映像も公開された。
ミュージック・ビデオ
背景とリリース・内容
今作に収録された楽曲の全18曲中10曲でミュージック・ビデオが制作された。このうち「グッドバイ」「ユリイカ」「さよならはエモーション」「蓮の花」「新宝島」「多分、風。」は先にそれぞれのシングル発売時のプロモーションとして制作され、「「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」」は2017年にGINZA、MEN'S NON-NO、ボッテガ・ヴェネタとのコラボレーション企画「MIDNIGHT DAYDREAM」においてドラマ映像が制作された。
今作のプロモーションとして制作されたミュージック・ビデオは「ナイロンの糸」「忘れられないの」「モス」の3曲である[122]。「ナイロンの糸」は山田智和が、「忘れられないの」は田中裕介が、「モス」は山口保幸がそれぞれ監督を務めた。この3人は2018年11月末から12月初頭にかけて4日間開催された「SAKANAQUARIUM 2018 "魚図鑑ゼミナール"VISUAL LIVE SESSION」において「深海」「中層」「浅瀬」セクションの演出を担当し、このライブに向けてそれぞれの楽曲に合わせた映像を一度制作している[49]。その後、新たにミュージック・ビデオとしての映像が制作され[122]、「ナイロンの糸」は2019年6月4日[123]、「忘れられないの」は同年6月21日[124]、「モス」は同年7月11日に公開された[125]。なお、「ナイロンの糸」にはカロリーメイトCM「考えつづける人」篇の約3分半の映像が、「忘れられないの」にはYouTubeで活動する動画クリエイターDrop Block Studioが制作したバージョンの映像が存在しており、どちらもバンドの公式YouTubeチャンネルにアップロードされている。
また今作の収録曲では、ミュージック・ビデオの他にも映像作品等のプロモーションとして「モス」と「ワンダーランド」のライブ・パフォーマンスの様子を切り取った映像が同チャンネルにアップロードされている。
映像外部リンク | |
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サカナクション / ナイロンの糸 | |
大塚製薬 カロリーメイトCM「考えつづける人」篇LONG ver | |
サカナクション / 忘れられないの | |
サカナクション / モス | |
サカナクション / 忘れられないの(Drop Block Studio Cover Version) |
- ナイロンの糸
- 都市の近海に飛び込む男性のショットから映像が始まり、男性が荒波の中を溺れそうになりながら泳ぐ様子と女性が緑色のネイルを塗る様子、またその二人が素肌を触れ合わせる様子を接写したショットなどで構成されている。砂漠をロケ地にしたカロリーメイトのCM映像[113]とは対照的にオリジナル版のミュージックビデオは「水と都市」をテーマとした作品となっている[126]。
- 忘れられないの
- 1980年代前半の歌謡ショーをイメージした世界観の中で全身白の衣装に身を包んだメンバーが演奏を行う様子をワンカットで納めている。ヤシの木、ビーチパラソル、肩パットなど当時のトレンドを連想させるアイテムが数多く登場している。映像には山口を誘惑する水着の女性としてモデルAmyや、歌詞と同じタイミングで「ガムを吐き捨てる」男のモデル矢野崇人などの他に楽曲のタイアップ先であるソフトバンクのテレビCM「速度制限マン」篇に登場した「速度制限マン」役の嶋田久作が同じ姿で登場している。監督の田中は2018年の「SAKANAQUARIUM2018 "魚図鑑ゼミナール" VISUAL LIVE SESSION」の演出としてサカナクションと関わった際に、当時山口が「忘れられないの」を80年代に連載されていた漫画「ハートカクテル」の世界観を参考にしながら制作しているという話を聴いていた。この為VISUAL LIVE SESSIONで仮完成した同曲を披露する際に使用した演出映像や、後にミュージック・ビデオを撮影する際も80年代のイメージを踏襲した映像にこだわったと語っている[SOL 13]。
- モス
- 真っ白な空間に鎮座する繭のアップから映像が始まる。繭の全体が見えるまでカメラが引いた後は約2分にわたってほぼ展開が無くわずかに繭が揺れる様子が確認できるのみで、初めて観た者は試聴環境によってはこれが実写なのかアニメなのか、CGなのかすらも判別がつきにくいものとなっている。中盤、2番のサビに差し掛かった瞬間に突如として繭の左側から人の腕が出現し、そこからゆっくりと全身を出していく。ここで初めて繭の中で眠っていたのが山口であったことが判る。繭から"生まれた"山口は息を整えたあと繭から少し離れた場所にあるドアから白い空間を出てアパートの廊下に場面が切り替わる。すると、同じタイミングでドアから出てきた井手上漠演じる人物と目が合った所で映像が終わる。この映像に井手上漠が起用されたのは、井手上の生い立ちが「モス」の仮タイトルかつメインコンセプトである「マイノリティ」というテーマを体現していることなどがあげられる[127]。
ミュージック・ビデオの評価
「忘れられないの」のミュージック・ビデオが、MTVジャパンが主催するその年の優れたミュージック・ビデオを表彰するアワード『MTV Video Music Awards Japan』で最優秀ダンスビデオ賞を受賞した[128]。
音楽性と歌詞
今作は収録曲をDISC 1とDISC 2に分けており、それぞれのディスクで音楽性が異なっている。DISC 1はポップでアッパーかつダンスミュージックの要素が多くを占めるのに対しDISC 2はノスタルジックでディープかつアナログな印象を感じさせる[56][129]。
DISC 1「35 38 52 9000 / 139 41 39 3000」
冒頭の「忘れられないの」はAORが取り入れられており[SOL 1]、このような楽曲を制作できるようになったのは2016年ごろに設立したバンドのプライベートスタジオで繰り返し演奏を研究してきたからとメンバーは語っている[43]。2曲目の「マッチとピーナッツ」のコンセプトはマッチとピーナッツ山口いわくビージーズ・ジュディ・オング(メロディ)およびつげ義春(歌詞)をイメージしている[63]。全編にわたって音が鳴っているシンセサイザーの音はミニモーグが使用されている。3曲目からは「陽炎」「多分、風。」「新宝島」とアッパーが曲が連続し、「モス」でピークを迎える。メンバーの間での「モス」のイメージはトーキング・ヘッズ、山本リンダ、90年代から2000年代のUKロック、C-C-Bを1:1:1:1で混ぜたものとしている[SOL 1]。またこの曲のベースにはヘフナー・500-1(1962年製)が使用されており[130]、ライブパフォーマンスにおいても同じものが使用されている[131][132]。7曲目の「「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」」は2015年の草刈の産休中に制作された曲であり、エレキベースは全て岩寺によるテイクが使用されている[133][SOL 14]。この点からサカナクションの歴史における重要な曲であるとして今作に収録された[134]。8曲目「ユリイカ(Shotaro Aoyama Remix)」はバンド9枚目のシングルの表題曲「ユリイカ」を東京出身のアーティストである青山翔太郎によってインスト的に[56]リミックスされた楽曲である。9曲目の「セプテンバー -東京 version-」は山口が10代の頃に一人で制作した曲を現在のサカナクションの音楽性に合わせてリアレンジされている[62]。
DISC 2「43 03 18 9000 / 141 19 17 5000」
前半は「グッドバイ」「蓮の花」「ユリイカ」とシングル曲が続く。4曲目の「ナイロンの糸」はローランド・TR-808が使用されている[135]。5曲目の「茶柱」は今作の収録曲の中でも特にミニマルな構成となっており、山口の歌、岡崎の弾くグラビアのNord Stage 2EX[136]、札幌の蝉の声[136]、そして札幌生まれのコントラバス奏者である[137]瀬尾高志によるコントラバスの音で構成されている[138][SOL 1][59]。6曲目の「ワンダーランド」はバンドとしては初めてシューゲイザーを取り入れた楽曲である。曲の冒頭と終盤に特に大きくノイズが入っているが、イントロの前の音は北海道の雪を踏む足音であり、終盤の大音量のホワイトノイズの中に紛れて聞こえる音は東京の街中で録った音であることが語られている[SOL 12]。曲が始まってからおよそ34秒あたりで鳴るギターのサウンドは江島によるテイクが使用されている[139]。また歌詞については「童貞・処女喪失」をテーマとしている[63]。7曲目にはシングル曲の「さよならはエモーション」が収録され、8曲目の「834.194」はインスト曲となっている。9曲目、アルバム最後の曲である「セプテンバー -札幌 version-」はDISC 1の「セプテンバー -東京 version-」と同じ原曲を制作された当時に近いアレンジで仕上げられている[62]。2つのバージョン共に歌は同じテイクを使用している[140]。札幌 versionの最後の部分には懐かしさや朴訥さを演出する意図でNHKの時報などでも使用されている正弦波を加工した音が用いられている[140]。
アートワーク
画像外部リンク | |
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ジャケット画像①(ビクター公式ウェブサイト) | |
ジャケット画像②(ビクター公式ウェブサイト) | |
ジャケット画像③(ビクター公式ウェブサイト) |
本作は"音楽ソフトのプロダクトとしての価値の拡張"をテーマとした商品の展開が行われ、アーティスト・デュオ「Nerhol(ネルホル)」の作品2点がジャケット・アートワークのメイン・ヴィジュアルとなっている[141][広報 31]。北海道の海と東京の海のそれぞれで撮影された大量の写真を積層し、それを彫り込んで制作された彫刻作品を改めて撮影した写真がジャケットとなっている。それぞれ青を基調とした面と黄色を基調とした面があるが、バンドとしてはどちらが表でどちらが裏であるかという設定はしていない。ただしレーベルから販売する際のプロモーションの関係で、青を基調とした面のほうが便宜上の表として扱われている。歌詞カードのブックレットはこの作品2点の別角度から撮影された写真と文字のみというミニマルなデザインとなっている[59]。また今作はフィジカルでの販売において通常盤と完全限定生産盤が展開されているが、ジャケットに使用されている写真は共通となっている。
今作の歌詞カードではクレジット表記の欄においてバンドメンバーの後ろにギターやドラムといった担当楽器が具体的に表記されていない。この事について岩寺・草刈は、山口が作った原曲のアレンジを他のメンバー4人で進める際に、一人につき一つの楽器のみを担当する事にこだわらずこれまで以上に4人があらゆる要素に各々の意見を反映させながらアルバムを完成させた為であると語っている[142]。
評価
批評
ロッキング・オンの小川智宏は、本作は「何度聴いても発見がある」といい、「今まで一枚の絵として見ていたものが、実は奥行きも高さも持った立体像であったことに気づくようなアルバム」と評した。「時間と空間の移ろいの中で変化し続ける音楽的有機体としてのサカナクションの全体像を、サカナクション自身が初めて具体化して提示するアルバム」とも語った[143]。Real Soundの森朋之は、DISC-1には洗練されたダンサブルな楽曲が、DISC-2にはサカナクションの深遠な精神性が堪能できる楽曲が収録されていると指摘し、前作以降のバンドのストーリーを一大叙事詩に発展させた大作と評した[144]。批評家のimdkmは、本作を「バンド結成の地である札幌と現在活動の拠点とする東京というふたつの時代/都市を対比させたコンセプトが貫かれた一作」と評価。「AORやシティポップを参照しつつ、洗練された"洋楽"的ポップスへと向かうのでなく、いなたさをためらいなくポップに提示する手際」がサカナクションらしいとした。また、本作は「コンセプトアルバムとしてきわめて周到に、整合性のあるつくりになっている」が、「モス」や「忘れられないの」といった新曲が自ずと放っている魅力に対して、「これらのコンセプトはいささか蛇足だ」と語った[145]。
雑誌『MUSICA』では2019年7月号における「Disc of the Month」の国内盤として今作を選出した。ここに記された批評の一つとして、小野島大は「収録曲全体の半数以上がシングルとして既にリリースされているにも関わらず明確なテーマ・ストーリーを持った1つのアルバムとして見事に纏まっている」と評しており、特にDISC 2後半の「ワンダーランド」「さよならはエモーション」「834.194(インスト曲)」の流れを例に取りシングル曲もアルバムに組み込まれる事で新たな意味を持つようになったと語っている[146]。また同誌の2020年1月号における2019年の音楽シーンを振り返る特集「THE YEAR IN MUSIC 2019」において鹿野淳と編集長の有泉智子はONE OK ROCKが2019年2月13日にリリースした『Eye of the Storm』、SEKAI NO OWARIが同月27日に同時リリースした『Eye』『Lip』と合わせて批評をしている。3バンドが2010年の初頭にその後大きく注目されるきっかけとなったシングルをリリースした[注 1]ことをふまえ、2010年代の音楽シーンを象徴する立ち位置にまで昇りつめたバンドによるここ10年の時代を総括するアルバムであると評している[147]。
また本作は、『ミュージックマガジン』2021年3月号掲載の「特集 [決定版] 2010年代の邦楽アルバム・ベスト100」にて、第90位に選ばれている[148]。
受容とチャート成績
オリコンの調査によると、『834.194』は2019年6月19日にフィジカルとしてリリースされ初日に推定4万4284枚を売り上げデイリーランキングで2位を獲得した後[統計 1]、発売初週で推定8万1261枚を売り上げ2019年7月1日付の週間チャートランキングでも2位を記録した[統計 2]。同じ週にオリコン週間デジタルアルバムランキングではダウンロード数11123を記録し1位[統計 3]、週間ROCKアルバムランキングにおいても1位[統計 4]、そしてフィジカルでの売り上げとストリーミング再生数・ダウンロード数を合計したオリコン週間合算アルバムランキングでは2位を獲得した[統計 5]。また週間アルバムランキングでのチャートイン2週目(2019年6月第4週)には推定1万4710枚を売り上げ9位を記録しトップ10を維持した[統計 18]。その後8月第1週には34位にまで順位を下げたものの[統計 19]、8月21日に『忘れられないの/モス』がシングルカットでリリースされたことも話題を呼び8月第2週および第3週で若干の回復を見せている[統計 20][統計 21]。また、同年6月分のオリコンアルバム月間チャートでは4位[統計 6]、月間ROCKアルバムランキングでは1位[統計 7]、2019年のオリコンアルバム年間ランキングでは29位を記録した[統計 8]。
Billboard JAPANのチャートのうち、『Top Albums Sales』では、2019年7月1日付のチャートで全国推定売上枚数8万2500を記録し2位でチャートデビューした[統計 9]。この週は『Hot Albums』でも2位でチャートデビューし[統計 10]、ダウンロード数を計測する『Download Albums』ではオリコンデジタルアルバムランキングと同様に1位を獲得した[統計 11]。またこの『Download Albums』ランキングにおいても8月19日付のチャートで15位を記録した後、9月9日付のチャートで9位にまで再び順位を上げている。このようなロングセールスを記録した事についてBillboard JAPANの栗本斉はリード曲「忘れられないの」での話題作りがアルバムへの注目を集めた大きな要因であると分析している[149]。2019年の『Top Albums Sales』年間ランキングでは25位[統計 12]、『Hot Albums』年間ランキングでは17位[統計 13]、『Download Albums』年間ランキングでは16位を記録した[統計 14]。
TSUTAYAの2019年度年間レンタルCDランキングのアルバム部門では19位[統計 22]、タワーレコードが2019年12月2日に発表した「2019 ベストセラーズ」邦楽アルバムTOP20では9位[150][151]、HMVが2019年11月29日に発表した年間ランキング「HMV BEST OF 2019」では16位[統計 23]、配信サイトmoraの2019年年間人気アルバムランキングでは15位[統計 24]、レコチョクの年間ランキング2019ではアルバムランキングにおいて47位にランクインした[統計 25]。またこれを踏まえレコチョクにおける同年のアーティストランキングではサカナクションが50位にランクインしている[統計 26]。
日本レコード協会によるゴールドディスク認定では、10万枚以上フィジカルとして出荷されたとして、2019年6月に認定を受けている[統計 15]。
受賞
年 | 音楽賞 | 結果 | 出典 |
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2020 | 第12回CDショップ大賞 | 入賞 | [152] |
収録曲
本作はCD2枚組でともに9曲ずつ、合計18曲が収録されている。両ディスクとも8曲目にインスト曲またはインスト曲に近い形にアレンジされた楽曲が、9曲目には山口と岩寺が所属していたサカナクションの前身バンド「ダッチマン」時代の楽曲『セプテンバー』をリアレンジした楽曲が収録されている。リード曲はDISC 1の1曲目「忘れられないの」[広報 5]。
全作詞・作曲: 山口一郎、全編曲: サカナクション。 | |||
# | タイトル | 録音・ミックス(またはリミックス) | 時間 |
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1. | 「忘れられないの」 | 浦本雅史 | |
2. | 「マッチとピーナッツ」 | 浦本雅史・吉井雅之(録音のみ) | |
3. | 「陽炎」 | 浦本雅史 | |
4. | 「多分、風。」 | 浦本雅史 | |
5. | 「新宝島」 | 土岐彩香(録音)・浦本雅史(ミックス) | |
6. | 「モス」 | 浦本雅史・吉井雅之(録音のみ) | |
7. | 「「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」」 | 土岐彩香(録音)・浦本雅史(ミックス) | |
8. | 「ユリイカ(Shotaro Aoyama Remix)」 | 青山翔太郎(リミックス) | |
9. | 「セプテンバー -東京 version-」 | 浦本雅史 | |
合計時間: |
全作詞・作曲: 山口一郎[注 2]、全編曲: サカナクション[注 3]。 | |||
# | タイトル | 録音・ミックス | 時間 |
---|---|---|---|
1. | 「グッドバイ」 | 浦本雅史 | |
2. | 「蓮の花」 | 浦本雅史 | |
3. | 「ユリイカ」 | 浦本雅史 | |
4. | 「ナイロンの糸」 | 浦本雅史 | |
5. | 「茶柱」 | 浦本雅史 | |
6. | 「ワンダーランド」 | 浦本雅史 | |
7. | 「さよならはエモーション」 | 浦本雅史(録音のみ)・土岐彩香 | |
8. | 「834.194」 | 浦本雅史(録音のみ)・高橋邦之 | |
9. | 「セプテンバー -札幌 version-」 | 浦本雅史 | |
合計時間: |
# | タイトル | リミックス | 時間 |
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1. | 「years (Setsuya Kurotaki "NF Remix")」 | 黒瀧節也 | |
合計時間: |
# | タイトル | ファン投票人気ランキング | |
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1. | 「OPENING」((Ame(B)の冒頭部分のみ)) | (原曲は33位) | |
2. | 「涙ディライト」(照明 平山和裕リクエスト) | 30位 | |
3. | 「ネプトゥーヌス」(山口一郎リクエスト) | 22位 | |
4. | 「YES NO」(楽器(ローディ)リクエスト) | 43位 | |
5. | 「アムスフィッシュ」(岩寺基晴リクエスト) | 25位 | |
6. | 「ドキュメント」(岡崎絵美リクエスト) | 21位 | |
7. | 「フクロウ」(インテリアデザイナー 片山正通リクエスト) | 15位 | |
8. | 「スプーンと汗」(太宰府天満宮 権宮司 西高辻信宏リクエスト) | (不明) | |
9. | 「enough」(スタイリスト 北澤"momo"寿志リクエスト) | (不明) | |
10. | 「エンドレス」 | 5位 | |
11. | 「三日月サンセット」 | 4位 | |
12. | 「ナイトフィッシングイズグッド」 | 3位 | |
13. | 「白波トップウォーター」 | 2位 | |
14. | 「目が明く藍色」 | 1位 | |
15. | 「「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」」 | 20位 | |
16. | 「グッドバイ」 | 13位 | |
合計時間: |
# | タイトル | 監督 | 時間 |
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1. | 「グッドバイ」 | Yukihiro Shoda | |
2. | 「ユリイカ」 | 山口保幸 | |
3. | 「さよならはエモーション」 | 田中 裕介 | |
4. | 「蓮の花」 | 山口保幸 | |
5. | 「新宝島」 | 田中 裕介 | |
6. | 「多分、風。」 | 田中 裕介 | |
合計時間: |
ツアー・関連する公演
2019年3月7日にアルバム発売が発表された当時は、2019年のツアー中にアルバムが発売される予定だったため、同ツアーは「アルバムを聴かずに観る公演」と「聴いてから観る公演」の両方を体験できる特徴があることを山口は語っていた[SOL 5]。しかし、発売日は延期となったため[SOL 6]2019年のツアーは結局すべての公演が「アルバムを聴かずに観るライブ」となったが、2020年に新たなアルバムツアーが開催されている。
SAKANAQUARIUM2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session
SAKANAQUARIUM2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session | ||||
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サカナクションのライブ・ツアー『SAKANAQUARIUM2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session』の最終公演会場・ポートメッセなごやの入り口に設置された看板。
(2019年6月14日撮影) | ||||
サカナクション の アリーナ・ツアー | ||||
場所 | 日本 | |||
関連アルバム | 834.194 | |||
初日 | 2019年4月6日 | |||
最終日 | 2019年6月14日 | |||
行程 | 7 | |||
公演数 | 10 | |||
ウェブサイト | sakanaction 2019 | |||
サカナクション ツアー 年表 | ||||
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映像外部リンク | |
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サカナクション / TOUR「SAKANAQUARIUM2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session」ティザー |
本作のタイトルを冠したツアー「SAKANAQUARIUM2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session」が、2019年4月6日から6月14日にかけて開催された。全国7都市のアリーナで計10公演が行われ、サカナクションとしては史上最大規模のツアーとなった[156]。
アリーナツアーの音響
サカナクションは2013年と2017年の公演で200発以上のスピーカーを用いた6.1chサラウンド音響をしてきたが[157][158]、本ツアーでは全公演において300発以上のスピーカーによる6.1chサラウンド音響を採用している点が大きな特徴である。特に千秋楽となったポートメッセなごや公演では、ツアー初日と2日目の公演を行った幕張メッセの半分のキャパシティに対して1.5倍のスピーカーを設置したことがMCで語られている[159]。こうして音響設備に力を入れた結果、音が悪いというイメージが付きがちなアリーナにおいてもあらゆる席に明瞭度の高い音を出すことができたと草刈と江島は語っている[160][161]。
音響に関する主要なスタッフとして、メインのPAエンジニアはAcousticの佐々木幸雄が、スピーカー・プランニングを株式会社パブリック・アドレスの武井一雄が、サカナクションが演奏する以外の音をコンピューターで制御するマニピュレーターは浦本雅史が務めた[162]。3人とも以前からサカナクションのライブスタッフとして参加しつづけており、テレビ朝日系「関ジャム 完全燃SHOW」の2018年6月3日放送回において2017年の10周年記念サラウンドライブについて特集された際は、サカナクションと共にバンドと関わりの深いスタッフとして番組にゲスト出演している[163]。
雑誌『サウンド&レコーディング・マガジン』2019年8月号ではこれら3人のスタッフが大きく関わったPAシステムについて詳しく記載されている。まずサカナクションの歌声と楽器類の音、浦本雅史がマニピュレートする機器の音、そしてサラウンド音声の定位を調節するためのパンナーからの音など合計54chの入力信号が佐々木の操作するアビッド・テクノロジーのVENUE S6L-32Dとモニター・ミキサーが操作するYAMAHAのCL5に送られ、それぞれ客席用とステージのモニタースピーカー用にミックスが行われた[164][注 4]。ここで使用されているパンナーは名古屋のメーカー「ELECTROGRAVE」がこのツアーのために制作したものを使用している[165][広報 32]。この機器によって佐々木のコンソールから出力された2系統のステレオ音声が6系統のサラウンド音声に変換され再びコンソールへと入力し直されている[165]。サラウンド・スピーカーへの定位は内蔵のデジタルシグナルプロセッサのプログラムよって一定の速度で音を回す事が出来る他、ジョイ・スティックによって主導で変化させる事も出来る[165]。例として「モス」の間奏部分ではオート機能によって曲のBPMに合わせたスピードでギターの音が回された他、「INORI」ではPA卓とは別にDJセットに設置された2台目を山口が使用しサラウンドをコントロールした[166]。
今回のツアーでは6.1chサラウンドが採用されているが、会場に設置された300発以上のスピーカーから6.1chを構成する7系統(フロントL/R、サイドL/R、リアL/R、サブウーファー)の内のどれかの音のみが鳴っているという訳ではない。まず佐々木のコンソールからはフロントL/R、サイドL/R、リアL/R、サブウーファー、センターの8chが出力され、ソリッド・ステート・ロジックのLive. L500というコンソールに入力される。 次にこのLive. L500の内部において、はじめ8系統で入力された信号が40系統以上にまで細分化されてから最終的にそれぞれのスピーカーに割り振られている[165]。これはアリーナゆえの会場の広さと音速による音の到達時間のズレを考慮したディレイ・スピーカーなども設置する必要があるためであり、こうしてスピーカーが設置される位置ごとに音の出るタイミングを細かく調節することによって会場のどの客席にいても違和感なくサラウンドが体感できるようになっている。なお、ディレイ・スピーカーにはEASTERN ACOUSTIC WORKSの指向性を変えられる特殊なスピーカーを使用している[167]。
アリーナツアーの曲目・演出
サカナクションのライブは通常メンバー全員とスタッフが意見を出し合いながら曲目や演出を決定していくが、今回のツアーは山口がアルバムの歌詞制作に専念するためにほとんど関わっていない。ただし企画の初期の段階に本編が「セプテンバー」で始まり「セプテンバー」で終わるようにしたいこと、アンコールの最後の曲を「グッドバイ」にしたいこと、「新宝島」のミュージック・ビデオに登場したスクールメイツ風ダンサーをステージにも登場させたいこと、「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」のミュージック・ビデオに登場した山口と同じ格好をした「一郎人形」を登場させたいという要望はスタッフに共有していたという[168]。
曲目については山口から共有されていた大まかなイメージを元に他のメンバー4人で原案を考案した。今回のツアーには『834.194』から100BPM前後の曲が多く加わったことにより、従来とは違うライブの展開を作ることが出来たと草刈は語っている[161][160]。
演出は山口以外のメンバー4人と照明を担当しているBAGS GROOVEの平山和弘を中心に考案された[142]。演出の中でも映像を大胆に使った点はこのツアーの大きな特徴となっており、山口はサカナクションのライブに映像をいかに盛り込むかということを試行錯誤し続けた点において2018年に開催された「SAKANAQUARIUM2018 "魚図鑑ゼミナール" VISUAL LIVE SESSION」から今回までのツアーが地続きのものであると考えている[169]。
映像制作は直近の「SAKANAQUARIUM2018 "魚図鑑ゼミナール" VISUAL LIVE SESSION」の中層セクションでも映像制作を行った田中裕介が担当した。田中は今回映像だけでなくステージの構造など演出全体にも深くかかわっている。撮影を開始する前にステージに設置するモニターのサイズと形状をプロデューサーの野村達矢、マネージャーの熊木勇人、平山で相談した結果、縦長の短冊状のLEDパネルというアイデアが採用される事となった[170]。ここで考案されたLEDパネルは縦長の短冊状パネルがバンド後方に5枚、ステージ両脇に2枚、そしてステージ横のサービスモニターが設置される位置に上手下手で3枚ずつ、計13枚設置するものである。こうして設置することによりある時は縦長の13枚のパネルにそれぞれ違う映像を再生したり、全体で一つの映像を再生することで一枚の巨大かつスーパー・ワイドなモニターとして映像を展開することが出来るようになった。これらのモニターへの映像出力はkomadenのNJPと呼ばれるオペレーション・ソフトが使用され、手作業のスウィッチングでは不可能なスピードで映像が切り替えることが出来るようになっている[171][SOL 15]。
映像を流すハードウェアが決定し、セットリストも決定すればいよいよ撮影を開始できるという段階まで来ていたものの、前述の通りアルバムの制作が遅延したことからセットリストの完成は3月半ばまで後ろ倒されることとなり、テクニカル・リハーサルまでの日程を考慮すると田中は約2週間でライブに使用する映像を全て制作しなければならなくなった[172]。この時期について田中は「思い出すだけでも超ビビる」と話している[172]。約2週間で田中は「Opening(000.000~834.194)」「夜の踊り子」「陽炎」「Aoi」「ユリイカ」「years」「マッチとピーナッツ」「新宝島」「セプテンバー -札幌version-」「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」を自ら制作し、「ナイロンの糸」と「蓮の花」の映像はオイルアーティストの助川貞義に、「ワンダーランド」の終盤から「ミュージック」までの一連のCG映像はRhizomatiks Researchに制作を依頼することで納品を間に合わせた[172]。なお、「忘れられないの」の演出で使用された映像は序盤の幕張公演では用意されていなかったが、より観客を引き込む演出が欲しいというメンバーやスタッフの意見から田中がアニメーションのチームに依頼して制作された映像がツアー中盤の仙台公演より使用されることとなった[173][174]。
「ユリイカ」ではこのLEDパネルに加えステージ前方に紗幕が下ろされることにより2層での映像表現が展開される。アルバム『834.194』のコンセプトである「札幌と東京」にちなみ、ステージ後方のLEDパネルには札幌、前方の紗幕には東京の風景を投影し、二種類の映像の間でサカナクションが演奏をする様子が構築された[175]。田中はこの2レイヤーでの映像表現について普段は絶対に出来ないことでありとても貴重な経験であったと振り返っている[176]。
本ツアーでは映像による演出だけでなく特効も積極的に使用されている。「Aoi」ではBLAZE社[177]の照明付きスチームマシンが使用されており青い煙がステージ上に噴射されている他[178]、中盤の「ワンダーランド」では同じくBLAZE社[177]のラインバーナーによるバンド史上初の炎を用いた演出が採用された[179]。
DJブースで演奏が行われる「INORI」から「moon」では山口がELECTROGRAVE社のパンナーを操作し音が聞こえてくる方向をリアルタイムで変化させるパフォーマンスが行われた[180][181]。同時にステージ横のLEDパネルにパンナーを操作する山口の手元とオシロスコープの画面がオーバーラップされながら映し出されている[182]。ここでの一連の演出について山口は、本ツアーの大きな特徴であるサラウンド音響を観客にはっきりと体感してもらう意図があったと説明している[180][181]。
本ツアーの演出にはいくつかの曲目でメンバー以外の出演者が登場している。「ユリイカ」では2層で展開された映像のうち「札幌」をテーマとした映像にモデルの水島さとりが[広報 33]、「マッチとピーナッツ」の映像には当時10代のダンサー・アオイヤマダが出演した[183]。このうちアオイヤマダは2018年の「VISUAL LIVE SESSION」において同じく田中が演出を担当した「中層」セクションで使用された映像にも出演している[49]。「新宝島」でステージ上に登場したスクールメイツ風ダンサーは会場となった地域で活動しているダンサーが参加しており、公演ごとに出演者が異なっている[184]。ライブでの演出としてダンサーを登場させたことについて山口は「夢が叶った」と話している[184]。
追加公演・中国へのメディア展開
4月27日に中国での追加公演が発表され、この公演のプロモーションに合わせてweiboのバンド公式アカウントが開設された[広報 34]。6月28日に上海のModern Sky LAB[広報 35]、6月30日に深圳のA8 Live[広報 36]で開催され、これらの2公演はアルバム発売後に開催された。なおこの2公演はサラウンド音響ではなく一般的なステレオ音響での公演であるため、ツアータイトルは「SAKANAQUARIUM2019 "834.194"」となっており「6.1ch Sound Around Arena Session」の部分はない。
テレビ放送
日本国内でのツアー千秋楽となった愛知公演の様子がWOWOWライブにて2019年9月22日に放送された[185]。番組では山口が本ツアーを振り返るインタビューも合わせて放送された。
アリーナ・ツアーの映像作品化
『SAKANAQUARIUM 2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session -LIVE at PORTMESSE NAGOYA 2019.06.14-』 | ||||
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サカナクション の ライブ・ビデオ | ||||
リリース | ||||
録音 |
2019年6月14日 日本・ポートメッセなごや 3号館 | |||
ジャンル |
ロック エレクトロニカ テクノ | |||
レーベル | NF Records | |||
サカナクション 映像作品 年表 | ||||
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EANコード | ||||
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映像外部リンク | |
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サカナクション / LIVE Blu-ray、DVD「SAKANAQUARIUM 2019 "834.194"」teaser movie | |
「SAKANAQUARIUM 2019"834.194"」ダイジェストトレーラー | |
サカナクション/LIVE Blu-ray「SAKANAQUARIUM 2019”834.194”」-guidance of Dolby Atmos- |
2019年のアリーナツアー千秋楽である愛知公演の様子を収録した映像作品が「SAKANAQUARIUM 2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session -LIVE at PORTMESSE NAGOYA 2019.06.14-」というタイトルで2020年1月15日にNF Recordsからリリースされた[広報 37][190][191]。本作は完全生産限定盤(Blu-ray/DVD)と通常盤(Blu-ray/DVD)の合計4形態でリリースされた[広報 37]。Blu-rayでは完全生産限定盤・通常版ともにライブ本編の音声を2chステレオとドルビーアトモスの2種類で収録している[191]。サカナクションのこれまでの作品でバイノーラル音声や5.1chサラウンド音声を導入してきたが、ドルビーアトモスを採用したのは今作が初めてである[192]。また完全生産限定版にはあいちトリエンナーレ2019「暗闇 KURAYAMI」ライブの記録映像が特典として収録されている[広報 37]。初回プレス分には映像作品のリリースから約4ヶ月後に開催予定だった(後述)「SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光"」ツアーの追加公演「SPEAKER +」のチケットWeb先行抽選予約用シリアルナンバーが封入された[広報 37]。またすべての形態で本編ライブ映像をスマートフォンで対応できる「プレイパス」サービスに対応している[広報 37]。
# | タイトル | |
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1. | 「セプテンバー(Acoustic)」 | |
2. | 「Opening(000.000~834.194)」 | |
3. | 「アルクアラウンド」 | |
4. | 「夜の踊り子」 | |
5. | 「陽炎」 | |
6. | 「モス」 | |
7. | 「Aoi」 | |
8. | 「さよならはエモーション」 | |
9. | 「ユリイカ」 | |
10. | 「years」 | |
11. | 「ナイロンの糸」 | |
12. | 「蓮の花」 | |
13. | 「忘れられないの」 | |
14. | 「マッチとピーナッツ」 | |
15. | 「ワンダーランド」 | |
16. | 「INORI」 | |
17. | 「moon」 | |
18. | 「ミュージック」 | |
19. | 「新宝島」 | |
20. | 「アイデンティティ」 | |
21. | 「多分、風。」 | |
22. | 「セプテンバー -札幌version-」 | |
23. | 「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」 | |
24. | 「夜の東側」 | |
25. | 「グッドバイ」(ライブの演出として公演のクレジットロールがステージ上に流れている) | |
合計時間: |
# | タイトル | 時間 |
---|---|---|
1. | 「CREDIT」 | |
合計時間: |
# | タイトル | 時間 |
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1. | 「ドキュメント」 | |
2. | 「第一幕「Ame(C)」~第二幕「変容」Visual Effects & Binaural Recording」 | |
合計時間: |
リリースに関連したイベント
- 先行視聴会・トークイベント
- 本作の発売を直前に控えた2020年1月12日、サウンド&レコーディング・マガジンが主催するドルビーアトモス環境での先行視聴会とトークイベントが御茶ノ水Rittor Baseにて開催された。ファンクラブ会員限定で参加者が募集されたほか、後半のトークイベントの模様はRittor Baseの公式YouTubeチャンネルにて生配信された。トークイベントはサウンド&レコーディング・マガジン副編集長である辻太一進行のもと、草刈と江島が登壇した[193][広報 38]。
- リリース後の1月30日、1月12日のイベントの続編として同じくサウンド&レコーディング・マガジン主催のトークイベントが御茶ノ水Rittor Baseにて開催された。こちらのイベントには江島と、ライブ映像のミックスを担当した浦本雅史、DOLBY JAPANの中山尚幸の三人が登壇した[194]。
- これら二つのイベントの模様と今作にまつわるの山口へのインタビューがサウンド&レコーディング・マガジン 2020年4月号に掲載されている[195]とともにそれぞれWeb記事化もされている。
- ドルビーアトモス体験&特設ストア
- バンドでは今作に初めて採用されたドルビーアトモス音響の体験ブースが秋葉原のONKYO BASEで2020年2月1日~24日まで開設された。また店内にはBlu-rayソフトのほか、サカナクションからリリースされた商品の販売コーナーも設置された[196][197]。
映像作品のデザイン・音響
今作の映像編集およびパッケージデザインはツアーの演出映像を制作した田中祐介が引き続き担当した[198][SOL 13]。映像の編集にあたって田中は約一週間自宅に引きこもって作業をし続けたという[SOL 13]。映像編集の後に取りかかったパッケージデザインは「ユリイカ」のライブでの演出を製品に落とし込むという考えのもと行われた。ライブではステージ前方に張られた紗幕とステージ後方に設置されたLEDパネルにそれぞれ「東京」と「札幌」をテーマにした映像を流し、2層の映像の間でメンバーが演奏するという演出が行われた[175]。これに対し映像作品のパッケージでは片面に「834.」という文字入りの東京の景色、反対の面に「.194」という文字入りの札幌の景色が印刷された窓枠があしらわれ、ケースから内容物を引き出すと二箇所の風景が重なったビジュアルの中に「834.194」という文字が浮かび上がるようになっている[199]。さらにこの内容物を取り出したケースを反対側から見ると「834.194」の数字が裏向きとなるが[200]、これは今作のリリース直後にスタートするアルバム『834.194』の2度目のリリース・ツアー「SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光"」のテーマである「834.194を振り返る」という概念を表現している[SOL 13]。
今作のBlu-ray版(完全限定生産盤および通常盤)では2chステレオ音声に加えドルビーアトモスが採用されている[SOL 16]。2013年と2017年に開催されたサラウンドライブ映像化では5.1chサラウンドが採用されているが[SOL 17][SOL 18]、今回はバンドの映像作品としては初めてドルビーアトモスが採用された。リリース当時に一般家庭ではまだあまり普及していない規格を使用する事への懸念はあったものの、その時の最新の技術を取り入れたかった事などから採用されたと江島は語っている[201]。
ステレオとドルビーアトモスのどちらの音声もミックスは浦本雅史が担当した[202][203]。これまでのサカナクションのライブ映像作品でステレオ音声をミックスする際はライブが開催されたアリーナ会場での音の響きを再現する事に重きを置いていたが、今作ではコンセプトを変え「ライブ映像作品」の音声としてあらゆる視聴環境でも聴きやすいミックスを目指したという[161][204]。ステレオ音声のミックスを完成させた後、浦本はの港区麻布台に位置するポニーキャニオンエンタープライズ社のP's STUDIOでドルビーアトモスのミックス作業に取りかかった[205][206]。ドルビーアトモスの特徴的な点として天井に設置する「ハイト・スピーカー」[207]の存在を挙げており、これにより従来にはなかった表現が出来るようになったという[161][204][208]。例としては「新宝島」での岩寺のギターソロの音を他の音よりも多くハイト・スピーカーに振り分けた事により、全体としての音量バランスを崩す事無く自然に目立たせる事が出来たと江島が語っている[202][208]。
今作でのドルビーアトモス音声の制作にメンバーやスタッフは手応えを感じており、浦本は映像だけで無く楽曲収録でもドルビーアトモスを使用する事に意欲を見せた他、江島も今後のサラウンドライブを映像作品で再現する際も引き続きドルビーアトモスを使用したいと語った[202]。
SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光"
SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光" | ||||
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サカナクションのライブ・ツアー『SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光"』の公演会場・愛知県芸術劇場に設置された記念撮影用フォトパネル。
(2020年2月18日撮影) | ||||
サカナクション の ホール・ツアー | ||||
場所 | 日本 | |||
関連アルバム | 834.194 | |||
初日 | 2020年1月18日 | |||
最終日 | 2020年2月26日 | |||
行程 | 6 | |||
公演数 | 12 | |||
ウェブサイト | SAKANAQUARIUM2020"834.194 光" | |||
サカナクション ツアー 年表 | ||||
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本作をひっさげたアルバムツアーとなる「SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光"」が2020年1月18日から2月26日にかけて開催された。全国のアリーナで開催された2019年のツアーに対して、こちらは全国のホールを回るツアーとなっている。ツアーのコンセプトである「光」は2019年にあいりトリエンナーレ2019の音楽プログラムの一つとしてサカナクションが開催した音楽プログラム「暗闇 KURAYAMI」[209]と対となっている。2019年8月24日に開催が発表された当初は4月12日までの12会場23公演を開催する予定であったが[210]、新型コロナウイルスの感染拡大を受け石川公演以降の開催を延期を余儀なくされた。その後、再開に向け数度の延期を重ねたものの、最終的に23公演中後半の11公演は開催中止となった[広報 39]。
追加公演「SPEAKER +」
「SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光"」ツアーの追加公演が2019年12月27日、RADIO CRAZY 2019のZ-STAGEでのパフォーマンス中にMCで発表された。イベント終了後バンド公式Twitterが更新、特設サイトのリンクが公開された[広報 40]。この公演は、スピーカーを通常よりも多く設置することで、音響的死角を減らすことが目的のひとつとされており、「SPEAKER +」(スピーカー・プラス)というサブタイトルが付けられている[211]。当初、5月1日・5月2日にぴあアリーナMM、5月8日に大阪城ホールで開催される予定であったが、本ツアーのホール公演と同じく新型コロナウイルスの感染拡大による影響で開催見合わせが発表された[広報 41]。以降バンドは振替日程の調整を続けてきたものの、当面の開催は不可能と判断したため2020年5月1日20時ごろに全3公演の中止が発表された[広報 42][広報 43]。サカナクションのライブツアーで全公演が中止になった企画はこれが初めてである。
ツアー開催延期・中止とその対応について
ツアー中止までの流れ
2019年末から中国武漢市を中心に世界各地で流行している新型コロナウイルス感染症の影響が最初に出たのは、2020年2月18日、19日の愛知公演だった。本ツアーの公式グッズの一つ「光 TOUR TEE」の会場への到着が中国での生産ライン・物流停止の影響を受け先行販売開始までに間に合わない事態が発生した[広報 44]。これに対し運営は到着までは引換券の販売をし、到着次第商品と交換する形で対応した[広報 45]。その後、2月24日にツアーそのものの開催に関して最初に方針を公開した。この時は十分な感染対策を行なった上で予定通り開催する方針であったが[広報 46]、2月26日に政府からイベントの開催の必要性を検討するよう要請されたことを受け[212]、当日中に石川・広島・神戸公演の延期が発表された[広報 47]。
ツアーの休止が決定して以降、3月にかけては振り替え日程の発表やチケットの再販売を行いツアー再開に向けた対応を進めた[広報 48][広報 49][広報 50]。また予定されていたライブに行けなくなったファンなどのために、ツアー終了を待たずにグッズのネット販売も開始した[広報 51][広報 52]。
3月下旬には石川・広島・神戸に続き福岡・熊本・札幌公演についても開催延期が発表され[広報 53][広報 54]ツアー再開の見通しが立たない状況が続いた。さらに4月7日から当時の安倍内閣総理大臣により緊急事態宣言が発出された[213][214]ことを受け、本ツアーの中でも特に多くの観客が集まり感染症のリスクが高くなることが予想される「SPEAKER +」公演を中止することが発表された[広報 42][広報 43]。サカナクションのワンマンライブにおいて公演を延期ではなく中止する事態になったのはこの時が初となる。
その後も各地のホール公演はもう一度日程をずらし[広報 54][広報 55][広報 55]7月から10月にかけて開催する旨をアナウンスしていたものの、夏になっても感染症の影響がおさまる事はなく最終的には全ての公演が中止となった[広報 56][広報 39]。
従来の有観客ライブの代替企画
配信日 | 作品(略記) | 歌詞字幕 | 出典 |
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2020年 2月29日 |
SAKANAQUARIUM 2010(C) | なし | |
3月11日 | SAKANAQUARIUM 2011 DocumentaLy Documentary |
なし | |
3月17日 | SAKANAQUARIUM 2013 | なし | |
3月28日 | SAKANATRIBE 2014 Standard Edition | なし | |
4月11日 | SAKANAQUARIUM 2015-2016 | なし | |
4月18日 | SAKANAQUARIUM 2017 Behind the scenes of SAKANAQUARIUM 2017 |
なし | |
4月25日 | 「NFパンチ」総集編 SAKANATRIBE 2014 Featuring TEAM SAKANACTION Edition |
なし | |
5月2日 | SAKANAQUARIUM 2010 (B) | あり | [広報 74] |
5月9日 | 2007.05.09 - 2017.05.09 SAKANAQUARIUM ARCHIVE |
あり | |
5月16日 | SAKANAQUARIUM 2010 (C) | あり | |
5月23日 | SAKANAQUARIUM 2011 | あり | |
5月30日 | SAKANAQUARIUM 2013 | あり | |
6月6日 | SAKANAQUARIUM 2015-2016 | あり | |
6月13日 | SAKANAQUARIUM2017 | あり | |
6月19日 | Twitch試験放送 | なし | |
6月20日 | NF ONLINE #01 | なし | [広報 89] |
6月27日 | なんてったってラジオ | なし | [広報 90] |
7月4日 | SAKANAQUARIUM ARCHIVE | あり | [広報 91] |
7月11日 | NF ONLINE #01(再放送) | なし | [広報 92] |
7月18日 | NF ONLINE #02 | なし | [広報 93] |
8月1日 | SAKANAQUARIUM 光 ONLINE 告知配信1 | なし | [広報 94] |
8月8日 | SAKANAQUARIUM 2015-2016 SAKANAQUARIUM 光 ONLINE 告知配信2(音響解説) |
あり | |
8月15日 | SAKANAQUARIUM 光 ONLINE | なし | |
8月16日 | SAKANAQUARIUM 光 ONLINE | なし |
更新日 | 版 | 出典 |
---|---|---|
2020年 4月9日 |
Ver.1 | [広報 97] |
4月9日 | Ver.2 | [広報 98] |
4月13日 | Ver.3 | [広報 99] |
4月16日 | Ver.4 | [広報 100] |
4月22日 | Ver.5 | [広報 101] |
4月25日 | Ver.6 | [広報 102] |
4月28日 | Ver.6(二回目) | [広報 103] |
4月28日 | Ver.7 | [広報 104] |
5月1日 | Ver.8 | [広報 105] |
5月13日 | Ver.9 | [広報 106] |
5月21日 | Ver.10 | [広報 107] |
5月26日 | Ver.11 | [広報 108] |
6月8日 | Ver.12 | [広報 109] |
6月18日 | Ver.13 | [広報 110] |
6月26日 | Ver.14 | [広報 111] |
7月17日 | Ver.16 | [広報 112] |
7月31日 | Ver.17 | [広報 113] |
8月7日 | Ver.18 | [広報 114] |
8月19日 | Ver.19 | [広報 115] |
2月26日の公演の開催延期を発表してから、サカナクションは様々な規模のライブ代替企画を企画した。2月28日にはバンド初のライブ映像作品の一つである「SAKANAQUARIUM 2010 (C)」のYouTube Live生配信を発表し[広報 57][広報 58]、翌29日の21時から、NF Recordsの公式チャンネルにてMCやアンコール部分を含むライブ映像全編が配信された。以降、バンドはこれまでに発表したライブ映像作品の無料配信をたびたび企画する。この企画は後にライブ映像作品集がリリースされるまで行われた。
山口個人としてはツアーが休止してから自身のSNSでファンや他のクリエイターと積極的に交流を深めている。この自主企画は「深夜対談」と題されており、一例として建築家の谷尻誠との対談の様子がTECTURE MAGで記事化されている[215][216]。
4月9日には、自宅で過ごすファンに向けメディア出演やライブ映像配信・深夜対談を含む各種コンテンツの公開予定日をまとめた「夜をのりこなすカレンダー」の第1版を発表した[広報 97]。以降、SNS上で8月19日までカレンダーの更新を行っている。
新たな形式でのライブ開催
7月17日には延期が続くホールツアーの代替企画としてバンド史上初となるライブストリーミング公演『SAKANAQUARIUM 光 ONLINE』の開催が発表された[広報 116][広報 117]。公演は2020年8月15日、16日の二日間に渡って配信された[217]。
配信日 | 配信会場 | 備考 | 出典 |
---|---|---|---|
8月15日 | シミズオクト 千葉スタジオ | 公式ファンクラブ会員限定配信 | [217][218] |
8月16日 | 一般配信 |
当初山口は休止前に行っていたコンサートをそのまま無観客で開催することには懐疑的であったが、これまでにサカナクションが積極的に挑戦してきた音楽を視覚的にも表現する取り組みの延長線としてオンライン・ライブを行うのであれば、何か面白いものが出来るのではと考え開催に踏み切ったという[219]。このオンライン・ライブにメンバーは手応えを感じ、実際に興行的にも成功したが[SOL 19]、この経験を通して山口は改めて観客の存在の大きさを感じ、今度は有観客でありつつも感染症対策に気を遣った新しいライブを行いたいという考えもから新たに「SAKANAQUARIUM 暗闇」が企画された[220]。当初2021年1月に開催予定であったが、コロナウイルス感染症の所謂「第3波」[221]が発生している状況を鑑みて、中止となった[広報 118]。
スタッフへやエンターテイメント業界への支援
サカナクションはコロナ禍でライブが開催できなくなったことにより収入が減ったスタッフへの支援活動を積極的に行っている。
2020年3月4日、サカナクションが所属するヒップランドミュージック社長の野村達矢が理事長をつとめる音楽制作者連盟を初めとするエンターテインメント関連3団体および主要コンサート制作会社が共同で新型コロナウイルス感染拡大の防止を呼びかけるため、「エンターテインメントを愛する皆さんへ」と題する声明文を発表した[222][223][224][225][広報 119]。この声明文の最後には「#春は必ず来る」というスローガンもそれられており、サカナクションおよび山口個人はそれぞれのTwitterでこの声明文発表のニュースに対してコメントを出すとともに[広報 120][広報 121]、以後の活動に関する告知で積極的にこのスローガンを用いている。
スタッフを支援するための具体的な活動の第一弾として、3月中にサカナクションは「NICE ACTION」と呼ばれるファンからの寄付金を受け入れるシステムを開始した。ここで集まった寄付金はバンドの活動だけでなくコロナ禍で収入が減少したサカナクションのライブスタッフ、通称「チームサカナクション」への支援金としても使用される[226]。これ以外にもバンドはライブグッズや新たに制作した映像作品集の売り上げを「チームサカナクション」の支援金として使用する取り組みも行っている[広報 122][広報 123][広報 124][広報 125]。
6月11日、コロナ禍が発生して以降に山口が自身のSNSで構想や進行状況を話していた、日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会の3団体による、日本のライブエンタテインメント産業の支援を目的とした基金「Music Cross Aid」の発足が正式に発表された[227]。15時からは公式サイトも公開され、この件はYahooニュース等でも取り上げられた[228]。山口はこれまでライブの収益で生活していたミュージシャンが苦しい状況に立たされている中で、自身のような比較的状況の良い立場に居る人間が積極的に動かなければライブ産業が続かなくなってしまうと考えており、そうした事態を防ぐためにエンターテイメント業界への支援を行っていると話した[219]。なおこの基金への収益の寄付を最初に発表したイベントは6月20日にサカナクションが主宰したイベント「NF ON LINE #01」であった[229]。
ツアー休止をきっかけとする経験の位置づけ
山口はコロナ禍による「SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光"」が休止となって以降の経験を『834.194』の次の音楽制作のテーマにしようと考えている[220]。「セールス20万枚、リリース・ツアーのアリーナ公演をソールドアウトする」という目標を掲げて制作された前作『sakanaction』はオリコン一位を獲得したが、ヒットしたことによるNHK紅白歌合戦出場などの経験が本来サカナクションというバンドを始めた目的とは異なっていた事に気づいた[10][62]。そこで次は売り上げを伸ばす事以外を目的とした音楽制作を行なうべきであると考えた結果、NFを設立し、その後『834.194』は制作された。山口は『834.194』のリリースを発表した際に「シングルを出し、アルバムを出し、そのリリース・ツアーを回り、音楽専門誌で制作の意図を語る」というという一連の方法以外での音楽表現を追求していきたいと語っていたが[SOL 5]、2020年以降の経験を通して「この先サカナクションはライブで盛り上がる曲だけで無く、音楽を聴く人の心の隙間に寄り添うような音楽を作らなくてはいけない」という目的を見つけている[220]。
2020年のツアー休止以降のサカナクションの活動を追ったNHKスペシャルの番組の最後で、山口はコロナ禍を通しての経験を以下のような詩として表現した。
「 | 背の高い藪を、手で漕ぎ道を作る僕らのこの感情は きっと新たな時代への獣道だ。 | 」 |
—山口一郎(NHKスペシャル パンデミック 激動の世界 (8)「音楽&スポーツ 熱狂なき空間」より) |
クレジット
サカナクション過去のシングルCDのライナーノーツ等による[230][231][232][233]。
レコーディング特記ない限りCDのライナーノーツによる[59]。
CDのアートワーク
ミュージック・ビデオのクレジット
アリーナー・ツアーのクレジット特記ない限りライブ映像内のクレジットによる[177]。
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チャートおよび認定と売り上げ
チャート
チャート | 最高 順位 |
出典 |
---|---|---|
アルバム『834.194』 | ||
日本・オリコンCDアルバムチャート | 2 | [統計 2] |
日本・オリコンデジタルアルバムチャート | 1 | [統計 3] |
日本・オリコンROCKアルバムチャート | 1 | [統計 4] |
日本・オリコン合算アルバムチャート | 2 | [統計 5] |
日本・Billboard Japan Hot Albums | 2 | [統計 10] |
日本・Billboard Japan Top Albums Sales | 2 | [統計 9] |
日本・Billboard Japan Download Albums | 1 | [統計 11] |
楽曲『忘れられないの』 | ||
日本・Billboard Japan Hot 100 | 5 | [統計 27] |
日本・Billboard Japan Download Songs | 4 | [統計 28] |
楽曲『モス』 | ||
日本・Billboard Japan Hot 100 | 58 | [統計 29] |
日本・Billboard Japan Download Songs | 49 | [統計 30] |
楽曲『ナイロンの糸』 | ||
日本・Billboard Japan Hot 100 | 53 | [統計 31] |
日本・Billboard Japan Download Songs | 23 | [統計 32] |
|
|
8月にオリコンCDアルバムチャートとBillboard Japan Download Albums共にランキングが上昇しているが、この月の21日に『忘れられないの/モス』がシングルカットリリースされている
チャート | 最高 順位 |
出典 |
---|---|---|
アルバム『834.194』 | ||
日本・オリコンCDアルバムチャート | 4 | [統計 6] |
日本・オリコンROCKアルバムチャート | 1 | [統計 7] |
チャート | 最高 順位 |
出典 |
---|---|---|
アルバム『834.194』 | ||
日本・オリコンCDアルバムランキング | 29 | [統計 8] |
日本・Billboard Japan Top Albums Sales | 25 | [統計 12] |
日本・Billboard Japan Hot Albums Year End | 17 | [統計 13] |
日本・Billboard Japan Download Albums | 16 | [統計 14] |
楽曲『忘れられないの』 | ||
日本・Billboard Japan Hot 100 | 75 | [統計 56] |
チャート | 最高 順位 |
出典 |
---|---|---|
Blu-ray『SAKANAQUARIUM 2019"834.194"』 | ||
日本・オリコン週間ミュージックBlu-rayチャート | 3 | [統計 57] |
DVD『SAKANAQUARIUM 2019"834.194"』 | ||
日本・オリコン週間ミュージックDVDチャート | 6 | [統計 58] |
ゴールド等認定
国 | 認定年月 | 認定団体 | 認定 | 売り上げ | 出典 |
---|---|---|---|---|---|
アルバム『834.194』 | |||||
日本 | 2019年6月 | RIAJ | ゴールド (CD) |
10万+ | [統計 15] |
解禁日と発売日一覧
国・地域 | 発売/発信元 | 発売日/解禁日 | 規格 | 規格品番/リクエストナンバー/備考 |
---|---|---|---|---|
日本 | ソフトバンク | 2019年3月23日 | テレビCM SoftBank music project「速度制限マン」編[広報 30][114][115][116][117] カロリーメイト「考えつづける人」篇 |
N/A |
JFN・TOKYO FM 『SCHOOL OF LOCK!』 |
2019年5月24日 | ラジオ・プレミア 忘れられないの(フル尺)[SOL 8][235] | ||
NF Records(Victor Entertainment) | 2019年6月5日 | ミュージック・ビデオ ナイロンの糸[123] | ||
JFN・TOKYO FM 『SCHOOL OF LOCK!』 |
2019年6月14日 | ラジオ・プレミア モス(フル尺)[SOL 11] |
O.A.は2019年のサラウンドツアー最終公演の直後。 | |
NF Records(Victor Entertainment) | 2019年6月19日 |
|
||
世界 | デジタル・ダウンロード [239] | N/A | ||
日本 | 2019年6月21日 | ミュージック・ビデオ 忘れられないの[124] | ||
2019年6月27日 | ミュージック・ビデオ モス[240] | |||
台湾 | ロックレコード | 2019年6月28日 |
|
GUT2554~5[241] |
日本 | NF Records(Victor Entertainment) | 2019年7月6日 | レンタルCD | VICL-65194 |
韓国 | NHNバッグス(J-Box Entertainment) | 2019年7月17日 | デジタル・ダウンロード[242] | N/A |
日本 | NF Records(Victor Entertainment) Drop Block Studio |
2019年8月9日 | ミュージック・ビデオ 忘れられないの(Drop Block Studio Cover Version) | |
NF Records(Victor Entertainment) | 2019年8月21日 | 8cmCDシングル 「忘れられないの/モス」シングルリカット |
VIDL-30565[243] | |
2020年1月15日 |
|
脚注
注釈
出典
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- ^ "834.194(2CD+Blu-ray 完全生産限定盤A)". Billboard Japan. 阪神コンテンツリンク. 2020年5月27日閲覧。
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は無視されます。(もしかして:|others=
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TOKYO FM『SCHOOL OF LOCK!』の放送後記
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を指定する場合、|archive-url=
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参考文献
書籍
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- 有泉智子「サカナクション、苦悩の果ての名シングル完成最速取材!(取材:鹿野淳)」『MUSICA』第08巻第11号、FACT、2014年11月15日、38 - 47頁、ASIN B00O5C6GDY。
- 有泉智子「COVER STORY サカナクション、いよいよ本格再始動! 混沌を抜け次なる航海へと乗り出した山口一郎、その新しき世界と未来を一気に独自(取材:鹿野淳)」『MUSICA』第09巻第08号、FACT、2015年8月15日、12 - 31頁、ASIN B00XVN17X2。
- 有泉智子「サカナクション、草刈姉さん復帰! 久々の5人全員・再始動第一声!(取材:鹿野淳)」『MUSICA』第09巻第10号、FACT、2015年10月15日、40 - 47頁、ASIN B012BALT60。
- 有泉智子「年間総括特集:THE YEAR in MUSIC 2015(THE 50 BEST DISCS)/サカナクション(取材:鹿野淳)」『MUSICA』第10巻第01号、FACT、2016年1月15日、10 - 65/66 - 73頁、ASIN B0170CLV3A。
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- 片桐圭子「表紙の人/山口一郎 サカナクション 音楽から新しい関係を始めよう(取材:松永良平)」『アエラ』第32巻第17号、朝日新聞出版、2019年4月8日、9/35 - 37頁、ASIN B07PRH27VZ。
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- 篠崎賢太郎「Dolby Atmosで音楽ミックス サカナクション最新ライブBlu-rayを起点に音楽×Dolby Atmosの可能性を探る(取材:松本伊織・辻太一)」『サウンド&レコーディング・マガジン』第39巻第04号、リットーミュージック、2020年4月1日、19 - 54頁、ASIN B07QRN4GPG。
- 中村健吾「FEATURED BASSISTS 2 草刈愛美 サカナクション *約6年ぶりのアルバムで見せた、ベーシストとしての進化とは?」『ベース・マガジン』第33巻第08号、リットーミュージック、2020年8月1日、24 - 31頁、ASIN B07T3JQ4BT。
- 横尾彰「特集"音をデザインする"匠たちの哲学 ドラム・チューニングにこだわる ~前編~ 江島恵一[サカナクション]×土田"つっちー"嘉範」『リズム&ドラム・マガジン』第35巻第09号、リットーミュージック、2020年4月1日、34 - 39頁、ASIN B07T3JPM8V。
- 吉川尚宏「サカナクション(第2特集)」『Talking Rock!』、株式会社トーキングロック、2019年6月10日、ASIN B07QXPPHLG。
- 「サカナクション 山口一郎が語る“6年ぶりのアルバム”の意味」『日経エンタテインメント!』、日経BP、2019年6月4日、ASIN B07RR74KLT。
サカナクションのマーチャンダイジング
- 水島七恵、平林理奈、菅原淳子 著、水島七恵 編『[SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around] Tour Booklet』ヒップランドミュージック、2017年。
- サカナクション 著、魚図鑑編纂委員会、企画編集部 編『魚大図鑑』平林奈緒美、伊東総研、JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント、2018年3月28日。VIZY-491。
- サカナクション 著、魚図鑑編纂委員会、企画編集部 編『魚図鑑』平林奈緒美、伊東総研、JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント、2018年3月28日。VIZY-1371/1372。
- サカナクション 著、鈴木哲也、松山裕輔 編『NFMG 001』NF PUBLISHING、2019年。
- サカナクション 著、鈴木哲也、戸塚真琴 編『NFMG 002』NF PUBLISHING、2020年。
外部リンク
- バンドの公式サイト
- CDの公式サイト・SNS
- サカナクション『834.194』特設サイト
- 834.194 (@834_194) - X(旧Twitter)
- サカナクション「834.194」 (@834_194) - Instagram
- 歌詞掲載サイト
- ツアーの公式サイト
- 2019年のツアー『SAKANAQUARIUM2019 "834.194"』特設サイト
- 2019年のコンサート『暗闇 -KURAYAMI-』特設サイト
- 2020年のツアー『SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光"』特設サイト
- 2020年のツアー追加公演『SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光" SPEAKER +』特設サイト(開催中止)
- ライブストリーミング公演『SAKANAQUARIUM 光』特設サイト
- 2019年のツアー映像作品『SAKANAQUARIUM 2019 "834.194"』特設サイト
- その他関連するサイト